説明

切断用定盤

【課題】被切断材を溶融しながら切断する際に用いられ、フラットバーを平行に立設し、フラットバー上端部には、該上端部を溶損から保護するために保護カバーを取着してなる切断用定盤において、定盤下に砂利を敷設したり、搬出機を設置することなく、きわめて簡単な構成でもって、切断時に発生するノロを受けることができるようにする。
【解決手段】フラットバー上端部に一定間隔で取着される保護カバー3は、上下方向の中央に左右両側方に突出するノロ受け6を設け、切断時に発生するノロを受けるようにする。保護カバー3はまた、上側部が上端に向かって先細りの楔状をなし、熱源が保護カバー3に当たっても該保護カバー3に案内されて逃げ、跳ね返って被切断材を損傷することがないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ切断トーチ、レーザ切断トーチ等を用いて被切断材を切断する際に用いる切断用定盤に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の切断用定盤は一般に、架台上に複数のフラットバーを平行に立設した構成を有するか、或いはフラットバーを縦横に格子状に立設した構成を有し、被切断材の切断時には、定盤上に載せた被切断材に対し、トーチを定盤の長手方向に移動させてプラズマアーク或いはレーザビームを噴射ないし照射し、被切断材を溶融しながら切断するようになっており、切断時には溶融物のノロが大量に発生する。
【0003】
発生したノロは床に落下して滞積するが、冷えて固まってしまうと、除去するのが容易でない。
【0004】
ノロ対策としては、定盤下の床上に砂利を敷き詰める方法(特許文献1)、多数のフラットを無端状に連結したクローラ形態の搬出機を定盤下に配置して落下したノロを搬出するか、或いはバケットを床面上に移動させてノロを回収する方法(特許文献2)などが知られる。
【0005】
上述する被切断材の切断時においては、フラットバー上端部が溶損しがちである。この対策としてフラットバー上端部にキャップ状の保護カバーを被せ、保護カバーが溶損したときには保護カバーを取換え、フラットバー先端部を溶損から保護するようにしたものも知られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−134573号
【特許文献2】特許第4040154号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述する従来のノロ対策は、手間がかかるか、搬出するための設備が必要である。
本発明は、上記の問題を解消することができるノロ対策用の切断用定盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係わる発明は、ガス、プラズマ、レーザ等の熱源を用いて被切断材を切断する際に用いられ、被切断材が載せられる切断用定盤であって、フラットバーを平行に立設するか、或いはフラットバーを縦横に立設した構成を有し、前記フラットバーのうち、少なくとも溶損し易い箇所のフラットバー上端部に、該フラットバー上端部を溶損から保護するための保護カバーを取外し可能に取着してなる切断用定盤において、前記保護カバーには、切断時に発生するノロを受けるノロ受けを側方に突設したことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係わる発明は、請求項1に係わる発明において、保護カバーは長手方向に複数に分割され、個々に取外し可能であることを特徴とし、
請求項3に係わる発明は、請求項1又は2に係わる発明において、保護カバーは少なくとも上端部が上端に向かって先細りの楔状に形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係わる発明によると、フラットバー先端部に取着される保護カバーにノロ受けを設けるだけのきわめて簡単な構成でもって、切断時に発生するノロを受けることができ、従来のノロ対策のように、定盤下に砂利を敷設したり、搬出機を設置する必要がない。なお、ノロ受けに溜まるノロは、保護カバー交換時に保護カバーと共に回収される。
【0011】
請求項2に係わる発明によると、溶損が激しい箇所の保護カバーのみを取換えることができるため(定盤の両側部分、とりわけ両端部では溶損やノロの発生もないか、ほとんどないため保護カバーを設ける必要もないかほとんどなく、保護カバーを設けるにしてもその取換えの必要がないか、ほとんどなく、取換えが行われなくても支障がない)、一体ものの保護カバー全体を取換えるのと比べ、経済的で、取換作業も容易である。また保護カバーの取換えは、被切断材を一旦交換領域外の保護カバー上に移動させてから行うことが可能で、切断作業を中断させることなく行うことができる。
【0012】
請求項3に係わる発明によると、ガス、プラズマアーク、レーザビーム等の熱源は保護カバーに当たっても、該保護カバーに案内されて逃げるようになり、跳ね返って被切断材を損傷するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】切断用定盤の一例の概略構成を示す平面図。
【図2】保護カバーを取着したフラットバーの概略構成を示す側面図。
【図3】図3の要部の詳細を示す図。
【図4】図3のA−A線拡大断面図。
【図5】保護カバーの変形態様の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態の切断用定盤について図面により説明する。
図1に示す切断用定盤1は、例えば鋳鉄製或いは鋼製のフラットバー2を平行に立設してなるもので、フラットバー上端部には図2に示すように一定間隔で保護カバー3が被せられ、取外し可能に取着されている。
【0015】
図3は、フラットバー上端部に取着される保護カバー3の詳細を示すものであり、図4は図3のA−A線における断面を示すもので、該保護カバー3はフラットバー2と同材質である、例えば鋳鉄製或いは鋼製で、下側部にフラットバー上端部に差込まれる差込溝4を有し、上側部は上端に向かって先細り状の楔状をなしている。そして上下方向の中央に左右両側に突出するノロ受け6を溶接にて固着するか、或いは一体形成している。このノロ受け6は図示する例では側方に突出するだけの形態をなしているが、ノロを受ける機能を有していれば、どのような形態をなしていてもよい。図5は、ノロ受けの別の例を示すもので、該ノロ受け8は断面が上向きの鉤状をなし、受けたノロがこぼれ落ちないようにしてある。
【0016】
保護カバー3のフラットバー2への取付けは、保護カバー3をフラットバー上端部に差込んだのち、ボルト9を保護カバー3に通し、フラットバー上端部に捩じ込むことにより行われる(図4)。
【0017】
前述する保護カバー3は、切断用定盤1の全域に設けられるが、溶損すなわちノロが発生し易い箇所、例えば定盤1の左右両側部分或いは左右両端部を除く箇所の中央部分にのみ設けてもよい。
【0018】
前述する好ましい実施形態の保護カバー3はフラットバー上端部の長手方向に一定間隔で取着され、各保護カバー3は上側部が楔状に形成されているが、これらは必須の構成ではなく、保護カバー3に前述のノロ受け6、8を設けるだけで、切断時のノロを受け、本発明の所期の目的を達成することができる。
【0019】
前述の実施形態では、切断用定盤1は、フラットバー2を平行に立設して構成されているが、フラットバーを縦横に格子状に立設した構成の既存のものにおいても、ノロ受け6、8を備えた保護カバー3が所要のフラットバーに同様にして取付けられる。
【符号の説明】
【0020】
1・・切断用定盤
2・・フラットバー
3・・保護カバー
4・・差込溝
6、8・・ノロ受け
9・・ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス、プラズマ、レーザ等の熱源を用いて被切断材を切断する際に用いられ、被切断材が載せられる切断用定盤であって、フラットバーを平行に立設するか、或いはフラットバーを縦横に立設した構成を有し、前記フラットバーのうち、少なくとも溶損し易い箇所のフラットバー上端部に、該フラットバー上端部を溶損から保護するための保護カバーを取外し可能に取着してなる切断用定盤において、前記保護カバーには、切断時に発生するノロを受けるノロ受けを側方に突設したことを特徴とする切断用定盤。
【請求項2】
前記保護カバーは長手方向に複数に分割され、個々に取外し可能であることを特徴とする請求項1記載の切断用定盤。
【請求項3】
前記保護カバーは少なくとも上端部が上端に向かって先細りの楔状に形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の切断用定盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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