説明

切換表示装置、切換バルブ、及びロックシリンダ

【課題】切換バルブにおけるプランジャのストローク量が微小であっても切換状態を視認可能とする。
【解決手段】ケーシング21に収納された状態と、ケーシング21から突出した状態とに切り換え可能なプランジャ22の切換状態を表示する切換表示装置30であって、ケーシング21に支点31aが支持され、プランジャ22の突出によって力点31bが押圧されて揺動するアーム部31と、ケーシング21に回動自在に回動中心35aが支持され、アーム部31の作用点31cに連結されてアーム部31の揺動によって回動する回動部35と、回動部35に取り付けられ、回動部35の回動によって角度が変化する傾動表示部36とを備え、回動部35の回動中心35aと傾動表示部36との間の距離は、回動部35の回動中心35aとアーム部31の作用点31cとの間の距離と比較して大きく設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切り換え可能な切換部の切換状態を表示する切換表示装置、当該切換表示装置を用いた切換バルブ、及び当該切換バルブを用いたロックシリンダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、シリンダに対して進退自在に設けられるピストンロッドを備え、ピストンロッドの進退を固定可能なロックシリンダが知られている。
【0003】
特許文献1には、内部を摺動するピストンによって伸側油室と圧側油室とが画成されるシリンダ部と、伸側油室と圧側油室との間の作動油の流れを遮断可能な開閉弁とを備えるロックシリンダが開示されている。このロックシリンダでは、開閉弁を閉状態に切り換えて伸側油室と圧側油室との間の作動油の流れを遮断することで、シリンダ部に対するピストンの摺動を固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−222178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ロックシリンダにおける作動流体の流れを開閉する切換バルブには、切換時に進退する切換部が微小にしかストロークしないものがある。切換バルブのストローク量が微小な場合、ロックシリンダのピストンロッドが固定状態であるのか、あるいは固定状態から開放されて進退可能な開放状態であるのかを視認することが困難な場合がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、切換部のストローク量が微小であっても切換状態を視認可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、本体部に収納された状態と、前記本体部から突出した状態と、に切り換え可能な切換部の切換状態を表示する切換表示装置であって、前記本体部に支点が支持され、前記切換部の突出によって力点が押圧されて揺動するアーム部と、前記本体部に回動自在に回動中心が支持され、前記アーム部の作用点に連結されて当該アーム部の揺動によって回動する回動部と、前記回動部に取り付けられ、前記回動部の回動によって角度が変化する傾動表示部と、を備え、前記回動部の前記回動中心と前記傾動表示部との間の距離は、前記回動部の前記回動中心と前記アーム部の作用点との間の距離と比較して大きく設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、切換部が本体部に対して突出すると、本体部に支点が支持されるアーム部の力点に切換部のストロークが作用してアーム部が揺動する。アーム部が揺動すると、本体部に回動中心が支持される回動部が回動し、回動部の回動に伴って傾動表示部が傾動することで、切換状態が視認可能に表示されることとなる。このとき、回動部の回動中心と傾動表示部との間の距離は、回動中心とアーム部の作用点との間の距離と比較して大きく設定されるため、リンク比によって切換部のストローク量に対する傾動表示部の傾動量が大きくなる。したがって、切換部のストローク量が微小であっても切換状態を視認可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に係るロックシリンダの正面図である。
【図2】ロックシリンダにおける切換バルブの正面図である。
【図3】図2における底面図である。
【図4】図2における右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
まず、図1を参照して、本発明の実施の形態に係るロックシリンダ100の全体構成について説明する。ロックシリンダ100では、作動流体として作動油を使用する。作動流体は、非圧縮性流体であれば作動油でなくてもよい。
【0012】
ロックシリンダ100は、作動油が封入されるシリンダ1と、シリンダ1に摺動自在に収装されるピストン2と、ピストン2に取り付けられてピストン2の摺動によってシリンダ1に対して進退可能なピストンロッド3とを備える。ロックシリンダ100は、シリンダ1に対するピストンロッド3の進退によって伸縮可能である。
【0013】
シリンダ1は、略円筒状に形成されて内部に作動油が封入されるものである。シリンダ1内には、収装されるピストン2によってロッド側流体室11とピストン側流体室12とが画成される。
【0014】
ピストン2は、シリンダ1の内径と略同一の外径に形成される。ピストン2の外周とシリンダ1の内周との間は、作動油が流れないように封止されている。そのため、ロッド側流体室11とピストン側流体室12とに封入された作動油が、シリンダ1の外部を介して給排されない場合には、ロッド側流体室11とピストン側流体室12との間を作動油が流れることはない。よって、ピストン2が摺動することはなく、ピストンロッド3がシリンダ1に対して進退不能に固定されることとなる。
【0015】
ピストンロッド3は、ピストン2と同軸に設けられてピストン2に固定される。ピストンロッド3は、作動油の給排によってピストン側流体室12が拡張してロッド側流体室11が収縮したときにシリンダ1から退出する。ピストンロッド3は、作動油の給排によってロッド側流体室11が拡張してピストン側流体室12が収縮したときにシリンダ1内部に進入する。
【0016】
ロックシリンダ100は、ブラケット20aを介してシリンダ1に取り付けられる切換バルブ20を備える。この切換バルブ20は、ロッド側流体室11とピストン側流体室12との間の作動油の連通と遮断とを切り換え可能である。ロックシリンダ100は、切換バルブ20が切り換えられることによって、ピストンロッド3が進退不能に固定された固定状態と、ピストンロッド3が進退可能な開放状態とに切り換えられる。
【0017】
次に、図2から図4を参照して、切換バルブ20について説明する。
【0018】
切換バルブ20は、本体部としてのケーシング21と、切換部としてのプランジャ22と、プランジャ22の切換状態を表示する切換表示装置30と、プランジャ22の進退によって切り換えられるリミットスイッチ40とを備える。切換バルブ20は、シリンダ1とピストンロッド3との間に所定の圧縮荷重又は引張荷重が作用した場合に、ロッド側流体室11とピストン側流体室12との間の作動油を連通状態に切り換えるものである。
【0019】
ケーシング21は、略直方体形状に形成されてプランジャ22を摺動自在に収装する。ケーシング21は、ロッド側流体室11と連通する第一ポート21aと、ピストン側流体室12と連通する第二ポート21bと、パイロット圧が入力されるパイロットポート21cとを備える。ケーシング21の内部では、第一ポート21aと第二ポート21bとの間が連通している。即ち、切換バルブ20の内部では、ロッド側流体室11とピストン側流体室12との間が連通している。
【0020】
パイロットポート21cからは、シリンダ1とピストンロッド3との間に作用する圧縮荷重及び引張荷重の大きさに応じたパイロット圧が入力される。パイロットポート21cから入力されるパイロット圧は、シリンダ1とピストンロッド3との間に作用する圧縮荷重又は引張荷重が大きくなるにつれて大きくなる。
【0021】
プランジャ22は、一端22aが後述する切換表示装置30のアーム部31を押圧可能に設けられ、他端22bがケーシング21の反対側から突出して設けられる。プランジャ22は、一端22aがケーシング21に収納された状態と、一端22aがケーシング21から突出した状態とに切り換えられる。
【0022】
プランジャ22は、その進退によって内部の作動油の連通と遮断とを切り換え可能である。具体的には、プランジャ22の一端22aがケーシング21に収納された状態では、第一ポート21aと第二ポート21bとの間の作動油の流れを遮断し、プランジャ22の一端22aがケーシング21から突出した状態では、第一ポート21aと第二ポート21bとの間の作動油を連通する。これにより、プランジャ22の進退によって、ロッド側流体室11とピストン側流体室12との間の作動油の連通と遮断とが切り換えられる。
【0023】
プランジャ22は、パイロットポート21cから入力されるパイロット圧が所定の大きさを超えた場合に、一端22aがケーシング21から突出するように切り換えられる。即ち、プランジャ22は、シリンダ1とピストンロッド3との間に作用する圧縮荷重又は引張荷重が所定の大きさを超えた場合に、一端22aがケーシング21から突出するように切り換えられる。これにより、ロッド側流体室11とピストン側流体室12との間の作動油が連通状態に切り換えられる。
【0024】
したがって、シリンダ1とピストンロッド3との間に作用する圧縮荷重又は引張荷重が比較的小さいときには、ピストンロッド3は進退不能な固定状態となり、圧縮荷重又は引張荷重が所定の大きさを超えたときに、ピストンロッド3は進退可能な開放状態となる。
【0025】
切換表示装置30は、プランジャ22の切換状態を機械的に表示するものである。即ち、切換表示装置30は、ピストンロッド3が進退不能な固定状態にあるか進退可能な開放状態にあるかを視認可能に表示するものである。
【0026】
切換表示装置30は、ケーシング21に支点31aが支持されるアーム部31と、ケーシング21に回動自在に回動中心35aが支持され、アーム部31の作用点31cに連結される回動部35と、回動部35に取り付けられ、回動部35の回動によって傾動する傾動表示部36とを備える。
【0027】
アーム部31は、プランジャ22における一端22aの突出によって力点31bが押圧されて揺動する。アーム部31は、その力点31bにてプランジャ22の一端22aと連結される。アーム部31は、ケーシング21の一端に沿って略コの字状に形成される。
【0028】
アーム部31における支点31aと作用点31cとの間の距離は、支点31aと力点31bとの間の距離と比較して大きく設定される。これにより、プランジャ22が切り換えられたときのストローク量が微小であっても、リンク比によって作用点31cの移動量を大きくできる。
【0029】
アーム部31は、アーム本体32と、アーム本体32と回動部35との間に介在するリンク33とを備える。
【0030】
アーム本体32は、リンク33と連結される端部とは反対側の端部に、作業者が外部から手動で操作可能なレバー34を備える。アーム本体32は、プランジャ22の突出によって揺動するほか、作業者によるレバー34操作によっても揺動可能である。
【0031】
レバー34は、作業者によって操作され、プランジャ22がケーシング21に収納された状態とケーシング21から突出した状態とを、手動で切り換え可能とするものである。
【0032】
レバー34が、プランジャ22の一端22aがケーシング21から突出した状態で、作業者によってケーシング21から離間する方向に操作されると、プランジャ22の一端22aがケーシング21に収納される。これにより、ロッド側流体室11とピストン側流体室12との間の作動油の流れは遮断される。
【0033】
一方、レバー34が、プランジャ22の一端22aがケーシング21に収納された状態で、作業者によってケーシング21に近接する方向に操作されると、プランジャ22の一端22aがケーシング21から突出する。これにより、ロッド側流体室11とピストン側流体室12との間が連通される。
【0034】
リンク33は、支点31aを中心とするアーム本体32の回動と、回動中心35aを中心とする回動部35の回動とによって生じる角度の相対変化を調整し、アーム本体32と回動部35とを連結するものである。これにより、アーム部31の揺動によって回動部35を回動させることが可能となる。
【0035】
回動部35は、回動中心35aを中心として回動する略矩形の板である。回動部35は、アーム部31の揺動によって回転する。回動部35におけるケーシング21から最も離間した端部には、傾動表示部36が固定される。
【0036】
回動部35の回動中心35aと傾動表示部36との間の距離は、回動部35の回動中心35aとアーム部31の作用点31cとの間の距離と比較して大きく設定される。これにより、アーム部31の揺動量が小さくても、リンク比によって傾動表示部36の傾動量を大きくできる。
【0037】
傾動表示部36は、プランジャ22がケーシング21に対して進退した場合に、ケーシング21に対して傾動する角度が変化するフラッグである。傾動表示部36は、プランジャ22の一端22aがケーシング21に収納された状態ではケーシング21に沿って設けられ、プランジャ22の一端22aがケーシング21から突出した状態に切り換えられた場合にケーシング21から立ちあがる。
【0038】
つまり、傾動表示部36は、ロックシリンダ100におけるロッド側流体室11とピストン側流体室12とが連通されてピストンロッド3が進退可能な開放状態となっている場合にケーシング21から立ち上がる。傾動表示部36には、例えば、作業者による視認を容易にするために塗装が施されたり、ロックシリンダ100におけるピストンロッド3が進退可能な開放状態にある旨が表示されたりする。
【0039】
傾動表示部36は、作業者によるレバー34の操作によってもまた、ケーシング21から立ち上がった状態と、ケーシング21に沿った状態とに切り換えられる。
【0040】
なお、傾動表示部36を、プランジャ22がケーシング21から突出した状態でケーシング21に沿って設けられ、プランジャ22がケーシング21に収納された状態に切り換えられた場合にケーシング21から立ちあがるように回動部35に取り付けてもよい。
【0041】
リミットスイッチ40は、ブラケット40aを介してケーシング21に取り付けられる。リミットスイッチ40は、プランジャ41が押し込まれることによって信号を出力する接触スイッチである。リミットスイッチ40のプランジャ41は、切換バルブ20のプランジャ22と同軸に設けられ、プランジャ22の他端22bと当接する。
【0042】
リミットスイッチ40は、プランジャ22の進退によってプランジャ41が移動することによって切り換えられる。リミットスイッチ40は、プランジャ22の一端22aがケーシング21から突出したときに、他端22bがケーシング21内に収納されることによって信号を出力しない状態に切り換えられる。
【0043】
リミットスイッチ40は、配線42を介して外部のコントローラ(図示省略)に電気的に接続される。これにより、リミットスイッチ40から信号が出力されている場合には、ピストンロッド3が進退不能な固定状態にあり、リミットスイッチ40から信号が出力されなくなった場合には、ピストンロッド3が進退可能な開放状態であることが、外部のコントローラを介して作業者に通知される。
【0044】
次に、ロックシリンダ100の作用について説明する。
【0045】
シリンダ1とピストンロッド3との間に圧縮荷重及び引張荷重が作用していない場合、または比較的小さな圧縮荷重又は引張荷重が作用している場合には、パイロットポート21cから切換バルブ20に入力されるパイロット圧は、所定の大きさ以下である。そのため、切換バルブ20におけるプランジャ22は、一端22aがケーシング21に収納された状態である。
【0046】
このとき、切換バルブ20によって、第一ポート21aを介して連通するロッド側流体室11と第二ポート21bを介して連通するピストン側流体室12との間の作動油の流れは遮断されている。よって、ロッド側流体室11とピストン側流体室12とは、ともに拡縮せずに一定の容積を保つため、ピストンロッド3は進退不能な固定状態にある。したがって、ロックシリンダ100は、一定の長さを保ったまま伸縮不能に固定されている。
【0047】
一方、シリンダ1とピストンロッド3との間に作用する圧縮荷重又は引張荷重が所定の大きさを超えた場合には、パイロットポート21cから切換バルブ20に入力されるパイロット圧が所定の大きさを超えることとなる。そのため、切換バルブ20におけるプランジャ22は、一端22aがケーシング21から突出した状態に切り換えられる。
【0048】
このとき、切換バルブ20の内部において、ロッド側流体室11とピストン側流体室12との間が連通され、作動油の流れが可能な連通状態となる。よって、ロッド側流体室11とピストン側流体室12とがともに拡縮可能となるため、ピストンロッド3は進退可能な開放状態となる。したがって、ロックシリンダ100は伸縮可能となる。
【0049】
切換バルブ20における切換表示装置30では、プランジャ22が切り換えられて一端22aがケーシング21から突出することによって、アーム部31の力点31bが押圧される。力点31bが押圧されると、図2に二点鎖線で示すように、アーム部31は支点31aを中心に揺動して、このアーム部31の揺動によって作用点31cが移動することとなる。作用点31cが移動すると、回動部35が回動中心35aを中心として一方向(図2では時計回り方向)に回動することとなる。
【0050】
これにより、回動部35に取り付けられた傾動表示部36が傾動してケーシング21から立ち上がり、ロックシリンダ100におけるピストンロッド3が進退可能な開放状態にあることを視認可能に表示する。
【0051】
このとき、アーム部31における支点31aと作用点31cとの間の距離は、支点31aと力点31bとの間の距離と比較して大きく設定される。また、回動部35の回動中心35aと傾動表示部36との間の距離は、回動部35の回動中心35aとアーム部31の作用点31cとの間の距離と比較して大きく設定される。よって、アーム部31における作用点31cの移動量を、リンク比によってプランジャ22のストローク量に対して大きくでき、また、傾動表示部36の傾動量(傾動表示部36の回転角)を、リンク比によってアーム部31の揺動量(アーム部31の回転角)に対して大きくできる。したがって、プランジャ22のストローク量が微少な場合であっても、傾動表示部36の傾動量を大きくして、プランジャ22の一端22aが突出した状態に切り換えられてピストンロッド3が進退可能な開放状態にあることを視認可能に表示することができる。
【0052】
ロックシリンダ100を、ピストンロッド3が進退可能な開放状態から、ピストンロッド3が進退不能な固定状態に戻す場合は、作業者によってレバー34が操作される。
【0053】
作業者がレバー34をケーシング21から離間する方向に操作すると、アーム部31は、支点31aを中心として回転して、力点31bがプランジャ22の一端22aを押圧する。これにより、プランジャ22の一端22aはケーシング21に収納されることとなる。これにより、切換バルブ20は、ロッド側流体室11とピストン側流体室12との間の作動油の流れを遮断するように切り換えられ、ピストンロッド3が進退不能な固定状態に切り換えられる。
【0054】
このとき、傾動表示部36は、レバー34の操作によるアーム部31の揺動が回動部35に伝達されることによって、ケーシング21から立ち上がっていた状態から、ケーシング21に沿った状態に切り換えられる。これにより、傾動表示部36は、ピストンロッド3が進退不能な固定状態に切り換えられたことを、視認可能に表示することができる。
【0055】
以上の実施の形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0056】
プランジャ22の一端22aがケーシング21に対して突出すると、プランジャ22のストロークが、ケーシング21に支点31aが支持されるアーム部31の力点31bに作用してアーム部31が揺動する。アーム部31が揺動すると、ケーシング21に回動中心35aが支持される回動部35が回動し、回動部35の回動に伴って傾動表示部36が傾動することで、切換状態が視認可能に表示されることとなる。
【0057】
このとき、アーム部31における支点31aと作用点31cとの間の距離は、支点31aと力点31bとの間の距離と比較して大きく設定されるため、リンク比によってプランジャ22のストローク量に対する作用点31cの移動量が大きくなる。また、回動部35の回動中心35aと傾動表示部36との間の距離は、回動中心35aとアーム部31の作用点31cとの間の距離と比較して大きく設定されるため、リンク比によってプランジャ22のストローク量に対する傾動表示部36の傾動量が大きくなる。したがって、プランジャ22のストローク量が微小な場合であっても、切換バルブ20の切換状態を視認可能とすることができる。
【0058】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【0059】
例えば、上述した切換表示装置30は、切換バルブ20における切換状態を視認可能に表示するだけでなく、本体部に収納された状態と本体部から突出した状態に切換可能な切換部であれば、どのようなものであっても、その切換状態の機械的な表示に用いることができる。
【0060】
また、上述した切換バルブ20は、ロックシリンダ100だけでなく、どのような油圧機器においても、作動油の流れの連通と遮断とを切り換えるのに用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、ロックシリンダにおける切換バルブの切換状態を視認可能に表示するだけでなく、本体部に収納された状態と本体部から突出した状態に切換可能な切換部の切換状態を機械的に表示する切換表示装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
100 ロックシリンダ
1 シリンダ
2 ピストン
3 ピストンロッド
11 ロッド側流体室
12 ピストン側流体室
20 切換バルブ
21 ケーシング
22 プランジャ
30 切換表示装置
31 アーム部
31a 支点
31b 力点
31c 作用点
34 レバー
35 回動部
35a 回動中心
36 傾動表示部
40 リミットスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部に収納された状態と、前記本体部から突出した状態と、に切り換え可能な切換部の切換状態を表示する切換表示装置であって、
前記本体部に支点が支持され、前記切換部の突出によって力点が押圧されて揺動するアーム部と、
前記本体部に回動自在に回動中心が支持され、前記アーム部の作用点に連結されて当該アーム部の揺動によって回動する回動部と、
前記回動部に取り付けられ、前記回動部の回動によって角度が変化する傾動表示部と、を備え、
前記回動部の前記回動中心と前記傾動表示部との間の距離は、前記回動部の前記回動中心と前記アーム部の作用点との間の距離と比較して大きく設定されることを特徴とする切換表示装置。
【請求項2】
前記アーム部における前記支点と前記作用点との間の距離は、前記支点と前記力点との間の距離と比較して大きく設定されることを特徴とする請求項1に記載の切換表示装置。
【請求項3】
前記アーム部には、外部から手動で操作可能なレバーが設けられ、
前記レバーの操作によって、前記本体部に収納された状態と前記本体部から突出した状態とに前記切換部を切り換え可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の切換表示装置。
【請求項4】
前記傾動表示部は、前記本体部に収納された状態と前記本体部から突出した状態とのいずれかに前記切換部が切り換えられた場合に、前記本体部に対して立ちあがるフラッグであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の切換表示装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載の切換表示装置を用いた切換バルブであって、
前記切換部は、その進退によって内部の作動流体の連通と遮断とを切換可能なプランジャであり、
前記本体部は、前記プランジャを収装するケーシングであることを特徴とする切換バルブ。
【請求項6】
前記プランジャは、一端が前記アーム部を押圧可能に設けられ、他端が前記ケーシングから突出して設けられ、
前記プランジャの前記他端と当接して、前記プランジャの進退によって切り換えられるリミットスイッチを更に備えることを特徴とする請求項5に記載の切換バルブ。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の切換バルブを用いたロックシリンダであって、
作動流体が封入されるシリンダと、
前記シリンダに摺動自在に収装され、前記シリンダの内部にロッド側流体室とピストン側流体室とを画成するピストンと、
前記ピストンに取り付けられ、当該ピストンの摺動によって前記シリンダに対して進退可能なピストンロッドと、を備え、
前記切換バルブは、前記プランジャの進退によって前記ロッド側流体室と前記ピストン側流体室との間の作動流体の連通と遮断とを切り換え可能であり、前記シリンダと前記ピストンロッドとの間に所定の荷重が作用した場合には、前記ロッド側流体室と前記ピストン側流体室との間の作動流体を連通状態に切り換えることを特徴とするロックシリンダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−207731(P2012−207731A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74415(P2011−74415)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(304039065)カヤバ システム マシナリー株式会社 (185)
【Fターム(参考)】