説明

制御棒駆動装置用電源装置

【課題】容量を小さくできる制御棒駆動装置用電源装置を得る。
【解決手段】制御棒駆動装置6が必要とする電力の50%を供給可能な無停電電源装置3を2台有する第1の駆動用電源装置と、無停電電源装置3を1台有する第2の駆動用電源装置2とを並列に接続して、制御棒駆動装置6に電力を供給する。3台で150%の供給能力を有するので、1台が故障しても必要とする電力を供給可能であり、装置の信頼性を確保できる。無停電電源装置2台で構成した場合は、1台が故障した場合にも必要電力を供給可能とするためには、2台ともに100%の容量を持たせる必要があり、全体としては200%の容量が必要になるが、3台構成で容量150%とした場合は、2台構成に比べて75%の容量で対応可能であり、装置の容量を小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御棒駆動装置用電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の原子力発電で運用されている制御棒駆動装置用電源装置としての原子炉制御棒制御装置においては、電動機と発電機を組合せて発電機から電源を制御棒駆動装置に供給しているが、その改良版として無停電電源装置を適用して電源を供給しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−50290号公報(特に、段落番号0017、図3及び図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の制御棒駆動装置用電源装置は以上のように構成され、改良版として無停電電源装置を適用している。無停電電源装置を適用する場合、通常、当該無停電電源装置の故障に備えて同じ容量の無停電電源装置をもう1台設けて、計2台の無停電電源装置で構成することが必要である。このため、容量が2倍必要であり、容量が大きくなるという問題点があった。
【0005】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであり、容量を小さくできる制御棒駆動装置用電源装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る制御棒駆動装置用電源装置においては、
原子炉の制御棒駆動装置に電力を供給する制御棒駆動装置用電源装置であって、第1及び第2の駆動用電源装置を有し、
前記第1の駆動用電源装置は、同じ出力容量の第1の無停電電源装置を複数台有し、
前記第1の無停電電源装置は、交流入力を直流に変換するコンバータと、前記直流を平滑するためのコンデンサと、前記直流を交流に変換して出力するインバータと、前記交流入力が停電したときに前記インバータに直流を供給する蓄電池とを有し、
前記複数台の第1の無停電電源装置にて前記制御棒駆動装置に要する電力を供給しうるようにされたものであり、
前記第2の駆動用電源装置は、前記第1の無停電電源装置と同じ出力容量を有する第2の無停電電源装置を1台有するものであり、
前記第1の駆動用電源装置と前記第2の駆動用電源装置とを並列接続して前記制御棒駆動装置に電力を供給するものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る制御棒駆動装置用電源装置においては、
原子炉の制御棒駆動装置に電力を供給する制御棒駆動装置用電源装置であって、第1及び第2の駆動用電源装置を有し、
前記第1の駆動用電源装置は、同じ出力容量の第1の無停電電源装置を複数台有し、
前記第1の無停電電源装置は、交流入力を直流に変換するコンバータと、前記直流を平滑するためのコンデンサと、前記直流を交流に変換して出力するインバータと、前記交流入力が停電したときに前記インバータに直流を供給する蓄電池とを有し、
前記複数台の第1の無停電電源装置にて前記制御棒駆動装置に要する電力を供給しうるようにされたものであり、
前記第2の駆動用電源装置は、前記第1の無停電電源装置と同じ出力容量を有する第2の無停電電源装置を1台有するものであり、
前記第1の駆動用電源装置と前記第2の駆動用電源装置とを並列接続して前記制御棒駆動装置に電力を供給するものであるので、
容量を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1である制御棒駆動装置用電源装置の構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明を実施するための実施の形態1である制御棒駆動装置用電源装置の構成を示す構成図である。図1において、制御棒駆動装置用電源装置は、第1の駆動用電源装置1と第2の駆動用電源装置2とを有する。第1の駆動用電源装置1は、2台の同一仕様つまり同じ出力容量の第1の無停電電源装置としての無停電電源装置3を有する。第2の駆動用電源装置2は1台の第2の無停電電源装置としての同一仕様の無停電電源装置3を有する。無停電電源装置3は、コンバータ31、インバータ32、蓄電池33、コンデンサ34を有する。コンバータ31は、交流側が交流母線に接続され、直流側がインバータ32に接続されている。蓄電池33はインバータ32の直流側に接続されている。コンデンサ34は、インバータ32の直流側に接続されている。無停電電源装置3は1台で後述の制御棒駆動装置6が要する電力の50%を供給できる容量を有する。制御棒駆動装置用電源装置は、以上のように構成され、第1の駆動用電源装置1と第2の駆動用電源装置2とが並列に接続され、その交流出力側が原子炉トリップ遮断器5を介して原子炉の制御棒駆動装置6に接続されている。
【0010】
なお、原子炉トリップ遮断器5は、主遮断器51、バイパス遮断器52、変流器53、変流器54を有する。制御棒駆動装置6は、三相全波整流回路61、スイッチング素子62、ダイオード63、ヒューズ64、制御棒駆動コイル65、抵抗66、制御回路67、ロジック盤68を有する。三相全波整流回路61は、交流側が並列接続された3台の無停電電源装置3の交流出力側に原子炉トリップ遮断器5を介して接続され、直流側がスイッチング素子62、ダイオード63、ヒューズ64を介して各制御棒駆動コイル65に接続されている。4個の制御棒駆動コイル65のそれぞれは、ヒューズ64と直列接続され、ダイオード63を介して並列に接続されている。また、各制御棒駆動コイル65にはその電流を検出するための抵抗66が設けられている。また、制御回路67、ロジック盤68を有する。
【0011】
次に動作について説明する。並列接続された3台の無停電電源装置3において、それぞれのコンバータ31は交流側に供給される交流電力を直流に変換してインバータ32に出力する。このとき、コンデンサ34によりコンバータ31の直流出力を平滑する。インバータ32はコンバータ31の直流出力を交流出力に変換して原子炉トリップ遮断器5を介して制御棒駆動装置6に供給する。また、蓄電池33は、コンバータ31の直流出力に瞬時停電が発生したときにインバータ32に直流電力を供給し、無停電電源装置3からの交流出力の停電を防止する。
【0012】
原子炉トリップ遮断器5は、運転中は通常主遮断器51が閉じられ、バイパス遮断器52は開放されている。主遮断器51は、図示しない原子炉に異常が生じたときは開放して、制御棒駆動装置6への電力供給を遮断することにより原子炉を停止させる。また、運転中に主遮断器51を開放する試験を行えるようにバイパス遮断器52が設けられており、主遮断器51の開放試験を行うときはバイパス遮断器52を閉路し主遮断器51とバイパス遮断器52とを並列接続し、変流器54にてバイパス遮断器52の閉路状態を確認し、次いで主遮断器51を開放し変流器53にて電流が零であることを確認し主遮断器51が確実に開放されたことを確認できるようにされている。
【0013】
3台の無停電電源装置3から原子炉トリップ遮断器5を介して供給された交流電力は、制御棒駆動装置6の三相全波整流回路61にて直流電力に変換され、スイッチング素子62、ダイオード63を介して制御棒駆動コイル65に供給される。抵抗66にて制御棒駆動コイル65に流れる電流を検出し、制御回路67がスイッチング素子62を開閉制御して制御棒駆動コイル65の電流を与えられた電流指令値になるように制御する。なお、ロジック盤68は、制御回路67に対して電流指令値を与える。
【0014】
並列接続された3台の無停電電源装置3により制御棒駆動装置6へ必要な電力を供給しているので、そのうちの1台が故障しても電力の供給能力は100%分あるので、支障なく運転を継続することができる。
【0015】
以上のように、この実施の形態によれば、並列接続された2台の無停電電源装置3を有する第1の駆動用電源装置1により制御棒駆動装置6へ必要な電力を供給しうるようにするとともに、1台の無停電電源装置3を有する第2の駆動用電源装置2を第1の駆動用電源装置1に並列に接続して予備装置的な性格を持たせ、それぞれの無停電電源装置3が必要とされる負荷容量をそれぞれ3分の1ずつ分担するように構成されている。1台の無停電電源装置3の容量を必要負荷容量の50%にしておくことにより、3台では必要負荷容量に対して150%の容量を持つことになり、3台の無停電電源装置3のうち1台が故障した場合においても、残りの健全な2台で必要電力をまかなうことができ、信頼性の高い制御棒駆動装置用電源装置とすることができる。なお、従来のように無停電電源装置2台で構成した場合は、1台が故障しても必要電力を供給可能とするためには、2台ともに100%の容量を持たせる必要があり、全体としては200%の容量が必要になるが、本実施の形態のように3台構成で全体の容量を150%にした場合は、2台構成に比べて75%の容量で対応可能であり、制御棒駆動装置用電源装置の容量を小さくすることができ、安価な制装置を実現できる。また、同じ仕様の3台の無停電電源装置3で構成しているので、構成が簡易となる。
【0016】
なお、上記実施の形態では、第1の駆動用電源装置1が必要電力の50%の供給能力を有する2台の無停電電源装置3にて構成されている例を示したが、これに限られるものではなく、第1の駆動用電源装置を33.3%の供給能力を有する3台の無停電電源装置を有するものとし第2の駆動用電源装置を33.3%の供給能力を有する1台の無停電電源装置を有するものとし計4台の無停電電源装置で構成することもできる。また、第1の駆動用電源装置を4台以上の無停電電源装置を有するものとしてもよい。なお、制御棒駆動装置の構成は、図1に示したものに限られるものではない。
さらに、本発明は、その発明の範囲内において、上述した実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【符号の説明】
【0017】
1 第1の駆動用電源装置、2 第2の駆動用電源装置、3 無停電電源装置、
31 コンバータ、32 インバータ、33 蓄電池、6 制御棒駆動装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉の制御棒駆動装置に電力を供給する制御棒駆動装置用電源装置であって、第1及び第2の駆動用電源装置を有し、
前記第1の駆動用電源装置は、同じ出力容量の第1の無停電電源装置を複数台有し、
前記第1の無停電電源装置は、交流入力を直流に変換するコンバータと、前記直流を平滑するためのコンデンサと、前記直流を交流に変換して出力するインバータと、前記交流入力が停電したときに前記インバータに直流を供給する蓄電池とを有し、
前記複数台の第1の無停電電源装置にて前記制御棒駆動装置に要する電力を供給しうるようにされたものであり、
前記第2の駆動用電源装置は、前記第1の無停電電源装置と同じ出力容量を有する第2の無停電電源装置を1台有するものであり、
前記第1の駆動用電源装置と前記第2の駆動用電源装置とを並列接続して前記制御棒駆動装置に電力を供給する
制御棒駆動装置用電源装置。
【請求項2】
前記第1の駆動用電源装置は、前記第1の無停電電源装置を2台有するものである請求項1に記載の制御棒駆動装置用電源装置。

【図1】
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【公開番号】特開2013−101087(P2013−101087A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246037(P2011−246037)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】