制震ダンパー及びその取付構造
【課題】木造建築物であってもガタなく取付可能で、施工性に優れる制震ダンパー及びその取付構造とを提供する。
【解決手段】制震ダンパー6において、外管7及び内管8の端部に、軸方向に突出する雄ねじ部16,21を夫々設け、雄ねじ部16にブレース体25の一端を接続して、ブレース体25の他端に雄ねじ部31を設けて、軸組1における制震ダンパー6の取付部位に、雄ねじ部16,31が交差状に貫通する連結板36を備えたホールダウン金物35を夫々固定して、連結板36に雄ねじ部16,31を貫通させた状態で連結板36を挟んで雄ねじ部16,31に螺合させたナット38,41を緊締することで、雄ねじ部16,31を夫々ホールダウン金物35を介して軸組1に固定するようにした。
【解決手段】制震ダンパー6において、外管7及び内管8の端部に、軸方向に突出する雄ねじ部16,21を夫々設け、雄ねじ部16にブレース体25の一端を接続して、ブレース体25の他端に雄ねじ部31を設けて、軸組1における制震ダンパー6の取付部位に、雄ねじ部16,31が交差状に貫通する連結板36を備えたホールダウン金物35を夫々固定して、連結板36に雄ねじ部16,31を貫通させた状態で連結板36を挟んで雄ねじ部16,31に螺合させたナット38,41を緊締することで、雄ねじ部16,31を夫々ホールダウン金物35を介して軸組1に固定するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造建築物の軸組内に、地震等の外力による震動を減衰させるために用いられる制震ダンパーと、その制震ダンパーを軸組内に取り付けるための取付構造とに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建築物においては、柱と横架材とから形成される軸組内に、粘弾性体を利用した制震ダンパーをブレース状に架設して、加振時の粘弾性体の剪断変形により震動エネルギーの吸収を図る制震構造がよく用いられる。この制震ダンパーには、例えば特許文献1に示すように、一端を固定端とする外管の内側に、反対側の端部を固定端とする内管を挿入し、外管と内管との間に粘弾性体を介在させて両管の対向面間に接着した構造が知られている。
また、この制震ダンパーを軸組へ取り付けるための構造としては、例えば特許文献2に示すように、ブレース本体の端部をダンパーの端部とを夫々軸組の仕口部に固着されたガセットプレートにピン接合したり、特許文献3に示すように、軸組を構成する形鋼の仕口部に溶接されたブラケットと、ダンパー側のブラケットとを、接続プレートを介してボルト及びナットによって摩擦接合したりする構造が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−279695号公報
【特許文献2】特開2003−49556号公報
【特許文献3】特開平10−37515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献2のようなピン接合では、ピンの孔の位置を精度良く合わせるのは難しく、高精度の加工が必要となってコストアップに繋がる。一方、特許文献3のようにブラケットの固定に溶接を利用する構造は、木造に採用できない上、摩擦接合では特殊な工具が必要となって接合面の摩擦係数管理や高力ボルトのトルク管理等煩雑な管理も強いられる。
さらに、木造建築物では、設計寸法と実際の建上げ寸法との間に誤差が生じやすいため、ガタが生じて充分な制震効果が得られないおそれがある。加えて、通常のブレースよりも重量が大きい制震ダンパーを支えながらその両端を軸組内に組み込む作業となるため、現場での労力も大きく、施工性が悪くなっている。
【0005】
そこで、本発明は、木造建築物であってもガタなく取付が可能で、適正な制震効果が得られるのは勿論、現場での煩雑な管理が不要で設置も容易に行え、施工性に優れる制震ダンパー及びその取付構造とを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、外管と、その外管に同軸で部分的に遊挿される内管と、両管の重合部間にあって両管との対向面が夫々接着される粘弾性体とからなり、木造建築物の軸組内へブレース状に架設されて、軸組の変形に伴う外管と内管との相反する軸方向への動作により、粘弾性体を剪断変形させて減衰作用を生じさせる制震ダンパーであって、ダンパー軸方向の両端となる外管及び内管の端部に、軸方向のねじ部を夫々設け、ねじ部を利用して軸組内に取付可能としたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、ねじ部を簡単に形成可能とするために、外管及び/又は内管を、軸方向を断面とする一対の半割金具を組み付けてなるものとして、ねじ部を、半割金具の端部間でボルトの頭部側を抜け止め状態で挟持させることで形成したことを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、ねじ部を簡単に形成可能とするために、ねじ部を、外管及び/又は内管の端部をボルトの頭部側を挿入した状態でかしめることで形成したことを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1の構成において、ねじ部を簡単に得るために、ねじ部を、外管及び/又は内管の端部に一体形成したことを特徴とするものである。
【0007】
上記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の制震ダンパーを、柱と横架材とで形成される木造建築物の軸組内へブレース状に架設するための制震ダンパーの取付構造であって、軸組における制震ダンパーの取付部位に、ねじ部が交差状に貫通する連結板を備えた接合金具を夫々固定して、連結板にねじ部を貫通させた状態で連結板を挟んでねじ部に螺合させたナットを緊締することで、ねじ部を夫々接合金具を介して軸組に固定することを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項5の構成において、合理的な構成で制震ダンパーとブレース体とを適正なテンションで架設可能とするために、制震ダンパーの一端側のねじ部を逆ねじとして、当該ねじ部に螺合する逆ねじナットを有するブレース体を延長上に接続し、ブレース体における制震ダンパーとの接続側と反対側の端部に、軸方向に突出するねじ部を設けて、制震ダンパーの他端側のねじ部とブレース体のねじ部とを夫々軸組の接合金具に固定することを特徴とするものである。
なお、本発明において、「ねじ部」とは、雄ねじで形成される雄ねじ部と、雌ねじで形成される雌ねじ部との双方を含む。
【発明の効果】
【0008】
請求項1及び5に記載の発明によれば、軸方向のねじ部を利用して制震ダンパーを軸組内へ取付可能としたことで、木造建築物であってもガタなく取付が可能となり、安定した入力も得られて適正な制震効果が得られる。而も、現場での煩雑な管理や特殊な工具が不要で、スパナ等の一般工具で取り付けできるため、少ない作業者でも設置が容易に行え、施工性に優れる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、制震ダンパーの製造工程においてねじ部を簡単に形成でき、工程の合理化が図られる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加えて、ボルトのかしめによってねじ部が簡単に形成可能となる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、外管及び内管の端部をそのままねじ部に利用できるので、ねじ部が簡単に得られる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項5の効果に加えて、ブレース体をターンバックルとして兼用できる合理的な構成となり、制震ダンパーとブレース体とを適正なテンションで架設可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[形態1]
図1は、木造建築物において、本発明の制震ダンパーを取り付けた軸組の一例を示す正面図である。まず軸組1は、図示しない基礎上に固定される土台2と、その土台2上に立設される柱3,3と、柱3,3の上端間で水平に架設される梁4とを有する。5は、柱3,3の間に立設される間柱である。
制震ダンパー6は、上側のブレース体25と同一直線状に接続されて、ブレース体25側の端部が、右側の柱3の上端と梁4との仕口部に、制震ダンパー6側の端部が、左側の柱3の下端と土台2との仕口部に夫々接合されて、軸組1のフレーム面内でブレース状に架設されている。この制震ダンパー6は、図2に示すように、横断面長円形状の外管7と、その外管7より一回り小さい横断面長円形状で、外管7に一端側から同軸で部分的に遊挿される内管8と、両管の重合部分で両管間の全面に介在されて両管との対向面が接着される粘弾性体(ここではスチレン系、図2の斜線部分)9とを有する。
【0010】
外管7は、長軸を断面として分割した一対の半割金具10,10の開放側を向かい合わせにして、長手方向の全長に亘って延設されたフランジ11,11同士をボルト12,12・・及びナットで接合したもので、各半割金具10における取付側の端部には、図3にも示すように、外管7の中心側に半円状の切欠き14を形成した取付板13が、当該端部を塞ぐように溶接されている。取付板13,13の間には、頭部を外管7の内部に位置させたボルト15が、切欠き14,14によって形成される透孔を貫通した状態で挟持されて、雄ねじ部16に平座金17及びばね座金18を介してナット19をねじ込むことで、雄ねじ部16を外管7の端部に同軸で突出させている。但しこの雄ねじ部16は左ねじで形成されており、ナット19も左ねじ用となっている。
【0011】
一方、内管8における取付側の端部においては、図4にも示すように、ボルト20の頭部を内管8の内部に挿入した状態で当該端部を短軸方向でプレスして、ボルト20をかしめ固定し、突出した雄ねじ部21に平座金22及びばね座金23を介してナット24をねじ込むことで、雄ねじ部21を内管8の端部に同軸で固定している。
なお、この制震ダンパー6の製造方法は、ボルト20をかしめて固定した内管8へ粘弾性体9のシートを巻き付け、これを半割金具10,10で挟んでプレスによって加圧成型するものとなる。このプレスの際に各半割金具10の取付板13,13間にボルト15をセットして一緒に挟み込めばよい。プレス終了後にナット19をねじ込めば制震ダンパー6が完成する。
【0012】
そして、ブレース体25は円筒状を呈し、図5に示すように、一方の端部に、制震ダンパー6の外管7側の雄ねじ部16が螺合可能な逆ねじナット26を抱持しており、この螺合状態で平座金27及びばね座金28を介して左ねじ用のナット29をブレース体25側にねじ込むことで、制震ダンパー6との接続が可能となっている。さらに、ブレース体25の他方の端部では、図6に示すように、制震ダンパー6の内管8と同様に、ボルト30の頭部側を内部に位置させた状態で当該端部をプレスして頭部をかしめ固定して、雄ねじ部31に平座金32及びばね座金33を介してナット34をねじ込むことで、雄ねじ部31をブレース体25の端部に同軸で突出させている。
【0013】
次に、制震ダンパー6及びブレース体25を軸組1内へ架設するための取付構造を説明する。
まず、土台2と柱3との仕口部では、図7,8に示すように、接合金具となるL字状のホールダウン金物35が土台2と柱3とに跨ってビス止めされており、そのホールダウン金物35には、制震ダンパー6の内管8側の雄ねじ部21が貫通可能なU字状の貫通溝37が形成された連結板36が、フレーム面の厚み方向に所定間隔をおいて並設された一対の補強板36a,36aによって支持された状態で設けられている。よって、雄ねじ部21を貫通溝37に貫通させた状態で、連結板36の上下で雄ねじ部21に螺合させた一対のナット38,38を、夫々平座金39及びばね座金40を介して連結板36側へねじ込むことで、雄ねじ部21をホールダウン金物35へ接続できる。
【0014】
同様に、柱3と梁4の仕口部でも、図6に示すように、連結板36を有するホールダウン金物35が柱3と梁4とに跨ってビス止めされていることから、ブレース体25側の雄ねじ部31を貫通溝37に貫通させた状態で、連結板36の上下で雄ねじ部31に螺合させた一対のナット41,41を夫々平座金42及びばね座金43を介して連結板36側へねじ込むことで、雄ねじ部31をホールダウン金物35へ接続できる。
なお、ホールダウン金物35は、間柱5との干渉を考慮して、図8に示すように、軸組1のフレーム面厚み方向で背面側へずれた位置で固定されていることから、制震ダンパー6及びブレース体25も当該側へずれた状態で架設されることになる。間柱5の中間部には、制震ダンパー6及びブレース体25との干渉を回避するための図示しない切欠きが設けられている。
【0015】
ここで、制震ダンパー6とブレース体25とは左ねじの雄ねじ部16及び逆ねじナット26によって接続されているため、ナット29及び,柱3と梁4との仕口部における下側のナット41をねじ込まずに制震ダンパー6とブレース体25とを仮に架設し、上側のナット41を回転止めした状態で、ブレース体25を、雄ねじ部31をナット41へねじ込むように上方へ向かって右方向へ回転させると、逆ねじナット26の回転によって雄ねじ部16が引っ張られる格好となるため、制震ダンパー6も上方へ引張される。つまり、ブレース体25がターンバックルとして機能し、制震ダンパー6及びブレース体25に適正なテンションが加わった状態となる。この状態でナット29,41を夫々緊締すればよい。
【0016】
こうして制震ダンパー6及びブレース体25が架設された軸組1においては、地震等によって水平な外力が反復して加わり、軸組1のフレーム面が変形すると、制震ダンパー6には軸方向に圧縮力と引張力とが交互に作用して、外管7と内管8とが相反する軸方向へ動作する。この動作によって粘弾性体9を剪断変形させて減衰作用を生じさせることになる。この場合、制震ダンパー6へは夫々雄ねじ部16及び21を介して軸方向への入力がなされるため、荷重入力軸の偏心が抑えられ、安定した入力で粘弾性体9を剪断変形させることができ、効果的な減衰作用が得られる。
【0017】
このように、上記形態1の制震ダンパー6及びその取付構造によれば、木造建築物であってもガタなく取付が可能となり、安定した入力も得られて適正な制震効果が得られる。而も、現場での煩雑な管理や特殊な工具が不要で、スパナ等の一般工具で取り付けできるため、少ない作業者でも設置が容易に行え、施工性に優れる。
特に、外管7を、軸方向を断面とする一対の半割金具10,10を組み付けてなるものとして、雄ねじ部16を、半割金具10,10の端部間でボルト15の頭部側を抜け止め状態で挟持させることで形成しているので、制震ダンパー6の製造工程において雄ねじ部16を簡単に形成でき、工程の合理化が図られる。また、内管8においても、雄ねじ部21を、内管8の端部をボルト20の頭部側を挿入した状態でかしめることで形成しているので、雄ねじ部21が簡単に形成可能となっている。
【0018】
そしてここでは、制震ダンパー6の雄ねじ部16を逆ねじとして、当該雄ねじ部16に螺合する逆ねじナット26を有するブレース体25を延長上に接続し、ブレース体25における制震ダンパー6との接続側と反対側の端部に、軸方向に突出する雄ねじ部31を設けて、制震ダンパー6の他端側の雄ねじ部21とブレース体25の雄ねじ部31とを夫々軸組1内のホールダウン金物35に固定したことで、ブレース体25をターンバックルとして兼用できる合理的な構成となり、制震ダンパー6とブレース体25とを適正なテンションで架設可能となる。
【0019】
[形態2]
次に、本発明の他の形態を説明する。なお、形態1と同じ構成部には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
図9に示す軸組1aにおいては、3本の柱3の間に左右一対のフレーム面が形成されており、各フレーム面内に、制震ダンパー6aとブレース体25aとが左右対称となるブレース状に架設されている。なお、制震ダンパー6aとブレース体25aとは左右とも同一構造であるため、夫々の一方のみについて説明する。
まずブレース体25aは、両端が閉塞される筒状体で、その両端においては、頭部を中にしたボルト44,44を、夫々雄ねじ部45が端部の閉塞板を貫通するように設け、雄ねじ部45に夫々ナット46をねじ込むことで、両端に同軸の雄ねじ部45,45を夫々突出形成している。
【0020】
また、制震ダンパー6とブレース体25aとの間には、ターンバックル47が介在されている。このターンバックル47は、操作胴部48の上下端に夫々ナット49,50を固着した構造で、下側のナット50は、制震ダンパー6aの左ねじの雄ねじ部16が螺合する左ねじ用となっている。
そして、ここで用いられる制震ダンパー6aは、図10に示すように横断面が正方形状で、外管7は、図11に示す如く、横断面がコ字状となる一対の半割金具10,10の接合となっている。また、内管8におけるボルト20の固定は、かしめによるものではなく、図12に示すように、ブレース体25aと同様に頭部を中にしたボルト20を内管8の端部を閉塞する閉塞板51を貫通させて、突出した雄ねじ部21にナット24をねじ込む構成となっている。それ以外の構成は先の形態1と同様である。
【0021】
この制震ダンパー6a及びブレース体25aを軸組1a内に架設する際にも、形態1と同様に上下の仕口部に夫々設けたホールダウン金物35が使用される。よって、取付手順は同様となるが、ここでは制震ダンパー6aとブレース体25aとの間にターンバックル47が介在されているため、制震ダンパー6aの雄ねじ部21とブレース体25aの雄ねじ部45とを夫々ホールダウン金物35に固定した後、ターンバックル47を、雄ねじ部45に対して上側のナット49がねじ込まれるように上方へ向かって右方向へ回転させると、逆ねじとなる下側のナット50の回転によって雄ねじ部16が引っ張られる格好となるため、制震ダンパー6aも上方へ引張される。よって、制震ダンパー6a及びブレース体25aに適正なテンションが加わった状態となる。
【0022】
このように、上記形態2の制震ダンパー6a及びその取付構造においても、木造建築物であってもガタなく取付が可能となり、安定した入力も得られて適正な制震効果が得られる。而も、現場での煩雑な管理や特殊な工具が不要で、スパナ等の一般工具で取り付けできるため、少ない作業者でも設置が容易に行え、施工性に優れる。
ここでも、ターンバックル47の採用により、制震ダンパー6a及びブレース体25aを適正なテンションが加わった状態で架設可能となっているが、特に、制震ダンパー6aとブレース体25aとの中央にターンバックル47が配置されているので、上側のブレース体25をターンバックルとして操作する形態1と比べて調整作業が楽に行える。
【0023】
[形態3]
図13に示す軸組1bにおいて、まずブレース体52は、単体の鋼管からなり、一端に、スエージング加工で小径化してその外面に雄ねじ部53を、他端に、バルジ加工で大径化してその内面に左ねじとなる雌ねじ部54を夫々形成したものとなっている。
一方、制震ダンパー6bは、図14に示すように、外管7及び内管8は共に横断面円形状で、外管7側の端部に形成される雄ねじ部16は、形態1と同様に別体のボルト15を組み付けて形成した構造となっているが、内管8側の端部においては、ブレース体52と同様にスエージング加工で小径化してその外面に雄ねじ部55を形成した一体構造となっている。
【0024】
この制震ダンパー6b及びブレース体52を軸組1b内に架設する際の手順は、柱3と梁4との仕口部において、ブレース体52の雄ねじ部53の上下にナット41,41を螺合させ、両ナット41,41の間にホールダウン金物35の連結板36を係合させて、下側のナット41をねじ込まずに制震ダンパー6bとブレース体52とを仮に架設し、上側のナット41を回転止めした状態で、ブレース体52を、雄ねじ部53を当該ナット41へねじ込むように上方へ向かって右方向へ回転させる。すると、雌ネジ部54の回転によって上側の雄ねじ部15が引っ張られる格好となるため、制震ダンパー6bも上方へ引張され、制震ダンパー6b及びブレース体52に適正なテンションが加わった状態となる。この状態で下側のナット41を緊締すればよい。
【0025】
このように、上記形態3の制震ダンパー6b及びその取付構造においても、木造建築物であってもガタなく取付が可能となり、安定した入力も得られて適正な制震効果が得られる。而も、現場での煩雑な管理や特殊な工具が不要で、スパナ等の一般工具で取り付けできるため、少ない作業者でも設置が容易に行え、施工性に優れる。また、ブレース体52をターンバックルとして兼用することにより、制震ダンパー6b及びブレース体52を適正なテンションが加わった状態で架設可能となる。
特にここでは、ブレース体52に雄ねじ部53と雌ねじ部54とを、内管8に雄ねじ部55を夫々一体形成しているので、部品点数や加工の手間が少なくなり、形態1,2に比べてコスト面で有利となる。
【0026】
[形態4]
図15に示す軸組1cにおいては、ブレース体52の構成は形態3と同様であるが、制震ダンパー6cでは、ねじ部の形成にボルトを利用せず、図16にも示すように、直方体である基端部58の一端に雄ねじ部59を突設したねじブロック56,57を利用している。すなわち、ねじブロック56,57の基端部58を夫々外管7及び内管8の端部に同軸で挿入した状態で当該端部を短軸方向でプレスして一体化し、ボルト60及びナット61で摩擦接合することで、軸方向に突出する雄ねじ部59,59を夫々形成したものである。但し、外管7側のねじブロック56の雄ねじ部59は、ブレース体52の雌ねじ部54に合わせて左ねじとなっている。
この制震ダンパー6c及びブレース体52を軸組1c内に架設する際の手順は、先の形態3と同様で、ブレース体52の雌ねじ部54に制震ダンパー6cの雄ねじ部59が螺合される点のみが異なる。
【0027】
このように、上記形態4の制震ダンパー6c及びその取付構造においても、木造建築物であってもガタなく取付が可能となり、適正な制震効果が得られて施工性にも優れ、制震ダンパー6c及びブレース体52を適正なテンションが加わった状態で架設可能となるという、形態3と同様の効果が得られる。
特にここでは、ねじブロック56,57を摩擦接合して制震ダンパー6cに雄ねじ部59を形成しているので、別体構造であっても比較的容易に雄ねじ部59が得られる利点がある。
【0028】
[形態5,6]
上記形態1〜4では、制震ダンパーに設けるねじ部は雄ねじ部となっているが、雌ねじ部であっても同様に採用できる。
図17に示す形態5の軸組1dでは、内管8側のねじ部を雌ねじ部とした制震ダンパー6dを用いている。この制震ダンパー6dでは、内管8の端部をスエージング加工で小径化してその内面に雌ねじ部62を形成して、土台2と柱3との仕口部でホールダウン金物35に螺着されたボルト63に螺合させる構造となっている。ブレース体52をターンバックルとして利用する形態は同じである。
また、図18に示す形態6の軸組1eでは、外管7側のねじ部も雌ねじ部とした制震ダンパー6eを用いている。この制震ダンパー6eでは、外管7の端部をスエージング加工で小径化してその内面に雌ねじ部64を形成している。一方、ブレース体52aでは、下端側にもスエージング加工で小径化してその外面に雄ねじ部65を形成して、制震ダンパー6eの雌ねじ部64に螺合させている。ここでは雌ねじ部64及び雄ねじ部65が夫々左ねじとなっている。
【0029】
このように、上記形態5,6によれば、制震ダンパーの一端又は両端が雌ねじ部であっても、木造建築物に対してガタなく取付が可能となり、安定した入力も得られて適正な制震効果が得られる。而も、現場での煩雑な管理や特殊な工具が不要で、スパナ等の一般工具で取り付けできるため、少ない作業者でも設置が容易に行え、施工性に優れるという、先の形態と同様の効果を得ることができる。
【0030】
なお、制震ダンパーの架設形態は上記形態1〜6に限らず、例えば制震ダンパーを上側、ブレース体を下側に配置したり、制震ダンパーの両端にブレース体を配置したり等、適宜設計変更可能である。また、ブレース体を省略して、例えば図19に示す軸組1fのように、左側の柱3の中間部位に、ホールダウン金物35と同様の連結板67を有する接合金具66,66を設けて、右側の柱3の上下の仕口部に設けたホールダウン金物35と接合金具66との間に夫々制震ダンパー6を上下軸対称となるように架設させるいわゆるKブレース状とすることもできる。但し、この場合は同図のように接合金具66,66間に所定の距離を確保して、柱3の中央部に集中して負荷が加わらないようにするのが望ましい。
【0031】
一方、各形態に共通して、制震ダンパーは、横断面長円形や正方形、円形の管体に限らず、楕円や多角形等の他の断面形状の管体を使用しても差し支えない。また、外管は一対の半割金具同士をリベット接合や溶接によって形成してもよいし、内管のように一つの管体で形成しても良い。逆に内管を一対の半割金具の接合によって形成することもできる。
加えて、上記形態では、外管において半割金具の端部でボルトを挟持し、内管においてボルトをかしめることで夫々雄ねじ部を形成しているが、外管においてもボルトのかしめを採用したり、内管において半割金具の挟持を採用したりすることも可能である。また、これらの構造に限らず、ボルトや雄ねじ部を直接溶接したりしてもよいし、雄ねじ部は一本に限らず、複数本設けることもできる。
その他、本発明は、土台と梁とが横架材となる一階の軸組に限らず、上下の梁が横架材となる二階以上の軸組においても採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】形態1の軸組の正面図である。
【図2】制震ダンパーの説明図で、(A)が平面、(B)が正面、(C)がA−A断面、(D)がB矢視を夫々示す。
【図3】外管の半割金具の説明図で、(A)が平面、(B)が正面、(C)がC矢視、(D)がD矢視を夫々示す。
【図4】内管の説明図で、(A)が平面及び右側面、(B)が正面、(C)がE矢視を夫々示す。
【図5】制震ダンパーとブレース体との接続部分の説明図である。
【図6】ブレース体と軸組との接続部分の説明図である。
【図7】制震ダンパーと軸組との接続部分の説明図である。
【図8】ホールダウン金物の説明図で、(A)が柱側を見た側面、(B)が土台側を見た平面を夫々示す。
【図9】形態2の軸組の正面図である。
【図10】制震ダンパーの説明図で、(A)が正面、(B)が平面、(C)がF−F断面、(D)がG矢視を夫々示す。
【図11】外管の半割金具の説明図で、(A)が正面、(B)が平面、(C)がH−H断面、(D)がI矢視を夫々示す。
【図12】内管の説明図で、(A)が正面、(B)がJ矢視を夫々示す。
【図13】形態3の軸組の正面図である。
【図14】制震ダンパーの説明図で、(A)が平面、(B)が正面、(C)がK矢視、(D)がL矢視を夫々示す。
【図15】形態4の軸組の正面図である。
【図16】制震ダンパーの説明図で、(A)が正面、(B)がM矢視、(C)がN矢視を夫々示す。
【図17】形態5の軸組の正面図である。
【図18】形態6の軸組の正面図である。
【図19】制震ダンパーの架設態様の変更例を示す軸組の正面図である。
【符号の説明】
【0033】
1,1a〜1f・・軸組、2・・土台、3・・柱、4・・梁、6,6a〜6e・・制震ダンパー、7・・外管、8・・内管、9・・粘弾性体、10・・半割金具、12,15,20,30,44・・ボルト、16,21,31,45,53,55,59,65・・雄ねじ部、25,25a,25b,52,52a・・ブレース体、35・・ホールダウン金物、36・・連結板、47・・ターンバックル、54,62,64・・雌ねじ部、56,57・・ねじブロック、66・・接合金具。
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造建築物の軸組内に、地震等の外力による震動を減衰させるために用いられる制震ダンパーと、その制震ダンパーを軸組内に取り付けるための取付構造とに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建築物においては、柱と横架材とから形成される軸組内に、粘弾性体を利用した制震ダンパーをブレース状に架設して、加振時の粘弾性体の剪断変形により震動エネルギーの吸収を図る制震構造がよく用いられる。この制震ダンパーには、例えば特許文献1に示すように、一端を固定端とする外管の内側に、反対側の端部を固定端とする内管を挿入し、外管と内管との間に粘弾性体を介在させて両管の対向面間に接着した構造が知られている。
また、この制震ダンパーを軸組へ取り付けるための構造としては、例えば特許文献2に示すように、ブレース本体の端部をダンパーの端部とを夫々軸組の仕口部に固着されたガセットプレートにピン接合したり、特許文献3に示すように、軸組を構成する形鋼の仕口部に溶接されたブラケットと、ダンパー側のブラケットとを、接続プレートを介してボルト及びナットによって摩擦接合したりする構造が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−279695号公報
【特許文献2】特開2003−49556号公報
【特許文献3】特開平10−37515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献2のようなピン接合では、ピンの孔の位置を精度良く合わせるのは難しく、高精度の加工が必要となってコストアップに繋がる。一方、特許文献3のようにブラケットの固定に溶接を利用する構造は、木造に採用できない上、摩擦接合では特殊な工具が必要となって接合面の摩擦係数管理や高力ボルトのトルク管理等煩雑な管理も強いられる。
さらに、木造建築物では、設計寸法と実際の建上げ寸法との間に誤差が生じやすいため、ガタが生じて充分な制震効果が得られないおそれがある。加えて、通常のブレースよりも重量が大きい制震ダンパーを支えながらその両端を軸組内に組み込む作業となるため、現場での労力も大きく、施工性が悪くなっている。
【0005】
そこで、本発明は、木造建築物であってもガタなく取付が可能で、適正な制震効果が得られるのは勿論、現場での煩雑な管理が不要で設置も容易に行え、施工性に優れる制震ダンパー及びその取付構造とを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、外管と、その外管に同軸で部分的に遊挿される内管と、両管の重合部間にあって両管との対向面が夫々接着される粘弾性体とからなり、木造建築物の軸組内へブレース状に架設されて、軸組の変形に伴う外管と内管との相反する軸方向への動作により、粘弾性体を剪断変形させて減衰作用を生じさせる制震ダンパーであって、ダンパー軸方向の両端となる外管及び内管の端部に、軸方向のねじ部を夫々設け、ねじ部を利用して軸組内に取付可能としたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、ねじ部を簡単に形成可能とするために、外管及び/又は内管を、軸方向を断面とする一対の半割金具を組み付けてなるものとして、ねじ部を、半割金具の端部間でボルトの頭部側を抜け止め状態で挟持させることで形成したことを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、ねじ部を簡単に形成可能とするために、ねじ部を、外管及び/又は内管の端部をボルトの頭部側を挿入した状態でかしめることで形成したことを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1の構成において、ねじ部を簡単に得るために、ねじ部を、外管及び/又は内管の端部に一体形成したことを特徴とするものである。
【0007】
上記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の制震ダンパーを、柱と横架材とで形成される木造建築物の軸組内へブレース状に架設するための制震ダンパーの取付構造であって、軸組における制震ダンパーの取付部位に、ねじ部が交差状に貫通する連結板を備えた接合金具を夫々固定して、連結板にねじ部を貫通させた状態で連結板を挟んでねじ部に螺合させたナットを緊締することで、ねじ部を夫々接合金具を介して軸組に固定することを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項5の構成において、合理的な構成で制震ダンパーとブレース体とを適正なテンションで架設可能とするために、制震ダンパーの一端側のねじ部を逆ねじとして、当該ねじ部に螺合する逆ねじナットを有するブレース体を延長上に接続し、ブレース体における制震ダンパーとの接続側と反対側の端部に、軸方向に突出するねじ部を設けて、制震ダンパーの他端側のねじ部とブレース体のねじ部とを夫々軸組の接合金具に固定することを特徴とするものである。
なお、本発明において、「ねじ部」とは、雄ねじで形成される雄ねじ部と、雌ねじで形成される雌ねじ部との双方を含む。
【発明の効果】
【0008】
請求項1及び5に記載の発明によれば、軸方向のねじ部を利用して制震ダンパーを軸組内へ取付可能としたことで、木造建築物であってもガタなく取付が可能となり、安定した入力も得られて適正な制震効果が得られる。而も、現場での煩雑な管理や特殊な工具が不要で、スパナ等の一般工具で取り付けできるため、少ない作業者でも設置が容易に行え、施工性に優れる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、制震ダンパーの製造工程においてねじ部を簡単に形成でき、工程の合理化が図られる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加えて、ボルトのかしめによってねじ部が簡単に形成可能となる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、外管及び内管の端部をそのままねじ部に利用できるので、ねじ部が簡単に得られる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項5の効果に加えて、ブレース体をターンバックルとして兼用できる合理的な構成となり、制震ダンパーとブレース体とを適正なテンションで架設可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[形態1]
図1は、木造建築物において、本発明の制震ダンパーを取り付けた軸組の一例を示す正面図である。まず軸組1は、図示しない基礎上に固定される土台2と、その土台2上に立設される柱3,3と、柱3,3の上端間で水平に架設される梁4とを有する。5は、柱3,3の間に立設される間柱である。
制震ダンパー6は、上側のブレース体25と同一直線状に接続されて、ブレース体25側の端部が、右側の柱3の上端と梁4との仕口部に、制震ダンパー6側の端部が、左側の柱3の下端と土台2との仕口部に夫々接合されて、軸組1のフレーム面内でブレース状に架設されている。この制震ダンパー6は、図2に示すように、横断面長円形状の外管7と、その外管7より一回り小さい横断面長円形状で、外管7に一端側から同軸で部分的に遊挿される内管8と、両管の重合部分で両管間の全面に介在されて両管との対向面が接着される粘弾性体(ここではスチレン系、図2の斜線部分)9とを有する。
【0010】
外管7は、長軸を断面として分割した一対の半割金具10,10の開放側を向かい合わせにして、長手方向の全長に亘って延設されたフランジ11,11同士をボルト12,12・・及びナットで接合したもので、各半割金具10における取付側の端部には、図3にも示すように、外管7の中心側に半円状の切欠き14を形成した取付板13が、当該端部を塞ぐように溶接されている。取付板13,13の間には、頭部を外管7の内部に位置させたボルト15が、切欠き14,14によって形成される透孔を貫通した状態で挟持されて、雄ねじ部16に平座金17及びばね座金18を介してナット19をねじ込むことで、雄ねじ部16を外管7の端部に同軸で突出させている。但しこの雄ねじ部16は左ねじで形成されており、ナット19も左ねじ用となっている。
【0011】
一方、内管8における取付側の端部においては、図4にも示すように、ボルト20の頭部を内管8の内部に挿入した状態で当該端部を短軸方向でプレスして、ボルト20をかしめ固定し、突出した雄ねじ部21に平座金22及びばね座金23を介してナット24をねじ込むことで、雄ねじ部21を内管8の端部に同軸で固定している。
なお、この制震ダンパー6の製造方法は、ボルト20をかしめて固定した内管8へ粘弾性体9のシートを巻き付け、これを半割金具10,10で挟んでプレスによって加圧成型するものとなる。このプレスの際に各半割金具10の取付板13,13間にボルト15をセットして一緒に挟み込めばよい。プレス終了後にナット19をねじ込めば制震ダンパー6が完成する。
【0012】
そして、ブレース体25は円筒状を呈し、図5に示すように、一方の端部に、制震ダンパー6の外管7側の雄ねじ部16が螺合可能な逆ねじナット26を抱持しており、この螺合状態で平座金27及びばね座金28を介して左ねじ用のナット29をブレース体25側にねじ込むことで、制震ダンパー6との接続が可能となっている。さらに、ブレース体25の他方の端部では、図6に示すように、制震ダンパー6の内管8と同様に、ボルト30の頭部側を内部に位置させた状態で当該端部をプレスして頭部をかしめ固定して、雄ねじ部31に平座金32及びばね座金33を介してナット34をねじ込むことで、雄ねじ部31をブレース体25の端部に同軸で突出させている。
【0013】
次に、制震ダンパー6及びブレース体25を軸組1内へ架設するための取付構造を説明する。
まず、土台2と柱3との仕口部では、図7,8に示すように、接合金具となるL字状のホールダウン金物35が土台2と柱3とに跨ってビス止めされており、そのホールダウン金物35には、制震ダンパー6の内管8側の雄ねじ部21が貫通可能なU字状の貫通溝37が形成された連結板36が、フレーム面の厚み方向に所定間隔をおいて並設された一対の補強板36a,36aによって支持された状態で設けられている。よって、雄ねじ部21を貫通溝37に貫通させた状態で、連結板36の上下で雄ねじ部21に螺合させた一対のナット38,38を、夫々平座金39及びばね座金40を介して連結板36側へねじ込むことで、雄ねじ部21をホールダウン金物35へ接続できる。
【0014】
同様に、柱3と梁4の仕口部でも、図6に示すように、連結板36を有するホールダウン金物35が柱3と梁4とに跨ってビス止めされていることから、ブレース体25側の雄ねじ部31を貫通溝37に貫通させた状態で、連結板36の上下で雄ねじ部31に螺合させた一対のナット41,41を夫々平座金42及びばね座金43を介して連結板36側へねじ込むことで、雄ねじ部31をホールダウン金物35へ接続できる。
なお、ホールダウン金物35は、間柱5との干渉を考慮して、図8に示すように、軸組1のフレーム面厚み方向で背面側へずれた位置で固定されていることから、制震ダンパー6及びブレース体25も当該側へずれた状態で架設されることになる。間柱5の中間部には、制震ダンパー6及びブレース体25との干渉を回避するための図示しない切欠きが設けられている。
【0015】
ここで、制震ダンパー6とブレース体25とは左ねじの雄ねじ部16及び逆ねじナット26によって接続されているため、ナット29及び,柱3と梁4との仕口部における下側のナット41をねじ込まずに制震ダンパー6とブレース体25とを仮に架設し、上側のナット41を回転止めした状態で、ブレース体25を、雄ねじ部31をナット41へねじ込むように上方へ向かって右方向へ回転させると、逆ねじナット26の回転によって雄ねじ部16が引っ張られる格好となるため、制震ダンパー6も上方へ引張される。つまり、ブレース体25がターンバックルとして機能し、制震ダンパー6及びブレース体25に適正なテンションが加わった状態となる。この状態でナット29,41を夫々緊締すればよい。
【0016】
こうして制震ダンパー6及びブレース体25が架設された軸組1においては、地震等によって水平な外力が反復して加わり、軸組1のフレーム面が変形すると、制震ダンパー6には軸方向に圧縮力と引張力とが交互に作用して、外管7と内管8とが相反する軸方向へ動作する。この動作によって粘弾性体9を剪断変形させて減衰作用を生じさせることになる。この場合、制震ダンパー6へは夫々雄ねじ部16及び21を介して軸方向への入力がなされるため、荷重入力軸の偏心が抑えられ、安定した入力で粘弾性体9を剪断変形させることができ、効果的な減衰作用が得られる。
【0017】
このように、上記形態1の制震ダンパー6及びその取付構造によれば、木造建築物であってもガタなく取付が可能となり、安定した入力も得られて適正な制震効果が得られる。而も、現場での煩雑な管理や特殊な工具が不要で、スパナ等の一般工具で取り付けできるため、少ない作業者でも設置が容易に行え、施工性に優れる。
特に、外管7を、軸方向を断面とする一対の半割金具10,10を組み付けてなるものとして、雄ねじ部16を、半割金具10,10の端部間でボルト15の頭部側を抜け止め状態で挟持させることで形成しているので、制震ダンパー6の製造工程において雄ねじ部16を簡単に形成でき、工程の合理化が図られる。また、内管8においても、雄ねじ部21を、内管8の端部をボルト20の頭部側を挿入した状態でかしめることで形成しているので、雄ねじ部21が簡単に形成可能となっている。
【0018】
そしてここでは、制震ダンパー6の雄ねじ部16を逆ねじとして、当該雄ねじ部16に螺合する逆ねじナット26を有するブレース体25を延長上に接続し、ブレース体25における制震ダンパー6との接続側と反対側の端部に、軸方向に突出する雄ねじ部31を設けて、制震ダンパー6の他端側の雄ねじ部21とブレース体25の雄ねじ部31とを夫々軸組1内のホールダウン金物35に固定したことで、ブレース体25をターンバックルとして兼用できる合理的な構成となり、制震ダンパー6とブレース体25とを適正なテンションで架設可能となる。
【0019】
[形態2]
次に、本発明の他の形態を説明する。なお、形態1と同じ構成部には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
図9に示す軸組1aにおいては、3本の柱3の間に左右一対のフレーム面が形成されており、各フレーム面内に、制震ダンパー6aとブレース体25aとが左右対称となるブレース状に架設されている。なお、制震ダンパー6aとブレース体25aとは左右とも同一構造であるため、夫々の一方のみについて説明する。
まずブレース体25aは、両端が閉塞される筒状体で、その両端においては、頭部を中にしたボルト44,44を、夫々雄ねじ部45が端部の閉塞板を貫通するように設け、雄ねじ部45に夫々ナット46をねじ込むことで、両端に同軸の雄ねじ部45,45を夫々突出形成している。
【0020】
また、制震ダンパー6とブレース体25aとの間には、ターンバックル47が介在されている。このターンバックル47は、操作胴部48の上下端に夫々ナット49,50を固着した構造で、下側のナット50は、制震ダンパー6aの左ねじの雄ねじ部16が螺合する左ねじ用となっている。
そして、ここで用いられる制震ダンパー6aは、図10に示すように横断面が正方形状で、外管7は、図11に示す如く、横断面がコ字状となる一対の半割金具10,10の接合となっている。また、内管8におけるボルト20の固定は、かしめによるものではなく、図12に示すように、ブレース体25aと同様に頭部を中にしたボルト20を内管8の端部を閉塞する閉塞板51を貫通させて、突出した雄ねじ部21にナット24をねじ込む構成となっている。それ以外の構成は先の形態1と同様である。
【0021】
この制震ダンパー6a及びブレース体25aを軸組1a内に架設する際にも、形態1と同様に上下の仕口部に夫々設けたホールダウン金物35が使用される。よって、取付手順は同様となるが、ここでは制震ダンパー6aとブレース体25aとの間にターンバックル47が介在されているため、制震ダンパー6aの雄ねじ部21とブレース体25aの雄ねじ部45とを夫々ホールダウン金物35に固定した後、ターンバックル47を、雄ねじ部45に対して上側のナット49がねじ込まれるように上方へ向かって右方向へ回転させると、逆ねじとなる下側のナット50の回転によって雄ねじ部16が引っ張られる格好となるため、制震ダンパー6aも上方へ引張される。よって、制震ダンパー6a及びブレース体25aに適正なテンションが加わった状態となる。
【0022】
このように、上記形態2の制震ダンパー6a及びその取付構造においても、木造建築物であってもガタなく取付が可能となり、安定した入力も得られて適正な制震効果が得られる。而も、現場での煩雑な管理や特殊な工具が不要で、スパナ等の一般工具で取り付けできるため、少ない作業者でも設置が容易に行え、施工性に優れる。
ここでも、ターンバックル47の採用により、制震ダンパー6a及びブレース体25aを適正なテンションが加わった状態で架設可能となっているが、特に、制震ダンパー6aとブレース体25aとの中央にターンバックル47が配置されているので、上側のブレース体25をターンバックルとして操作する形態1と比べて調整作業が楽に行える。
【0023】
[形態3]
図13に示す軸組1bにおいて、まずブレース体52は、単体の鋼管からなり、一端に、スエージング加工で小径化してその外面に雄ねじ部53を、他端に、バルジ加工で大径化してその内面に左ねじとなる雌ねじ部54を夫々形成したものとなっている。
一方、制震ダンパー6bは、図14に示すように、外管7及び内管8は共に横断面円形状で、外管7側の端部に形成される雄ねじ部16は、形態1と同様に別体のボルト15を組み付けて形成した構造となっているが、内管8側の端部においては、ブレース体52と同様にスエージング加工で小径化してその外面に雄ねじ部55を形成した一体構造となっている。
【0024】
この制震ダンパー6b及びブレース体52を軸組1b内に架設する際の手順は、柱3と梁4との仕口部において、ブレース体52の雄ねじ部53の上下にナット41,41を螺合させ、両ナット41,41の間にホールダウン金物35の連結板36を係合させて、下側のナット41をねじ込まずに制震ダンパー6bとブレース体52とを仮に架設し、上側のナット41を回転止めした状態で、ブレース体52を、雄ねじ部53を当該ナット41へねじ込むように上方へ向かって右方向へ回転させる。すると、雌ネジ部54の回転によって上側の雄ねじ部15が引っ張られる格好となるため、制震ダンパー6bも上方へ引張され、制震ダンパー6b及びブレース体52に適正なテンションが加わった状態となる。この状態で下側のナット41を緊締すればよい。
【0025】
このように、上記形態3の制震ダンパー6b及びその取付構造においても、木造建築物であってもガタなく取付が可能となり、安定した入力も得られて適正な制震効果が得られる。而も、現場での煩雑な管理や特殊な工具が不要で、スパナ等の一般工具で取り付けできるため、少ない作業者でも設置が容易に行え、施工性に優れる。また、ブレース体52をターンバックルとして兼用することにより、制震ダンパー6b及びブレース体52を適正なテンションが加わった状態で架設可能となる。
特にここでは、ブレース体52に雄ねじ部53と雌ねじ部54とを、内管8に雄ねじ部55を夫々一体形成しているので、部品点数や加工の手間が少なくなり、形態1,2に比べてコスト面で有利となる。
【0026】
[形態4]
図15に示す軸組1cにおいては、ブレース体52の構成は形態3と同様であるが、制震ダンパー6cでは、ねじ部の形成にボルトを利用せず、図16にも示すように、直方体である基端部58の一端に雄ねじ部59を突設したねじブロック56,57を利用している。すなわち、ねじブロック56,57の基端部58を夫々外管7及び内管8の端部に同軸で挿入した状態で当該端部を短軸方向でプレスして一体化し、ボルト60及びナット61で摩擦接合することで、軸方向に突出する雄ねじ部59,59を夫々形成したものである。但し、外管7側のねじブロック56の雄ねじ部59は、ブレース体52の雌ねじ部54に合わせて左ねじとなっている。
この制震ダンパー6c及びブレース体52を軸組1c内に架設する際の手順は、先の形態3と同様で、ブレース体52の雌ねじ部54に制震ダンパー6cの雄ねじ部59が螺合される点のみが異なる。
【0027】
このように、上記形態4の制震ダンパー6c及びその取付構造においても、木造建築物であってもガタなく取付が可能となり、適正な制震効果が得られて施工性にも優れ、制震ダンパー6c及びブレース体52を適正なテンションが加わった状態で架設可能となるという、形態3と同様の効果が得られる。
特にここでは、ねじブロック56,57を摩擦接合して制震ダンパー6cに雄ねじ部59を形成しているので、別体構造であっても比較的容易に雄ねじ部59が得られる利点がある。
【0028】
[形態5,6]
上記形態1〜4では、制震ダンパーに設けるねじ部は雄ねじ部となっているが、雌ねじ部であっても同様に採用できる。
図17に示す形態5の軸組1dでは、内管8側のねじ部を雌ねじ部とした制震ダンパー6dを用いている。この制震ダンパー6dでは、内管8の端部をスエージング加工で小径化してその内面に雌ねじ部62を形成して、土台2と柱3との仕口部でホールダウン金物35に螺着されたボルト63に螺合させる構造となっている。ブレース体52をターンバックルとして利用する形態は同じである。
また、図18に示す形態6の軸組1eでは、外管7側のねじ部も雌ねじ部とした制震ダンパー6eを用いている。この制震ダンパー6eでは、外管7の端部をスエージング加工で小径化してその内面に雌ねじ部64を形成している。一方、ブレース体52aでは、下端側にもスエージング加工で小径化してその外面に雄ねじ部65を形成して、制震ダンパー6eの雌ねじ部64に螺合させている。ここでは雌ねじ部64及び雄ねじ部65が夫々左ねじとなっている。
【0029】
このように、上記形態5,6によれば、制震ダンパーの一端又は両端が雌ねじ部であっても、木造建築物に対してガタなく取付が可能となり、安定した入力も得られて適正な制震効果が得られる。而も、現場での煩雑な管理や特殊な工具が不要で、スパナ等の一般工具で取り付けできるため、少ない作業者でも設置が容易に行え、施工性に優れるという、先の形態と同様の効果を得ることができる。
【0030】
なお、制震ダンパーの架設形態は上記形態1〜6に限らず、例えば制震ダンパーを上側、ブレース体を下側に配置したり、制震ダンパーの両端にブレース体を配置したり等、適宜設計変更可能である。また、ブレース体を省略して、例えば図19に示す軸組1fのように、左側の柱3の中間部位に、ホールダウン金物35と同様の連結板67を有する接合金具66,66を設けて、右側の柱3の上下の仕口部に設けたホールダウン金物35と接合金具66との間に夫々制震ダンパー6を上下軸対称となるように架設させるいわゆるKブレース状とすることもできる。但し、この場合は同図のように接合金具66,66間に所定の距離を確保して、柱3の中央部に集中して負荷が加わらないようにするのが望ましい。
【0031】
一方、各形態に共通して、制震ダンパーは、横断面長円形や正方形、円形の管体に限らず、楕円や多角形等の他の断面形状の管体を使用しても差し支えない。また、外管は一対の半割金具同士をリベット接合や溶接によって形成してもよいし、内管のように一つの管体で形成しても良い。逆に内管を一対の半割金具の接合によって形成することもできる。
加えて、上記形態では、外管において半割金具の端部でボルトを挟持し、内管においてボルトをかしめることで夫々雄ねじ部を形成しているが、外管においてもボルトのかしめを採用したり、内管において半割金具の挟持を採用したりすることも可能である。また、これらの構造に限らず、ボルトや雄ねじ部を直接溶接したりしてもよいし、雄ねじ部は一本に限らず、複数本設けることもできる。
その他、本発明は、土台と梁とが横架材となる一階の軸組に限らず、上下の梁が横架材となる二階以上の軸組においても採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】形態1の軸組の正面図である。
【図2】制震ダンパーの説明図で、(A)が平面、(B)が正面、(C)がA−A断面、(D)がB矢視を夫々示す。
【図3】外管の半割金具の説明図で、(A)が平面、(B)が正面、(C)がC矢視、(D)がD矢視を夫々示す。
【図4】内管の説明図で、(A)が平面及び右側面、(B)が正面、(C)がE矢視を夫々示す。
【図5】制震ダンパーとブレース体との接続部分の説明図である。
【図6】ブレース体と軸組との接続部分の説明図である。
【図7】制震ダンパーと軸組との接続部分の説明図である。
【図8】ホールダウン金物の説明図で、(A)が柱側を見た側面、(B)が土台側を見た平面を夫々示す。
【図9】形態2の軸組の正面図である。
【図10】制震ダンパーの説明図で、(A)が正面、(B)が平面、(C)がF−F断面、(D)がG矢視を夫々示す。
【図11】外管の半割金具の説明図で、(A)が正面、(B)が平面、(C)がH−H断面、(D)がI矢視を夫々示す。
【図12】内管の説明図で、(A)が正面、(B)がJ矢視を夫々示す。
【図13】形態3の軸組の正面図である。
【図14】制震ダンパーの説明図で、(A)が平面、(B)が正面、(C)がK矢視、(D)がL矢視を夫々示す。
【図15】形態4の軸組の正面図である。
【図16】制震ダンパーの説明図で、(A)が正面、(B)がM矢視、(C)がN矢視を夫々示す。
【図17】形態5の軸組の正面図である。
【図18】形態6の軸組の正面図である。
【図19】制震ダンパーの架設態様の変更例を示す軸組の正面図である。
【符号の説明】
【0033】
1,1a〜1f・・軸組、2・・土台、3・・柱、4・・梁、6,6a〜6e・・制震ダンパー、7・・外管、8・・内管、9・・粘弾性体、10・・半割金具、12,15,20,30,44・・ボルト、16,21,31,45,53,55,59,65・・雄ねじ部、25,25a,25b,52,52a・・ブレース体、35・・ホールダウン金物、36・・連結板、47・・ターンバックル、54,62,64・・雌ねじ部、56,57・・ねじブロック、66・・接合金具。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外管と、その外管に同軸で部分的に遊挿される内管と、両管の重合部間にあって前記両管との対向面が夫々接着される粘弾性体とからなり、木造建築物の軸組内へブレース状に架設されて、前記軸組の変形に伴う前記外管と内管との相反する軸方向への動作により、前記粘弾性体を剪断変形させて減衰作用を生じさせる制震ダンパーであって、
ダンパー軸方向の両端となる前記外管及び内管の端部に、軸方向のねじ部を夫々設け、前記ねじ部を利用して前記軸組内に取付可能としたことを特徴とする制震ダンパー。
【請求項2】
前記外管及び/又は内管を、軸方向を断面とする一対の半割金具を組み付けてなるものとして、前記ねじ部を、前記半割金具の端部間でボルトの頭部側を抜け止め状態で挟持させることで形成したことを特徴とする請求項1に記載の制震ダンパー。
【請求項3】
前記ねじ部を、前記外管及び/又は内管の端部をボルトの頭部側を挿入した状態でかしめることで形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の制震ダンパー。
【請求項4】
前記ねじ部を、前記外管及び/又は内管の端部に一体形成したことを特徴とする請求項1に記載の制震ダンパー。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の制震ダンパーを、柱と横架材とで形成される木造建築物の軸組内へブレース状に架設するための制震ダンパーの取付構造であって、
前記軸組における前記制震ダンパーの取付部位に、前記ねじ部が交差状に貫通する連結板を備えた接合金具を夫々固定して、
前記連結板に前記ねじ部を貫通させた状態で前記連結板を挟んで前記ねじ部に螺合させたナットを緊締することで、前記ねじ部を夫々前記接合金具を介して前記軸組に固定することを特徴とする制震ダンパーの取付構造。
【請求項6】
前記制震ダンパーの一端側のねじ部を逆ねじとして、当該ねじ部に螺合する逆ねじナットを有するブレース体を延長上に接続し、前記ブレース体における前記制震ダンパーとの接続側と反対側の端部に、軸方向に突出するねじ部を設けて、前記制震ダンパーの他端側のねじ部と前記ブレース体のねじ部とを夫々前記軸組の接合金具に固定することを特徴とする請求項5に記載の制震ダンパーの取付構造。
【請求項1】
外管と、その外管に同軸で部分的に遊挿される内管と、両管の重合部間にあって前記両管との対向面が夫々接着される粘弾性体とからなり、木造建築物の軸組内へブレース状に架設されて、前記軸組の変形に伴う前記外管と内管との相反する軸方向への動作により、前記粘弾性体を剪断変形させて減衰作用を生じさせる制震ダンパーであって、
ダンパー軸方向の両端となる前記外管及び内管の端部に、軸方向のねじ部を夫々設け、前記ねじ部を利用して前記軸組内に取付可能としたことを特徴とする制震ダンパー。
【請求項2】
前記外管及び/又は内管を、軸方向を断面とする一対の半割金具を組み付けてなるものとして、前記ねじ部を、前記半割金具の端部間でボルトの頭部側を抜け止め状態で挟持させることで形成したことを特徴とする請求項1に記載の制震ダンパー。
【請求項3】
前記ねじ部を、前記外管及び/又は内管の端部をボルトの頭部側を挿入した状態でかしめることで形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の制震ダンパー。
【請求項4】
前記ねじ部を、前記外管及び/又は内管の端部に一体形成したことを特徴とする請求項1に記載の制震ダンパー。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の制震ダンパーを、柱と横架材とで形成される木造建築物の軸組内へブレース状に架設するための制震ダンパーの取付構造であって、
前記軸組における前記制震ダンパーの取付部位に、前記ねじ部が交差状に貫通する連結板を備えた接合金具を夫々固定して、
前記連結板に前記ねじ部を貫通させた状態で前記連結板を挟んで前記ねじ部に螺合させたナットを緊締することで、前記ねじ部を夫々前記接合金具を介して前記軸組に固定することを特徴とする制震ダンパーの取付構造。
【請求項6】
前記制震ダンパーの一端側のねじ部を逆ねじとして、当該ねじ部に螺合する逆ねじナットを有するブレース体を延長上に接続し、前記ブレース体における前記制震ダンパーとの接続側と反対側の端部に、軸方向に突出するねじ部を設けて、前記制震ダンパーの他端側のねじ部と前記ブレース体のねじ部とを夫々前記軸組の接合金具に固定することを特徴とする請求項5に記載の制震ダンパーの取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−228276(P2009−228276A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−74016(P2008−74016)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]