説明

制御用電装基板の支持構造及び画像形成装置

【課題】 作業性を悪化させることなくレイアウト面積の狭小化を図ることが可能な制御用電装基板の支持構造及びこれを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】 画像形成装置1の制御を行う制御用電装基板9の支持構造において、その一部に制御用電装基板9を収納する収納部2dを有するケース2と、収納部2dが外部に露呈すべくケース2の外面に開放自在に設けられた扉5と、扉5の内面に取り付けられた付属装置6とを有する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御用電装基板の支持構造及びこれを用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ等の画像形成装置において、装置内部におけるレイアウト上、モータ及びクラッチ等の駆動装置が制御用電装基板の裏側に隠れてしまうことがあるため、駆動装置のメンテナンスや動作確認等を行う際に制御用電装基板を退避可能に構成する必要がある。そこで、複数の基板を移動自在な1つの筐体内部にまとめて収納し、駆動装置のメンテナンス時において筐体を移動させることにより駆動装置を露呈させる技術が、例えば「特許文献1」に開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−127544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の技術において、筐体の内部には基板の他、ハードディスクやオプション基板等の付属装置も納められており、基板上にはメモリ、IC、CPU等の電子部品が着脱自在に配設されている。この電子部品は、装置のパフォーマンスを上げるために増設されたり交換されたりする場合がある。付属装置を配置する場合に、レイアウト面積の狭小化を図る目的で上述の部品に重なるように配置したいところであるが、このように構成すると電子部品の増設あるいは交換時において、先ず付属装置を取り外して基板上にアクセス可能な状態としてから作業を行う必要があるため、基板と付属装置とが重ならないようにレイアウトしたり、基板と付属装置とが重なってしまう場合には基板を付属装置と接触しない方向に着脱可能に構成したりする必要があり、レイアウト面積の狭小化の妨げとなると共に作業性を悪化させるといった問題点がある。
【0005】
本発明は上記問題点を解決し、作業性を悪化させることなくレイアウト面積の狭小化を図ることが可能な制御用電装基板の支持構造及びこれを用いた画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、装置の制御を行う制御用電装基板の支持構造において、その一部に前記制御用電装基板を収納する収納部を有するケースと、前記収納部が外部に露呈すべく前記ケースの外面に開放自在に設けられた扉と、前記扉の内面に取り付けられた付属装置とを有することを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の制御用電装基板の支持構造において、さらに前記付属装置は弾性体を介して前記扉の内面に取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の制御用電装基板の支持構造において、さらに前記付属装置は前記制御用電装基板と電気的に接続するコネクタを有し、該コネクタは前記扉の回転支点付近に向くように配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のうちの何れか1つに記載の制御用電装基板の支持構造において、さらに前記付属装置が外部記憶装置であることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし3のうちの何れか1つに記載の制御用電装基板の支持構造において、さらに前記付属装置がオプション基板であることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5のうちの何れか1つに記載の制御用電装基板の支持構造において、さらに前記制御用電装基板には電子部品が着脱自在に配置され、前記扉が開放された際に前記電子部品が露呈することを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6のうちの何れか1つに記載の制御用電装基板の支持構造を有する画像形成装置であることを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の画像形成装置において、さらに前記画像形成装置本体は内部に駆動装置を有すると共に前記ケースは前記画像形成装置本体に揺動自在に支持され、前記ケースを揺動させることにより前記駆動装置が露呈することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、付属装置が画像形成装置の外面の一部に開閉自在に設けられた扉の内面に配設されていることから、レイアウト面積の狭小化を図ることが可能な制御用電装基板の支持構造を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施形態を採用した画像形成装置の概略平面図を示している。複写機である画像形成装置1は、その装置本体1aの内部に図示しない感光体ドラム等を有する画像形成部、記録紙を収容した給紙部、画像形成すべき原稿画像を読み取る画像読取部、画像形成された記録紙を排出する排紙部等を有している。
【0016】
装置本体1aの一角部には、本発明の制御用電装基板の支持構造を構成するケース2が配設されている。板金あるいは樹脂等により構成される筐体からなるケース2は、その一側部を支軸3によって装置本体1aに揺動自在に支持されており、図1に実線で示す装置本体1aの所定位置を占め装置本体1aと一体化する閉塞位置と、図1に二点鎖線で示す装置本体1aより離隔して装置本体1aの内部が露呈する開放位置とを占める。ケース2が開放位置を占めたとき、装置本体1aの内部に配設された駆動部の駆動装置4が露呈するように構成されている。
【0017】
ケース2は、図2に示すように板金により構成された筐体状をなしており、その外面を板状部材2aによって覆われている。図2では内部の構成を説明するために一部の板状部材2aの図示を省略しているが、ケース2は全体的に板状部材2aで覆われており、その内部を外部から視認できないように構成されている。
【0018】
ケース2の、画像形成装置1の外面を構成する板状部材2aの一部には、扉5が設けられている。扉5は、図3に示すように、ケース2を構成する一つの壁部2bに設けられた回転支点としての支軸5aによって開閉自在に支持されており、その外面が板状部材2aとほぼ同一平面をなす閉塞位置と、ケース2の内部が露呈する開放位置との間を開閉される。
【0019】
扉5の内面には、図3に示すように、付属装置としての外部記憶装置(ハーディスク)6が配設されている。外部記憶装置6は、ゴムあるいはエラストマ等の弾性体からなる弾性部材7を介してねじ8によって扉5の内面に固定されており、その支軸5a側の側面にはコネクタ6aが設けられている。
【0020】
扉5の内方に位置するケース2の内部には、制御用電装基板9を収納するための空間である収納部2dが設けられており、収納部2dの奥側壁部2cには制御用電装基板9が配設されている。制御用電装基板9は、図3に示す取付部材9aを介して奥側壁部2cに固定されており、その上面であって扉5が開放位置を占めた際に外部に露呈する位置には、CPU10及びメモリ11等の電子部品が着脱自在に配設されている。また制御用電装基板9の上面には、コネクタ6a及びハーネス12を介して制御用電装基板9と外部記憶装置6とを電気的に接続するためのコネクタ9bが設けられている。なお、制御用電装基板9は図示しない接続手段によって装置本体1aに対して電気的に接続されており、この図示しない接続手段はケース2が開放位置を占めた際にもその電気的な接続が切断されないように構成されている。
【0021】
本発明は上述のような構成であるため、付属装置としての外部記憶装置6が画像形成装置1の外面を構成する板状部材2aの一部に開閉自在に設けられた扉5の内面に配設されていることから、レイアウト面積の狭小化を図ることが可能な制御用電装基板の支持構造を構成することができる。上述の実施形態では付属装置として外部記憶装置を用いた例を示したが、付属装置としてはこの他に、例えば画像形成装置1にファクシミリ等の他の機能を付加するオプション基板を用いてもよい。
【0022】
また、扉5に対して弾性部材7を介して外部記憶装置6を取り付ける構成としたので、ケース2から外部記憶装置6に伝播される振動を緩和することができ、振動が原因で引き起こされる外部記憶装置6等の付属装置における不具合の発生を減少させることが可能となる。
【0023】
また、外部記憶装置6が制御用電装基板9と電気的に接続するためのコネクタ6aを有し、このコネクタ6aが扉5の回転支点である支軸5a付近に向くように配置されているので、ハーネス12の長さを短くすることでケース2の収納可能容積を小さくすることにより装置の小型化を図ることができると共に、扉5が開閉される際にハーネス12を挟み込むことによりハーネス12が断線する危険性を低減させることができる。
【0024】
また、制御用電装基板9の上面であって、扉5が開放位置を占めた際に外部に露呈する位置にCPU10及びメモリ11等の電子部品を着脱自在に配設したので、扉5を開放することにより外部記憶装置6等の付属装置を取り外すことなく電子部品の交換及び増設を行うことができ、作業性を悪化させることがない。
【0025】
さらに、上述した制御用電装基板の支持構造を構成するケース2を、画像形成装置1の内部に配設された駆動装置4が覆われるべく装置本体1aに対して揺動自在に支持する構成としたので、ケース2を開放位置に揺動させることにより画像形成装置1の駆動装置4が外部に露呈され、駆動装置4のメンテナンスを容易に行うことが可能となる。
【0026】
上述の実施形態では、画像形成装置1として複写機を用いた例を示したが、画像形成装置1としては複写機に限られず、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ等の、制御用電装基板を有する画像形成装置であればどのようなものに本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態を採用した画像形成装置の概略平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に用いられるケースの概略斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態における扉及び付属装置及び制御用電装基板の構成を説明するためのケース内部の部分平面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 画像形成装置
1a 画像形成装置本体
2 ケース
2d 収納部
4 駆動装置
5 扉
5a 回転支点(支軸)
6 付属装置(外部記憶装置)
6a コネクタ
7 弾性体(弾性部材)
9 制御用電装基板
10 電子部品(CPU)
11 電子部品(メモリ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の制御を行う制御用電装基板の支持構造において、
その一部に前記制御用電装基板を収納する収納部を有するケースと、前記収納部が外部に露呈すべく前記ケースの外面に開放自在に設けられた扉と、前記扉の内面に取り付けられた付属装置とを有することを特徴とする制御用電装基板の支持構造。
【請求項2】
請求項1記載の制御用電装基板の支持構造において、
前記付属装置は弾性体を介して前記扉の内面に取り付けられていることを特徴とする制御用電装基板の支持構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の制御用電装基板の支持構造において、
前記付属装置は前記制御用電装基板と電気的に接続するコネクタを有し、該コネクタは前記扉の回転支点付近に向くように配置されていることを特徴とする制御用電装基板の支持構造。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちの何れか1つに記載の制御用電装基板の支持構造において、
前記付属装置が外部記憶装置であることを特徴とする制御用電装基板の支持構造。
【請求項5】
請求項1ないし3のうちの何れか1つに記載の制御用電装基板の支持構造において、
前記付属装置がオプション基板であることを特徴とする制御用電装基板の支持構造。
【請求項6】
請求項1ないし5のうちの何れか1つに記載の制御用電装基板の支持構造において、
前記制御用電装基板には電子部品が着脱自在に配置され、前記扉が開放された際に前記電子部品が露呈することを特徴とする制御用電装基板の支持構造。
【請求項7】
請求項1ないし6のうちの何れか1つに記載の制御用電装基板の支持構造を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置本体は内部に駆動装置を有すると共に前記ケースは前記画像形成装置本体に揺動自在に支持され、前記ケースを揺動させることにより前記駆動装置が露呈することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−175658(P2006−175658A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−369498(P2004−369498)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】