説明

制御装置

【課題】制御装置内に設けられた複数のマイコン間の通信において、データの授受時間の制限および一度に授受出来るデータ量の制限を軽減するとともに、一方のマイコンから出力されたデータを、上書き等がなされることなく、他方のマイコンに順次入力することが出来る制御装置を提供する。
【解決手段】信号出力部17から出力される切替信号の出力値に応じて、マイコン11またはマイコン21とEEPROM31との間にて行うデータの授受動作を切り替える。そして、EEPROM31にデータを記憶する場合は、記憶部32におけるデータが記憶されていないアドレスを検出し、検出したアドレスの中から最も上段にあるアドレスの領域にデータの入力を行い、EEPROM31からデータを読み出す場合は、データが記憶されたアドレスを検出し、検出したアドレスの中から最も上段にあるアドレスの領域からデータの出力を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに通信を行う複数のマイクロコンピュータを有する制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、機器(例えば、テレビ受像機)の動作は、マイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と記載)を備えた制御装置により制御されている。
【0003】
マイコンは、その内部にRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶装置を有しており、この記憶装置に記憶されたプログラムやデータ等に従って、演算処理等を行う。
【0004】
また、制御装置は、マイコンの他に、電気的な操作によりデータの書換えが可能な不揮発性のメモリであるEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)を備えている。
【0005】
制御装置に備えられたマイコンとEEPROMは、IIC(Inter Integrated Circuit)バスと呼ばれる通信バスにより接続されており、該通信バスを介して、データの出入力が行われる。
【0006】
近年においては、機器における機能の多様化により、制御装置によって制御を行うデバイス等が増加している。このため、制御装置内に複数のマイコンを備えることにより、これらの制御を行っている。
【0007】
制御装置内のマイコン間の通信における通信回路としては、SIO(Serial Input/Output)やUART(Universal Asynchronous Receiver-Transmitter)が知られている。
【0008】
また、該通信回路を介してのデータの転送方式としては、1本のデータ線を用いて順次転送する「シリアル転送方式」と、複数のデータ線を用いて並行して転送する「パラレル転送方式」とが知られている。
【0009】
SIOとは、シリアル転送方式による通信回路の1つであり、UARTとは、シリアル転送方式のデータとパラレル転送方式のデータを相互に変換する通信回路である。
【0010】
SIOやUARTによる双方向通信の場合、予め設定された時間毎に通信が行われるため、この通信の同期を取るためのクロックが、通常、機器を主体的に制御するマスターマイコンからその他のスレーブマイコンに出力される。
【0011】
このため、各マイコンにおいては、他の処理作業(例えば、演算処理等)中に関わらず、該クロックの出力または入力に備える必要があり、例えば、予めプログラムによって設定された時間20〔ms〕毎に、マスターマイコンにてクロック出力のための準備が開始され、スレーブマイコンにて該クロックを入力するための準備が開始される。
【0012】
そして、マスターマイコンによるクロック出力の準備が整い次第、マスターマイコンからクロックが出力され、スレーブマイコンに該クロックが入力される。これにより、マイコン間の通信が開始され、データの授受が行われる。
【0013】
また、通信終了後は、データの授受が正常に終了したことを示すACK(Acknowledgement)、または、データの授受が正常に終了していないことを示すNACK(Negative Acknowledgement)が、データを入力したマイコンから該データを出力したマイコンへ送信される。
【0014】
上述した様なマイコン間の通信においては、クロックの出入力作業やACK,NACKの確認作業の時間が必要となるため、通信時間内におけるデータの授受時間が限られてしまう。
【0015】
また、上述したSIOやUARTによる転送においては、一度に授受出来るデータ量に限りがあり、また、一方のマイコンから出力されたデータを他方のマイコンに入力するのみであるため、入力側のCPUの負荷状況によっては、入力されたデータが上書きされる等の問題が生じる。
【0016】
下記特許文献1においては、一時的にデータを記憶するバッファメモリを設け、EEPROMに書き込まれるデータの一部を該バッファメモリに一時的に書き込むことにより、電子機器と該電子機器に接続された外部機器との間におけるデータの書き込み処理の時間を短縮することが可能な電子機器が記載されている。
【0017】
下記特許文献2においては、書き込み命令を表すシリアルデータの出力後におかれるウエイト期間を調整することにより、適切な書込み間隔にて、EEPROMへの書き込みを行う装置が記載されている。
【0018】
特許文献3においては、外部から与えられるビット直列のデータを直接読み出し専用メモリに与えることで、データの書換えを行うデータ書換え回路が記載されている。
【0019】
【特許文献1】特開2006−303908号公報
【特許文献2】特開2004−348508号公報
【特許文献3】特開平4−114289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、上述した特許文献1〜3に記載の各装置のいずれにおいても、制御装置内に設けられた複数のマイコン間の通信において、データの授受時間の制限を軽減することが出来る通信を実現することが出来ない。また、一度に授受出来るデータ量の制限を軽減するとともに、一方のマイコンから出力されたデータを、上書き等がなされることなく、他方のマイクロコンピュータに順次入力することが出来ない。
【0021】
本発明は、上述した問題点に鑑み、制御装置内に設けられた複数のマイコン間の通信において、データの授受時間の制限および一度に授受出来るデータ量の制限を軽減するとともに、一方のマイコンから出力されたデータを、上書き等がなされることなく、他方のマイコンに順次入力することが出来る制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明に係る制御装置は、機器を制御する第1および第2のマイクロコンピュータと、機器を制御するためのデータを格納するとともに、第1または第2のマイクロコンピュータによりデータの出入力が行われる書換え可能なメモリとを備えており、第1のマイクロコンピュータとメモリとの間のデータの授受動作と、第2のマイクロコンピュータとメモリとの間のデータの授受動作とを交互に切り替える切替手段を設けている。
そして、切替手段を、第1のマイクロコンピュータによるデータの授受動作と、第2のマイクロコンピュータによるデータの授受動作とを交互に切り替えるための切替信号を出力する信号出力部と、切替信号を入力する信号入力部とから構成し、第1,第2のマイクロコンピュータの内、いずれか一方のマイクロコンピュータに信号出力部を設け、他方のマイクロコンピュータに信号入力部を設けることにより、信号出力部から出力される切替信号の出力値が第1の値の場合は、信号出力部が設けられたマイクロコンピュータとメモリとの間のデータの授受動作を行い、信号出力部から出力される切替信号の出力値が第2の値の場合は、信号入力部が設けられたマイクロコンピュータとメモリとの間のデータの授受動作を行う。
第1または第2のマイクロコンピュータとメモリとの間のデータの授受は、FIFO(First-In First-Out)方式によるデータの出入力であり、一方のマイクロコンピュータがメモリからデータを読み出した場合は、該データが記憶されたメモリの所定の記憶領域に対して、他方のマイクロコンピュータにより空き領域と検出されるための特定のデータを、一方のマイクロコンピュータにより書き込む。
【0023】
このようにすることで、第1のマイクロコンピュータと第2のマイクロコンピュータとの間でデータの授受を行う場合、切替信号の値に応じて、一方のマイクロコンピュータがメモリにデータを書き込んだ後に、他方のマイクロコンピュータがメモリからデータを取得することが出来るため、ACKやNACKの確認作業が不要となり、第1のマイクロコンピュータと第2のマイクロコンピュータとの間の通信において、データの授受時間の制限を軽減することが出来る。
また、一度に授受出来るデータ量の制限を軽減し、一方のマイコンから出力されたデータを、上書き等がなされることなく、他方のマイコンに順次入力することが出来る。
【0024】
本発明の制御装置において、第1のマイクロコンピュータと第2のマイクロコンピュータとの間の通信にて、データの授受を行うための授受手段を設け、該授受手段を、第1のマイクロコンピュータと第2のマイクロコンピュータとを接続するIIC(Inter Integrated Circuit)バスと、IICバスに接続されたメモリとから構成してもよく、第1のマイクロコンピュータから出力されたデータを、IICバスを介して、メモリに記憶した後、第2のマイクロコンピュータに入力し、第2のマイクロコンピュータから出力されたデータを、IICバスを介して、メモリに記憶した後、第1のマイクロコンピュータに入力してもよい。
【0025】
このようにすることで、第1のマイクロコンピュータと第2のマイクロコンピュータとの通信において、通信の同期を取るためのクロックの出入力作業は、メモリとの間においてデータを授受する一方のマイコンのみが行えば良く、また、これにより、ACK,NACKの確認作業が不要となるため、第1のマイクロコンピュータと第2のマイクロコンピュータとの間の通信において、データの授受時間の制限を軽減することが出来る。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、第1のマイクロコンピュータによるデータの授受動作と、第2のマイクロコンピュータによるデータの授受動作とを交互に切り替える切替手段を設けた制御装置により、第1のマイクロコンピュータと第2のマイクロコンピュータとの間でデータの授受を行う場合、切替信号の値に応じて、一方のマイクロコンピュータがメモリにデータを書き込んだ後に、他方のマイコンがメモリからデータを取得することが出来るため、ACKやNACKの確認作業が不要となり、第1のマイクロコンピュータと第2のマイクロコンピュータとの間の通信において、データの授受時間の制限を軽減することが出来る。
また、一度に授受出来るデータ量の制限を軽減し、一方のマイコンから出力されたデータを、上書き等がなされることなく、他方のマイコンに順次入力することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施形態である制御装置100の概略構成図である。
図中において、11,21は、図示しない機器の各部を制御するためのマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と記載)であり、31は、電気的な操作によりデータの書換えが可能な不揮発性のメモリであるEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)である。
【0029】
尚、マイコン11は、本発明における第1のマイクロコンピュータの実施形態であり、マイコン21は、本発明における第2のマイクロコンピュータの実施形態である。また、EEPROM31は、本発明における授受手段の一部を構成する。
【0030】
12,22は、各種制御プログラムやデータ等が記憶された記憶部であり、それぞれROM(Read Only Memory)等から成る。
【0031】
13は、記憶部12に記憶された各種制御プログラムやデータ等に従って、演算処理等を行う演算処理部、23は、記憶部22に記憶された各種制御プログラムやデータ等に従って、演算処理等を行う演算処理部であり、それぞれCPU(Central Processing Unit)から成る。
【0032】
14は、演算処理部13の演算結果等から成るデータを一時的に記憶する一時記憶部、24は、演算処理部23の演算結果等から成るデータを一時的に記憶する一時記憶部であり、それぞれRAM(Random Access Memory)等から成る。
【0033】
15,25は、データの出入力を行うデータ出入力部であり、データ出入力部15とデータ出入力部25は、信号線Pにより接続されている。信号線Pは、例えば、SDA(Serial Data)線から成る。
【0034】
16は、マイコン11とEEPROM31との間でデータの授受を行う際に、通信の同期を取るためのクロックを出力するクロック出力部であり、26は、マイコン21とEEPROM31との間でデータの授受を行う際に、通信の同期を取るためのクロックを出力するクロック出力部である。
【0035】
ここで、マイコン11に設けられたクロック出力部16から出力されたクロックは、EEPROM31に設けられた後述するクロック入力部34に入力され、マイコン21に設けられたクロック出力部26から出力されたクロックは、EEPROM31に設けられた後述するクロック入力部34に入力されるが、見かけ上は、クロック出力部16とクロック出力部26とが、信号線Qにより接続されており、信号線Qは、例えば、SCL(Serial Clock)線から成る。
【0036】
また、信号線Pと信号線Qにより、通信バスRが構成され、通信バスRは、IIC(Inter Integrated Circuit)バスから成る。尚、通信バスRは、本発明における授受手段の一部を構成する。
【0037】
17は、マイコン11によるデータの授受動作と、マイコン21によるデータの授受動作とを交互に切り替えるための切替信号(2値信号)を出力する信号出力部であり、27は、信号出力部17から出力された切替信号を入力するための信号入力部である。信号出力部17と信号入力部27は、信号線Vで接続されている。また、信号出力部17と信号入力部27は、本発明における切替手段を構成している。
【0038】
EEPROM31において、32は、マイコン11またはマイコン21から出力されるデータ等を記憶する記憶部である。33は、データの出入力を行うデータ出入力部である。34は、マイコン11またはマイコン21から出力されるクロックを入力するクロック入力部である。
【0039】
EEPROM31は、マイコン11とマイコン21との間に接続されており、データ出入力部33は、信号線Sにより、通信バスRを構成する信号線Pに接続され、クロック入力部34は、信号線Tにより、通信バスRを構成する信号線Qに接続されている。
【0040】
次に、本発明の実施形態である制御機器100に備えられたマイコン11とマイコン21との間の通信によるデータの授受動作について説明する。
【0041】
以下、マイコン11から出力したデータをマイコン21に入力する場合の授受動作について説明する。
【0042】
マイコン11では、記憶部12に記憶された各種制御プログラムやデータ等に従って、演算処理部13が演算処理等を行う。演算処理部13の演算結果から成るデータは、マイコン21やマイコン11に接続されている図示しないデバイス等に向けて出力される。
【0043】
マイコン11から出力されたデータは、一旦、マイコン11とマイコン21との間に接続されているEEPROM31に記憶される。そして、マイコン21が必要に応じて、EEPROM31からデータを取得することで、マイコン11とマイコン21との間のデータの授受が完了する。
【0044】
マイコン11からデータを出力する場合は、まず、信号出力部17から出力されている切替信号の出力値がH(High)かL(Low)かが、演算処理部13により検証される。
【0045】
ここで、信号出力部17からは、図2に示すような、出力値がHの区間と、出力値がLの区間とが、一定時間毎に交互に現れる切替信号Wが出力されている。
【0046】
信号出力部17から出力された切替信号W(図2)の出力値がH区間内にある場合は、マイコン11によって、信号線Pおよび信号線Sが強制的に占有されるため、マイコン11とEEPROM31との間におけるデータの授受が可能となり、また、マイコン21とEEPROM31との間におけるデータの授受が不可能となる。
【0047】
信号出力部17から出力された切替信号W(図2)の出力値がL区間内にある場合は、マイコン11による信号線Pおよび信号線Sの占有が解除され、マイコン21によって、信号線Pおよび信号線Sが占有されるため、マイコン21とEEPROM31との間におけるデータの授受が可能となり、また、マイコン11とEEPROM31との間におけるデータの授受が不可能となる。
【0048】
演算処理部13での検証の結果、切替信号Wの出力値がH区間内にある場合は、演算処理部13の演算結果等から成るデータが、データ出入力部15から、信号線Pおよび信号線Sを介して、EEPROM31のデータ出入力部33に入力される。データ出入力部33に入力された該データは、記憶部32に記憶される。
【0049】
ここで、記憶部32は、例えば、図3で示されるような構成となっている。
【0050】
図中において、32a,32bは、記憶部32に入力されたデータを1データ毎に記憶する記憶領域であり、記憶領域32aは、マイコン11から出力されるデータを記憶し、記憶領域32bは、マイコン21から出力されるデータを記憶する。該記憶領域32a,32bは、それぞれ複数のアドレスを有している。
【0051】
初期状態では、各記憶領域32a,32bの全てのアドレスに、データが無いことを示すデータ、例えば、「FF」等のデータが記憶されている。
【0052】
そして、マイコン11から記憶部32にデータが入力される場合は、まず、演算処理部13によって、記憶領域32aの先頭アドレスから最終アドレスまでの検証が行われ、該検証により、「FF」が記憶されているアドレスが検出される。
【0053】
演算処理部13による検証の結果、「FF」が記憶されたアドレスが複数存在する場合は、検出されたアドレスの中から、最も上段にあるアドレスが選択され、該アドレスの領域から順次データが記憶される。
【0054】
演算処理部13の検証の結果、切替信号Wの出力値がL区間内にある場合は、演算処理部13の演算結果等から成るデータは、一時記憶部14に一時的に記憶され、その後、切替信号Wの出力値がH区間内にある場合に、データ出入力部15から、信号線Pおよび信号線Sを介して、EEPROM31のデータ出入力部33に入力される。データ出入力部33に入力された該データは、記憶部32に記憶される。
【0055】
尚、データ出入力部15から、信号線Pおよび信号線Sを介して、データ出入力部33にデータが入力される場合は、クロック出力部16から出力されたクロックが、信号線Qおよび信号線Tを介して、クロック入力部34に入力される。これにより、マイコン11とEEPROM31による通信の同期が図られるため、データの授受動作を円滑に行うことが出来る。
【0056】
次に、マイコン21が、必要に応じてEEPROM31の記憶部32に記憶されているデータを取得する場合は、まず、演算処理部23により、マイコン11による信号線Pおよび信号線Sの占有が解除されているか否かが検証される。
【0057】
演算処理部23での検証の結果、マイコン11による信号線Pおよび信号線Sの占有が解除されている場合、つまり、信号出力部17から出力された切替信号Wの出力値がL区間内にある場合は、マイコン21によって、信号線Pおよび信号線Sが占有される。そして、記憶部32に記憶されているデータの内、必要なデータのみが、マイコン21のデータ出入力部25に入力され、その後、記憶部22に記憶される。
【0058】
ここで、記憶部32に記憶された該データは、例えば、図3で示されるような状態で記憶されているため、記憶部32に記憶されたデータを読み出す場合は、まず、演算処理部23によって、記憶領域32aの先頭アドレスから最終アドレスまでの検証が行われ、該検証により、「FF」が記憶されていないアドレスが検出される。
【0059】
演算処理部23による検証の結果、「FF」が記憶されていないアドレスが複数存在する場合は、検出されたアドレスの中から、最も上段にあるアドレスが選択され、該アドレスの領域から順次データが読み出される。
【0060】
記憶領域32aからデータを読み出した場合は、読み出したアドレスの領域にデータが無いことを示す「FF」を書き込み、読み出したデータと同じデータを消去する。これにより、記憶部32が容量超過となることを防止することが出来る。
【0061】
演算処理部23での検証の結果、マイコン11による信号線Pおよび信号線Sの占有が解除されていない場合、つまり、信号出力部17から出力された切替信号Wの出力値がH区間内にある場合は、所定の時間が経過した後、再度、演算処理部23による検証を行う。演算処理部23での検証の結果、マイコン11による信号線Pおよび信号線Sの占有が解除されている場合、つまり、信号出力部17から出力された切替信号Wの出力値がL区間内にある場合は、マイコン21によって、信号線Pおよび信号線Sが占有される。そして、記憶部32に記憶されているデータの内、必要なデータのみが、マイコン21のデータ出入力部25に入力され、その後、記憶部22に記憶される。
【0062】
尚、データ出入力部33から、信号線Pおよび信号線Sを介して、データ出入力部25にデータが入力される場合は、クロック出力部26から、信号線Qおよび信号線Tを介して、クロック入力部34にクロックが出力され、該クロックにより、マイコン21とEEPROM31による通信の同期が図られる。これにより、マイコン21とEEPROM31による通信の同期が図られるため、データの授受動作を円滑に行うことが出来る。
【0063】
マイコン21では、EEPROM31の記憶部32より取得したデータに従って、演算処理部23が演算処理等を行う。演算処理部23の演算結果から成るデータは、再度マイコン11に出力、またはマイコン21に接続されている図示しないデバイス等に出力され、該データに基づく制御が行われる。
【0064】
次に、マイコン21から出力したデータをマイコン11に入力する場合の動作について説明する。
【0065】
マイコン21では、記憶部22に記憶された各種制御プログラムやデータ等に従って、演算処理部23が演算処理等を行う。演算処理部23の演算結果から成るデータは、マイコン11やマイコン21に接続されている図示しないデバイス等に向けて出力される。
【0066】
マイコン21から出力されたデータは、一旦、マイコン21とマイコン11との間に接続されているEEPROM31に記憶される。そして、マイコン11が必要に応じて、EEPROM31からデータを取得することで、マイコン21とマイコン11との間のデータの授受が完了する。
【0067】
マイコン21からデータを出力する場合は、まず、演算処理部23により、マイコン11による信号線Pおよび信号線Sの占有が解除されているか否かが検証される。
【0068】
演算処理部23での検証の結果、マイコン11による信号線Pおよび信号線Sの占有が解除されている場合、つまり、信号出力部17から出力された切替信号Wの出力値がL区間内にある場合は、マイコン21によって、信号線Pおよび信号線Sが占有される。そして、演算処理部23の演算結果等から成るデータが、データ出入力部25から、信号線Pおよび信号線Sを介して、EEPROM31のデータ出入力部33に入力される。データ出入力部33に入力された該データは、記憶部32に記憶される。
【0069】
マイコン21から記憶部32にデータが入力される場合は、まず、演算処理部23によって、記憶領域32bの先頭アドレスから最終アドレスまでの検証が行われ、該検証により、「FF」が記憶されているアドレスが検出される。
【0070】
演算処理部23による検証の結果、「FF」が記憶されたアドレスが複数存在する場合は、検出されたアドレスの中から、最も上段にあるアドレスが選択され、該アドレスの領域から順次データが記憶される。
【0071】
演算処理部23の検証の結果、マイコン11による信号線Pおよび信号線Sの占有が解除されていない場合、つまり、信号出力部17から出力された切替信号Wの出力値がH区間内にある場合は、所定の時間が経過した後、再度、演算処理部23による検証を行う。演算処理部23での検証の結果、マイコン11による信号線Pおよび信号線Sの占有が解除されている場合、つまり、信号出力部17から出力された切替信号Wの出力値がL区間内にある場合は、マイコン21によって、信号線Pおよび信号線Sが占有される。そして、演算処理部23の演算結果等から成るデータが、データ出入力部25から、信号線Pおよび信号線Sを介して、EEPROM31のデータ出入力部33に入力される。データ出入力部33に入力された該データは、記憶部32に記憶される。
【0072】
尚、データ出入力部25から、信号線Pおよび信号線Sを介して、データ出入力部33にデータが入力される場合は、クロック出力部26から、信号線Qおよび信号線Tを介して、クロック入力部34にクロックが出力され、該クロックにより、マイコン21とEEPROM31による通信の同期が図られる。これにより、マイコン21とEEPROM31による通信の同期が図られるため、データの授受動作を円滑に行うことが出来る。
【0073】
次に、マイコン11が、必要に応じてEEPROM31の記憶部32に記憶されているデータを取得する場合は、まず、演算処理部13により、信号出力部17から出力される切替信号Wの出力値がH区間内にあるか否かが検証される。
【0074】
演算処理部13での検証の結果、信号出力部17から出力される切替信号Wの出力値がH区間内にある場合は、マイコン11によって、信号線Pおよび信号線Sが占有される。そして、記憶部32に記憶されているデータの内、必要なデータのみが、マイコン11のデータ出入力部15に入力され、その後、記憶部12に記憶される。
【0075】
ここで、記憶部32に記憶された該データは、例えば、図3で示されるような状態で記憶されているため、記憶部32に記憶されたデータを読み出す場合は、まず、演算処理部13によって、記憶領域32bの先頭アドレスから最終アドレスまでの検証が行われ、該検証により、「FF」が記憶されていないアドレスが検出される。
【0076】
演算処理部13による検証の結果、「FF」が記憶されていないアドレスが複数存在する場合は、検出されたアドレスの中から、最も上段にあるアドレスが選択され、該アドレスの領域から順次データが読み出される。
【0077】
記憶領域32bからデータを読み出した場合は、読み出したアドレスの領域にデータが無いことを示す「FF」を書き込み、読み出したデータと同じデータを消去する。これにより、記憶部32が容量超過となることを防止することが出来る。
【0078】
演算処理部13での検証の結果、信号出力部17から出力される切替信号Wの出力値がH区間内にない場合、つまり、信号出力部17から出力される切替信号Wの出力値がL区間内にある場合は、所定の時間が経過した後、再度、演算処理部13による検証を行う。演算処理部13での検証の結果、信号出力部17から出力される切替信号Wの出力値がH区間内にある場合は、マイコン11によって、信号線Pおよび信号線Sが占有される。そして、記憶部32に記憶されているデータの内、必要なデータのみが、マイコン11のデータ出入力部15に入力され、その後、記憶部12に記憶される。
【0079】
尚、データ出入力部33から、信号線Pおよび信号線Sを介して、データ出入力部15にデータが入力される場合は、クロック出力部16から、信号線Qおよび信号線Tを介して、クロック入力部34にクロックが出力され、該クロックにより、マイコン11とEEPROM31による通信の同期が図られる。これにより、マイコン11とEEPROM31による通信の同期が図られるため、データの授受動作を円滑に行うことが出来る。
【0080】
マイコン11では、EEPROM31の記憶部32より取得したデータに従って、演算処理部13が演算処理等を行う。演算処理部13の演算結果から成るデータは、再度マイコン21に出力、またはマイコン11に接続されている図示しないデバイス等に出力され、該データに基づく制御が行われる。
【0081】
このように、上述した実施形態においては、信号出力部17から出力される切替信号Wの出力値がH区間内である場合は、マイコン11とEEPROM31との間でデータの授受が行われ、信号出力部17から出力される切替信号Wの出力値がL区間内である場合は、マイコン21とEEPROM31との間でデータの授受が行われる。
【0082】
よって、データ出入力部15とデータ出入力部25との間、つまりマイコン11とマイコン21との間におけるEEPROM31を介したデータの授受に際して、クロックの出入力作業は、EEPROM31との間においてデータを授受する一方のマイコンのみが行えば良く、また、これにより、ACK,NACKの確認作業が不要となるため、制御装置100内に設けられたマイコン11とマイコン21との間の通信において、データの授受時間の制限を軽減することが出来る。この結果、マイコン11,21における時間管理のプログラムが簡略化される。
【0083】
また、マイコン11,21からEEPROM31にデータを記憶する場合は、記憶領域32a,32bにおけるデータが記憶されていないアドレスが検出され、検出されたアドレスの中から最も上段にあるアドレスの領域から順に、データの入力が行われる。さらに、マイコン11,21がEEPROM31からデータを読み出す場合は、記憶領域32a,32bにおけるデータが記憶されたアドレスが検出され、検出されたアドレスの中から最も上段にあるアドレス領域から順に、データの出力が行われる。すなわち、FIFO(First-In First-Out)方式によるデータの出入力が行われる。
【0084】
よって、一方のマイコンから出力されたデータを、上書き等することなく、他方のマイコンに順次入力することが出来る通信、つまりFIFO方式による通信を行うことが出来る。
【0085】
本発明では、以上述べた以外にも種々の実施形態を採用することができる。例えば、上記実施形態では、マイコン11とマイコン21との間にEEPROM31を接続したが、これに限られず、マイコン11に設けられたEEPROMにマイコン21を接続するようにしてもよい。また、書換え可能なメモリとしては、EEPROMに限らず、例えば、フラッシュメモリやSRAM(Static Random Access Memory)等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施形態である制御装置を示した図である。
【図2】信号出力部から信号入力部に入力される信号の波形を示した図である。
【図3】EEPROMに設けられた記憶部の構成を示した図である。
【符号の説明】
【0087】
11,12 マイクロコンピュータ
12,22 記憶部
13,23 演算処理部
14,24 一時記憶部
15,25 データ出入力部
16,26 クロック出力部
17,27 信号入力部
31 EEPROM
32 記憶部
32a,32b 記憶領域
33 データ出入力部
34 クロック入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器を制御する第1および第2のマイクロコンピュータと、
前記機器を制御するためのデータを格納するとともに、前記第1または第2のマイクロコンピュータによりデータの出入力が行われる書換え可能なメモリと、
を備えた制御装置において、
前記第1のマイクロコンピュータと前記メモリとの間のデータの授受動作と、前記第2のマイクロコンピュータと前記メモリとの間のデータの授受動作とを交互に切り替える切替手段を設け、
前記切替手段は、前記第1のマイクロコンピュータによるデータの授受動作と、前記第2のマイクロコンピュータによるデータの授受動作とを交互に切り替えるための切替信号を出力する信号出力部と、前記切替信号を入力する信号入力部とから成り、
前記第1,第2のマイクロコンピュータの内、いずれか一方のマイクロコンピュータに前記信号出力部を設け、他方のマイクロコンピュータに前記信号入力部を設けることにより、前記信号出力部から出力される前記切替信号の出力値が第1の値の場合は、前記信号出力部が設けられたマイクロコンピュータと前記メモリとの間のデータの授受動作を行い、前記信号出力部から出力される前記切替信号の出力値が第2の値の場合は、前記信号入力部が設けられたマイクロコンピュータと前記メモリとの間のデータの授受動作を行い、
前記第1または第2のマイクロコンピュータと前記メモリとの間のデータの授受は、FIFO(First-In First-Out)方式によるデータの出入力であり、一方のマイクロコンピュータが前記メモリからデータを読み出した場合は、該データが記憶された前記メモリの所定の記憶領域に対して、他方のマイクロコンピュータにより空き領域と検出されるための特定のデータを、前記一方のマイクロコンピュータにより書き込むことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置において、
前記第1のマイクロコンピュータと前記第2のマイクロコンピュータとの間の通信にて、データの授受を行うための授受手段を設け、
前記授受手段は、前記第1のマイクロコンピュータと前記第2のマイクロコンピュータとを接続するIIC(Inter Integrated Circuit)バスと、前記IICバスに接続された前記メモリとから成り、
前記第1のマイクロコンピュータから出力されたデータは、前記IICバスを介して、前記メモリに記憶された後、前記第2のマイクロコンピュータに入力され、前記第2のマイクロコンピュータから出力されたデータは、前記IICバスを介して、前記メモリに記憶された後、前記第1のマイクロコンピュータに入力されることを特徴とする制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−169890(P2009−169890A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−10182(P2008−10182)
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】