制振床構造
【課題】簡単な構造で、床梁の振動を早期に減衰する制振床構造を提供する。
【解決手段】この制振床構造は、床合板3を支持する床梁2の両端部が胴差し1に支持されている。床梁2の端部は、胴差し1の側面に支持部材4を介して接合されている。胴差し1の床梁2の端部が支持される部分の左右に、規制部材5が取り付けられている。規制部材5は、床梁2との間に、この床梁2が振動した際に断続的に接触し、振動が停止した際に離間する隙間をあけて配置されている。規制部材5は床梁2の下端部の高さ位置に配置されている。床梁2は、上端部を中心に下端部が回転振動し、規制部材5に接触することで摩擦を生じる。この摩擦のエネルギにより、床梁2の振動を減衰する。
【解決手段】この制振床構造は、床合板3を支持する床梁2の両端部が胴差し1に支持されている。床梁2の端部は、胴差し1の側面に支持部材4を介して接合されている。胴差し1の床梁2の端部が支持される部分の左右に、規制部材5が取り付けられている。規制部材5は、床梁2との間に、この床梁2が振動した際に断続的に接触し、振動が停止した際に離間する隙間をあけて配置されている。規制部材5は床梁2の下端部の高さ位置に配置されている。床梁2は、上端部を中心に下端部が回転振動し、規制部材5に接触することで摩擦を生じる。この摩擦のエネルギにより、床梁2の振動を減衰する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床の振動を減衰する制振床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
木造住宅の2階や3階の床を支持するのにH形鋼等の鋼材の床梁を用いる場合がある。床梁が鋼材の場合に、木材と比較して減衰性能が小さいため、床梁が振動すると、振動がなかなか停止せず、居住者が振動を不快に思う虞があり、良好な居住性能が得られない。
また、木造住宅に鋼材からなる床梁を用いた場合だけではなく、ユニット住宅などで、梁や柱に鉄骨(軽量鉄骨)を用いた鉄骨系の住宅においても、同様の問題が生じている。このような鉄鋼系の住宅では、床梁スパンの制限(床梁の長さ制限)を行い、所定長さ以上の床梁の配置を禁止したり、床材として軽量気泡コンクリート(ALC)版を用いたり、鋼材からなる床梁に直交する直交梁を設けたりするなどの対策をしている。
【0003】
すなわち、床の振動を早期に収める方法として、床の剛性を上げることが知られており、上述の床梁スパンの制限や、ALC版の使用や、直交梁の使用などにより、床の剛性を上げて床の振動を抑制することが可能となる。
木造住宅においても、同様に床の剛性を上げることが考えられるが、床の剛性を上げるためにコストがかかることになる。
【0004】
また、床の振動を弾性体や粘弾性体や各種ダンパー等を用いて減衰させる方法が提案されている。
例えば、H形鋼からなる梁上に床版を支持する床構造において、梁と床版との間にバネ特性が異なる複数の衝撃吸収部材からなる防音材を配置したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、床を支持する床梁の両側に、床梁の両端の下方から中央部にかけて上り勾配となる左右一対の直状部材を配置し、斜めに配置される直状部材の下端側を建築物側に固定し、直状部材の上端側を不動点とし、この不動点と床梁の長さ方向の中央部との間に制振装置を設けたものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
この床構造では、振動時に、直状部材と、床梁との間に相対的な変位が生じた場合に、粘弾性体を用いた制振装置が振動を早期に減衰させることになる。
【0006】
また、木材と薄板鋼板とを用いたハイブリット化住宅の床構造においては、床材を支持する梁としてリップ溝形鋼を用いている(例えば、非特許文献1参照)。このリップ溝形鋼を溝が側方を向くように配置して梁として使用した場合に、せん断中心と図心とのずれにより、鉛直方向の衝撃荷重に対して梁がねじれ振動を起こすことが知られている。そこで、リップ溝形鋼に振動抑制部材を取り付けてねじれ振動を抑制している。
振動抑制部材は、金属板からなり、梁としてのリップ溝形鋼を挟むように配置される概略V字状の構造を有するものである。振動抑制部材の上側の左右の端部がそれぞれ床材に固定され、これら左右の端部の間の底部にリップ溝形鋼の底部が固定されている。この振動抑制部材により梁のねじれ振動が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−183340号公報
【特許文献2】特開2002−70228号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】平川智久、須田敬之、村橋善満著「新日鉄技報 第369号 木材と薄板鋼板のハイブリット化による新住宅構法の開発(40〜45頁)」新日本製鐵株式会社 1998年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1の床構造では、梁に対して床版が浮いた状態で防音材に支持されているので、防音材のバネ特性が柔らかい場合、床上を歩行する際などに床がたわみ、歩行時に居住者に不快感を与える虞がある。また、防音材上に床版が載置された状態なので、固定荷重や積載荷重を直接防音材が受ける構造となり、防音材のクリープ変形などの経時変化による影響を受けやすく、耐久性に問題がある。また、梁上に床版を設置する前に防音材の設置等を行う必要があり、躯体工事の際に振動抑制のための構造を構築する作業を行う必要があり、作業が煩雑になる虞がある。
【0010】
また、特許文献2の床構造では、直状部材の下端部側の固定強度を高くする必要があること、一対の直状部材が床スパン(床梁スパン)と略同じ長さとなることなどから床の構造が煩雑になり、天井工事、配線工事などの床下での次工程の施工が難しくなる。
【0011】
また、ハイブリット住宅の床構造においては、床梁のねじれ振動を振動抑制部材で拘束して、床梁の水平方向加速度の卓越周波数を人間が不快に感じる帯域からずらすなどの工夫がなされている。しかし、振動抑制部材が床梁の鉛直方向の減衰に寄与していない。
【0012】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、簡単な構造で、床梁の振動を早期に減衰することができる制振床構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の制振床構造は、床材を支持する床梁の両端部が木製構造体に支持されている制振床構造であって、
前記木製構造体と前記床梁の端部の上部とに固定され、前記床梁の端部を前記木製構造体に支持させる支持部材と、
前記木製構造体の前記床梁の端部が支持される部分の左右のうちの少なくとも一方側に設けられた規制部材とを備え、
前記規制部材は、前記床梁との間に、この床梁が振動した際に断続的に接触し、振動が停止した際に離間する隙間をあけて配置されているとともに、前記床梁の下端から前記床梁の前記支持部材が固定されている高さ位置までの高さ範囲内に配置されていることを特徴とする。
【0014】
床上で人が歩行した場合などには、前記床梁が上下に振動するとともに左右に振動する。請求項1に記載の発明においては、床梁の上部が床材に接合されていることから床梁上部の左右への振動が規制され、床梁上部を中心として床梁の下部が回転振動する状態となる。
【0015】
この際に、規制部材は、床梁との間に、この床梁が振動した際に断続的に接触し、振動が停止した際に離間する隙間をあけて配置されているとともに、床梁の下端から床梁の支持部材が固定されている高さ位置までの高さ範囲内に配置されているので、上述のように振動する床梁が振動に対応して断続的に接触することになる。
【0016】
規制部材に、床梁が変位しながら断続的に接触することで、規制部材と床梁との間に摩擦が生じることになる。この摩擦によるエネルギが、床梁の振動を減衰させるように作用する。これにより、床梁の振動を早期に減衰させることができ、床の振動を抑制することができる。この際には、床梁の上述の回転振動だけではなく、上下方向の振動も減衰される。
【0017】
ここで、床梁の端部の上部だけではなく、下部も木製構造体に固定したり、前記規制部材を床梁との間に隙間をあけずに接触した状態に設けたりした場合には、床梁の端部の全体が木製構造体に拘束された状態となり、床梁の端部では床梁の振動が規制された状態となる。しかし、床梁の端部より中央側では、床梁が上下にたわむように振動するとともに、床梁の下部が床梁の上部を中心に回転振動する。すなわち、床梁の端部を拘束しても床梁の振動を止めることはできない。また、床梁と規制部材との間に隙間がなく常時接触し、床梁の回転振動が規制されている状態では、床梁と規制部材との間の摩擦力が大きくならない。また、床梁と規制部材との間に隙間があっても、床梁の端部全体が木製構造体に拘束されていると、床梁の拘束された端部が回転振動しないので、規制部材に接触せず、床梁と規制部材との間に摩擦力が生じない。
【0018】
したがって、上述のような場合には、摩擦のエネルギにより床梁の振動を早期に減衰することができず、振動が長く続く状態となる。すなわち、床梁の端部を木製構造体に支持させる際に、床梁の下部を拘束せずに、床梁の端部を回転振動させるとともに、床梁が回転振動した際に床梁を規制部材に断続的に接触させることで、床梁の端部全体を木製構造体に拘束した場合よりも床梁の振動をより早く減衰することが可能となる。
【0019】
請求項2に記載の制振床構造は、請求項1に記載の制振床構造において、前記規制部材の高さ位置が前記床梁の下端部と同じとされていることを特徴とする。
【0020】
床梁は上部を中心に回転振動するので、床梁の左右への振幅は、床梁の下端部が最も大きくなり、床梁が回転振動した場合に、規制部材に接触させ易く、かつ、大きな摩擦力を発生させ易い状態となり、効率的に床梁の振動を減衰させることができる。
【0021】
請求項3に記載の制振床構造は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記支持部材は、前記床梁の高さ範囲の上から1/3の部位より上側に固定されていることを特徴とする。
【0022】
請求項3に記載の発明においては、床梁の上部だけを固定し、床梁の下部が拘束されない状態とする際に、床梁の上から1/3の高さ位置より高い位置を支持部材で固定することで、床梁の端部において、床梁の下側を十分に回転振動させることができる。これにより、回転振動する床梁の下部を規制部材に断続的に接触させて十分な摩擦力を発生させ、床梁の振動をより早期に減衰させることができる。
【0023】
請求項4に記載の制振床構造は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明において、
前記支持部材と前記規制部材とが一体に形成されていることを特徴とする。
【0024】
請求項4に記載の発明においては、部材数を減らすことで、部材の管理を容易にできる。また、一体の支持部材と規制部材とを木製構造体に取り付けることで、支持部材と規制部材との両方が木製構造体に固定されることになり、作業性を向上することができる。また、支持部材に対して規制部材が位置決めされていることになるので、支持部材を床梁の正しい位置に固定することで、規制部材は、床梁に位置決めされた状態で木製構造体に取り付けられることになり、この点でも作業性を向上することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の制振床構造によれば、床上を人が歩行すること等により床が振動した際に、上部を床に接合された床梁が上部側を回転中心として下部側が回転振動することを利用し、床の振動時に床梁に近接して配置される規制部材と、床梁とを断続的に接触させて摩擦力を発生させる。この摩擦力により床梁の上下振動を含む振動をより早く減衰させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係る制振床構造を示す一部の床合板を取り除いた平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB矢視図である。
【図4】図1のC矢視図である。
【図5】前記制振床構造における床梁の振動を説明するための図である。
【図6】前記制振床構造における床梁と規制部材との間隔を説明するための図である。
【図7】前記制振床構造における床梁と規制部材との間隔を説明するための図である。
【図8】前記制振床構造における規制部材の位置を説明するための図である。
【図9】前記制振床構造における支持部材の位置を説明するための図である。
【図10】本発明の実施の形態の変形例の制振床構造の胴差しと床梁との接合部を示す断面図である。
【図11】本発明の実施例としての振動試験の際に用いられた制振床構造を示す概略図である。
【図12】比較例1の床構造における振動試験の結果を示すグラフである。
【図13】比較例1の床構造における振動試験の結果を示すグラフである。
【図14】比較例2の床構造における振動試験の結果を示すグラフである。
【図15】比較例2の床構造における振動試験の結果を示すグラフである。
【図16】実施例の制振床構造における振動試験の結果を示すグラフである。
【図17】実施例の制振床構造における振動試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1および図2に示すように、この実施の形態の制振床構造は、木製構造体としての木製の胴差し1に端部を支持された複数の床梁2により床材としての床合板3を支持するものである。
制振床構造は、間隔をあけて互いに平行に配置される少なくとも一対の胴差し1を備えている。胴差し1に代えて木製構造体として、木製の梁や、木製の構造壁を用いるものとしてもよい。
【0028】
床梁2は、例えば、H形鋼からなる鉄骨梁であり、上フランジ21と、下フランジ22と、これらフランジ21,22を繋ぐウェブ23とを備えたものである。各床梁2は、その両端部がそれぞれ、一対の胴差し1に接合され、一対の胴差し1間に架け渡されて配置されている。また、各床梁2は、互いに平行に等間隔に配置されている。
また、胴差し1の上面と、床梁2(上フランジ21)の上面とは同じ高さ位置に配置され、これら胴差し1および床梁2の上側に床合板3が敷き詰められるとともに、床合板が胴差し1に釘で接合され、床梁2の上フランジ21にねじで接合されている。
【0029】
図3および図4に示すように、アングル状の金物である支持部材4により胴差し1に床梁2が接合されている。
支持部材4は、床梁2の水平な上フランジ21の下面に接合される床梁接合部41と、胴差し1の鉛直方向に沿った側面に接合される木材接合部42とが直角に一体に形成されたものである。支持部材4は、ネジ等の接合部材により上フランジ21および胴差し1に接合されて固定される。また、支持部材4は、床梁2のウェブ23の左右にそれぞれ配置されている。
【0030】
支持部材4は、床梁2の上端部である上フランジ21に固定され、床梁2の上端部だけを胴差し1に固定している。また、床梁2のウェブ23および下フランジ22は、胴差し1に固定されていない。したがって、床上の人の歩行や飛び跳ねなどにより、床が振動した場合に、床梁2の両端部の間の部分(軸方向の中央部分)だけではなく、床梁2の端部においても、図5に示すように、床梁2の上端部(例えば、ウェブ23の上端部)を中心にウェブ23の下端および下フランジ22が回転振動する状態となっている。
【0031】
前記胴差し1の床梁2が支持部材4により固定される側面には、規制部材5が取り付けられている。規制部材5は、アングル状の金物であり、胴差し1の前記側面に取り付けられる取付部51と、床梁2の下端部である下フランジ22の側縁部に対向する規制部52とが互いに直角に一体に形成されたものである。
【0032】
取付部51は、胴差し1の側面にネジ等の接合部材で固定される。取付部51は、床梁2の下端部である下フランジ22の左右に下フランジ22の側縁に近接して配置される。また、取付部51を胴差し1の側面に沿って胴差し1に固定した際に、規制部52は、胴差しの側面に直角で、鉛直方向に沿った状態となり、規制部52の外側の側面が床梁2の下フランジ22の側縁と平行に配置される。また、床梁2で上述の回転振動が生じていない状態において、規制部52と下フランジ22とは、接触していない状態となっている。
【0033】
例えば、図6に示すように、記号で示される規制部材5の規制部52と、床梁2の下フランジ22の側縁との間の間隔crは、例えば、0.2mm〜0.5mm程度であることが好ましい。
【0034】
間隔crを上述の範囲内とした場合には、図7に示すように床梁2が回転振動した際に、下フランジ22の側縁が記号で示される規制部材5の規制部52に、振動に対応して断続的に接触する。
したがって、規制部52と下フランジ22との間には、隙間が形成されているとともに、隙間の広さは、床梁2が回転振動した際に、規制部52と床梁2とが接触可能な広さとなる。
なお、床梁2の断面形状や、床梁2の支持部材4による固定位置や、床梁2に対する規制部材5の相対的な高さ位置などにより好適な間隔crが異なる可能性がある。状況に応じて規制部材5の規制部52と、床梁2の下フランジ22の側縁との間の好適な間隔crを実験的に求めることが好ましい。
【0035】
このような制振床構造においては、胴差し1を例えば通し柱間に架け渡して配置した後に、胴差し1に支持部材4を用いて床梁2の端部を固定し、床梁2を胴差し1間に架け渡した状態とする。そして、床梁2および胴差し1上に床合板3を敷き詰めるとともに、床合板3を接合部材により床梁2及び胴差し1に接合する。
また、胴差し1の側面に規制部材5を接合することになるが、規制部材5の接合は、胴差し1に床梁2を接合する前であっても後であってもよい。また、規制部材5の接合は、床合板3を接合する前であっても後であってもよい。
【0036】
この制振床構造にあっては、図5及び図7に示す床梁2の回転振動を利用して、床梁2の振動を早期に減衰させるようになっている。床梁2は、上述のように上フランジ21を支持部材4により胴差し1に固定され、かつ、上フランジ21を床合板3に接合されているので、床に歩行等による衝撃が作用した場合に、ウェブ23の上端部を中心にウェブ23の下端部および下フランジ22が回転振動する。これにより下フランジ22の左右の側縁部は、規制部材5に向って変位した際に規制部材5に接触し、規制部材5からはなれる方向に変位した際に、規制部材5から離間することを繰り返すことになる。
【0037】
この際に、規制部材5と下フランジ22の側縁部との間に摩擦力が生じることになる。
この摩擦のエネルギによって、床梁2の振動を減衰することが可能となる。また、摩擦による振動の減衰は、回転振動だけではなく、床梁2の上下振動にも作用し、床梁2の回転振動と上下振動との両方が早期に減衰されることになる。
なお、ここで、厚さtの一枚の鋼板と、二枚合わせた厚さがtである2枚の鋼板を少しだけ間隔をあけて配置した合わせ鋼板とを木槌等で叩いて、音を出させた場合に、一枚の鋼板より、合わせ鋼板の方が先に音が鳴り止むことが知られている。
これは、叩かれたことで振動する二枚の鋼板が接触して摩擦が発生することにより、摩擦のエネルギで鋼板の振動が減衰されるためである。
これと同様に床梁2においても、振動する床梁2が規制部材5に断続的に接触した場合に、床梁2の振動を早期に減衰させることが可能となる。
【0038】
この制振床構造において、床梁の振動を減衰する機構は、床梁2の端部の上部だけを胴差しに固定する支持部材4と、上部だけが固定されることにより下部が回転振動する床梁2の端部に回転振動時に断続的に接触して床梁2との間に摩擦を生じる規制部材5とを有している。これら支持部材4および規制部材5は、基本的に各床梁2の端部毎に、木製の胴差し1に接合されるので、例えば、床梁2の略全長に渡るような部材を必要とするような場合に比較して、施工性がよい。また、規制部材5および支持部材4は、床梁2に比較して小さな部材であり、クレーン等を使用して吊り上げるような部材がないので、制振機構のコストを低く抑えることができるとともに、取り扱いや施工が容易となる。
【0039】
また、リフォーム時にも簡単にこの制振床構造を既存の建築物に応用することができる。すなわち、木製の構造体に床梁が接合されている床構造を有する場合に、木製の構造体である胴差しから床梁を取り外す。
次に、支持部材4を用いて床梁を接合しなおし、規制部材5を胴差し1に取り付ければよい。
なお、支持部材4、規制部材5は、前述のアングル状の金物に限定されず、例えば、規制部材5としては、材質は金属でも木質でもよいし、またその形状も塊状(この場合例えば孔を設けておき、これを利用して胴差しに1にねじ止め等で取り付ける)等であってもよい。
【0040】
なお、前記実施の形態では、床梁2の最下端部の下フランジ22の左右に規制部材5の規制部52を近接して配置するようにしたが、図8に示すように、規制部材5の規制部52が配置される高さ位置は、上述のように回転振動する部分であればよく、下フランジ22により少し上となるウェブ23の下端部の高さ位置で、ウェブ23に近接して規制部52を配置するようにしてもよい。この場合も、ウェブ23の下端部が回転振動した際に規制部52に接触して摩擦が生じることにより、床梁2の振動を早期に減衰することができる。
【0041】
また、規制部材5の床梁2に対する高さ位置は、基本的に床梁2の下端から支持部材4が固定される部分までの範囲内であればよいが、支持部材4に固定される部分の高さ位置に近すぎると、回転振動が不十分であり、十分な振動の減衰機能を得られない虞があるので、規制部材5は、床梁2の支持部材4に固定される部分から下側に離れていることが好ましい。
【0042】
また、前記実施の形態では、支持部材4(床梁接合部41)は、床梁2の最上端部としての上フランジ21を胴差し1に固定するようにしたが、図9に示すように、床梁2のウェブ23の上端部を支持部材4の床梁接合部41(図9において記号として図示)により固定するようにしてもよい。なお、この際には、上フランジ21を胴差し1に固定しないようにしてもよいが、強度上固定することが好ましい。なお、床梁2の下部において、振動の減衰に必要な十分な摩擦力を発生可能な回転振動を得るためには、床梁2の上下高さの上から1/3の高さ位置より上側で、支持部材4により床梁2が胴差し1に接合されることが好ましい。
【0043】
また、前記実施の形態では、支持部材4と規制部材5とを別部材としたが、支持部材4と規制部材5とを一体に形成してもよい。例えば、図10に示すように、一つの振動抑制部材7に、床梁2(上フランジ21の下面)に接合される床梁接合部41と、胴差し1の側面に固定される木材接合部42(取付部51)と、床梁2が回転振動した際に床梁2の下端部と断続的に接触する規制部52とを備えるようにしてもよい。
【0044】
振動抑制部材7は、床梁接合部41と規制部52とを有する矩形枠状の枠部71を備え、この枠部71の上部にスリット72が設けられて床梁2のウェブ23が挿入された状態となっている。また、枠部71の上辺の部分のスリット72の左右の部分が床梁接合部41とされ、上フランジ21の下面に接合されている。
また、枠部71の左右の辺の下部の部分が、床梁2の下フランジ22の側縁に近接して対向した状態となっており、この部分が規制部52となる。
また、枠部71の左右の辺にはそれぞれ、ボルト73により胴差し1の側面に固定される木材接合部42が設けられている。
【0045】
このように、支持部材4と規制部材5とを一体の振動抑制部材7とすることにより、振動抑制部材7を胴差し1に取り付けることで、支持部材4と規制部材5とを同時に取り付けた状態となり、作業が簡略化される。また、支持部材4に対して規制部材5が位置合わせされていることになるので、支持部材4を床梁2に接合した際に床梁2と規制部材5が位置決めされたのと同じ状態となる。したがって、実質的に規制部材5を床梁2に対して位置決めする作業が簡略化されることになる。したがって、支持部材4と規制部財5を一体とすることにより、施工性を向上することができる。また、部材点数が減少することから部材の管理が容易となる。
【0046】
なお、床梁2としては、例えば、上述のH形鋼以外に、溝形鋼や角形鋼管等を用いることが可能であり、中実の木製梁を用いることも可能である。また、H形鋼や溝形鋼は、上下を繋ぐ部分が一枚の板で形成されていることから、ねじり剛性が小さく回転振動しやすい部材であり、規制部材5を用いた振動の減衰に適している。それに対して、角形鋼管や木製梁はねじり剛性が高く、回転振動し難いが、回転振動の振幅が皆無なわけではないので、回転振動時に角形鋼管や木製梁を規制部材5に断続的に接触させることで、振動の減衰効果を期待することができる。また、規制部材5を床梁2の端部の左右にそれぞれ設けるのではなく、左右のうちの一方にだけ設けてもよい。
【実施例】
【0047】
以下、本発明の実施例を説明する。
本実施例は、図1から図4に示す制振床構造と同様の構造を有する制振床構造とし、互いに平行な一対の胴差し1(木製梁)をそれぞれ架台8上に設置し、これら胴差し1間に互いに等間隔で平行に3本の床梁2を架け渡し、床梁2の両端部をそれぞれ、図3および図4に示すように、支持部材4を用いて胴差し1に固定した。また、胴差し1の側面の床梁2の下フランジ22の左右に規制部材5を接合した。規制部材5の規制部52と、下フランジ22の側縁との間隔は、0.2mm〜0.5mmの範囲内となるようにした。
【0048】
また、胴差し1および床梁2の上に床合板3を設置し、胴差し1および床梁2に接合した。
このような試験用の制振床構造に対して、図11に示すように、床の中央部に油粘土を自由落下させて床を加振させ、床の加振された部分の直下の床梁2の応答変形量と応答加速度を測定した。
また、比較例1として、本実施例と同様の床構造を製作した。但し、比較例1においては、規制部材5の規制部52と、下フランジ22の側縁との間隔を0とした。すなわち、規制部52と下フランジ22の側縁とを接触させ、床梁2の下部を拘束した。
【0049】
また、比較例2として、本実施例と同様の制振床構造を製作した。但し、比較例2においては、規制部材5を設けずに、床梁2の下部が自由に回転振動できるようにした。
比較例1および比較例2においても、実施例と同様に床を加振して、応答変形量と応答加速度を測定した。
【0050】
図12から図17は、振動試験結果を示すグラフであって、図12は、比較例1の時間経過に伴う鉛直方向の応答変形量の変化を示すグラフであり、図13は、比較例1の時間経過に伴う鉛直方向の応答加速度の変化を示すグラフであり、図14は、比較例2の時間経過に伴う鉛直方向の応答変形量の変化を示すグラフであり、図15は、比較例2の時間経過に伴う鉛直方向の応答加速度の変化を示すグラフであり、図16は、実施例の時間経過に伴う鉛直方向の応答変形量の変化を示すグラフであり、図17は、実施例の時間経過に伴う鉛直方向の応答加速度の変化を示すグラフである。
【0051】
図12および図13に示すように、規制部材5を床梁2の下フランジ22に接触させて床梁2の端部を拘束した状態の比較例1では、応答変形量および応答加速度ともに、時間経過に伴い減衰していくが、時間経過に伴い振幅が大きくなる傾向の部分があり、完全に振幅が減衰するまで時間がかる状態となっている。図14および図15に示すように、規制部材5を設けない比較例2では、比較例1より加振直後の応答変形量および応答加速度の振幅が大きくなっている。また、比較例1と同様に、時間経過に伴い振幅が大きくなる傾向の部分があり、完全に振幅が減衰するまで時間がかる状態となっている。
これら比較例1および比較例2に対して本実施例では、比較例1や比較例2で見られた時間経過に伴って振幅が大きくなる傾向が見られず、時間経過に伴って円滑に応答変形量、応答加速度共に減衰し、比較例1および比較例2に比較して明らかに振動が早期に減衰している。
また、グラフに示されるのは、いずれも鉛直方向の応答変形量および応答加速度であり、この実施例の制振床構造が鉛直方向の振動を抑制していることがわかる。
【符号の説明】
【0052】
1 胴差し(木製構造体)
2 床梁
3 床合板(床材)
4 支持部材
5 規制部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、床の振動を減衰する制振床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
木造住宅の2階や3階の床を支持するのにH形鋼等の鋼材の床梁を用いる場合がある。床梁が鋼材の場合に、木材と比較して減衰性能が小さいため、床梁が振動すると、振動がなかなか停止せず、居住者が振動を不快に思う虞があり、良好な居住性能が得られない。
また、木造住宅に鋼材からなる床梁を用いた場合だけではなく、ユニット住宅などで、梁や柱に鉄骨(軽量鉄骨)を用いた鉄骨系の住宅においても、同様の問題が生じている。このような鉄鋼系の住宅では、床梁スパンの制限(床梁の長さ制限)を行い、所定長さ以上の床梁の配置を禁止したり、床材として軽量気泡コンクリート(ALC)版を用いたり、鋼材からなる床梁に直交する直交梁を設けたりするなどの対策をしている。
【0003】
すなわち、床の振動を早期に収める方法として、床の剛性を上げることが知られており、上述の床梁スパンの制限や、ALC版の使用や、直交梁の使用などにより、床の剛性を上げて床の振動を抑制することが可能となる。
木造住宅においても、同様に床の剛性を上げることが考えられるが、床の剛性を上げるためにコストがかかることになる。
【0004】
また、床の振動を弾性体や粘弾性体や各種ダンパー等を用いて減衰させる方法が提案されている。
例えば、H形鋼からなる梁上に床版を支持する床構造において、梁と床版との間にバネ特性が異なる複数の衝撃吸収部材からなる防音材を配置したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、床を支持する床梁の両側に、床梁の両端の下方から中央部にかけて上り勾配となる左右一対の直状部材を配置し、斜めに配置される直状部材の下端側を建築物側に固定し、直状部材の上端側を不動点とし、この不動点と床梁の長さ方向の中央部との間に制振装置を設けたものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
この床構造では、振動時に、直状部材と、床梁との間に相対的な変位が生じた場合に、粘弾性体を用いた制振装置が振動を早期に減衰させることになる。
【0006】
また、木材と薄板鋼板とを用いたハイブリット化住宅の床構造においては、床材を支持する梁としてリップ溝形鋼を用いている(例えば、非特許文献1参照)。このリップ溝形鋼を溝が側方を向くように配置して梁として使用した場合に、せん断中心と図心とのずれにより、鉛直方向の衝撃荷重に対して梁がねじれ振動を起こすことが知られている。そこで、リップ溝形鋼に振動抑制部材を取り付けてねじれ振動を抑制している。
振動抑制部材は、金属板からなり、梁としてのリップ溝形鋼を挟むように配置される概略V字状の構造を有するものである。振動抑制部材の上側の左右の端部がそれぞれ床材に固定され、これら左右の端部の間の底部にリップ溝形鋼の底部が固定されている。この振動抑制部材により梁のねじれ振動が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−183340号公報
【特許文献2】特開2002−70228号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】平川智久、須田敬之、村橋善満著「新日鉄技報 第369号 木材と薄板鋼板のハイブリット化による新住宅構法の開発(40〜45頁)」新日本製鐵株式会社 1998年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1の床構造では、梁に対して床版が浮いた状態で防音材に支持されているので、防音材のバネ特性が柔らかい場合、床上を歩行する際などに床がたわみ、歩行時に居住者に不快感を与える虞がある。また、防音材上に床版が載置された状態なので、固定荷重や積載荷重を直接防音材が受ける構造となり、防音材のクリープ変形などの経時変化による影響を受けやすく、耐久性に問題がある。また、梁上に床版を設置する前に防音材の設置等を行う必要があり、躯体工事の際に振動抑制のための構造を構築する作業を行う必要があり、作業が煩雑になる虞がある。
【0010】
また、特許文献2の床構造では、直状部材の下端部側の固定強度を高くする必要があること、一対の直状部材が床スパン(床梁スパン)と略同じ長さとなることなどから床の構造が煩雑になり、天井工事、配線工事などの床下での次工程の施工が難しくなる。
【0011】
また、ハイブリット住宅の床構造においては、床梁のねじれ振動を振動抑制部材で拘束して、床梁の水平方向加速度の卓越周波数を人間が不快に感じる帯域からずらすなどの工夫がなされている。しかし、振動抑制部材が床梁の鉛直方向の減衰に寄与していない。
【0012】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、簡単な構造で、床梁の振動を早期に減衰することができる制振床構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の制振床構造は、床材を支持する床梁の両端部が木製構造体に支持されている制振床構造であって、
前記木製構造体と前記床梁の端部の上部とに固定され、前記床梁の端部を前記木製構造体に支持させる支持部材と、
前記木製構造体の前記床梁の端部が支持される部分の左右のうちの少なくとも一方側に設けられた規制部材とを備え、
前記規制部材は、前記床梁との間に、この床梁が振動した際に断続的に接触し、振動が停止した際に離間する隙間をあけて配置されているとともに、前記床梁の下端から前記床梁の前記支持部材が固定されている高さ位置までの高さ範囲内に配置されていることを特徴とする。
【0014】
床上で人が歩行した場合などには、前記床梁が上下に振動するとともに左右に振動する。請求項1に記載の発明においては、床梁の上部が床材に接合されていることから床梁上部の左右への振動が規制され、床梁上部を中心として床梁の下部が回転振動する状態となる。
【0015】
この際に、規制部材は、床梁との間に、この床梁が振動した際に断続的に接触し、振動が停止した際に離間する隙間をあけて配置されているとともに、床梁の下端から床梁の支持部材が固定されている高さ位置までの高さ範囲内に配置されているので、上述のように振動する床梁が振動に対応して断続的に接触することになる。
【0016】
規制部材に、床梁が変位しながら断続的に接触することで、規制部材と床梁との間に摩擦が生じることになる。この摩擦によるエネルギが、床梁の振動を減衰させるように作用する。これにより、床梁の振動を早期に減衰させることができ、床の振動を抑制することができる。この際には、床梁の上述の回転振動だけではなく、上下方向の振動も減衰される。
【0017】
ここで、床梁の端部の上部だけではなく、下部も木製構造体に固定したり、前記規制部材を床梁との間に隙間をあけずに接触した状態に設けたりした場合には、床梁の端部の全体が木製構造体に拘束された状態となり、床梁の端部では床梁の振動が規制された状態となる。しかし、床梁の端部より中央側では、床梁が上下にたわむように振動するとともに、床梁の下部が床梁の上部を中心に回転振動する。すなわち、床梁の端部を拘束しても床梁の振動を止めることはできない。また、床梁と規制部材との間に隙間がなく常時接触し、床梁の回転振動が規制されている状態では、床梁と規制部材との間の摩擦力が大きくならない。また、床梁と規制部材との間に隙間があっても、床梁の端部全体が木製構造体に拘束されていると、床梁の拘束された端部が回転振動しないので、規制部材に接触せず、床梁と規制部材との間に摩擦力が生じない。
【0018】
したがって、上述のような場合には、摩擦のエネルギにより床梁の振動を早期に減衰することができず、振動が長く続く状態となる。すなわち、床梁の端部を木製構造体に支持させる際に、床梁の下部を拘束せずに、床梁の端部を回転振動させるとともに、床梁が回転振動した際に床梁を規制部材に断続的に接触させることで、床梁の端部全体を木製構造体に拘束した場合よりも床梁の振動をより早く減衰することが可能となる。
【0019】
請求項2に記載の制振床構造は、請求項1に記載の制振床構造において、前記規制部材の高さ位置が前記床梁の下端部と同じとされていることを特徴とする。
【0020】
床梁は上部を中心に回転振動するので、床梁の左右への振幅は、床梁の下端部が最も大きくなり、床梁が回転振動した場合に、規制部材に接触させ易く、かつ、大きな摩擦力を発生させ易い状態となり、効率的に床梁の振動を減衰させることができる。
【0021】
請求項3に記載の制振床構造は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記支持部材は、前記床梁の高さ範囲の上から1/3の部位より上側に固定されていることを特徴とする。
【0022】
請求項3に記載の発明においては、床梁の上部だけを固定し、床梁の下部が拘束されない状態とする際に、床梁の上から1/3の高さ位置より高い位置を支持部材で固定することで、床梁の端部において、床梁の下側を十分に回転振動させることができる。これにより、回転振動する床梁の下部を規制部材に断続的に接触させて十分な摩擦力を発生させ、床梁の振動をより早期に減衰させることができる。
【0023】
請求項4に記載の制振床構造は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明において、
前記支持部材と前記規制部材とが一体に形成されていることを特徴とする。
【0024】
請求項4に記載の発明においては、部材数を減らすことで、部材の管理を容易にできる。また、一体の支持部材と規制部材とを木製構造体に取り付けることで、支持部材と規制部材との両方が木製構造体に固定されることになり、作業性を向上することができる。また、支持部材に対して規制部材が位置決めされていることになるので、支持部材を床梁の正しい位置に固定することで、規制部材は、床梁に位置決めされた状態で木製構造体に取り付けられることになり、この点でも作業性を向上することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の制振床構造によれば、床上を人が歩行すること等により床が振動した際に、上部を床に接合された床梁が上部側を回転中心として下部側が回転振動することを利用し、床の振動時に床梁に近接して配置される規制部材と、床梁とを断続的に接触させて摩擦力を発生させる。この摩擦力により床梁の上下振動を含む振動をより早く減衰させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係る制振床構造を示す一部の床合板を取り除いた平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB矢視図である。
【図4】図1のC矢視図である。
【図5】前記制振床構造における床梁の振動を説明するための図である。
【図6】前記制振床構造における床梁と規制部材との間隔を説明するための図である。
【図7】前記制振床構造における床梁と規制部材との間隔を説明するための図である。
【図8】前記制振床構造における規制部材の位置を説明するための図である。
【図9】前記制振床構造における支持部材の位置を説明するための図である。
【図10】本発明の実施の形態の変形例の制振床構造の胴差しと床梁との接合部を示す断面図である。
【図11】本発明の実施例としての振動試験の際に用いられた制振床構造を示す概略図である。
【図12】比較例1の床構造における振動試験の結果を示すグラフである。
【図13】比較例1の床構造における振動試験の結果を示すグラフである。
【図14】比較例2の床構造における振動試験の結果を示すグラフである。
【図15】比較例2の床構造における振動試験の結果を示すグラフである。
【図16】実施例の制振床構造における振動試験の結果を示すグラフである。
【図17】実施例の制振床構造における振動試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1および図2に示すように、この実施の形態の制振床構造は、木製構造体としての木製の胴差し1に端部を支持された複数の床梁2により床材としての床合板3を支持するものである。
制振床構造は、間隔をあけて互いに平行に配置される少なくとも一対の胴差し1を備えている。胴差し1に代えて木製構造体として、木製の梁や、木製の構造壁を用いるものとしてもよい。
【0028】
床梁2は、例えば、H形鋼からなる鉄骨梁であり、上フランジ21と、下フランジ22と、これらフランジ21,22を繋ぐウェブ23とを備えたものである。各床梁2は、その両端部がそれぞれ、一対の胴差し1に接合され、一対の胴差し1間に架け渡されて配置されている。また、各床梁2は、互いに平行に等間隔に配置されている。
また、胴差し1の上面と、床梁2(上フランジ21)の上面とは同じ高さ位置に配置され、これら胴差し1および床梁2の上側に床合板3が敷き詰められるとともに、床合板が胴差し1に釘で接合され、床梁2の上フランジ21にねじで接合されている。
【0029】
図3および図4に示すように、アングル状の金物である支持部材4により胴差し1に床梁2が接合されている。
支持部材4は、床梁2の水平な上フランジ21の下面に接合される床梁接合部41と、胴差し1の鉛直方向に沿った側面に接合される木材接合部42とが直角に一体に形成されたものである。支持部材4は、ネジ等の接合部材により上フランジ21および胴差し1に接合されて固定される。また、支持部材4は、床梁2のウェブ23の左右にそれぞれ配置されている。
【0030】
支持部材4は、床梁2の上端部である上フランジ21に固定され、床梁2の上端部だけを胴差し1に固定している。また、床梁2のウェブ23および下フランジ22は、胴差し1に固定されていない。したがって、床上の人の歩行や飛び跳ねなどにより、床が振動した場合に、床梁2の両端部の間の部分(軸方向の中央部分)だけではなく、床梁2の端部においても、図5に示すように、床梁2の上端部(例えば、ウェブ23の上端部)を中心にウェブ23の下端および下フランジ22が回転振動する状態となっている。
【0031】
前記胴差し1の床梁2が支持部材4により固定される側面には、規制部材5が取り付けられている。規制部材5は、アングル状の金物であり、胴差し1の前記側面に取り付けられる取付部51と、床梁2の下端部である下フランジ22の側縁部に対向する規制部52とが互いに直角に一体に形成されたものである。
【0032】
取付部51は、胴差し1の側面にネジ等の接合部材で固定される。取付部51は、床梁2の下端部である下フランジ22の左右に下フランジ22の側縁に近接して配置される。また、取付部51を胴差し1の側面に沿って胴差し1に固定した際に、規制部52は、胴差しの側面に直角で、鉛直方向に沿った状態となり、規制部52の外側の側面が床梁2の下フランジ22の側縁と平行に配置される。また、床梁2で上述の回転振動が生じていない状態において、規制部52と下フランジ22とは、接触していない状態となっている。
【0033】
例えば、図6に示すように、記号で示される規制部材5の規制部52と、床梁2の下フランジ22の側縁との間の間隔crは、例えば、0.2mm〜0.5mm程度であることが好ましい。
【0034】
間隔crを上述の範囲内とした場合には、図7に示すように床梁2が回転振動した際に、下フランジ22の側縁が記号で示される規制部材5の規制部52に、振動に対応して断続的に接触する。
したがって、規制部52と下フランジ22との間には、隙間が形成されているとともに、隙間の広さは、床梁2が回転振動した際に、規制部52と床梁2とが接触可能な広さとなる。
なお、床梁2の断面形状や、床梁2の支持部材4による固定位置や、床梁2に対する規制部材5の相対的な高さ位置などにより好適な間隔crが異なる可能性がある。状況に応じて規制部材5の規制部52と、床梁2の下フランジ22の側縁との間の好適な間隔crを実験的に求めることが好ましい。
【0035】
このような制振床構造においては、胴差し1を例えば通し柱間に架け渡して配置した後に、胴差し1に支持部材4を用いて床梁2の端部を固定し、床梁2を胴差し1間に架け渡した状態とする。そして、床梁2および胴差し1上に床合板3を敷き詰めるとともに、床合板3を接合部材により床梁2及び胴差し1に接合する。
また、胴差し1の側面に規制部材5を接合することになるが、規制部材5の接合は、胴差し1に床梁2を接合する前であっても後であってもよい。また、規制部材5の接合は、床合板3を接合する前であっても後であってもよい。
【0036】
この制振床構造にあっては、図5及び図7に示す床梁2の回転振動を利用して、床梁2の振動を早期に減衰させるようになっている。床梁2は、上述のように上フランジ21を支持部材4により胴差し1に固定され、かつ、上フランジ21を床合板3に接合されているので、床に歩行等による衝撃が作用した場合に、ウェブ23の上端部を中心にウェブ23の下端部および下フランジ22が回転振動する。これにより下フランジ22の左右の側縁部は、規制部材5に向って変位した際に規制部材5に接触し、規制部材5からはなれる方向に変位した際に、規制部材5から離間することを繰り返すことになる。
【0037】
この際に、規制部材5と下フランジ22の側縁部との間に摩擦力が生じることになる。
この摩擦のエネルギによって、床梁2の振動を減衰することが可能となる。また、摩擦による振動の減衰は、回転振動だけではなく、床梁2の上下振動にも作用し、床梁2の回転振動と上下振動との両方が早期に減衰されることになる。
なお、ここで、厚さtの一枚の鋼板と、二枚合わせた厚さがtである2枚の鋼板を少しだけ間隔をあけて配置した合わせ鋼板とを木槌等で叩いて、音を出させた場合に、一枚の鋼板より、合わせ鋼板の方が先に音が鳴り止むことが知られている。
これは、叩かれたことで振動する二枚の鋼板が接触して摩擦が発生することにより、摩擦のエネルギで鋼板の振動が減衰されるためである。
これと同様に床梁2においても、振動する床梁2が規制部材5に断続的に接触した場合に、床梁2の振動を早期に減衰させることが可能となる。
【0038】
この制振床構造において、床梁の振動を減衰する機構は、床梁2の端部の上部だけを胴差しに固定する支持部材4と、上部だけが固定されることにより下部が回転振動する床梁2の端部に回転振動時に断続的に接触して床梁2との間に摩擦を生じる規制部材5とを有している。これら支持部材4および規制部材5は、基本的に各床梁2の端部毎に、木製の胴差し1に接合されるので、例えば、床梁2の略全長に渡るような部材を必要とするような場合に比較して、施工性がよい。また、規制部材5および支持部材4は、床梁2に比較して小さな部材であり、クレーン等を使用して吊り上げるような部材がないので、制振機構のコストを低く抑えることができるとともに、取り扱いや施工が容易となる。
【0039】
また、リフォーム時にも簡単にこの制振床構造を既存の建築物に応用することができる。すなわち、木製の構造体に床梁が接合されている床構造を有する場合に、木製の構造体である胴差しから床梁を取り外す。
次に、支持部材4を用いて床梁を接合しなおし、規制部材5を胴差し1に取り付ければよい。
なお、支持部材4、規制部材5は、前述のアングル状の金物に限定されず、例えば、規制部材5としては、材質は金属でも木質でもよいし、またその形状も塊状(この場合例えば孔を設けておき、これを利用して胴差しに1にねじ止め等で取り付ける)等であってもよい。
【0040】
なお、前記実施の形態では、床梁2の最下端部の下フランジ22の左右に規制部材5の規制部52を近接して配置するようにしたが、図8に示すように、規制部材5の規制部52が配置される高さ位置は、上述のように回転振動する部分であればよく、下フランジ22により少し上となるウェブ23の下端部の高さ位置で、ウェブ23に近接して規制部52を配置するようにしてもよい。この場合も、ウェブ23の下端部が回転振動した際に規制部52に接触して摩擦が生じることにより、床梁2の振動を早期に減衰することができる。
【0041】
また、規制部材5の床梁2に対する高さ位置は、基本的に床梁2の下端から支持部材4が固定される部分までの範囲内であればよいが、支持部材4に固定される部分の高さ位置に近すぎると、回転振動が不十分であり、十分な振動の減衰機能を得られない虞があるので、規制部材5は、床梁2の支持部材4に固定される部分から下側に離れていることが好ましい。
【0042】
また、前記実施の形態では、支持部材4(床梁接合部41)は、床梁2の最上端部としての上フランジ21を胴差し1に固定するようにしたが、図9に示すように、床梁2のウェブ23の上端部を支持部材4の床梁接合部41(図9において記号として図示)により固定するようにしてもよい。なお、この際には、上フランジ21を胴差し1に固定しないようにしてもよいが、強度上固定することが好ましい。なお、床梁2の下部において、振動の減衰に必要な十分な摩擦力を発生可能な回転振動を得るためには、床梁2の上下高さの上から1/3の高さ位置より上側で、支持部材4により床梁2が胴差し1に接合されることが好ましい。
【0043】
また、前記実施の形態では、支持部材4と規制部材5とを別部材としたが、支持部材4と規制部材5とを一体に形成してもよい。例えば、図10に示すように、一つの振動抑制部材7に、床梁2(上フランジ21の下面)に接合される床梁接合部41と、胴差し1の側面に固定される木材接合部42(取付部51)と、床梁2が回転振動した際に床梁2の下端部と断続的に接触する規制部52とを備えるようにしてもよい。
【0044】
振動抑制部材7は、床梁接合部41と規制部52とを有する矩形枠状の枠部71を備え、この枠部71の上部にスリット72が設けられて床梁2のウェブ23が挿入された状態となっている。また、枠部71の上辺の部分のスリット72の左右の部分が床梁接合部41とされ、上フランジ21の下面に接合されている。
また、枠部71の左右の辺の下部の部分が、床梁2の下フランジ22の側縁に近接して対向した状態となっており、この部分が規制部52となる。
また、枠部71の左右の辺にはそれぞれ、ボルト73により胴差し1の側面に固定される木材接合部42が設けられている。
【0045】
このように、支持部材4と規制部材5とを一体の振動抑制部材7とすることにより、振動抑制部材7を胴差し1に取り付けることで、支持部材4と規制部材5とを同時に取り付けた状態となり、作業が簡略化される。また、支持部材4に対して規制部材5が位置合わせされていることになるので、支持部材4を床梁2に接合した際に床梁2と規制部材5が位置決めされたのと同じ状態となる。したがって、実質的に規制部材5を床梁2に対して位置決めする作業が簡略化されることになる。したがって、支持部材4と規制部財5を一体とすることにより、施工性を向上することができる。また、部材点数が減少することから部材の管理が容易となる。
【0046】
なお、床梁2としては、例えば、上述のH形鋼以外に、溝形鋼や角形鋼管等を用いることが可能であり、中実の木製梁を用いることも可能である。また、H形鋼や溝形鋼は、上下を繋ぐ部分が一枚の板で形成されていることから、ねじり剛性が小さく回転振動しやすい部材であり、規制部材5を用いた振動の減衰に適している。それに対して、角形鋼管や木製梁はねじり剛性が高く、回転振動し難いが、回転振動の振幅が皆無なわけではないので、回転振動時に角形鋼管や木製梁を規制部材5に断続的に接触させることで、振動の減衰効果を期待することができる。また、規制部材5を床梁2の端部の左右にそれぞれ設けるのではなく、左右のうちの一方にだけ設けてもよい。
【実施例】
【0047】
以下、本発明の実施例を説明する。
本実施例は、図1から図4に示す制振床構造と同様の構造を有する制振床構造とし、互いに平行な一対の胴差し1(木製梁)をそれぞれ架台8上に設置し、これら胴差し1間に互いに等間隔で平行に3本の床梁2を架け渡し、床梁2の両端部をそれぞれ、図3および図4に示すように、支持部材4を用いて胴差し1に固定した。また、胴差し1の側面の床梁2の下フランジ22の左右に規制部材5を接合した。規制部材5の規制部52と、下フランジ22の側縁との間隔は、0.2mm〜0.5mmの範囲内となるようにした。
【0048】
また、胴差し1および床梁2の上に床合板3を設置し、胴差し1および床梁2に接合した。
このような試験用の制振床構造に対して、図11に示すように、床の中央部に油粘土を自由落下させて床を加振させ、床の加振された部分の直下の床梁2の応答変形量と応答加速度を測定した。
また、比較例1として、本実施例と同様の床構造を製作した。但し、比較例1においては、規制部材5の規制部52と、下フランジ22の側縁との間隔を0とした。すなわち、規制部52と下フランジ22の側縁とを接触させ、床梁2の下部を拘束した。
【0049】
また、比較例2として、本実施例と同様の制振床構造を製作した。但し、比較例2においては、規制部材5を設けずに、床梁2の下部が自由に回転振動できるようにした。
比較例1および比較例2においても、実施例と同様に床を加振して、応答変形量と応答加速度を測定した。
【0050】
図12から図17は、振動試験結果を示すグラフであって、図12は、比較例1の時間経過に伴う鉛直方向の応答変形量の変化を示すグラフであり、図13は、比較例1の時間経過に伴う鉛直方向の応答加速度の変化を示すグラフであり、図14は、比較例2の時間経過に伴う鉛直方向の応答変形量の変化を示すグラフであり、図15は、比較例2の時間経過に伴う鉛直方向の応答加速度の変化を示すグラフであり、図16は、実施例の時間経過に伴う鉛直方向の応答変形量の変化を示すグラフであり、図17は、実施例の時間経過に伴う鉛直方向の応答加速度の変化を示すグラフである。
【0051】
図12および図13に示すように、規制部材5を床梁2の下フランジ22に接触させて床梁2の端部を拘束した状態の比較例1では、応答変形量および応答加速度ともに、時間経過に伴い減衰していくが、時間経過に伴い振幅が大きくなる傾向の部分があり、完全に振幅が減衰するまで時間がかる状態となっている。図14および図15に示すように、規制部材5を設けない比較例2では、比較例1より加振直後の応答変形量および応答加速度の振幅が大きくなっている。また、比較例1と同様に、時間経過に伴い振幅が大きくなる傾向の部分があり、完全に振幅が減衰するまで時間がかる状態となっている。
これら比較例1および比較例2に対して本実施例では、比較例1や比較例2で見られた時間経過に伴って振幅が大きくなる傾向が見られず、時間経過に伴って円滑に応答変形量、応答加速度共に減衰し、比較例1および比較例2に比較して明らかに振動が早期に減衰している。
また、グラフに示されるのは、いずれも鉛直方向の応答変形量および応答加速度であり、この実施例の制振床構造が鉛直方向の振動を抑制していることがわかる。
【符号の説明】
【0052】
1 胴差し(木製構造体)
2 床梁
3 床合板(床材)
4 支持部材
5 規制部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床材を支持する床梁の両端部が木製構造体に支持されている制振床構造であって、
前記木製構造体と前記床梁の端部の上部とに固定され、前記床梁の端部を前記木製構造体に支持させる支持部材と、
前記木製構造体の前記床梁の端部が支持される部分の左右のうちの少なくとも一方側に設けられた規制部材とを備え、
前記規制部材は、前記床梁との間に、この床梁が振動した際に断続的に接触し、振動が停止した際に離間する隙間をあけて配置されているとともに、前記床梁の下端から前記床梁の前記支持部材が固定されている高さ位置までの高さ範囲内に配置されていることを特徴とする制振床構造。
【請求項2】
前記規制部材の高さ位置が前記床梁の下端部と同じとされていることを特徴とする請求項1に記載の制振床構造。
【請求項3】
前記支持部材は、前記床梁の高さ範囲の上から1/3の部位より上側に固定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の制振床構造。
【請求項4】
前記支持部材と前記規制部材とが一体に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の制振床構造。
【請求項1】
床材を支持する床梁の両端部が木製構造体に支持されている制振床構造であって、
前記木製構造体と前記床梁の端部の上部とに固定され、前記床梁の端部を前記木製構造体に支持させる支持部材と、
前記木製構造体の前記床梁の端部が支持される部分の左右のうちの少なくとも一方側に設けられた規制部材とを備え、
前記規制部材は、前記床梁との間に、この床梁が振動した際に断続的に接触し、振動が停止した際に離間する隙間をあけて配置されているとともに、前記床梁の下端から前記床梁の前記支持部材が固定されている高さ位置までの高さ範囲内に配置されていることを特徴とする制振床構造。
【請求項2】
前記規制部材の高さ位置が前記床梁の下端部と同じとされていることを特徴とする請求項1に記載の制振床構造。
【請求項3】
前記支持部材は、前記床梁の高さ範囲の上から1/3の部位より上側に固定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の制振床構造。
【請求項4】
前記支持部材と前記規制部材とが一体に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の制振床構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−256594(P2011−256594A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131830(P2010−131830)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【Fターム(参考)】
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