説明

列車保安制御システム

【課題】進路設定完了後の進路に列車が接近中に列車ダイヤの乱れ等で当該進路を復位したときに、接近している列車の停止が保証された位置又は停止した位置が進路内方であっても、その位置より前方の進路鎖錠を解除して、他の進路設定を可能として列車運行の乱れの拡大を抑える。
【解決手段】車上装置2は現在の列車位置と列車停止目標位置及び速度制限情報又は列車の現在速度により、進路の終端で列車を停止させるための速度パターンである列車保安制御曲線を作成して地上に送信する。地上装置4の進路鎖錠処理部16は車上装置2から送信された列車保安制御曲線から列車保安制御曲線を取得して列車保安制御曲線範囲を算出し、算出した列車保安制御曲線範囲と安全余裕距離により進路鎖錠範囲を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、列車の安全な運行を管理する列車保安制御システム、特に列車の運行の乱れの拡大を抑制することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
列車が信号機や車内信号などの進行現示によって、その進路に進入した後、その進路に関係する転てつ器を含む軌道回路を通過し終わるまで、その転てつ器を転換できないように鎖錠する進路鎖錠の解錠は、列車の進路内方進入前の接近鎖錠の解錠による進路全体の解錠か、特許文献1に示すように、列車の進路内方進入後の列車後方区分の解錠のいずれかの方法によるものであった。また、進路鎖錠は一つの進路で1区分ではなく、運転要件等に基づいて1つの進路を複数に区分される場合が多い。この区分された進路鎖錠は、列車の後方に隣接する進路鎖錠区分若しくは接近鎖錠が解錠しない限り解錠されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
列車のダイヤ乱れや線路状態の異常などで、列車進入番線や進路設定の順序を急遽変更するときに、設定済みの進路を列車が接近中に復位したけれども列車が当該進路外方に停止できないで進路内方の途中で停止する場合がある。このように接近している列車が進路内方の途中で停止すると、その列車の前方の進路鎖錠は、その列車が移動しない限り解錠されず、その進路鎖錠と競合する進路が設定できない状態になる。また、進路内方に停止した列車を、進路を確保しないで移動させるような特殊な取扱いをする必要があり、保安レベルを低下させるとともに列車の運行が大きく乱れてしまう。
【0004】
この発明は、このような問題を解消し、進路設定完了後の進路に列車が接近中に列車ダイヤの乱れ等で当該進路を復位したときに、接近している列車の停止が保証された位置又は停止した位置が進路内方であっても、その位置より前方の進路鎖錠を解除して、他の進路設定を可能として列車運行の乱れの拡大を抑えることができる列車保安制御システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の列車保安制御システムは、列車に搭載された車上装置と駅における列車の運行を管理する地上装置とを有し、前記車上装置は、現在の列車位置と前記地上装置から送られた列車停止目標位置及び速度制限情報又は列車の現在速度により、進路の終端で列車を停止させるための速度パターンである列車保安制御曲線を作成する列車保安制御曲線作成部と、該列車保安制御曲線作成部で作成した列車保安制御曲線と列車固有情報を含む情報を前記地上装置に送信する送受信部を有し、前記地上装置は、前記車上装置と情報を授受する送受信装置と、該送受信装置で受信した情報から列車保安制御曲線を取得して列車保安制御曲線範囲を算出し、算出した列車保安制御曲線範囲と安全余裕距離により進路鎖錠範囲を決定する進路鎖錠処理部を有することを特徴とする。
【0006】
前記車上装置の列車保安制御曲線作成部は、進路設定が完了して該当する進路に対する列車保安制御曲線を作成した後、予定が急遽変更されて該当する進路の設定を取り消すことを示す情報を前記送受信部で受信すると、進路設定が取り消された進路終端までの列車保安制御曲線を進路設定が取り消された進路の手前までの列車保安制御曲線に更新し、列車の現在位置が更新した列車保安制御曲線のブレーキ制御開始タイミング前の位置にあり、列車速度が許容速度以下であるときは、更新した列車保安制御曲線を選択し、列車の現在位置が更新した列車保安制御曲線のブレーキ制御開始タイミングより後の位置にあり、列車速度が更新した列車保安制御曲線の列車位置に対応した許容速度より大きいときは、その時点の列車位置と列車速度からブレーキ制御を開始して列車が保証できる停止位置を算出して更新した列車保安制御曲線を新たな列車保安制御曲線に更新することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、現在の列車位置と列車停止目標位置及び速度制限情報又は列車の現在速度により、進路の終端で列車を停止させるための速度パターンである列車保安制御曲線を作成し、作成した列車保安制御曲線により列車保安制御曲線範囲を算出し、算出した列車保安制御曲線範囲に基づいて進路鎖錠範囲を決定するから、列車保安制御曲線によって保証された列車停止位置から先の進路鎖錠を解錠することができる。
【0008】
また、進路設定が完了して該当する進路に対する列車保安制御曲線を作成した後、予定が急遽変更されて該当する進路の設定を取り消すとき、進路設定が取り消された進路終端までの列車保安制御曲線を進路設定が取り消された進路の手前までの列車保安制御曲線に更新し、列車の現在位置が更新した列車保安制御曲線のブレーキ制御開始タイミング前の位置にあり、列車速度が許容速度以下であるときは、更新した列車保安制御曲線を選択し、列車の現在位置が更新した列車保安制御曲線のブレーキ制御開始タイミングより後の位置にあり、列車速度が更新した列車保安制御曲線の列車位置に対応した許容速度より大きいときは、その時点の列車位置と列車速度からブレーキ制御を開始して列車が保証できる停止位置を算出して更新した列車保安制御曲線を新たな列車保安制御曲線に更新して進路鎖錠範囲を決定するから、列車ダイヤの乱れや線路状態の異常などで、列車進入番線や進路設定の順序を急遽変更する場合ときに、列車保安制御曲線によって保証された列車停止位置から先の進路鎖錠を解錠することができ、早期の列車運行整理を可能として列車運行乱れの拡大を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の列車保安制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】車上装置の構成を示すブロック図である。
【図3】進路鎖錠範囲を決定するときの動作を示す模式図で有る。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、この発明の列車保安制御システムの構成を示すブロック図である。図に示すように、列車保安制御システムは、列車1に搭載された車上装置2と駅3における列車1の運行を管理する地上装置4を有する。車上装置2は、図2のブロック図に示すように、送受信部5と制御情報記憶部6と列車保安制御曲線作成部7とブレーキ制御部8と列車位置検出部9及び速度検出部10を有する。送受信部5は、地上装置4との間の情報伝送手段、例えばアンテナ11を介して地上装置4との間で各種情報を授受して処理する。制御情報記憶部6は列車番号や列車固有情報を記憶するとともに送受信部5から出力される地上情報を記憶する。列車位置検出部9は制御情報記憶部6に記憶した位置補正点と速度発電機12からの信号又はGPS受信機(不図示)から逐次出力される緯度・経度情報により列車1が走行している位置を検出する。速度検出部10は速度発電機12からの情報により列車の速度を検出する。
【0011】
列車保安制御曲線作成部7は、列車位置検出部9から出力される現在の列車位置と地上装置4から送られて制御情報記憶部6に記憶した列車停止目標位置及び速度制限情報又は列車1の現在速度により列車保安制御曲線(ブレーキパターン)を作成し、予定が急遽変更されて駅3の場内進路設定が取り消されたときに列車保安制御曲線を更新し、ブレーキ制御部8に出力するとともに送受信部5に出力する。送受信部5は入力した列車保安制御曲線と列車固有情報を含む信号を地上装置4に送信する。ブレーキ制御部8は、列車保安制御曲線作成部7で作成した列車保安制御曲線と列車位置検出部9から出力される現在の列車位置と速度検出部10から出力される列車速度により列車1の速度を制御する。
【0012】
地上装置4は、伝送路13を介して接続された連動装置14と送受信装置15及び進路鎖錠処理部16を有する。連動装置14は、駅3に設けられた軌道回路や信号機及び転てつ器等の現場機器の動作状態を取り込み進路鎖錠処理部16に送り、進路鎖錠処理部16から送られる制御情報により駅3の信号機や転てつ器の動作を制御する。送受信装置15はアンテナ17を介してATC信号等の情報を車上装置2に送信し、車上装置2から送られる情報を受信して進路鎖錠処理部16に送る。
【0013】
進路鎖錠処理部16は、伝送路13と各種情報を授受する情報伝送部18と列車保安制御曲線範囲算出部19及び進路鎖錠範囲決定部20を有する。列車保安制御曲線範囲算出部19は送受信装置15から情報伝送部18に送られた情報に含まれる列車保安制御曲線により列車保安制御曲線範囲を算出する。進路鎖錠範囲決定部20は列車保安制御曲線範囲算出部19で算出した列車保安制御曲線範囲と安全余裕距離L0により次に進路鎖錠する最前方の位置までを進路鎖錠すべき範囲と決定して情報伝送部18から連動装置14に送る。
【0014】
この列車保安制御システムで進路鎖錠範囲を決定するときの動作を図3の模式図を参照して説明する。
【0015】
列車1が駅3に向かって走行しているとき、図3(a)に示すように、地上装置4の連動装置14で駅3の場内信号機1Rまでの進路鎖錠が設定され進路設定が完了し、場内進路が未設定のとき、送受信装置15はアンテナ17を介して進路設定完了範囲RL1を示す情報を列車1に送信する。列車1に搭載した車上装置2の送受信部5はアンテナ11を介して地上装置4の送受信装置15から送信している場内信号機1Rまでの進路設定が完了し、場内進路1Rが未設定であることを示す情報(進路設定完了範囲RL1を示す情報)を受信すると、受信した情報を処理して場内信号機1Rまでの進路設定が完了していることを示す情報を制御情報記憶部6に格納する。列車保安制御曲線作成部7は制御情報記憶部6に格納した場内信号機1Rまでの進路設定が完了していることを示す情報とあらかじめ制御情報記憶部6に記憶した速度制限情報及び列車位置検出部9から出力される現在の列車位置により進路設定が完了した進路、すなわち場内信号機1Rまでの進路の終端で列車1を停止させるための列車保安制御曲線(ブレーキパターン)BPaを作成し、作成した列車保安制御曲線BPaをブレーキ制御部8に出力するとともに作成した列車保安制御曲線BPaの制御範囲を示す情報(以下、列車保安制御曲線BPa範囲情報という)を送受信部5に出力する。ブレーキ制御部8は入力した列車保安制御曲線BPaと列車位置検出部9から出力される現在の列車位置と速度検出部10から出力される列車速度により列車1の速度を制御して列車1を走行させる。送受信部5は入力した列車保安制御曲線BPa範囲情報に制御情報記憶部6に記憶した列車固有情報を含めてアンテナ11から地上装置4に送信する。
【0016】
地上装置4の送受信装置15はアンテナ17を介して車上装置2から送信されている情報を受信すると、受信した情報を伝送路13から進路鎖錠処理部16に送る。進路鎖錠処理部16の情報伝送部18は送受信装置15から送られた列車保安制御曲線BPa範囲情報を列車保安制御曲線範囲算出部19に出力する。列車保安制御曲線範囲算出部19は入力した列車保安制御曲線BPa範囲情報に基づいて列車保安制御曲線範囲Lを算出し、算出した列車保安制御曲線範囲Lを進路鎖錠範囲決定部20に出力する。進路鎖錠範囲決定部20は入力した列車保安制御曲線範囲Lに基づいて、出発信号機1Rまでを進路鎖錠すべき範囲とあらためて決定して情報伝送部18から連動装置14に送る。連動装置14は進路鎖錠処理部16から送られた進路鎖錠すべき範囲に基づいて、図3(b)に示すように出発信号機1Rまでの進路鎖錠をあらためて設定する。
【0017】
次に場内進路1Rが設定され、出発信号機3Rまでの進路鎖錠が設定されて進路設定が完了すると、進路設定完了範囲RL2を示す情報を送受信装置15から車上装置2に送信する。車上装置2の列車保安制御曲線作成部7は、出発信号機3Rまでの進路鎖錠が完了したことを示す情報を入力すると、出発信号機3Rまでの列車保安制御曲線BPbを作成してブレーキ制御部8に出力し列車1の速度を制御させる。
【0018】
このように進路設定完了範囲RL2の進路設定が完了しているとき、予定が急遽変更されて連動装置14で場内信号機1Rから出発信号機3Rまでの進路設定を取り消すことになり、地上装置4の送受信装置15から場内信号機1Rから出発信号機3Rまでの進路設定を取り消すことを示す情報が車上装置2に送られると、車上装置2の列車保安制御曲線作成部7は、図3(c)に示すように、作成した出発信号機3Rの手前までの列車保安制御曲線BPbを場内信号機1Rの手前までの列車保安制御曲線BPaに更新する。そして列車保安制御曲線作成部7は列車1の現在位置が更新した列車保安制御曲線BPaのブレーキ制御開始タイミングBT前の位置にあり、列車1の速度が許容速度以下であるときは、更新した列車保安制御曲線BPaをブレーキ制御部8に出力するとともに更新した列車保安制御曲線BPa範囲情報を送受信部5に出力する。送受信部5は入力した列車保安制御曲線BPa範囲情報を地上装置4に送る。地上装置4の送受信装置15は受信した情報を進路鎖錠処理部16に送る。進路鎖錠処理部16は送られた列車保安制御曲線BPa範囲情報に基づいて列車保安制御曲線範囲Lを算出し、算出した列車保安制御曲線範囲Lが場内信号機1Rまでの場合は、場内信号機1Rまでを進路鎖錠すべき範囲とあらためて決定して連動装置14に送る。連動装置14は場内信号機1Rまでが進路鎖錠すべき範囲であることを示す情報が送られると場内信号機1Rまでを進路鎖錠範囲RL3として進路鎖錠し、場内信号機1Rから出発信号機3Rまでの進路鎖錠を直ちに解錠する。
【0019】
また、進路設定完了範囲RL2の進路設定が完了しているとき、予定が急遽変更されて連動装置14で場内信号機1Rから出発信号機3Rまでの進路設定を取り消すことになり、地上装置4の送受信装置15から場内信号機1Rから出発信号機3Rまでの進路設定を取り消すことを示す情報が車上装置2に送られて列車保安制御曲線作成部7で作成した出発信号機3Rの手前までの列車保安制御曲線BPbを場内信号機1Rの手前までの列車保安制御曲線BPaに更新したとき、図3(d)に示すように、列車1の現在位置が更新した列車保安制御曲線BPaのブレーキ制御開始タイミングBT後の位置にあり、列車1の速度が列車保安制御曲線BPaの列車位置に対応した許容速度以上のとき、列車1が保証できる停止位置を算出して列車保安制御曲線BPaを場内信号機1Rの第1内方軌道回路21Tの終端までの列車保安制御曲線BPcに更新する。列車保安制御曲線作成部7は更新した列車保安制御曲線BPcをブレーキ制御部8に出力するとともに更新した列車保安制御曲線BPc範囲情報を送受信部5に出力する。送受信部5は入力した列車保安制御曲線BPc範囲情報を地上装置4に送信する。地上装置4の送受信装置15は受信した情報を進路鎖錠処理部16に送る。進路鎖錠処理部16は送られた列車保安制御曲線BPc範囲情報に基づいて列車保安制御曲線範囲Lを算出し、算出した列車保安制御曲線範囲Lに基づいて場内信号機1Rの第1内方軌道回路21Tの終端までを進路鎖錠すべき範囲とあらためて決定して連動装置14に送る。連動装置14は場内信号機1Rの第1内方軌道回路21Tの終端までが進路鎖錠すべき範囲であることを示す情報が送られると場内信号機1Rの内方の軌道回路21Tの終端までを進路鎖錠範囲RL4として進路鎖錠し、場内信号機1Rの第1内方軌道回路21Tの終端から出発信号機3Rまでの進路鎖錠を直ちに解錠する。この解錠により出発信号機5から着点Eまでと場内信号機4Lから着点Bまでの進路設定が可能なり、列車1が停止する前に早期の列車運行整理を行うことができる。
【0020】
この進路鎖錠範囲RL4の終端で列車1が停止した後、場内進路1R若しくは場内信号機1Rの第1内方軌道回路21Tの終端から出発信号機3Rまでの進路設定がされると、車上装置2の列車保安制御曲線作成部7で新たに列車保安制御曲線を作成することにより列車1を走行させる。
【0021】
また、進路設定完了範囲RL2の進路設定が完了しているとき、予定が急遽変更されて連動装置14で場内信号機1Rから出発信号機3Rまでの進路設定を取り消すことになり、地上装置4の送受信装置15から場内信号機1Rから出発信号機3Rまでの進路設定を取り消すことを示す情報が車上装置2に送られて列車保安制御曲線作成部7で作成した出発信号機3Rの手前までの列車保安制御曲線BPbを場内信号機1Rの手前までの列車保安制御曲線BPaに更新したとき、図3(e)に示すように、列車1の現在位置が更新した列車保安制御曲線BPaのブレーキ制御開始タイミングBTより後の位置にあり、列車1の速度が列車保安制御曲線BPaの列車位置に対応した許容速度より大きいときは、その時点の列車位置と列車速度からブレーキ制御を開始して列車1が保証できる停止位置を算出して列車保安制御曲線BPaを列車保安制御曲線BPcに更新する。列車保安制御曲線作成部7は更新した列車保安制御曲線BPcをブレーキ制御部8に出力するとともに更新した列車保安制御曲線BPc範囲情報を送受信部5に出力する。送受信部5は入力した列車保安制御曲線BPc範囲情報を地上装置4に送信する。地上装置4の送受信装置15は受信した情報を進路鎖錠処理部16に出力する。進路鎖錠処理部16は入力した列車保安制御曲線BPc範囲情報に基づいて列車保安制御曲線範囲Lを算出し、算出した列車保安制御曲線範囲Lに基づいて場内信号機1Rの第2内方軌道回路22Tの終端までを進路鎖錠すべき範囲とあらためて決定して連動装置14に送る。連動装置14は場内信号機1Rの内方の軌道回路21Tの終端までが進路鎖錠すべき範囲であることを示す情報が送られると場内信号機1Rの第2内方軌道回路22Tの終端までを進路鎖錠範囲RL5として進路鎖錠し、場内信号機1Rの第2内方軌道回路22Tの終端から出発信号機3Rまでの進路鎖錠を直ちに解錠する。この解錠により場内信号機4Lから着点Bまでの進路設定が可能にすることができる。
【0022】
この進路鎖錠範囲RL5の終端で列車1が停止した後、場内進路1R若しくは場内信号機1Rの第2内方軌道回路22Tの終端から出発信号機3Rまでの進路が設定されると、車上装置2の列車保安制御曲線作成部7で新たに列車保安制御曲線を作成することにより列車1を走行させる。
【符号の説明】
【0023】
1;列車、2;車上装置、3;駅、4;地上装置、5;送受信部、
6;制御情報記憶部、7;列車保安制御曲線作成部、8;ブレーキ制御部、
9;列車位置検出部、10;速度検出部、11;アンテナ、12;速度発電機、
13;伝送路、14;連動装置、15;送受信装置、16;進路鎖錠処理部、
17;アンテナ、18;情報伝送部、19;列車保安制御曲線範囲算出部、
20;進路鎖錠範囲決定部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】特開2000−25616

【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車に搭載された車上装置と駅における列車の運行を管理する地上装置とを有し、
前記車上装置は、現在の列車位置と前記地上装置から送られた列車停止目標位置及び速度制限情報又は列車の現在速度により、進路の終端で列車を停止させるための速度パターンである列車保安制御曲線を作成する列車保安制御曲線作成部と、該列車保安制御曲線作成部で作成した列車保安制御曲線と列車固有情報を含む情報を前記地上装置に送信する送受信部を有し、
前記地上装置は、前記車上装置と情報を授受する送受信装置と、該送受信装置で受信した情報から列車保安制御曲線を取得して列車保安制御曲線範囲を算出し、算出した列車保安制御曲線範囲と安全余裕距離により進路鎖錠範囲を決定する進路鎖錠処理部を有することを特徴とする列車保安制御システム。
【請求項2】
前記車上装置の列車保安制御曲線作成部は、進路設定が完了して該当する進路に対する列車保安制御曲線を作成した後、予定が急遽変更されて該当する進路の設定を取り消すことを示す情報を前記送受信部で受信すると、進路設定が取り消された進路終端までの列車保安制御曲線を進路設定が取り消された進路の手前までの列車保安制御曲線に更新し、
列車の現在位置が更新した列車保安制御曲線のブレーキ制御開始タイミング前の位置にあり、列車速度が許容速度以下であるときは、更新した列車保安制御曲線を選択し、
列車の現在位置が更新した列車保安制御曲線のブレーキ制御開始タイミングより後の位置にあり、列車速度が更新した列車保安制御曲線の列車位置に対応した許容速度より大きいときは、その時点の列車位置と列車速度からブレーキ制御を開始して列車が保証できる停止位置を算出して更新した列車保安制御曲線を新たな列車保安制御曲線に更新することを特徴とする請求項1記載の列車保安制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−73641(P2011−73641A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229520(P2009−229520)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(000001292)株式会社京三製作所 (324)
【Fターム(参考)】