説明

制御された電気抵抗率を備えた耐プラズマ性セラミック

【課題】腐食性/浸食性プラズマを用いる半導体処理条件で耐食性/耐浸食性のある特殊なセラミック材料を提供する。
【解決手段】酸化イットリウムが約55〜80モル%、酸化ジルコニウムが約5〜25モル%、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、又はこれらの組み合わせが約5〜25モル%を含む固溶体を含む表面を有するセラミック含有物品である。特殊なセラミック材料は修正されて、制御された電気抵抗率を与えて、プラズマアーク放電の可能性を低減する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、本出願の共通の発明者の要件を有する一連の出願に関連している。下に挙げた出願は全て、酸化イットリウム含有セラミックを用いて、半導体処理装置に有用な耐プラズマ性表面を提供することに関連している。関連出願としては、2007年4月27日出願で現在放棄されたサンら(Sun et al.)による米国特許出願第11/796,210号、「ハロゲン含有プラズマに露出される半導体処理装置の浸食速度を減じる方法(Method of Reducing The Erosion Rate Of Semiconductor Processing Apparatus Exposed To Halogen−Containing Plasmas)」、2007年4月27日出願で2010年4月13日に米国特許第7,696,117号として発行されたサンら(Sun et al.)による米国特許出願第11/796,211号、「ハロゲン含有プラズマに露出される半導体処理装置の浸食速度を減じる方法及び装置(Method And Apparatus Which Rece The Erosion Rate Of Semiconductor Processing Apparatus Exposed To Halogen−Containing Plasmas)」、2004年7月22日出願で現在係属中のサンら(Sun et al.)による米国特許出願第10/898,113号、「半導体装置を保護するクリーンな緻密酸化イットリウム皮膜(Clean Dense Yttrium Oxide Coating Protecting Semiconductor Apparatus)」、2004年8月13日出願で2009年1月20日に米国特許第7,479,304号として発行されたサンら(Sun et al.)による米国特許出願第10/918,232号、「固体酸化イットリウム含有基板から製造されたガス分配板(Gas Distribution Plate Fabricated From A Solid Yttrium Oxide−Comprising Substrate)」及び2002年2月14日出願で、2004年8月17日米国特許第6,776,873号として発行された、サンら(Sun et al.)による米国特許出願第10/075、967号、「半導体IC処理真空チャンバ用の酸化イットリウムベースの表面皮膜(Yttrium Oxide Based Surface Coating For Semiconductor IC Processing Vacuum Chambers)」が挙げられる。上に挙げた出願の分割及び継続出願である、出願済みの更なる関連出願としては、現在放棄された、米国特許出願第10/898,113号の分割出願であるワンら(Wang et al.)による米国特許出願第11/595,484号、「III族金属を含む酸化物又はフッ化物の表面から汚染物質を除去するのに用いるクリーニング方法(Cleaning Method Used In Removing Contaminants From The Surface Of An Oxide or Fluoride Comprising a Group III Metal)」及び現在係属中で、米国特許出願第10/918,232号の分割出願であるワンら(Wang et al.)による米国特許出願第11/592,905号、「固体酸化イットリウム含有基板から汚染物質を除去するのに用いるクリーニング方法(Cleaning Method Used In Removing Contaminants From A Solid Yttrium Oxide−Containing Substrate)が挙げられる。これらの特許及び出願の主題は全て引用により本明細書に一体化される。
【背景】
【0002】
(分野)
本発明の実施形態は、半導体処理装置に存在する種類のプラズマに極めて抵抗性のある固溶体セラミックを主に含む特定の酸化イットリウム含有セラミックに関する。
【0003】
(背景技術)
この節には、本発明の開示された実施形態に関連する背景の主題を記載する。この節に明白か暗黙かのいずれかにより述べられた背景技術が、法的な先行技術を構成することは意図されていない。
【0004】
耐食性(耐浸食性を含む)は、腐食環境が存在する半導体処理チャンバに用いられる装置コンポーネント及びライナにとって重要な特性である。腐食性プラズマは、プラズマエンハンスド化学蒸着(PECVD)及び物理蒸着(PVD)をはじめとする半導体処理環境の大半に存在しているが、最も腐食性のプラズマ環境は、処理装置のクリーニングに用いられるもの、及び半導体基板のエッチングに用いられるものである。これは、高エネルギープラズマが存在し、その環境に存在するコンポーネントの表面で作用する化学反応性と組み合わさる場合に特に当てはまる。プラズマがなくても、腐食性のガスが処理装置表面と接触する時、装置コンポーネント表面又は処理チャンバライナ表面の減少した化学反応性は、重要な特性である。
【0005】
電子装置及びマイクロ−エレクトロ−メカニカルシステム(MEMS)を製造するのに用いられる処理チャンバ内に存在するプロセスチャンバライナ及びコンポーネント装置は、アルミニウム及びアルミニウム合金から構築されることが多い。プロセスチャンバ及びコンポーネント装置(チャンバ内に存在する)の表面は、陽極酸化されて、腐食性環境からのある程度の保護を与えられることが多い。しかしながら、陽極酸化の完全性は、アルミニウム又はアルミニウム合金内の不純物により劣化して、腐食が早期に生じ始め、保護皮膜の寿命が短くなる。酸化アルミニウムの耐プラズマ性は、他のセラミック材料と比較すると、好ましいものではない。その結果、様々な組成のセラミック皮膜が、上述した酸化アルミニウムの代わりに用いられてきた。場合によっては、陽極酸化層の表面全体に用いられて、下にあるアルミニウムベースの材料の保護が改善されてきた。
【0006】
酸化イットリウムは、半導体装置の製造に用いられる種類のハロゲン含有プラズマに露出されるアルミニウム及びアルミニウム合金の保護においてかなり有望なことが示されているセラミック材料である。酸化イットリウム皮膜は、高純度アルミニウム合金プロセスチャンバ表面の陽極酸化表面又はプロセスコンポーネント表面に用いられ、適用されて、良好な腐食保護を行ってきた(例えば、上述した米国特許第6,777,873号(サンら(Sun et al.))。保護皮膜は、一例として、溶射皮膜形成、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)等の方法を用いて適用される。
【0007】
Al又はAlとYのフィルムは、処理チャンバの内壁、及び高耐食性及び絶縁特性を必要とするチャンバ内の部材の露出表面に形成されてきた。一例の用途において、チャンバの母材は、セラミック材料(Al、SiO、AIN等)、アルミニウム、ステンレス鋼、或いは他の金属又は金属合金であり、母材の上に溶射膜がある。膜は、Y等の周期表のIII−B族元素の化合物で作製されている。膜は、AlO3とYを実質的に含む。イットリウム−アルミニウム−ガーネット(YAG)の溶射膜についても既に述べられている。溶射膜の厚さは、例えば、50μm〜300μmである。
【概要】
【0008】
ハロゲン含有プラズマを用いる半導体処理条件下で耐食性のある特殊な焼結セラミック材料が開発されている。この特殊な材料は修正されて、半導体処理装置に以前用いられていた焼結セラミック材料に比べて、改善された耐プラズマ性及び適合した機械的特性を有している。焼結セラミック材料の電気的特性を調節して、材料の電気抵抗率特性(プラズマ処理チャンバに影響する)が、重要なチャンバコンポーネントの要件に適合するようにする。電気抵抗率特性要件には、これまでは、低い耐プラズマ性を示す材料のみが適合していた。本発明の特殊な材料(耐プラズマ性、機械的特性及び電気抵抗率特性の様々な組み合わせを提供する)は、以前から用いられている半導体処理装置のものと十分に同じである。同様の電気的特性の1つの利点は、半導体装置製造に現在用いられているプロセス手法又は一般処理条件を変える必要がないことである。
【0009】
半導体処理チャンバコンポーネントを製造するのに用いる特殊な焼結セラミック材料は、例えば、溶射/フレーム溶射又はプラズマ溶射、物理蒸着(特殊な焼結セラミック材料から構成されたターゲットからのスパッタリング等)又は化学蒸着を用いて、下にある材料に適用してもよい。変形として、焼結セラミック材料を用いて、例えば、これが、皮膜を用いるのに好ましい時は、鋳造プロセスを用いて固体成分を製造してもよい。
【0010】
当該焼結セラミック材料は、酸化イットリウムベースの固溶体を含む。一実施形態においては、焼結酸化イットリウム含有材料の電気抵抗率を変える。一例の実施形態の技術においては、他の酸化物を酸化イットリウムに添加し、混合物を焼結する。他の酸化物の正
イオンは、Y3+イオンとは異なる価数を有していて、Y価を形成し、電気抵抗率の減少を導く。かかる他の酸化物としては、CeO、TiO、ZrO、HfO、Nbが例示されるが、これらに限られるものではない。変形例の実施形態技術においては、他の酸化物を、酸化イットリウムに添加し、混合物を焼結する。他の酸化物の正イオンは、Y3+イオンと同じ価数を示すが、Y3+イオンとは大きく異なるイオン半径を有し
ている。前駆体混合物は還元雰囲気中で焼結される。その結果、O価数となって、同じく、電気抵抗率を減少する。Y3+イオンと同じ価数を示すが、大きく異なるイオン半径を有する酸化物としては、Nd、Sm、Sc、Yb、Er、Ho、Dyが例示されるが、これらに限られるものではない。
【0011】
イットリウム含有焼結セラミックについて典型的なものよりも、低い抵抗率を必要とする半導体処理チャンバにおける主要コンポーネントの1つは、静電チャックである。静電チャック設計者は、半導体処理条件下で、静電チャックの誘電性表面の抵抗率が、約10〜1011Ω・cmの範囲内にあって、静電チャックでのプラズマアーク放電の可能性を減じることを推奨している。この抵抗率範囲は、約10−9〜10−7S/mの範囲内の導電率に相当する。これは、例えば、導電率10−13S/mを示すバルクSiよりかなり低い抵抗率である。プラズマアーク放電が問題となる、リフトピン等の他の耐食性表面について、静電チャックに必要とされる範囲の抵抗率が有用である。プロセスチ
ャンバライナ等の耐食性表面については、抵抗率はこれより高く、約1014Ω・cmと高い、又はこれを超えるものであっても許容される。
【0012】
少なくとも1種類の固溶体は、電気的に修正された耐食性材料として有用な焼結セラミック材料の大部分のモル%を形成する。固溶体を形成するのに用いる酸化物が2種類ある時は、これらの酸化物は、一般的に、他の酸化物と組み合わせた酸化イットリウムを含み、一般的に、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ハフニウム、酸化ニオブ及びこれらの組み合わせからなる群より選択される。酸化スカンジウム、酸化ネオジム、酸化サマリウム、酸化イッテルビウム、酸化エルビウム及び酸化セリウム(又は他のランタノイド系列元素酸化物)等の他の酸化物の使用が、場合によっては許容されるものと考えられる。
【0013】
1種類以上の固溶体を形成するのに用いる3種類以上の酸化物がある時は、これらの酸化物は、一般的に、酸化イットリウムと、酸化ジルコニウムと、酸化ハフニウム、酸化スカンジウム、酸化ネオジム、酸化ニオブ、酸化サマリウム、酸化イッテルビウム、酸化エルビウム、酸化セリウム及びこれらの組み合わせからなる群より一般的に選択される少なくとも1種類の他の酸化物とを含む。他のランタノイド系列元素の使用も、特定の場合に置いては可能である。焼結セラミックは、一般的に、2相又は3相の固溶体多相を含む。少なくとも1つの固溶体相に加えて、化合物又は元素金属である他の相が焼結セラミック内にあってもよい。
【0014】
一例としてであり、限定されるものではないが、2種類の前駆体酸化物を利用する焼結セラミックに関して、実験によって、酸化イットリウムが約40モル%から100モル%未満の範囲にわたって存在し、酸化ジルコニウムが0モル%から約60モル%の範囲にわたって存在する固溶体を含む焼結セラミックが、室温で約10〜約1015Ω・cmの範囲の抵抗率を有する焼結酸化物を生成することが確認された。同じ範囲にわたる抵抗率は、酸化イットリウムが0モル%を超え、100モル%未満の範囲にわたって存在し、酸化セリウムが0モル%を超え、10モル%未満までの範囲にわたって存在する前駆体酸化物の組み合わせから得られるものと考えられる。約10〜約1011Ω・cmの範囲にわたる抵抗率も、酸化イットリウムが0モル%を超え、100モル%未満の範囲にわたって存在し、酸化ハフニウムが0モル%を超え、100モル%未満までの範囲にわたって存在する前駆体酸化物の組み合わせから得られるものと考えられる。約10〜約1011Ω・cmの範囲にわたる抵抗率を示す焼結セラミックも、酸化イットリウムが48モル%から100モル%未満の範囲にわたって存在し、酸化ニオブが0モル%を超え、約52モル%までの範囲にわたって存在する前駆体酸化物の組み合わせから得られるものと考えられる。
【0015】
一例としてであり、限定されるものではないが、2種類以上の前駆体酸化物を利用する焼結セラミックに関して、一実施形態において、焼結セラミックが固溶体を含む時、焼結セラミックは、約10〜約1015Ω・cmの範囲の抵抗率を示す。この焼結セラミック材料は、酸化イットリウムが約40モル%から100モル%未満の範囲で存在し、酸化ジルコニウムが0モル%を超え、約50モル%の範囲で存在し、酸化スカンジウムが、約0モル%を超え、100モル%未満までの範囲で存在する酸化物から形成されている。
【0016】
他の実施形態において、焼結セラミックが固溶体を含む時、焼結セラミックは、約10〜約1015Ω・cmの範囲の電気抵抗率を示す。この焼結セラミック材料は、酸化イットリウムが約40モル%から10モル%未満の範囲で存在し、酸化ジルコニウムが0モル%を超え、約50モル%の範囲で存在し、酸化ハフニウムが、約0モル%を超え、100モル%未満までの範囲で存在する酸化物から製造されている。
【0017】
更に他の実施形態において、焼結セラミックが固溶体を含む時、焼結セラミックは、約10〜約1015Ω・cmの範囲の抵抗率を示す。この焼結セラミック材料は、酸化イットリウムが約40モル%から100モル%未満の範囲で存在し、酸化ジルコニウムが0モル%から約45モル%の範囲で存在し、酸化ニオブが、約0モル%を超え、約80モル%までの範囲で存在する酸化物から製造されている。
【0018】
一実施形態において、焼結セラミック材料は、3相を含有している。すなわち、焼結セラミック材料の約60モル%から約90モル%を構成するY−ZrO−Nbを含む固溶体の第1の相と、焼結セラミック材料の約5モル%から約30モル%を構成するYNbOの固溶体の第2の相と、焼結セラミック材料の約1モル%から約10モル%を構成する元素の形態にあるNbの第3の相である。
【0019】
3相を含有する焼結セラミック材料の他の実施形態において、酸化イットリウムは、約60モル%から約75モル%の範囲で存在しており、酸化ジルコニウムは、約15モル%から約25モル%の範囲で存在しており、酸化ニオブは、約5モル%から約15モル%の範囲で存在している。
【0020】
上述した種類のY−ZrO−M材料から形成された焼結セラミック試験試料において、Mがスカンジウム、ハフニウム、ニオブ又はネオジムである実施形態において、CF/CHFプラズマに76時間露出した後の浸食速度は、0.16μm/時以下であることが示された。Mが、セリウム、サマリウム、エルビウム又は他のランタノイド系列の元素の時、同様の浸食速度が予測される。プラズマは、アプライドマテリアルズ社(Applied Materials,Inc.)より入手可能なイネーブラフォアトレンチエッチ(Enabler for Trench Etch)プラズマ処理チャンバで形成された。プラズマ電源は2000Wまでであり、プロセスチャンバ圧は10〜500ミリトルであり、基板温度は40℃であった。0.16μm/時以下のこの浸食速度は、純粋なYの浸食速度に相当する。このように、焼結セラミックの浸食速度は、低抵抗率焼結セラミックを提供するために焼結セラミックを修正することに影響されていない。
【0021】
上述したセラミック材料は、業界に公知の焼結技術を用いて、酸化物から形成された焼結セラミックであったが、他の実施形態において、上述した出発材料組成を用いて、塗膜技術により、これらに限られるものではないが、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、アルミナ、窒化アルミニウム及び石英をはじめとする様々な金属及びセラミック基板の表面に、セラミック皮膜を形成してもよい。かかる塗膜技術の一例としては、プラズマ溶射、溶射/フレーム溶射、酸化物を焼結することにより形成されるスパッタリングターゲットからの物理蒸着、化学蒸着が挙げられるが、これらに限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
上記の実施形態の理解を助けるために、上述した特定の実施形態を添付図面を参照してより詳細に説明する。しかしながら、添付図面は本発明の代表的な実施形態を例示するだけであり、本明細書に記載された本発明の範囲を限定するとは解釈されないことに留意すべきである。本発明は他の同様に有効な実施形態も含む。
【0023】
【図1】大気環境で印加電圧が1000Vであった場合の、様々な材料について、温度の関数としての電気抵抗率を示すグラフ100である。
【図2】Y−ZrO−Alの相平衡状態図である。この相平衡状態図は、いくつかある組成の中で特に、参照の目的で、本明細書で、相平衡状態図の領域「A」として特定される特殊な材料の組成を示している。タイプ「A」のセラミック材料は、ハロゲンプラズマによる浸食に対して良好な抵抗を示すセラミック組成物である。
【図3】Y−ZrO−Nbの相平衡状態図である。この相平衡状態図は、いくつかある組成の中で特に、参照の目的で、本明細書で、相平衡状態図の領域「B」として特定される特殊な材料の組成を示している。タイプ「B」のセラミック材料は、ハロゲンプラズマによる浸食に対して抵抗を示すばかりでなく、例えば、タイプ「A」のセラミック材料よりも低い制御された電気抵抗率も示すセラミック組成物である。
【図4】測定を、室温(約27℃)で大気環境にて行った場合の、様々な材料について、印加された電圧の関数としての電気抵抗率を示すグラフ400である。
【図5】CF及びCHFソースガスから生成されたプラズマに露出された様々な焼結セラミック材料について、純粋な酸化イットリウムの浸食速度に対して正規化された、平均の例示の浸食速度を示す棒グラフ500である。
【実施形態の詳細な説明】
【0024】
発明を実施するための最良の形態の前置きとして、本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いている単数形は、特に断りのない限り、複数も含むものとする。
【0025】
「約」という語を本明細書で用いる時、示された公称値が、正確に±10%以内であることを意味するものとする。
【0026】
本明細書に記載されているのは、ハロゲン含有プラズマを用いる半導体装置処理条件下で腐食に耐えるために開発された特殊なセラミック材料である。ある実施形態において、プラズマ耐食性を与えるために以前開発された同様のセラミック材料と比べると、この特殊な材料は変性されて、電気抵抗率を減じている。減じた電気抵抗率は、半導体処理チャンバ内の様々なコンポーネントでプラズマアーク放電が生じる可能性を減じるのに役立つ。限定されるものではないが、例えば、プラズマアーク放電がより問題となる静電チャックや基板リフトピンの表面が最も顕著である。以前は、コンポーネント又は少なくともコンポーネントの表面は、ドープされて電気的特性を与える窒化アルミニウム又は酸化アルミニウムから製造された。この材料は、所望の電気的特性を与えるが、腐食/浸食速度が比較的早く、特定のコンポーネントの有用な耐用年数が限定され、コンポーネント部品の修理や交換のために、よりダウンタイムが必要となる。
【0027】
更に、プラズマ処理半導体装置内のプロセスチャンバライナ及び機能コンポーネントとして用いる様々な材料の電気的特性が、プラズマの挙動に影響する。プラズマの挙動における変化が、プラズマ処理特性に影響し、この影響が大きくなると、他のプロセス変数を変更して、プラズマ挙動における変化に適合させる必要がある。装置製造についての処理変数を作り直すよりも、許容できる電気的特性を有する耐浸食性セラミック材料を開発する方が実際的である。許容できるプラズマ腐食/浸食特性を示すセラミック材料の一部のみを修正して、プラズマと接触するコンポーネントに有用な所望の範囲内の電気抵抗率特性を制御することができる。当業者が本発明の説明を読めば、酸化物の組み合わせを選択して、セラミック材料を形成する時、比較的一定の成功が得られる。
【0028】
便宜上、焼結セラミックを使用することにより、所望の電気的特性を有する許容できるハロゲンプラズマ耐食性/耐侵食性セラミック材料の開発を実施した。焼結セラミックは業界に周知の技術により製造した。他の実施形態において、同じ一般組成の許容できるハロゲンプラズマ耐食性/耐侵食性セラミック材料を、例えば、溶射/フレーム溶射又はプラズマ溶射を用いて、アルミニウム又はアルミニウム合金等の下にある材料の上に皮膜として適用してよい。変形において、焼結セラミック材料を用いてターゲットを製造し、これを用いて、下にある材料の上に、物理蒸着により、セラミック材料を適用してもよい。保護セラミック材料を適用すべき装置が、プロセスチャンバライナ等、大きい時はとりわけである。
【0029】
前述した通り、当該の焼結セラミック材料は、酸化イットリウムを含む。焼結イットリウム含有セラミック材料の抵抗率は変えてもよい。一例の技術では、少なくとも1種類の他の酸化物を酸化イットリウムに添加して、混合物を焼結する。少なくとも1種類の他の酸化物の正イオンは、Y3+イオンとは異なる価数を有していて、Y価を形成し、これは電気抵抗率の減少を導く。かかる酸化物としては、CeO、TiO、ZrO、HfO及びNbが例示されるが、これらに限られるものではない。他の例示の技術では、少なくとも1種類の他の酸化物を酸化イットリウムに添加し、混合物を還元雰囲気中で焼結する。しかしながら、少なくとも1種類の他の酸化物の正イオンは、Y3+イオンと同じ価数を示す。ただし、Y3+イオンとは大きく異なるイオン半径を有している。この結果、Oの価数となり、同じく電気抵抗率が減少する。Y3+イオンと同じ価数を示すが、大きく異なるイオン半径を有する酸化物としては、Nd、Sm、Sc、Yb、Er、Ho及びDyが例示されるが、これらに限られるものではない。
【0030】
数多くの例示の焼結セラミック材料がこれまで調査されてきた。下記の表に、作製され評価された焼結セラミック材料の一部の例を示す。これらの材料の評価は後述する。
(実施例)
【0031】
【表1】

【0032】
(実施例1)
図1に、本発明の例示の実施形態に従って作製したタイプA及びタイプBの材料をはじめとする様々なセラミック材料の電気抵抗率を例証するグラフを示す。抵抗率は軸104に、軸102に示す温度の関数として示されている。抵抗率は、ASTM D1829−66又はJIS C2141に従った標準試験条件を用いて、大気環境中1000Vで測定された。
【0033】
図1に示す曲線106は、表にサンプル番号4と記載されたNb含有焼結セラミック材料を表している。Nb含有焼結セラミック材料に関して、許容できる電気抵抗率値は、図3に示す相平衡状態図に例示される更なる組成でも得られることが予測される。焼結セラミック材料は3相を含有しており、第1の相固溶体はY−ZrO−Nbを含み、焼結セラミック材料の約60モル%〜約90モル%を構成し、YNbOの第2の相は、焼結セラミック材料の約5モル%〜約30モル%を構成し、元素の形態にあるNbの第3の相は、焼結セラミック材料の約1モル%〜約10モル%を構成している。この材料は、アーク放電を防ぐために抵抗率を低くする必要がある時に特に有用である。抵抗率は、室温で約1011Ω・cm未満、200℃で約10Ω・cm未満であり、典型的な半導体処理条件で10Ω・cmの範囲の抵抗率を示す。
【0034】
図1に示すNb含有焼結セラミック材料の一実施形態は、Nb−ZrO−Yと呼ばれる。図3を参照すると、相平衡状態図の1つの領域は「B」とされている。この記号は、焼結セラミック材料の固溶体組成が、約55モル%〜約80モル%の範囲の濃度でY、約5モル%〜約25モル%の範囲の濃度でZrO、及び約5モル%〜約25モル%の範囲の濃度でNb、HfO、Hd又はSc等の添加剤を含むことを示している。
【0035】
(実施例2)
図1に示す曲線108は、同じく表にサンプル番号1と記載された、本発明に従って作製された、HfO含有焼結セラミック材料を表している。このセラミック材料は、Nb含有セラミック材料よりも高い電気抵抗率を示すが、静電チャックや基板リフトピンに関して、アーク放電があまり重要でない場合に、半導体処理装置コンポーネントを製造するのに有用である。
【0036】
(実施例3)
図1に示す曲線110は、同じく表にサンプル2と記載された、本発明に従って作製された、Sc含有焼結セラミック材料を表している。この材料も、抵抗率要件が1011Ω・cmである用途に用いてもよい。
【0037】
(実施例4、比較例)
図1に示す曲線112は、図2の相平衡状態図に示されるY−ZrO−Al材料を表している。この材料は、制御された抵抗率セラミック材料に関して、比較例の目的でのみ記載されている。この焼結セラミック材料はY及びZrOから形成された固溶体と、Y及びAl酸化物から形成された化合物とを含む。代表的な焼結セラミック材料は、約60モル%〜約65モル%の範囲の濃度のY、約20モル%〜約25モル%の範囲の濃度のZrO、約10モル%〜約15モル%の範囲の濃度のAlから形成されている。図2の相平衡状態図の領域「A」により示されていて、図1に示すY−ZrO−Arについてのグラフにより表されている焼結セラミック材料の一実施形態は、c−Yが溶媒で、Zrが溶質の、立方イットリアタイプの結晶構造を有する約60モル%の固溶体、ZrOが溶媒で、Yが溶質の、ホタル石タイプの結晶構造を有する約2モル%の固溶体、及び約38モル%のYAM(YAl)化合物を含有する。
【0038】
(実施例5、比較例)
図1に示す曲線114は、表にサンプル番号3と記載された、Nd含有焼結セラミック材料を表している。この材料は、アーク放電を防ぐのに必要な要件に適合しておらず、本発明を形成する独特なセラミック材料の一部ではない比較例と考えられる。
【0039】
(実施例6、比較例)
図1の曲線116は、純粋なYの焼結セラミックについて観察された電気抵抗率特性を表す。この材料も比較例であり、基準として有用である。数多くの半導体装置コンポーネントが、純粋なYから製造されているからである。純粋なYの抵抗率の比較によって、本発明により得られる電気抵抗率に関して、非常に大きな改善が示される。
【0040】
同じく図1に示されている曲線120は、静電チャックを製造するのに一般的に用いられる種類のドープ窒化アルミニウムを表しており、曲線122は、同じく静電チャック及び低電気抵抗率を必要とする他の半導体処理装置を製造するのに用いられる第2のドープ窒化アルミニウムを表している。
(実施例7)
【0041】
図4は、数多くの焼結セラミック試験試料について、抵抗率試験中に印加された電圧の関数としての電気抵抗率を示すグラフ400である。抵抗率は、軸404に、電圧は軸402に示されている。試験温度は室温(約27℃)である。このグラフの目的は、制御により抵抗率を下げた本発明の耐食性セラミックの実施形態と現在用いられているドープ窒化アルミニウムセラミック間の抵抗率における差を示すことである。ドープ窒化アルミニウムセラミックは、やや低い抵抗率を有しているが、これらの腐食速度は、修正されて抵抗率を減じた酸化イットリウム含有セラミックより少なくとも2倍速い。
【0042】
特に、図4の曲線422は、静電チャックを製造するのに現在用いられている種類のドープ窒化アルミニウムセラミックを表す。曲線420は、静電チャック及び他の低抵抗率コンポーネントを製造するのに用いる他のドープ窒化アルミニウムセラミックを表している。
【0043】
図4に示す曲線406は、表にサンプル番号4と記載されたNb含有焼結セラミック材料を表している。修正されて抵抗率を減じたこの酸化イットリウム含有材料は、AIN−1と示されたドープ窒化アルミニウムと非常に近い抵抗率を示す。それでも、図5の棒グラフ500に示される通り、ドープ窒化アルミニウムの腐食速度は、曲線406に示される酸化イットリウム含有材料の腐食速度より10倍早い。
【0044】
図4に示す曲線408は、表にサンプル番号1と記載されたHfO含有焼結セラミック材料を表している。このセラミック材料は、Nb含有材料よりも高い抵抗率を示し、プラズマアーク放電が生じやすいコンポーネントについて推奨範囲外の抵抗率を室温で示す。しかしながら、ある半導体処理中に存在する温度である200℃では、抵抗率は、図1の曲線108により示される許容範囲内に入る。
【0045】
図4に示す曲線410は、表にサンプル2と記載されたSc含有焼結セラミック材料を表している。この材料も、処理温度が200℃の時、抵抗率要件が1011Ω・cmである用途に用いてもよい。
【0046】
比較の目的で(イットリア含有固溶体を含有する制御された電気抵抗率セラミックに関して)、図4の曲線412は、図2に示すY、ZrO及びAlを含むセラミックタイプ「A」を示す。図1に示すタイプ「A」の材料の一実施形態は、c−Yが溶媒で、Zrが溶質の、約60モル%の立方イットリアタイプ構造、ZrOが溶媒で、Yが溶質の、約2モル%のホタル石タイプの構造の固溶体、及び約38モル%のYAM(YAl)化合物を含有する。タイプAのHPM材料は、許容できる耐食性及び推奨できる機械的特性を示すが、電気抵抗率は、所望の最大範囲1011Ω・cmよりかなり高い。これは、図1の曲線112に示される通り、200℃でも当てはまる。この材料は、電気抵抗率を修正した耐食性セラミックの実施形態には含まれない。
【0047】
比較の目的で、図4の曲線414は、表にサンプル番号3と記載されたNd含有焼結セラミック材料を示す。この材料も、アーク放電を防ぐのに必要な要件に適合しておらず、本発明を形成する独特なセラミック材料の一部ではない比較例と考えられる。
【0048】
比較の目的で、図4の曲線416は、純粋なYの焼結セラミックについて観察された電気抵抗率特性を示す。この材料もまた比較例であり、基準として有用である。数多くの半導体装置コンポーネントが、純粋なYから製造されているからである。純粋なYの抵抗率の比較によって、本発明により得られる電気抵抗率に関して、非常に大きな改善が示される。
(実施例8)
【0049】
図5に、プラズマに露出された様々な焼結セラミック材料についての純粋なY2O3に対して正規化された例示の浸食速度を示す棒グラフ500を示す。プラズマは、CF及びCHFソースガスから生成した。プラズマ処理チャンバは、アプライドマテリアルズ社(Applied Materials,Inc.)より入手可能なイネーブラフォアトレンチエッチ(Enabler for Trench Etch)であった。76時間にわたって、プラズマ電源は2000Wまでであり、プロセスチャンバ圧は10〜500ミリトルであり、基板温度は約40℃であった。軸502は、耐侵食性について試験し
た様々な材料を示す。Y2O3−10ZrO2という記載により示される試験試料は、10重量部のZrO2と組み合わせて100重量部のY2O3により形成された焼結固溶体セラミック試験試料を表す。Nb2O5−又はHfO2−又はNd2O3又はSc2O3−を含有するものとして示された試験試料は、これらの材料の夫々を含有するものとして挙げられた表の組成を表す。軸504に示される浸食速度の比較によって、抵抗率を修正した酸化イットリウム含有焼結セラミック材料の浸食速度が、純粋な酸化イットリウムについての浸食速度と実質的に同じであることが分かる。更に、抵抗率を修正した酸化イットリウム含有焼結セラミックの浸食速度は、Al2O3、AIN、ZrO、石英、W/ZrC、B4C及びSiC、半導体処理チャンバライナ及び半導体処理装置内部コンポーネントにハロゲンプラズマ耐食性材料を提供するのに用いられてきた他のセラミック材料の浸食速度よりかなり良い。
【0050】
上述した実施例を与えた実験中に得られた結果及び他の参照源からのデータに基づいて、計算を行い、プラズマリーク電流におけるUV放射線の影響を推定した。プラズマ環境(半導体処理に用いる種類の)のUV放射線は、電気抵抗率を修正した酸化イットリウム含有焼結セラミック材料のリーク電流に影響しない。
【0051】
193nmのUV放射線(ある半導体処理操作に用いられる)の、Nb−タイプB焼結セラミック材料及びHfO−タイプB焼結セラミック材料におけるリーク電流に対する影響を調査したところ、これらの材料の電気的性能は、かかるUV放射線には影響されるものではないということが分かった。
【0052】
プラズマと接触する半導体処理装置として有用なセラミック含有物品としては、蓋、ライナ、ノズル、ガス分配板、シャワーヘッド、静電チャックコンポーネント、シャドウフレーム、基板保持フレーム、処理キット及びチャンバライナが例示されるが、これらに限られるものではない。
【0053】
上述した例示の実施形態は、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、当業者であれば、本発明の開示内容を鑑みると、かかる実施形態を拡大して、請求された本発明の主題に対応させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類の固溶体を含む表面を有するセラミック含有物品であって、
前記物品は、腐食性プラズマの耐食性と、アーク放電の可能性を減じる電気抵抗率の両方を必要とする半導体プラズマ処理チャンバ内で有用であり、前記固溶体は、酸化イットリウムが約55モル%から約80モル%までの範囲の濃度で存在し、酸化ジルコニウムが約5モル%から約25モル%の範囲の濃度で存在し、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、又はこれらの組み合わせが約5モル%から約25モル%の範囲の濃度で存在する前駆体酸化物から形成されるセラミック含有物品。
【請求項2】
前記セラミック含有物品が、前記焼結セラミック材料の約60モル%から約90モル%を構成するY−ZrO−Nbを含む固溶体の第1の相と、前記焼結セラミック材料の約5モル%から約30モル%を構成するYNbOの第2の相と、前記焼結セラミック材料の約1モル%から約10モル%を構成する元素の形態にあるNbの第3の相とを含む3相焼結セラミック材料を含む表面を有する請求項1記載のセラミック含有物品。
【請求項3】
前記物品が、約350℃から室温までの範囲の温度で約10〜1015Ω・cmの範囲の電気抵抗率を必要とする、静電チャック、静電チャックコンポーネント、又は基板リフトピンの形態にある請求項1又は請求項2記載のセラミック含有物品。
【請求項4】
前記物品が、半導体処理チャンバの内部で用いる内部コンポーネント又はライナの形態にある請求項1又は請求項2記載のセラミック含有物品。
【請求項5】
前記物品が、固体焼結セラミック物品である請求項1又は請求項2記載のセラミック含有物品。
【請求項6】
前記物品が、静電チャック、蓋、ライナ、ノズル、ガス分配板、シャワーヘッド、静電チャックコンポーネント、シャドウフレーム、基板保持フレーム、処理キット及びチャンバライナからなる群より選択される請求項1又は請求項2記載のセラミック含有物品。
【請求項7】
前記表面は、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、アルミナ、窒化アルミニウム及び石英からなる群より選択される材料を含む基板上に形成された前記3相焼結セラミック材料のコーティングである請求項1又は請求項2記載のセラミック含有物品。
【請求項8】
前記コーティングは、前記基板の少なくとも一部の上に存在し、プラズマ溶射、溶射/フレーム溶射、物理蒸着及び化学蒸着からなる群より選択される技術を用いて塗布された請求項7記載のセラミック含有物品。
【請求項9】
プラズマと接触し、セラミック材料を含む表面を有する、静電チャック、ライナ、又は内部コンポーネントを用いる半導体処理チャンバ内でプラズマアーク放電を減じる方法であって、
a)酸化イットリウム及び少なくとも1種類の他の酸化物から前記セラミック材料を含むように酸化物を選択する工程であって、前記他の酸化物の正イオンは、Y3+イオンとは大きく異なる価数を有し、これによって前記セラミック材料の電気抵抗率の減少をもたらすYの空位を形成する工程と、
b)前記酸化物を焼結して、少なくとも1種類の結晶性固溶体を形成する工程と、
c)前記セラミック材料をプラズマにさらす工程を含む方法。
【請求項10】
前記Y3+イオンとは前記異なる価数を有する前記酸化物は、CeO、TiO、ZrO、HfO、Nb及びこれらの組み合わせからなる群より選択される請求項9記載の方法。
【請求項11】
プラズマと接触し、セラミック材料を含む表面を有する、静電チャック、ライナ、又は内部コンポーネントを用いる半導体処理チャンバ内でプラズマアーク放電を減じる方法であって、
a)酸化イットリウム及び少なくとも1種類の他の酸化物から前記セラミック材料を含むように酸化物を選択する工程であって、前記他の酸化物の正イオンは、Y3+イオンと同じ価数を示すが、Y3+イオンとは大きく異なるイオン半径を有し、これによって前記セラミック材料の電気抵抗率の減少をもたらす工程と、
b)前記酸化物を還元雰囲気中で焼結する工程と、
c)前記セラミック材料をプラズマにさらす工程を含む方法。
【請求項12】
前記大きく異なるイオン半径を有する前記酸化物は、Nd、Sm、Sc、Yb、Er、Ho、Dy及びこれらの組み合わせからなる群より選択される請求項11記載の方法。
【請求項13】
プラズマ処理コンポーネントのプラズマ耐食性を提供すると同時に、半導体処理チャンバ内でプラズマアーク放電を減じる方法であって、
少なくとも1種類の固溶体を含むセラミック含有材料で、少なくとも前記プラズマにさらされる表面を形成する工程を含み、前記固溶体は、2種類を超える前駆体酸化物から形成され、第1の前駆体酸化物は酸化イットリウムであり、第2の前駆体酸化物は酸化ジルコニウムであり、酸化イットリウムに対して正規化されたときに、前記物品の前記表面の浸食速度が約1となり、前記物品の前記表面の電気抵抗率が、約350℃から室温までの範囲の温度で約10〜1015Ω・cmの範囲になるような相対濃度で、少なくとも1種類の追加の前駆体酸化物が添加され、前記少なくとも1種類の追加の前駆体酸化物は、酸化ハフニウム、酸化スカンジウム、酸化ニオブ、酸化サマリウム、酸化イッテルビウム、酸化エルビウム、酸化セリウム及びこれらの組み合わせからなる群より選択される方法。
【請求項14】
前記少なくとも1種類の固溶体は、第1の前駆体酸化物が酸化イットリウムであり、第2の前駆体酸化物が酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ハフニウム及び酸化ニオブからなる群より選択される2種類の酸化物から形成される請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1種類の固溶体は、第1の前駆体酸化物が酸化イットリウムであり、第2の前駆体酸化物が酸化スカンジウム、酸化サマリウム、酸化イッテルビウム及び酸化エルビウムからなる群より選択される2種類の酸化物から形成される請求項13記載の方法。
【請求項16】
プラズマ処理コンポーネントのプラズマ耐食性を提供すると同時に、半導体処理チャンバ内でプラズマアーク放電を減じる方法であって、
約350℃から室温までの範囲の温度で約10〜1015Ω・cmの範囲の制御された電気抵抗率を示すセラミック含有材料で、少なくとも前記プラズマにさらされる表面を形成する工程を含み、前記プラズマにさらされる前記表面は、少なくとも1種類の固溶体を含み、前記少なくとも1種類の固溶体は、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化スカンジウム、酸化ニオブ、酸化サマリウム、酸化イッテルビウム、酸化エルビウム、酸化セリウム及びこれらの組み合わせからなる群より選択される1以上の酸化物と組み合わせた酸化イットリウムから形成される方法。
【請求項17】
前記セラミック含有材料は、酸化イットリウムが約55モル%から約80モル%までの範囲の濃度で存在し、酸化ジルコニウムが約5モル%から約25モル%の範囲にわたって存在し、酸化ハフニウムが約5モル%から約25モル%の範囲にわたって存在する前駆体酸化物から形成される請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記セラミック含有材料表面は、前記焼結セラミック材料の約60モル%から約90モル%を構成するY−ZrO−Nbを含む固溶体の第1の相と、前記焼結セラミック材料の約5モル%から約30モル%を構成するYNbOの第2の相と、前記焼結セラミック材料の約1モル%から約10モル%を構成する元素の形態にあるNbの第3の相とを含む3相焼結セラミック材料を含む請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記表面は、静電チャック、静電チャックコンポーネント、又は基板リフトピンの表面に存在し、前記電気抵抗率は、約350℃から室温までの範囲の温度で約10〜1015Ω・cmの範囲にある請求項16記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−63904(P2013−63904A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−250961(P2012−250961)
【出願日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【分割の表示】特願2007−251717(P2007−251717)の分割
【原出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】