説明

刺激付与装置及び車両用シート

【課題】シート表面からの磁気の発生が望ましくない場合や不必要な場合には磁気の発生を抑制する。
【解決手段】刺激付与装置10では、刺激付与部材22に複数の磁束通路部36A,36Bが備えられており、この磁束通路部36A,36Bに形成された収容部38には、回動磁石32が回動可能に収容されている。そして、N極32Aが磁束通路部36Aと対向しS極32Bが磁束通路部36Bと対向する位置に回動磁石32が回動されたときには、着座者Pに対して刺激付与部材22から磁気Mが付与される。一方、N極32AとS極32Bとが一対の磁束通路部36A,36Bを跨ぐ位置に回動磁石32が回動されたときには、シート表面からの磁気Mの発生(つまり磁気Mの漏洩)が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刺激付与装置及び車両用シートに係り、特に車両用シートの着座者に対して磁気及び押圧力を刺激として付与する刺激付与装置及び車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用シートの着座者に対して磁気を刺激として付与する刺激付与装置としては、次のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。例えば、特許文献1には、磁気治療機能付きシートカバーの例が開示されている。この特許文献1に記載の例において、シートカバーは、複数の磁石体が裏面に装着された構成とされている。
【特許文献1】特開2002−65412号公報
【特許文献2】特開2004−105669号公報
【特許文献3】実開昭62−139728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の例では、シートカバーの表面に磁石体からの磁気が常に発生した状態となっている。このため、例えば、磁気を必要としない着座者に対して磁気を付与してしまったり、シートカバーの表面に金属等の不要物が付着したりする虞がある。従って、シート表面からの磁気の発生が望ましくない場合や不必要な場合には磁気の発生を抑制できることが望まれる。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、シート表面からの磁気の発生が望ましくない場合や不必要な場合には磁気の発生を抑制することができる刺激付与装置及び車両用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の刺激付与装置は、車両用シートを構成するシートバック及びシートクッションの少なくとも一方の着座者側に配置されるシート表皮材と、前記シート表皮材の少なくとも延在方向に並んで配置された複数の強磁性体からなる磁束通路部を有すると共に、前記シート表皮材に対する前記着座者側と反対側に配置され、且つ、前記着座者と接離方向に移動可能とされた刺激付与部材と、前記刺激付与部材を前記着座者側に押圧するための押圧手段と、前記刺激付与部材と一体移動可能とされると共に前記複数の磁束通路部に隣接した位置に回動可能に設けられ、且つ、回動方向に異なる磁極が交互に並んだ構成とされて、前記異なる磁極間の磁束が前記複数の磁束通路部のうち異なる磁束通路部を介して前記シート表皮材に対する前記着座者側を通過する磁気放出位置と、前記異なる磁極間の磁束が前記複数の磁束通路部のうち単一の磁束通路部を通過する磁気放出抑制位置と、に切替可能な回動磁石と、前記回動磁石を回動させて前記磁気放出位置と前記磁気放出抑制位置とに切り替えるための切替手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の刺激付与装置では、切替手段によって回動磁石が磁気放出位置に回動されたときには、回動磁石における異なる磁極間の磁束が複数の磁束通路部のうち異なる磁束通路部を介してシート表皮材に対する着座者側を通過する。また、このときには、押圧手段によって刺激付与部材が着座者側に押圧される。従って、着座者に対して刺激付与部材から磁気及び押圧力が付与され、着座者に対してマッサージ効果が提供される。
【0007】
一方、切替手段によって回動磁石が磁気放出抑制位置に回動されたときには、回動磁石における異なる磁極間の磁束が複数の磁束通路部のうち単一の磁束通路部を通過する。従って、シート表面からの磁気の発生(つまり磁気の漏洩)が抑制される。
【0008】
このように、請求項1に記載の刺激付与装置によれば、シート表面からの磁気の発生が望ましくない場合や不必要な場合には、切替手段によって回動磁石を磁気放出抑制位置に回動させることで、シート表面からの磁気の発生を抑制することができる。
【0009】
請求項2に記載の刺激付与装置は、請求項1に記載の刺激付与装置において、前記押圧手段は、前記刺激付与部材に一体移動可能に設けられた第一磁石体と、前記第一磁石体に対する前記着座者側と反対側に前記第一磁石体と前記刺激付与部材の接離方向に対向して配置され、前記第一磁石体に対して前記着座者側に反発力を作用させる第二磁石体と、を有して構成されている、ことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の刺激付与装置によれば、第一磁石体と第二磁石体との反発力によって、刺激付与部材に対して着座者側に押圧力を付与することができる。
【0011】
また、刺激付与部材に対して着座者から繰り返し荷重が作用した場合でも、押圧手段として第一磁石体及び第二磁石体が用いられているので、例えばバネ等の弾性部材が用いられた場合に比して、刺激付与部材への押圧力の低下を抑制することができ、耐久性を向上することができる。
【0012】
請求項3に記載の刺激付与装置は、請求項2に記載の刺激付与装置において、前記第一磁石体は、永久磁石により構成され、前記第一磁石体を内部に収容し且つ前記第二磁石体側に開口を有する有底筒状の強磁性体により構成されたカバー部材を備えた、ことを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の刺激付与装置によれば、永久磁石からなる第一磁石体が強磁性体からなるカバー部材に収容されているので、第一磁石体の磁束がカバー部材内を通過する。これにより、第一磁石体から第二磁石体への磁気が増加されて第一磁石体と第二磁石体との反発力を増加させることができると共に、第一磁石体から車両用シートの外方への磁気の漏洩を抑制することができる。
【0014】
請求項4に記載の刺激付与装置は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の刺激付与装置において、前記刺激付与部材と前記押圧手段との間には、前記押圧手段に対する前記刺激付与部材の取付姿勢を変更可能とするヒンジ手段が介在されている、ことを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の刺激付与装置によれば、押圧手段に対する刺激付与部材の取付姿勢を変更することができ、これにより、着座者への磁気の付与方向を変更することができる。
【0016】
請求項5に記載の刺激付与装置は、請求項1に記載の刺激付与装置において、前記刺激付与部材と前記押圧手段との間には、前記押圧手段に対する前記刺激付与部材の取付姿勢を変更可能とするヒンジ手段が介在され、前記押圧手段は、前記刺激付与部材に一体移動可能に設けられ、前記回動磁石が前記磁気放出位置にあるときに前記複数の磁束通路部の少なくとも一つと反発し前記複数の磁束通路部の残余の少なくとも一つと吸引する第一磁石体と、前記第一磁石体と前記刺激付与部材の接離方向に対向して配置され、前記第一磁石体に対して前記着座者側に反発力を作用させる第二磁石体と、を有して構成されている、ことを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の刺激付与装置によれば、第一磁石体と第二磁石体との反発力によって、刺激付与部材に対して着座者側に押圧力を付与することができる。
【0018】
また、刺激付与部材に対して着座者から繰り返し荷重が作用した場合でも、押圧手段として第一磁石体及び第二磁石体が用いられているので、例えばバネ等の弾性部材が用いられた場合に比して、刺激付与部材への押圧力の低下を抑制することができ、耐久性を向上させることができる。
【0019】
さらに、切替手段によって回動磁石を磁気放出位置に回動させたときには、複数の磁束通路部の少なくとも一つと第一磁石体が反発し、複数の磁束通路部の残余の少なくとも一つと第一磁石体が吸引する。これにより、押圧手段に対する刺激付与部材の取付姿勢が変更され、着座者への磁気の付与方向を変更することができる。
【0020】
請求項6に記載の刺激付与装置は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の刺激付与装置において、前記押圧手段は、前記刺激付与部材を前記シート表皮材の面直方向に押圧する構成とされ、前記複数の磁束通路部は、前記シート表皮材の延在方向に対して傾斜する境界部によって区画されている、ことを特徴とする。
【0021】
請求項6に記載の刺激付与装置によれば、境界部の傾きを変更することで、刺激付与部材による着座者への押圧力の付与方向に対して刺激付与部材から着座者への磁気の付与方向を異ならせることができる。これにより、車両用シートの形状に合わせて押圧力の付与方向と磁気の付与方向とを自在に設定することができ、刺激付与部材の配置位置の設定の自由度も向上させることができる。
【0022】
請求項7に記載の刺激付与装置は、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の刺激付与装置において、前記刺激付与部材には、前記着座者側に向けて突出する突起部が形成されている、ことを特徴とする。
【0023】
請求項7に記載の刺激付与装置によれば、着座者の背中に突起部によって局所的に押圧力を付与することができ、着座者へのツボ押し効果を増加させることができる。
【0024】
請求項8に記載の刺激付与装置は、請求項1に記載の刺激付与装置において、前記回動磁石は、前記異なる磁極が回動方向に少なくとも四つ並んだ構成とされ、前記押圧手段は、前記刺激付与部材に対する前記着座者側と反対側に前記刺激付与部材と前記刺激付与部材の接離方向に対向して配置されると共に、前記回動磁石が前記磁気放出位置にあるときに前記複数の磁束通路部と反発し前記回動磁石が前記磁気放出抑制位置にあるときに前記複数の磁束通路部と吸引する磁石体とされている、ことを特徴とする。
【0025】
請求項8に記載の刺激付与装置によれば、切替手段によって回動磁石を磁気放出位置に回動させることにより、着座者に対して刺激付与部材から磁気を付与することができると共に、複数の磁束通路部と磁石体とが反発することで着座者に対して刺激付与部材から押圧力を付与することができる。
【0026】
また、切替手段によって回動磁石を磁気放出抑制位置に回動させることにより、シート表面からの磁気の発生(つまり磁気の漏洩)を抑制することができると共に、複数の磁束通路部と磁石体とが吸引することで着座者に対する刺激付与部材からの押圧力の付与を抑制することができる。
【0027】
また、請求項8に記載の刺激付与装置によれば、押圧手段として磁石体を用いれば足りるので、例えば押圧手段として第一磁石体及び第二磁石体を用いる場合に比して構成を簡素化することができる。
【0028】
請求項9に記載の刺激付与装置は、請求項8に記載の刺激付与装置において、前記磁石体に対して前記刺激付与部材を接離可能に支持する支持手段を備えた、ことを特徴とする。
【0029】
請求項9に記載の刺激付与装置によれば、支持手段によって刺激付与部材を磁石体に対して接離可能に支持することができる。
【0030】
請求項10に記載の刺激付与装置は、請求項8又は請求項9に記載の刺激付与装置において、前記磁石体は、永久磁石により構成され、前記磁石体を内部に収容し且つ前記刺激付与部材側に開口を有する有底筒状の強磁性体により構成された収容部材を備えた、ことを特徴とする。
【0031】
請求項10に記載の刺激付与装置によれば、永久磁石からなる磁石体が強磁性体からなる収容部材に収容されているので、磁石体の磁束が収容部材内を通過する。これにより、磁石体から複数の磁束通路部への磁気が増加されて磁石体と複数の磁束通路部との反発力を増加させることができると共に、磁石体から車両用シートの外方への磁気の漏洩を抑制することができる。
【0032】
また、前記課題を解決するために、請求項11に記載の車両用シートは、請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の刺激付与装置を一体に備えたことを特徴とする。
【0033】
請求項11に記載の車両用シートによれば、請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の刺激付与装置を一体に備えているので、シート表面からの磁気の発生が望ましくない場合や不必要な場合には磁気の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0034】
以上詳述したように、本発明によれば、シート表面からの磁気の発生が望ましくない場合や不必要な場合には、切替手段によって回動磁石を磁気放出抑制位置に回動させることで、シート表面からの磁気の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
はじめに、本発明の一実施形態について説明する。
【0036】
図1には、本発明の一実施形態に係る刺激付与装置10が一体に備えられた車両用シート12が斜視図にて示されており、図2には、この車両用シート12における刺激付与装置10が設けられた部分が側面断面図にて示されている。
【0037】
なお、これらの図及び以下に説明する図において示される矢印UP、矢印OUT、矢印FRは、この車両用シート12が備えられた車両の車両上下方向上側、車両幅方向外側、車両前後方向前側をそれぞれ示している。
【0038】
図1に示される車両用シート12は、例えば、乗用自動車等の車両の前席等として用いられるものであり、シートクッション14及びシートバック16を備えて構成されている。シートバック16には、刺激付与装置10が一体に設けられており、この刺激付与装置10は、例えば着座者の肩部及び腰部を支持する部位(例えば、着座者のツボの位置する部位)に埋設された複数の刺激付与ユニット18を有して構成されている。
【0039】
なお、本実施形態では、刺激付与装置10がシートバック16に一体に設けられており、このシートバック16の着座者側に配置されたシート表皮材20及び複数の刺激付与ユニット18により刺激付与装置10が構成されている。
【0040】
各刺激付与ユニット18は、図2に示されるように、刺激付与部材22と、押圧手段としての第一磁石体24及び第二磁石体26と、カバー部材28と、スペーサ30と、回動磁石32と、を有して構成されている。
【0041】
刺激付与部材22は、着座者Pに対して磁気M及び押圧力Fを刺激として付与するためのものであり、シート表皮材20に対する着座者P側と反対側に配置されている。この刺激付与部材22は、クッション材34によって着座者Pと接離方向に移動可能に支持されており、一対の強磁性体(例えば、鉄など)からなる磁束通路部36A,36Bを有して構成されている。
【0042】
一対の磁束通路部36A,36Bは、シート表皮材20の延在方向(つまり、シートバック16の高さ方向)に並んで配置されている。この一対の磁束通路部36A,36Bには、後述する回動磁石32を収容するための収容部38が形成されており、また、この一対の磁束通路部36A,36Bの間には、これらを区画するための非磁性体からなる境界部40が設けられている。
【0043】
第一磁石体24及び第二磁石体26は、刺激付与部材22を着座者P側に押圧する(より具体的には、刺激付与部材22をシート表皮材20の面直方向に押圧する)ためのものであり、それぞれ永久磁石により構成されている。第一磁石体24は、後述するカバー部材28及びスペーサ30を介して刺激付与部材22に一体移動可能に設けられている。
【0044】
一方、第二磁石体26は、第一磁石体24に対する着座者P側と反対側に第一磁石体24と刺激付与部材22の接離方向に対向して配置されており、且つ、シートフレーム42に一体に固定されている。
【0045】
また、この第一磁石体24及び第二磁石体26は、同一極同士(例えば、S極同士)が向かい合う構成とされている。つまり、第一磁石体24は、着座者P側にN極24Aを有すると共に着座者P側と反対側にS極24Bを有する構成とされており、第二磁石体26は、着座者P側と反対側にN極26Aを有すると共に着座者P側にS極26Bを有する構成とされている。
【0046】
カバー部材28は、その内部に第一磁石体24を収容し且つ第二磁石体26側に開口44を有する有底筒状に形成されており、強磁性体により構成されている。このカバー部材28は、スペーサ30を介して刺激付与部材22に一体移動可能に設けられている。
【0047】
回動磁石32は、シートバック16の幅方向に長手状の円柱体により構成されており、シートバック16の幅方向に延びる回動軸46に一体回動可能に固定されている。また、この回動磁石32は、回動方向にN極32AとS極32Bが並んだ構成とされると共に、上述の収容部38に回動可能に収容され、且つ、刺激付与部材22と一体移動可能とされている。
【0048】
また、図3には、本発明の一実施形態に係る刺激付与装置10に備えられた切替手段としての切替機構48が示されている。切替機構48は、各刺激付与ユニット18の回動磁石32を回動させるためのものであり、一対のクランクレバー50,52と、連結ロッド54と、切替レバー56と、を有して構成されている。
【0049】
一方のクランクレバー50は、その一端部がシートバック16の高さ方向上側に配置された回動軸46Aに一体回動可能に固定されており、その他端部が連結ロッド54の長手方向一端部に相対回動可能に連結されている。他方のクランクレバー50は、その一端部がシートバック16の高さ方向下側に配置された回動軸46Bに一体回動可能に固定されており、その他端部が連結ロッド54の長手方向他端部に相対回動可能に連結されている。
【0050】
切替レバー56は、その基端部がシートバック16の高さ方向下側に配置された回動軸46Bに一体回動可能に固定されており、且つ、図1に示されるように、車両用シート12の側部に設けられている。
【0051】
なお、シートバック16の高さ方向上側でシートバック16の幅方向に隣り合う刺激付与ユニット18A,18Cの回動磁石32は、回動軸46Aによって一体回動可能とされており、シートバック16の高さ方向下側でシートバック16の幅方向に隣り合う刺激付与ユニット18B,18Dの回動磁石32は、回動軸46Bによって一体回動可能とされている。
【0052】
そして、この刺激付与装置10では、着座者Pによって切替レバー56が回動されると、一対のクランクレバー50,52及び連結ロッド54の作動を伴って各刺激付与ユニット18の回動磁石32が回動される構成とされている。
【0053】
さらに、各刺激付与ユニット18では、図2(A)に示されるように、N極32Aが磁束通路部36Aと対向しS極32Bが磁束通路部36Bと対向する位置(換言すれば、シートバック16の高さ方向にN極32AとS極32Bが並ぶ位置)に回動磁石32が回動されたときには、N極32AとS極32B間の磁束Mが一対の磁束通路部36A,36Bを介して(つまり、磁束Mが異なる磁束通路部36A,36Bを介して)シート表皮材20に対する着座者P側を通過する構成とされている。
【0054】
また、各刺激付与ユニット18では、図2(B)に示されるように、N極32AとS極32Bとが一対の磁束通路部36A,36Bを跨ぐ位置(換言すれば、シートバック16の厚さ方向にN極32AとS極32Bが並ぶ位置)に回動磁石32が回動されたときには、N極32AとS極32B間の磁束M1,M2が単一の磁束通路部36A,36Bを通過(つまり、磁束M1は磁束通路部36Aを通過し、磁束M2は磁束通路部36Bを通過)する構成とされている。
【0055】
なお、図2(A)に示されるように、N極32Aが磁束通路部36Aと対向しS極32Bが磁束通路部36Bと対向するように回動された回動磁石32の位置が本発明における磁気放出位置に相当し、図2(B)に示されるように、N極32AとS極32Bとが一対の磁束通路部36A,36Bを跨ぐように回動された回動磁石32の位置が本発明における磁気放出抑制位置に相当する。
【0056】
そして、上記構成からなる刺激付与装置10を一体に備えた車両用シート12によれば、以下の特有な効果を奏する。
【0057】
すなわち、本発明の一実施形態に係る車両用シート12では、着座者Pによって切替レバー56が回動されて、図2(A)に示されるように、N極32Aが磁束通路部36Aと対向しS極32Bが磁束通路部36Bと対向する位置に回動磁石32が回動されたときには、N極32AとS極32B間の磁束Mが一対の磁束通路部36A,36Bを介して(つまり、磁束M1が異なる磁束通路部36A,36Bを介して)シート表皮材20に対する着座者P側を通過する。また、このときには、第一磁石体24及び第二磁石体26によって刺激付与部材22が着座者P側に押圧される。従って、着座者Pに対して刺激付与部材22から磁気M及び押圧力Fが付与され、着座者Pに対してマッサージ効果が提供される。
【0058】
しかも、第一磁石体24及び第二磁石体26によって刺激付与部材22が着座者P側に押圧されることで、刺激付与部材22が着座者Pに近接され、これにより、刺激付与部材22から着座者Pへの磁力が増加される。
【0059】
一方、着座者Pによって切替レバー56が回動されて、図2(B)に示されるように、N極32AとS極32Bとが一対の磁束通路部36A,36Bを跨ぐ位置に回動磁石32が回動されたときには、N極32AとS極32B間の磁束M1,M2が単一の磁束通路部36A,36Bを通過(つまり、磁束M1は磁束通路部36Aを通過し、磁束M2は磁束通路部36Bを通過)する。従って、シート表面からの磁気Mの発生(つまり磁気Mの漏洩)が抑制される。
【0060】
このように、本発明の一実施形態に係る車両用シート12によれば、シート表面からの磁気Mの発生が望ましくない場合や不必要な場合には、切替レバー56を回動させて、回動磁石32を図2(B)に示されるように回動させることで、シート表面からの磁気Mの発生を抑制することができる。
【0061】
これにより、例えば、着座者Pが磁気カード等の磁気に弱いものを所持している場合や、着座者Pがペースメーカを装着しているなど磁気に対して禁忌症状がある場合にもかかわらず、着座者Pに対して磁気Mを付与してしまうことを抑制することができる。また、例えば駐車中などのように車両用シート12を使用していない間に、シート表皮材20に不要物(例えば、金属ピン、砂鉄類、クリップなどの金属)が付着してしまうことを抑制することができる。
【0062】
また、本発明の一実施形態に係る車両用シート12によれば、永久磁石からなる第一磁石体24が強磁性体からなるカバー部材28に収容されているので、第一磁石体24の磁束Mがカバー部材28内を通過する(なお、符合Mは第二磁石体26の磁束である)。これにより、第一磁石体24から第二磁石体26への磁気が増加されて第一磁石体24と第二磁石体26との反発力を増加させることができると共に、第一磁石体24から車両用シート12の外方への磁気の漏洩を抑制することができる。
【0063】
また、本発明の一実施形態に係る車両用シート12によれば、刺激付与部材22に対して着座者Pから繰り返し荷重が作用した場合でも、刺激付与部材22を着座者P側に押圧する部材として第一磁石体24及び第二磁石体26が用いられているので、例えばバネ等の弾性部材が用いられた場合に比して、刺激付与部材22への押圧力の低下を抑制することができ、耐久性を向上することができる。
【0064】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【0065】
例えば、上記実施形態において、刺激付与装置10は、シートバック16に一体に設けられていたが、シートクッション14に一体に設けられていても良い。また、刺激付与装置10は、シートクッション14及びシートバック16の両方に一体に設けられていても良い。
【0066】
また、刺激付与装置10がシートクッション14に設けられる場合に、刺激付与ユニット18は、シートクッション14における着座者の例えば大腿部及び臀部を支持する部位にそれぞれ埋設されていても良い。
【0067】
また、上記実施形態では、第一磁石体24及び第二磁石体26によって刺激付与部材22が着座者P側に押圧される構成とされていたが、例えばバネや弾性ゴム等の弾性部材によって刺激付与部材22が着座者P側に押圧される構成とされていても良い。
【0068】
また、上記実施形態において、切替機構48は、一対のクランクレバー50,52と、連結ロッド54と、切替レバー56とを有し、手動により回動磁石32を回動させる構成とされていたが、例えば、モータ、減速機構、切替操作スイッチ等を有し、電動により回動磁石32を回動させる構成とされていても良い。また、切替機構48は、ターンオーバスプリング等の切替操作時の操作力低減構造を備えた構成とされていても良い。
【0069】
また、上記実施形態において、各刺激付与ユニット18は、車両用シート12の平面視(すなわち、シートバック16の高さ方向上側から見た場合)において図2にて示される構成とされていても良い。
【0070】
また、上記実施形態では、第一磁石体24が、着座者P側にN極24Aを有すると共に着座者P側と反対側にS極24Bを有する構成とされ、第二磁石体26が、着座者P側と反対側にN極26Aを有すると共に着座者P側にS極26Bを有する構成とされていたが、第一磁石体24及び第二磁石体26は、次のように構成されていても良い。
【0071】
すなわち、図4に示される変形例のように、第一磁石体24及び第二磁石体26は、円周方向にN極とS極を交互に複数有する構成とされ、且つ、同一極同士(N極同士、S極同士)が向かい合うように配置されていても良い。また、この場合に、第一磁石体24に対する第二磁石体26の円周方向への相対変位を防止しつつ第一磁石体24を第二磁石体26に対してスライド可能に支持するスライド機構58が第一磁石体24及び第二磁石体26に設けられていても良い。
【0072】
また、本発明の一実施形態に係る刺激付与装置10は、次のように構成されていても良い。
【0073】
すなわち、図5に示される変形例では、上述の本発明の一実施形態に係る刺激付与装置10に対して、スペーサ30の代わりにヒンジ手段としてのヒンジ部材60が備えられている。ヒンジ部材60は、例えば、バネ、弾性ゴム等の伸縮部材や自在継手等により構成され、第一磁石体24及び第二磁石体26に対する刺激付与部材22の取付姿勢(シートバック16の高さ方向の向き)を変更可能としている。
【0074】
そして、この変形例では、図5(A)に示されるように、N極32Aが磁束通路部36Aと対向しS極32Bが磁束通路部36Bと対向する位置に回動磁石32が回動されたときには、磁束通路部36Aと第一磁石体24が反発し、磁束通路部36Bと第一磁石体24が吸引する。これにより、第一磁石体24及び第二磁石体26に対する刺激付与部材22の取付姿勢がシートバック16の高さ方向下側に変更され、着座者Pへの磁気Mの付与方向がシートバック16の高さ方向下側に変更される。
【0075】
一方、図5(B)に示されるように、N極32Aが磁束通路部36Bと対向しS極32Bが磁束通路部36Aと対向する位置に回動磁石32が回動されたときには、磁束通路部36Aと第一磁石体24が吸引し、磁束通路部36Bと第一磁石体24が反発する。これにより、第一磁石体24及び第二磁石体26に対する刺激付与部材22の取付姿勢がシートバック16の高さ方向上側に変更され、着座者Pへの磁気Mの付与方向がシートバック16の高さ方向上側に変更される。
【0076】
また、図5(C)に示されるように、N極32AとS極32Bとが一対の磁束通路部36A,36Bを跨ぐ位置に回動磁石32が回動されたときには、N極32AとS極32B間の磁束M1,M2が単一の磁束通路部36A,36Bを通過(つまり、磁束M1は磁束通路部36Aを通過し、磁束M2は磁束通路部36Bを通過)する。従って、シート表面からの磁気Mの発生(つまり磁気Mの漏洩)が抑制される。また、このときには、一対の磁束通路部36A,36Bの全体が第一磁石体24に吸引されるので、第一磁石体24及び第二磁石体26に対する刺激付与部材22の取付姿勢が中立位置に調整される。
【0077】
このように、本変形例によれば、回動磁石32の回動位置に応じて着座者Pに対して磁気Mを付与する状態と磁気Mの付与を抑制する状態とに切り替えることができるだけでなく、回動磁石32の回動位置に応じて着座者Pへの磁気Mの付与方向を変更することができる。
【0078】
また、図6に示される変形例では、上述の本発明の一実施形態に係る刺激付与装置10に対して、次の如く構成が変更されている。
【0079】
すなわち、この変形例において、境界部40は、シートバック16の厚さ方向における着座者P側と反対側に向かうに従ってシートバック16の高さ方向下側に向かうように、シート表皮材20の延在方向(つまり、シートバック16の高さ方向)に対して傾斜する構成とされている。
【0080】
なお、この変形例では、上述の本発明の一実施形態と同様に、図6(A)に示されるように、N極32Aが磁束通路部36Aと対向しS極32Bが磁束通路部36Bと対向する位置に回動磁石32が回動されたときには、着座者Pに対して刺激付与部材22から磁気Mが付与される。一方、図6(B)に示されるように、N極32AとS極32Bとが一対の磁束通路部36A,36Bを跨ぐ位置に回動磁石32が回動されたときには、シート表面からの磁気Mの発生(つまり磁気Mの漏洩)が抑制される。
【0081】
この構成によれば、境界部40の傾きを変更することで、刺激付与部材22による着座者Pへの押圧力Fの付与方向に対して刺激付与部材22から着座者Pへの磁気Mの付与方向を異ならせることができる。これにより、車両用シート12の形状に合わせて押圧力Fの付与方向と磁気Mの付与方向とを自在に設定することができ、刺激付与ユニット18の配置位置の設定の自由度も向上させることができる。
【0082】
なお、この変形例においては、例えば、図7に示されるように、境界部40の着座者側に着座者P側に向けて突出する突起部62が形成されていても良い。
【0083】
この構成によれば、着座者Pの背中に突起部62によって局所的に押圧力を付与することができ、着座者Pへのツボ押し効果を増加させることができる。
【0084】
また、本変形例のように、刺激付与部材22による着座者Pへの押圧力Fの付与方向と、刺激付与部材22から着座者Pへの磁気Mの付与方向とが異なる場合でも、刺激付与部材22から着座者Pへの磁気Mの付与方向を突起部62により外部から判別することができる。
【0085】
なお、突起部62は、境界部40の他に例えば磁束通路部36A,36Bに形成されていても良い。
【0086】
また、図8に示される変形例では、上述の本発明の一実施形態に係る刺激付与装置10に対して、次の如く構成が変更されている。
【0087】
すなわち、この変形例において、刺激付与部材22は、シート表皮材20の延在方向及び面直方向(つまり、シートバック16の高さ方向及び厚さ方向)に並んで配置された複数の磁束通路部36A〜36Dを有する構成とされている。また、回動磁石32は、N極32A,32C及びS極32B,32Dが回動方向に交互に四つ並んだ構成とされている。
【0088】
さらに、上述の第一磁石体24及び第二磁石体26の代わりに、永久磁石により構成された磁石体64が備えられている。磁石体64は、磁束通路部36Cと対向する側にN極64Aを有すると共に磁束通路部36Dと対向する側にS極64Bを有する構成とされている。また、この磁石体64は、収容部材66に収容され、この収容部材66を介してシートフレーム42に一体に固定されている。収容部材66は、刺激付与部材22側に開口68を有する有底筒状に形成されており、強磁性体により構成されている。
【0089】
そして、この変形例では、図8(A)に示されるように、N極32Aが磁束通路部36Aと対向しS極32Bが磁束通路部36Bと対向しN極32Cが磁束通路部36Cと対向しS極32Dが磁束通路部36Dと対向する位置に回動磁石32が回動されたときには、N極32AとS極32B間の磁束Mが一対の磁束通路部36A,36Bを介して(つまり、磁束Mが異なる磁束通路部36A,36Bを介して)シート表皮材20に対する着座者P側を通過する。また、このときには、一対の磁束通路部36C,36Dと磁石体64とが反発することで刺激付与部材22が着座者P側に押圧される(なお、符合Mは一対の磁束通路部36C,36D間の磁束、符合Mは磁石体64の磁束である)。従って、着座者Pに対して刺激付与部材22から磁気M及び押圧力Fが付与され、着座者Pに対してマッサージ効果が提供される。
【0090】
一方、図8(B)に示されるように、N極32Aが一対の磁束通路部36A,36Dを跨ぎS極32Bが一対の磁束通路部36A,36Bを跨ぎN極32Cが一対の磁束通路部36B,36Cを跨ぎS極32Dが一対の磁束通路部36C,36Dを跨ぐ位置に回動磁石32が回動されたときには、異なる磁極間の磁束M1〜M4が複数の磁束通路部36A〜36Dのうち単一の磁束通路部を通過(つまり、磁束M1は磁束通路部36Aを通過し、磁束M2は磁束通路部36Bを通過し、磁束M3は磁束通路部36Cを通過し、磁束M4は磁束通路部36Dを通過)する。従って、シート表面からの磁気Mの発生(つまり磁気Mの漏洩)が抑制される。また、このときには、一対の磁束通路部36C,36Dが磁石体64に吸引される(つまり、磁束M3,M4が強磁性体からなる一対の磁束通路部36C,36Dを通過することで、一対の磁束通路部36C,36Dは、磁気を帯びていない鉄と同様に磁石体64に吸引される)ことで刺激付与部材22から着座者Pへの押圧力Fの付与が抑制される。
【0091】
このように、本変形例によれば、回動磁石32の回動位置に応じて着座者Pに対して磁気Mを付与する状態と磁気Mの付与を抑制する状態とに切り替えることができるだけでなく、磁気Mを付与する状態と磁気Mの付与を抑制する状態とに連動させて着座者Pに対して押圧力Fを付与する状態と押圧力Fの付与を抑制する状態とに切り替えることができる。
【0092】
また、本変形例によれば、刺激付与部材22を着座者P側に押圧するための部材として磁石体64を用いれば足りるので、例えば上述の本発明の一実施形態のように刺激付与部材22を着座者P側に押圧するための部材として第一磁石体24及び第二磁石体26を用いる場合に比して構成を簡素化することができる。
【0093】
また、図9に示される変形例では、上述の図8に示される変形例に対して、次の如く構成が変更されている。
【0094】
すなわち、この変形例において、刺激付与部材22は、シート表皮材20の延在方向(つまり、シートバック16の高さ方向)に並んで配置された複数の磁束通路部36A,36Bを有する構成とされている。一対の磁束通路部36A,36Bは、回動磁石32に対する着座者P側に設けられている。また、この一対の磁束通路部36A,36Bに対する着座者P側と反対側には、この一対の磁束通路部36A,36Bとそれぞれ対向するように一対の永久磁石からなる磁石体70,72が設けられている。
【0095】
磁石体70は、磁束通路部36A側にN極70Aを有すると共に磁束通路部36Aと反対側にS極70Bを有する構成とされており、磁石体72は、磁束通路部36Bと反対側にN極72Aを有すると共に磁束通路部36B側にS極72Bを有する構成とされている。また、一対の磁石体70,72の間には、非磁性体からなるスペーサ74が設けられている。
【0096】
そして、この変形例では、図9(A)に示されるように、N極32Aが磁束通路部36Aと対向しS極32Bが磁束通路部36Bと対向する位置に回動磁石32が回動されたときには、N極32AとS極32B間の磁束Mが一対の磁束通路部36A,36Bを介して(つまり、磁束Mが異なる磁束通路部36A,36Bを介して)シート表皮材20に対する着座者P側を通過する。また、このときには、一対の磁束通路部36A,36Bと一対の磁石体70,72とが反発することで刺激付与部材22が着座者P側に押圧される。従って、着座者Pに対して刺激付与部材22から磁気M及び押圧力Fが付与され、着座者Pに対してマッサージ効果が提供される。
【0097】
一方、図9(B)に示されるように、S極32Bが一対の磁束通路部36A,36Bを跨ぐ位置に回動磁石32が回動されたときには、N極32AとS極32B間の磁束M1と、N極32CとS極32B間の磁束M2が単一の磁束通路部36A,36Bを通過(つまり、磁束M1は磁束通路部36Aを通過し、磁束M2は磁束通路部36Bを通過)する。従って、シート表面からの磁気Mの発生(つまり磁気Mの漏洩)が抑制される。また、このときには、一対の磁束通路部36A,36Bが磁石体70,72に吸引される(つまり、磁束M1が磁束通路部36Aを通過し、磁束M2が磁束通路部36Bを通過することで、一対の磁束通路部36A,36Bは、磁気を帯びていない鉄と同様に磁石体70,72に吸引される)ことで刺激付与部材22から着座者Pへの押圧力の付与が抑制される。
【0098】
このように、本変形例によっても、回動磁石32の回動位置に応じて着座者Pに対して磁気Mを付与する状態と磁気Mの付与を抑制する状態とに切り替えることができるだけでなく、磁気Mを付与する状態と磁気Mの付与を抑制する状態とに連動させて着座者Pに対して押圧力Fを付与する状態と押圧力Fの付与を抑制する状態とに切り替えることができる。
【0099】
また、本変形例によれば、刺激付与部材22を着座者P側に押圧するための部材として一対の磁束通路部36A,36Bを用いれば足りるので、例えば上述の図8に示される変形例のように、四つの磁束通路部36A〜36Dを用いる場合に比して各刺激付与ユニット18を小型化することができる。
【0100】
なお、この変形例においては、図10に示されるように、一対の磁石体70,72を内部に収容し且つ刺激付与部材22側に開口76を有する有底筒状の強磁性体により構成された収容部材78が備えられていても良い。
【0101】
また、一対の磁石体70,72に対して刺激付与部材22を接離可能に支持する支持手段としての支持機構80(例えば、スライドレール機構など)が備えられていても良い。
【0102】
この構成によれば、永久磁石からなる磁石体70,72が強磁性体からなる収容部材78に収容されているので、磁石体70,72の磁束が収容部材78内を通過する。これにより、磁石体70,72から一対の磁束通路部36A,36Bへの磁気が増加されて磁石体と一対の磁束通路部36A,36Bとの反発力を増加させることができると共に、磁石体70,72から車両用シート12の外方への磁気の漏洩を抑制することができる。
【0103】
また、この構成によれば、支持機構80によって刺激付与部材22を磁石体70,72に対して接離可能に支持することができる。
【0104】
また、図11に示される変形例では、刺激付与装置10がシート表皮材20としてのシートバックカバー82を有して構成されて車両用シート12に別体に設けられている。この構成によれば、車両用シート12に刺激付与装置10を後付けすることができる。
【0105】
なお、上記複数の変形うち組み合わせ可能な変形例は、適宜組み合わされて実施可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の一実施形態に係る刺激付与装置が一体に備えられた車両用シートの斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る刺激付与装置が一体に備えられた車両用シートの要部拡大側面断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る刺激付与装置に備えられた切替機構の構成を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る刺激付与装置の変形例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る刺激付与装置の変形例を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る刺激付与装置の変形例を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る刺激付与装置の変形例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る刺激付与装置の変形例を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る刺激付与装置の変形例を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る刺激付与装置の変形例を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る刺激付与装置の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0107】
10 刺激付与装置
12 車両用シート
14 シートクッション
16 シートバック
18 刺激付与ユニット
20 シート表皮材
22 刺激付与部材
24 第一磁石体(押圧手段の一部)
26 第二磁石体(押圧手段の一部)
28 カバー部材
32 回動磁石
36A,36B 磁束通路部
40 境界部
48 切替機構(切替手段)
60 ヒンジ部材(ヒンジ手段)
62 突起部
64 磁石体(押圧手段)
66 収容部材
70,72 磁石体(押圧手段)
78 収容部材
80 支持機構(支持手段)
82 シートバックカバー(シート表皮材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートを構成するシートバック及びシートクッションの少なくとも一方の着座者側に配置されるシート表皮材と、
前記シート表皮材の少なくとも延在方向に並んで配置された複数の強磁性体からなる磁束通路部を有すると共に、前記シート表皮材に対する前記着座者側と反対側に配置され、且つ、前記着座者と接離方向に移動可能とされた刺激付与部材と、
前記刺激付与部材を前記着座者側に押圧するための押圧手段と、
前記刺激付与部材と一体移動可能とされると共に前記複数の磁束通路部に隣接した位置に回動可能に設けられ、且つ、回動方向に異なる磁極が交互に並んだ構成とされて、前記異なる磁極間の磁束が前記複数の磁束通路部のうち異なる磁束通路部を介して前記シート表皮材に対する前記着座者側を通過する磁気放出位置と、前記異なる磁極間の磁束が前記複数の磁束通路部のうち単一の磁束通路部を通過する磁気放出抑制位置と、に切替可能な回動磁石と、
前記回動磁石を回動させて前記磁気放出位置と前記磁気放出抑制位置とに切り替えるための切替手段と、
を備えたことを特徴とする刺激付与装置。
【請求項2】
前記押圧手段は、
前記刺激付与部材に一体移動可能に設けられた第一磁石体と、
前記第一磁石体に対する前記着座者側と反対側に前記第一磁石体と前記刺激付与部材の接離方向に対向して配置され、前記第一磁石体に対して前記着座者側に反発力を作用させる第二磁石体と、
を有して構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の刺激付与装置。
【請求項3】
前記第一磁石体は、永久磁石により構成され、
前記第一磁石体を内部に収容し且つ前記第二磁石体側に開口を有する有底筒状の強磁性体により構成されたカバー部材を備えた、
ことを特徴とする請求項2に記載の刺激付与装置。
【請求項4】
前記刺激付与部材と前記押圧手段との間には、前記押圧手段に対する前記刺激付与部材の取付姿勢を変更可能とするヒンジ手段が介在されている、
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の刺激付与装置。
【請求項5】
前記刺激付与部材と前記押圧手段との間には、前記押圧手段に対する前記刺激付与部材の取付姿勢を変更可能とするヒンジ手段が介在され、
前記押圧手段は、
前記刺激付与部材に一体移動可能に設けられ、前記回動磁石が前記磁気放出位置にあるときに前記複数の磁束通路部の少なくとも一つと反発し前記複数の磁束通路部の残余の少なくとも一つと吸引する第一磁石体と、
前記第一磁石体と前記刺激付与部材の接離方向に対向して配置され、前記第一磁石体に対して前記着座者側に反発力を作用させる第二磁石体と、
を有して構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の刺激付与装置。
【請求項6】
前記押圧手段は、前記刺激付与部材を前記シート表皮材の面直方向に押圧する構成とされ、
前記複数の磁束通路部は、前記シート表皮材の延在方向に対して傾斜する境界部によって区画されている、
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の刺激付与装置。
【請求項7】
前記刺激付与部材には、前記着座者側に向けて突出する突起部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の刺激付与装置。
【請求項8】
前記回動磁石は、前記異なる磁極が回動方向に少なくとも四つ並んだ構成とされ、
前記押圧手段は、前記刺激付与部材に対する前記着座者側と反対側に前記刺激付与部材と前記刺激付与部材の接離方向に対向して配置されると共に、前記回動磁石が前記磁気放出位置にあるときに前記複数の磁束通路部と反発し前記回動磁石が前記磁気放出抑制位置にあるときに前記複数の磁束通路部と吸引する磁石体とされている、
ことを特徴とする請求項1に記載の刺激付与装置。
【請求項9】
前記磁石体に対して前記刺激付与部材を接離可能に支持する支持手段を備えた、
ことを特徴とする請求項8に記載の刺激付与装置。
【請求項10】
前記磁石体は、永久磁石により構成され、
前記磁石体を内部に収容し且つ前記刺激付与部材側に開口を有する有底筒状の強磁性体により構成された収容部材を備えた、
ことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の刺激付与装置。
【請求項11】
請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の刺激付与装置を一体に備えたことを特徴とする車両用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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