説明

制御装置のメッセージ表示方法及び射出成形機のメッセージ表示方法

【課題】
非表示にしたい画面を一回の操作で非表示にした後、続いてその非表示になった画面を自動的に再表示させ、操作性を向上させた制御装置のメッセージ表示方法及び射出成形機のメッセージ表示方法を提供する。
【解決手段】
射出成形機1に、入力項目を有するベース画面16上に射出成形機1の警告などをメッセージとして表示するアラーム画面17を重なるように表示した表示部11を備え、アラーム画面17を選択してアラーム画面17を非表示にすることによりベース画面16の下側にアラーム画面17を配置することでベース画面16の全体を表示し、所定時間経過後にベース画面16上に非表示になったアラーム画面17を自動的に表示するので、アラーム画面17を非表示にした後に自動的に再表示される一連の動作は、アラーム画面17を選択する一回の操作により行うことができるので操作性に優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機などの制御装置に備えた表示部に、警告などを表示するメッセージ表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、物品の成形・加工を行う射出成形機などにおいては、一般的に、その稼動状況などを表示するためのディスプレイ装置が設けられている。このようなディスプレイ装置の表示部には、表示部の操作画面に触れることで、直接操作を行うタッチパネル機能を有するものが一般的に普及してきている。
【0003】
ところで、前記表示部は、一般的に表示部の大きさが小さい為、複数の画面が表示部に相互に重なるようにして複数配置されるものが多く用いられており、こうした従来技術に関連するものとして、特許文献1には、射出成形機の動作条件を入力するテンキーを含む設定支援ボードをディスプレイに表示した設定画面上の任意の位置に設定支援ボードを重なった状態で表示するものが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−155073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記背景技術においては、ベース画面としての設定画面上に表示されている設定支援ボードを指先でタッチした状態で所望の位置に設定支援ボートを移動することができるので、メイン設定支援ボートの下側に隠れてしまった設定画面上のデータ表示を、設定支援ボートを移動することで確認することは可能ではあるものの、設定支援ボードは指先の移動に追従させて移動させなければならないので、その移動作業が煩わしく、しかも、移動するのに時間がかかってしまうことから、操作性がいいとはいえるものではなかった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、非表示にしたい画面を一回の操作で非表示にした後、続いてその非表示になった画面を自動的に再表示することにより、操作の簡略化を図り利便性を向上させた制御装置のメッセージ表示方法及び射出成形機のメッセージ表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の制御装置のメッセージ表示方法は、入力項目を有するベース画面上に制御装置のメッセージを表示するサブ画面を重なるように表示した表示部を備えた制御装置のメッセージ表示方法において、前記サブ画面を選択した際、このサブ画面を非表示にすることにより前記サブ画面と重ならないように前記ベース画面を表示し、所定時間経過後に前記ベース画面上に非表示になった前記サブ画面を自動的に表示することを特徴とする。
【0008】
請求項1により、ベース画面の入力項目に数値などを入力する際、ベース画面上のサブ画面を選択して非表示にすることで、ベース画面の全体を表示部に表示することが可能となり、ベース画面上に配置されていたサブ画面が邪魔になることなくベース画面の全体を一目して容易に確認することができ、さらに、非表示となったサブ画面は、所定時間経過後に自動的にベース画面上に再び表示されるので、サブ画面を非表示にした後に自動的に再表示される一連の動作は、サブ画面を選択する一回の操作により行うことができるので操作性に優れる。また、入力対象となるベース画面を選択せずに、表示のみのサブ画面の選択により、ベース画面の全体を表示することができるので、入力項目を有するベース画面に誤って触れてしまい誤操作することを防止することができる。
【0009】
請求項2のユーザ管理機能を備えた成形機は、請求項1記載の制御装置のメッセージ表示方法において、前記サブ画面に表示されるメッセージは、前記制御装置の動作状況を、警告又は確認するものであることを特徴とする。
【0010】
請求項2により、射出成形機などの制御装置の動作状況を表示部を目視することで、簡単に確認することができる。
【0011】
請求項3の制御装置のメッセージ表示方法は、請求項1又は2記載の制御装置のメッセージ表示方法において、前記サブ画面は、前記ベース画面より小さいことを特徴とする。
【0012】
請求項3により、サブ画面よりベース画面が大きいので、サブ画面を非表示にしなくても、ベース画面の内容の一部を確認することができる。
【0013】
請求項4の制御装置のメッセージ表示方法は、請求項1〜3の何れか1項に記載の制御装置のメッセージ表示方法において、前記サブ画面を選択する際、前記表示部に表示されている前記サブ画面にタッチして非表示にすることを特徴とする。
【0014】
請求項4により、サブ画面を非表示にする選択を、サブ画面にタッチすることで容易に行うことができる。
【0015】
請求項5の射出成形機のメッセージ表示方法は、請求項1〜4の何れか1項に記載の射出成形機のメッセージ表示方法において、前記制御装置を射出成形機としたことを特徴とする。
【0016】
請求項5により、ベース画面の入力項目に数値などを入力する際、ベース画面上のサブ画面を選択して非表示にすることで、ベース画面の全体を表示部に表示することが可能となり、ベース画面上に配置されていたサブ画面が邪魔になることなくベース画面の全体を一目して容易に確認することができ、さらに、非表示となったサブ画面は、所定時間経過後に自動的にベース画面上に再び表示されるので、サブ画面を非表示にした後に自動的に再表示される一連の動作は、サブ画面を選択する一回の操作により行うことができるので操作性に優れる。また、入力対象となるベース画面を選択せずに、表示のみのサブ画面の選択により、ベース画面の全体を表示することができるので、ベース画面の入力項目を誤って操作することを防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の請求項1の制御装置のメッセージ表示方法によれば、入力項目を有するベース画面上に制御装置のメッセージを表示するサブ画面を重なるように表示した表示部を備えた制御装置のメッセージ表示方法において、前記サブ画面を選択した際、このサブ画面を非表示にすることにより前記サブ画面と重ならないように前記ベース画面を表示し、所定時間経過後に前記ベース画面上に非表示になった前記サブ画面を自動的に表示するので、サブ画面の非表示時に、ベース画面の全体を一目して容易に確認することができ、且つ、非表示にしたい画面を一回の選択操作で非表示にした後、続いてその非表示になった画面を、所定時間経過後に自動的に再表示するので、操作の簡略化を図ることができるので操作性に優れる。
【0018】
本発明の請求項2の制御装置のメッセージ表示方法によれば、請求項1の記載において、前記サブ画面に表示されるメッセージは、前記制御装置の動作状況を、警告又は確認するものであり、表示部を目視することで、制御装置の動作状況を一瞥して確認することができるので、利便性を向上することができる。
【0019】
本発明の請求項3の制御装置のメッセージ表示方法によれば、請求項1又は2の記載において、前記サブ画面は、前記ベース画面より小さいので、サブ画面を非表示にしない際に、ベース画面の内容の一部を確認することができるので利便性がよい。
【0020】
本発明の請求項4の制御装置のメッセージ表示方法によれば、請求項1〜3の何れか1項の記載において、前記サブ画面を選択する際、前記表示部に表示されている前記サブ画面にタッチして非表示にすることができるので、サブ画面を非表示にする選択操作を、簡単に行うことができる。
【0021】
本発明の請求項5の制御装置のメッセージ表示方法によれば、請求項1〜4の何れか1項の記載において、前記制御装置を射出成形機とした場合、この射出成形機のサブ画面の非表示時に、ベース画面の全体を一目して容易に確認することができ、且つ、非表示にしたい画面を一回の選択操作で非表示にした後、続いてその非表示になった画面を、所定時間経過後に自動的に再表示するので、操作性に優れた射出成形機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の具体的実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施態様は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するためのものではない。
【0023】
図1は本実施例の射出成形機の概略図、図2は射出成形機の制御系統を示すブロック図、図3は射出成形機の表示部にベース画面を表示している状態を示す説明図、図4はベース画面上にアラームが表示された状態を示す説明図、図5は表示部からアラームを非表示にする動作手順を示すフローチャートであり、図1〜5を参照しながら本実施例の制御装置としての射出成形機を以下に説明する。
【0024】
本実施例における射出成形機1は、一般的に用いられている公知のものとほぼ同様の構造を有しており、機械的な動作により物品の成形を行い、主に金型2の開閉を行う型締めユニット3と樹脂材料を加熱溶融し金型2のキャビティ4に射出する射出ユニット5などを構成する成形機構部10を備えている。
【0025】
射出成形機1には、図2に示すように、ユーザに対する出力インターフェースである表示部11とユーザからの入力を受ける入力インターフェースである入力部12とが兼用されたタッチパネル13と、射出ユニット、成形機構部10などの射出成形機1の全体の制御を行うマイコンなどの制御手段15と、表示部11と同じ若しくは略同じ大きさで表示される射出成形機1の設定項目の入力や実測値などを表示するベース画面16と、このベース画面16上に表示されるベース画面より表示の小さいサブ画面たるアラーム画面17と、アラーム画面17の表示/非表示の制御を行う画像表示処理手段18と、タッチパネル13の操作により入力される入力部12からの信号の判別などを行う入力処理手段19と、ベース画面16にアラーム画面17を所定時間非表示する経過時間を計るタイマ部20などを備える。
【0026】
そして、例えば、稼動状況にある射出成形機1に発生した不具合などが、画面処理手段18により、アラーム画面17がベース場面16上のアラーム画面17に警告として表示されている時に、ユーザが表示部11のアラーム画面17に選択のためにタッチして操作すると、タイマ部20が作動して予め設定しておいた所定時間を計測し、その計測時間の経過後に、画像表示処理手段18が、ベース画面16上の元の位置にアラーム画面17を再び表示する。
【0027】
すなわち、ユーザに対し射出成形機1の警告などのメッセージをアラーム画面17として表示されている状態で、ユーザが射出成形機1の各種実測値などの表示されているベース画面16の全体の内容を確認したい時には、ベース画面16上に表示されているアラーム画面17を非表示にすることが必要であるため、表示部11のアラーム画面17の部分にタッチすることにより、ベース画面16上からアラーム画面17を一時的に非表示にする。
【0028】
次に、アラーム画面を非表示にした後再び表示する動作を図5に基づいて以下に説明する。射出成形機1を稼動すると、表示部11に射出成形機1の稼動状況を示す各種実測値や設定項目がベース画面16に表示され(ステップ1)、通常は、ベース画面16上の表示を見たり、その表示された設定項目の変更が可能となる。そして、制御手段15が、機械の稼動状況によって射出成形機1に不具合が発生したか否かを判定し、この判定に基づいてアラーム画面17を表示するか否かを判別する(ステップ2)。ここで、不具合が発生していない場合には、ベース画面16の設定項目の表示を確認しながら設定項目の変更操作が可能であり(ステップ3)、ステップ2にて不具合が発生した時には、アラーム画面17がベース画面16上に表示される(ステップ4)。そして、こうした状況にある時、ユーザがベース画面16に表示されている設定項目の変更やベース画面の表示内容を確認したい時(ステップ5)には、ベース画面16上に重なって表示されているアラーム画面17にタッチする(ステップ6)と、アラーム画面17がベース画面16の下に移動することにより、表示部11からアラーム画面17が非表示となり(ステップ7)、ベース画面16の全体を一瞥して確認することができ、ベース画面16に表示されている各種項目を確認しながら設定項目の変更などを行なうことが可能となり(ステップ8)、、且つ、アラーム画面17をタッチしてタイマ部20が作動中の間は、制御手段15がタイマ部20の作動の判別を行い(ステップ9)、タイマ部20が作動している際はステップ7に戻り、アラーム画面17の非表示状態を継続する一方で、タイマ部20の作動が所定時間を経過してその作動が終了した際には、制御手段15の画面表示処理手段18により、ベース画面16上にアラーム画面17が再び表示される(ステップ10)。
【0029】
従って、図4に示すように、ベース画面16上にアラーム画面17が表示されている時に、単に、非表示にしたいアラーム画面17をタッチして選択することで、アラーム画面17の下にあるベース画面16に表示されている射出成形機1の設定項目又は実測値などを設定変更することが可能となり、続いて、非表示となったアラーム画面17をベース画面16上に再び表示することができる。
【0030】
すなわち、ベース画面16の全体を視認するために、ベース画面16上に配置されたアラーム画面17を、ベース画面16の後側に配置して、アラーム画面17を表示しない状態に切り替える時には、パソコンなどの従来から用いられている表示装置では、全体を表示したい画面をマウス操作などにより選択したり、タッチパネルにより見たい表示に触れることで最前面に表示するものに過ぎないが、こうした従来の表示装置と異なる本実施例においては、表示部のアラーム画面17に一回タッチすると、タイマ部20が作動して所定時間を計時すると共に、制御手段15がタイマ部20の作動を判別し、画像表示処理手段18が、アラーム画面17をベース画面16下に配置してアラーム画面17を一時的に非表示にし、続いて非表示になったアラーム画面17は、タイマ部20の計時時間に基づいて、再びベース画面16上にアラーム画面17を自動的に表示する。つまり、ユーザにとっては、一回のタッチパネル13の操作により、アラーム画面17の非表示と表示の二つの一連の動作を一回の操作で簡単に行うことができるので、操作性が優れ利便性を向上することができる。
【0031】
以上のように、本実施例における制御装置たる射出成形機1においては、ベース画面16上に配置されたサブ画面としてのアラーム画面17を選択した際、このアラーム画面17が非表示になることにより、アラーム画面17と重ならないようにベース画面16を表示させ、アラーム画面17を非表示にした時点からタイマ部20が作動し、このタイマ部20に予め設定した所定時間経過後に、画像表示処理手段18がベース画面16上に非表示になったアラーム画面17を自動的に再び表示する。これにより、ベース画面16の入力項目に数値などを入力する際、ベース画面16上のアラーム画面17を選択して非表示にすることで、ベース画面16の全体を表示部11に表示することが可能となり、ベース画面16上に配置されていたアラーム画面17が邪魔になることなくベース画面16の全体を一目して容易に確認することができる。さらに、非表示となったアラーム画面17は、所定時間経過後に自動的にベース画面16上に再び表示されるので、アラーム画面17を非表示にした後に自動的に再表示される一連の動作は、アラーム画面17を選択する一回の操作により行うことができるので操作性に優れる。また、設定項目などの入力対象となるベース画面16を選択対象とせずに、警告などのメッセージのみを表示するアラーム画面17を選択することにより、ベース画面16の全体を表示することができるので、入力項目を有するベース画面16に誤って触れてしまい誤操作することを防止することができる。
【0032】
しかも、アラーム画面17に表示されるメッセージは、射出成形機1の動作状況を、警告又は確認するものなので、射出成形機1の動作状況を表示部11を視ることで、簡単且つ確実に確認することができるので利便性を向上することができ、ひいては、射出成形機1に不測の事態などの故障が生じたとしても、こうした不具合を未然に防止することが可能となる。
【0033】
さらに、アラーム画面17を選択する際、表示部11に表示されているアラーム画面17にタッチして非表示にすることができるタッチパネル13なので、アラーム画面17の選択操作を容易に行うことができる。
【0034】
なお、本実施例では、制御装置の一例として射出成形機1を用いて説明したが、本発明をこれに限るものではなく、プレス加工機や切削加工機などの制御装置に対して適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一例を示す射出成形機の概略図である。
【図2】同上、射出成形機の制御系統を示すブロック図である。
【図3】同上、射出成形機の表示部にベース画面を表示している状態を示す説明図である。
【図4】同上、ベース画面上にアラームが表示された状態を示す説明図である。
【図5】同上、表示部からアラームを非表示にする動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0036】
1 射出成形機(制御装置)
11 表示部
16 ベース画面
17 アラーム画面(サブ画面)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力項目を有するベース画面上に制御装置のメッセージを表示するサブ画面を重なるように表示した表示部を備えた制御装置のメッセージ表示方法において、前記サブ画面を選択した際、このサブ画面を非表示にすることにより前記サブ画面と重ならないように前記ベース画面を表示し、所定時間経過後に前記ベース画面上に非表示になった前記サブ画面を自動的に表示することを特徴とする制御装置のメッセージ表示方法。
【請求項2】
前記サブ画面に表示されるメッセージは、前記制御装置の動作状況を、警告又は確認するものであることを特徴とする請求項1記載の制御装置のメッセージ表示方法。
【請求項3】
前記サブ画面は、前記ベース画面より小さいことを特徴とする請求項1又は2記載の制御装置のメッセージ表示方法。
【請求項4】
前記サブ画面を選択する際、前記表示部に表示されている前記サブ画面にタッチして非表示にすることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の制御装置のメッセージ表示方法。
【請求項5】
前記制御装置を射出成形機としたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の射出成形機のメッセージ表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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