説明

切削工具及び切削工具用インサート

本発明は切削工具及びこの切削工具に使用される切削インサートに関するものである。本発明の切削工具は1つ以上の切削部を備える。前記各切削部は切削インサートと、切削インサートを装着するインサートポケットとを備える。インサートポケットは1つ以上の鋸歯状の突出部を備える上部面と、下部支持面とを備え、切削インサートは前記インサートポケットの突出部と接触する上部面と、インサートポケットの下部支持面と接触する下部面とを備える。切削インサートの上部面はインサートポケットの突出部と接触する1つ以上の外向き傾斜面と、突出部と遊びをおいて位置する1つ以上の内向き傾斜面とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属素材などを加工するための切削工具、及びこの切削工具に用いられる切削インサートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の切削工具は切削インサートをカッター本体に固定するための多様な手段を使用する。一部の切削工具では、ネジボアがカッター本体に設けられており、これに対応する貫通ボアが切削インサートに設けられている。切削インサートはスクリュによりカッター本体に直接固定される。しかし、このような方式ではカッター本体にあるネジボアを製造するために多様な金属切削作業を要求するのみならず、ネジボアによってカッター本体が弱くなることがある。また、切削工具の損傷時にはスクリュの破損した部分がカッター本体のネジボア内に入ることがある。
【0003】
他の従来技術としてはウェッジを用いてカートリッジを固定する構造がある。例えば、米国特許第7,390,150号はウェッジとセレーションを有する切削インサートを備える切削工具に関するものである。図1及び図2にはこのような従来技術の切削工具が示されている。ツールホルダーボディ1は板状であり、外周面に等間隔で配列されている複数のインサートポケット3を備える。それぞれのインサートポケット3には切削インサート2とウェッジ4が収容される。切削インサート2の上部面にはセレーション2’が形成され、インサートポケット3の上部面には切削インサート2のセレーション2’に対応するセレーション3’が形成され、インサートポケット3に切削インサート2が装着される時、切削インサート2のセレーション2’とインサートポケット3のセレーション3’とが互いに結合する。ウェッジ4はインサートポケット3内で切削インサート2の下部に位置する。スクリュ5はウェッジ4のネジ孔を通じてインサートポケット3のネジ孔に締結され、スクリュ5がインサートポケット3のネジ孔に前進するに伴い、ウェッジ4もインサートポケット3のネジ孔の方向に前進する。ウェッジ4が内部にテーパされた形状を有しているので、ウェッジ4がインサートポケット3のネジ孔方向に前進に伴い、ウェッジ4により切削インサート2がインサートポケット3内にクランプされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来技術においては、切削インサートの半径方向の位置が切削インサートの上部面にあるセレーション2’とインサートポケットのセレーション3’との結合により決定され、切削インサートの半径方向の内側面と切削インサートが収容されるツールホルダボディの内側面との間に間隙が存在する。このような間隙がなければ、切削インサートとツールホルダーボディの両部品間の干渉が発生し得るためである。従って、切削インサートはその上部面及び下部面によってのみ支持され、半径方向では十分に支持されない。即ち、このような従来技術の構造は切削インサートに十分なクランピング力を提供できない。
【0005】
また、セレーション2’、3’が装着の基準位置になるため、切削インサートの製作が難しく、加工誤差及び組立誤差によって調節後の切削インサートの半径方向の位置が一定ではなく、切削加工の精度が顕著に落ちる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は先に言及した短所を克服したり相当減少させる切削インサート、及びそのような切削インサートを用いる切削工具を提供することである。
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明は1つ以上の切削部を有する切削工具を提供する。1つ以上の切削部のそれぞれは切削インサートと、切削工具の本体上に形成されて切削インサートを装着するインサートポケットとを備える。前記インサートポケットは1つ以上の鋸歯状の突出部を備える上部面と、後方支持面と、下部支持面とを備え、前記切削インサートは前記インサートポケットの1つ以上の鋸歯状の突出部と接触する上部面と、インサートポケットの後方支持面と接触する第1側面と、インサートポケットの下部支持面と接触する下部面とを備える。切削インサートの上部面はインサートポケットの上部面の1つ以上の突出部と接触する1つ以上の外向き傾斜面と、インサートポケットの1つ以上の突出部と遊びをおいて位置する1つ以上の内向き傾斜面とを備える。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、インサートポケットの上部面は1つ以上の突出部から延長する平坦面をさらに備え、切削インサートの上部面は、切削インサートがインサートポケットに装着された状態でインサートポケットの平坦面と接触する平坦面をさらに備える。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、インサートポケットの上部面の突出部はインサートポケットの内側に位置する第1突出部を備え、第1突出部の内向き傾斜面はインサートポケットの下部支持面と30〜45°の角度をなす。
【0010】
本発明の他の実施形態によれば、前述した実施形態と反対に、インサートポケットの上部面が1つ以上の鋸歯状の凹部を備える。また、切削インサートの上部面はインサートポケットの上部面の1つ以上の凹部と接触する1つ以上の外向き傾斜面と、インサートポケットの1つ以上の凹部と遊びをおいて位置する1つ以上の内向き傾斜面とを備える。
【0011】
本発明の他の実施形態によれば、インサートポケットの上部面の上部に、切削工具に一体に形成されるスクリュ孔と、スクリュ孔に沿って形成されるスロットと、スクリュ孔に挿入されてインサートポケットの上部面を切削インサートの上部面側に加圧するスクリュとがさらに備えられる。
【0012】
本発明の他の実施形態によれば、1つ以上の切削部はインサートポケットの1つ以上の鋸歯状の突出部を有する上部面を下部に備えるカートリッジと、切削工具の本体上に形成されカートリッジを収容するカートリッジポケットとをさらに備える。前記カートリッジは切削工具の半径方向の外側面から内側面に向かって形成されるスクリュ孔と、スクリュ孔に沿って形成されるスロットと、スクリュ孔に挿入され前記インサートポケットの上部面を前記切削インサートの上部面側に加圧するスクリュとを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、切削インサートは上部面、下部面及び第1側面により3面が支持され、切削インサートの上部面及び下部面により2面が支持される従来技術よりはるかに安定した装着を誘導することができ、十分なクランピング力を提供できる。
【0014】
また、本発明によれば、ウェッジ方式を用いる従来技術に比べて切削インサートを装着するのに少数の部品を必要とする。
【0015】
また、本発明によれば、切削インサートの第1側面がインサートポケットに完全に密着して基準面の役割をするので、切削刃の位置が常に固定されるように制御するのが容易で、これにより本発明は従来技術に比べて切削加工の精度が顕著に高くなる。
【0016】
また、本発明の他の実施形態によれば、切削インサートは少なくとも一部がインサートポケットの上部面を形成するカートリッジと、これを収容するカートリッジポケットとを備えるため、インサートポケットの上部面32の鋸歯状の突出部または凹部が切削インサートの上部面22と頻繁に接触することによって摩耗したり潰れても、カッター本体全体の代わりに単に損傷したカートリッジのみを交換すればよい。従って、カートリッジを使用せず、カッター本体に直接インサートポケットの上部面を形成する方式に比べて、切削工具の寿命を延ばすことができるので経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来技術による切削工具を示す。
【図2】従来技術による切削工具を示す。
【図3】本発明による切削工具の斜視図である。
【図4】本発明による切削インサートの斜視図である。
【図5】本発明による切削インサートの平面図である。
【図6】本発明による切削インサートの正面図である。
【図7】本発明による切削インサートの側面図である。
【図8】本発明によるカッター本体に切削インサート、固定用スクリュ及び調節用スクリュがいずれも装着された状態を示す。
【図9】本発明によるカッター本体に固定用スクリュ及び調節用スクリュが装着された状態を示す。
【図10】本発明によるカッター本体に切削インサート、固定用スクリュ及び調節用スクリュが装着される前の状態を示す。
【図11】本発明によるカッター本体に切削インサート、固定用スクリュ及び調節用スクリュが装着される前の状態を示す。
【図12】本発明によるカッター本体に調節用スクリュのみが装着された状態を示す。
【図13】本発明によるカッター本体に固定用スクリュが装着される前の状態を示す。
【図14】本発明による切削インサートの支持力を示す。
【図15】本発明の他の実施形態による切削工具の斜視図である。
【図16】本発明の他の実施形態による切削工具の側面図である。
【図17】本発明の他の実施形態による切削工具の正面図である。
【図18】図17の点線で示す部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付した図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0019】
図3は本発明による切削工具の斜視図である。カッター本体10はミリングマシンのスピンドルに装着される円筒状の装着部11と、第1フランジ部12と、第2フランジ部14と、第1フランジ部12と第2フランジ部14との間を連結する円筒状の連結部13とから構成される。第1フランジ部12は円筒状の装着部11から延長し、装着部11に比べて大きい外径を有する。第2フランジ部14は第1フランジ部12からカッター本体10の端部側に離隔位置する。円筒状の連結部13は第1及び第2フランジ部12、14に比べて小さい外径を有する。第2フランジ部14には切削インサート20を収容するためのインサートポケット30が外周縁に沿って複数形成される。切削インサート20はカッター本体10に切削インサート固定用スクリュ50により固定される。切削インサート固定用スクリュ50とインサートポケット30との間にはスロット60が形成され、切削インサート20の組立を容易にする。
【0020】
図3及び図8〜図10を参照すると、インサートポケット30に隣接した第1フランジ部12の下端面にはスクリュ孔71が形成され、調節用スクリュ70がスクリュ孔71に挿入される。インサートポケット30に装着された切削インサート20の側面は調節用スクリュ70のヘッド72と面接触する。調節用スクリュ70のヘッド72の回転に伴って切削インサート20は切削工具の軸方向Aへ移動可能である。調節用スクリュ70により切削インサートの軸方向位置を容易で精密に調節できる。本明細書において切削工具の「軸方向」は図3のAで示す軸方向を意味し、「半径方向」はカッター本体の中心から外周縁に向かう方向を意味する。
【0021】
図4は本発明による切削インサート20の斜視図であり、図5〜図7はそれぞれ切削インサート20の平面図、正面図及び側面図である。切削インサート20はカッター本体の中心側に位置するインサートポケットの表面と接する半径方向の内側面21(第1側面)と、上部面22と、下部面23と、カッター本体の外周縁に位置する半径方向外側面24と、カッター本体の端部側に位置する端部側側面25と、調節用スクリュ70のヘッド72と面接触する接触側面とを備える。切削インサートの上部面22は少なくとも1つの鋸歯状の凹部40を備える。本発明による切削インサートには2つの鋸歯状の凹部40が形成される。しかし、鋸歯状の凹部の数はこれに制限されない。
【0022】
それぞれの鋸歯状の凹部は半径方向の外向き傾斜面41、44、上側面取り面43、及び半径方向の内向き傾斜面42、45を備える。図14に示すように、切削インサート固定用スクリュ50によりインサートポケット30内に切削インサート20が装着される場合、切削インサートの上部面の鋸歯状の凹部の3面のうち、外向き傾斜面41、44のみがインサートポケット30と接触するようになる。即ち、各凹部の3面のうちの1面だけで接触がなされ、残りの2面とインサートポケットとの間では微細な遊びを維持することにより、切削インサートは半径方向の内側面21及び下部面23で完全な面接触がなされる。半径方向の外向き傾斜面41、44のうち、第1外側傾斜面41と第2外側傾斜面44とは切削インサートの下部面23と45°の角度をなす。第1及び第2外側傾斜面41、44は切削インサートの下部面23と30〜45°の角度をなすことが望ましい。この角度が30°より小さければ、切削インサートの半径方向内側への密着が完全でなく切削工具の回転時に切削インサートが離脱しやすい。また、この角度が45°より大きければ、切削インサートの上部面とインサートポケットの上部面との接触が円滑でなくなる。
【0023】
本発明の他の実施形態として、切削インサートの上部面22は鋸歯状の凹部の代わりに少なくとも1つの鋸歯状の突出部を備える。それぞれの鋸歯状の突出部は、前述した実施形態と同様に、半径方向の外向き傾斜面、上側面取り面及び半径方向の内向き傾斜面を備え、インサートポケット内に切削インサートが装着される場合、切削インサートの上部面の各突出部の3面のうち半径方向の外向き傾斜面のみがインサートポケットと接触するようになる。即ち、各突出部の3面のうちの1面だけで接触がなされ、残りの2面とインサートポケットとの間では微細な遊びを維持することにより、切削インサートは半径方向の内側面21及び下部面23で完全な面接触がなされる。
【0024】
本発明の他の実施形態として、切削インサートの上部面22は鋸歯状の突出部または凹部から半径方向の外側面24に延びる平坦面46をさらに備えることが望ましい。この場合、インサートポケット内に切削インサートが装着される時、切削インサートの上部面の突出部または凹部とともに平坦面46がインサートポケットと接触することにより、インサートポケット内への切削インサートの装着をさらに強固にすることができる。
【0025】
切削インサートの上部面22は、図4に示すように、切削チップ(cutting tip)27をさらに備えることができ、切削チップ27は望ましくはCBNまたはPCDで構成され得る。CBNまたはPCD素材の切削チップは、自動車部品などに用いられる鋳鉄及びアルミニウム素材の表面を精密に切削加工するのに有用である。
【0026】
図8〜図10は本発明によるカッター本体の斜視図であり、図11〜図13はカッター本体の端部から見た正面図である。図8はカッター本体に切削インサート、固定用スクリュ及び調節用スクリュがいずれも装着された状態を示し、図9は固定用スクリュ及び調節用スクリュが装着される前の状態を示す。図10及び図11は切削インサート、固定用スクリュ及び調節用スクリュがいずれも装着される前の状態を示し、図12は調節用スクリュのみが装着された状態を示す。切削インサートが安着するインサートポケット30の上部には、切削インサート固定用スクリュ50が挿入される孔51とスロット60とが配置される。スロット60とインサートポケット30との間には板状のリーフ(leaf)36が形成される。インサートポケットは下部支持面33と後方支持面31を備える。本発明によるインサートポケット30では、後方支持面31が下部支持面33と直角をなす。インサートポケットの上部面32、即ちリーフ36の下部面には1つ以上の鋸歯状の突出部34が形成される。切削インサートをインサートポケットに装着するためには、まず切削インサートをインサートポケットに挿入した後に切削インサート固定用スクリュ50を孔51に挿入する。続いて、固定用スクリュ50を孔51に前進させるようになれば、スクリュ50のヘッド部分が孔51のテーパされた入口を広げるようになり、これによりスロット60の幅が広くなる。結局、スロット60とインサートポケット30との間のリーフ36が下方に屈曲し、その屈曲力Fによりインサートポケットの鋸歯状の上部面32が切削インサートを加圧するようになる。
【0027】
図14は本発明による切削インサートの支持力を示す。スクリュ50の締結によるリーフ36の屈曲力Fは切削インサートの上部面で締結力F1及びF2を発生させ、その締結力F1とF2は切削インサートの半径方向の内側面に垂直な分力P1及び切削インサートの下部面に垂直な分力P2を生成する。分力P1は切削インサートをカッター本体内側に密着させ、切削工具の回転時に遠心力により切削インサートが離脱することを防止する。分力P2は切削インサートの下部面の密着を可能にする。このように、本発明による切削インサートは上部面、下部面、及び半径方向の内側面により3面が支持され、切削インサートの上部面及び下部面により2面が支持される従来技術よりはるかに安定した装着を誘導することができ、十分なクランピング力を提供できる。
【0028】
また、図1及び図2に示す従来技術の場合、切削インサート上部に形成されたセレーションの加工誤差及び組立誤差によって切削インサートが装着されるごとに切削インサートの半径方向位置が変わって切削加工の精度が落ちるが、本発明の場合、切削インサートの半径方向の内側面がインサートポケットに完全に密着して基準面の役割をするため、従来技術に比べて切削加工の精度が顕著に高くなる。
【0029】
たとえ本発明において切削インサートは、締結力F1と締結力F2の方向が同一であっても、分力P1と分力P2の適切な分配のために、F1、F2の方向が互いに異なることがある。即ち、2つの半径方向の外向き傾斜面41、44がそれぞれ切削インサートの下部面となす角度が相違することがある。これと異なり、他の実施形態では締結力F2がゼロとなるように、外向き傾斜面44と下部面とがなす角度または外向き傾斜面44とインサートポケットの突出部との間の間隔を調整することも可能である。
【0030】
本発明の他の実施形態として、切削インサートの上部面が鋸歯状の凹部の代わりに少なくとも1つの鋸歯状の突出部を備える場合には、インサートポケットの上部面がこれに対応する鋸歯状の凹部を備えるように形成される。この場合、切削インサートとインサートポケット間の結合は前述した実施形態と同一なので、これに関する詳細な説明は省略する。
【0031】
本発明の他の実施形態として、切削インサートの上部面22が鋸歯状の突出部または凹部から半径方向の外側面24に延長する平坦面46をさらに備える。図14に示すように、スクリュ50の締結によるリーフ36の屈曲力Fは切削インサートの上部面で締結力F1、F2及びF3を発生させ、締結力F3は切削インサートの下部面に垂直な方向に作用するようになるので、インサートポケットの下部支持面との密着がさらに確実になる。
【0032】
本発明の他の実施形態として、図15〜図18に示すように、カッター本体10はカートリッジ80と、カッター本体上に形成されカートリッジ80を収容するカートリッジポケット90とをさらに備える。カートリッジポケット90は、上部面91と、後方支持面92と、インサートポケット30の後方支持面31と連結される下部面93とを備える。カートリッジ80はカートリッジポケット90の上部面91に接触する上部面81と、カートリッジポケットの後方支持面92と接触する半径方向の内側面82と、カートリッジポケットの下部面93と接触して少なくとも一部はインサートポケットの上部面32を形成する下部面83と、半径方向の外側面85とを備える。カートリッジの下部面83はインサートポケットの上部面32と、カートリッジポケットの下部面93と接触する下部支持面84とから構成される。カートリッジの半径方向の外側面85にはインサートポケットの上部面32の上部側にスクリュ孔51が形成され、スロット60がスクリュ孔51に沿って形成される。スクリュ孔51にはスクリュ50が挿入される。インサートポケットの上部面32が切削インサートを固定する作用は前述したのと同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。本実施形態によれば、インサートポケットの上部面32の鋸歯状の突出部または凹部が切削インサートの上部面22と頻繁に接触することによって摩耗したり潰れても、カッター本体全体を交換する必要がなく、単に損傷したカートリッジのみを交換すればよい。従って、カートリッジを使用せず、カッター本体に直接インサートポケットの上部面を形成する方式に比べて、切削工具の寿命を延ばすことができるので、経済的である。
【0033】
本発明の範囲を逸脱することなく本発明において多様な変形及び変更が行われることは当業者には自明である。また、本発明は、例えば孔加工や線削加工のような切削インサートが使用可能な多様な機械加工に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の切削部を備える切削工具であり、
前記1つ以上の切削部は切削インサートと、前記切削工具の本体上に形成され前記切削インサートを装着するインサートポケットとを備え、
前記インサートポケットは1つ以上の鋸歯状の突出部を備える上部面と、後方支持面と、下部支持面とを有し、
前記切削インサートは前記インサートポケットの1つ以上の鋸歯状の突出部に接触する上部面と、前記インサートポケットの後方支持面と接触する第1側面と、前記インサートポケットの下部支持面と接触する下部面とを有し、
前記切削インサートの上部面は前記インサートポケットの上部面の1つ以上の突出部と接触する1つ以上の外向き傾斜面と、前記インサートポケットの1つ以上の突出部と遊びをおいて位置する1つ以上の内向き傾斜面とを備える、
切削工具。
【請求項2】
前記インサートポケットの上部面は1つ以上の突出部から延長する平坦面をさらに備え、前記切削インサートの上部面は、切削インサートがインサートポケットに装着された状態で前記インサートポケットの平坦面と接触する平坦面をさらに備える、請求項1に記載の切削工具。
【請求項3】
前記インサートポケットの上部面の突出部はインサートポケットに位置する第1突出部を備え、前記第1突出部の内向き傾斜面はインサートポケットの下部支持面と30〜45°の角度をなす、請求項1に記載の切削工具。
【請求項4】
1つ以上の切削部を備える切削工具であり、
前記1つ以上の切削部は切削インサートと、前記切削工具の本体上に形成され前記切削インサートを装着するインサートポケットとを備え、
前記インサートポケットは1つ以上の鋸歯状の凹部を備える上部面と、後方支持面と、下部支持面とを有し、
前記切削インサートは前記インサートポケットの1つ以上の鋸歯状の凹部に接触する上部面と、前記インサートポケットの後方支持面と接触する第1側面と、前記インサートポケットの下部支持面と接触する下部面とを有し、
前記切削インサートの上部面は前記インサートポケットの上部面の1つ以上の凹部と接触する1つ以上の外向き傾斜面と、前記インサートポケットの1つ以上の凹部と遊びをおいて位置する1つ以上の内向き傾斜面とを備える、
切削工具。
【請求項5】
前記インサートポケットの上部面は1つ以上の凹部から延長する平坦面をさらに備え、前記切削インサートの上部面は、切削インサートがインサートポケットに装着された状態で前記インサートポケットの平坦面と接触する平坦面をさらに備える、請求項4に記載の切削工具。
【請求項6】
前記インサートポケットの上部面の凹部はインサートポケットに位置する第1凹部を備え、前記第1凹部の内向き傾斜面はインサートポケットの下部支持面と30〜45°の角度をなす、請求項4に記載の切削工具。
【請求項7】
前記インサートポケットの上部面の上部に前記切削工具に一体に形成されるスクリュ孔と、前記スクリュ孔に沿って形成されるスロットと、前記スクリュ孔に挿入され前記インサートポケットの上部面を前記切削インサートの上部面側に加圧するスクリュとを備える、請求項1または4に記載の切削工具。
【請求項8】
前記1つ以上の切削部は前記インサートポケットの1つ以上の鋸歯状の突出部を有する上部面を下部に備えるカートリッジと、前記切削工具の本体上に形成され前記カートリッジを収容するカートリッジポケットとをさらに備え、
前記カートリッジは前記切削工具の半径方向の外側面から内側面に向かって形成されるスクリュ孔と、前記スクリュ孔に沿って形成されるスロットと、前記スクリュ孔に挿入され前記インサートポケットの上部面を前記切削インサートの上部面側に加圧するスクリュとを備える、請求項1または4に記載の切削工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2012−525267(P2012−525267A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508376(P2012−508376)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【国際出願番号】PCT/KR2009/003106
【国際公開番号】WO2010/128706
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(508151781)デグテック エルティーディー (30)
【Fターム(参考)】