制御ハンドルにデジタル化された温度測定値を備えるカテーテル
【課題】改善された精度を有する温度検出カテーテルを提供する。
【解決手段】カテーテルは、近位端及び遠位端を有するカテーテルシャフトと、カテーテルシャフトを通じて延びる第1組の伝導体と、を含む。第1組の伝導体のそれぞれは、第1端部及び第2端部を有し、第1組の伝導体の第1端部は、カテーテルシャフトの遠位端で互いに連結され、第1熱電対を形成する。ハンドルは、カテーテルシャフトの近位端に連結され、かつ第1組の伝導体の第2端部を受容し、このハンドルは、第1組の伝導体の第2端部に連結された、第1熱電対の電圧信号をデジタル化するためのデジタル化回路を含む。
【解決手段】カテーテルは、近位端及び遠位端を有するカテーテルシャフトと、カテーテルシャフトを通じて延びる第1組の伝導体と、を含む。第1組の伝導体のそれぞれは、第1端部及び第2端部を有し、第1組の伝導体の第1端部は、カテーテルシャフトの遠位端で互いに連結され、第1熱電対を形成する。ハンドルは、カテーテルシャフトの近位端に連結され、かつ第1組の伝導体の第2端部を受容し、このハンドルは、第1組の伝導体の第2端部に連結された、第1熱電対の電圧信号をデジタル化するためのデジタル化回路を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態の態様は、カテーテル、具体的には、改善された温度測定能力を備えるカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは医療業務において多年にわたり一般に用いられている。カテーテルの用途には、心臓における電気活動のシミュレーション及びマッピング、並びに異常な電気活動の部位の除去が挙げられる。そのようなカテーテルはまた、電極カテーテルと呼ばれる。使用時には、電極カテーテルは、主要な静脈若しくは動脈(例えば大腿動脈)に挿入され、次いで、身体内の対象の場所(例えば、心臓内の異常な電気活動がある心室)に案内される。
【0003】
いったんカテーテルが、患者の身体内の意図された場所に到達すると、医師は、アブレーション処置を使用して、異常な電気活動を生じる組織を破壊し、電気信号の不規則性を取り除き、かつ正常の心拍又は少なくとも改善された心拍に戻すように試みる。典型的なアブレーション処置は一般的に、患者の皮膚にテープで貼られた基準電極を提供することを伴う。RF(高周波)電流を先端電極に通電すると、先端電極の周囲の媒質(すなわち、血液及び組織)に、基準電極に向かって電流が流れる。電流の分布は、組織よりも導電性が高い血液に対する、組織と接触した電極表面の量によって決まる。組織の電気抵抗によって組織の加熱が発生する。組織が十分に加熱されると心組織の細胞が破壊され、心臓組織内に非導電性の損傷部位が形成される。この過程では、加熱された組織から電極自体への伝導によって電極も加熱する。電極温度が十分に高くなり、脱水された血中タンパク質の薄く透明な皮膜が電極表面に形成される場合がある。温度が上昇し続けると、この脱水層が徐々に厚くなり、電極表面に焦げ及び/又は血栓を生じる。焦げ及び血栓の生成は、焦げ及び血栓が、処置の間、又は処置の後にカテーテルを取り外す間に、電極から落ちる場合があるため危険である。
【0004】
臨床診療では、焦げ及び血栓の形成を低減する又は排除することが望ましく、特定の心不整脈では、より大きい及び/又はより深い損傷を生じさせることが好ましい。この目的を達成するための1つの方法は、アブレーション電極の温度をモニターし、この温度に基づいて、アブレーション電極に流されるRF電流を制御することである。温度が事前に選択された値よりも上昇した場合、温度がこの値よりも下がるまで電流は減少される。したがって、カテーテルの先端部、例えばアブレーション電極先端部は、温度測定を備えている。温度測定用に利用可能である多くの温度検出変換器の中で、熱電対(TC)が、その単純な構造体及び耐久性のために一般に使用されている。
【0005】
温度センサとしてTCを使用することは、TC線と同じ材料で作製された特別なケーブル及びコネクタの使用を必要とし、さもなければ、単一の経路(例えば、コネクタ)における材料の遷移は、異種金属の追加接点及び追加の熱接点を形成する。しかしながら、コンスタンタンピン及びソケットなど、TC材料と共に埋め込まれる使い捨て医療デバイス(例えば、カテーテル)のための既製のコネクタは周知ではなく、そのようなピン及びソケットは、高い嵌合サイクルの要件、並びに高いピン密度及び接合の品質など、他の医療デバイスコネクタの要件と併せて、設計を難しいものにしている。したがって、一般的な使い捨ての医療デバイスは典型的に、適切なTC材料を使用していない既製のコネクタによって接続される。よって、コネクタの2つの側の間の、いずれかの材料の差異は、測定エラーにつながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、温度測定のためのTCを備えた、改善されたカテーテルを提供することが望ましい。特に、異種金属の追加接点及び追加の熱接点によって生じるTCの測定エラーを低減することは望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の代表的な実施形態は、改善されたTC温度測定能力を備えるカテーテルを提供する。代表的な実施形態によると、カテーテルは、ハンドル内のTC接続及び配線が減少され得るように、カテーテルのハンドルでTC電圧信号をデジタル化するためのTC信号処理回路を含み、TC電圧信号のデジタル値は、TC線を使用することなく、デジタルリンクを介してハンドルからホストに送信され得る。
【0008】
本発明の実施形態によると、カテーテルは近位端及び遠位端を有するカテーテルシャフトを含む。カテーテルシャフトは典型的に、近位カテーテル本体と、中間の偏向可能部分と、温度検出が望ましい場所である先端アブレーション電極を含む遠位先端区分と、を含む。第1組の伝導体は、カテーテルシャフトを通じて延び、第1組の伝導体のそれぞれは、第1端部及び第2端部を有する。第1組の伝導体の第1端部は、カテーテルシャフトの遠位端で互いに連結され、第1熱電対を形成する。ハンドルは、カテーテルシャフトの近位端に連結され、かつ第1組の伝導体の第2端部を受容する。ハンドルは、第1組の伝導体の第2端部に連結された、第1熱電対の電圧信号をデジタル化するためのデジタル化回路を内部に含む。
【0009】
デジタル化回路は、第1組の伝導体の第2端部に熱的に連結された恒温ブロックを含んでもよい。デジタル化回路は、恒温ブロックの温度を検出するための温度センサを含んでもよい。デジタル化回路は、第1熱電対の電圧信号をフィルタリングするためのローパスフィルタを含んでもよい。デジタル化回路は、第1熱電対の電圧信号を増幅するための増幅器を含んでもよい。デジタル化回路は、第1熱電対の電圧信号に対応するデジタル値を生成するためのアナログ−デジタル変換器を含んでもよい。デジタル化回路は、デジタル値に基づいて第1熱電対の温度値を算出するように適合されてもよい。デジタル化回路は、冷接点補償を実行するように適合されてもよい。デジタル化回路は、少なくとも1つのデジタルアドレスによって特定することが可能であってもよい。カテーテルは、カテーテルシャフトを通じて延びる第2組の伝導体を更に含んでもよい。第2組の伝導体のそれぞれは、第1端部及び第2端部を有し、第2組の伝導体の第1端部は、カテーテルシャフトの近位端と遠位端との間の部分で互いに連結され、第2熱電対を形成する。ハンドルは、第2組の伝導体の第2端部を受容する。デジタル化回路は、第2組の伝導体の第2端部に連結され、かつ第2熱電対の電圧信号をデジタル化するように適合される。
【0010】
デジタル化回路は、第2熱電対のデジタル化された電圧信号に基づいて第2熱電対の温度値を算出するように適合されてもよい。デジタル化回路は、第1熱電対に対応する第1デジタルアドレス、及び第2熱電対に対応する第2デジタルアドレスを含む、少なくとも2つのデジタルアドレスによって特定が可能であってもよい。デジタル化回路は、第1熱電対の電圧信号に対応するデータを送信するためのデジタルインターフェイスを含んでもよい。
【0011】
本発明の実施形態によると、温度を測定するためのシステムが提供される。システムは、ホスト、及びホストとデータ通信するカテーテルを含む。カテーテルは、近位端及び遠位端を有するカテーテルシャフトと、カテーテルシャフトを通じて延びる1組の伝導体と、を含む。1組の伝導体のそれぞれは、遠位端及び近位端を有する。第1組の伝導体の遠位端は、カテーテルシャフトの遠位端で互いに連結され、熱電対を形成する。ハンドルは、カテーテルシャフトの近位端に連結され、かつ1組の伝導体の近位端を受容する。ハンドルは、1組の伝導体の近位端に連結された、熱電対の電圧信号をデジタル化するためのデジタル化回路を内部に含む。
【0012】
本発明の実施形態によると、カテーテルを用いて温度を測定するための方法が提供される。本方法は、カテーテルのカテーテルシャフトの遠位端で、熱電対によって温度を検出する工程と、熱電対の電圧信号を、カテーテルシャフトの近位端に連結されたハンドルに送信する工程と、熱電対の電圧信号を、ハンドルに配置された回路によってデジタル化し、温度に対応するデジタル値を生成する工程と、を含む。
【0013】
本方法は、ハンドルに配置された回路によって冷接点補償を実施する工程を更に含んでもよい。本方法は、熱電対の電圧信号をローパスフィルタによって処理する工程を更に含んでもよい。本方法は、ハンドルから離隔して配置されたホストに、デジタルリンクによってデジタル値を送信する工程を更に含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の特徴及び態様は、添付図面と併せて以下の「発明を実施するための形態」から、より明らかになるであろう
【図1】本発明の一実施形態によるカテーテルの側面図。
【図2A】第1直径に沿った、カテーテル本体と中間区分との接点を含む、図1のカテーテルの側断面図。
【図2B】第1直径に対してほぼ垂直な第2直径に沿った、カテーテル本体と中間区分との接点を含む、図1のカテーテルの側断面図。
【図2C】線C−−Cに沿って取った、図2A及び2Bのカテーテルの末端部断面図。
【図2D】線2D−−2Dに沿って取った、図4のカテーテルの末端部断面図。
【図3】中間区分とコネクタ管との間の接点を含む、図1のカテーテルの側断面図。
【図4】コネクタ管と先端電極の間の接点を含む、図1のカテーテルの側断面図。
【図5】図1のカテーテルの制御ハンドルの側断面図。
【図6】TC測定回路及びその同等な回路を図示する図面。
【図7】温度測定のために従来のカテーテルを使用する設定を概念的に示すブロック図。
【図8】本発明の実施形態による、TC信号処理回路を含むカテーテルハンドルを概念的に示す図。
【図9】本発明の実施形態によるTC信号処理回路を概略的に示す図。
【図10】本発明によるTC信号処理回路の更なる代表的な実施形態を示す。
【図11】本発明によるTC信号処理回路の更なる代表的な実施形態を示す。
【図12】本発明によるTC信号処理回路の更なる代表的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態は、以下において、詳述され、代表的な実施形態が示される。本開示は、しかしながら、多くの異なる形態で具体化されてもよく、以下に説明される代表的な実施形態に限定されるものと解釈されるものではない。ここで、第1要素が、第2要素に結合されている又は接続されていると記載されているとき、第1要素は、第2要素に直接接続されてもよく、又は1つ以上の第3要素を介して第2要素に間接的に接続されてもよい。
【0016】
従来のカテーテルは、TCにより検出された温度を決定するために、TC(熱電対)電圧信号をカテーテルシャフトから受容し、TC電圧信号の更なる処理のために、複数の伝導体を介して、カテーテルのハンドルを通じて、離間したホスト又はコントローラにTC電圧信号を送る。かかる温度インターフェイスシステムは、コネクタインターフェイスで使用される異種のTC線の1つ以上の接続部のために、信号劣化を被る。コネクタはまた、可変ピン接続抵抗をもたらし、これはコネクタ間に電圧降下を生じさせ、よってTC信号解像度における劣化を被る。
【0017】
本発明の態様は、温度検出のためのTCを備えた、改善されたカテーテルに関する。本発明の代表的な実施形態は、カテーテルの制御ハンドルでTC信号処理回路を備えるカテーテルを開示し、これによってTC電圧信号は、ハンドル内のTC信号処理回路によって処理され(例えば、デジタル化)、デジタルデータリンクを介してホストにデジタルデータとして出力され得る。
【0018】
図1は、本発明の実施形態によるカテーテル10の側面図を示す図である。カテーテル10は、近位端及び遠位端を有する細長いカテーテルシャフト又は本体12と、カテーテルシャフト12の単方向若しくは双方向偏向の遠位端を備える中間区分14と、中間区分の遠位端で先端電極17を備える先端区分15と、カテーテルシャフト12の近位端でハンドル16(例えば、制御ハンドル)を含む。
【0019】
図2A及び2Bに示されるように、カテーテル本体12は、単一の軸又は中央ルーメン19を有する細長い管状の構造を備える。カテーテル本体12は可撓性、すなわち曲げることができるが、その長さに沿ってはほとんど圧縮することはできない。カテーテル本体12は任意の好適な構造のものでよく、任意の好適な材料で形成することができる。本発明における好ましい構造は、ポリウレタン又はPEBAXで形成された外壁20を含む。外壁20は、ステンレス鋼等の埋め込まれた編組メッシュを備え、カテーテル本体12のねじり剛性を上昇させ、その結果、制御ハンドル16が回転するとき、カテーテル10の中間区分14は対応する様式で回転することができる。
【0020】
カテーテル本体12の外径は重要ではないが、好ましくは約9フレンチ以下、より好ましくは約7フレンチである。同様に、外壁20の厚さもそれほど重要ではないが、外壁20は、中央ルーメン19が引込線、1つ以上のリード線、及び他の任意の所望の線、ケーブル又はチューブを収容できるように充分に薄い。必要に応じて、外壁20の内面は、ねじり安定性を向上させるために補強管21で裏打ちされる。一実施形態では、カテーテル10は、約0.229cm(0.090インチ)〜約0.239cm(0.094インチ)の外径、及び約0.155cm(0.061インチ)〜約0.165cm(0.065インチ)の内径を備える外壁20を有する。
【0021】
中間区分14は、図2Cにも示されるような、複数のルーメンを有する管22の短い区分を備える。一実施形態では、第1ルーメン30は、1つ以上のリード線50、先端電極17における組織の温度をモニタリングするための熱電対TC(例えば、熱電対線43及び44)、並びに先端区分14に収容された電磁位置75センサのためのケーブル74を有する。第2ルーメン32及び第3ルーメン34は、引込線64を有する。第4ルーメン35は、先端電極に流体を供給するための灌注管61を有する。管22は、好ましくは、カテーテル本体12よりも可撓性である、好適な非毒性材料で作製される。一実施形態では、管22は、編組ポリウレタン、すなわち編組ステンレス鋼等の埋込みメッシュを有するポリウレタンである。ルーメンの数又は各ルーメンの寸法は重要ではないが、実施形態によって、リード線、引込線、電磁センサケーブル、熱センサ及び/又は灌注管を収容するのに十分である。
【0022】
カテーテル本体12を中間区分14に取り付ける好ましい手段が、図2A及び2Bに示されている。中間区分14の近位端は、カテーテル本体12の外壁20の内面を受容する外周ノッチ26を含む。中間区分14とカテーテル本体12とは、接着剤などによって取り付けられている。
【0023】
所望により、カテーテル本体内において補強管21の遠位端と中間区分の近位端との間にスペーサ(図示せず)が設置されてもよい。スペーサは、カテーテル本体と中間区分との間の接点で可撓性に変化をもたらし、これにより、接点が折り畳まれる又はよじれることなく滑らかに曲がることが可能にする。そのようなスペーサを有するカテーテルが、その全開示内容を本願に援用する米国特許第5,964,757号に述べられている。
【0024】
図4に示されるように、先端区分15は、先端電極17を含み、これは単一のルーメンコネクタ管23によって中間区分14の管22に接続されてもよい。コネクタ管は、電磁位置センサ75、及び管22から延びる様々な構成要素のための空間を提供し、先端電極17内に固定するために必要に応じて、様々な構成要素を方向付ける。その目的のために、先端電極の遠心面は、止まり孔が提供されている。開示された実施形態では、止まり孔51は、リード線50の遠位端を受容するように、止まり孔53はTCの遠位端を受容するように、並びに止まり孔55は電磁センサ75の遠位端を受容するように提供される。灌注経路56もまた、先端電極に形成され、灌注管61の遠位端を受容する。経路55は、横方向の分岐部57及び流体ポート59と連通し、流体が管61を通って送達され、先端電極の外側を通過するのを可能にする。
【0025】
図2Bに示されるように、引込線64は、中間区分14の双方向偏向のために提供される。カテーテル本体12を通って延びる引込線64は、それらの近位端で制御ハンドル16に、並びにそれらの遠位端で中間区分14の遠位端近くの管23に、米国特許第5,893,885号及び同第6,066,125号(これらの開示全体は、ここに援用する)に一般に記載されるように、Tバー固定具の手段によって固定される。引込線は、ステンレス鋼、又はニチノールなど任意の好適な金属で作製され、テフロンRTM等でコーティングされるのが好ましい。コーティングは、引込線64に潤滑性を付与する。引込線64は、好ましくは、約0.015cm〜約0.025cm(約0.006インチ〜約0.010インチ)の範囲の直径を有する。
【0026】
圧縮コイル66は、図2Bに示されるように、各引込線64を包囲する関係でカテーテル本体12内に配置されている。圧縮コイル66は、カテーテル本体12の近位端から中間区分14の近位端まで延在する。圧縮コイル66は、好適な金属、好ましくはステンレス鋼で作製される。各圧縮コイル66は、可撓性をもたらすため、すなわち、曲がるが圧縮に耐えるように、それ自体に緊密に巻かれる。圧縮コイル66の内径は好ましくは、引込線64の直径よりもわずかに大きなものである。引込線64をコーティングするテフロンRTMは、それが、圧縮コイル66内を自由に摺動することを可能にする。それぞれの圧縮コイル66の外表面は、例えば、ポリイミド管製等の可撓性の非導電性シース68によって被覆される。
【0027】
好適なカテーテルシャフト構造体の例は、米国特許第6,064,905号、同第6,477,396号、及び同第7,366,557号に記載されており、これらの全開示はここに援用するものである。
【0028】
カテーテル本体12に対する、引込線64の長手方向の運動は(これは結果として、中間区分14が偏向することになる)、制御ハンドル16の適切な操作によって達成される。本発明で使用するための好適な制御ハンドルの例は、米国特許第Re 34,502号、同第5,897,529号、及び同第7,377,906号に記載されており、これらの全開示は本明細書において参照として援用される。
【0029】
図5は、カテーテル10の制御ハンドル16の側断面図を示す図である。図5は、ハンドル16に配置され、カテーテルシャフト12から延びるTCに接続されている回路基板18を概念的に示す。ここで、ハンドル16及び回路基板18は、任意の好適な形状及び寸法を有してもよい。当業者として、ハンドル内の回路基板の位置は、ハンドル内の構造及び構成要素(例えば中間区分14、及び制御ハンドルを通って、かつカテーテルシャフト及びその後ろに沿って遠位に延びる様々な線、ケーブル、管)によって変化してもよい。TC 20からの電圧信号が処理され、デジタル化され、ホストに出力され得るように、回路基板18は、TC 20と境界を接するTC信号処理回路を含む。
【0030】
TCは例えば、エナメル加工されたペア線によって形成され、ここで1つの線は銅線43(例えばNo.40の銅線)であり、他方の線44はコンスタンタン線である。線43及び44は、それらの遠位端を除き、互いから電気的に絶縁され、遠位端では、それらは一緒に接続され(例えば、一緒に捻り合わされ)、プラスチック管58(例えばポリアミド)の短片によって被覆され、エポキシで被覆される。プラスチック管58は次いで、ポリウレタンの接着剤等によって先端電極17の止まり孔53の遠位区分に取り付けられる。
【0031】
線43及び44は、カテーテルシャフト12の中央ルーメン19を通じて延在し、ハンドル16内の回路基板18に接続される。線43及び線44は、異なる金属又は金属合金から作製され、検出端部(すなわち、カテーテルシャフトの先端電極17)で一緒に接続され、これは温接点と呼ばれる。TCは、回路基板18に接続された線43及び44の他方の端部(冷接点と呼ばれ、既知の温度に維持されている)にわたる電圧差を出力する(TC電圧信号)。冷接点は、温接点よりも、一部の応用例ではより温かい場合がある。その場合、TCの出力電圧の極性は単に逆である。したがって、TCは、冷接点での絶対温度よりはむしろ、その温接点と冷接点間の温度差を測定する。様々なTCの出力電圧は、一般的に使用されている金属及び合金のペアに関して表にされている。標準的なペアは、1つの大文字によって表されて(例えば、コンスタンタン−銅TCに関しては、「T」)、これは、その比較的高い精度及び適切な線形範囲により、医療用途のTCタイプに最も一般的に使用されている。表にされたデータは、0℃の仮定された冷接点温度に基づいている。したがって、温接点検出点の絶対温度を入手するためには、冷接点温度を測定し、それに従ってTCの出力電圧を調整しなければならない。この技法は、冷接点補償と呼ばれる。
【0032】
図6は、TC測定回路100及びその同等な回路図を図示する図面である。
【0033】
図6を参照すると、TC測定回路100は、機器104のコネクタ102に接続されているTタイプTC 101を含む。温接点106は、その温度を検出するために対象物の近くに配置される。TC測定回路100は、その同等な回路100aによって概略的に表されており、ここではJ1温接点106を表し、J2は冷接点(すなわち、TC 101とコネクタ102との間の接続)を表す。冷接点J2は、恒温ブロック120(すなわち、恒温バリア)上にあり、これによって冷接点J2の絶対温度が測定され得る。
【0034】
恒温ブロック120の温度は、例えば好適なサーミスタ122によって測定されてもよく、これによって基準温度が決定され得る。TCの所望の温度範囲を網羅するために、十分なゲインを備える増幅器が提供され、TC電圧信号を増幅してもよい。TC 101は本質的に非線形デバイスであるため、TC電圧信号は、当該技術分野において周知の好適なハードウェア及び/又はソフトウェアに基づく方法によって補償されてもよい。線形化は、TC 101によって測定された温度の範囲の精度を改善し、これを拡大する。
【0035】
図7は、温度測定のために従来のカテーテルを使用する設定を概念的に示すブロック図である。
【0036】
図7を参照し、カテーテル200はハンドル及びTタイプのTC 204を含む。TC 204の温接点は、カテーテル200の先端に配置されてもよく、TC 204の銅及びコンスタンタン線は、ハンドルコネクタ206(例えば、ピン及びソケット)を通じてケーブル300に接続される。ここで、2つのTC接続、すなわち、TC 204のコンスタンタン線とハンドルコネクタ206の金メッキされたピン(C1と示される)との間の接続と、ケーブル300のコンスタンタン線とハンドルコネクタ206の金メッキされたピン(C2と示される)との間の接続とが、ハンドルコネクタ206によって作られる。ケーブル300の他方の端部は、機器400の前側パネルコネクタ402(例えば、ピン及びソケット)を通じて機器400に接続される。ここで、他の2つのTC接続、すなわち、ケーブル300のコンスタンタン線とコネクタ402の金メッキされたピン(C3と示される)との間の接続と、機器400内のコンスタンタン線とコネクタ402の金メッキされたピン(C4と示される)との間の接続とが、前側パネルコネクタ402によって作られる。コネクタ206及び402は、コンスタンタン線と適合するための適切なTC材料から作製されていないため、TC接続部(C1、C2、C3、及びC4)は、測定エラーを引き起こす誤差電圧を取り込む。
【0037】
図7の従来の配置では、TC 204及び低レベルのTC電圧信号(例えば、低いミリボルトの範囲)の経路を使用する温度測定は、異なる金属/金属合金(例えば、非TC材料)異種コネクタのコンタクトピンの複数のコネクタの組を通じて、読み取り機器(例えば機器400)に温度出力し、TC電圧信号が、異種材料の一連の接続点を通じて劣化するため、測定エラーを引き起こす。
【0038】
本発明の実施形態によると、TC信号の劣化は、カテーテルハンドルにおけるTC信号処理回路を実施し、カテーテルハンドルでの冷接点でTC電圧信号をデジタル化することにより排除又は低減することができる。
【0039】
図8は、本発明の実施形態による、TC信号処理回路を含むカテーテルハンドル500を、概念的に示す図である。
【0040】
図8を参照すると、カテーテルハンドル500内に配置されたTC信号処理回路は、カテーテルシャフト(図示せず)からTC 504を受容する、冷接点恒温ブロック502を含む。恒温ブロック502は、高い熱伝導率を有する小さなスラブ材料(例えば、高い熱伝導率を有する銅又は他の好適な材料)によって維持され得る。そこにTC 504が接続される入力接続部506は、電気的に絶縁されているが、恒温ブロック502を通じて熱的に連結されている。一実施形態では、信号処理回路全体は、恒温ブロック502に含まれてもよい。更に、信号処理回路は、ローパスフィルタ508、低レベルのDC増幅器510、温度センサ512、冷接点補償回路514、アナログ−デジタル(A/D)変換器516、及びデジタル処理ユニット518を含んでもよい。いくつかの実施形態では、A/D変換器516及びデジタル処理ユニット518は、同じ回路モジュール(例えば、集積回路)に含まれてもよい。更に、上記の信号処理回路が、記載された要素の一部又は全てを含んでもよく、かつ当該技術分野において周知の追加の回路要素を含んでもよいということを当業者は理解するであろう。
【0041】
カテーテルがアブレーションカテーテルであるときに、ローパスフィルタ508は、例えばアブレーション信号ピックアップのための信号飽和を排除する又は低減する。いくつかの実施形態では、ローパスフィルタ508は省略されてもよい。A/D変換器516は、その対応するデジタル値にTC電圧信号をデジタル化させ、これはデジタル処理ユニット518によって処理される。例えば、デジタル処理ユニット518は、オープン熱電対検出及びアラーム、冷接点補償、線形化、及びTC 504によって検出された温度の算出などの機能を提供してもよい。これに加えて、TC 504のデジタル化されたデータが、更なる処理又は表示のためにホストに送信され得るように、デジタル処理ユニット518は、デジタルリンクを通じてホスト(例えば、コンピュータ又はコントローラ)とデータ通信するためのデジタルインターフェイス518aを含む。しかしながら、本発明は上記のTC信号処理回路に限定されるものではない。それとは反対に、カテーテルハンドル500のTC信号処理回路は、様々な修正及び同等の構成を有してもよい。更に、デジタル処理ユニット518は、TC 504の温度を算出しなくてもよく、デジタル化されたTC電圧信号の値に基づいて、TC 504の温度を算出するホストへ、デジタルインターフェイス518aを通じてデジタル化されたTC電圧を送信してもよい。
【0042】
図8の実施形態に記載されるように、カテーテルハンドル500でTC電圧信号をデジタル化することには、コネクタ及び全体のシステムをわたって材料遷移の数を低減し、したがって、これらの遷移に関連する測定エラーを避けることができる。カテーテルハンドル500は、1−Wire通信接続など、任意の好適なデジタルリンクを備えるホストと接続され得る。したがって、特別なTC線、例えばコンスタンタン線は、カテーテルハンドル500とホストとの間の接続線において避けることができ、よって費用も著しく減少する。
【0043】
代表的な実施形態
以下において、本発明の代表的な実施形態は、本発明の様々な態様及び特徴を更に例示するために開示される。しかしながら、これらの代表的な実施形態は、単に例示に過ぎず、本発明はこれに限定されない。
【0044】
図9は、本発明の実施形態によるTC信号処理回路600を概略的に示す図である。
【0045】
図9を参照すると、TC信号処理回路600は、カテーテルハンドルで1つ以上の回路基板(例えばプリント基板)によって実施されてもよい。TC電圧信号は、TC信号処理回路600に接続されるTC 602から出力される。ここで、TC 602及びTC信号処理回路600は、冷接点604を形成する。冷接点604でのTC電圧信号は、デジタルリンク608(例えば、単一のツイストペア接続、1−Wireバス等)にわたってホスト(例えば、コンピュータ)と通信する回路基板(IC)606(例えば、MAXIM、モジュールNo.DS2760)によって、カテーテルハンドルでデジタル化される。IC 606は、ホスト又はバス・マスターによって確実な識別及び選択を可能にする、一義的アドレス(例えば、64ビットアドレス)を有してもよい。この一義的アドレスのために、TC信号処理回路600の複数のユニットは、同じデジタルリンク608を共有することができ、ソフトウェアは、信号処理回路600のうちの1つに接続された、いずれか所与のTCから自動的にデータを認識し、これを処理することができる。TC 602と関連する情報は、IC 606自体の内部に保管されてもよい。あるいは、IC 606の一義的アドレスは、TC 602と関連する情報及び他の参照データが、ホスト又はバス・マスターで保存されることを可能にする。本発明の一実施形態では、IC 606は、1−Wireバス(すなわち、デジタルリンク680)を介して単一のバス・マスターと通信する。ここで、単一バス・マスターは、タッチ・メモリ・エグゼクティブ(touch memory executive:TMEX)プロトコルを実行し、IC 606を制御し、双方向データ及び電力は、1−Wireバスにわたって送信される。データ転送は、バイナリの1及び0をそれぞれエンコードするために、短い及び長いタイムスロットを使用して処理された半二重及びビット・シーケンシャルであってもよく、その一方で電力は、通信のアイドル時間中に送信される。
【0046】
図9の実施形態で記載されるように、IC 606は、ホストとTC 602の冷接点との間に生成されたミリボルトレベルの電圧をデジタル化し、同時に、そのオンチップ温度センサは、冷接点604での温度を連続的にモニターする。IC 606の一義的アドレスは、信号処理回路600の複数のユニットが、同じデジタルリンク608上で動作するのを可能にする。更に、IC 606は、センサ固有データ、例えばTCタイプ、位置、及びそれが稼働した日付などを保存するための、ユーザーがアクセス可能なメモリを含んでもよい。これはIC 606が、任意のTCタイプと共に使用されるのを可能にし、なぜならばホスト又はバス・マスターは、使用しているTCタイプ、及びオンチップ温度センサによって報告される冷接点の温度に基づいて、保管されたデータを使用して正確な計算を決定するからである。
【0047】
図9において、IC 606は、MAXIM DS2760であり、これは、TC 602と共に使用するための完全な信号調整及びデジタル化ソリューションを提供し、DS2760は10ビットの電圧A/D変換器、13ビットの温度A/D変換器、及び12ビットのプラス記号電流A/D変換器を含む。それはまた、関連ユーザー又はセンサのドキュメンテーションを保存することができる、32バイトのロック可能なEEPROMメモリを提供し、TCミスラベルよるエラーの可能性を最小化する。ここで、TC 602は、DS2760のA/D変換器電流入力に直接接続されてもよい。±64mV(15.625μVのLSB)のフルスケール範囲を有して、DS2760のA/D変換器は、タイプKのTCの更に低い圧力出力で、1℃よりも優れた解像度を提供する。
【0048】
したがって、DS2760(すなわちIC 606)は、標準的なTCを、マルチドロップ性能を有するスマートセンサに変換するのに使用することができる。図9において、コンデンサC1及びショットキーダイオードD1は、バスが5Vのときに、通信アイドル期間中に、バス(すなわち、デジタルリンク680)から電力をとることによって、DS2760用の電力を提供する半波整流器を形成する。ショットキーダイオードD2は、DATA及びバスのGNDに接続され、約−0.4Vの接地を下回る信号偏位を制限することによって回路の保護を提供する。ダイオードD2を伴わないと、0.6Vを超えるバス上の負の信号偏位は、DS2760の寄生素子サブストレートダイオード(parasitic substrate diode)を順方向バイアスし、その正しい機能を妨げる場合がある。バス・マスターコントロール下において、DS2760は、TC 602の温接点と冷接点との間に生じた電圧をモニターし、その内部温度センサを使用して、冷接点604の温度を測定する。バス・マスターはこの情報を使用して、温接点での実際の温度を算出する。TC 602を信号処理回路600に取り付けるときに、これらの接続とDS2760 ICパッケージ内部の回路との間に温度差が最小になるように、できる限りDS2760に近接して接続されなければならない。
【0049】
実質的に同じ温度で、冷接点604で接続を維持するために、銅トレース及び鉛配置の技法を正しく使用することで、これらの点及びこれらの点の周辺で恒温ブロックを作ることができ、ここではTCの鉛は、信号処理回路600の銅トレースに取り付けられる。温度差は、電圧差を引き起こすため、プリント基板のトレースは、一緒に配線されなくてはならず、各伝導体上に維持される同じ数の接点は、従来のカテーテルハンドル内で使用された高価なTC延長ケーブルを効果的に置き換える。DS2760は、2つの異種金属の温接点と冷接点との間に作られるミリボルトレベルの電圧信号を、ゼーベック効果によって所与の温度でデジタル化し、温接点で正しい温度が算出され得るように、ホスト又はマスターへ情報を通信する。いくつかの実施形態では、信号処理回路600は、無線データリンクによってホストと通信してもよい。
【0050】
図10、11、及び12は、本発明による信号処理回路600の更なる代表的な実施形態を示す。これらの実施の技法は、当業者の知識の範囲内であるため、これらの詳細な記載は省略される。
【0051】
図10の実施形態では、信号処理回路600は、冷接点補償を備える好適なTC増幅器704に接続されたTC 702を含む(例えば、ANALOG DEVICES Model No.AD594/AD595)。好適なアブレーション信号低減ユニット706(例えば、フェライトユニット)は、カテーテルがアブレーションカテーテルであるときに、TC 702と増幅器704との間に接続されて、アブレーション信号ピックアップをフィルタしてもよい。増幅器704は、デジタル化され、1−Wireバスを通じてホストに送信される、冷接点補償されたTC電圧信号を1−Wire A/D変換器チップ708(例えばMAXIM Model No.DS2450)に送る。
【0052】
図11の実施形態では、信号処理回路600は、好適なTC冷接点補償素子704a(例えば、LINEAR TECHNOLOGYのModel No.LT1025)に接続されたTC 702a及び好適な増幅器710を含む。増幅器710のアナログ出力は、1−Wire A/D変換器チップ708a(MAXIM Model No.DS2450)によってデジタル値に変換され、1−Wireバスを通じて送信される。
【0053】
図12では、信号処理回路600は、恒温ブロック804を通じて複数のTC(800a、800b、800c、800d)に接続された処理モジュール802(例えば、BURR−BROWN Model No.MSC1200)を含む。恒温ブロック804の温度は、温度センサ806を通じて処理モジュール802によって測定され、冷接点補償を実施する。処理モジュール802は、アナログTC電圧信号をデジタル値に変換するためのA/D変換器802aと、デジタル値に基づいてTC(800a、800b、800c、800d)によって検出された温度を算出するためのマイクロコントローラユニット(MCU)802bと、を含む。更に、MCU 802bは、冷接点補償及び線形化を実施することができる。信号処理回路600からホストへデジタルデータを送信するために、処理モジュール802は、SPI、I2C、1−Wire等の好適なデジタルリンクを通じてホストと通信する、デジタルインターフェイスユニット802cを含む。
【0054】
本開示は、現在最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるものに関連して記載されているが、本開示が、開示した実施形態に制限されるものではないことを理解されたい。反対に、添付の「特許請求の範囲」の趣旨及び範囲内の様々な修正及び変形を含むことが意図される。
【0055】
〔実施の態様〕
(1) カテーテルであって、
近位端及び遠位端を有するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトを通じて延びる第1組の伝導体であって、前記第1組の伝導体のそれぞれは、第1端部及び第2端部を有し、前記第1組の伝導体の前記第1端部は、前記カテーテルシャフトの前記遠位端で互いに連結され、第1熱電対を形成する、第1組の伝導体と、
前記カテーテルシャフトの前記近位端に連結され、かつ前記第1組の伝導体の前記第2端部を受容するハンドルであって、該ハンドルは、前記第1組の伝導体の前記第2端部に連結された、前記第1熱電対の電圧信号をデジタル化するためのデジタル化回路を内部に備える、ハンドルと、を備える、カテーテル。
(2) 前記デジタル化回路が、前記第1組の伝導体の前記第2端部に熱的に連結された恒温ブロックを備える、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) 前記デジタル化回路が、前記恒温ブロックの温度を検出するための温度センサを更に備える、実施態様2に記載のカテーテル。
(4) 前記デジタル化回路が、前記第1熱電対の前記電圧信号をフィルタリングするためのローパスフィルタを備える、実施態様1に記載のカテーテル。
(5) 前記デジタル化回路が、前記第1熱電対の前記電圧信号を増幅するための増幅器を備える、実施態様1に記載のカテーテル。
(6) 前記デジタル化回路が、前記第1熱電対の前記電圧信号に対応するデジタル値を生成するためのアナログ−デジタル変換器を備える、実施態様1に記載のカテーテル。
(7) 前記デジタル化回路が、前記デジタル値に基づいて前記第1熱電対の温度値を算出するように適合される、実施態様6に記載のカテーテル。
(8) 前記デジタル化回路が、冷接点補償を実行するように適合される、実施態様1に記載のカテーテル。
(9) 前記デジタル化回路が、少なくとも1つのデジタルアドレスによって特定することができる、実施態様1に記載のカテーテル。
(10) 前記カテーテルシャフトを通じて延びる第2組の伝導体を更に含み、前記第2組の伝導体のそれぞれは、第1端部及び第2端部を有し、前記第2組の伝導体の前記第1端部は、前記カテーテルシャフトの前記近位端と前記遠位端との間の部分で互いに連結され、第2熱電対を形成し、
前記ハンドルは、前記第2組の伝導体の前記第2端部を受容し、
前記デジタル化回路は、前記第2組の伝導体の前記第2端部に連結され、かつ前記第2熱電対の電圧信号をデジタル化するように適合される、実施態様1に記載のカテーテル。
【0056】
(11) 前記デジタル化回路が、前記第2熱電対の前記デジタル化された電圧信号に基づいて前記第2熱電対の温度値を算出するように適合される、実施態様10に記載のカテーテル。
(12) 前記デジタル化回路が、前記第1熱電対に対応する第1デジタルアドレス、及び前記第2熱電対に対応する第2デジタルアドレスを含む、少なくとも2つのデジタルアドレスによって特定することができる、実施態様10に記載のカテーテル。
(13) 前記デジタル化回路が、前記第1熱電対の前記電圧信号に対応するデータを送信するためのデジタルインターフェイスを備える、実施態様1に記載のカテーテル。
(14) 温度を測定するためのシステムであって、
ホスト、及び
前記ホストとデータ通信するカテーテルであって、前記カテーテルは、
近位端及び遠位端を有するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトを通じて延びる1組の伝導体であって、前記1組の伝導体のそれぞれは、遠位端及び近位端を有し、前記1組の伝導体の前記遠位端は、前記カテーテルシャフトの前記遠位端で互いに連結され、熱電対を形成する、1組の伝導体と、
前記カテーテルシャフトの前記近位端に連結され、かつ前記1組の伝導体の前記近位端を受容するハンドルであって、該ハンドルは、前記1組の伝導体の前記近位端に連結された、前記熱電対の電圧信号をデジタル化するためのデジタル化回路を備える、ハンドルと、を備える、カテーテルを備える、システム。
(15) 前記デジタル化回路が、前記熱電対の前記電圧信号に対応するデジタル値を生成するためのアナログ−デジタル変換器を備える、実施態様14に記載のシステム。
(16) 前記デジタル化回路が、前記デジタル値に基づいて前記熱電対の温度値を算出するように適合される、実施態様15に記載のシステム。
(17) 前記デジタル化回路が、前記熱電対の前記電圧信号に対応するデータを送信するためのデジタルインターフェイスを備える、実施態様16に記載のシステム。
(18) カテーテルを用いて温度を測定する方法であって、該方法は、
前記カテーテルのカテーテルシャフトの遠位端で、熱電対によって温度を検出することと、
前記熱電対の電圧信号を、前記カテーテルシャフトの近位端に連結されたハンドルに送信することと、
前記熱電対の前記電圧信号を、前記ハンドルに配置された回路によってデジタル化し、前記温度に対応するデジタル値を生成することと、を含む、方法。
(19) 前記ハンドルに配置された前記回路によって冷接点補償を実施することを更に含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記熱電対の前記電圧信号をローパスフィルタによって処理することを更に含む、実施態様18に記載の方法。
【0057】
(21) 前記ハンドルから離隔して配置されたホストに、デジタルリンクによって前記デジタル値を送信することを更に含む、実施態様18に記載の方法。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態の態様は、カテーテル、具体的には、改善された温度測定能力を備えるカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは医療業務において多年にわたり一般に用いられている。カテーテルの用途には、心臓における電気活動のシミュレーション及びマッピング、並びに異常な電気活動の部位の除去が挙げられる。そのようなカテーテルはまた、電極カテーテルと呼ばれる。使用時には、電極カテーテルは、主要な静脈若しくは動脈(例えば大腿動脈)に挿入され、次いで、身体内の対象の場所(例えば、心臓内の異常な電気活動がある心室)に案内される。
【0003】
いったんカテーテルが、患者の身体内の意図された場所に到達すると、医師は、アブレーション処置を使用して、異常な電気活動を生じる組織を破壊し、電気信号の不規則性を取り除き、かつ正常の心拍又は少なくとも改善された心拍に戻すように試みる。典型的なアブレーション処置は一般的に、患者の皮膚にテープで貼られた基準電極を提供することを伴う。RF(高周波)電流を先端電極に通電すると、先端電極の周囲の媒質(すなわち、血液及び組織)に、基準電極に向かって電流が流れる。電流の分布は、組織よりも導電性が高い血液に対する、組織と接触した電極表面の量によって決まる。組織の電気抵抗によって組織の加熱が発生する。組織が十分に加熱されると心組織の細胞が破壊され、心臓組織内に非導電性の損傷部位が形成される。この過程では、加熱された組織から電極自体への伝導によって電極も加熱する。電極温度が十分に高くなり、脱水された血中タンパク質の薄く透明な皮膜が電極表面に形成される場合がある。温度が上昇し続けると、この脱水層が徐々に厚くなり、電極表面に焦げ及び/又は血栓を生じる。焦げ及び血栓の生成は、焦げ及び血栓が、処置の間、又は処置の後にカテーテルを取り外す間に、電極から落ちる場合があるため危険である。
【0004】
臨床診療では、焦げ及び血栓の形成を低減する又は排除することが望ましく、特定の心不整脈では、より大きい及び/又はより深い損傷を生じさせることが好ましい。この目的を達成するための1つの方法は、アブレーション電極の温度をモニターし、この温度に基づいて、アブレーション電極に流されるRF電流を制御することである。温度が事前に選択された値よりも上昇した場合、温度がこの値よりも下がるまで電流は減少される。したがって、カテーテルの先端部、例えばアブレーション電極先端部は、温度測定を備えている。温度測定用に利用可能である多くの温度検出変換器の中で、熱電対(TC)が、その単純な構造体及び耐久性のために一般に使用されている。
【0005】
温度センサとしてTCを使用することは、TC線と同じ材料で作製された特別なケーブル及びコネクタの使用を必要とし、さもなければ、単一の経路(例えば、コネクタ)における材料の遷移は、異種金属の追加接点及び追加の熱接点を形成する。しかしながら、コンスタンタンピン及びソケットなど、TC材料と共に埋め込まれる使い捨て医療デバイス(例えば、カテーテル)のための既製のコネクタは周知ではなく、そのようなピン及びソケットは、高い嵌合サイクルの要件、並びに高いピン密度及び接合の品質など、他の医療デバイスコネクタの要件と併せて、設計を難しいものにしている。したがって、一般的な使い捨ての医療デバイスは典型的に、適切なTC材料を使用していない既製のコネクタによって接続される。よって、コネクタの2つの側の間の、いずれかの材料の差異は、測定エラーにつながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、温度測定のためのTCを備えた、改善されたカテーテルを提供することが望ましい。特に、異種金属の追加接点及び追加の熱接点によって生じるTCの測定エラーを低減することは望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の代表的な実施形態は、改善されたTC温度測定能力を備えるカテーテルを提供する。代表的な実施形態によると、カテーテルは、ハンドル内のTC接続及び配線が減少され得るように、カテーテルのハンドルでTC電圧信号をデジタル化するためのTC信号処理回路を含み、TC電圧信号のデジタル値は、TC線を使用することなく、デジタルリンクを介してハンドルからホストに送信され得る。
【0008】
本発明の実施形態によると、カテーテルは近位端及び遠位端を有するカテーテルシャフトを含む。カテーテルシャフトは典型的に、近位カテーテル本体と、中間の偏向可能部分と、温度検出が望ましい場所である先端アブレーション電極を含む遠位先端区分と、を含む。第1組の伝導体は、カテーテルシャフトを通じて延び、第1組の伝導体のそれぞれは、第1端部及び第2端部を有する。第1組の伝導体の第1端部は、カテーテルシャフトの遠位端で互いに連結され、第1熱電対を形成する。ハンドルは、カテーテルシャフトの近位端に連結され、かつ第1組の伝導体の第2端部を受容する。ハンドルは、第1組の伝導体の第2端部に連結された、第1熱電対の電圧信号をデジタル化するためのデジタル化回路を内部に含む。
【0009】
デジタル化回路は、第1組の伝導体の第2端部に熱的に連結された恒温ブロックを含んでもよい。デジタル化回路は、恒温ブロックの温度を検出するための温度センサを含んでもよい。デジタル化回路は、第1熱電対の電圧信号をフィルタリングするためのローパスフィルタを含んでもよい。デジタル化回路は、第1熱電対の電圧信号を増幅するための増幅器を含んでもよい。デジタル化回路は、第1熱電対の電圧信号に対応するデジタル値を生成するためのアナログ−デジタル変換器を含んでもよい。デジタル化回路は、デジタル値に基づいて第1熱電対の温度値を算出するように適合されてもよい。デジタル化回路は、冷接点補償を実行するように適合されてもよい。デジタル化回路は、少なくとも1つのデジタルアドレスによって特定することが可能であってもよい。カテーテルは、カテーテルシャフトを通じて延びる第2組の伝導体を更に含んでもよい。第2組の伝導体のそれぞれは、第1端部及び第2端部を有し、第2組の伝導体の第1端部は、カテーテルシャフトの近位端と遠位端との間の部分で互いに連結され、第2熱電対を形成する。ハンドルは、第2組の伝導体の第2端部を受容する。デジタル化回路は、第2組の伝導体の第2端部に連結され、かつ第2熱電対の電圧信号をデジタル化するように適合される。
【0010】
デジタル化回路は、第2熱電対のデジタル化された電圧信号に基づいて第2熱電対の温度値を算出するように適合されてもよい。デジタル化回路は、第1熱電対に対応する第1デジタルアドレス、及び第2熱電対に対応する第2デジタルアドレスを含む、少なくとも2つのデジタルアドレスによって特定が可能であってもよい。デジタル化回路は、第1熱電対の電圧信号に対応するデータを送信するためのデジタルインターフェイスを含んでもよい。
【0011】
本発明の実施形態によると、温度を測定するためのシステムが提供される。システムは、ホスト、及びホストとデータ通信するカテーテルを含む。カテーテルは、近位端及び遠位端を有するカテーテルシャフトと、カテーテルシャフトを通じて延びる1組の伝導体と、を含む。1組の伝導体のそれぞれは、遠位端及び近位端を有する。第1組の伝導体の遠位端は、カテーテルシャフトの遠位端で互いに連結され、熱電対を形成する。ハンドルは、カテーテルシャフトの近位端に連結され、かつ1組の伝導体の近位端を受容する。ハンドルは、1組の伝導体の近位端に連結された、熱電対の電圧信号をデジタル化するためのデジタル化回路を内部に含む。
【0012】
本発明の実施形態によると、カテーテルを用いて温度を測定するための方法が提供される。本方法は、カテーテルのカテーテルシャフトの遠位端で、熱電対によって温度を検出する工程と、熱電対の電圧信号を、カテーテルシャフトの近位端に連結されたハンドルに送信する工程と、熱電対の電圧信号を、ハンドルに配置された回路によってデジタル化し、温度に対応するデジタル値を生成する工程と、を含む。
【0013】
本方法は、ハンドルに配置された回路によって冷接点補償を実施する工程を更に含んでもよい。本方法は、熱電対の電圧信号をローパスフィルタによって処理する工程を更に含んでもよい。本方法は、ハンドルから離隔して配置されたホストに、デジタルリンクによってデジタル値を送信する工程を更に含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の特徴及び態様は、添付図面と併せて以下の「発明を実施するための形態」から、より明らかになるであろう
【図1】本発明の一実施形態によるカテーテルの側面図。
【図2A】第1直径に沿った、カテーテル本体と中間区分との接点を含む、図1のカテーテルの側断面図。
【図2B】第1直径に対してほぼ垂直な第2直径に沿った、カテーテル本体と中間区分との接点を含む、図1のカテーテルの側断面図。
【図2C】線C−−Cに沿って取った、図2A及び2Bのカテーテルの末端部断面図。
【図2D】線2D−−2Dに沿って取った、図4のカテーテルの末端部断面図。
【図3】中間区分とコネクタ管との間の接点を含む、図1のカテーテルの側断面図。
【図4】コネクタ管と先端電極の間の接点を含む、図1のカテーテルの側断面図。
【図5】図1のカテーテルの制御ハンドルの側断面図。
【図6】TC測定回路及びその同等な回路を図示する図面。
【図7】温度測定のために従来のカテーテルを使用する設定を概念的に示すブロック図。
【図8】本発明の実施形態による、TC信号処理回路を含むカテーテルハンドルを概念的に示す図。
【図9】本発明の実施形態によるTC信号処理回路を概略的に示す図。
【図10】本発明によるTC信号処理回路の更なる代表的な実施形態を示す。
【図11】本発明によるTC信号処理回路の更なる代表的な実施形態を示す。
【図12】本発明によるTC信号処理回路の更なる代表的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態は、以下において、詳述され、代表的な実施形態が示される。本開示は、しかしながら、多くの異なる形態で具体化されてもよく、以下に説明される代表的な実施形態に限定されるものと解釈されるものではない。ここで、第1要素が、第2要素に結合されている又は接続されていると記載されているとき、第1要素は、第2要素に直接接続されてもよく、又は1つ以上の第3要素を介して第2要素に間接的に接続されてもよい。
【0016】
従来のカテーテルは、TCにより検出された温度を決定するために、TC(熱電対)電圧信号をカテーテルシャフトから受容し、TC電圧信号の更なる処理のために、複数の伝導体を介して、カテーテルのハンドルを通じて、離間したホスト又はコントローラにTC電圧信号を送る。かかる温度インターフェイスシステムは、コネクタインターフェイスで使用される異種のTC線の1つ以上の接続部のために、信号劣化を被る。コネクタはまた、可変ピン接続抵抗をもたらし、これはコネクタ間に電圧降下を生じさせ、よってTC信号解像度における劣化を被る。
【0017】
本発明の態様は、温度検出のためのTCを備えた、改善されたカテーテルに関する。本発明の代表的な実施形態は、カテーテルの制御ハンドルでTC信号処理回路を備えるカテーテルを開示し、これによってTC電圧信号は、ハンドル内のTC信号処理回路によって処理され(例えば、デジタル化)、デジタルデータリンクを介してホストにデジタルデータとして出力され得る。
【0018】
図1は、本発明の実施形態によるカテーテル10の側面図を示す図である。カテーテル10は、近位端及び遠位端を有する細長いカテーテルシャフト又は本体12と、カテーテルシャフト12の単方向若しくは双方向偏向の遠位端を備える中間区分14と、中間区分の遠位端で先端電極17を備える先端区分15と、カテーテルシャフト12の近位端でハンドル16(例えば、制御ハンドル)を含む。
【0019】
図2A及び2Bに示されるように、カテーテル本体12は、単一の軸又は中央ルーメン19を有する細長い管状の構造を備える。カテーテル本体12は可撓性、すなわち曲げることができるが、その長さに沿ってはほとんど圧縮することはできない。カテーテル本体12は任意の好適な構造のものでよく、任意の好適な材料で形成することができる。本発明における好ましい構造は、ポリウレタン又はPEBAXで形成された外壁20を含む。外壁20は、ステンレス鋼等の埋め込まれた編組メッシュを備え、カテーテル本体12のねじり剛性を上昇させ、その結果、制御ハンドル16が回転するとき、カテーテル10の中間区分14は対応する様式で回転することができる。
【0020】
カテーテル本体12の外径は重要ではないが、好ましくは約9フレンチ以下、より好ましくは約7フレンチである。同様に、外壁20の厚さもそれほど重要ではないが、外壁20は、中央ルーメン19が引込線、1つ以上のリード線、及び他の任意の所望の線、ケーブル又はチューブを収容できるように充分に薄い。必要に応じて、外壁20の内面は、ねじり安定性を向上させるために補強管21で裏打ちされる。一実施形態では、カテーテル10は、約0.229cm(0.090インチ)〜約0.239cm(0.094インチ)の外径、及び約0.155cm(0.061インチ)〜約0.165cm(0.065インチ)の内径を備える外壁20を有する。
【0021】
中間区分14は、図2Cにも示されるような、複数のルーメンを有する管22の短い区分を備える。一実施形態では、第1ルーメン30は、1つ以上のリード線50、先端電極17における組織の温度をモニタリングするための熱電対TC(例えば、熱電対線43及び44)、並びに先端区分14に収容された電磁位置75センサのためのケーブル74を有する。第2ルーメン32及び第3ルーメン34は、引込線64を有する。第4ルーメン35は、先端電極に流体を供給するための灌注管61を有する。管22は、好ましくは、カテーテル本体12よりも可撓性である、好適な非毒性材料で作製される。一実施形態では、管22は、編組ポリウレタン、すなわち編組ステンレス鋼等の埋込みメッシュを有するポリウレタンである。ルーメンの数又は各ルーメンの寸法は重要ではないが、実施形態によって、リード線、引込線、電磁センサケーブル、熱センサ及び/又は灌注管を収容するのに十分である。
【0022】
カテーテル本体12を中間区分14に取り付ける好ましい手段が、図2A及び2Bに示されている。中間区分14の近位端は、カテーテル本体12の外壁20の内面を受容する外周ノッチ26を含む。中間区分14とカテーテル本体12とは、接着剤などによって取り付けられている。
【0023】
所望により、カテーテル本体内において補強管21の遠位端と中間区分の近位端との間にスペーサ(図示せず)が設置されてもよい。スペーサは、カテーテル本体と中間区分との間の接点で可撓性に変化をもたらし、これにより、接点が折り畳まれる又はよじれることなく滑らかに曲がることが可能にする。そのようなスペーサを有するカテーテルが、その全開示内容を本願に援用する米国特許第5,964,757号に述べられている。
【0024】
図4に示されるように、先端区分15は、先端電極17を含み、これは単一のルーメンコネクタ管23によって中間区分14の管22に接続されてもよい。コネクタ管は、電磁位置センサ75、及び管22から延びる様々な構成要素のための空間を提供し、先端電極17内に固定するために必要に応じて、様々な構成要素を方向付ける。その目的のために、先端電極の遠心面は、止まり孔が提供されている。開示された実施形態では、止まり孔51は、リード線50の遠位端を受容するように、止まり孔53はTCの遠位端を受容するように、並びに止まり孔55は電磁センサ75の遠位端を受容するように提供される。灌注経路56もまた、先端電極に形成され、灌注管61の遠位端を受容する。経路55は、横方向の分岐部57及び流体ポート59と連通し、流体が管61を通って送達され、先端電極の外側を通過するのを可能にする。
【0025】
図2Bに示されるように、引込線64は、中間区分14の双方向偏向のために提供される。カテーテル本体12を通って延びる引込線64は、それらの近位端で制御ハンドル16に、並びにそれらの遠位端で中間区分14の遠位端近くの管23に、米国特許第5,893,885号及び同第6,066,125号(これらの開示全体は、ここに援用する)に一般に記載されるように、Tバー固定具の手段によって固定される。引込線は、ステンレス鋼、又はニチノールなど任意の好適な金属で作製され、テフロンRTM等でコーティングされるのが好ましい。コーティングは、引込線64に潤滑性を付与する。引込線64は、好ましくは、約0.015cm〜約0.025cm(約0.006インチ〜約0.010インチ)の範囲の直径を有する。
【0026】
圧縮コイル66は、図2Bに示されるように、各引込線64を包囲する関係でカテーテル本体12内に配置されている。圧縮コイル66は、カテーテル本体12の近位端から中間区分14の近位端まで延在する。圧縮コイル66は、好適な金属、好ましくはステンレス鋼で作製される。各圧縮コイル66は、可撓性をもたらすため、すなわち、曲がるが圧縮に耐えるように、それ自体に緊密に巻かれる。圧縮コイル66の内径は好ましくは、引込線64の直径よりもわずかに大きなものである。引込線64をコーティングするテフロンRTMは、それが、圧縮コイル66内を自由に摺動することを可能にする。それぞれの圧縮コイル66の外表面は、例えば、ポリイミド管製等の可撓性の非導電性シース68によって被覆される。
【0027】
好適なカテーテルシャフト構造体の例は、米国特許第6,064,905号、同第6,477,396号、及び同第7,366,557号に記載されており、これらの全開示はここに援用するものである。
【0028】
カテーテル本体12に対する、引込線64の長手方向の運動は(これは結果として、中間区分14が偏向することになる)、制御ハンドル16の適切な操作によって達成される。本発明で使用するための好適な制御ハンドルの例は、米国特許第Re 34,502号、同第5,897,529号、及び同第7,377,906号に記載されており、これらの全開示は本明細書において参照として援用される。
【0029】
図5は、カテーテル10の制御ハンドル16の側断面図を示す図である。図5は、ハンドル16に配置され、カテーテルシャフト12から延びるTCに接続されている回路基板18を概念的に示す。ここで、ハンドル16及び回路基板18は、任意の好適な形状及び寸法を有してもよい。当業者として、ハンドル内の回路基板の位置は、ハンドル内の構造及び構成要素(例えば中間区分14、及び制御ハンドルを通って、かつカテーテルシャフト及びその後ろに沿って遠位に延びる様々な線、ケーブル、管)によって変化してもよい。TC 20からの電圧信号が処理され、デジタル化され、ホストに出力され得るように、回路基板18は、TC 20と境界を接するTC信号処理回路を含む。
【0030】
TCは例えば、エナメル加工されたペア線によって形成され、ここで1つの線は銅線43(例えばNo.40の銅線)であり、他方の線44はコンスタンタン線である。線43及び44は、それらの遠位端を除き、互いから電気的に絶縁され、遠位端では、それらは一緒に接続され(例えば、一緒に捻り合わされ)、プラスチック管58(例えばポリアミド)の短片によって被覆され、エポキシで被覆される。プラスチック管58は次いで、ポリウレタンの接着剤等によって先端電極17の止まり孔53の遠位区分に取り付けられる。
【0031】
線43及び44は、カテーテルシャフト12の中央ルーメン19を通じて延在し、ハンドル16内の回路基板18に接続される。線43及び線44は、異なる金属又は金属合金から作製され、検出端部(すなわち、カテーテルシャフトの先端電極17)で一緒に接続され、これは温接点と呼ばれる。TCは、回路基板18に接続された線43及び44の他方の端部(冷接点と呼ばれ、既知の温度に維持されている)にわたる電圧差を出力する(TC電圧信号)。冷接点は、温接点よりも、一部の応用例ではより温かい場合がある。その場合、TCの出力電圧の極性は単に逆である。したがって、TCは、冷接点での絶対温度よりはむしろ、その温接点と冷接点間の温度差を測定する。様々なTCの出力電圧は、一般的に使用されている金属及び合金のペアに関して表にされている。標準的なペアは、1つの大文字によって表されて(例えば、コンスタンタン−銅TCに関しては、「T」)、これは、その比較的高い精度及び適切な線形範囲により、医療用途のTCタイプに最も一般的に使用されている。表にされたデータは、0℃の仮定された冷接点温度に基づいている。したがって、温接点検出点の絶対温度を入手するためには、冷接点温度を測定し、それに従ってTCの出力電圧を調整しなければならない。この技法は、冷接点補償と呼ばれる。
【0032】
図6は、TC測定回路100及びその同等な回路図を図示する図面である。
【0033】
図6を参照すると、TC測定回路100は、機器104のコネクタ102に接続されているTタイプTC 101を含む。温接点106は、その温度を検出するために対象物の近くに配置される。TC測定回路100は、その同等な回路100aによって概略的に表されており、ここではJ1温接点106を表し、J2は冷接点(すなわち、TC 101とコネクタ102との間の接続)を表す。冷接点J2は、恒温ブロック120(すなわち、恒温バリア)上にあり、これによって冷接点J2の絶対温度が測定され得る。
【0034】
恒温ブロック120の温度は、例えば好適なサーミスタ122によって測定されてもよく、これによって基準温度が決定され得る。TCの所望の温度範囲を網羅するために、十分なゲインを備える増幅器が提供され、TC電圧信号を増幅してもよい。TC 101は本質的に非線形デバイスであるため、TC電圧信号は、当該技術分野において周知の好適なハードウェア及び/又はソフトウェアに基づく方法によって補償されてもよい。線形化は、TC 101によって測定された温度の範囲の精度を改善し、これを拡大する。
【0035】
図7は、温度測定のために従来のカテーテルを使用する設定を概念的に示すブロック図である。
【0036】
図7を参照し、カテーテル200はハンドル及びTタイプのTC 204を含む。TC 204の温接点は、カテーテル200の先端に配置されてもよく、TC 204の銅及びコンスタンタン線は、ハンドルコネクタ206(例えば、ピン及びソケット)を通じてケーブル300に接続される。ここで、2つのTC接続、すなわち、TC 204のコンスタンタン線とハンドルコネクタ206の金メッキされたピン(C1と示される)との間の接続と、ケーブル300のコンスタンタン線とハンドルコネクタ206の金メッキされたピン(C2と示される)との間の接続とが、ハンドルコネクタ206によって作られる。ケーブル300の他方の端部は、機器400の前側パネルコネクタ402(例えば、ピン及びソケット)を通じて機器400に接続される。ここで、他の2つのTC接続、すなわち、ケーブル300のコンスタンタン線とコネクタ402の金メッキされたピン(C3と示される)との間の接続と、機器400内のコンスタンタン線とコネクタ402の金メッキされたピン(C4と示される)との間の接続とが、前側パネルコネクタ402によって作られる。コネクタ206及び402は、コンスタンタン線と適合するための適切なTC材料から作製されていないため、TC接続部(C1、C2、C3、及びC4)は、測定エラーを引き起こす誤差電圧を取り込む。
【0037】
図7の従来の配置では、TC 204及び低レベルのTC電圧信号(例えば、低いミリボルトの範囲)の経路を使用する温度測定は、異なる金属/金属合金(例えば、非TC材料)異種コネクタのコンタクトピンの複数のコネクタの組を通じて、読み取り機器(例えば機器400)に温度出力し、TC電圧信号が、異種材料の一連の接続点を通じて劣化するため、測定エラーを引き起こす。
【0038】
本発明の実施形態によると、TC信号の劣化は、カテーテルハンドルにおけるTC信号処理回路を実施し、カテーテルハンドルでの冷接点でTC電圧信号をデジタル化することにより排除又は低減することができる。
【0039】
図8は、本発明の実施形態による、TC信号処理回路を含むカテーテルハンドル500を、概念的に示す図である。
【0040】
図8を参照すると、カテーテルハンドル500内に配置されたTC信号処理回路は、カテーテルシャフト(図示せず)からTC 504を受容する、冷接点恒温ブロック502を含む。恒温ブロック502は、高い熱伝導率を有する小さなスラブ材料(例えば、高い熱伝導率を有する銅又は他の好適な材料)によって維持され得る。そこにTC 504が接続される入力接続部506は、電気的に絶縁されているが、恒温ブロック502を通じて熱的に連結されている。一実施形態では、信号処理回路全体は、恒温ブロック502に含まれてもよい。更に、信号処理回路は、ローパスフィルタ508、低レベルのDC増幅器510、温度センサ512、冷接点補償回路514、アナログ−デジタル(A/D)変換器516、及びデジタル処理ユニット518を含んでもよい。いくつかの実施形態では、A/D変換器516及びデジタル処理ユニット518は、同じ回路モジュール(例えば、集積回路)に含まれてもよい。更に、上記の信号処理回路が、記載された要素の一部又は全てを含んでもよく、かつ当該技術分野において周知の追加の回路要素を含んでもよいということを当業者は理解するであろう。
【0041】
カテーテルがアブレーションカテーテルであるときに、ローパスフィルタ508は、例えばアブレーション信号ピックアップのための信号飽和を排除する又は低減する。いくつかの実施形態では、ローパスフィルタ508は省略されてもよい。A/D変換器516は、その対応するデジタル値にTC電圧信号をデジタル化させ、これはデジタル処理ユニット518によって処理される。例えば、デジタル処理ユニット518は、オープン熱電対検出及びアラーム、冷接点補償、線形化、及びTC 504によって検出された温度の算出などの機能を提供してもよい。これに加えて、TC 504のデジタル化されたデータが、更なる処理又は表示のためにホストに送信され得るように、デジタル処理ユニット518は、デジタルリンクを通じてホスト(例えば、コンピュータ又はコントローラ)とデータ通信するためのデジタルインターフェイス518aを含む。しかしながら、本発明は上記のTC信号処理回路に限定されるものではない。それとは反対に、カテーテルハンドル500のTC信号処理回路は、様々な修正及び同等の構成を有してもよい。更に、デジタル処理ユニット518は、TC 504の温度を算出しなくてもよく、デジタル化されたTC電圧信号の値に基づいて、TC 504の温度を算出するホストへ、デジタルインターフェイス518aを通じてデジタル化されたTC電圧を送信してもよい。
【0042】
図8の実施形態に記載されるように、カテーテルハンドル500でTC電圧信号をデジタル化することには、コネクタ及び全体のシステムをわたって材料遷移の数を低減し、したがって、これらの遷移に関連する測定エラーを避けることができる。カテーテルハンドル500は、1−Wire通信接続など、任意の好適なデジタルリンクを備えるホストと接続され得る。したがって、特別なTC線、例えばコンスタンタン線は、カテーテルハンドル500とホストとの間の接続線において避けることができ、よって費用も著しく減少する。
【0043】
代表的な実施形態
以下において、本発明の代表的な実施形態は、本発明の様々な態様及び特徴を更に例示するために開示される。しかしながら、これらの代表的な実施形態は、単に例示に過ぎず、本発明はこれに限定されない。
【0044】
図9は、本発明の実施形態によるTC信号処理回路600を概略的に示す図である。
【0045】
図9を参照すると、TC信号処理回路600は、カテーテルハンドルで1つ以上の回路基板(例えばプリント基板)によって実施されてもよい。TC電圧信号は、TC信号処理回路600に接続されるTC 602から出力される。ここで、TC 602及びTC信号処理回路600は、冷接点604を形成する。冷接点604でのTC電圧信号は、デジタルリンク608(例えば、単一のツイストペア接続、1−Wireバス等)にわたってホスト(例えば、コンピュータ)と通信する回路基板(IC)606(例えば、MAXIM、モジュールNo.DS2760)によって、カテーテルハンドルでデジタル化される。IC 606は、ホスト又はバス・マスターによって確実な識別及び選択を可能にする、一義的アドレス(例えば、64ビットアドレス)を有してもよい。この一義的アドレスのために、TC信号処理回路600の複数のユニットは、同じデジタルリンク608を共有することができ、ソフトウェアは、信号処理回路600のうちの1つに接続された、いずれか所与のTCから自動的にデータを認識し、これを処理することができる。TC 602と関連する情報は、IC 606自体の内部に保管されてもよい。あるいは、IC 606の一義的アドレスは、TC 602と関連する情報及び他の参照データが、ホスト又はバス・マスターで保存されることを可能にする。本発明の一実施形態では、IC 606は、1−Wireバス(すなわち、デジタルリンク680)を介して単一のバス・マスターと通信する。ここで、単一バス・マスターは、タッチ・メモリ・エグゼクティブ(touch memory executive:TMEX)プロトコルを実行し、IC 606を制御し、双方向データ及び電力は、1−Wireバスにわたって送信される。データ転送は、バイナリの1及び0をそれぞれエンコードするために、短い及び長いタイムスロットを使用して処理された半二重及びビット・シーケンシャルであってもよく、その一方で電力は、通信のアイドル時間中に送信される。
【0046】
図9の実施形態で記載されるように、IC 606は、ホストとTC 602の冷接点との間に生成されたミリボルトレベルの電圧をデジタル化し、同時に、そのオンチップ温度センサは、冷接点604での温度を連続的にモニターする。IC 606の一義的アドレスは、信号処理回路600の複数のユニットが、同じデジタルリンク608上で動作するのを可能にする。更に、IC 606は、センサ固有データ、例えばTCタイプ、位置、及びそれが稼働した日付などを保存するための、ユーザーがアクセス可能なメモリを含んでもよい。これはIC 606が、任意のTCタイプと共に使用されるのを可能にし、なぜならばホスト又はバス・マスターは、使用しているTCタイプ、及びオンチップ温度センサによって報告される冷接点の温度に基づいて、保管されたデータを使用して正確な計算を決定するからである。
【0047】
図9において、IC 606は、MAXIM DS2760であり、これは、TC 602と共に使用するための完全な信号調整及びデジタル化ソリューションを提供し、DS2760は10ビットの電圧A/D変換器、13ビットの温度A/D変換器、及び12ビットのプラス記号電流A/D変換器を含む。それはまた、関連ユーザー又はセンサのドキュメンテーションを保存することができる、32バイトのロック可能なEEPROMメモリを提供し、TCミスラベルよるエラーの可能性を最小化する。ここで、TC 602は、DS2760のA/D変換器電流入力に直接接続されてもよい。±64mV(15.625μVのLSB)のフルスケール範囲を有して、DS2760のA/D変換器は、タイプKのTCの更に低い圧力出力で、1℃よりも優れた解像度を提供する。
【0048】
したがって、DS2760(すなわちIC 606)は、標準的なTCを、マルチドロップ性能を有するスマートセンサに変換するのに使用することができる。図9において、コンデンサC1及びショットキーダイオードD1は、バスが5Vのときに、通信アイドル期間中に、バス(すなわち、デジタルリンク680)から電力をとることによって、DS2760用の電力を提供する半波整流器を形成する。ショットキーダイオードD2は、DATA及びバスのGNDに接続され、約−0.4Vの接地を下回る信号偏位を制限することによって回路の保護を提供する。ダイオードD2を伴わないと、0.6Vを超えるバス上の負の信号偏位は、DS2760の寄生素子サブストレートダイオード(parasitic substrate diode)を順方向バイアスし、その正しい機能を妨げる場合がある。バス・マスターコントロール下において、DS2760は、TC 602の温接点と冷接点との間に生じた電圧をモニターし、その内部温度センサを使用して、冷接点604の温度を測定する。バス・マスターはこの情報を使用して、温接点での実際の温度を算出する。TC 602を信号処理回路600に取り付けるときに、これらの接続とDS2760 ICパッケージ内部の回路との間に温度差が最小になるように、できる限りDS2760に近接して接続されなければならない。
【0049】
実質的に同じ温度で、冷接点604で接続を維持するために、銅トレース及び鉛配置の技法を正しく使用することで、これらの点及びこれらの点の周辺で恒温ブロックを作ることができ、ここではTCの鉛は、信号処理回路600の銅トレースに取り付けられる。温度差は、電圧差を引き起こすため、プリント基板のトレースは、一緒に配線されなくてはならず、各伝導体上に維持される同じ数の接点は、従来のカテーテルハンドル内で使用された高価なTC延長ケーブルを効果的に置き換える。DS2760は、2つの異種金属の温接点と冷接点との間に作られるミリボルトレベルの電圧信号を、ゼーベック効果によって所与の温度でデジタル化し、温接点で正しい温度が算出され得るように、ホスト又はマスターへ情報を通信する。いくつかの実施形態では、信号処理回路600は、無線データリンクによってホストと通信してもよい。
【0050】
図10、11、及び12は、本発明による信号処理回路600の更なる代表的な実施形態を示す。これらの実施の技法は、当業者の知識の範囲内であるため、これらの詳細な記載は省略される。
【0051】
図10の実施形態では、信号処理回路600は、冷接点補償を備える好適なTC増幅器704に接続されたTC 702を含む(例えば、ANALOG DEVICES Model No.AD594/AD595)。好適なアブレーション信号低減ユニット706(例えば、フェライトユニット)は、カテーテルがアブレーションカテーテルであるときに、TC 702と増幅器704との間に接続されて、アブレーション信号ピックアップをフィルタしてもよい。増幅器704は、デジタル化され、1−Wireバスを通じてホストに送信される、冷接点補償されたTC電圧信号を1−Wire A/D変換器チップ708(例えばMAXIM Model No.DS2450)に送る。
【0052】
図11の実施形態では、信号処理回路600は、好適なTC冷接点補償素子704a(例えば、LINEAR TECHNOLOGYのModel No.LT1025)に接続されたTC 702a及び好適な増幅器710を含む。増幅器710のアナログ出力は、1−Wire A/D変換器チップ708a(MAXIM Model No.DS2450)によってデジタル値に変換され、1−Wireバスを通じて送信される。
【0053】
図12では、信号処理回路600は、恒温ブロック804を通じて複数のTC(800a、800b、800c、800d)に接続された処理モジュール802(例えば、BURR−BROWN Model No.MSC1200)を含む。恒温ブロック804の温度は、温度センサ806を通じて処理モジュール802によって測定され、冷接点補償を実施する。処理モジュール802は、アナログTC電圧信号をデジタル値に変換するためのA/D変換器802aと、デジタル値に基づいてTC(800a、800b、800c、800d)によって検出された温度を算出するためのマイクロコントローラユニット(MCU)802bと、を含む。更に、MCU 802bは、冷接点補償及び線形化を実施することができる。信号処理回路600からホストへデジタルデータを送信するために、処理モジュール802は、SPI、I2C、1−Wire等の好適なデジタルリンクを通じてホストと通信する、デジタルインターフェイスユニット802cを含む。
【0054】
本開示は、現在最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるものに関連して記載されているが、本開示が、開示した実施形態に制限されるものではないことを理解されたい。反対に、添付の「特許請求の範囲」の趣旨及び範囲内の様々な修正及び変形を含むことが意図される。
【0055】
〔実施の態様〕
(1) カテーテルであって、
近位端及び遠位端を有するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトを通じて延びる第1組の伝導体であって、前記第1組の伝導体のそれぞれは、第1端部及び第2端部を有し、前記第1組の伝導体の前記第1端部は、前記カテーテルシャフトの前記遠位端で互いに連結され、第1熱電対を形成する、第1組の伝導体と、
前記カテーテルシャフトの前記近位端に連結され、かつ前記第1組の伝導体の前記第2端部を受容するハンドルであって、該ハンドルは、前記第1組の伝導体の前記第2端部に連結された、前記第1熱電対の電圧信号をデジタル化するためのデジタル化回路を内部に備える、ハンドルと、を備える、カテーテル。
(2) 前記デジタル化回路が、前記第1組の伝導体の前記第2端部に熱的に連結された恒温ブロックを備える、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) 前記デジタル化回路が、前記恒温ブロックの温度を検出するための温度センサを更に備える、実施態様2に記載のカテーテル。
(4) 前記デジタル化回路が、前記第1熱電対の前記電圧信号をフィルタリングするためのローパスフィルタを備える、実施態様1に記載のカテーテル。
(5) 前記デジタル化回路が、前記第1熱電対の前記電圧信号を増幅するための増幅器を備える、実施態様1に記載のカテーテル。
(6) 前記デジタル化回路が、前記第1熱電対の前記電圧信号に対応するデジタル値を生成するためのアナログ−デジタル変換器を備える、実施態様1に記載のカテーテル。
(7) 前記デジタル化回路が、前記デジタル値に基づいて前記第1熱電対の温度値を算出するように適合される、実施態様6に記載のカテーテル。
(8) 前記デジタル化回路が、冷接点補償を実行するように適合される、実施態様1に記載のカテーテル。
(9) 前記デジタル化回路が、少なくとも1つのデジタルアドレスによって特定することができる、実施態様1に記載のカテーテル。
(10) 前記カテーテルシャフトを通じて延びる第2組の伝導体を更に含み、前記第2組の伝導体のそれぞれは、第1端部及び第2端部を有し、前記第2組の伝導体の前記第1端部は、前記カテーテルシャフトの前記近位端と前記遠位端との間の部分で互いに連結され、第2熱電対を形成し、
前記ハンドルは、前記第2組の伝導体の前記第2端部を受容し、
前記デジタル化回路は、前記第2組の伝導体の前記第2端部に連結され、かつ前記第2熱電対の電圧信号をデジタル化するように適合される、実施態様1に記載のカテーテル。
【0056】
(11) 前記デジタル化回路が、前記第2熱電対の前記デジタル化された電圧信号に基づいて前記第2熱電対の温度値を算出するように適合される、実施態様10に記載のカテーテル。
(12) 前記デジタル化回路が、前記第1熱電対に対応する第1デジタルアドレス、及び前記第2熱電対に対応する第2デジタルアドレスを含む、少なくとも2つのデジタルアドレスによって特定することができる、実施態様10に記載のカテーテル。
(13) 前記デジタル化回路が、前記第1熱電対の前記電圧信号に対応するデータを送信するためのデジタルインターフェイスを備える、実施態様1に記載のカテーテル。
(14) 温度を測定するためのシステムであって、
ホスト、及び
前記ホストとデータ通信するカテーテルであって、前記カテーテルは、
近位端及び遠位端を有するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトを通じて延びる1組の伝導体であって、前記1組の伝導体のそれぞれは、遠位端及び近位端を有し、前記1組の伝導体の前記遠位端は、前記カテーテルシャフトの前記遠位端で互いに連結され、熱電対を形成する、1組の伝導体と、
前記カテーテルシャフトの前記近位端に連結され、かつ前記1組の伝導体の前記近位端を受容するハンドルであって、該ハンドルは、前記1組の伝導体の前記近位端に連結された、前記熱電対の電圧信号をデジタル化するためのデジタル化回路を備える、ハンドルと、を備える、カテーテルを備える、システム。
(15) 前記デジタル化回路が、前記熱電対の前記電圧信号に対応するデジタル値を生成するためのアナログ−デジタル変換器を備える、実施態様14に記載のシステム。
(16) 前記デジタル化回路が、前記デジタル値に基づいて前記熱電対の温度値を算出するように適合される、実施態様15に記載のシステム。
(17) 前記デジタル化回路が、前記熱電対の前記電圧信号に対応するデータを送信するためのデジタルインターフェイスを備える、実施態様16に記載のシステム。
(18) カテーテルを用いて温度を測定する方法であって、該方法は、
前記カテーテルのカテーテルシャフトの遠位端で、熱電対によって温度を検出することと、
前記熱電対の電圧信号を、前記カテーテルシャフトの近位端に連結されたハンドルに送信することと、
前記熱電対の前記電圧信号を、前記ハンドルに配置された回路によってデジタル化し、前記温度に対応するデジタル値を生成することと、を含む、方法。
(19) 前記ハンドルに配置された前記回路によって冷接点補償を実施することを更に含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記熱電対の前記電圧信号をローパスフィルタによって処理することを更に含む、実施態様18に記載の方法。
【0057】
(21) 前記ハンドルから離隔して配置されたホストに、デジタルリンクによって前記デジタル値を送信することを更に含む、実施態様18に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルであって、
近位端及び遠位端を有するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトを通じて延びる第1組の伝導体であって、前記第1組の伝導体のそれぞれは、第1端部及び第2端部を有し、前記第1組の伝導体の前記第1端部は、前記カテーテルシャフトの前記遠位端で互いに連結され、第1熱電対を形成する、第1組の伝導体と、
前記カテーテルシャフトの前記近位端に連結され、かつ前記第1組の伝導体の前記第2端部を受容するハンドルであって、該ハンドルは、前記第1組の伝導体の前記第2端部に連結された、前記第1熱電対の電圧信号をデジタル化するためのデジタル化回路を内部に備える、ハンドルと、を備える、カテーテル。
【請求項2】
前記デジタル化回路が、前記第1組の伝導体の前記第2端部に熱的に連結された恒温ブロックを備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記デジタル化回路が、前記恒温ブロックの温度を検出するための温度センサを更に備える、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記デジタル化回路が、前記第1熱電対の前記電圧信号をフィルタリングするためのローパスフィルタを備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記デジタル化回路が、前記第1熱電対の前記電圧信号を増幅するための増幅器を備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記デジタル化回路が、前記第1熱電対の前記電圧信号に対応するデジタル値を生成するためのアナログ−デジタル変換器を備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記デジタル化回路が、前記デジタル値に基づいて前記第1熱電対の温度値を算出するように適合される、請求項6に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記デジタル化回路が、冷接点補償を実行するように適合される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記デジタル化回路が、少なくとも1つのデジタルアドレスによって特定することができる、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記カテーテルシャフトを通じて延びる第2組の伝導体を更に含み、前記第2組の伝導体のそれぞれは、第1端部及び第2端部を有し、前記第2組の伝導体の前記第1端部は、前記カテーテルシャフトの前記近位端と前記遠位端との間の部分で互いに連結され、第2熱電対を形成し、
前記ハンドルは、前記第2組の伝導体の前記第2端部を受容し、
前記デジタル化回路は、前記第2組の伝導体の前記第2端部に連結され、かつ前記第2熱電対の電圧信号をデジタル化するように適合される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記デジタル化回路が、前記第2熱電対の前記デジタル化された電圧信号に基づいて前記第2熱電対の温度値を算出するように適合される、請求項10に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記デジタル化回路が、前記第1熱電対に対応する第1デジタルアドレス、及び前記第2熱電対に対応する第2デジタルアドレスを含む、少なくとも2つのデジタルアドレスによって特定することができる、請求項10に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記デジタル化回路が、前記第1熱電対の前記電圧信号に対応するデータを送信するためのデジタルインターフェイスを備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項14】
温度を測定するためのシステムであって、
ホスト、及び
前記ホストとデータ通信するカテーテルであって、前記カテーテルは、
近位端及び遠位端を有するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトを通じて延びる1組の伝導体であって、前記1組の伝導体のそれぞれは、遠位端及び近位端を有し、前記1組の伝導体の前記遠位端は、前記カテーテルシャフトの前記遠位端で互いに連結され、熱電対を形成する、1組の伝導体と、
前記カテーテルシャフトの前記近位端に連結され、かつ前記1組の伝導体の前記近位端を受容するハンドルであって、該ハンドルは、前記1組の伝導体の前記近位端に連結された、前記熱電対の電圧信号をデジタル化するためのデジタル化回路を備える、ハンドルと、を備える、カテーテルを備える、システム。
【請求項15】
前記デジタル化回路が、前記熱電対の前記電圧信号に対応するデジタル値を生成するためのアナログ−デジタル変換器を備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記デジタル化回路が、前記デジタル値に基づいて前記熱電対の温度値を算出するように適合される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記デジタル化回路が、前記熱電対の前記電圧信号に対応するデータを送信するためのデジタルインターフェイスを備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
カテーテルを用いて温度を測定する方法であって、該方法は、
前記カテーテルのカテーテルシャフトの遠位端で、熱電対によって温度を検出することと、
前記熱電対の電圧信号を、前記カテーテルシャフトの近位端に連結されたハンドルに送信することと、
前記熱電対の前記電圧信号を、前記ハンドルに配置された回路によってデジタル化し、前記温度に対応するデジタル値を生成することと、を含む、方法。
【請求項19】
前記ハンドルに配置された前記回路によって冷接点補償を実施することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記熱電対の前記電圧信号をローパスフィルタによって処理することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記ハンドルから離隔して配置されたホストに、デジタルリンクによって前記デジタル値を送信することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項1】
カテーテルであって、
近位端及び遠位端を有するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトを通じて延びる第1組の伝導体であって、前記第1組の伝導体のそれぞれは、第1端部及び第2端部を有し、前記第1組の伝導体の前記第1端部は、前記カテーテルシャフトの前記遠位端で互いに連結され、第1熱電対を形成する、第1組の伝導体と、
前記カテーテルシャフトの前記近位端に連結され、かつ前記第1組の伝導体の前記第2端部を受容するハンドルであって、該ハンドルは、前記第1組の伝導体の前記第2端部に連結された、前記第1熱電対の電圧信号をデジタル化するためのデジタル化回路を内部に備える、ハンドルと、を備える、カテーテル。
【請求項2】
前記デジタル化回路が、前記第1組の伝導体の前記第2端部に熱的に連結された恒温ブロックを備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記デジタル化回路が、前記恒温ブロックの温度を検出するための温度センサを更に備える、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記デジタル化回路が、前記第1熱電対の前記電圧信号をフィルタリングするためのローパスフィルタを備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記デジタル化回路が、前記第1熱電対の前記電圧信号を増幅するための増幅器を備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記デジタル化回路が、前記第1熱電対の前記電圧信号に対応するデジタル値を生成するためのアナログ−デジタル変換器を備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記デジタル化回路が、前記デジタル値に基づいて前記第1熱電対の温度値を算出するように適合される、請求項6に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記デジタル化回路が、冷接点補償を実行するように適合される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記デジタル化回路が、少なくとも1つのデジタルアドレスによって特定することができる、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記カテーテルシャフトを通じて延びる第2組の伝導体を更に含み、前記第2組の伝導体のそれぞれは、第1端部及び第2端部を有し、前記第2組の伝導体の前記第1端部は、前記カテーテルシャフトの前記近位端と前記遠位端との間の部分で互いに連結され、第2熱電対を形成し、
前記ハンドルは、前記第2組の伝導体の前記第2端部を受容し、
前記デジタル化回路は、前記第2組の伝導体の前記第2端部に連結され、かつ前記第2熱電対の電圧信号をデジタル化するように適合される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記デジタル化回路が、前記第2熱電対の前記デジタル化された電圧信号に基づいて前記第2熱電対の温度値を算出するように適合される、請求項10に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記デジタル化回路が、前記第1熱電対に対応する第1デジタルアドレス、及び前記第2熱電対に対応する第2デジタルアドレスを含む、少なくとも2つのデジタルアドレスによって特定することができる、請求項10に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記デジタル化回路が、前記第1熱電対の前記電圧信号に対応するデータを送信するためのデジタルインターフェイスを備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項14】
温度を測定するためのシステムであって、
ホスト、及び
前記ホストとデータ通信するカテーテルであって、前記カテーテルは、
近位端及び遠位端を有するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトを通じて延びる1組の伝導体であって、前記1組の伝導体のそれぞれは、遠位端及び近位端を有し、前記1組の伝導体の前記遠位端は、前記カテーテルシャフトの前記遠位端で互いに連結され、熱電対を形成する、1組の伝導体と、
前記カテーテルシャフトの前記近位端に連結され、かつ前記1組の伝導体の前記近位端を受容するハンドルであって、該ハンドルは、前記1組の伝導体の前記近位端に連結された、前記熱電対の電圧信号をデジタル化するためのデジタル化回路を備える、ハンドルと、を備える、カテーテルを備える、システム。
【請求項15】
前記デジタル化回路が、前記熱電対の前記電圧信号に対応するデジタル値を生成するためのアナログ−デジタル変換器を備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記デジタル化回路が、前記デジタル値に基づいて前記熱電対の温度値を算出するように適合される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記デジタル化回路が、前記熱電対の前記電圧信号に対応するデータを送信するためのデジタルインターフェイスを備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
カテーテルを用いて温度を測定する方法であって、該方法は、
前記カテーテルのカテーテルシャフトの遠位端で、熱電対によって温度を検出することと、
前記熱電対の電圧信号を、前記カテーテルシャフトの近位端に連結されたハンドルに送信することと、
前記熱電対の前記電圧信号を、前記ハンドルに配置された回路によってデジタル化し、前記温度に対応するデジタル値を生成することと、を含む、方法。
【請求項19】
前記ハンドルに配置された前記回路によって冷接点補償を実施することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記熱電対の前記電圧信号をローパスフィルタによって処理することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記ハンドルから離隔して配置されたホストに、デジタルリンクによって前記デジタル値を送信することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−81275(P2012−81275A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−224606(P2011−224606)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(508080229)バイオセンス・ウエブスター・インコーポレーテツド (79)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224606(P2011−224606)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(508080229)バイオセンス・ウエブスター・インコーポレーテツド (79)
【Fターム(参考)】
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