制御装置、レーザ加工機およびレーザ加工方法
【課題】安定したレーザ加工を行うことができる制御装置を得ること。
【解決手段】ワークWとワークWにレーザ光を照射する加工ヘッド1との間の距離を制御しながら、ワークWへのレーザ加工を制御する制御装置において、ワークWと加工ヘッドとの間の距離を一定の値に保つトレースの際の加工ヘッド1の移動応答特性であるトレースゲインを可変設定するトレースゲイン変更部12と、トレースゲイン変更部12が設定したトレースゲインを用いて加工ヘッドへの移動指令を送出するサーボアンプ14と、を備える。
【解決手段】ワークWとワークWにレーザ光を照射する加工ヘッド1との間の距離を制御しながら、ワークWへのレーザ加工を制御する制御装置において、ワークWと加工ヘッドとの間の距離を一定の値に保つトレースの際の加工ヘッド1の移動応答特性であるトレースゲインを可変設定するトレースゲイン変更部12と、トレースゲイン変更部12が設定したトレースゲインを用いて加工ヘッドへの移動指令を送出するサーボアンプ14と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工ヘッドへの倣い制御を行う制御装置、レーザ加工機およびレーザ加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄板などのワーク(加工対象物)を加工する装置の1つとして、ワークにレーザ光を照射して穴あけ加工を行うレーザ加工機がある。このようなレーザ加工機では、加工前の準備作業として、加工ヘッドを高さ方向であるZ軸方向に降下させることによって加工ヘッドをワークに近づける。そして、加工ヘッドによってワークへのピアス作業を行い、その後、加工ヘッドをワークの主面と平行なXY平面で移動させることによってレーザ加工が行われる。このとき、レーザ加工機は、ワークに対し一定のゲイン(応答特性)で加工ヘッドを倣い制御している。
【0003】
倣い制御は、レーザ加工を開始する際のアプローチやレーザ加工中のトレースの際に行われる加工ヘッドへの制御であり、ワークや加工屑への加工ヘッドの衝突を防止するための制御である。アプローチの際の倣い制御は、加工ヘッドを所定の距離までワークに近づける制御(加工点への加工ヘッドの降下)であり、トレースの際の倣い制御は、加工ヘッドとワークや加工屑との距離が所定の距離を保てるよう加工ヘッドを高さ方向に移動させる制御である。
【0004】
例えば、特許文献1に記載のレーザ加工方法では、アプローチ時はゲインを上げて倣い制御を行ない、トレース時はゲインを下げて倣い制御を行なうことによって加工時間の短縮を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−343255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術では、トレース時には全ての加工材料に対して固定のゲインを用いていたので、全ての加工材料を安定して加工するためのチューニングが困難であるという問題があった。このため、安定したレーザ加工を行うことができない加工材料があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、安定したレーザ加工を行うことができる制御装置、レーザ加工機およびレーザ加工方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、被加工物と当該被加工物にレーザ光を照射する加工ヘッドとの間の距離を制御しながら前記被加工物へのレーザ加工を制御する制御装置において、前記被加工物と前記加工ヘッドとの間の距離を一定の値に保つトレースの際の前記加工ヘッドの移動応答特性であるトレースゲインを可変設定するトレースゲイン設定部と、前記トレースゲイン設定部が設定したトレースゲインを用いて前記加工ヘッドへの移動指令を送出する移動指令出力部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、トレースの際のトレースゲインを可変設定するので、安定したレーザ加工を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係るレーザ加工機の構成を示す図である。
【図2】図2は、実施の形態1のレーザ加工機によるトレースゲインの設定処理手順を示すフローチャートである。
【図3】図3は、トレースゲインの変更判断処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図4は、加工速度とトレースゲインとの間の対応関係情報を示す図である。
【図5】図5は、加工板厚とトレースゲインとの間の対応関係情報を示す図である。
【図6】図6は、加工速度とトレースゲインとの間の対応関係情報としての情報テーブルを示す図である。
【図7】図7は、加工板厚とトレースゲインとの間の対応関係情報としての情報テーブルを示す図である。
【図8】図8は、加工材質とトレースゲインとの間の対応関係情報としての情報テーブルを示す図である。
【図9】図9は、トレースゲインの大きさに応じた加工ヘッドの動作例を説明するための図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態2に係るレーザ加工機の構成を示す図である。
【図11】図11は、実施の形態2のレーザ加工機によるトレースゲインの設定処理手順を示すフローチャートである。
【図12】図12は、本発明の実施の形態3に係るレーザ加工機の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態に係る制御装置、レーザ加工機およびレーザ加工方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るレーザ加工機の構成を示す図である。レーザ加工機100Aは、レーザ加工の際のトレース時に用いるトレースゲイン(倣い制御の感度)を、加工速度などの加工条件に応じた値に設定してワーク(被加工物)Wのレーザ加工を行う装置である。レーザ加工機100Aは、例えば、低速加工を行う際には、高速加工時よりもトレースゲインを小さくし、これにより加工ヘッド1がワークWの表面に散らばったスパッタ等の加工屑へ過敏に反応することを防止する。また、レーザ加工機100Aは、高速加工を行う際には、低速加工時よりもトレースゲインを大きくすることによって、傾斜したワークWへの加工ヘッド1の衝突を回避する。なお、以下では、ワークWを載置するXYテーブル(図示せず)の主面と平行な面内をXY平面とし、XYテーブルの高さ方向をZ軸方向として説明する。
【0013】
レーザ加工機100Aは、本実施の形態の特徴の1つである制御装置10Aを備えて構成されている。また、レーザ加工機100Aは、制御装置10Aに接続されたモータMと、モータMに接続された加工ヘッド1と、加工ヘッド1の近傍に配置されるとともに、制御装置10Aに接続された倣いユニット20と、を有している。
【0014】
制御装置10Aは、ワークWへのレーザ加工を制御する例えばNC装置などであり、CPU(Central Processing Unit))、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えて構成されている。本実施の形態の制御装置10Aは、レーザ加工中にワークWと加工ヘッド1との間の距離であるギャップを所定の距離に保持するNC倣い制御を行う。制御装置10Aは、加工条件入力部11、トレースゲイン変更部12、プログラム移動量作成部13、サーボアンプ14、倣い移動量作成部15、A/D変換部16を備えている。
【0015】
加工条件入力部11は、マウス、キーボード、入力ボタンなどからユーザによって入力されるレーザ加工の加工条件を、制御装置10Aに入力し、トレースゲイン変更部12に送る。加工条件入力部11に入力される加工条件は、レーザ加工を行う際の加工速度、ワークWの材質(加工材質)、ワークWの厚さ(加工板厚)などである。加工条件入力部11に入力される加工条件は、加工速度、加工材質、加工板厚の何れか1つであってもよいし、複数種類であってもよい。
【0016】
トレースゲイン変更部(トレースゲイン設定部)12は、加工条件入力部11からの加工条件に基づいて、現在設定中のトレースゲイン(前回のレーザ加工に用いたトレースゲイン)を加工条件に応じたトレースゲインに変更する。換言すると、トレースゲイン変更部12は、トレースゲインを可変設定(可変制御)する機能を有している。
【0017】
トレースゲイン変更部12は、例えば加工速度が低速の場合、加工板厚が厚い場合に、小さなトレースゲインを設定する。また、トレースゲイン変更部12は、例えば加工速度が高速の場合、加工板厚が薄い場合に、大きなトレースゲインを設定する。トレースゲイン変更部12は、設定したトレースゲインを倣い移動量作成部15に送る。
【0018】
A/D変換部16は、倣いユニット20から送られてくる倣い状態の情報(加工ヘッド1とワークWとの間の距離を示す信号)(以下、ギャップ情報という)をA/D変換して倣い移動量作成部15に送る。
【0019】
倣い移動量作成部15は、トレースゲイン変更部12から送られてくるトレースゲインおよびA/D変換されたギャップ情報に基づいて、加工ヘッド1のZ軸方向の移動量指令を作成する。加工ヘッド1とワークWとの間の距離は、ワークWの反り、傾き、撓み、立ち上がりなどによって、レーザ加工中に変化するものである。このため、倣い移動量作成部15は、トレースゲインおよびギャップ情報に応じた移動量指令をリアルタイムに作成する。本実施の形態の倣い移動量作成部15は、トレースゲインに従ってトレース時の倣い制御を行なうよう、移動量指令を作成する。倣い移動量作成部15は、作成した移動量指令をサーボアンプ14に送る。
【0020】
プログラム移動量作成部13は、加工プログラムPを参照して加工ヘッド1への移動量指令を作成し、サーボアンプ14に送る。加工プログラムPは、ワークWへのレーザ加工に用いるNCプログラムなどであり、加工ヘッド1への位置指令などが設定されている。加工ヘッド1への位置指令は、XY平面内での位置指令とZ軸方向への位置指令(アプローチ)がある。
【0021】
サーボアンプ(移動指令出力部)14は、プログラム移動量作成部13からの移動量指令と、倣い移動量作成部15からの移動量指令と、に基づいて、加工ヘッド1を所定の移動量だけ移動させるためのモータ駆動指令を仮作成する。サーボアンプ14は、作成したモータ駆動指令をモータMに送出する。
【0022】
モータMは、サーボアンプ14からのモータ駆動指令に従って、加工ヘッド1をZ軸方向およびXY平面内で移動させる。加工ヘッド1は、レーザ光源(図示せず)から出射されるレーザ光をワークWに出射するノズル2を先端部側に備えており、このノズル2からレーザ光がワークWに照射される。
【0023】
倣いユニット20は、加工ヘッド1(ノズル2)と、ワークWとの間のZ軸方向の距離を検出して制御装置10Aに送るユニットである。倣いユニット20は、ワークWとの間のZ軸方向の距離をギャップ情報として検出するギャップセンサ21を備えている。ギャップセンサ21は、検出したギャップ情報を制御装置10AのA/D変換部16に送る。
【0024】
なお、加工条件入力部11に入力する加工条件は、トレースゲインの大きさ(加工運転モード)を指定する情報であってもよい。この場合、トレースゲイン変更部12は不要であり、加工条件入力部11に入力されたトレースゲインの大きさを指定する情報が倣い移動量作成部15に送られる。
【0025】
つぎに、レーザ加工機100Aの動作処理について説明する。まず、トレースゲインの設定処理手順について説明する。図2は、実施の形態1のレーザ加工機によるトレースゲインの設定処理手順を示すフローチャートである。ユーザによって、加工条件入力部11に加工条件が入力された後(ステップS10)、レーザ加工機100Aは、加工プログラムPに基づいたプログラム運転を開始する(ステップS20)。
【0026】
加工条件入力部11に入力された加工条件は、トレースゲイン変更部12に送られる。トレースゲイン変更部12は、加工条件入力部11からの加工条件に基づいて、現在設定されているトレースゲインを、加工条件に応じたトレースゲインに変更する(ステップS30)。トレースゲイン変更部12は、変更後のトレースゲインを倣い移動量作成部15に送る。
【0027】
この後、レーザ加工機100Aは、加工ヘッド1の倣い制御を開始する(ステップS40)。そして、サーボアンプ14は、加工条件に応じたトレースゲインで加工ヘッド1が倣い動作を実行するよう、モータMへのモータ駆動指令を作成する。これにより、加工ヘッド1は、トレース時に加工条件に応じたトレースゲインで倣い制御されながら、ワークWへのレーザ加工が行われる。
【0028】
つぎに、トレースゲインを変更するか否かの判断処理手順について説明する。図3は、トレースゲインの変更判断処理手順を示すフローチャートである。加工条件入力部11に加工速度Vx、加工材質、加工板厚Txなどの加工条件が入力されると、加工条件がトレースゲイン変更部12に送られる。
【0029】
トレースゲイン変更部12は、前回のレーザ加工の際に加工したワークの加工材質と、加工条件で設定されている加工材質とが異なるか否かを判定する(ステップS110)。前回の加工材質と、今回の加工条件で設定されている加工材質とが同じである場合(ステップS110、No)、トレースゲイン変更部12は、前回レーザ加工したワークWの加工板厚Txと、今回の加工条件で設定されている加工板厚Txとが異なるか否かを判定する(ステップS120)。
【0030】
前回の加工板厚Txと、今回の加工条件で設定されている加工板厚Txとが同じである場合(ステップS120、No)、トレースゲイン変更部12は、前回レーザ加工した際の加工速度Vxと、今回の加工条件で設定されている加工速度Vxとが異なるか否かを判定する(ステップS130)。
【0031】
前回の加工速度Vxと、今回の加工条件で設定されている加工速度Vxとが同じである場合(ステップS130、No)、トレースゲイン変更部12は、トレースゲインの変更は不要であると判断する(ステップS140)。これにより、前回のトレースゲインと同じトレースゲインでワークWのレーザ加工が行われる。
【0032】
一方、前回の加工材質と、今回の加工条件で設定されている加工材質とが異なる場合(ステップS110、Yes)、トレースゲイン変更部12は、トレースゲインの変更が必要であると判断する(ステップS150)。
【0033】
また、前回の加工板厚Txと、今回の加工条件で設定されている加工板厚Txとが異なる場合(ステップS120、Yes)、トレースゲイン変更部12は、トレースゲインの変更が必要であると判断する(ステップS150)。
【0034】
また、前回の加工速度Vxと、今回の加工条件で設定されている加工速度Vxとが異なる場合(ステップS130、Yes)、トレースゲイン変更部12は、トレースゲインの変更が必要であると判断する(ステップS150)。
【0035】
トレースゲイン変更部12は、トレースゲインの変更が必要であると判断すると、前回のレーザ加工に用いた現在設定中のトレースゲインまたは初期設定されているトレースゲインを、今回の加工条件に応じたトレースゲインに変更する(ステップS160)。
【0036】
なお、加工条件として加工材質が入力されなかった場合、トレースゲイン変更部12は、加工材質の変更がないものと判断する。同様に、加工条件として加工板厚や加工速度が入力されなかった場合、トレースゲイン変更部12は、加工板厚や加工速度の変更がないものと判断する。
【0037】
つぎに、加工条件に応じて設定されるトレースゲインの大きさの具体例について説明する。本実施の形態では、加工条件をトレースゲインの大きさに対応付けした対応関係情報を、予めトレースゲイン変更部12に登録しておく。対抗関係情報は、加工条件毎のトレースゲインの大きさであり、数式や情報テーブルなどによって規定しておく。例えば、対応関係情報としての数式は、加工条件とトレースゲインとの比例関係などの対応関係を示す式などである。トレースゲイン変更部12は、登録しておいた対応関係情報と、加工条件入力部11からの加工条件と、に基づいて、加工条件に応じたトレースゲインを決定する。
【0038】
加工条件が加工速度Vxであり、対応関係情報が、加工速度VxとトレースゲインGxとの対応関係である場合、対応関係情報は、例えば図4の関係を示す数式によって規定しておく。図4は、加工速度とトレースゲインとの間の対応関係情報を示す図である。図4では、加工速度Vxの範囲毎にトレースゲインGxの値が対応付けされている。
【0039】
具体的には、加工速度Vxの低速範囲(低速V1)と、トレースゲインGxの小さな値(小ゲインG1)と、が対応付けされている。また、加工速度Vxの中速範囲(中速V2)と、トレースゲインGxの中程度の値(中ゲインG2)と、が対応付けされ、加工速度Vxの高速範囲(高速V3)と、トレースゲインGxの大きな値(大ゲインG3)と、が対応付けされている。
【0040】
これにより、加工速度Vxが低速V1の範囲内である場合には、小ゲインG1でワークWの切断(トレース)が行われる。また、加工速度Vxが中速V2の範囲内である場合には、中ゲインG2でトレースが行われ、加工速度Vxが高速V3の範囲内である場合には、大ゲインG3でトレースが行われる。
【0041】
また、加工条件が加工板厚Txであり、対応関係情報が、加工板厚TxとトレースゲインGxとの対応関係である場合、対応関係情報は、例えば図5の関係を示す数式によって規定しておく。図5は、加工板厚とトレースゲインとの間の対応関係情報を示す図である。図5では、加工板厚Txの範囲毎にトレースゲインGxの値が対応付けされている。
【0042】
具体的には、加工板厚Txの小厚範囲(小厚T1)と、トレースゲインGxの大きな値(大ゲインG11)と、が対応付けされている。また、加工板厚Txの中厚範囲(中厚T2)と、トレースゲインGxの中程度の値(中ゲインG12)と、が対応付けされ、加工板厚Txの大厚範囲(大厚T3)と、トレースゲインGxの小さな値(小ゲインG13)と、が対応付けされている。
【0043】
これにより、加工板厚Txが小厚T1の範囲内である場合には、大ゲインG11でトレースが行われる。また、加工板厚Txが中厚T2の範囲内である場合には、中ゲインG12でトレースが行われ、加工板厚Txが大厚T3の範囲内である場合には、小ゲインG13でトレースが行われる。
【0044】
なお、対応関係情報は、数式で規定する場合に限らず、加工条件とトレースゲインとを対応付けした情報テーブルで規定してもよい。加工条件が加工速度Vxであり、対応関係情報が、加工速度VxとトレースゲインGxとの対応関係である場合、対応関係情報は、例えば図6に示す情報テーブル51などによって規定しておく。図6は、加工速度とトレースゲインとの間の対応関係情報としての情報テーブルを示す図である。図6では、加工速度Vxの範囲毎にトレースゲインGxの値が対応付けされている。
【0045】
具体的には、加工速度Vxの低速V1の範囲と、トレースゲインGxの小ゲインG1と、が対応付けされている。また、加工速度Vxの中速V2の範囲と、トレースゲインGxの中ゲインG2と、が対応付けされ、加工速度Vxの高速V3の範囲と、トレースゲインGxの大ゲインG3と、が対応付けされている。
【0046】
また、加工条件が加工板厚Txであり、対応関係情報が、加工板厚TxとトレースゲインGxとの対応関係である場合、対応関係情報は、例えば図7に示す情報テーブル52などによって規定しておく。図7は、加工板厚とトレースゲインとの間の対応関係情報としての情報テーブルを示す図である。図7では、加工板厚Txの範囲毎にトレースゲインGxの値が対応付けされている。
【0047】
具体的には、加工板厚Txの小厚T1の範囲と、トレースゲインGxの大ゲインG11と、が対応付けされている。また、加工板厚Txの中厚T2の範囲と、トレースゲインGxの中ゲインG12と、が対応付けされ、加工板厚Txの大厚T3の範囲と、トレースゲインGxの小ゲインG13と、が対応付けされている。
【0048】
また、加工条件が加工材質であり、対応関係情報が、加工材質とトレースゲインGxとの対応関係である場合、対応関係情報は、例えば図8に示す情報テーブル53などによって規定しておく。図8は、加工材質とトレースゲインとの間の対応関係情報としての情報テーブルを示す図である。図8では、加工材質の種類毎にトレースゲインGxの値が対応付けされている。
【0049】
具体的には、加工材質のアルミニウムと、トレースゲインGxのゲインG21と、が対応付けされている。また、加工材質の鉄と、トレースゲインGxのゲインG22と、が対応付けされ、加工材質のステンレスと、トレースゲインGxのゲインG23と、が対応付けされている。
【0050】
なお、加工条件として複数種類の条件が入力された場合、トレースゲイン変更部12は、複数の加工条件に基づいて、トレースゲインGxを設定してもよい。換言すると、トレースゲイン変更部12は、加工条件の組合せでトレースゲインGxを決定してもよい。例えば、加工条件として、加工速度Vxと、加工板厚Txと、加工材質と、が入力された場合、トレースゲイン変更部12は、これら3種類の加工条件に基づいてトレースゲインGxを設定する。このとき、トレースゲイン変更部12は、例えば、3種類の各加工条件に対応するトレースゲインGxの平均値や中間値をトレースの際のトレースゲインGxに決定する。また、トレースゲイン変更部12は、各加工条件に対応するトレースゲインGxの中の最大値や最小値をトレースの際のトレースゲインGxとしてもよい。
【0051】
また、トレースゲイン変更部12は、各加工条件に対応するトレースゲインGxの値を全て足した値をトレースの際のトレースゲインGxとしてもよい。この場合、トレースゲインGxの算出に用いる加工条件の種類の数に応じて、予め各情報テーブル51〜53内でのトレースゲインGxの値を設定しておく。例えば、3種類の加工条件を用いてトレースゲインGxを設定する場合、3種類の各加工条件に対応するトレースゲインGxを全て足した値が、小ゲイン、中ゲイン、大ゲインの何れかになるよう、各情報テーブル51〜53内でのトレースゲインGxの値を設定しておく。
【0052】
また、トレースゲイン変更部12は、各加工条件に対応するトレースゲインGxの値を全て掛け合わせた値をトレースの際のトレースゲインGxとしてもよい。この場合、トレースゲインGxの算出に用いる加工条件の種類の数に応じて、予め各情報テーブル51〜53内でのトレースゲインGxの値を設定しておく。例えば、3種類の加工条件を用いてトレースゲインGxを設定する場合、3種類の各加工条件に対応するトレースゲインGxの値を全て掛け合わせた値が、小ゲイン、中ゲイン、大ゲインの何れかになるよう、各情報テーブル51〜53内でのトレースゲインGxの値を設定しておく。
【0053】
なお、各加工条件に対応するトレースゲインGxの値を全て足した値や掛け合わせた値をトレースの際のトレースゲインGxとする場合、各情報テーブル51〜53内でのトレースゲインGxの値に重み付けを行なっておいてもよい。例えば、情報テーブル52内のトレースゲインGxの値を、情報テーブル51内のトレースゲインGxの値の半分に設定しておく。具体的には、大ゲインG11、中ゲインG12、小ゲインG13を、それぞれ小ゲインG1、中ゲインG2、大ゲインG3の半分の値にしておく。
【0054】
つぎに、加工条件に基づいてトレースゲインGxを設定した場合の、加工ヘッド1の動作の一例について説明する。ここでは、トレースゲインGxが小ゲインG1、中ゲインG2、大ゲインG3の場合の加工ヘッド1の動作について説明する。
【0055】
図9は、トレースゲインの大きさに応じた加工ヘッドの動作例を説明するための図である。トレースゲイン変更部12によってトレースゲイン変更処理が行われると、加工条件に応じたトレースゲインGxとして、小ゲインG1、中ゲインG2、大ゲインG3の何れかでトレースが行なわれる。
【0056】
トレースが行なわれる際には、加工ヘッド1が、ワークWとの間で所定の距離を保ちながらワークW上のXY平面内を移動経路に沿って移動する。例えば、加工ヘッド1の移動経路上に加工屑6があった場合、加工ヘッド1は、この加工屑6を回避するよう、Z軸方向の上側に移動しながらXY平面内の移動経路上を移動する。そして、加工屑6を回避した後は、加工ヘッド1は、元の高さに戻って、XY平面内の移動経路上を移動する。
【0057】
例えば、大ゲインG3が設定されている場合、加工ヘッド1は、大きな応答特性でワークWや加工屑6との衝突を回避する。これにより、ワークWや加工屑6に対する加工ヘッド1の追従性が向上する。したがって、大ゲインG3が設定されている場合には、ワークWがXY平面から傾斜している場合であっても、ワークWと加工ヘッド1との衝突を回避することができる。
【0058】
また、小ゲインG1が設定されている場合、加工ヘッド1は、小さな応答特性でワークWや加工屑6との衝突を回避する。これにより、ワークWや加工屑6に対する加工ヘッド1の追従性を低下させることができる。このため、加工ヘッド1の移動経路上に加工屑6がある場合であっても、加工ヘッド1は加工屑6に過敏に反応することはない。これにより、加工ヘッド1は、急激なノズルギャップ変化を起こすことなく、移動経路上を移動できる。したがって、小ゲインG1が設定されている場合には、ハンチングによってワークWが切断不良となることを回避できる。また、中ゲインG2が設定されている場合、大ゲインG3が設定されている場合と、小ゲインG1が設定されている場合の中間的な倣い動作が行なわれる。
【0059】
このように、加工速度Vxが高速V3の場合、加工板厚Txが大厚T3の場合には、大ゲインG3,G11が設定され、加工材質が鉄やステンレスなどの硬い材質の場合には、これらの材質に応じたゲインG22,G23が設定されるので、ワークWと加工ヘッド1との衝突を回避することができる。
【0060】
また、加工速度Vxが低速V1の場合、加工板厚Txが小厚T1の場合には、小ゲインG1,G13が設定され、加工材質がアルミニウムなどの軟らかい材質の場合には、これらの材質に応じたゲインG21が設定されるので、ワークWの切断不良を防止することができる。
【0061】
なお、1枚のワークW内に複数種類の板厚や材質を有したワークWに対して、板厚や材質に応じたトレースゲインGxを設定してもよい。この場合、ワークWの位置毎に板厚や材質を設定し、ワークWの位置毎にトレースゲインGxが設定される。
【0062】
また、本実施の形態では、制御装置10Aがレーザ加工機100Aの加工ヘッド1を制御する場合について説明したが、制御装置10Aは、プラズマガスを噴射するプラズマ加工機や加熱炎を噴射するガス切断機などの加工ヘッドを制御してもよい。この場合も、制御装置10Aは、加工条件に応じたトレースゲインGxを設定する。
【0063】
また、本実施の形態では、レーザ加工を開始する前にトレースゲインGxを設定したが、トレースを開始する前であれば、アプローチの際にトレースゲインGxを設定してもよい。
【0064】
このように実施の形態1によれば、加工条件に応じたトレースゲインGxでワークWのレーザ加工を行うので、種々の加工条件に対して安定したレーザ加工を容易に行うことが可能となる。
【0065】
実施の形態2.
つぎに、図10および図11を用いてこの発明の実施の形態2について説明する。実施の形態2では、ワークWのレーザ加工中に加工ヘッド1の加工条件(加工状態)である移動速度をモニタする。そして、モニタした移動速度に応じたトレースゲインGxとなるよう、トレースゲインGxをリアルタイムで変更しながらレーザ加工を行う。
【0066】
図10は、本発明の実施の形態2に係るレーザ加工機の構成を示す図である。図10の各構成要素のうち図1に示す実施の形態1のレーザ加工機100Aと同一機能を達成する構成要素については同一番号を付しており、重複する説明は省略する。
【0067】
レーザ加工機100Bは、制御装置10Bと、制御装置10Bに接続されたモータMと、加工ヘッド1と、制御装置10Bに接続された倣いユニット20と、速度センサ31と、を有している。速度センサ31は、加工ヘッド1のXY平面内での移動速度を検出するセンサであり、加工ヘッド1の近傍などに配置されている。速度センサ31は、検出した移動速度をトレースゲイン変更部12に送る。
【0068】
制御装置10Bは、制御装置10Aと同様の機能を有している。制御装置10Bのトレースゲイン変更部12は、速度センサ31と接続している。レーザ加工が開始された後、トレースゲイン変更部12は、速度センサ31から送られてくる加工ヘッド1の移動速度に基づいて、トレースゲインGxをリアルタイムで変更する。
【0069】
つぎに、レーザ加工機100Bの動作処理について説明する。ここでは、トレースゲインの設定処理手順について説明する。図11は、実施の形態2のレーザ加工機によるトレースゲインの設定処理手順を示すフローチャートである。加工条件入力部11に加工条件が入力された後(ステップS210)、レーザ加工機100Bは、加工プログラムPに基づいたプログラム運転を開始する(ステップS220)。
【0070】
加工条件入力部11に入力された加工条件は、トレースゲイン変更部12に送られる。トレースゲイン変更部12は、加工条件入力部11からの加工条件に基づいて、現在設定されているトレースゲインを、加工条件に応じたトレースゲインに変更する(ステップS230)。トレースゲイン変更部12は、変更後のトレースゲインを倣い移動量作成部15に送る。
【0071】
この後、レーザ加工機100Bは、加工ヘッド1の倣い制御を開始する(ステップS240)。倣い制御を開始した後、速度センサ31は、加工状態として加工ヘッド1のXY平面内での移動速度を検出する(ステップS250)。速度センサ31は、検出した移動速度をトレースゲイン変更部12に送る。
【0072】
トレースゲイン変更部12は、移動速度が変化したか否かを判断する(ステップS260)。移動速度が変化していなければ(ステップS260、No)、トレースゲイン変更部12は、現在のトレースゲインGxでワークWのレーザ加工を続行する。また、速度センサ31は、加工ヘッド1の移動速度を検出する処理を継続する。そして、速度センサ31は、検出した移動速度をトレースゲイン変更部12に送る。
【0073】
一方、移動速度が変化すると(ステップS260、Yes)、トレースゲイン変更部12は、現在設定中のトレースゲインを移動速度に応じたトレースゲインに変更する(ステップS270)。そして、レーザ加工が終了していなければ(ステップS280、No)、レーザ加工機100Bは、ワークWへのレーザ加工が終了するまで、ステップS250〜S270の処理を繰り返す。レーザ加工が終了すると(ステップS280、Yes)、トレースゲイン変更部12は、トレースゲインGxの変更処理を終了する。
【0074】
なお、本実施の形態では、レーザ加工中の加工状態が加工ヘッド1の移動速度である場合について説明したが、レーザ加工中の加工状態は加工ヘッド1のXY平面内での加速度でもよい。この場合、速度センサ31の代わりに、加速度センサ(図示せず)を加工ヘッド1の近傍になどに配置しておく。そして、加速度センサは、検出した加速度をトレースゲイン変更部12に送る。レーザ加工が開始された後、トレースゲイン変更部12は、加速度センサから送られてくる加工ヘッド1の加速度に基づいて、トレースゲインGxをリアルタイムで変更する。
【0075】
なお、トレースゲイン変更部12は、加工ヘッド1の移動速度と加速度の両方に基づいて、トレースゲインGxを変更してもよい。また、本実施の形態では、加工条件に応じたトレースゲインGxを設定してからワークWへのレーザ加工を開始する場合について説明したが、加工条件に応じたトレースゲインGxを設定することなく予め決めておいたトレースゲインGx(トレースゲインGxの初期値)でワークWへのレーザ加工を開始してもよい。この場合、制御装置10Bは、加工条件入力部11を有していなくてもよい。
【0076】
このように実施の形態2によれば、加工条件である移動速度や加速度をモニタし、モニタした加工条件に応じたトレースゲインGxを設定するで、レーザ加工中の加工状態に応じたトレースゲインGxでワークWのレーザ加工を行うことができる。また、加工ヘッド1の加工状態を速度センサ31などで直接検出しているので、加工ヘッド1がXY平面内でカーブを描くよう移動する(コーナーをレーザ加工する)場合などであっても、容易かつ正確に加工状態を検出することが可能となる。したがって、種々の加工状態に対して安定したレーザ加工を容易に行うことが可能となる。
【0077】
実施の形態3.
つぎに、図12を用いてこの発明の実施の形態3について説明する。実施の形態3では、ワークWのレーザ加工中に加工プログラムPに基づいて、加工ヘッド1の移動速度を検出する。そして、検出した移動速度に応じたトレースゲインGxとなるよう、トレースゲインGxをリアルタイムで変更しながらレーザ加工を行う。
【0078】
図12は、本発明の実施の形態3に係るレーザ加工機の構成を示す図である。図12の各構成要素のうち図1に示す実施の形態1のレーザ加工機100Aや図10に示す実施の形態2のレーザ加工機100Bと同一機能を達成する構成要素については同一番号を付しており、重複する説明は省略する。
【0079】
レーザ加工機100Cは、制御装置10Cと、制御装置10Cに接続されたモータMと、加工ヘッド1と、制御装置10Cに接続された倣いユニット20と、を有している。制御装置10Cは、制御装置10Bと同様の機能を有している。制御装置10Cのトレースゲイン変更部12は、プログラム移動量作成部13と接続している。レーザ加工が開始された後、トレースゲイン変更部12は、プログラム移動量作成部13から送られてくる加工ヘッド1への移動指令(移動量)に基づいて、加工ヘッド1の移動速度を予測する。そして、トレースゲイン変更部12は、予測した移動速度に応じたトレースゲインGxとなるよう、トレースゲインGxをリアルタイムで変更する。
【0080】
なお、加工プログラムP内が加工ヘッド1の速度指令を含んでいる場合、トレースゲイン変更部12は、この速度指令に基づいてトレースゲインGxを変更してもよい。また、制御装置10Cが、加工プログラムPに基づいて加工ヘッド1への速度指令を生成する手段を有している場合には、トレースゲイン変更部12は、生成された速度指令に基づいてトレースゲインGxを変更してもよい。
【0081】
また、トレースゲイン変更部12は、加工プログラムPに基づいて予測された加工ヘッド1の加速度に基づいて、トレースゲインGxを変更してもよい。この場合、制御装置10C内に、加工プログラムPに基づいて加工ヘッド1の加速度を予測する加速度予測手段を配置しておく。
【0082】
このように実施の形態3によれば、加工プログラムPに基づいて、加工条件に応じたトレースゲインGxを設定するので、レーザ加工中の加工状態に応じたトレースゲインGxでワークWのレーザ加工を行うことができる。したがって、種々の加工状態に対して安定したレーザ加工を容易に行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上のように、本発明に係る制御装置、レーザ加工機およびレーザ加工方法は、加工ヘッドへの倣い制御に適している。
【符号の説明】
【0084】
1 加工ヘッド
10A〜 10C 制御装置
11 加工条件入力部
12 トレースゲイン変更部
13 プログラム移動量作成部
14 サーボアンプ
15 倣い移動量作成部
21 ギャップセンサ
31 速度センサ
51〜53 情報テーブル
100A〜100C レーザ加工機
W ワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工ヘッドへの倣い制御を行う制御装置、レーザ加工機およびレーザ加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄板などのワーク(加工対象物)を加工する装置の1つとして、ワークにレーザ光を照射して穴あけ加工を行うレーザ加工機がある。このようなレーザ加工機では、加工前の準備作業として、加工ヘッドを高さ方向であるZ軸方向に降下させることによって加工ヘッドをワークに近づける。そして、加工ヘッドによってワークへのピアス作業を行い、その後、加工ヘッドをワークの主面と平行なXY平面で移動させることによってレーザ加工が行われる。このとき、レーザ加工機は、ワークに対し一定のゲイン(応答特性)で加工ヘッドを倣い制御している。
【0003】
倣い制御は、レーザ加工を開始する際のアプローチやレーザ加工中のトレースの際に行われる加工ヘッドへの制御であり、ワークや加工屑への加工ヘッドの衝突を防止するための制御である。アプローチの際の倣い制御は、加工ヘッドを所定の距離までワークに近づける制御(加工点への加工ヘッドの降下)であり、トレースの際の倣い制御は、加工ヘッドとワークや加工屑との距離が所定の距離を保てるよう加工ヘッドを高さ方向に移動させる制御である。
【0004】
例えば、特許文献1に記載のレーザ加工方法では、アプローチ時はゲインを上げて倣い制御を行ない、トレース時はゲインを下げて倣い制御を行なうことによって加工時間の短縮を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−343255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術では、トレース時には全ての加工材料に対して固定のゲインを用いていたので、全ての加工材料を安定して加工するためのチューニングが困難であるという問題があった。このため、安定したレーザ加工を行うことができない加工材料があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、安定したレーザ加工を行うことができる制御装置、レーザ加工機およびレーザ加工方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、被加工物と当該被加工物にレーザ光を照射する加工ヘッドとの間の距離を制御しながら前記被加工物へのレーザ加工を制御する制御装置において、前記被加工物と前記加工ヘッドとの間の距離を一定の値に保つトレースの際の前記加工ヘッドの移動応答特性であるトレースゲインを可変設定するトレースゲイン設定部と、前記トレースゲイン設定部が設定したトレースゲインを用いて前記加工ヘッドへの移動指令を送出する移動指令出力部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、トレースの際のトレースゲインを可変設定するので、安定したレーザ加工を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係るレーザ加工機の構成を示す図である。
【図2】図2は、実施の形態1のレーザ加工機によるトレースゲインの設定処理手順を示すフローチャートである。
【図3】図3は、トレースゲインの変更判断処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図4は、加工速度とトレースゲインとの間の対応関係情報を示す図である。
【図5】図5は、加工板厚とトレースゲインとの間の対応関係情報を示す図である。
【図6】図6は、加工速度とトレースゲインとの間の対応関係情報としての情報テーブルを示す図である。
【図7】図7は、加工板厚とトレースゲインとの間の対応関係情報としての情報テーブルを示す図である。
【図8】図8は、加工材質とトレースゲインとの間の対応関係情報としての情報テーブルを示す図である。
【図9】図9は、トレースゲインの大きさに応じた加工ヘッドの動作例を説明するための図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態2に係るレーザ加工機の構成を示す図である。
【図11】図11は、実施の形態2のレーザ加工機によるトレースゲインの設定処理手順を示すフローチャートである。
【図12】図12は、本発明の実施の形態3に係るレーザ加工機の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態に係る制御装置、レーザ加工機およびレーザ加工方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るレーザ加工機の構成を示す図である。レーザ加工機100Aは、レーザ加工の際のトレース時に用いるトレースゲイン(倣い制御の感度)を、加工速度などの加工条件に応じた値に設定してワーク(被加工物)Wのレーザ加工を行う装置である。レーザ加工機100Aは、例えば、低速加工を行う際には、高速加工時よりもトレースゲインを小さくし、これにより加工ヘッド1がワークWの表面に散らばったスパッタ等の加工屑へ過敏に反応することを防止する。また、レーザ加工機100Aは、高速加工を行う際には、低速加工時よりもトレースゲインを大きくすることによって、傾斜したワークWへの加工ヘッド1の衝突を回避する。なお、以下では、ワークWを載置するXYテーブル(図示せず)の主面と平行な面内をXY平面とし、XYテーブルの高さ方向をZ軸方向として説明する。
【0013】
レーザ加工機100Aは、本実施の形態の特徴の1つである制御装置10Aを備えて構成されている。また、レーザ加工機100Aは、制御装置10Aに接続されたモータMと、モータMに接続された加工ヘッド1と、加工ヘッド1の近傍に配置されるとともに、制御装置10Aに接続された倣いユニット20と、を有している。
【0014】
制御装置10Aは、ワークWへのレーザ加工を制御する例えばNC装置などであり、CPU(Central Processing Unit))、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えて構成されている。本実施の形態の制御装置10Aは、レーザ加工中にワークWと加工ヘッド1との間の距離であるギャップを所定の距離に保持するNC倣い制御を行う。制御装置10Aは、加工条件入力部11、トレースゲイン変更部12、プログラム移動量作成部13、サーボアンプ14、倣い移動量作成部15、A/D変換部16を備えている。
【0015】
加工条件入力部11は、マウス、キーボード、入力ボタンなどからユーザによって入力されるレーザ加工の加工条件を、制御装置10Aに入力し、トレースゲイン変更部12に送る。加工条件入力部11に入力される加工条件は、レーザ加工を行う際の加工速度、ワークWの材質(加工材質)、ワークWの厚さ(加工板厚)などである。加工条件入力部11に入力される加工条件は、加工速度、加工材質、加工板厚の何れか1つであってもよいし、複数種類であってもよい。
【0016】
トレースゲイン変更部(トレースゲイン設定部)12は、加工条件入力部11からの加工条件に基づいて、現在設定中のトレースゲイン(前回のレーザ加工に用いたトレースゲイン)を加工条件に応じたトレースゲインに変更する。換言すると、トレースゲイン変更部12は、トレースゲインを可変設定(可変制御)する機能を有している。
【0017】
トレースゲイン変更部12は、例えば加工速度が低速の場合、加工板厚が厚い場合に、小さなトレースゲインを設定する。また、トレースゲイン変更部12は、例えば加工速度が高速の場合、加工板厚が薄い場合に、大きなトレースゲインを設定する。トレースゲイン変更部12は、設定したトレースゲインを倣い移動量作成部15に送る。
【0018】
A/D変換部16は、倣いユニット20から送られてくる倣い状態の情報(加工ヘッド1とワークWとの間の距離を示す信号)(以下、ギャップ情報という)をA/D変換して倣い移動量作成部15に送る。
【0019】
倣い移動量作成部15は、トレースゲイン変更部12から送られてくるトレースゲインおよびA/D変換されたギャップ情報に基づいて、加工ヘッド1のZ軸方向の移動量指令を作成する。加工ヘッド1とワークWとの間の距離は、ワークWの反り、傾き、撓み、立ち上がりなどによって、レーザ加工中に変化するものである。このため、倣い移動量作成部15は、トレースゲインおよびギャップ情報に応じた移動量指令をリアルタイムに作成する。本実施の形態の倣い移動量作成部15は、トレースゲインに従ってトレース時の倣い制御を行なうよう、移動量指令を作成する。倣い移動量作成部15は、作成した移動量指令をサーボアンプ14に送る。
【0020】
プログラム移動量作成部13は、加工プログラムPを参照して加工ヘッド1への移動量指令を作成し、サーボアンプ14に送る。加工プログラムPは、ワークWへのレーザ加工に用いるNCプログラムなどであり、加工ヘッド1への位置指令などが設定されている。加工ヘッド1への位置指令は、XY平面内での位置指令とZ軸方向への位置指令(アプローチ)がある。
【0021】
サーボアンプ(移動指令出力部)14は、プログラム移動量作成部13からの移動量指令と、倣い移動量作成部15からの移動量指令と、に基づいて、加工ヘッド1を所定の移動量だけ移動させるためのモータ駆動指令を仮作成する。サーボアンプ14は、作成したモータ駆動指令をモータMに送出する。
【0022】
モータMは、サーボアンプ14からのモータ駆動指令に従って、加工ヘッド1をZ軸方向およびXY平面内で移動させる。加工ヘッド1は、レーザ光源(図示せず)から出射されるレーザ光をワークWに出射するノズル2を先端部側に備えており、このノズル2からレーザ光がワークWに照射される。
【0023】
倣いユニット20は、加工ヘッド1(ノズル2)と、ワークWとの間のZ軸方向の距離を検出して制御装置10Aに送るユニットである。倣いユニット20は、ワークWとの間のZ軸方向の距離をギャップ情報として検出するギャップセンサ21を備えている。ギャップセンサ21は、検出したギャップ情報を制御装置10AのA/D変換部16に送る。
【0024】
なお、加工条件入力部11に入力する加工条件は、トレースゲインの大きさ(加工運転モード)を指定する情報であってもよい。この場合、トレースゲイン変更部12は不要であり、加工条件入力部11に入力されたトレースゲインの大きさを指定する情報が倣い移動量作成部15に送られる。
【0025】
つぎに、レーザ加工機100Aの動作処理について説明する。まず、トレースゲインの設定処理手順について説明する。図2は、実施の形態1のレーザ加工機によるトレースゲインの設定処理手順を示すフローチャートである。ユーザによって、加工条件入力部11に加工条件が入力された後(ステップS10)、レーザ加工機100Aは、加工プログラムPに基づいたプログラム運転を開始する(ステップS20)。
【0026】
加工条件入力部11に入力された加工条件は、トレースゲイン変更部12に送られる。トレースゲイン変更部12は、加工条件入力部11からの加工条件に基づいて、現在設定されているトレースゲインを、加工条件に応じたトレースゲインに変更する(ステップS30)。トレースゲイン変更部12は、変更後のトレースゲインを倣い移動量作成部15に送る。
【0027】
この後、レーザ加工機100Aは、加工ヘッド1の倣い制御を開始する(ステップS40)。そして、サーボアンプ14は、加工条件に応じたトレースゲインで加工ヘッド1が倣い動作を実行するよう、モータMへのモータ駆動指令を作成する。これにより、加工ヘッド1は、トレース時に加工条件に応じたトレースゲインで倣い制御されながら、ワークWへのレーザ加工が行われる。
【0028】
つぎに、トレースゲインを変更するか否かの判断処理手順について説明する。図3は、トレースゲインの変更判断処理手順を示すフローチャートである。加工条件入力部11に加工速度Vx、加工材質、加工板厚Txなどの加工条件が入力されると、加工条件がトレースゲイン変更部12に送られる。
【0029】
トレースゲイン変更部12は、前回のレーザ加工の際に加工したワークの加工材質と、加工条件で設定されている加工材質とが異なるか否かを判定する(ステップS110)。前回の加工材質と、今回の加工条件で設定されている加工材質とが同じである場合(ステップS110、No)、トレースゲイン変更部12は、前回レーザ加工したワークWの加工板厚Txと、今回の加工条件で設定されている加工板厚Txとが異なるか否かを判定する(ステップS120)。
【0030】
前回の加工板厚Txと、今回の加工条件で設定されている加工板厚Txとが同じである場合(ステップS120、No)、トレースゲイン変更部12は、前回レーザ加工した際の加工速度Vxと、今回の加工条件で設定されている加工速度Vxとが異なるか否かを判定する(ステップS130)。
【0031】
前回の加工速度Vxと、今回の加工条件で設定されている加工速度Vxとが同じである場合(ステップS130、No)、トレースゲイン変更部12は、トレースゲインの変更は不要であると判断する(ステップS140)。これにより、前回のトレースゲインと同じトレースゲインでワークWのレーザ加工が行われる。
【0032】
一方、前回の加工材質と、今回の加工条件で設定されている加工材質とが異なる場合(ステップS110、Yes)、トレースゲイン変更部12は、トレースゲインの変更が必要であると判断する(ステップS150)。
【0033】
また、前回の加工板厚Txと、今回の加工条件で設定されている加工板厚Txとが異なる場合(ステップS120、Yes)、トレースゲイン変更部12は、トレースゲインの変更が必要であると判断する(ステップS150)。
【0034】
また、前回の加工速度Vxと、今回の加工条件で設定されている加工速度Vxとが異なる場合(ステップS130、Yes)、トレースゲイン変更部12は、トレースゲインの変更が必要であると判断する(ステップS150)。
【0035】
トレースゲイン変更部12は、トレースゲインの変更が必要であると判断すると、前回のレーザ加工に用いた現在設定中のトレースゲインまたは初期設定されているトレースゲインを、今回の加工条件に応じたトレースゲインに変更する(ステップS160)。
【0036】
なお、加工条件として加工材質が入力されなかった場合、トレースゲイン変更部12は、加工材質の変更がないものと判断する。同様に、加工条件として加工板厚や加工速度が入力されなかった場合、トレースゲイン変更部12は、加工板厚や加工速度の変更がないものと判断する。
【0037】
つぎに、加工条件に応じて設定されるトレースゲインの大きさの具体例について説明する。本実施の形態では、加工条件をトレースゲインの大きさに対応付けした対応関係情報を、予めトレースゲイン変更部12に登録しておく。対抗関係情報は、加工条件毎のトレースゲインの大きさであり、数式や情報テーブルなどによって規定しておく。例えば、対応関係情報としての数式は、加工条件とトレースゲインとの比例関係などの対応関係を示す式などである。トレースゲイン変更部12は、登録しておいた対応関係情報と、加工条件入力部11からの加工条件と、に基づいて、加工条件に応じたトレースゲインを決定する。
【0038】
加工条件が加工速度Vxであり、対応関係情報が、加工速度VxとトレースゲインGxとの対応関係である場合、対応関係情報は、例えば図4の関係を示す数式によって規定しておく。図4は、加工速度とトレースゲインとの間の対応関係情報を示す図である。図4では、加工速度Vxの範囲毎にトレースゲインGxの値が対応付けされている。
【0039】
具体的には、加工速度Vxの低速範囲(低速V1)と、トレースゲインGxの小さな値(小ゲインG1)と、が対応付けされている。また、加工速度Vxの中速範囲(中速V2)と、トレースゲインGxの中程度の値(中ゲインG2)と、が対応付けされ、加工速度Vxの高速範囲(高速V3)と、トレースゲインGxの大きな値(大ゲインG3)と、が対応付けされている。
【0040】
これにより、加工速度Vxが低速V1の範囲内である場合には、小ゲインG1でワークWの切断(トレース)が行われる。また、加工速度Vxが中速V2の範囲内である場合には、中ゲインG2でトレースが行われ、加工速度Vxが高速V3の範囲内である場合には、大ゲインG3でトレースが行われる。
【0041】
また、加工条件が加工板厚Txであり、対応関係情報が、加工板厚TxとトレースゲインGxとの対応関係である場合、対応関係情報は、例えば図5の関係を示す数式によって規定しておく。図5は、加工板厚とトレースゲインとの間の対応関係情報を示す図である。図5では、加工板厚Txの範囲毎にトレースゲインGxの値が対応付けされている。
【0042】
具体的には、加工板厚Txの小厚範囲(小厚T1)と、トレースゲインGxの大きな値(大ゲインG11)と、が対応付けされている。また、加工板厚Txの中厚範囲(中厚T2)と、トレースゲインGxの中程度の値(中ゲインG12)と、が対応付けされ、加工板厚Txの大厚範囲(大厚T3)と、トレースゲインGxの小さな値(小ゲインG13)と、が対応付けされている。
【0043】
これにより、加工板厚Txが小厚T1の範囲内である場合には、大ゲインG11でトレースが行われる。また、加工板厚Txが中厚T2の範囲内である場合には、中ゲインG12でトレースが行われ、加工板厚Txが大厚T3の範囲内である場合には、小ゲインG13でトレースが行われる。
【0044】
なお、対応関係情報は、数式で規定する場合に限らず、加工条件とトレースゲインとを対応付けした情報テーブルで規定してもよい。加工条件が加工速度Vxであり、対応関係情報が、加工速度VxとトレースゲインGxとの対応関係である場合、対応関係情報は、例えば図6に示す情報テーブル51などによって規定しておく。図6は、加工速度とトレースゲインとの間の対応関係情報としての情報テーブルを示す図である。図6では、加工速度Vxの範囲毎にトレースゲインGxの値が対応付けされている。
【0045】
具体的には、加工速度Vxの低速V1の範囲と、トレースゲインGxの小ゲインG1と、が対応付けされている。また、加工速度Vxの中速V2の範囲と、トレースゲインGxの中ゲインG2と、が対応付けされ、加工速度Vxの高速V3の範囲と、トレースゲインGxの大ゲインG3と、が対応付けされている。
【0046】
また、加工条件が加工板厚Txであり、対応関係情報が、加工板厚TxとトレースゲインGxとの対応関係である場合、対応関係情報は、例えば図7に示す情報テーブル52などによって規定しておく。図7は、加工板厚とトレースゲインとの間の対応関係情報としての情報テーブルを示す図である。図7では、加工板厚Txの範囲毎にトレースゲインGxの値が対応付けされている。
【0047】
具体的には、加工板厚Txの小厚T1の範囲と、トレースゲインGxの大ゲインG11と、が対応付けされている。また、加工板厚Txの中厚T2の範囲と、トレースゲインGxの中ゲインG12と、が対応付けされ、加工板厚Txの大厚T3の範囲と、トレースゲインGxの小ゲインG13と、が対応付けされている。
【0048】
また、加工条件が加工材質であり、対応関係情報が、加工材質とトレースゲインGxとの対応関係である場合、対応関係情報は、例えば図8に示す情報テーブル53などによって規定しておく。図8は、加工材質とトレースゲインとの間の対応関係情報としての情報テーブルを示す図である。図8では、加工材質の種類毎にトレースゲインGxの値が対応付けされている。
【0049】
具体的には、加工材質のアルミニウムと、トレースゲインGxのゲインG21と、が対応付けされている。また、加工材質の鉄と、トレースゲインGxのゲインG22と、が対応付けされ、加工材質のステンレスと、トレースゲインGxのゲインG23と、が対応付けされている。
【0050】
なお、加工条件として複数種類の条件が入力された場合、トレースゲイン変更部12は、複数の加工条件に基づいて、トレースゲインGxを設定してもよい。換言すると、トレースゲイン変更部12は、加工条件の組合せでトレースゲインGxを決定してもよい。例えば、加工条件として、加工速度Vxと、加工板厚Txと、加工材質と、が入力された場合、トレースゲイン変更部12は、これら3種類の加工条件に基づいてトレースゲインGxを設定する。このとき、トレースゲイン変更部12は、例えば、3種類の各加工条件に対応するトレースゲインGxの平均値や中間値をトレースの際のトレースゲインGxに決定する。また、トレースゲイン変更部12は、各加工条件に対応するトレースゲインGxの中の最大値や最小値をトレースの際のトレースゲインGxとしてもよい。
【0051】
また、トレースゲイン変更部12は、各加工条件に対応するトレースゲインGxの値を全て足した値をトレースの際のトレースゲインGxとしてもよい。この場合、トレースゲインGxの算出に用いる加工条件の種類の数に応じて、予め各情報テーブル51〜53内でのトレースゲインGxの値を設定しておく。例えば、3種類の加工条件を用いてトレースゲインGxを設定する場合、3種類の各加工条件に対応するトレースゲインGxを全て足した値が、小ゲイン、中ゲイン、大ゲインの何れかになるよう、各情報テーブル51〜53内でのトレースゲインGxの値を設定しておく。
【0052】
また、トレースゲイン変更部12は、各加工条件に対応するトレースゲインGxの値を全て掛け合わせた値をトレースの際のトレースゲインGxとしてもよい。この場合、トレースゲインGxの算出に用いる加工条件の種類の数に応じて、予め各情報テーブル51〜53内でのトレースゲインGxの値を設定しておく。例えば、3種類の加工条件を用いてトレースゲインGxを設定する場合、3種類の各加工条件に対応するトレースゲインGxの値を全て掛け合わせた値が、小ゲイン、中ゲイン、大ゲインの何れかになるよう、各情報テーブル51〜53内でのトレースゲインGxの値を設定しておく。
【0053】
なお、各加工条件に対応するトレースゲインGxの値を全て足した値や掛け合わせた値をトレースの際のトレースゲインGxとする場合、各情報テーブル51〜53内でのトレースゲインGxの値に重み付けを行なっておいてもよい。例えば、情報テーブル52内のトレースゲインGxの値を、情報テーブル51内のトレースゲインGxの値の半分に設定しておく。具体的には、大ゲインG11、中ゲインG12、小ゲインG13を、それぞれ小ゲインG1、中ゲインG2、大ゲインG3の半分の値にしておく。
【0054】
つぎに、加工条件に基づいてトレースゲインGxを設定した場合の、加工ヘッド1の動作の一例について説明する。ここでは、トレースゲインGxが小ゲインG1、中ゲインG2、大ゲインG3の場合の加工ヘッド1の動作について説明する。
【0055】
図9は、トレースゲインの大きさに応じた加工ヘッドの動作例を説明するための図である。トレースゲイン変更部12によってトレースゲイン変更処理が行われると、加工条件に応じたトレースゲインGxとして、小ゲインG1、中ゲインG2、大ゲインG3の何れかでトレースが行なわれる。
【0056】
トレースが行なわれる際には、加工ヘッド1が、ワークWとの間で所定の距離を保ちながらワークW上のXY平面内を移動経路に沿って移動する。例えば、加工ヘッド1の移動経路上に加工屑6があった場合、加工ヘッド1は、この加工屑6を回避するよう、Z軸方向の上側に移動しながらXY平面内の移動経路上を移動する。そして、加工屑6を回避した後は、加工ヘッド1は、元の高さに戻って、XY平面内の移動経路上を移動する。
【0057】
例えば、大ゲインG3が設定されている場合、加工ヘッド1は、大きな応答特性でワークWや加工屑6との衝突を回避する。これにより、ワークWや加工屑6に対する加工ヘッド1の追従性が向上する。したがって、大ゲインG3が設定されている場合には、ワークWがXY平面から傾斜している場合であっても、ワークWと加工ヘッド1との衝突を回避することができる。
【0058】
また、小ゲインG1が設定されている場合、加工ヘッド1は、小さな応答特性でワークWや加工屑6との衝突を回避する。これにより、ワークWや加工屑6に対する加工ヘッド1の追従性を低下させることができる。このため、加工ヘッド1の移動経路上に加工屑6がある場合であっても、加工ヘッド1は加工屑6に過敏に反応することはない。これにより、加工ヘッド1は、急激なノズルギャップ変化を起こすことなく、移動経路上を移動できる。したがって、小ゲインG1が設定されている場合には、ハンチングによってワークWが切断不良となることを回避できる。また、中ゲインG2が設定されている場合、大ゲインG3が設定されている場合と、小ゲインG1が設定されている場合の中間的な倣い動作が行なわれる。
【0059】
このように、加工速度Vxが高速V3の場合、加工板厚Txが大厚T3の場合には、大ゲインG3,G11が設定され、加工材質が鉄やステンレスなどの硬い材質の場合には、これらの材質に応じたゲインG22,G23が設定されるので、ワークWと加工ヘッド1との衝突を回避することができる。
【0060】
また、加工速度Vxが低速V1の場合、加工板厚Txが小厚T1の場合には、小ゲインG1,G13が設定され、加工材質がアルミニウムなどの軟らかい材質の場合には、これらの材質に応じたゲインG21が設定されるので、ワークWの切断不良を防止することができる。
【0061】
なお、1枚のワークW内に複数種類の板厚や材質を有したワークWに対して、板厚や材質に応じたトレースゲインGxを設定してもよい。この場合、ワークWの位置毎に板厚や材質を設定し、ワークWの位置毎にトレースゲインGxが設定される。
【0062】
また、本実施の形態では、制御装置10Aがレーザ加工機100Aの加工ヘッド1を制御する場合について説明したが、制御装置10Aは、プラズマガスを噴射するプラズマ加工機や加熱炎を噴射するガス切断機などの加工ヘッドを制御してもよい。この場合も、制御装置10Aは、加工条件に応じたトレースゲインGxを設定する。
【0063】
また、本実施の形態では、レーザ加工を開始する前にトレースゲインGxを設定したが、トレースを開始する前であれば、アプローチの際にトレースゲインGxを設定してもよい。
【0064】
このように実施の形態1によれば、加工条件に応じたトレースゲインGxでワークWのレーザ加工を行うので、種々の加工条件に対して安定したレーザ加工を容易に行うことが可能となる。
【0065】
実施の形態2.
つぎに、図10および図11を用いてこの発明の実施の形態2について説明する。実施の形態2では、ワークWのレーザ加工中に加工ヘッド1の加工条件(加工状態)である移動速度をモニタする。そして、モニタした移動速度に応じたトレースゲインGxとなるよう、トレースゲインGxをリアルタイムで変更しながらレーザ加工を行う。
【0066】
図10は、本発明の実施の形態2に係るレーザ加工機の構成を示す図である。図10の各構成要素のうち図1に示す実施の形態1のレーザ加工機100Aと同一機能を達成する構成要素については同一番号を付しており、重複する説明は省略する。
【0067】
レーザ加工機100Bは、制御装置10Bと、制御装置10Bに接続されたモータMと、加工ヘッド1と、制御装置10Bに接続された倣いユニット20と、速度センサ31と、を有している。速度センサ31は、加工ヘッド1のXY平面内での移動速度を検出するセンサであり、加工ヘッド1の近傍などに配置されている。速度センサ31は、検出した移動速度をトレースゲイン変更部12に送る。
【0068】
制御装置10Bは、制御装置10Aと同様の機能を有している。制御装置10Bのトレースゲイン変更部12は、速度センサ31と接続している。レーザ加工が開始された後、トレースゲイン変更部12は、速度センサ31から送られてくる加工ヘッド1の移動速度に基づいて、トレースゲインGxをリアルタイムで変更する。
【0069】
つぎに、レーザ加工機100Bの動作処理について説明する。ここでは、トレースゲインの設定処理手順について説明する。図11は、実施の形態2のレーザ加工機によるトレースゲインの設定処理手順を示すフローチャートである。加工条件入力部11に加工条件が入力された後(ステップS210)、レーザ加工機100Bは、加工プログラムPに基づいたプログラム運転を開始する(ステップS220)。
【0070】
加工条件入力部11に入力された加工条件は、トレースゲイン変更部12に送られる。トレースゲイン変更部12は、加工条件入力部11からの加工条件に基づいて、現在設定されているトレースゲインを、加工条件に応じたトレースゲインに変更する(ステップS230)。トレースゲイン変更部12は、変更後のトレースゲインを倣い移動量作成部15に送る。
【0071】
この後、レーザ加工機100Bは、加工ヘッド1の倣い制御を開始する(ステップS240)。倣い制御を開始した後、速度センサ31は、加工状態として加工ヘッド1のXY平面内での移動速度を検出する(ステップS250)。速度センサ31は、検出した移動速度をトレースゲイン変更部12に送る。
【0072】
トレースゲイン変更部12は、移動速度が変化したか否かを判断する(ステップS260)。移動速度が変化していなければ(ステップS260、No)、トレースゲイン変更部12は、現在のトレースゲインGxでワークWのレーザ加工を続行する。また、速度センサ31は、加工ヘッド1の移動速度を検出する処理を継続する。そして、速度センサ31は、検出した移動速度をトレースゲイン変更部12に送る。
【0073】
一方、移動速度が変化すると(ステップS260、Yes)、トレースゲイン変更部12は、現在設定中のトレースゲインを移動速度に応じたトレースゲインに変更する(ステップS270)。そして、レーザ加工が終了していなければ(ステップS280、No)、レーザ加工機100Bは、ワークWへのレーザ加工が終了するまで、ステップS250〜S270の処理を繰り返す。レーザ加工が終了すると(ステップS280、Yes)、トレースゲイン変更部12は、トレースゲインGxの変更処理を終了する。
【0074】
なお、本実施の形態では、レーザ加工中の加工状態が加工ヘッド1の移動速度である場合について説明したが、レーザ加工中の加工状態は加工ヘッド1のXY平面内での加速度でもよい。この場合、速度センサ31の代わりに、加速度センサ(図示せず)を加工ヘッド1の近傍になどに配置しておく。そして、加速度センサは、検出した加速度をトレースゲイン変更部12に送る。レーザ加工が開始された後、トレースゲイン変更部12は、加速度センサから送られてくる加工ヘッド1の加速度に基づいて、トレースゲインGxをリアルタイムで変更する。
【0075】
なお、トレースゲイン変更部12は、加工ヘッド1の移動速度と加速度の両方に基づいて、トレースゲインGxを変更してもよい。また、本実施の形態では、加工条件に応じたトレースゲインGxを設定してからワークWへのレーザ加工を開始する場合について説明したが、加工条件に応じたトレースゲインGxを設定することなく予め決めておいたトレースゲインGx(トレースゲインGxの初期値)でワークWへのレーザ加工を開始してもよい。この場合、制御装置10Bは、加工条件入力部11を有していなくてもよい。
【0076】
このように実施の形態2によれば、加工条件である移動速度や加速度をモニタし、モニタした加工条件に応じたトレースゲインGxを設定するで、レーザ加工中の加工状態に応じたトレースゲインGxでワークWのレーザ加工を行うことができる。また、加工ヘッド1の加工状態を速度センサ31などで直接検出しているので、加工ヘッド1がXY平面内でカーブを描くよう移動する(コーナーをレーザ加工する)場合などであっても、容易かつ正確に加工状態を検出することが可能となる。したがって、種々の加工状態に対して安定したレーザ加工を容易に行うことが可能となる。
【0077】
実施の形態3.
つぎに、図12を用いてこの発明の実施の形態3について説明する。実施の形態3では、ワークWのレーザ加工中に加工プログラムPに基づいて、加工ヘッド1の移動速度を検出する。そして、検出した移動速度に応じたトレースゲインGxとなるよう、トレースゲインGxをリアルタイムで変更しながらレーザ加工を行う。
【0078】
図12は、本発明の実施の形態3に係るレーザ加工機の構成を示す図である。図12の各構成要素のうち図1に示す実施の形態1のレーザ加工機100Aや図10に示す実施の形態2のレーザ加工機100Bと同一機能を達成する構成要素については同一番号を付しており、重複する説明は省略する。
【0079】
レーザ加工機100Cは、制御装置10Cと、制御装置10Cに接続されたモータMと、加工ヘッド1と、制御装置10Cに接続された倣いユニット20と、を有している。制御装置10Cは、制御装置10Bと同様の機能を有している。制御装置10Cのトレースゲイン変更部12は、プログラム移動量作成部13と接続している。レーザ加工が開始された後、トレースゲイン変更部12は、プログラム移動量作成部13から送られてくる加工ヘッド1への移動指令(移動量)に基づいて、加工ヘッド1の移動速度を予測する。そして、トレースゲイン変更部12は、予測した移動速度に応じたトレースゲインGxとなるよう、トレースゲインGxをリアルタイムで変更する。
【0080】
なお、加工プログラムP内が加工ヘッド1の速度指令を含んでいる場合、トレースゲイン変更部12は、この速度指令に基づいてトレースゲインGxを変更してもよい。また、制御装置10Cが、加工プログラムPに基づいて加工ヘッド1への速度指令を生成する手段を有している場合には、トレースゲイン変更部12は、生成された速度指令に基づいてトレースゲインGxを変更してもよい。
【0081】
また、トレースゲイン変更部12は、加工プログラムPに基づいて予測された加工ヘッド1の加速度に基づいて、トレースゲインGxを変更してもよい。この場合、制御装置10C内に、加工プログラムPに基づいて加工ヘッド1の加速度を予測する加速度予測手段を配置しておく。
【0082】
このように実施の形態3によれば、加工プログラムPに基づいて、加工条件に応じたトレースゲインGxを設定するので、レーザ加工中の加工状態に応じたトレースゲインGxでワークWのレーザ加工を行うことができる。したがって、種々の加工状態に対して安定したレーザ加工を容易に行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上のように、本発明に係る制御装置、レーザ加工機およびレーザ加工方法は、加工ヘッドへの倣い制御に適している。
【符号の説明】
【0084】
1 加工ヘッド
10A〜 10C 制御装置
11 加工条件入力部
12 トレースゲイン変更部
13 プログラム移動量作成部
14 サーボアンプ
15 倣い移動量作成部
21 ギャップセンサ
31 速度センサ
51〜53 情報テーブル
100A〜100C レーザ加工機
W ワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物と当該被加工物にレーザ光を照射する加工ヘッドとの間の距離を制御しながら前記被加工物へのレーザ加工を制御する制御装置において、
前記被加工物と前記加工ヘッドとの間の距離を一定の値に保つトレースの際の前記加工ヘッドの移動応答特性であるトレースゲインを可変設定するトレースゲイン設定部と、
前記トレースゲイン設定部が設定したトレースゲインを用いて前記加工ヘッドへの移動指令を送出する移動指令出力部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記トレースゲイン設定部は、前記トレースを開始する前に、前記トレースの際の加工条件に応じたトレースゲインを設定することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記加工条件は、前記被加工物への加工速度、前記被加工物の板厚および前記被加工物の材質の少なくとも1つであることを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記トレースゲイン設定部は、前記トレース中に、前記加工ヘッドの状態に応じたトレースゲインを設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の制御装置。
【請求項5】
前記加工ヘッドの状態は、前記被加工物に対する前記加工ヘッドの移動速度であり、
前記移動速度は、前記被加工物に対する前記加工ヘッドの移動速度を検出する速度センサによって検出された速度であることを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記加工ヘッドの状態は、前記被加工物に対する前記加工ヘッドの移動速度であり、
前記移動速度は、前記被加工物へのレーザ加工に用いる加工プログラムに基づいて予測された速度であることを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
【請求項7】
前記トレースゲイン設定部へは、予め複数種類のトレースゲインを設定しておき、
前記トレースゲイン設定部は、予め設定しておいた複数種類のトレースゲインの中からユーザによって選択されたトレースゲインを前記トレースの際のトレースゲインに設定することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
被加工物にレーザ光を照射する加工ヘッドと、
前記被加工物と前記加工ヘッドとの間の距離を制御しながら、前記被加工物へのレーザ加工を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記被加工物と前記加工ヘッドとの間の距離を一定の値に保つトレースの際の前記加工ヘッドの移動応答特性であるトレースゲインを可変設定するトレースゲイン設定部と、
前記トレースゲイン設定部が設定したトレースゲインを用いて前記加工ヘッドへの移動指令を送出する移動指令出力部と、
を有することを特徴とするレーザ加工機。
【請求項9】
被加工物と当該被加工物にレーザ光を照射する加工ヘッドとの間の距離を制御しながら、前記被加工物へのレーザ加工を行うレーザ加工方法において、
前記被加工物と前記加工ヘッドとの間の距離を一定の値に保つトレースの際の前記加工ヘッドの移動応答特性であるトレースゲインを、前記各被加工物へのレーザ加工に応じた大きさに設定するトレースゲイン設定ステップと、
設定したトレースゲインで前記被加工物へのレーザ加工を行うレーザ加工ステップと、
を含むことを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項1】
被加工物と当該被加工物にレーザ光を照射する加工ヘッドとの間の距離を制御しながら前記被加工物へのレーザ加工を制御する制御装置において、
前記被加工物と前記加工ヘッドとの間の距離を一定の値に保つトレースの際の前記加工ヘッドの移動応答特性であるトレースゲインを可変設定するトレースゲイン設定部と、
前記トレースゲイン設定部が設定したトレースゲインを用いて前記加工ヘッドへの移動指令を送出する移動指令出力部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記トレースゲイン設定部は、前記トレースを開始する前に、前記トレースの際の加工条件に応じたトレースゲインを設定することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記加工条件は、前記被加工物への加工速度、前記被加工物の板厚および前記被加工物の材質の少なくとも1つであることを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記トレースゲイン設定部は、前記トレース中に、前記加工ヘッドの状態に応じたトレースゲインを設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の制御装置。
【請求項5】
前記加工ヘッドの状態は、前記被加工物に対する前記加工ヘッドの移動速度であり、
前記移動速度は、前記被加工物に対する前記加工ヘッドの移動速度を検出する速度センサによって検出された速度であることを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記加工ヘッドの状態は、前記被加工物に対する前記加工ヘッドの移動速度であり、
前記移動速度は、前記被加工物へのレーザ加工に用いる加工プログラムに基づいて予測された速度であることを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
【請求項7】
前記トレースゲイン設定部へは、予め複数種類のトレースゲインを設定しておき、
前記トレースゲイン設定部は、予め設定しておいた複数種類のトレースゲインの中からユーザによって選択されたトレースゲインを前記トレースの際のトレースゲインに設定することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
被加工物にレーザ光を照射する加工ヘッドと、
前記被加工物と前記加工ヘッドとの間の距離を制御しながら、前記被加工物へのレーザ加工を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記被加工物と前記加工ヘッドとの間の距離を一定の値に保つトレースの際の前記加工ヘッドの移動応答特性であるトレースゲインを可変設定するトレースゲイン設定部と、
前記トレースゲイン設定部が設定したトレースゲインを用いて前記加工ヘッドへの移動指令を送出する移動指令出力部と、
を有することを特徴とするレーザ加工機。
【請求項9】
被加工物と当該被加工物にレーザ光を照射する加工ヘッドとの間の距離を制御しながら、前記被加工物へのレーザ加工を行うレーザ加工方法において、
前記被加工物と前記加工ヘッドとの間の距離を一定の値に保つトレースの際の前記加工ヘッドの移動応答特性であるトレースゲインを、前記各被加工物へのレーザ加工に応じた大きさに設定するトレースゲイン設定ステップと、
設定したトレースゲインで前記被加工物へのレーザ加工を行うレーザ加工ステップと、
を含むことを特徴とするレーザ加工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−235309(P2011−235309A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108067(P2010−108067)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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