説明

削孔用ハンマ装置及びそれを使用した回転式削孔装置

【課題】市街地や郊外、あるいは林地等、施工場所の環境の違いに応じて、あるいは作業を行う時間帯に合わせて、供給する駆動用の作動流体の流量を調節することにより、発生する騒音や振動の大きさを調節することができる削孔用ハンマ装置を提供する。
【解決手段】削孔用ハンマ装置(H1)は、ハンマ装置本体(1)と、ハンマ装置本体(1)に設けられ延長体(8)を連結することができるエアタンク(2)とを備えている。ハンマ装置本体(1)は、ハンマビット(4,40,41)と、ハンマビット(4,40,41)を打撃する打撃装置(5)と、エアタンク(2)から打撃装置(5)に供給される作動流体が流通する作動流体経路と、作動流体経路に設けられ、対となる接触面(120,130)を有し、接触面(120,130)を相互の位置をずらし所定位置で固定することにより、各作動流体経路の有効な口の大きさを調節する口径調節手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、削孔用ハンマ装置及びそれを使用した回転式削孔装置に関するものである。更に詳しくは、例えばロータリーテーブルと組み合わせて使用することにより地盤に縦孔を掘削する削孔用ハンマ装置において、供給する駆動用の作動流体の流量を調節することにより、発生する騒音や振動の大きさを調節することができるものに関する。
【背景技術】
【0002】
土木や建築の分野において、主に岩盤、転石、コンクリート等がある硬質の地盤に縦孔を掘削する削孔作業においては、ダウンザホールハンマとも称される削孔用ハンマ装置が使用されている。
このような削孔用ハンマ装置の一例としては、本発明者が提案した特許文献1に記載のものがある。この削孔用ハンマ装置は、圧縮空気等の作動流体を供給して内部のピストンを駆動することにより先端のハンマビットを打撃する構造である。削孔用ハンマ装置は、例えばロータリーテーブルと組み合わせて使用され、ロータリーテーブルにより立てた状態で保持されて、打撃されるハンマビットで地盤を打撃しながら軸周方向へ回転力が与えられることにより、削孔を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−138474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1記載の削孔用ハンマ装置は、複数のハンマビットを使用し、しかも各ハンマビットが孔底の地盤を打撃するタイミングをずらしているので、掘削能力の低下を伴うことなく、比較的低騒音、低振動での削孔作業を可能にしており、この点においてきわめて有用な装置である。しかしながら、次のような点において改良の余地があることもわかってきた。
【0005】
すなわち、仮に、同じ削孔用ハンマ装置で、ハンマビットを作動させる作動流体の流量を調節できれば、例えば作業を行う時間帯に合わせて騒音や振動の大きさを周辺地域に配慮した大きさに調節しながら、作業の効率を最大限に高めるというような、より細かな調節を行うことが可能になる。
【0006】
しかしながら、従来の削孔用ハンマ装置では、供給される作動流体の流量が一定であるので、作業時に発生する騒音や振動の大きさはほぼ一様であり、例えば市街地や郊外、あるいは林地等、施工場所の環境の違いに応じて、あるいは作業を行う時間帯に合わせて、発生する騒音や振動の大きさを調節することができなかった。
【0007】
(本発明の目的)
本発明は、供給する駆動用の作動流体の流量を調節または制御することにより、発生する騒音や振動の大きさを調節することができる削孔用ハンマ装置、それを使用した回転式削孔装置及び掘削方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
【0009】
本発明は、
作動流体によって作動するピストンの打撃作用をビットに伝達して地盤を掘削する削孔用ハンマ装置であって、
前記ピストンを備えるハンマ装置本体と、
作動流体を前記ハンマ装置本体に送るエアタンクと、
を含み、
前記エアタンクとハンマ装置本体の間には、同エアタンクからハンマ装置本体に送る作動流体の流量を調節する弁要素を有する、
削孔用ハンマ装置である。
【0010】
本発明は、
弁要素が、
エアタンクのハンマ装置本体との接合側に設けられており、通気口を有するエアタンク側通気調節板と、
ハンマ装置本体のエアタンクとの接合側に設けられており、通気口を有するハンマ装置本体側通気調節板を有し、
前記エアタンク側通気調節板とハンマ装置本体側通気調節板は、中心の回りに相対的に回転して通気口の重なり程度を変えることにより送る作動流体の流量を調節する、
前記削孔用ハンマ装置である。
【0011】
本発明は、
通気口の重なり程度は、ハンマ装置本体側通気調節板に対するエアタンク側通気調節板の回転方向が異なることによって変わる、
前記削孔用ハンマ装置である。
【0012】
本発明は、
ピストンを備えるハンマ装置本体と、作動流体を前記ハンマ装置本体に送るエアタンクを含み、作動流体によって作動するピストンの打撃作用をビットに伝達して地盤を掘削する削孔用ハンマ装置を使用し、
前記エアタンクとハンマ装置本体の間には、同エアタンクからハンマ装置本体に送る作動流体の流量を調節する弁要素を有しており、エアタンクとハンマ装置本体は中心の回りに相対的に回転し、回転方向が異なることによって送る作動流体の流量が変わる、
掘削方法である。
【0013】
本発明は、
回転付与装置と組み合わせて使用され、回転付与装置で軸周方向へ回転させることにより地盤に縦孔を掘削する削孔用ハンマ装置であって、
ハンマ装置本体と、
ハンマ装置本体の基部に設けられ、延長体を連結する連結手段を有し、ハンマ装置本体に作動流体を送るエアタンクと、
を備えており、
ハンマ装置本体は、
ハンマ装置本体の先端に複数設けられており、掘削方向へ進退動自在なハンマビットと、
各ハンマビットに対応して掘削ハンマ装置本体内部に設けられており、供給される作動流体によってピストンを動かして各ハンマビットを打撃する打撃装置と、
各打撃装置に対応して設けられており、エアタンクから各打撃装置に供給される作動流体が流通する作動流体経路と、
作動流体経路の始点または終点もしくは途中に設けられ、少なくとも対となる接触面を有し、各接触面を相互の位置をずらし所定位置で固定することにより、各作動流体経路の有効な口の大きさを調節する口径調節手段と、
を備えている、
削孔用ハンマ装置である。
【0014】
本発明は、
口径調節手段の各接触面がハンマ装置本体の軸周方向へ回転してずれる構造であり、ハンマ装置本体が正方向へ回転するときと、逆方向へ回転するときの各場合において、回転時の地盤との接触により生じる抵抗の作用で各接触面の位置関係が所定位置で固定されるようになっており、正逆回転の各場合において、形成される各作動流体経路の有効な口の大きさが異なる、
前記削孔用ハンマ装置である。
【0015】
本発明は、
前記削孔用ハンマ装置と、
削孔用ハンマ装置を立てた状態で保持することができ、削孔用ハンマ装置に軸周方向の回転力を与える回転付与装置と、
を備えた、
回転式削孔装置である。
【0016】
(作用)
本発明に係る削孔用ハンマ装置及び回転式削孔装置の作用を説明する。なお、ここでは、説明で使用する各構成要件に、後述する実施の形態において各部に付与した符号を対応させて付与するが、この符号は、特許請求の範囲の各請求項に記載した符号と同様に、あくまで内容の理解を容易にするためであって、各構成要件の意味を上記各部に限定するものではない。
【0017】
まず削孔箇所に削孔用ハンマ装置(H1)を立てて据え置き、ドライブブッシュを削孔用ハンマ装置(H1)上部のエアタンク(2)に嵌め込むようにして、ロータリーテーブル等の回転付与装置(9)を仮設足場等の上に載置する。エアタンク(2)の上部には、必要な数の延長体(8)を連結する。延長体(8)には、吊りワイヤがつながれる懸吊具が接続されており、懸吊具にはエア供給管が接続されている。
【0018】
延長体(8)を連結した削孔用ハンマ装置(H1)をクレーンの吊りワイヤで吊り降ろしながら、ドライブブッシュを作動させて削孔用ハンマ装置(H1)を軸周方向へ回転させる。作動流体である圧縮空気は作動流体経路(31,121,131,14,121a,131a,135,134,14a)を通って打撃装置(5)に供給される。なお、圧縮空気には潤滑のためのオイルミスト等が混入される場合もある。これによって、削孔用ハンマ装置(H1)下端のハンマビット(4,40,41)がピストン(51)で打撃され、ハンマビット(4,40,41)が地盤を打撃して孔が掘削される。
【0019】
掘削によって孔内に生じる粉砕物や土砂は、各打撃装置(5)から噴射される圧縮空気によって孔外部へ送り出される。また、掘削が進み、孔が深くなるにつれて延長体(8)が順次継ぎ足され、所定の深さの孔が掘削される。
【0020】
また、口径調節手段(12,121,121a,13,131,131a,a,b,c,d,122)によって、対となる接触面(120,130)を相互の位置をずらし所定位置で固定することにより、作動流体経路の有効な口の大きさを調節することによって、打撃装置(5)に供給される圧縮空気の流量を調節または制御しハンマビット(4,40,41)に対するピストン(51)の打撃力を変えることによって、削孔用ハンマ装置(H1)の掘削能力を調節することができる。
【0021】
また、口径調節手段の各接触面(120,130)がハンマ装置本体(1)の軸周方向へ回転してずれる構造であり、ハンマ装置本体(1)が正方向へ回転するときと、逆方向へ回転するときの各場合において、回転時の地盤との接触により生じる抵抗の作用で各接触面(120,130)の位置関係が所定位置で固定されるようになっており、正逆回転の各場合において、形成される各作動流体経路の有効な口の大きさが異なる削孔用ハンマ装置(H1)は、エアタンク(2)に対して正回転方向に回転力を与えることにより掘削能力が最大となり、逆回転方向に回転力を与えることにより掘削能力が最小となる。この調節は、削孔用ハンマ装置(H1)の回転方向を変えるだけで自動的に行われるので、例えば手動での機械的な調節が不要であり、調節の煩わしさがなく効率がよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、供給する駆動用の作動流体の流量を調節または制御することにより、発生する騒音や振動の大きさを調節することができる削孔用ハンマ装置、それを使用した回転式削孔装置及び掘削方法を提供することができる。
したがって、削孔用ハンマ装置を回転付与装置と組み合わせて使用し地盤に縦孔を掘削する際に、例えば市街地では作業のスピードを落として周辺地域に迷惑がかからない低騒音、低振動で作業を行い、郊外や林地等では作業のスピードを重視して最大能力で作業を行う等、施工場所の環境の違いに応じて、あるいは作業を行う時間帯に合わせて、最も適した掘削能力で作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る削孔用ハンマ装置の第1実施の形態を示す斜視説明図。
【図2】図1の削孔用ハンマ装置の構造を示す拡大縦断面図。
【図3】図2のA−A断面を示し、(a)は削孔用ハンマ装置を右回転させて供給される圧縮空気の流量を最大にしたときの口径調節部の状態を示す説明図、(b)は削孔用ハンマ装置を左回転させて圧縮空気の流量を最小にしたときの口径調節部の状態を示す説明図。
【図4】図3の口径調節部とは供給される圧縮空気の流量の減少率を違えたタイプを示し、(a)は削孔用ハンマ装置を右回転させて圧縮空気の流量を最大にしたときの口径調節部の状態を示す説明図、(b)は削孔用ハンマ装置を左回転させて圧縮空気の流量を最小にしたときの口径調節部の状態を示す説明図。
【図5】本発明に係る回転式削孔装置の実施の形態を示す概略説明図。
【図6】本発明に係る削孔用ハンマ装置の第2実施の形態を示す縦断面図。
【図7】図6のB−B断面図。
【図8】本発明に係る削孔用ハンマ装置の第3実施の形態を示す縦断面図。
【図9】図8のC−C断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を図面に示した実施の形態に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0025】
図1ないし図5を参照する。
【0026】
削孔用ハンマ装置H1は、削孔用ハンマ装置H1を立てた状態で保持するとともに軸周方向への回転力を与えることができる回転付与装置であるロータリーテーブル9と組み合わされて回転式削孔装置Aを構成し、地盤に縦孔を掘削するために使用されるものである。
削孔用ハンマ装置H1には、縦孔が深くなるにつれて延長体であるケリーロッド8が順次連結され、ケリーロッド8を含めた全長が長くなるようになっている。
【0027】
削孔用ハンマ装置H1は、その全体がほぼ円柱形状に形成されている。削孔用ハンマ装置H1は、先端部(図2において下端部)にハンマビット群4を有するハンマ装置本体1と、ハンマ装置本体1の基端部(図2において上端部)に設けられているエアタンク2を備えている。
【0028】
ハンマ装置本体1は、図2において上部側の基部ケーシング10と、基部ケーシング10に接続されるとともに、基部ケーシング10に対し軸周方向へ所要の角度範囲で回動自在な下部側の先部ケーシング11を備えている。基部ケーシング10と先部ケーシング11の接続構造については後で説明する。
【0029】
基部ケーシング10の上部側には、エアタンク2を固定するための固定用孔101が形成されている。固定用孔101の下方には、後述するエア拡散部材3を固定するための固定用孔102が形成されている。また、固定用孔102のさらに下方には、固定用孔102よりやや径大で、後述する下部通気調節板13とともに口径調節手段を構成する上部通気調節板12を固定するための固定用孔103が形成されている。
【0030】
エアタンク2は、固定用孔101に内嵌めされ、ボルト・ナット等(図示省略)により固定されている。エアタンク2は、先部ケーシング11と比較して径小な円筒体20と、中心部にエア導入孔210が上下に貫通して形成されている上部材21で構成されており、高圧の圧縮空気はエア導入孔210から円筒体20内部の空間部22に導入される。
【0031】
上部材21には、後述するケリーロッド8を連結する連結ジョイント23がボルト(符号省略)によって固定されている。連結ジョイント23は、上部側がほぼ六角棒状のジョイント部230を有している。連結ジョイント23の中心部には、前記エア導入孔210に通じるエア導入孔231が上下に貫通して形成されている。
【0032】
前記エア拡散部材3は、連結ジョイント23を通り供給される圧縮空気を拡散し圧力を均等にして打撃装置5へ送るものであり、下部が固定用孔102に内嵌めされて上方へ抜けないように固定されている。エア拡散部材3は、いわば盃様の形状を有しており、上部側が前記固定用孔101を貫通し、大部分がエアタンク2の円筒体20内部の空間部22に位置している。
【0033】
エア拡散部材3は、エアタンク2のエア導入孔210から吹き出す圧縮空気を受ける椀状(球形の中空体を半分に切ったような形状)の受部30と、受部30を支える截頭円錐形状で中空の支持体31を備えている。支持体31には、支持体31内部に圧縮空気を取り入れる所要数のエア取入孔32が形成されている。
【0034】
このような構成により、連結ジョイント23を通り供給される圧縮空気は、エア拡散部材3の受部30に当たった後、受部30の凹面部に沿って跳ね返り、更に支持体31側へ戻って各エア取入孔32を通り抜け、作動流体経路であるエア拡散部材3の支持体31、上部通気調節板12の通気口121、下部通気調節板13の後述する通気口131、通気経路14及び通気口121a、下部通気調節板13の後述する通気口131a、連通溝135、通気孔134、通気経路14aを通り、後述する各打撃装置5へ送られる。
【0035】
前記したように、ハンマ装置本体1は、基部ケーシング10と、基部ケーシング10に対し軸周方向へ所要の角度範囲で回動自在に接続されている先部ケーシング11を備えている。基部ケーシング10の外周部には、軸周方向へ等間隔で五箇所に外方へ張り出した径大部104が設けられている。各径大部104には、側面から内方へ向け設けられた作業口105が形成されている。各作業口105の底部には、接続ボルト106を通す通孔107が貫通して形成されている。各通孔107は、回転方向に長いやや湾曲した長円状の孔である(図3、図4参照)。
【0036】
基部ケーシング10の固定用孔103には、前記したように口径調節手段を構成する円板状のエアタンク側通気調節板である上部通気調節板12が嵌め込まれて固定されている。上部通気調節板12は、後述する下部通気調節板13と共に弁要素を構成する。なお、弁要素はこの構成に限定されるものではなく、公知の各種構造のものが採用できる。
【0037】
上部通気調節板12は、固定用孔103の深さと同じ厚さを有し、下面120は後述する下部通気調節板13の上面130と接する接触面となっている。上部通気調節板12には、図3に示すように外周縁部寄りの六箇所に上下面を貫通した通気口121、121a(通気口121は五箇所で通気口121aは一箇所)が上部通気調節板12の外周と同心の同一円上に形成されている。各通気口121、121aは半径方向より軸周方向がやや長い長円状の孔である。
【0038】
このうち、軸周方向に等間隔で五箇所に設けられている通気口121は、後述する各ハンマビット41を打撃する打撃装置5に通じるものである。また、隣り合う通気口121の間(図3において左側)に形成されている通気口121aは、後述する中心部のハンマビット40を打撃する打撃装置5に通じるものである。
【0039】
また、上部通気調節板12は、図3、図4に示すように、固定用孔103の内部において軸周方向の二箇所に固定点がある。
すなわち、固定用孔103の内周面には、二箇所に断面形状が半円形状の係合凹部a、bが設けられ、上部通気調節板12の外周面には、同じく二箇所に係合凹部c、dが設けられている。そして、上部通気調節板12の係合凹部c、dの間隔は、固定用孔103の係合凹部a、bの間隔よりやや広く設定されている。
【0040】
この構造によれば、図3に示すように係合凹部aと係合凹部cの両方に係合するように固定ピン122を差し込んで上部通気調節板12を固定した状態と、図4に示すように係合凹部bと係合凹部dの両方に係合するように固定ピン122を差し込んで上部通気調節板12を固定した状態では、上部通気調節板12の軸周方向の回転位置を違えることができる。つまり、図4に示した上部通気調節板12は、図3に比べて右回転方向にややずれている。
【0041】
先部ケーシング11の外周部には、前記基部ケーシング10と同様に、軸周方向へ等間隔で五箇所に外方へ張り出した径大部110が設けられている。各径大部110は、使用において正転するとき(図3(a)及び図4(a)参照)に基部ケーシング10の各径大部104と位置が合うようにしてある。
【0042】
また、先部ケーシング11において各径大部110と対応する上面には、基部ケーシング10の作業口105底部の通孔107と対応する位置に、底部に雌ネジ部を有するボルト孔111が形成されている。
【0043】
先部ケーシング11において、上面の中央には、前記基部ケーシング10の固定用孔103よりやや大きい内径を有する固定用孔112が形成されている。固定用孔112には、上部通気調節板12とともに口径調節手段を構成する円板状のハンマ装置本体側通気調節板である下部通気調節板13が嵌め入れられてボルト等(図示省略)によって固定されている。下部通気調節板13は、固定用孔112の深さと同じ厚さを有している。
【0044】
下部通気調節板13には、前記上部通気調節板12の通気口121a及び各通気口121と同様の配列で、円孔である通気口131a及び各通気口131が上下面を貫通して形成されている。下部通気調節板13の上面130は、前記上部通気調節板12の下面120と接する接触面となっている。上面130には、上部通気調節板12の下面120との間に介在させることで各通気口121、121a、131、131aと外部との気密を保持するためのパッキン132が取り付けられている。
【0045】
下部通気調節板13の下面133の中心部には、上面130側へ貫通しない通気孔134が設けられており、通気孔134と前記通気口131aは連通溝135でつながれている。そして、先部ケーシング11には、通気経路14aによって通気孔134につながる装着部15aが一箇所及び通気経路14によって前記各通気口131につながる装着部15が五箇所に設けられている。装着部15a及び各装着部15には、後述するように打撃装置5が装着される。
【0046】
ここで、基部ケーシング10と先部ケーシング11の接続構造について説明する。
図2に示すように、基部ケーシング10と先部ケーシング11は、上部通気調節板12の下面120と下部通気調節板13の上面130が合わさるようにして接続ボルト106によって接続されている。詳しくは、各接続ボルト106は基部ケーシング10の各作業口105から入れられ、通孔107を通して先部ケーシング11の各ボルト孔111に螺合され締め付けられる。
【0047】
これによって基部ケーシング10と先部ケーシング11は接続される。なお、基部ケーシング10の下面と先部ケーシング11の上面(いずれも符号省略)は、各接続ボルト106を限度まで締め込んでも、互いに接触はしているが摺動することができるように各部の寸法が設定されている。これにより、上部通気調節板12の下面120と下部通気調節板13の上面130もパッキン132を介して実質的に接触し、互いに軸周方向へ摺動することができる。
【0048】
なお、基部ケーシング10と先部ケーシング11が相対的に軸周方向へ回動可能な角度範囲は、接続ボルト106が長円状の孔である各通孔107に沿って相対的に移動する距離によって制限されている。また、基部ケーシング10と先部ケーシング11は、この角度範囲内において、正逆いずれの方向へも回動することができるようになっている。
【0049】
また、先部ケーシング11の先端部には、ハンマビット群4を備えている。ハンマビット群4は、中心部の一箇所に位置し底面視ほぼ円形状のヘッド400を有するハンマビット40と、その回りを囲むように軸周方向へ等間隔で五箇所に設けられており底面視ほぼ三角形状のヘッド410を有するハンマビット41によって構成されている。各ハンマビット40、41・・・は、先部ケーシング11の先端部に、ハンマ装置本体1の軸線方向へ進退動自在に取り付けられている。
【0050】
各ハンマビット40、41・・・に対しては、前記したように先部ケーシング11内部に、それぞれのハンマビット40、41・・・に対応して装着されている打撃装置5によって打撃力が加えられる。なお、本実施の形態の打撃装置5の構造は、公知のダウンザホールハンマの駆動機構(例えば特許文献1記載の駆動機構)とほぼ同様の構造であるので、ここでは詳細な説明は省略し、簡単に説明するに止める。
【0051】
各打撃装置5は、円筒形のシリンダー50を有し、シリンダー50の内部にピストン51が上下動自在に収容されている。ピストン51は、ハンマビット40、41・・・が削孔部(または孔底面)に当接して、先部ケーシング11に対し相対的に上昇する(内部に入る)ことにより、シリンダー50の内部に供給される圧縮空気の圧力によって繰り返し押し上げられて上下動し、落下したときにハンマビット40、41・・・を打撃するようになっている。
【0052】
また、先部ケーシング11の各径大部110の外周部には、軸線方向と平行に条板16が固定されている。本実施の形態では、条板16は軸周方向に等間隔で十二箇所に設けられている。そして、地盤の掘削作業時に掘削した孔の内部に発生する粉砕物や土砂(スライム)は、各打撃装置5の先部側から排出または噴射される圧縮空気によって、掘削した孔内面を含んで形成される各条板16間の隙間を通って孔外部(地表面側)へ送り出される。
【0053】
前記削孔用ハンマ装置H1は、図5に示すようにロータリーテーブル9と組み合わされて回転式削孔装置Aを構成する。
ロータリーテーブル9は、テーブル本体90と、テーブル本体90を支えるアウトリガ91を備えている。テーブル本体90は、削孔用ハンマ装置H1のエアタンク2及びケリーロッド8をドライブブッシュ92に通して保持することができる。また、ドライブブッシュ92によって、保持した削孔用ハンマ装置H1に回転力を与えることができる。
【0054】
(作用)
図1ないし図5を参照し、地盤に杭用の孔を掘削する場合の削孔用ハンマ装置H1と回転式削孔装置Aの作用及び削孔方法を説明する。
【0055】
図5に示すように、まず削孔箇所に削孔用ハンマ装置H1を立てて据え置き、ドライブブッシュ92を削孔用ハンマ装置H1上部のエアタンク2に嵌め込むようにして、各条板16にドライブブッシュ92の係合凹部(図示省略)を係合させ、ロータリーテーブル9をH鋼で組んだ仮設足場93上に載置する。
【0056】
エアタンク2の上部には、必要な数のケリーロッド8が連結される。ケリーロッド8はエア供給路(図示省略)を内蔵しており、最上部のケリーロッド8の上部には、吊りワイヤ80がつながれる懸吊具81が接続されている。
【0057】
懸吊具81には、各ケリーロッド8のエア供給路を通じてエアタンク2に作動流体である圧縮空気を供給するエア供給管82が接続されている。また、懸吊具81には、エアスイベル(図示省略)が設けられており、削孔用ハンマ装置H1を回転させながら圧縮空気を供給できるようにしてある。
【0058】
そして、ケリーロッド8を連結した削孔用ハンマ装置H1をクレーン(図示省略)の吊りワイヤ80で吊り降ろしながら、ドライブブッシュ92を作動させて削孔用ハンマ装置H1を軸周方向へ回転させる。削孔用ハンマ装置H1の各打撃装置5には、エア供給管82からケリーロッド8を通じて圧縮空気が供給される。
【0059】
なお、各打撃装置5に圧縮空気が供給される途中において、圧縮空気はエア導入孔210を通ってエアタンク2の空間部22に吹き出す。吹き出した圧縮空気は、エア拡散部材3の受部30に当たって拡散し、圧力がほぼ均等化されて支持体31のエア取入孔32を通り、支持体31内部に入る。
【0060】
そして、圧縮空気は、上部通気調節板12の通気口121a及び各通気口121から下部通気調節板13の通気口131a及び各通気口131を通り、さらに各通気経路14、14aを通って各打撃装置5に供給される。
【0061】
これによって、削孔用ハンマ装置H1下端のハンマビット群4が地盤の打撃を行い、孔が掘削される。前記したように、掘削によって孔内に生じる粉砕物や土砂は、各打撃装置5から噴射される圧縮空気によって孔外部へ送り出される。また、掘削が進み、孔が深くなるにつれてケリーロッド8が順次継ぎ足され、所定の深さの孔が掘削される。
【0062】
なお、削孔用ハンマ装置H1は、回転させる方向を変えることにより、供給する圧縮空気の流量を自動的に調節することができ、ハンマビット群4による打撃力の強さ及び打撃に伴い発生する騒音や振動の大きさを調節することができる。以下、そのメカニズムについて詳しく説明する。
【0063】
図3を参照する。
まず、上部通気調節板12は、係合凹部cを固定用孔103の内周面の係合凹部aに合わせ、その両方に係合するように固定ピン122を差し込んで固定されている。
【0064】
そして、図3(a)に示すように、ドライブブッシュ92によって削孔用ハンマ装置H1のエアタンク2に対し右回転方向に回転力を与えると、まず、エアタンク2と一体となっている基部ケーシング10が、先部ケーシング11に対し上部通気調節板12とともに所定の回転角度まで回転する。この回転によって、基部ケーシング10側の通孔107の回転方向後側の孔壁が接続ボルト106に当たると、その状態を維持したまま、先部ケーシング11も基部ケーシング10とともに右回転方向に回転する。
【0065】
なお、この状態では、上部通気調節板12の通気口121a及び各通気口121には、下部通気調節板13の通気口131a及び各通気口131が合わさって、通気口121a及び各通気口121に対し、それぞれの全口径が開口している(通気口121、121aは全口径は開いていない)。つまり、通気口131a及び各通気口131の有効な口の大きさが最大となり、各打撃装置5に送られる圧縮空気の流量も最大となる。これにより、削孔用ハンマ装置H1は、最大能力で孔の掘削を行うことができる。
【0066】
また、例えば市街地で掘削を行う場合は、周辺地域に迷惑がかからないように削孔用ハンマ装置H1により発生する騒音や振動を低く抑えなければならない。その際は、図3(b)に示すように、ドライブブッシュ92を前記図3(a)の場合とは逆方向に回転させ、削孔用ハンマ装置H1のエアタンク2に対し左回転方向に回転力を与える。
【0067】
これにより、基部ケーシング10が、先部ケーシング11に対し上部通気調節板12とともに前記とは逆方向に所定の回転角度まで回転する。この回転によって、基部ケーシング10側の通孔107の回転方向後側の孔壁(図3(a)の場合とは逆側)が接続ボルト106に当たると、その状態を維持したまま、先部ケーシング11も基部ケーシング10とともに左回転方向に回転する。
【0068】
この状態では、上部通気調節板12が図3(a)に示した状態から逆方向に回り、通気口121a及び各通気口121には、下部通気調節板13の通気口131a及び各通気口131の一部が合わさって、通気口121a及び各通気口121に対し、それぞれの口径の一部(本実施の形態では、約20%)が開口している。つまり、通気口131a及び各通気口131の有効な口の大きさが本設定において最小となり、各打撃装置5に送られる圧縮空気の流量も最小となる。これにより、削孔用ハンマ装置H1は、本設定において最小能力で孔の掘削を行うことになり、発生する騒音や振動も小さくなる。
【0069】
図4を参照する。
本実施の形態では、各打撃装置5に送られる圧縮空気の流量の最大値は変わらず、最小値を図3(b)の場合よりやや大きくする調節を行うことができる。
まず、上部通気調節板12は、係合凹部dを固定用孔103の内周面の係合凹部bに合わせ、その両方に係合するように固定ピン122を差し込んで固定されている。これにより、上部通気調節板12は、図3に比べて右回転方向にややずれた状態となっている。
【0070】
そして、図3(a)の場合と同様に、ドライブブッシュ92によって削孔用ハンマ装置H1のエアタンク2に対し右回転方向に回転力を与えると、通気口131a及び各通気口131の有効な口の大きさが最大となり、各打撃装置5に送られる圧縮空気の流量も最大となる(図4(a)参照)。これにより、削孔用ハンマ装置H1は、最大能力で孔の掘削を行うことができる。
【0071】
なお、上部通気調節板12は、図3に比べて右回転方向にややずれた状態となっているが、通気口121a及び各通気口121が長円状の孔であることにより、図3(a)と同様に通気口131a及び各通気口131の有効な口の大きさを最大とすることができる。
【0072】
また、削孔用ハンマ装置H1により発生する騒音や振動を低くする場合は、削孔用ハンマ装置H1のエアタンク2に対し左回転方向に回転力を与える。これにより、上部通気調節板12の通気口121a及び各通気口121には、下部通気調節板13の通気口131a及び各通気口131の一部が合わさって、通気口121a及び各通気口121に対し、それぞれの口径の一部(本実施の形態では、約35%)が開口している。
【0073】
つまり、通気口131a及び各通気口131の有効な口の大きさが本設定において最小となるが、前記図3の場合よりやや大きくなっており、その分だけ掘削能力を大きくすることができる。
【0074】
このように、削孔用ハンマ装置H1は、エアタンク2に対して右回転方向に回転力を与えることにより掘削能力が最大となり、左回転方向に回転力を与えることにより掘削能力が最小となる。この調節は、削孔用ハンマ装置H1の回転方向を変えるだけで自動的に行われる。しかも、削孔用ハンマ装置H1では、前記したように掘削能力の最小値を二段階に設定することができ、より細かな調節を行うことができる。
【0075】
したがって、回転式削孔装置Aによれば、地盤に縦孔を掘削する際に、例えば市街地では作業のスピードを落として周辺地域に迷惑がかからない低騒音、低振動で作業を行うことができる。また、郊外や林地等では、周辺地域への騒音や振動の影響はそれほどないので、作業のスピードを重視して最大能力で作業を行うことができる。
このように、施工場所の環境の違いに応じて、あるいは作業を行う時間帯に合わせて、最も適した掘削能力で作業を行うことができる。
【実施例2】
【0076】
図6、図7を参照する。
なお、図6、図7において、前記図1ないし図5に示した削孔用ハンマ装置H1と同一または同等箇所には同一の符号または同一数字に英文字を付与した符号を付して示し、構造について重複する説明は省略する。
【0077】
削孔用ハンマ装置H2のハンマ装置本体1aは、上部通気調節板12aが固定用孔103に固定用ネジ(図示省略)等により固定されている。
また、上部通気調節板12aの通気口125、125aは円孔である。接続ボルト106aは、通孔107aを通しボルト孔111aにネジ込んで締め付けることで、通孔107aの所要の位置、すなわち基部ケーシング10aに対する軸周方向へ所要の角度範囲内で先部ケーシング11aを固定することができる。これにより、前記実施の形態1と異なり通気口131a及び各通気口131の有効な口の大きさを無段階で調節できる。
【0078】
(作用)
削孔用ハンマ装置H2は、前記削孔用ハンマ装置H1と同様にロータリーテーブル9によって軸周方向へ回転力を与えることができる。
また、基部ケーシング10aと先部ケーシング11aは、接続ボルト106aで固定されているので、前記削孔用ハンマ装置H1とは相違して、一旦決められた通気口131a及び各通気口131の有効な口の大きさ、すなわち掘削能力は、回転方向に関わらずその作業中においては維持される。また、同じ圧縮空気の流量で正逆回転が必要な場合、例えば転石層等の場合に効率よく削孔を行うことができる。
【実施例3】
【0079】
図8、図9を参照する。
なお、図8、図9において、前記図1ないし図5に示した削孔用ハンマ装置H1と同一または同等箇所には同一の符号または同一数字に英文字を付与した符号を付して示し、構造について重複する説明は省略する。
【0080】
削孔用ハンマ装置H3には、エアタンク2bからハンマ装置本体1bの基部ケーシング10b及び先部ケーシング11bにかけて、その外周部にスクリュー6、6a、6bが順に形成されている。
スクリュー6、6a、6bには、軸周方向へ90°ごとに等間隔で係合凹部60が形成されている。係合凹部60には、ドライブブッシュ(図示省略:前記ドライブブッシュ92とは異なる構造)の内面側に突出した係合突条(図示省略)が係合して削孔用ハンマ装置H3に回転力を伝えるようになっている。
【0081】
基部ケーシング10bに設けられている通孔108は、長円状の孔である前記通孔107と相違して円孔である。基部ケーシング10bと先部ケーシング11bは、接続ボルト106aを通孔108を通しボルト孔111bにネジ込んで締め付けることで、軸周方向の一定位置に固定できる。
【0082】
上部通気調節板12bは、固定用孔113内部に下部通気調節板13bと共に重なった状態で収められ、下部通気調節板13bは固定されている。
固定用孔113の内周壁には係合凹部eが設けられ、上部通気調節板12bの外周部には四箇所に並んで調節凹部123が形成されている。
【0083】
上部通気調節板12bは、係合凹部eに固定用ピン109を入れ、この固定用ピン109と調節凹部123のうちの任意の凹部を係合させることにより、下部通気調節板13bに対する軸周方向の位置の調節ができ、通気口131a及び各通気口131の有効な口の大きさを四段階で調節することができる。
【0084】
(作用)
削孔用ハンマ装置H3は、前記ロータリーテーブル9とは異なるロータリーテーブル(図示省略)と組み合わせて使用される。すなわち、前記したようにスクリュー6、6a、6bを有する削孔用ハンマ装置H3に対応するために、ドライブブッシュの構造が異なる。
【0085】
また、基部ケーシング10bと先部ケーシング11bは、接続ボルト106aで固定されており、通気口131a及び各通気口131の有効な口の大きさは、前記したように先部ケーシング11bの固定用孔113内部の上部通気調節板12bの軸周方向の位置によって調節されている。
【0086】
したがって、前記削孔用ハンマ装置H1とは相違して、一旦決められた通気口131a及び各通気口131の有効な口の大きさ、すなわち掘削能力は、回転方向に関わらずその作業中においては維持される。なお、削孔用ハンマ装置H3は、スクリュー6、6a、6bを有することにより、掘削時に発生する粉砕した岩盤や土砂(スライム)をより円滑に地表面へ送り出す(排土する)ことができる。
【0087】
本明細書で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【符号の説明】
【0088】
A 回転式削孔装置
H1 削孔用ハンマ装置
1 ハンマ装置本体
10 基部ケーシング
101 固定用孔
102 固定用孔
103 固定用孔
a 係合凹部
b 係合凹部
104 径大部
105 作業口
106 接続ボルト
107 通孔
11 先部ケーシング
110 径大部
111 ボルト孔
112 固定用孔
12 上部通気調節板
120 下面
121 通気口
121a 通気口
122 固定ピン
c 係合凹部
d 係合凹部
13 下部通気調節板
130 上面
131 通気口
131a 通気口
132 パッキン
133 下面
134 通気孔
135 連通溝
14 通気経路
14a 通気経路
15 装着部
15a 装着部
16 条板
2 エアタンク
20 円筒体
21 上部材
210 エア導入孔
22 空間部
23 連結ジョイント
230 ジョイント部
231 エア導入孔
24 条板
3 エア拡散部材
30 受部
31 支持体
32 エア取入孔
4 ハンマビット群
40 ハンマビット
400 ヘッド
41 ハンマビット
410 ヘッド
5 打撃装置
50 シリンダー
51 ピストン
8 ケリーロッド
80 吊りワイヤ
81 懸吊具
82 エア供給管
9 ロータリーテーブル
90 テーブル本体
91 アウトリガ
92 ドライブブッシュ
93 仮設足場
H2 削孔用ハンマ装置
1a ハンマ装置本体
10a 基部ケーシング
106a 接続ボルト
107a 通孔
11a 先部ケーシング
111a ボルト孔
12a 上部通気調節板
125 通気口
H3 削孔用ハンマ装置
1b ハンマ装置本体
10b 基部ケーシング
108 通孔
109 固定用ピン
11b 先部ケーシング
111b ボルト孔
113 固定用孔
e 係合凹部
12b 上部通気調節板
123 調節凹部
13b 下部通気調節板
10b 基部ケーシング
2b エアタンク
6、6a、6b スクリュー
60 係合凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体によって作動するピストンの打撃作用をビットに伝達して地盤を掘削する削孔用ハンマ装置であって、
前記ピストンを備えるハンマ装置本体(1)と、
作動流体を前記ハンマ装置本体(1)に送るエアタンク(2)と、
を含み、
前記エアタンク(2)とハンマ装置本体(1)の間には、同エアタンク(2)からハンマ装置本体(1)に送る作動流体の流量を調節する弁要素を有する、
削孔用ハンマ装置。
【請求項2】
弁要素は、
エアタンク(2)のハンマ装置本体(1)との接合側に設けられており、通気口を有するエアタンク側通気調節板(12)と、
ハンマ装置本体(1)のエアタンク(2)との接合側に設けられており、通気口を有するハンマ装置本体側通気調節板(13)を有し、
前記エアタンク側通気調節板(12)とハンマ装置本体側通気調節板(13)は、中心の回りに相対的に回転して通気口(121,121a,131,131a)の重なり程度を変えることにより送る作動流体の流量を調節する、
請求項1記載の削孔用ハンマ装置。
【請求項3】
通気口(121,121a,131,131a)の重なり程度は、ハンマ装置本体側通気調節板(13)に対するエアタンク側通気調節板(12)の回転方向が異なることによって変わる、
請求項2記載の削孔用ハンマ装置。
【請求項4】
ピストンを備えるハンマ装置本体(1)と、 作動流体を前記ハンマ装置本体(1)に送るエアタンク(2)を含み、作動流体によって作動するピストンの打撃作用をビットに伝達して地盤を掘削する削孔用ハンマ装置を使用し、
前記エアタンク(2)とハンマ装置本体(1)の間には、同エアタンク(2)からハンマ装置本体(1)に送る作動流体の流量を調節する弁要素を有しており、エアタンク(2)とハンマ装置本体(1)は中心の回りに相対的に回転し、回転方向が異なることによって送る作動流体の流量が変わる、
掘削方法。
【請求項5】
回転付与装置(9)と組み合わせて使用され、回転付与装置(9)で軸周方向へ回転させることにより地盤に縦孔を掘削する削孔用ハンマ装置であって、
ハンマ装置本体(1)と、
ハンマ装置本体(1)の基部に設けられ、延長体(8)を連結する連結手段(23)を有し、ハンマ装置本体(1)に作動流体を送るエアタンク(2)と、
を備えており、
ハンマ装置本体(1)は、
ハンマ装置本体(1)の先端に複数設けられており、掘削方向へ進退動自在なハンマビット(4,40,41)と、
各ハンマビット(4,40,41)に対応して掘削ハンマ装置本体(1)内部に設けられており、供給される作動流体によってピストン(51)を動かして各ハンマビット(4,40,41)を打撃する打撃装置(5)と、
各打撃装置(5)に対応して設けられており、エアタンク(2)から各打撃装置(5)に供給される作動流体が流通する作動流体経路(31,121,131,14,121a,131a,135,134,14a)と、
作動流体経路の始点または終点もしくは途中に設けられ、少なくとも対となる接触面(120,130)を有し、各接触面(120,130)を相互の位置をずらし所定位置で固定することにより、各作動流体経路の有効な口の大きさを調節する口径調節手段(12,121,121a,13,131,131a,a,b,c,d,122)と、
を備えている、
削孔用ハンマ装置。
【請求項6】
ハンマ装置本体(1)が基部ケーシング(10)と先部ケーシング(11)を備え、口径調節手段の各接触面(120,130)が、基部ケーシング(10)と先部ケーシング(11)が互いに軸周方向へ回ることによりずれる構造であり、
ハンマ装置本体(1)が正方向へ回転する場合と、逆方向へ回転する場合の各場合において、回転時の基部ケーシング(10)と先部ケーシング(11)の軸周方向の位置が定まることにより各接触面(120,130)の位置関係が所定位置で固定されるようになっており、正逆回転の各場合において形成される各作動流体経路の有効な口の大きさが異なる、
請求項5記載の削孔用ハンマ装置。
【請求項7】
ハンマ装置本体(1)が基部ケーシング(10)と先部ケーシング(11)を備え、口径調節手段の各接触面(120,130)が、基部ケーシング(10)と先部ケーシング(11)が互いに軸周方向へ回ることによりずれる構造であり、
基部ケーシング(10)と先部ケーシング(11)を軸周方向の所要の角度位置で固定することにより、各作動流体経路の有効な口の大きさが調節できる、
請求項5記載の削孔用ハンマ装置。
【請求項8】
請求項1、2、3、5、6または7のいずれかに記載の削孔用ハンマ装置(1)と、
削孔用ハンマ装置(1)を立てた状態で保持することができ、削孔用ハンマ装置(1)に軸周方向の回転力を与える回転付与装置(9)と、
を備えた、
回転式削孔装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−281121(P2010−281121A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135943(P2009−135943)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(505046282)
【Fターム(参考)】