説明

制御装置

【課題】
制御装置の温度を計測するための内部温度センサが故障した場合、または前記温度センサにより計測された温度が所定の温度を超えた場合に所定の信号を出力するCPUが故障または暴走した場合、制御装置はフェイルセーフ動作に移行できないといった問題があった。
【解決手段】
制御装置内部の温度を検出する内部温度センサ1,前記内部温度センサ1からの温度情報を所定の条件に基づき計算し、所定の処理を行うCPU1,制御装置内部の温度を検出する内部温度センサ2,前記内部温度センサ2からの温度情報を所定の条件に基づき計算し、所定の処理を行うCPU2を備え、内部温度センサ1が故障、またはCPU1に故障や暴走が発生した場合でも、内部温度センサ2からの温度情報、及びCPU1の監視結果に基づきCPU2が独立して負荷駆動素子を制御し、フェイルセーフ動作に移行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置に関し、特に制御装置自身の素子故障による温度上昇、もしくはシステム異常による周囲温度上昇により、制御装置自身の動作保証温度範囲を超える状態が発生したとき、制御装置自身をフェイルセーフ動作へ移行させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術は、制御装置へは内部温度センサ1とメインCPUのみを用いた構成であり、内部温度センサ1の情報を元にメインCPUが制御装置の温度をモニタし、そのモニタした温度が所定の温度を超える状態が発生したときにフェイルセーフ動作に移行させるという構成であった。
【0003】
【特許文献1】特願2007−153466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術は、制御装置が動作保証温度範囲を超えているかの判断を行う場合、制御装置の温度を計測するための内部温度センサ,前記温度センサにより計測された温度が所定の温度を超えた場合に所定の信号を出力するCPUを用いる点は同じであるが、制御装置の温度を計測するための内部温度センサが故障した場合、または前記温度センサにより計測された温度が所定の温度を超えた場合に所定の信号を出力するCPUが故障または暴走した場合、制御装置はフェイルセーフ動作に移行できないといった問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、制御装置内部の温度を検出する内部温度センサ1,前記内部温度センサ1からの温度情報を所定の条件に基づき計算し、所定の処理を行うCPU1,制御装置内部の温度を検出する内部温度センサ2,前記内部温度センサ2からの温度情報を所定の条件に基づき計算し、所定の処理を行うCPU2を備え、内部温度センサ1が故障、またはCPU1に故障や暴走が発生した場合でも、内部温度センサ2からの温度情報、及びCPU1の監視結果に基づきCPU2が独立して負荷駆動素子を制御し、フェイルセーフ動作に移行する。
【0006】
ここでのフェイルセーフとは負荷駆動電流を遮断する、または負荷駆動条件を変更しない、またはフェイルセーフ動作移行時に予め決められた負荷駆動条件に変更する、または制御装置の内部温度が動作保証温度の上限値Tmaxを超えないような負荷駆動条件に変更することである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、制御装置が動作保証温度範囲を超えているかの判断を行うとき、温度を計測するための内部温度センサが故障、または前記温度センサにより計測された温度が所定の温度を超えた場合に所定の信号を出力するCPU1に故障・暴走が発生した場合でも、制御装置内部の温度を検出する内部温度センサ2、及び前記内部温度センサ2からの温度情報を所定の条件に基づき計算し所定の処理を行うCPU2が独立して負荷駆動素子を制御するため、確実にフェイルセーフ動作に移行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態を詳述する。
【実施例1】
【0009】
以下、本発明の実施例を図1により説明する。
【0010】
制御装置11は、制御装置11に電源を供給する電源31,制御装置11の内部温度を検出する内部温度センサ141と、前記内部温度センサ141からの温度情報を取り込み、所定の条件に基づき、演算処理を行うCPU121と、制御装置11の内部温度を検出する内部温度センサ242と、前記内部温度センサ242からの温度情報を取り込み、所定の条件に基づき、演算処理を行うサブCPU22と、前記メインCPU21とサブCPU22に接続され、メインCPU21またはサブCPU22において演算処理され、独立した情報によって負荷を駆動する駆動素子51,前記駆動素子51により駆動される負荷52から構成されている。
【0011】
まず制御装置において、なんらかの要因により、前記制御装置の動作保証温度を超えた場合における従来のフェイルセーフ動作への移行方法について図2を用いて説明する。
【0012】
図2は従来の技術を用いた場合の制御装置の一実施例である。
【0013】
制御装置11は、制御装置11に電源を供給する電源31,制御装置11の内部の温度を検出する内部温度センサ43と、前記内部温度センサ43からの温度情報を取り込み、所定の条件に基づき、演算処理を行うメインCPU21と、前記メインCPU21に接続され、かつ、メインCPU21において演算処理された情報によって負荷52を駆動する負荷駆動素子51から構成されている。
【0014】
次にフェイルルセーフ動作に移行する方法について説明する。
【0015】
まず、制御装置11が正常動作している時、メインCPU21は内部温度センサ43を用いて制御装置内部温度が制御装置の動作保証温度の上限値を超えていないかモニタし、動作保証温度の上限値を超えていない場合、メインCPU21は演算処理された制御の目標値に従い負荷を駆動する。次に制御装置の負荷駆動条件が変化し、負荷電流が増加する、もしくは制御装置の外部温度が何らかの要因で上昇した場合、制御装置内部温度が上昇し始める。このまま、制御装置内部温度が上昇し続けると、次に制御装置の動作保証温度の上限値に達する。この後、メインCPU21は制御装置内部基板温度が制御装置の動作保証温度の上限値を超えた場合、フェイルセーフ動作に移行する。
【0016】
しかしながら、この時、温度を計測するための内部温度センサ43が故障した場合、または前記内部温度センサ43により計測された温度が所定の温度を超え、所定の信号を出力するメインCPU21が故障または暴走した場合、制御装置はフェイルセーフ動作に移行できないといった問題があった。
【0017】
次に、本発明を用いたフェイルセーフ動作に移行する方法について説明する。
【0018】
まず、制御装置11,メインCPU21,内部温度センサ1が正常動作しており、制御装置内部温度が制御装置の動作保証温度の上限値を超えていない場合、メインCPU21は演算処理された制御の目標値に従い負荷52を駆動する。次に制御装置の負荷駆動条件が変化し、負荷電流が増加する、もしくは制御装置の外部温度が何らかの要因で上昇した場合、制御装置内部温度が上昇し始める。このまま、制御装置内部温度が上昇し続けると、次に制御装置の動作保証温度の上限値Tmaxに達する。この後サブCPU22はメインCPU21が暴走していないか、例えば演算データをメインCPU21に出力し回答と期待値が一致するか照合する等により監視した結果、メインCPU21が故障または暴走していない場合は、メインCPU21との通信にて内部温度センサ41による制御装置内部温度Top1をモニタする。もし、メインCPU21が故障または暴走している場合は、サブCPU22がユーザーに警告を開始すると共に独立して負荷駆動素子51を制御し、フェイルセーフ動作に移行する。次に、サブCPU22は内部温度センサ42による制御装置内部温度Top2をモニタし、Top1>Tmax,Top2>Tmax,Top1≒Top2の条件が成立した場合にユーザーに警告を開始すると共に独立して負荷駆動素子51を制御し、フェイルセーフ動作に移行する。この時、内部温度センサ41に故障が発生している場合、サブCPU22は内部温度センサ42による制御装置内部温度Top2をモニタし、Top2>Tmaxの条件が成立した場合にユーザーに警告を開始すると共に独立して負荷駆動素子51を制御し、フェイルセーフ動作に移行する。また内部温度センサ141と内部温度センサ242に温度差が発生し、Top1≠Top2である場合は、Top1<Tmaxであっても、サブCPU22は内部温度センサ42による制御装置内部温度を優先し、Top2>Tmaxの条件が成立した場合にユーザーに警告を開始すると共に独立して負荷駆動素子51を制御し、フェイルセーフ動作に移行する。
【0019】
本発明では、制御装置内部温度を計測するための内部温度センサ41が故障した場合、または前記内部温度センサにより計測された温度が所定の温度を超え、所定の信号を出力するメインCPU21が故障または暴走した場合においても、サブCPUが制御装置11内部の温度を検出する内部温度センサ242、及び前記内部温度センサ242からの温度情報を所定の条件に基づき計算し所定の処理を行うサブCPU22が独立して負荷駆動素子51を制御するため、確実にフェイルセーフ動作に移行することができる。
【0020】
次に本発明を用いた実施例についてフローチャート図3を用いて説明する。
【0021】
本フローチャートは、フェイルセーフを判定するフェイルセーフフラグを「0」とするブロック61,メインCPU21が故障・暴走していないか監視する分岐ブロック62,内部温度センサ141が故障していないか診断をおこなう分岐ブロック63,制御装置内部温度Top1,Top2をモニタするブロック64,モニタした制御装置内部温度よりフェイルセーフ動作に移行するかを判断する分岐ブロック65〜68,制御装置内部温度Top2をモニタするブロック69,モニタした制御装置内部温度よりフェイルセーフ動作に移行するかを判断する分岐ブロック70,フェイルセーフフラグを「1」とするブロック71,フェイルセーフフラグが立っているか判定する分岐ブロック72,フェイルセーフフラグが「0」の時ユーザーへの警告を停止するブロック73,フェイルセーフフラグが「0」の時に通常制御動作に移行するブロック74,フェイルセーフフラグが「1」の時ユーザーへの警告を停止するフロック75,フェイルセーフフラグが「1」の時にフェイルセーフ動作に移行するブロック76から構成される。
【0022】
まず、制御装置11に搭載しているメインCPU21の監視結果及び内部温度センサ141の診断結果が正常で、制御装置内部温度Top1,Top2が、Top1<Tmax,Top2<Tmax,Top1≒Top2の場合について説明する。
【0023】
本制御が開始されると、フェイルセーフフラグFAIL=「0」に設定する。(ブロック61)次にメインCPU21が故障・暴走していないか監視する分岐ブロック62へ進む。ここではメインCPU21が故障・暴走していない場合の説明であるため、分岐ブロック63に進む。分岐ブロック63では内部温度センサ141が故障していないか診断を実施するが、ここでは内部温度センサ141の診断結果が正常である場合の説明であるため、制御装置内部温度Top1,Top2をモニタするブロック64へ進む。次にブロック64にてモニタしたパラメータをもとに制御装置が動作保証温度範囲の上限値Tmaxを超えていないか判断するブロックへ進む。(ブロック65〜68)ここでは、制御装置内部温度Top1,Top2が、Top1<Tmax,Top2<Tmax,Top1≒Top2の場合についての説明であるため、分岐ブロック72へ進む。分岐ブロック72ではフェイルセーフフラグFAILの状態を判断する。この場合、Fail=「0」の状態であるためブロック73へ進む。ブロック73では警告を停止し、次にブロック74へ進む。ブロック74ではFail=「0」の状態であるため、通常制御動作へ移行し、再び最初に戻る。
【0024】
次に、制御装置11に搭載しているメインCPU21の監視結果及び内部温度センサ141の診断結果が正常で、制御装置内部温度Top1,Top2が、Top1>Tmax,Top2>Tmax,Top1≒Top2の場合について説明する。
【0025】
本制御が開始されると、フェイルセーフフラグFAIL=「0」に設定する。(ブロック61)次にメインCPU21が故障・暴走していないか監視する分岐ブロック62へ進む。ここではメインCPU21が故障・暴走していない場合の説明であるため、分岐ブロック63に進む。分岐ブロック63では内部温度センサ141が故障していないか診断を実施するが、ここでは内部温度センサ141の診断結果が正常である場合の説明であるため、制御装置内部温度Top1,Top2をモニタするブロック64へ進む。次にブロック64にてモニタしたパラメータをもとに制御装置が動作保証温度範囲の上限値Tmaxを超えていないか判断するブロックへ進む。(ブロック65〜68)ここでは、制御装置内部温度Top1,Top2が、Top1>Tmax,Top2>Tmax,Top1≒Top2の場合についての説明であるため、分岐ブロック71へ進む。ブロック71では、制御装置の動作保証温度が上限値Tmaxを超えているため、ファイルセーフフラグFail=「1」にする。分岐ブロック72ではフェイルセーフフラグFAILの状態を判断する。この場合、Fail=「1」の状態であるためブロック75へ進む。ブロック75ではFail=「1」の状態であるため警告を開始し、次にブロック76へ進む。ブロック76ではフェイルセーフ動作へ移行し、再び最初に戻る。
【0026】
次に、制御装置11に搭載しているメインCPU21の監視結果及び内部温度センサ141の診断結果が正常で、制御装置内部温度Top1,Top2が、Top1>Tmax,Top2<Tmax,Top1≠Top2の場合について説明する。
【0027】
本制御が開始されると、フェイルセーフフラグFAIL=「0」に設定する。(ブロック61)次にメインCPU21が故障・暴走していないか監視する分岐ブロック62へ進む。ここではメインCPU21が故障・暴走していない場合の説明であるため、分岐ブロック63に進む。分岐ブロック63では内部温度センサ141が故障していないか診断を実施するが、ここでは内部温度センサ141の診断結果が正常である場合の説明であるため、制御装置内部温度Top1,Top2をモニタするブロック64へ進む。次にブロック64にてモニタしたパラメータをもとに制御装置が動作保証温度範囲の上限値Tmaxを超えていないか判断するブロックへ進む。(ブロック65〜68)ここでは、制御装置内部温度Top1,Top2が、Top1>Tmax,Top2<Tmax,Top1≠Top2の場合についての説明であるため、分岐ブロック72へ進む。分岐ブロック72ではフェイルセーフフラグFAILの状態を判断する。この場合、Fail=「0」の状態であるためブロック73へ進む。ブロック73では警告を停止し、次にブロック74へ進む。ブロック74ではFail=「0」の状態であるため、通常制御動作へ移行し、再び最初に戻る。
【0028】
次に、制御装置11に搭載しているメインCPU21の監視結果及び内部温度センサ141の診断結果が正常で、制御装置内部温度Top1,Top2が、Top1<Tmax,Top2>Tmax,Top1≠Top2の場合について説明する。
【0029】
本制御が開始されると、フェイルセーフフラグFAIL=「0」に設定する。(ブロック61)次にメインCPU21が故障・暴走していないか監視する分岐ブロック62へ進む。ここではメインCPU21が故障・暴走していない場合の説明であるため、分岐ブロック63に進む。分岐ブロック63では内部温度センサ141が故障していないか診断を実施するが、ここでは内部温度センサ141の診断結果が正常である場合の説明であるため、制御装置内部温度Top1,Top2をモニタするブロック64へ進む。次にブロック64にてモニタしたパラメータをもとに制御装置が動作保証温度範囲の上限値Tmaxを超えていないか判断するブロックへ進む。(ブロック65〜68)ここでは、制御装置内部温度Top1,Top2が、Top1<Tmax,Top2>Tmax,Top1≠Top2の場合についての説明であるため、分岐ブロック71へ進む。ブロック71では、制御装置の動作保証温度が上限値Tmaxを超えているため、ファイルセーフフラグFail=「1」にする。分岐ブロック72ではフェイルセーフフラグFAILの状態を判断する。この場合、Fail=「1」の状態であるためブロック75へ進む。ブロック75ではFail=「1」の状態であるため警告を開始し、次にブロック76へ進む。ブロック76ではフェイルセーフ動作へ移行し、再び最初に戻る。
【0030】
次に、制御装置11に搭載しているメインCPU21の監視結果がNGの場合について説明する。
【0031】
本制御が開始されると、フェイルセーフフラグFAIL=「0」に設定する。(ブロック61)次にメインCPU21が故障・暴走していないか監視する分岐ブロック62へ進む。
【0032】
ここでは、メインCPU21が故障・暴走している場合の説明であるため、ブロック71に進む。ブロック71では、メインCPU21が故障・暴走しており正常な制御を行うことができないため、ファイルセーフフラグFail=「1」にする。分岐ブロック72ではフェイルセーフフラグFAILの状態を判断する。この場合、Fail=「1」の状態であるためブロック75へ進む。ブロック75ではFail=「1」の状態であるため警告を開始し、次にブロック76へ進む。ブロック76ではフェイルセーフ動作へ移行し、再び最初に戻る。
【0033】
次に、制御装置11に搭載しているメインCPU21の監視結果は正常であるが、内部温度センサ141の診断結果が以上であり、制御装置内部温度Top2が、Top2<Tmaxの場合について説明する。
【0034】
本制御が開始されると、フェイルセーフフラグFAIL=「0」に設定する。(ブロック61)次にメインCPU21が故障・暴走していないか監視する分岐ブロック62へ進む。ここではメインCPU21が故障・暴走していない場合の説明であるため、分岐ブロック63に進む。分岐ブロック63では内部温度センサ141が故障していないか診断を実施するが、ここでは内部温度センサ141の診断結果が異常である場合の説明であるため、制御装置内部温度Top2をモニタするブロック69へ進む。次にブロック69にてモニタしたパラメータをもとに制御装置が動作保証温度範囲の上限値Tmaxを超えていないか判断する分岐ブロックへ進む。(ブロック70)ここでは、制御装置内部温度Top2が、Top2<Tmaxの場合についての説明であるため、分岐ブロック72に進む。分岐ブロック72ではフェイルセーフフラグFAILの状態を判断する。この場合、Fail=「0」の状態であるためブロック73へ進む。ブロック73では警告を停止し、次にブロック74へ進む。ブロック74ではFail=「0」の状態であるため、通常制御動作へ移行し、再び最初に戻る。
【0035】
次に、制御装置11に搭載しているメインCPU21の監視結果は正常であるが、内部温度センサ141の診断結果が以上であり、制御装置内部温度Top2が、Top2>Tmaxの場合について説明する。
【0036】
本制御が開始されると、フェイルセーフフラグFAIL=「0」に設定する。(ブロック61)次にメインCPU21が故障・暴走していないか監視する分岐ブロック62へ進む。ここではメインCPU21が故障・暴走していない場合の説明であるため、分岐ブロック63に進む。分岐ブロック63では内部温度センサ141が故障していないか診断を実施するが、ここでは内部温度センサ141の診断結果が異常である場合の説明であるため、制御装置内部温度Top2をモニタするブロック69へ進む。次にブロック69にてモニタしたパラメータをもとに制御装置が動作保証温度範囲の上限値Tmaxを超えていないか判断する分岐ブロックへ進む。(ブロック70)ここでは、制御装置内部温度Top2が、Top2>Tmaxの場合についての説明であるため、ブロック71に進む。ブロック71では、制御装置の動作保証温度が上限値Tmaxを超えているため、ファイルセーフフラグFail=「1」にする。分岐ブロック72ではフェイルセーフフラグFAILの状態を判断する。この場合、Fail=「1」の状態であるためブロック75へ進む。ブロック75ではFail=「1」の状態であるため警告を開始し、次にブロック76へ進む。ブロック76ではフェイルセーフ動作へ移行し、再び最初に戻る。
【0037】
本実施例では前記故障フラグを正常時「0」、異常時「1」としたがこれを反対に設定しても何ら問題ないということは言うまでもない。また、本実施例において制御装置内部温度が制御装置の動作保証温度の上限値Tmaxを超える場合、ユーザーまたは通信回路を用いて他の制御装置へ警告を実施する手段を設けることで以下の効果が得られる。
【0038】
前記制御装置内部温度が制御装置11の動作保証温度の上限値Tmaxを超える場合、例えば警告灯を点灯もしくは点滅させることで、ユーザーに制御装置11がフェイルセーフ動作に移行することを知らせる。警告灯は制御装置11が直接駆動することも可能であるが、他の制御装置へ通信回路を用いて点灯させることも可能である。この場合、他の制御装置は当該制御装置がフェイルセーフ動作へ移行したことを認識することが可能である。ユーザー及び他の制御装置は警告に基づき、適切な処置、例えば制御装置11の電源遮断などを実施しうる。警告の手段としては警告灯の他にアラーム等の警告音もしくは、警告灯,警告音を併用しうることはいうまでもない。
【0039】
次に本発明の他の実施例を図4にて説明する。
【0040】
図は本発明が係わる制御装置の他の実施例である。
【0041】
本実施例において、91は警告をユーザーへ知らせる警告灯であり、92は他制御装置との通信を行うためのインターフェース回路、93は他制御装置を示す。
【0042】
本発明の他の実施例について、以下、説明する。
【0043】
本実施例は、前述の図1の実施例に対し、制御装置の内部温度が制御装置の動作保証温度の上限値Tmaxを超える場合、ユーザーまたは、通信回路を用いて他の制御装置へ警告を実施する手段を有していることを特徴とする。警告灯91は制御装置11が駆動する場合と、他制御装置との通信を行うためのインターフェース回路92を経由して他制御装置93が駆動しても問題ないということはいうまでもない。
【0044】
次に本発明の他の実施例を図5にて説明する。
【0045】
図6は本発明が係わる制御装置の他の実施例である。
【0046】
本実施例において、81はフェールセーフモードへ移行した情報を記憶する記憶媒体であり、82は他制御装置との通信を行うためのインターフェース回路92を利用して記憶媒体に記憶されたフェイル情報を確認することが可能なモニタ装置を示す。
【0047】
本発明の他の実施例について、以下、説明する。フェイル情報は通信用インターフェースを用いて制御装置の外部にある別な記憶媒体に記憶させても問題ないことはいうまでもない。
【0048】
本実施例は、前述の図1の実施例に対し、制御装置の内部温度が制御装置の動作保証温度の上限値Tmaxを超える場合、CPU内蔵または制御装置11内部に準備された記憶媒体を用いてフェイル情報を記憶する手段を有し、後からフェイル情報を確認することが可能な構成を特徴とする。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は制御装置が高温環境で使用される製品で、制御装置の自己発熱を含めた内部温度が制御装置の動作保証温度の上限を超える可能性があり、フェイルセーフ動作への移行が必要となる製品において産業上の利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係わる制御装置の一実施例を示す構成図である。
【図2】従来の技術に係わる制御装置の一実施例を示す構成図である。
【図3】本発明に係わる制御装置の一実施例を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係わる制御装置の他の実施例を示す構成図である。
【図5】本発明に係わる制御装置の他の実施例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0051】
11 制御装置
21 メインCPU
22 サブCPU
31 電源
41,42,43 内部温度センサ
51a,51b 負荷駆動素子
52a,52b 負荷
81 記憶媒体
82 モニタ装置
91 警告灯
92 通信用インターフェース回路
93 他制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温環境下で機器の動作を制御する制御装置において、
前記制御装置は、
制御装置内部の温度を検出する内部温度センサ1と、
前記内部温度センサ1からの温度情報を所定の条件に基づき計算し、所定の処理を行うCPU1と、
制御装置内部の温度を検出する内部温度センサ2と、
前記内部温度センサ2からの温度情報を所定の条件に基づき計算し、所定の処理を行うCPU2と、
前記CPU1と前記CPU2とに接続され、かつ、前記CPU1または前記CPU2にて所定の処理を行われた情報に基づき負荷を駆動する負荷駆動素子とから構成され、
それぞれのCPUがそれぞれの内部温度センサを用いて制御装置の内部温度をモニタする手段を設けていることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
請求項1において、CPU1とCPU2とが通信することが可能であり、CPU1とCPU2とが情報を共有することが可能な構成を特徴とする制御装置。
【請求項3】
請求項1において、制御装置の内部温度が動作保証温度を超えていないか判定するとき、CPU1及びCPU2それぞれの判定結果を用いて、フェイルセーフ動作へ移行することが可能な構成を特徴とする制御装置。
【請求項4】
請求項1において、CPU1とCPU2とがお互いの動作を監視することが可能な構成を持っており、内部温度センサ1とCPU1、及び内部温度センサ2とCPU2のどちらか一方に故障が発生しても、CPU1もしくはCPU2が独立して負荷駆動素子を制御する機能を有し、フェイルセーフ動作へ移行可能な構成を特徴とする制御装置。
【請求項5】
請求項1において、制御装置の内部温度が動作保証温度を超えた時、ユーザーに制御装置がフェイルセーフ動作へ移行したことを警告可能な構成としたことを特徴とする制御装置。
【請求項6】
請求項1において、制御装置の内部温度が動作保証温度を超えた時、制御装置がフェイルセーフ動作へ移行したことを記憶媒体に記録可能な手段を有し、あとからフェイル情報を確認することが可能な構成を特徴とする制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−146135(P2010−146135A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320395(P2008−320395)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】