説明

制御弁装置

【課題】降下防止弁のポペットやスプリングを組み込みやすくした制御弁装置を提供することである。
【解決手段】 降下防止弁Vのポペット24を組み入れる弁穴22を、バルブハウジング1に形成する。上記弁穴22はスプール2の軸線に直交する方向に形成し、しかも、この弁穴の開口22aを上記連通路3,4が開口する面と同一面に形成する。しかも、この弁穴の開口面側にはサブブロック28を設けて上記弁穴の開口をふさぐとともに、このサブブロックに、上記連通路に連通するシリンダポート29,30を形成し、かつ、背圧制御弁装置Sをこのシリンダブロックに組み込んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シリンダの降下を防止する降下防止弁をバルブハウジングに組み込んだ制御弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として特許文献1に記載されたものが従来から知られている。この従来の装置は、バルブハウジングに降下防止弁を組み込む弁穴を設けるとともに、この弁穴は、上記バルブハウジングの側面に開口させている。言い換えると、この弁穴はスプールとほぼ平行で、かつ、シリンダポートとほぼ直交するようにしたものである。
上記のようにした弁穴は、バルブハウジングの側面に設けたサブブロックでふさぐが、このサブブロックにはシリンダの背圧制御弁装置を組み込んでいる。
【0003】
上記降下防止弁は、ポンプとシリンダポートとを連通する過程に設けたシート部をポペットで開閉するもので、ポペットを挟んで上記シート部とは反対側には背圧室を設けている。そして、上記背圧制御弁装置を介して上記背圧室に負荷圧を導いたり、あるいは背圧室をドレン通路に導いたりする構成にしている。なお、上記背圧室にはスプリングを設け、ノーマル状態ではポペットがシート部を閉じるようにしている。
上記のようにして背圧室に負荷圧が導かれているとき、降下防止弁はポンプからシリンダへの流通を許容し、シリンダからタンクへの流通を阻止する構成にしている。また、上記背圧室がドレン通路に連通しているとき、上記降下防止弁は、シリンダの負荷圧の作用でポペットが上記シート部を開く構成にしている。
【特許文献1】特開平10−246206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようにした従来の制御弁装置は、バルブハウジングの側面に降下防止弁の弁穴を形成しているので、言い換えると、降下防止弁の弁穴が横穴になっているので、ポペットの中心と弁穴の中心とが完全に一致していないと、シート部に対するシート不良が発生することもある。このようなシート不良の発生を防止するためには、ポペットの外径及び弁穴の内径の寸法管理を厳密にしてその加工精度を上げなければならないという問題があった。
【0005】
また、上記のようにポペットが弁穴に対して横置きになるということは、背圧室に設けたスプリングも横置きにならざるをえない。しかし、このスプリングは当該制御弁装置の大きさにもよるが、そのコイル径が10数ミリ前後のものが多い。このように非常に小さなスプリングを正確に横置きすることはかなり難しく、ややもすると当該スプリングの中心線が傾いた状態で組み込まれることがある。スプリングが傾いて組み込まれた状態でポペットが移動すると、このスプリングがポペットと弁穴との間にかみ込み、スプリングが切断されることがある。もし、スプリングが切断したりすると、その破片が流体通路に流れ出て、いろいろなところに傷をつけたり、場合によっては他の機器を損傷してしまうことすらあった。
【0006】
さらに、この種の制御弁装置は、それをパワーショベル等の建設機械に用いるときには、シリンダポート側を上にし、それとは反対面を建設機械に設置する。このような状況で、バルブハウジングの側面すなわち上記弁穴が開口する側は、スペース的にもあまりゆとりがないことが多いので、上記のようなシート不良が起こったときに、ポペットやスプリングを交換する作業もやり難くなるといった問題があった。
この発明の目的は、降下防止弁のポペットやスプリングを交換しやすくした制御弁装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、バルブハウジングにスプールを摺動自在に組み込むとともに、このスプールの移動位置に応じて、シリンダに連通する一方の連通路をポンプに連通させ、他方の連通路をタンクに連通させる構成にしている。そして、上記他方の連通路には降下防止弁を設け、この降下防止弁は、そのポペットと、このポペットで開閉するシート部と、ポペットを挟んでシート部とは反対側に設けた背圧室と、この背圧室にもうけるとともにポペットをシート部に圧接させる方向の力を付与するスプリングとを備えている。また、上記背圧室に連通させた背圧制御弁装置を介して上記背圧室に負荷圧を導いたり、あるいは背圧室をドレン通路に導いたりし、背圧室に負荷圧が導かれているとき、上記降下防止弁は、ポンプからシリンダへの流通を許容し、シリンダからタンクへの流通を阻止する構成にしている。さらに、上記背圧室がドレン通路に連通しているとき、上記降下防止弁は、シリンダの負荷圧の作用でポペットが上記シート部を開く構成にしている。
【0008】
この発明は、上記の装置を前提にしつつ、上記降下防止弁のポペットを組み入れる弁穴を、バルブハウジングに形成するとともに、この弁穴はスプールの軸線に直交する方向に形成し、しかも、この弁穴の開口を上記連通路が開口する面と同一面に形成している。一方、この弁穴の開口面側にはサブブロックを設けて上記弁穴の開口をふさぐとともに、このサブブロックに、上記連通路に連通するシリンダポートを形成し、かつ、上記背圧制御弁装置を組み込んだ点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、当該制御弁装置をパワーショベル等の建設機械に用いるときには、シリンダポート側を上にし、それとは反対面を建設機械に設置するが、降下防止弁のポペットを組み入れる弁穴をスプールの軸線に直交する方向に形成したので、上記の設置状況では、弁穴の開口が上に向く。このように弁穴の開口が上向きで、しかも弁穴自体がスプールに直交する方向に形成されているので、ポペットと弁穴との間にわずかな隙間があったとしても、ポペットはシート部に正確に密接することになる。
【0010】
また、降下防止弁の背圧室に組み込むスプリングも横置きにする場合に比べて傾き難くなる。したがって、従来のようにスプリングがポペットと弁穴との間にかみ込み、当該スプリングが切断されるという問題は発生しない。
さらに、この種の制御弁装置は、それをパワーショベル等の建設機械に用いるときには、シリンダポート側を上にし、それとは反対面を建設機械に設置するので、降下防止弁のポペットを組み込むための作業スペースを十分に確保できることになる。
【0011】
さらに、この発明では、サブブロックにシリンダポートを形成したので、このサブブロックに形成したシリンダポートに配管を接続するようにしたので、何らかの事情、例えば、当該制御弁装置の補修等の事情で、配管を取り外さなければならないときには、サブブロック側のシリンダポートにプラグをはめて、当該配管からの流体の漏れを一時的に防止することができる。配管を取り外す場合に、配管に直接プラグをはめれば、流体の漏れを一時的に防止することができるが、個々の配管にプラグをはめるよりも、サブロックのシリンダポートにプラグをはめる方が、作業的にも簡単になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図示の実施形態は、バルブハウジング1にスプール孔1aを形成し、このスプール孔1aにスプール2を摺動自在に組み込んでいる。そして、上記バルブハウジング1には、一対の連通路3,4を形成するとともに、これら連通路3,4の外側にタンク通路5を設けている。このようにした連通路3,4は、スプール2を挟んでタンク通路5とは反対側面に開口を形成している。
さらに、上記バルブハウジング1には、ポンプに連通した一対の供給ポート6,7を形成するとともに、これら供給ポート6,7間に導入ポート8を形成している。このようにした供給ポート6,7は、図示していないポンプに連通するとともに、他のロードセンシングバルブの供給ポートと、紙面に対して垂直方向において互いに連通するものである。
【0013】
そして、上記導入ポート8は、圧力補償弁Cを介して供給通路9に連通可能にしているが、この圧力補償弁Cは、次のように構成している。すなわち、圧力補償弁Cの弁部材10を円筒形状にするとともに、この円筒形にした弁部材10内に仕切り壁10aを形成し、この仕切り壁10aを境にして、導入ポート8側に開口する第1円筒部10bと、最高負荷圧導入室11側に開口する第2円筒部10cとに区画している。
そして、上記第1円筒部10bには連通ポート12を形成し、弁部材10が導入ポート8側の圧力作用で移動したとき、この連通ポート12が供給通路9に開口する関係にしている。
【0014】
上記第2円筒部10cの内部を断面円形の弁室10dとし、この弁室10dにシャトル弁13を摺動自在に組み込んでいる。そして、このシャトル弁13は多角柱状にするとともに、この多角柱状にしたシャトル弁13を、内周を円形にした弁室10dに組み込むことによって、シャトル弁13と弁室10dとの間にすき間が形成される。このようにして形成された隙間は、シャトル弁13のポペット部13aとは反対側に形成した中継室11aを介して上記最高負荷圧導入室11に通じる通路となる。
【0015】
また、上記弁部材10の第2円筒部10cの周囲に環状の最高負荷圧導入通路14を形成しているが、この最高負荷圧導入通路14は、図示していない他のロードセンシングバルブを含めた複数のロードセンシングバルブに接続したアクチュエータの中の最高負荷圧が導かれるようにしている。このようにした最高負荷圧導入通路14は、上記第2円筒部10cに形成した貫通孔15、シャトル弁13の周囲に形成された上記隙間及び中継室11aを介して最高負荷圧導入室11に連通している。
【0016】
さらに、上記弁部材10の第2円筒部10cの開口部分は、プラグ16でふさいでいるが、上記開口部分内周には雌ネジを形成し、プラグ16の外周には雄ネジを形成し、これら両ネジを結合してプラグ16を第2円筒部10cの開口部に固定している。このようにしたプラグ16にはダンパーオリフィス17を形成し、上記最高負荷圧導入通路14に導かれた最高負荷圧が、中継室11a及びダンパーオリフィス17を経由して最高負荷圧導入室11に導かれるようにしている。
【0017】
一方、上記実施形態では、上記シャトル弁13の一端に、上記仕切り壁10aに形成したシート部10eを開閉する円錐形のポペット部13aを形成している。そして、上記シート部10eが開かれると、上記供給通路9が、弁室10d内の上記隙間を介して最高負荷圧導入室11に連通し、シート部10eが閉じられると、供給通路9と最高負荷圧導入室11との連通が遮断される。
そして、上記のように弁部材10にシャトル弁13を組み込んだ状態で、第2円筒部10cの開口部をプラグ16でふさいで、当該圧力補償弁Cをカートリッジ化している。
また、図中符号18,18はロードチェック弁で、連通路3,4側の圧力が逆流するのを防止するためのものである。
【0018】
上記のようにしたバルブハウジング1に組み込んだスプール2が図示の中立位置にあるとき、このスプール2のほぼ中央に設けた第1環状溝19が導入ポート8に対応し、導入ポート8と供給ポート6,7との連通が遮断される関係にしている。
さらに、上記スプール2の両側には第2,3環状溝20,21を形成しているが、スプール2が図面右方向に移動すると、第2環状溝20を介して供給通路9と連通路3とが連通し、第3環状溝21を介して連通路4とタンク通路5とが連通する。また、スプール2が図面左方向に移動すると、第3環状溝21を介して供給通路9と連通路4とが連通し、第2環状溝20を介して連通路3とタンク通路5とが連通する。
【0019】
また、図2に示すように、バルブハウジング1には弁穴22を形成しているが、この弁穴22はその中心線をスプール2と直交させるとともに、この弁穴22の開口22aを上記連通路4が開口する面と同一面に形成している。このようにした弁穴22には、降下防止弁Vを組み込んでいるが、この降下防止弁Vは、シート部23とこのシート部23を開閉するポペット24とを備えるとともに、このポペット24を挟んでシート部23とは反対側に背圧室25を形成している。そして、上記弁穴22の開口22aはプラグ26でふさいでいるが、このプラグ26には流通孔26aを形成している。さらに、上記プラグ26と上記ポペット24との間にスプリング27を介在させている。
なお、上記プラグ26は必ずしも用いなくてもよく、例えば、図4に示すように、スプリング27をサブブロック28に直接接触させてもよい。
【0020】
上記のようにした降下防止弁Vは、連通路4の流通過程に設けられ、連通路4を上流側連通路4aと下流側連通路4bとに分けるとともに、これら上流側連通路4aと下流側連通路4bとの分岐点に環状凹部4cを形成している。そして、上記降下防止弁Vのシート部23は、環状凹部4cにおける上流側連通路4aの開口部に形成したものである。
【0021】
また、上記バルブハウジング1であって、連通路3,4の開口面側にはサブブロック28を設けているが、このサブブロック28にはシリンダポート29,30を形成し、このシリンダポート29,30を連通路3,4に連通させている。さらに、バルブハウジング1にサブブロック28を設けることによって、上記プラグ26が弁穴22から抜け出るのを防止できる。
【0022】
上記のようにしたサブブロック28には、背圧制御弁装置Sを設けているが、この制御弁装置Sは、図2,3に示すように、サブブロック28に形成した横穴状の弁穴31にスリーブ32を挿入するとともに、このスリーブ32は弁穴31に挿入した筒体33で止められている。そして、上記筒体33の開口はプラグ34でふさがれるとともに、この筒体33内にパイロットピストン35を設けている。このパイロットピストン35は、筒体33内に設けたスプリング36のバネ力の作用で、通常は図示の位置を保つが、プラグ34に形成したポート37からパイロット圧が導かれると、そのパイロット圧の作用で、スプリング36に抗して移動するものである。また、このスプリング36を設けたスプリング室38は、図1に示すドレン通路39に連通している。
【0023】
一方、上記スリーブ32には弁体40を摺動自在に設けているが、この弁体40は、先端に設けたポペット部40aと、このポペット部40aと一体の筒部40bとからなり、上記ポペット部40aはスリーブ32に形成したシート部41を開閉する構成にしている。
そして、このポペット部40aと上記パイロットピストン35との間には、スプール部材42を介在させているが、このスプール部材42は上記スリーブ32内に摺動自在に組み込まれている。したがって、パイロットピストン35がスプリングに抗して移動すると、上記スプール部材42も移動して弁体40を押し、ポペット部40aをシート部41から離れる方向に移動させるものである。
【0024】
上記のようにしたスプール部材42は、その軸線に沿って連通孔43を形成しているが、この連通孔43はシート部41側において開口するとともに、この連通孔43には第1通孔44と第2通孔45とを連通させている。これら第1,2通孔44,45は、スプール部材42が図示のノーマル位置にあるとき、上記スリーブ32に形成したポート46と食い違って、それらの連通が遮断される関係にしている。
また、パイロットピストン35が上記のようにスプリング36に抗して移動すると、それにともなってスプール部材42も移動して弁体40を押すが、このように弁体40が押されると、ポペット部40aで閉じていたシート部41が開き、上記第1通孔44がこの開いたシート部41側に開口する。しかも、このときには第2通孔45が上記ポート46に連通して連通孔43を、スプリング室38を介してドレン通路39に連通させることになる。
【0025】
さらに、上記弁体40の筒部40bは、ポペット部40aとは反対端を圧力導入室47に臨ませるとともに、第1ポート48と第2ポート49とを形成している。この第1ポート48は、弁体40が図示のノーマル位置にあるとき、スリーブ32に形成した接続ポート50と連通する。そして、この接続ポート50は、図2,3に示す通路51及び図1に示す通路52を介して下流側連通路4bに連通している。したがって、下流側連通路4bは、弁体40が図示のノーマル位置にあるとき、筒部40bを介して圧力導入室47に連通することになる。
なお、図中符号53は弁体40にばね力を作用させるスプリングである。
【0026】
また、弁体40が図示のノーマル位置からスプール部材42に押されて移動すると、第1ポート48と接続ポート50とが食い違って、それらの連通が遮断されるとともに、ポペット部40aがシート部41を開くので、このときには、上記圧力導入室47が、第2ポート49→第1通孔44→連通孔43→第2通孔45→ポート46→スプリング室38を経由してドレン通路39に連通することになる。
なお、上記圧力導入室47は、サブブロック28に形成した通路54及び前記プラグ26に形成した流通孔26aを介して降下防止弁Vの背圧室25に連通している。
また、図中符号55はサブブロック28に設けたアンロード弁、58,59はリリーフ弁である。
【0027】
次に、この実施形態の作用を説明する。
スプール2が図示の中立位置にあるとき、このスプール2のほぼ中央に設けた第1環状溝19が導入ポート8に対応し、導入ポート8と供給ポート6,7との連通が遮断される。したがって、供給ポート6,7に導かれた圧力流体は、導入ポート8には導かれない。
この状態からスプール2が図面右方向に移動すれば、供給ポート7が第1環状溝19を介して導入ポート8に連通するとともに、第2環状溝20を介して供給通路9と連通路3とが連通し、第3環状溝21を介して連通路4とタンク通路5とが連通する。
また、スプール2が図面左方向に移動すると、供給ポート6が第1環状溝19を介して導入ポート8に連通するとともに、第3環状溝21を介して供給通路9と連通路4とが連通し、第2環状溝20を介して連通路3とタンク通路5とが連通する。
【0028】
いずれにしても、スプール2が切り換れば、一方の連通路3及びそれに連通するシリンダポート29が図示していないポンプに連通したり、あるいは図示していないタンクに連通したりし、他方の連通路4及びそれに連通するシリンダポート30も上記ポンプに連通したりタンクに連通したりする。
このようにして図示していないシリンダに圧力流体を供給したり、その戻り流体をタンクに導いたりして、当該シリンダを作動させるが、上記シリンダポート29はシリンダのロッド側室に連通させ、シリンダポート30はボトム側室に連通させる。
【0029】
次に、上記シリンダのボトム側に連通した連通路4側において降下防止弁Vがどのように機能するかを説明する。
スプール2を上記のように図面左方向に移動し、連通路4及びシリンダポート30を介してシリンダのボトム側室に圧力流体を供給するときには、スプール2の一端を臨ませた一方のパイロット室56にパイロット圧を導く。ただし、このときには、ポート37にパイロット圧が導かれないようにしている。したがって、パイロットピストン35及び弁体40は図示のノーマル位置を保つ。弁体40がノーマル位置を保っていれば、上記シリンダの負荷圧は、通路52→通路51→接続ポート50→第1ポート48を介して圧力導入室47に導かれるとともに、この圧力導入室47に導かれた負荷圧は、通路54及び流通孔26aを介して背圧室25にも導かれる。
ただし、このときの負荷圧は上流側連通路4aに導かれた圧力流体の圧力よりも相対的に低いので、上流側連通路4aの圧力作用でポペット24が上昇してシート部23を開くことになる。したがって、上流側連通路4aに導かれた圧力流体は、下流側連通路4bおよびシリンダポート30を経由してシリンダのボトム側室に供給される。
【0030】
上記のようにシリンダのボトム側に圧力流体を供給してから、上記パイロット室56をタンクに接続して、スプール2を図示の中立位置に復帰させると、シリンダは当該負荷を保持した状態を保つ。このときには、ポート37にパイロット圧が導かれないので、弁体40も図示のノーマル位置を保ったままになる。弁体40がノーマル位置を保っていれば、上記シリンダの負荷圧は、通路52→通路51→接続ポート50→第1ポート48を介して圧力導入室47に導かれるとともに、この圧力導入室47に導かれた負荷圧は、通路54及び流通孔26aを介して背圧室25にも導かれる。
このように背圧室25に負荷圧が導かれれば、ポペット24はシート部23をシートし、シリンダの負荷を保持し、その降下を防止することになる。
【0031】
上記の状態から、スプール2を図面右方向に移動し、連通路4を介してシリンダのロッド側室に圧力流体を供給するときには、スプール2の一端を臨ませた他方のパイロット室57にパイロット圧を導く。
このときには、ポート37にも上記パイロット圧が導かれるようにしている。したがって、パイロットピストン35にパイロット圧が作用し、パイロットピストン35をスプリング36に抗して移動させる。パイロットピストン35が移動すると、それに押されてスプール部材42も移動し、弁体40をスプリング53に抗して移動させる。
上記のようにスプール部材42が移動すれば、ポペット部40aがシート部41を開くとともに、その開いたシート部41側に第1通孔44が開口する一方、第2通孔45がポート46と一致する。また、このときには弁体40に形成した第1ポート48とスリーブ32に形成した接続ポート50との連通が断たれる。
【0032】
したがって、圧力導入室47は、第2ポート49→第1通孔44→連通孔43→第2通孔45→ポート46→スプリング室38を経由してドレン通路39に連通するので、降下防止弁Vの背圧室25もタンク圧になる。背圧室25がタンク圧に保たれれば、環状凹部4cに導かれた負荷圧の作用でポペット24がスプリング27に抗して移動し、シート部23を開く。したがって、シリンダのボトム側室からの戻り流体は、シリンダポート30→下流側連通路4b→環状凹部4c→シート部23→上流側連通路4aを経由してタンク通路5に導かれることになる。
【0033】
上記のようにした実施形態の制御弁装置は、通常、シリンダポート29,30を形成した側を上にし、それとは反対側面を下にして建設機械等に取り付けるものである。このような状況の中で、降下防止弁Vを組み込む弁穴22の中心を、スプール2の軸線に直交させるとともに、この弁穴22の開口22aを連通路3,4が開口する側面に形成しているので、上記弁穴22の開口22aが上に向けられることになる。このように開口22aが上に向けられているので、そこに降下防止弁Vを組み入れるときの作業が簡単になる。
また、ポペット24は上記開口22aから落とし込むだけで、シート部23に接触しながら必然的に中心が保たれることになる。さらに、スプリング27もそれを縦にした状態で組み込めるので、当該スプリング27が斜めになったりしない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この実施形態の断面図である。
【図2】降下防止弁及び背圧制御機構の部分を断面にした部分断面図である。
【図3】降下防止弁及び背圧制御機構の部分を拡大した断面図である。
【図4】他の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 バルブハウジング
2 スプール
3,4 連通路
V 降下防止弁
22 弁穴
22a 弁穴の開口
23 シート部
24 ポペット
25 背圧室
27 スプリング
28 サブブロック
29,30 シリンダポート
39 ドレン通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブハウジングにスプールを摺動自在に組み込むとともに、このスプールの移動位置に応じて、シリンダに連通する一方の連通路をポンプに連通させ、他方の連通路をタンクに連通させる構成にし、上記他方の連通路には降下防止弁を設け、この降下防止弁は、ポペットと、このポペットで開閉するシート部と、ポペットを挟んでシート部とは反対側に設けた背圧室と、この背圧室にもうけるとともにポペットをシート部に圧接させる方向の力を付与するスプリングとを備え、上記背圧室に連通させた背圧制御弁装置を介して上記背圧室に上記シリンダの負荷圧を導いたり、あるいは背圧室をドレン通路に導いたりし、背圧室に負荷圧が導かれているとき、上記降下防止弁は、ポンプからシリンダへの流通のみを許容し、上記背圧室がドレン通路に連通しているとき、上記降下防止弁は、上記シリンダの負荷圧の作用でポペットが上記シート部を開く構成にした制御弁装置において、上記降下防止弁のポペットを組み入れる弁穴を、バルブハウジングに形成するとともに、この弁穴はスプールの軸線に直交する方向に形成し、しかも、この弁穴の開口を上記連通路が開口する面と同一面に形成する一方、この弁穴の開口面側にはサブブロックを設けて上記弁穴の開口をふさぐとともに、このサブブロックに、上記連通路に連通するシリンダポートを形成し、かつ、上記背圧制御弁装置を組み込んだ制御弁装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−209999(P2009−209999A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−52545(P2008−52545)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】