説明

前立腺に対して有益な治療薬を放出するための泌尿器科学的医療機器

【課題】前立腺に対して有益な治療薬を放出するための泌尿器科学的医療機器を提供する。
【解決手段】本発明の一態様によれば、泌尿器科学的医療機器が提供され、これは特にα-アドレナリン作動遮断剤、鎮痙薬、抗-コリン作動性/抗-ムスカリン薬、カルシウムチャンネル遮断剤、抗炎症薬、ホルモン作用薬、抗癌剤、およびこれらの組合せから選択される、前立腺に対して有益な薬剤を含む。該泌尿器科学的医療機器は、対象の尿路に移植または挿入して、該前立腺に対して有益な薬剤の少なくとも一部分を、該対象の尿道前立腺部内に放出するのに適したものである。該前立腺に対して有益な薬剤の放出プロフィールは、例えば特に悪性前立腺肥大、前立腺癌および前立腺炎等の前立腺疾患を治療するのに有効なものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には泌尿器科学的医療機器に係り、またより詳しくは治療薬を放出する、移植可能なまたは挿入可能な泌尿器科学的医療機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
男性の泌尿生殖器の解剖学的構造10を示す、図1を参照すると、前立腺20は、該男性の泌尿生殖器の解剖学的構造10における複雑な、クルミ-サイズの腺であり、これは、膀胱22のすぐ下に位置している。膀胱22の壁23は、弛緩し、また尿を貯蔵するために膨張し、尿道28を介して尿を排出するために収縮し、また平坦化し、また尿道は、膀胱22から、前立腺20を介してペニス24の端部まで伸びている。前立腺20によって包囲されている尿道28の部分は、尿道の前立腺セグメントまたは尿道前立腺部と呼ばれている。前立腺20は、また射精管をも取巻いており、そこで該射精管は尿道前立腺部28に入り込んでいる。性的興奮状態において、精子は、副睾丸27(睾丸(精巣)26の表面に付着している)を離れ、前立腺20の方向に、精管29によって搬送される。前立腺20の主機能は、精子に栄養液を供給して、射精中に精液を生成することにある。
【0003】
前立腺は、様々な疾患を被る部位である。例えば、男性群の大多数は、遅かれ早かれ前立腺のサイズ増加に関連する病気、即ち悪性前立腺肥大(BPH)として知られる状態に直面する。BPHの支配的な症状は、排尿の頻度および緊急度の増大、並びに最終的には完全な排尿不能に導く恐れのある、膀胱内における尿の滞留である。該状態は、生活の質を大幅に変えてしまう。その上、尿の滞留は、不可避的に尿路下部の感染に導き、この感染は腎臓へと進み、その原因(即ち、該BPHおよびこれに関連するに尿の滞留)を排除もしくは少なくとも減じない限り、腎不全および死に導く。
【0004】
前立腺癌は、米国における男性の最も一般的な癌であり、また肺癌に次いで、世界的に男性の、第二の最も一般的な死因である。幾つかの研究が、高い食物脂肪の摂取と高いテストステロンレベルとの間の相関関係を示したものの、前立腺癌の原因は未知である。その原因とは無関係に、前立腺癌は、死亡率、罹患率、および経済的な影響の観点から、益々大きなものとなる重大な世界的規模の健康に係る問題である。
【0005】
前立腺の炎症性疾患(前立腺炎)は、BPHおよび癌に次いて、最も重大な前立腺疾患である。この状態は、痛み(プロストジニア(prostodynia))および尿道分泌物の存在のために、生活の質を、大いに阻害する。前立腺炎は、全身的な抗生物質療法によって治療できるが、その治療期間は長く、また再発率が高い。これは、一部には該前立腺が、解剖学的並びに薬物動態学的観点両者の点で、循環系から比較的孤立しているためである。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一態様によれば、泌尿器科学的医療機器が提供され、これは、特にα-アドレナリン作動遮断剤、鎮痙薬、抗-コリン作動性/抗-ムスカリン薬、カルシウムチャンネル遮断剤、抗炎症薬、ホルモン作用薬、抗癌剤、およびこれらの組合せから選択される、少なくとも1種の前立腺に対して有益な薬剤を含む。該泌尿器科学的機器は、対象の尿路にこれを移植または挿入し、該前立腺に対して有益な薬剤の少なくとも一部分を、該対象の尿道前立腺部内に放出するのに適したものである。該前立腺に対して有益な薬剤のインビボ放出プロフィール(即ち、時間の関数として放出される該薬物の量)は、例えば特にBPH、前立腺炎または前立腺癌等の前立腺疾患を治療するのに有効なものである。
【0007】
本発明のもう一つの態様によれば、前立腺疾患の治療方法が提供され、該方法は、(a) 前立腺疾患に罹患した対象を診断する工程;および(b) 該対象に、少なくとも1種の前立腺に対して有益な薬剤を含む、泌尿器科学的医療機器を移植または挿入する工程を含む。該医療機器は、該前立腺疾患の治療にとって有効な放出プロフィールにて、少なくとも1種の該前立腺に対して有益な薬剤を、該対象の尿道前立腺部に放出するのに適したものである。
【0008】
本発明の更なる態様は、特に以下に列挙するものを包含する:
【0009】
態様1:泌尿器科学的医療機器であって、α-アドレナリン作動遮断剤、鎮痙薬、抗-コリン作動性/抗-ムスカリン薬、カルシウムチャンネル遮断剤、抗炎症薬、ホルモン作用薬、抗癌剤、およびこれらの組合せから選択される、前立腺に対して有益な薬剤を含み、該泌尿器科学的医療機器が、対象の尿路に移植または挿入して、悪性前立腺肥大、前立腺癌および前立腺炎から選択される前立腺疾患を治療するのに有効な放出プロフィールにて、該前立腺に対して有益な薬剤の少なくとも一部分を、該対象の尿道前立腺部内に放出するのに適したものであることを特徴とする、前記泌尿器科学的医療機器。
【0010】
態様2:前記泌尿器科学的医療機器が、細長い中実機器である、前記態様1記載の泌尿器科学的医療機器。
【0011】
態様3:前記泌尿器科学的医療機器が、細長い中空機器である、前記態様1記載の泌尿器科学的医療機器。
【0012】
態様4:前記泌尿器科学的医療機器が、前記対象内において、ラセン形状を呈するのに適したものである、前記態様1記載の泌尿器科学的医療機器。
【0013】
態様5:前記泌尿器科学的医療機器が、尿道ステント、カテーテルおよび排液チューブから選択される、前記態様1記載の泌尿器科学的医療機器。
【0014】
態様6:複数の異なる前立腺に対して有益な薬剤を含む、前記態様1記載の泌尿器科学的医療機器。
【0015】
態様7:前記前立腺に対して有益な薬剤が、カルシウムチャンネル遮断剤である、前記態様1記載の泌尿器科学的医療機器。
【0016】
態様8:前記カルシウムチャンネル遮断剤が、ベンゾチアゼピン、ジヒドロピリジン、アリールアルキルアミン、ピペラジン、およびこれらの組合せから選択される、前記態様1記載の泌尿器科学的医療機器。
【0017】
態様9:前記カルシウムチャンネル遮断剤が、ジルチアゼム、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ベプリジル、ベラパミル、ミベフラジル、これらの薬学的に有効な塩、およびこれらの組合せから選択される、前記態様7記載の泌尿器科学的医療機器。
【0018】
態様10:前記前立腺に対して有益な薬剤が、α-アドレナリン作動遮断剤である、前記態様1記載の泌尿器科学的医療機器。
【0019】
態様11:前記前立腺に対して有益な薬剤が、α-1-アドレナリン作動遮断剤である、前記態様1記載の泌尿器科学的医療機器。
【0020】
態様12:前記α-アドレナリン作動遮断剤が、ドキサゾシン、テラゾシン、これらの薬学的に有効な塩、およびこれらの組合せから選択される、前記態様11記載の泌尿器科学的医療機器。
【0021】
態様13:前記前立腺に対して有益な薬剤が、鎮痙薬である、前記態様1記載の泌尿器科学的医療機器。
【0022】
態様14:前記鎮痙薬が、フラボキセイトまたはその薬学的に有効な塩である、前記態様1記載の泌尿器科学的医療機器。
【0023】
態様15:前記前立腺に対して有益な薬剤が、抗-コリン作動性/抗-ムスカリン薬である、前記態様1記載の泌尿器科学的医療機器。
【0024】
態様16:前記抗-コリン作動性/抗-ムスカリン薬が、オキシブチニン、ヒヨスチン、トルテロジン(tolterodine)、その薬学的に有効な塩およびその組合せである、前記態様1記載の泌尿器科学的医療機器。
【0025】
態様17:前記前立腺に対して有益な薬剤が、抗-炎症薬である、前記態様1記載の泌尿器科学的医療機器。
【0026】
態様18:前記抗-炎症薬が、非-ステロイド系の抗-炎症薬である、前記態様17記載の泌尿器科学的医療機器。
【0027】
態様19:前記前立腺に対して有益な薬剤が、ホルモン作用薬である、前記態様1記載の泌尿器科学的医療機器。
【0028】
態様20:前記ホルモン作用薬が、ステロイド系および非-ステロイド系エストロゲン、ステロイド系および非-ステロイド系抗-アンドロゲン、黄体形成ホルモン放出ホルモン類似体、ゲストロゲン(gestrogens)、エンドセリン受容体アンタゴニスト、およびこれらの組合せから選択される、前記態様19記載の泌尿器科学的医療機器。
【0029】
態様21:前記ホルモン作用薬が、ジエチルスチルベストロール、エストラジオール、ブセレリン、ゴセレリン、ロイプロリド、酢酸メゲストロール、酢酸メドロキシプロゲステロン、ケトコナゾール、およびアミノグルテチミド、ビカルタミド(bicalutamide)、シプロテロン、酢酸クプロテン(cuprotene)、フルタミド、酢酸メドロキシプロゲステロン、ニルタミド、アトラセンタン(atrasentan)、これらの薬学的に有効な塩、およびこれらの組合せから選択される、前記態様19記載の泌尿器科学的医療機器。
【0030】
態様22:前記前立腺に対して有益な薬剤が、抗-新生物薬である、前記態様1記載の泌尿器科学的医療機器。
【0031】
態様23:前記抗-新生物薬が、抗-新生物性抗生物質、アルカロイド、ナイトロジェンマスタード、代謝拮抗物質、およびこれらの組合せから選択される、前記態様22記載の泌尿器科学的医療機器。
【0032】
態様24:前記抗-新生物薬が、ドキソルビシン、ミトキサントロン、ドセタキセル(docetaxel)、ビノレルビン、ゲムシタビン、およびこれらの組合せから選択される、前記態様22記載の泌尿器科学的医療機器。
【0033】
態様25:コルチコステロイド、P-グリコプロテインポンプ遮断剤、麻酔性および非-麻酔性鎮痛剤、局所麻酔剤、抗生物質、およびこれらの組合せから選択される補助薬を含み、その結果として該補助薬の少なくとも一部が、インビボにて放出される、前記態様1記載の泌尿器科学的医療機器。
【0034】
態様26:前記医療機器が、前記前立腺に対して有益な薬剤を含有する、ポリマー担体領域を含む、前記態様1記載の泌尿器科学的医療機器。
【0035】
態様27:前記ポリマー担体領域が、泌尿器科学的医療機器本体に相当する、前記態様26記載の泌尿器科学的医療機器。
【0036】
態様28:前記ポリマー担体領域が、下方の前記泌尿器科学的医療機器本体を、少なくとも部分的に覆っている層の形状にある、前記態様26記載の泌尿器科学的医療機器。
【0037】
態様29:前記ポリマー担体領域が、シリコーンポリマー、ポリウレタン、ポリエステルポリマー、およびアルケンポリマーから選択されるポリマーを含む、前記態様26記載の泌尿器科学的医療機器。
【0038】
態様30:前記ポリマー担体領域が、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、エチレン-メタクリル酸コポリマー、およびエチレン-アクリル酸コポリマーから選択されるアルケンポリマーを含む、前記態様26記載の泌尿器科学的医療機器。
【0039】
態様31:前記ポリマー担体領域が、生分解性ポリマーを含む、前記態様26記載の泌尿器科学的医療機器。
【0040】
態様32:前記非-ステロイド系抗-炎症剤が、ケトロラックおよび薬学的に許容されるその塩から選択される、前記態様18記載の泌尿器科学的医療機器。
【0041】
態様33:(a) 悪性前立腺肥大、前立腺癌および前立腺炎から選択される前立腺疾患に罹患した対象を診断する工程;および(b) 該対象に、前記態様1記載の機器を移植または挿入する工程を含むことを特徴とする、前立腺疾患の治療方法。
【0042】
本発明の利点は、様々なその可能な治療上の利益の中でも、特に前立腺の様々な疾患を治療する医療機器が提供される点にある。
【0043】
本発明のもう一つの利点は、前立腺に対して有益な薬剤を、局部的に適用できる点にあり、その結果、典型的には効能を発揮するためには、より多量の薬物を必要とする、全身的な薬物投与の必要性を回避することにある。この点に関連して、殆ど全ての治療剤は、副作用を持つ。
【0044】
本発明のこれらおよびその他の態様、実施例及び利点は、以下の明細書の記載、および添付した特許請求の範囲を精査することにより、当業者には即座に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、泌尿生殖器の解剖学的構造を、模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明のより完全な理解は、本発明の多数の態様および実施例に関する、以下の詳細な説明を参照することによって可能となる。以下の本発明に関する詳細な説明は、例示のためのものであり、本発明を限定するためのものではない。
【0047】
一態様において、本発明は、移植可能なまたは挿入可能な泌尿器科学的医療機器を提供し、この機器は、前立腺疾患を治療するのに有効なプロフィールにて、少なくとも1種の前立腺に対して有益な薬剤を放出するのに適している。ここで使用する用語「治療」(その様々な変形、例えば「治療する」、「治療している」、「治療された」等を含む)とは、(i) 前立腺疾患(例えば、BPH、前立腺炎、前立腺癌)と関連する症状の軽減または排除、および/または(ii) 前立腺疾患の完全なまたは実質的な排除を意味する。好ましい対象(「患者」とも言う)は、脊椎のある対象、より好ましくは哺乳動物としての対象およびより好ましくはヒトとしての対象である。
【0048】
ここで使用する用語「前立腺に対して有益な薬剤」とは、移植可能なまたは挿入可能な泌尿器科学的医療機器から放出する際に、ヒトおよび動物における前立腺疾患を治療するために、十分に安全かつ有効なものとして、米国フード&ドラッグアドミニストレーション(United States Food and Drug Administration)またはデパートメントオブアグリカルチャー(Department of Agriculture)によって承認されあるいは承認され得る薬剤を意味する。
【0049】
本発明と共に使用するための泌尿器科学的医療機器は、対象の尿管に配置することができ、また尿道前立腺部内に、治療薬を放出することを可能とする、任意の機器を含む。これらは、多くの様々な規則的および不規則的断面の中でも、特に円形(例えば、管状およびロッド-形状を持つ機器)、卵型、三角形、および矩形(例えば、リボン-型の機器)を包含する、様々な中実および中空断面の何れかを持つ長い機器を含む、様々な長い機器を包含する。その具体例は、特に泌尿器科学的ステント(例えば、尿道ステント)、泌尿器科学的カテーテル(例えば、排液カテーテル、案内カテーテル等)、ガイドワイヤ、泌尿器科学的スコープ(例えば、サイトスコープ、尿管スコープ、腎臓スコープ等)、パッチ(布片)、舗床(paving)構造、および注入可能な構造を含む。
【0050】
幾つかの実施例においては、ガイドワイヤに沿って前進させる、あるいはチャンネルを介して前進させるのに適した機器、例えば案内カテーテルまたはスコープと結合したものを提供する。
【0051】
幾つかの実施例においては、例えばガイドワイヤを取外した、あるいはチャンネルから出てきた(例えば、該材料の弾性的反発により)、あるいは熱または光等の外的な刺激を適用した(例えば、形状記憶材料、例えば形状記憶ポリマーを使用した場合)直後に、インビボにて特定の有益な形状を取る機器を使用することができる。例えば、該機器は、ラセン形状等の非線形の形状を取ることができる。このような構成は、例えば膀胱内に、コイルまたは他の定着要素を形成することにより、該医療機器を、該尿路内の所定位置に維持することを可能とする。定着要素のもう一つの例は、膀胱内で膨張する、バルーンである。
【0052】
本発明において使用する前立腺に対して有益な薬剤は、例えば特に以下に列挙するものから選択することができる:α-アドレナリン作動遮断剤、鎮痙薬、抗-コリン作動性/抗-ムスカリン薬、カルシウムチャンネル遮断剤、抗炎症薬、ホルモン作用薬、抗癌剤、およびこれらの組合せ。
【0053】
本発明において使用するα-アドレナリン作動遮断剤は、以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:特にアルフゾシン、アモスラロール、アロチノロール、ダピプラゾール、ドキサゾシン、メシル酸エルゴロイド、フェンスピリド、イダゾキサン、インドラミン、ラベタロール、マノテピル(manotepil)、ナフトピジル、ニセルゴリン(nicergoline)、プラゾシン、タムスロシン(Tamsulosin)、テラゾシン、トラゾリン、トリマゾシン、およびヨヒンビン、並びに薬学的に許容される塩、エステル、およびその他の誘導体およびこれらの組合せ。中でも、タムスロシン、アルフゾシン、ドキサゾシン、テラゾシン、プラゾシン、およびタムスロシンは、α-1-アドレナリン作動遮断剤であり、その内タムスロシンおよびアルフゾシンは、選択的α-1-アドレナリン作動遮断剤である。
【0054】
本発明において使用する鎮痙薬の例は、以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:特に、アリベンドール、アムブセタミド、アミノプロマジン、アポアトロピン、メチル硫酸ベボニウム、ビエタミベリン、ブタベリン、ブトロピウム、n-ブチルスコポランモニウム(n-butylscoporammonium)ブロミド、カロベリン、シメトロピウム、シンナメドリン、クレボブリド、シクロニウムアイオダイド、ジフェメリン、ジイソプロミン、酪酸ジオキサフェチル、臭化ジポニウム、ドロフェニン、臭化エメプロニウム、エタベリン、エトミドリン、フェクレミン、フェナラミド、フェノベリン、フェンピプラン、臭化フェンピベリニウム、臭化フェントニウム、フラボキサート、フロプロピオン、グルコン酸、ヒメクロモン、レイオピロール、メベベリン、モキサベリン、ナフィベリン、オクタミルアミン、オクタベリン、ペンタピペリド、フェナマシド(phenamacide)、フロログルシノール、ピナベリウム、ピペタナート、ピポキソラン塩酸塩、プラミベリン、臭化プリフィニウム、プロピロマジン、プロザピン、ラスフェミン(racefemine)、ロシベリン、臭化シントロピウム、スパスモリトール(spasmolytol)、スルトロポニウム、ヨウ化チエモニウム、チグロイジン、臭化チキジウム、チロプラミド、トレピブトン、トリクロミル(メチルクロモン)、トリフォリウム(trifolium)、トリメブチン、n,n-1-トリメチル-3,3-ジフェニル-プロピラミン、トロペンジル(tropenzile)、塩化トロスピウム、および臭化ゼノトロスピウム(xenotropium)、並びにこれらの薬学的に許容される塩、エステル、およびそのその他の誘導体およびこれらの組合せ。
【0055】
本発明において使用する抗-コリン作動性/抗-ムスカリン薬の例は、以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:特に、アジフェニン、アルベリン、アンブトノミウム(ambutonomium)、アミノペンタミド、アミキセトリン、リン酸アンプロトロピン、臭化メチルアニソトロピン(オクタトロピン)、アポアトロピン、アトロピン、アトロピンN-オキシド、ベナクチジン、ベナプリジン、ベンゼチミド、ベンジロニウム、メタンスルフォン酸ベンズアトロニウム、メチル硫酸ベボニウム、ビペリデン、ブトロピウム、臭化n-ブチルスコポランモニウム(n-butylscopolammonium)、ブゼピド、カミロフィン、カラミフェン、クロルベンゾキシアミン、クロルフェノキシアミン、シメトロピウム、クリジニウム、シクロドリン(cyclodrine)、シクロニウム、シクリミン、デプトロピン、デキセチミド、硫酸ジブトリン、ジサイクロミン、ジエタジン、ジフェメリン、ジヘキシベリン、メチル硫酸ジフェマニル、n-(1,2-ジフェニルエチル)ニコチンアミド、ジピプロベリン、ジポニウム、エメプロニウム、エンドベンジリン、エトプロパジン、エチベンズアトロピン、エチルベンズヒドラミン、エトミドリン、オイカトロピン、フェンピベリニウム、フェントニウム、フルトロピウム、グリコピリレート、ヘテロニウム、メチル硫酸ヘキソシクリウム、ホマトロピン、ヒヨスチアミン、イプラトロピウム、イソプロパミド、レボメペート(アトロメピン)、メクロキサミン、メペンゾラート、メトカラフェン(ネトリン)、メタンテリン、メチキセン、メススコポラミン、オクタミルアミン、オキシブチニン、オキシフェンサイクリミン、オキシフェノニウム、ペンタピペリド、ペンチエナート、フェンカルバミド、フェングルタルイミド、ピペンゾラート、ピペリドラート、ピペリラート、メチル硫酸ポルジン、プリジノール、プリフィニウム、プロシクリジン、プロパンテリン、プロペンゾラート(オキシクリピン)、プロピベリン(propiverine)、プロピロマジン、スコポラミン(ハイオシン)、スコポラミンN-オキシド、ストラモニウム、スルトロポニウム、チフェナミル、チエモニウム、チメピジウム、チキジウム、トルテロジン(tolterodine)、ヨウ化トリジヘキセチル、トリヘキシフェニジル塩酸塩、トリメブチン、トロパシン、トロペンジル(tropenzile)、トロピカミド、トロスピウム、バレタメート、バミカミド(vamicamide)、キセニトロピウム、並びにこれらの薬学的に許容される塩、エステル、およびそのその他の誘導体およびこれらの組合せ。
【0056】
本発明において使用するカルシウムチャンネル遮断剤の例は、特に以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:アリールアルキルアミン(フェニルアルキルアミンを含む)、例えばベラパミル、ガロパミル、ベプリジル、クレンチアゼム、フェンジリン、ミベフラジル(mibefradil)、プレニラミン、セモチアジル(semotiadil)、およびテロジリン;ベンゾチアゼピン、例えばジルチアゼム;ジヒドロピリジン誘導体(1,4-ジヒドロピリジン誘導体を含む)、例えばアムロジピン、アラニジピン(aranidipine)、バルニジピン(barnidipine)、ベニジピン、シルニジピン(cilnidipine)、エフォニジピン(efonidipine)、エルゴジピン、フェロジピン、イスラジピン、ラシジピン、レルカニジピン(lercanidipine)、マニジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニルバジピン、ニモジピン、ニソルジピンおよびニトレンジピン;ピペラジン誘導体、例えばシンナリジン、ドタリジン、フルナリジン、リドフラジンおよびロメリジン(lomerizine);他のカルシウムチャンネル遮断剤、例えばベンシクラン、エタフェノン、ファントファロン(fantofarone)、モナテピル(monatepil)およびペルヘキシリン;並びにこれらの薬学的に許容される塩、エステル、およびその他の誘導体、およびこれらの組合せ。
【0057】
抗-炎症薬は、ステロイド系および非-ステロイド系抗-炎症薬を含む。本発明において使用する非-ステロイド系抗-炎症薬は、特に以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:アミノアリールカルボン酸誘導体、例えばエンフェナム酸、エトフェナマート、フルフェナム酸、イソニキシン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルム酸、タルニフルマート、テロフェナマートおよびトルフェナム酸(tolfenamic acid);アリール酢酸誘導体、例えばアセメタシン、アルクロフェナク、アムフェナク、ブフェキサマック、シンメタシン、クロピラク、ジクロフェナクナトリウム、エトドラク、フェルビナク、フェンクロフェナク、フェンクロラク、フェンクロジン酸、フェンチアザク、グルカメタシン、イブフェナック、インドメタシン、イソフェゾラク、イソキセパック、ロナゾラク、メチアジン酸、オキサメタシン、プログルメタシン、スリンダク、チアラミド、トルメチンおよびゾメピラク;アリール酪酸誘導体、例えばブマジゾン、ブチブフェン、フェンブフェンおよびキセンブシン;アリールカルボン酸誘導体、例えばクリダナク、ケトロラクおよびチノリジン;アリールプロピオン酸誘導体、例えばアルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロクス酸、カルプロフェン、フェノプロフェン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、イブプロキサム、インドプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン(loxoprofen)、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピケトプロフェン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、スプロフェンおよびチアプロフェン酸;ピラゾール、例えばジフェナミゾールおよびエピリゾール;ピラゾロン、例えばアパゾン(アザプロパゾン)、ベンズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、モラゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピペブゾン、プロピフェナゾン、ラミフェナゾン、スキシブゾンおよびチアゾリノブタゾン;サリチル酸およびその誘導体、例えばアセトアミノザロール、アスピリン、ベノリラート、ブロモサリゲニン(bromosaligenin)、アセチルサリチル酸カルシウム、ジフルニサル、エテルサラート、フェンドサール、ゲンチジン酸、グリコールサリチレート、イミダゾールサリチレート、リジンアセチルサリチレート、メサラミン(メサラジン)、モルホリンサリチレート、1-ナフチルサリチレート、オルサラジン、パルサルミド、フェニルアセチルサリチレート、フェニルサリチレート、サラセタミド、サリチルアミンO-酢酸、サリチル硫酸、サルサラートおよびスルファサラジン;チアジンカルボキサミド、例えばドロキシカム、イソキシカム、ピロキシカムおよびテノキシカム;その他、例えばε-アセタミドカプロン酸、s-アデノシルメチオニン、3-アミノ-4-ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン、ベンダザック、ベンジダミン、ブコローム、ジフェンピラミド、ジタゾール、エモルファゾン、グアヤアズレン、ナブメトン、ニメスリド、オルゴテイン、オキサセプロール、パラニリン(paranyline;レニトリン)、ペリソキサール、ピフォキシム、プロカゾン、プロキサゾールおよびテニダプ;並びにこれらの薬学的に許容される塩、エステル、およびそのその他の誘導体およびこれらの組合せ。
【0058】
本発明において使用するステロイド系抗-炎症薬(グルココルチコイド)は、特に以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:21-アセトキシプレフネノロン(acetoxyprefnenolone)、アルクロメタゾン、アルゲストン、アミシノニド(amicinonide)、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニゾン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾル、デフラザコルト(アザコルト)、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、エノキソロン、フルアザコルト、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、フルペロロンアセテート、フルプレドニデンアセテート、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド(フルドロキシコルチド)、プロピオン酸フルチカゾン、フォルモコルタール、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール(halobetasol)、ハロメタゾン、酢酸ハロプレドン、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、ロテプレドノールエタボネート(loteprednol etabonate)、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾンフロエート、パラメタゾン、プレドニカルバート、プレドニゾロン、プレドニゾロン25-ジエチルアミノアセテート、プレドニゾンナトリウム硫酸、プレドニゾン、プレドニバル、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトール、トリアムシニロン、トリアムシニロンアセトニド、トリアムシニロンベネトニド、トリアムシニロンヘキサセトニド、並びにこれらの薬学的に許容される塩、エステル、およびそのその他の誘導体およびこれらの組合せ。
【0059】
本発明において使用するホルモン作用薬は、特に以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:(a) 非-ステロイド系エストロゲン、例えばベンゼストロール、ブロパレストロール(broparoestrol)、クロロトリアニセン、ジエンエストロール、ジエチルスチルベストロール、ジメストロール(dimestrol)、ホスフェストロール、ヘキセストロール、メタレネストリル、およびメテストロール、(b) ステロイド系エストロゲン、例えばコルポルモン、抱合エストロゲンホルモン、エクイレニン、エクイリン、エストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジオール、メストラノール、モキセストロール、マイタトリエンジオール、キネストラジオール(quinestradiol)、およびキネストロール、(c) 黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)類似体、例えばブセレリン、デスロレリン、ゴセレリン、ヒストレリン(histrelin)、ロイプロリド、ナファレリン、およびトリプトレリン、(d) 他のホルモン作用薬、例えばゲストロゲン(gestrogens)、例えば酢酸メゲストロールおよび酢酸メドロキシプロゲステロン、ケトコナゾールおよびアミノグルテチミド、(e)ステロイド系および非-ステロイド系抗-アンドロゲン、例えばビカルタミド(bicalutamide)、ビフルラノール、キオテロネル(cioteronel)、シプロテロン、クプロテン(cuprotene)アセテート、酢酸デルマジノン、フルタミド、酢酸メドロキシプロゲステロン、ニルタミド、オサテロン(osaterone)、およびオキセンドロン、および(f) アトラセンタン(atrasentan)、zd4054、およびym598を含む、エンドテリンレセプタアンタゴニスト、並びにこれらの薬学的に許容される塩、エステル、およびそのその他の誘導体およびこれらの組合せ。
【0060】
本発明において使用する抗-新生物剤の例は、特に以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:(a) 抗-新生物性抗生物質、例えばアクラシノマイシン、アクチノマイシンF1、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カルビシン、カルチノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-1-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、メノガリル、ミトキサントロン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ピラルビシン、プリカマイシン、ポルフィロマイシン、プロマイシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ジノスタチン、およびゾルビシン、(b) アルカロイド、例えばドセタキセル、エトポシド、イリノテカン(irinotecan)、パクリタクセル、テニポシド、トポテカン(topotecan)、ビンブラスチン、ビンデシン、およびビノレルビン、(c) ナイトロジェンマスタードを含むアルキル化剤、(d) ピリミジン類似体、例えばゲムシタビンを含む代謝拮抗物質、並びにこれらの薬学的に許容される塩、エステル、およびそのその他の誘導体およびこれらの組合せ。
【0061】
他の前立腺に対して有益な薬剤は、上記諸特性の2またはそれ以上の組合せを持つ。このような薬剤の具体的な一例は、エストラムスチンホスフェートナトリウムであり、これはエストラジオールとナイトロジェンマスタードとが、カルバメート結合によって結合されている分子である。
【0062】
1種またはそれ以上の前立腺に対して有益な薬剤に加えて、本発明の泌尿器科学的医療機器は、また1種またはそれ以上の随意の補助薬(その幾つかは、前立腺に対して有益な特性をも持つことができる)を含むことができる。
【0063】
このような随意の補助薬は、例えば、特にコルチコステロイド、P-糖タンパク質ポンプ遮断剤、麻酔性および非-麻酔性鎮痛薬、局所麻酔剤、抗生物質、およびこれらの組合せ等の補助的治療薬を含むことができる。また、このような補助的治療薬は、本発明の泌尿器科学的機器とは独立に、例えば全身的投与または他の局所的な投与態様により投与することができる。
【0064】
本発明において使用するコルチコステロイドの例は、以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:特に、ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、デフラザコート(deflazacort)、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニソロン、プレドニソロン、プレドニゾンおよびトリアムシノロン、並びにこれらの製薬上許容される塩、エステルおよびその他の誘導体、およびこれらの組合せ。
【0065】
本発明において使用するP-糖タンパク質ポンプ遮断剤の例は、以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:特に、タリキダー(tariquidar)(XR9576)、ゾスキダー(zosuquidar)、ラニキダー(laniquidar)およびONT-093、並びにこれらの製薬上許容される塩、エステルおよびその他の誘導体、およびこれらの組合せ。
【0066】
本発明において使用する麻酔性鎮痛薬の例は、以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:特に、コデイン、モルフィン、フェンタニル、メペリジン、プロポキシフェン、レボルファノール、オキシコドン、オキシモルフォン、ヒドロモルフォン、ペンタゾシン、およびメタドン、並びにこれらの製薬上許容される塩、エステルおよびその他の誘導体およびこれらの組合せ。
【0067】
本発明において使用する非-麻酔性鎮痛薬の例は、以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:特に、鎮痛薬、例えばアセタミノフェン、および非-ステロイド系抗炎症性薬剤、例えばアスピリン、ジフルーニサル、サルサレート、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセンインドメタシン、セレコキシブ(celecoxib)、バルデコキシブ(valdecoxib)、ジクロフェナク、エトドラック、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトロラック、メクロフェナメート、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、スリンダック、トルメチンおよびバルデコキシブ、並びにこれらの製薬上許容される塩、エステルおよびその他の誘導体、およびこれらの組合せ。
【0068】
本発明において使用する局所麻酔剤の例は、以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:特に、ベンゾカイン、コカイン、リドカイン、メピバカイン、およびノバカイン、並びにこれらの製薬上許容される塩、エステル、およびその他の誘導体およびこれらの組合せ。
【0069】
本発明において使用する抗生物質の例は、以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:特に、ペニシリン(例えば、ペニシリンG、メチシリン、オキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、チカルシリン等)、セファロスポリン(例えば、セファロチン、セファゾリン、セフォキシチン、セフォタキシム、セファクロル、セフォペラゾン、セフィキシム、セフトリアキソン、セフロキシム等)、カルバペネム(carbapenems)(例えば、イミペネム、メトロペネム等)、モノバクタム(monobactems)(例えば、アズトレオナム等)、カルバセフェム(carbacephems)(例えば、ロラカルベフ(loracarbef)等)、グリコペプチド(例えば、バンコマイシン、テイコプラニン等)、バシトラシン、ポリミキシン、コリスチン、フルオロキノロン(例えば、ノルフルキサシン、ロメフロキサシン、フレロキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシン、トロバフロキサシン、ガチフロキサシン(gatifloxacin)等)、スルホンアミド(例えば、スルファメトキサゾール、スルファニルアミド等)、ジアミノピリミジン(例えば、トリメトプリム等)、リファンピン、アミノグリコシド(例えば、ストレプトマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、アミカシン等)、テトラサイクリン(例えば、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、デメクロサイクリン、ミニサイクリン等)、スペクチノマイシン、マクロライド(例えば、エリスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、トリアセチルオレアンドマイシン等)、およびオキサゾリジノン(例えば、リネゾリド(linezolid)等)、並びにこれらの製薬上許容される塩、エステルおよびその他の誘導体、およびこれらの組合せ。
【0070】
多くの上記したおよびその他の前立腺に対して有益な薬剤および補助的治療薬は、例えばザメルクインデックス(The Merck Index),第13版, M.J. O'Neil(シニアエディター),メルクリサーチラボラトリーズ(Merck Research Laboratories)社刊, 2001に見出すことができる。
【0071】
補助薬の他の例は、造影剤を含む。
【0072】
例えば、X-線透視検査技術は、患者内の動静を、実時間での患者の監視を可能とする、診断的撮像技術である。透視技術により可視化するために、機器および/または組成物は、典型的に周囲の組織よりもX-線に対してより吸収性のものとする(例えば、放射線不透過性物質)。本発明の様々な実施例において、これは、造影剤の使用によって達成される。X-線透視検査技術との組合せで使用される造影剤の例は、特に金属、金属塩および酸化物(特に、ビスマス塩および酸化物)、およびヨウ素化化合物を包含する。このような造影剤のより具体的な例は、特にタングステン、プラチナ、タンタル、イリジウム、金、または他の重質金属、硫酸バリウム、ビスマス次炭酸塩、ビスマストリオキシド、ビスマスオキシクロライド、メトリザミド、イオパミドール、ナトリウムイオタラメート、ナトリウムヨードマイド(iodomide)、およびメグルミンを包含する。
【0073】
超音波技術は、生きた細胞の画像を生成するために、高周波数の音波を使用する。音波シグナルを送出し、反射される超音波エネルギーまたは「エコー」を利用して、該画像を生成する。超音波造影剤は、超音波装置によって生成される画像を増強する物質である。超音波造影剤は、例えばエコー源性(即ち、該反射超音波エネルギーの増加をもたらす物質)またはエコールーセント(即ち、該反射超音波エネルギーの減少を結果する物質)であり得る。本発明との関連で使用するのに適した超音波造影剤は、約0.01〜50μmなる範囲の、より典型的には約0.5〜20μmなる範囲の最大寸法(例えば、球状粒子を用いた場合の、直径)を持つ固体粒子を含む。無機および有機粒子両者を使用することができる。その例は、特に炭酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、ポリ(乳酸)、およびポリ(グリコール酸)の微粒子/微小球を含む。撮像技術において公知の如く、超音波造影剤として、マイクロバブルを使用することも可能である。
【0074】
磁気共鳴映像法(MRI)は、撮像すべき人体部分における、検出可能な磁性種を識別することにより映像を形成する。1H MRIの場合、該検出可能な種は、プロトン(水素原子核)である。対象とする領域における検出可能な種の、周囲環境における検出可能な種からの識別性を高めるために、しばしば造影剤が使用される。これら造影剤は、該周囲環境におけるプロトンの磁気的環境に相対的に、該対象とする領域における検出可能なプロトンの磁気的環境を変更し、結果として該対象とする領域の像を、コントラストが高く、かつより良好なものとすることを可能とする。コントラストを高めたMRIに関して、該造影剤は、大きな磁気モーメントを持ち、比較的長い電子緩和時間を持つことが望ましい。これらの基準に基いて、造影剤、例えばGd(III)、Mn(II)およびFe(III)が使用されている。ガドリニウム(III)は、これら3種の造影剤の中で最大の磁気モーメントを持ち、またその結果として、MRIにおいてコントラストを高めるために、広く使用されている常磁性種である。常磁性イオンのキレート、例えばGd-DTPA(リガンドであるジエチレントリアミンペンタ酢酸でキレート化されたガドリニウムイオン)が、MRI造影剤として使用されている。該ガドリニウムまたは他の常磁性イオンのキレート化は、該常磁性金属をより生体適合性とすることにより、その毒性を減じるものと考えられており、また該対象とする領域に対する該造影剤の分布の局在化を助けることができる。これに関する更なる情報は、例えば「磁気共鳴映像法の下で見ることのできる、移植可能なまたは挿入可能な医療機器(Implantable or insertable medical devices visible under magnetic resonance imaging)」と題する、米国特許出願第2003/0100830号に見出すことができる。この特許出願の開示を、参考としてここに組入れる。
【0075】
本発明の幾つかの態様において、1またはそれ以上の薬剤(例えば、前立腺に対して有益な薬剤、随意の補助薬、例えば補助的治療薬および補助的造影剤等)を、ポリマー担体領域に配合する。ここで使用するポリマー担体領域なる用語は、1種またはそれ以上のポリマーおよび1種またはそれ以上の薬剤を含むポリマー担体領域を意味し、該薬剤は、インビボにて該ポリマー担体領域から放出されるものでも、そうでなくてもよい。該ポリマー担体領域は、例えば泌尿器科学的医療機器全体、または泌尿器科学的医療機器の一部に相当するものであり得る。例えば、該ポリマー担体領域は、数多くの様々な可能性の中で、医療機器本体(例えば、ステント本体)、泌尿器科学的医療機器の要素、泌尿器科学的医療機器に組込まれた1またはそれ以上の繊維、あるいは下部の基板(例えば、泌尿器科学的医療機器本体)の全体またはその一部に形成された、1またはそれ以上のポリマー層の形状であり得る。層は、様々な位置および様々な形状(例えば、一連の矩形、ストライプまたは任意の他の連続または不連続のパターンの形状)にある、下部の基板上に与えることができる。ここで使用する、所定の物質の「層」とは、長さおよび幅両者に比して、小さな厚みを持つ、該物質の領域を意味する。ここで使用する層とは、平坦、例えば下部の基板の輪郭を取っているものである必要はない。層は、不連続(例えば、パターン化されたもの)であり得る。用語「フィルム」、「層」および「被膜」は、ここでは互換的に使用できる。
【0076】
「ポリマー領域」とは、1種以上の型のポリマーを含む領域(例えば、被覆層、機器の要素、機器本体等)を意味する。「担体領域」とは、1種またはそれ以上の薬剤、例えば前立腺に対して有益な薬剤および随意の補助薬、例えば特に上記したもの等から選択される薬剤を含有する領域を意味する。「ポリマー担体領域」とは、1種またはそれ以上のポリマーおよび1種またはそれ以上の薬剤を含有する領域を意味する。
【0077】
上記の如く、「ポリマー」領域とは、例えば50質量%またはそれ以下から、75質量%まで、90質量%まで、95質量%まで、97.5質量%まで、99質量%までのポリマーあるいはそれ以上のポリマーを含む領域を意味する。
【0078】
ここで使用する「ポリマー」とは、一般的にモノマーと呼ばれる、1種またはそれ以上の構成単位の、多数のコピー(例えば、2乃至5まで、10まで、25まで、50まで、100まで、250まで、500まで、1000まで、あるいはそれ以上のコピー)を含む分子を意味する。
【0079】
ポリマーは、多数の構成をとることができ、該構成は、例えば環状、線状、分岐状、および網状(例えば、架橋された)の構成から選択することができる。分岐状の構成は、星-型の形状(例えば、単一の分岐点から3またはそれ以上の鎖が放射状に伸びる形状、例えば開始剤分子または連結分子残基)、櫛型の構成(例えば、主鎖と複数の側鎖とを持つ構成)、樹枝状構成(例えば、樹枝状ポリマーおよび超分岐化ポリマー)等を包含する。
【0080】
ここで使用する「ホモポリマー」とは、単一の構成単位の、多数のコピーを含むポリマーである。「コポリマー」とは、少なくとも2種の異なる構成単位の、多数のコピーを含むポリマーであり、その例は、ランダム、統計的(ランダム)、グラジエント、周期的(例えば、交互)およびブロックコポリマーを含む。ここで使用する用語「ブロックコポリマー」とは、例えば1ポリマーブロックにおける構成単位(即ち、モノマー)が、別のポリマーブロックには見られないことから、組成において異なる、2またはそれ以上のポリマーブロックを含むコポリマーである。ここで使用する「ポリマーブロック」とは、一群の構成単位(例えば、2乃至5まで、10まで、25まで、50まで、100まで、250まで、500まで、1000まで、あるいはそれ以上の単位)である。ブロックは、分岐または非-分岐であり得、またこれらは、網状構造(例えば、架橋による)を持つものであり得る。ブロックは、単一の型の構成単位を含むもの(ここでは「ホモポリマーブロック」とも呼ぶ)、または例えばランダム、統計的(ランダム)、グラジエント、または周期的(例えば、交互)分布を与えることのできる、複数の型の構成単位を含むもの(ここでは「コポリマーブロック」とも呼ぶ)を含むことができる。
【0081】
本発明において使用するポリマーは、例えば様々な熱可塑性ポリマー、弾性ポリマー、および熱可塑性-弾性ポリマーから選択することができる。
【0082】
本発明において使用するポリマーは、例えばシリコーンポリマー、ポリウレタン、シリコーン-ポリウレタンコポリマー、ポリエステル、およびアルケンポリマーから選択することができる。
【0083】
シリコーンポリマー(ポリシロキサンとも呼ばれる)は、1種またはそれ以上の型の、以下の式で示されるシロキサン単位:

(ここで、R1およびR2は、同一または異なっていてもよく、また例えば1〜10個の炭素原子を持つ直鎖、分岐および環式アルキル基、芳香族基およびアルキル-芳香族基を表す)、および5またはそれ以上、典型的には10乃至25まで、50まで、100まで、250まで、500まで、1000まであるいはそれ以上のシロキサン単位を含むポリマーである。その例は、数多くあるが、特にポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、およびポリジフェニルシロキサンを包含する。
【0084】
一般に、ポリウレタンは、多官能性イソシアネート(例えば、脂肪族および芳香族ジイソシアネート両者を含むジイソシアネート)と、ポリオール(マクログリコール、例えばマクロジオールとも呼ばれる)とから合成される一群のポリマーである。一般的に使用されるマクログリコールは、ポリエステルグリコール、ポリエーテルグリコールおよびポリカーボネートグリコールを含む。典型的には、連鎖延長剤として、脂肪族または芳香族ジオールをも使用して、例えば上記の如き有用な物性を、生成するポリマーに付与する。ジオール連鎖延長剤の例は、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ベンゼンジメタノール、ヒドロキノンジエタノールおよびエチレングリコールを含む。ポリウレタンは、一般的に使用したマクログリコールの型に基いて分類され、ポリエステルグリコールを含むものはポリエステルポリウレタンと呼ばれ、ポリエーテルグリコールを含むものはポリエーテルポリウレタンと呼ばれ、またポリカーボネートグリコールを含むものはポリカーボネートポリウレタンと呼ばれる。ポリウレタンは、また一般的にその処方におけるジイソシアネート成分の化学的特性を基準として、芳香族または脂肪族ポリウレタンとも呼ばれる。例えば、Belliveau等による、米国特許出願第2004/0131863号は、脂肪族ポリカーボネートポリウレタンを記載しており、これらは、(a) ヒドロキシ末端を持つポリカーボネート、(b) 脂肪族ジイソシアネートおよび(c) 低級脂肪族連鎖延長剤の反応生成物である。ヒドロキシ末端を持つポリカーボネートポリオールは、米国特許第4,131,731号に記載されているように、グリコールとカーボネートとを反応させることにより製造できる。適当な脂肪族ジイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、およびダイマー酸ジイソシアネート(DDI)を含むが、HMDIが好ましいとされている。適当な連鎖延長剤は、約2〜約10個の炭素原子を持つ、低級脂肪族グリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキノンジ(ヒドロキシエチル)エーテル、ネオペンチルグリコール等を含み、1,4-ブタンジオールが好ましいとされている。
【0085】
ポリエステルは、多数の他のポリマーの中で、特にポリカーボネートおよびポリエチレンテレフタレートを含む。ポリカーボネートは、カルボン酸誘導体と、芳香族、脂肪族、または混合ジオールとの反応により誘導される。これらは、例えば適当な塩化水素レセプタの存在下でホスゲンとジオールとを反応させることによって、あるいはジオールとカーボネートエステルとの間のメルトエステル交換反応により製造できる。ポリカーボネートは、広範囲の出発物質から製造できる。例えば、通常のポリカーボネートであるビスフェノールAは、ビスフェノールAとホスゲンとを縮合により反応させることによって製造される、ポリカーボネートである。ポリカーボネートに関する更なる情報については、米国特許第5,580,924号およびそこに引用されている文献を参照のこと。ポリエチレンテレフタレートは、例えばエチレングリコールとテレフタレートとの間の縮合により、あるいはエチレングリコールとジメチルテレフタレートとの間のエステル交換反応によって製造できる。
【0086】
シリコーンポリウレタンコポリマーは、エラスト-エオン(Elast-Eon(登録商標))ポリマー(アオルテックインターナショナル(AorTech International) plc)を含む。
【0087】
更なるポリマーは、アルケンモノマー自体のホモポリマーおよび該モノマー自体の、および/または該モノマーと様々な他のモノマーとのコポリマーを含み、該他のモノマーは、特にビニル芳香族モノマー、例えばスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、および酢酸ビニルから選択される。特に、アルケンモノマーの例は、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、ジエン、例えば1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、4-ブチル-1,3-ペンタジエン、2,3-ジブチル-1,3-ペンタジエン、2-エチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-オクタジエン、および3-ブチル-1,3-オクタジエンを含む。アルケンコポリマーの具体的な例は、数ある中でも、特にポリ(エチレン-co-酢酸ビニル)(EVA)、ポリ(エチレン-co-メタクリル酸)、ポリ(エチレン-co-アクリル酸)、およびポリ(イソブチレン-co-スチレン)を含む。EVAコポリマーとしては、約0.5%乃至1%まで、2%まで、5%まで、15%まで、20%まで、30%まで、40%までまたはそれ以上の、酢酸ビニルの割合(質量%)を含む、ランダムおよび他のコポリマーが含まれる。一般に、該酢酸ビニルの含有率が高いほど、該EVAの剛性およびデュロメータでの硬度は低い。
【0088】
幾つかの実施例において、生分解性ポリマーが、本発明において使用され、これらは、例えば特にポリエステル、ポリ無水物、および/またはアミノ酸を主成分とするポリマーを含むことができる。具体的な生分解性ポリマーは、特に、以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:(a) 特に、ポリエステルホモポリマーおよびコポリマー、例えばポリグリコライド、ポリ-L-ラクチド、ポリ-D-ラクチド、ポリ-D,L-ラクチド、ポリ(β-ヒドロキシブチレート)、ポリ-D-グルコネート、ポリ-L-グルコネート、ポリ-D,L-グルコネート、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(δ-バレロラクトン)、ポリ(p-ジオキサノン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(ラクチド-co-グリコライド)(PLGA)、ポリ(ラクチド-co-δ-バレロラクトン)、ポリ(ラクチド-co-ε-カプロラクトン)、ポリ(ラクチド-co-β-リンゴ酸)、ポリ(ラクチド-co-トリメチレンカーボネート)、ポリ(グリコライド-co-トリメチレンカーボネート)、ポリ(β-ヒドロキシブチレート-co-β-ヒドロキシバレレート)、ポリ[1,3-ビス(p-カルボキシフェノキシ)プロパン-co-セバシン酸]、ポリ(セバシン酸-co-フマール酸)、およびポリ(オルトエステル)、例えば様々なジケテンアセタールとジオールとを共重合することにより得られるもの;(b) 特に、ポリ無水物ホモポリマーおよびコポリマー、例えばポリ(無水アジピン酸)、ポリ(無水スベリン酸)、ポリ(無水セバシン酸)、ポリ(無水ドデカンジオン酸)、ポリ(無水マレイン酸)、ポリ[1,3-ビス(p-カルボキシフェノキシ)メタン無水物]、およびポリ[α,ω-ビス(p-カルボキシフェノキシ)アルカン無水物]、例えばポリ[1,3-ビス(p-カルボキシフェノキシ)プロパン無水物]およびポリ[1,3-ビス(p-カルボキシフェノキシ)ヘキサン無水物];および(c) 特に、アミノ酸を主成分とするホモポリマーおよびコポリマー、例えばチロシンを主成分とするポリアリーレート(例えば、ジフェノールと二酸との、エステル結合により結合されたコポリマー、ここで該ジフェノールは、例えばデアミノチロシルチロシンのエチル、ブチル、ヘキシル、オクチルおよびベンジルエステルから選択され、また該二酸は、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸およびセバシン酸から選択される)、チロシンを主成分とするポリカーボネート(例えば、ホスゲンと、例えばデアミノチロシルチロシンのエチル、ブチル、ヘキシル、オクチルおよびベンジルエステルから選択されるジフェノールとの重縮合によって製造されるコポリマー)、およびロイシンおよびリジンを主成分とするポリエステルアミド。ここで、チロシンを主成分とするポリマーの具体例は、ポリ(デアミノチロシル-チロシンエチルエステルアジペート)またはポリ(DTEアジペート)、ポリ(デアミノチロシル-チロシンヘキシルエステルサクシネート)またはポリ(DTHサクシネート)、ポリ(デアミノチロシル-チロシンエチルエステルカーボネート)またはポリ(DTEカーボネート)、ポリ(デアミノチロシル-チロシンブチルエステルカーボネート)またはポリ(DTBカーボネート)、ポリ(デアミノチロシル-チロシンヘキシルエステルカーボネート)またはポリ(DTHカーボネート)、およびポリ(デアミノチロシル-チロシンオクチルエステルカーボネート)またはポリ(DTOカーボネート)を含む。
【0089】
幾つかの実施例においては、ヒドロゲルポリマーが、本発明において使用される。これらは、例えば米国特許第6,316,522号、同第6,261,630号、同第6,184,266号、同第6,176,849号、同第6,096,018号、同第6,060,534号、同第5,702,754号、同第5,693,034号および同第5,304,121号に記載されているヒドロゲルポリマーを含む。これら米国特許の開示を、ここに参考として組み入れる。ヒドロゲルポリマーの具体例は、必ずしも上記の章におけるポリマーを排除するものではなく、特に以下に列挙するものを包含する:ポリアクリレート、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリアクリルアミド、ポリ(N-アルキルアクリルアミド)、ポリアルキレンオキサイド、例えばポリ(エチレンオキサイド)およびポリ(プロピレンオキサイド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(芳香族ビニル化合物)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(エチレンアミン)、ポリアクリロニトリル、ポリ(ビニルスルホン酸)、ポリアミド、ポリ(L-リジン)、親水性ポリウレタン、無水マレイン酸ポリマー、タンパク質、コラーゲン、セルロースポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、カルボキシメチルデキストラン、変性デキストラン、アルギン酸塩、アルギン酸、ペクチニン酸、ヒアルロン酸、キチン、プルラン、ゼラチン、ゲラン(gellan)、ザンタン、カルボキシメチルデンプン、コンドロイチン硫酸、グアー、デンプンおよびこれらのブレンド、コポリマーおよび誘導体。
【0090】
ヒドロゲルポリマーを架橋する様々な方法が知られており、例えば(a) ヒドロゲルポリマー鎖に沿った官能基との反応によって、該ヒドロゲルポリマー鎖を架橋する、多官能性架橋剤による共有結合的架橋および/または(b) 例えば多価イオンを用いたイオンによる架橋を含む。その他の架橋法、例えば該ヒドロゲルポリマーを、適当な周波数の光に暴露することにより架橋する方法等も利用することができる。従って、本発明により有用なヒドロゲルポリマーは、イオン的に架橋し、共有結合的に架橋し、イオン的かつ共有結合的に架橋し、あるいは当分野において公知の他の方法によって架橋することができる。多官能性架橋剤は、該ヒドロゲルポリマー中の官能基と反応する、少なくとも2つの官能基を持つ任意の化合物であり得る。該ヒドロゲルポリマーを、イオン的に架橋するのに使用される架橋イオンは、該ポリマーがアニオン的あるいはカチオン的の何れにより架橋可能であるかに依存して、アニオンまたはカチオンであり得る。共有結合性およびイオン性架橋剤は、該ヒドロゲルの分野において周知である。
【0091】
本発明において使用する更なるポリマーは、例えば以下に列挙する適当な構成員から選択することができる(該ポリマーは、必ずしも上記のものを排除する必要はない):特に、ポリアクリル酸を包含するポリカルボン酸ポリマーおよびコポリマー;アセタールポリマーおよびコポリマー;アクリレートおよびメタクリレート(例えば、n-ブチルメタクリレート)ポリマーおよびコポリマー;セルロースアセテート、セルロースニトレート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セロファン、レーヨン、レーヨントリアセテート、およびセルロースエーテル、例えばカルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシアルキルセルロースを包含する、セルロースポリマーおよびコポリマー;ポリオキシメチレンポリマーおよびコポリマー;ポリイミドポリマーおよびコポリマー、例えばポリエーテルブロックイミドおよびポリエーテルブロックアミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、およびポリエーテルイミド;ポリアリールスルホンおよびポリエーテルスルホンを包含するポリスルホンポリマーおよびコポリマー;ナイロン6,6、ナイロン12、ポリカプロラクタムおよびポリアクリルアミドを包含するポリアミドポリマーおよびコポリマー;アルキド樹脂、フェノール樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アリル樹脂、およびエポキシド樹脂を包含する樹脂;ポリカーボネート;ポリアクリロニトリル;ポリビニルピロリドン(架橋されたものおよびその他のもの);ポリビニルアルコール、ポリビニルハライド、例えばポリビニルクロライド、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリビニリデンクロライド、ポリビニルエーテル、例えばポリビニルメチルエーテル、ポリスチレン、スチレン-マレイン酸無水物コポリマー、ビニル芳香族アルケンコポリマー、例えばスチレン-ブタジエンコポリマー、スチレン/エチレン/ブチレンコポリマー(例えば、クレートン(Kraton(登録商標)) Gシリーズポリマーとして入手できる、ポリスチレン-ポリエチレン/ブチレン-ポリスチレン(SEBS)コポリマー)、スチレン-イソプレンコポリマー(例えば、ポリスチレン/ポリイソプレン/ポリスチレン)、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレンコポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマーおよびスチレン-イソブチレンコポリマー(例えば、Pinchukに付与された米国特許第6,545,097号に記載されているもの等の、ポリイソブチレン-ポリスチレンおよびポリスチレン/ポリイソブチレン/ポリスチレンブロックコポリマー)、ポリビニルケトン、ポリビニルカルバゾール、およびポリビニルエステル、例えばポリビニルアセテートを包含するビニルモノマーのポリマーおよびコポリマー;ポリベンズイミダゾール;酸性基の幾つかが、亜塩またはナトリウムイオンによって中和できる、エチレン-メタクリル酸コポリマーおよびエチレン-アクリル酸コポリマー(一般的にイオノマーとして知られている);ポリエチレンオキサイド(PEO)を含む、ポリアルキルオキサイドポリマーおよびコポリマー;ポリエチレンテレフタレートおよび脂肪族ポリエステル、例えばラクチド(これは乳酸並びにd-、l-およびメソラクチドを含む)、ε-カプロラクトン、グリコライド(これはグリコール酸を含む)、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート、p-ジオキサノン、トリメチレンカーボネート(およびそのアルキル誘導体)、1,4-ジオキセパン-2-オン、1,5-ジオキセパン-2-オン、および6,6-ジメチル-1,4-ジオキサン-2-オン(ポリ(乳酸)およびポリ(カプロラクトン)のコポリマーは、その一具体例である)を含むポリエステル;ポリアリールエーテル、例えばポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンを包含するポリエーテルポリマーおよびコポリマー;ポリフェニレンスルフィド;ポリイソシアネート;ポリアルキレン、例えばポリプロピレン、ポリエチレン(低および高密度、低および高分子量)、ポリブチレン(例えば、ポリブテ-1-エンおよびポリイソブチレン)、ポリオレフィンエラストマー(例えば、サントプレン)エチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)ゴム、ポリ-4-メチルペン-1-エン(poly-4-methyl-pen-1-enes)、エチレン/α-オレフィンコポリマー、エチレン-メチルメタクリレートコポリマーおよびエチレン-酢酸ビニルコポリマーを含むポリオレフィンポリマーおよびコポリマー;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(テトラフルオロエチレン-co-ヘキサフルオロプロペン)(FEP)、変性エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、およびポリビニリデンフルオライド(PVDF)を含むフッ素化ポリマーおよびコポリマー;シリコーンポリマーおよびコポリマー;熱可塑性ポリウレタン(TPU);エラストマー、例えば弾性ポリウレタンおよびポリウレタンコポリマー(ポリエーテルを主成分、ポリエステルを主成分、ポリカーボネートを主成分、脂肪族を主成分、芳香族を主成分およびこれらの混合物を主成分とするブロックおよびランダムコポリマーを含む);市販品として入手できるポリウレタンコポリマー(例えばビオネート(Bionate(登録商標))、カルボタン(Carbothane(登録商標))、テコフレックス(Tecoflex(登録商標))、テコタン(Tecothane(登録商標))、テコフィリック(Tecophilic(登録商標))、テコプラスト(Tecoplast(登録商標))、ペレタン(Pellethane(登録商標))、クロノタン(Chronothane(登録商標))およびクロノフレックス(Chronoflex(登録商標)) を包含する);p-キシリレンポリマー;ポリイミノカーボネート;コポリ(エーテル-エステル)、例えばポリエチレンオキサイド-ポリ乳酸コポリマー;ポリホスファジン;ポリアルキレンオキサレート;ポリオキサアミドおよびポリオキサエステル(アミンおよび/またはアミド基を含むものを包含する);ポリオルトエステル;フィブリン、フィブリノーゲン、コラーゲン、エラスチン、キトサン、ゼラチン、デンプン、グリコサミノグリカン、例えばヒアルロン酸を包含する、生体ポリマー、例えばポリペプチド、タンパク質、多糖類及び脂肪酸(およびそのエステル);並びに上記物質のブレンド、更なるコポリマーおよび誘導体。
【0092】
広範囲に及ぶ薬剤投入量(例えば、前立腺に対して有益な薬剤および随意の補助剤、例えば随意の治療薬、造影剤等)を、本発明の泌尿器科学的医療機器と共に使用することができ、その有効量は、当業者が容易に決定できるものである。ポリマー担体領域に対して、典型的な配合量は、例えば1質量%以上またはそれ以下から2質量%まで、5質量%まで、10質量%まで、25質量%まで、50質量%までまたはそれ以上である。
【0093】
該機器からの、1種またはそれ以上の前立腺に対して有益な薬剤の放出プロフィール(並びにあらゆる随意の補助薬の放出プロフィール)は、多くの変数によって影響されるであろう。例えば、ポリマー担体領域を使用する場合、該放出プロフィールは、選択された特定の薬剤、選択された特定のポリマー、およびこれらの相対的な量に依存するであろう。該放出プロフィールは、また該機器内部の該ポリマー担体領域のサイズ、数および/または位置によっても影響されるであろう。例えば、該放出プロフィールは、該ポリマー担体領域の厚みまたはその表面積を変えることにより変更することができる。更に、多数のポリマー担体領域を使用することも可能である。例えば、同一または異なる含有率(例えば、異なるポリマー含有率および/または異なる薬剤含有率)を持つ多数のポリマー担体領域を、相互に関して横方向に配置することができる。あるいはまた、ポリマー層(例えば、追加の薬剤を含むまたは含まない、1種またはそれ以上の上記したポリマーから製造した層)を、本発明に従ってポリマー担体領域に配置し、結果としてこの層を、バリア層として機能させることが可能である。
【0094】
幾つかの実施例においては、例えば迅速に水和されるポリマー(例えば、ヒドロゲル)または迅速に水和されるポリマーブロックを使用することにより(または夫々緩慢に水和されるポリマーまたはポリマーブロックに対する、迅速に水和されるポリマーまたはポリマーブロックの比率を変えることにより)、該ポリマー領域が、その周囲環境から水を吸収する速度を高めることによって、浸透剤、例えば可溶性の塩または糖結合剤を、随意の補助剤として添加することにより、あるいはその他の手段によって、該放出プロフィールを変更することができる。
【0095】
多数の技術が、本発明に従ってポリマー担体領域を製造するために利用できる。
【0096】
例えば、該ポリマー担体領域が、熱可塑性特性を持つ1種またはそれ以上のポリマーから作られている場合、様々な標準的な熱可塑性物質の加工技術を使用して、該ポリマー担体領域を形成することができ、該技術は、射出成型、圧縮成形、吹込成形、紡糸、真空成型およびカレンダリング、様々な長さを持つ、シート、繊維、ロッド、チューブおよび他の断面形状を持つ形材への押出、およびこれら工程の組合せを含む。これらのおよび他の熱可塑性物質の加工技術を用いて、該機器の全体またはその一部を製造することができる。
【0097】
幾つかの態様において、該1種またはそれ以上の、該担体領域を構成するポリマーおよび1種またはそれ以上の薬剤(例えば、前立腺に対して有益な薬剤および随意の補助薬から選択される)を、当分野において公知の任意の適当な加工技術を利用して、混合し、配合することができる。例えば、熱可塑性材料を使用する場合、ポリマーメルトを形成することができる。これを行うための通常の方法は、該ポリマーおよび該薬剤の混合物に、機械的な剪断力を適用することである。配合後、該材料を、例えば特に1種またはそれ以上の上記のような熱可塑性技術を使用して加工することができる。
【0098】
熱可塑性加工技術以外の、溶媒の使用に基く技術を含む、他の加工技術を使用して、本発明の該ポリマー担体領域を製造することができる。これらの技術を利用して、ポリマー担体領域は、(a) 先ず、(i) 溶媒、(ii) ポリマー、(iii) 前立腺に対して有益な薬剤、および(iv) 任意の随意の補助薬を含有する溶液または分散液を調製し;および(b) 引続き該溶媒を除去することにより製造し得る。最終的に選択される該溶媒は、該ポリマー担体領域を形成する該ポリマー(および多くの実施例においては、該前立腺に対して有益な薬剤および任意の随意の補助薬)を溶解することのできるその能力、並びに乾燥速度、表面張力等を含む他のファクタに基いて、一般的に選択される、1種またはそれ以上の溶媒種(例えば、水および/または1種またはそれ以上の有機溶媒)を含むであろう。好ましい溶媒の使用に基く技術は、溶液流延法、溶液噴霧技術、回転塗布技術、ウエブ塗布技術、浸漬技術、エアーサスペンションを含む機械的懸濁を介する塗布法を含む技術、インクジェット塗布技術、静電塗布技術、およびこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0099】
本発明の幾つかの実施例において、ポリマー含有溶液(ここでは溶媒を用いる加工法が使用される)またはポリマーメルト(ここでは熱可塑性加工法が使用される)を、基板に適用して、ポリマー担体領域を形成するが、ここで該溶液またはメルトも、該前立腺に対して有益な薬剤および/または任意の随意の補助薬を含むことができる。例えば、該基板は、ポリマー担体領域を適用するための、移植可能なまたは挿入可能な泌尿器科学的医療機器の全体またはその一部に相当するものであり得る。また、該基板は、例えば金型等の鋳型であってもよく、そこから該ポリマー担体領域は、固化後に取出される。幾つかの他の態様、例えば押出および同時押出技術においては、1種またはそれ以上のポリマー担体領域が、基板の助けを借りることなしに形成される。より具体的な例においては、全ステント本体を、担体領域として押出すことができる。他の態様において、ポリマー担体層は、下部のステント本体と共に同時押出することができる。更に別の態様においては、ポリマー担体層は、被覆層を既存のステント本体に噴霧または押出すことによって、製造できる。更に他のより具体的な態様においては、ステント本体を、金型内で流込み成形することができる。
【0100】
以上の説明から理解されるように、様々な薬剤、例えば前立腺に対して有益な薬剤および/または任意の随意の補助薬が、使用するポリマーの加工条件下で安定な場合には、該薬剤は、該ポリマーと併合し、これと共に同時加工して、対象とする該ポリマー担体領域を製造することができる。あるいはまた、選択された1またはそれ以上の薬剤は、吸収同化(例えば、該選択された1またはそれ以上の薬剤が、溶媒に溶解または分散されており、次いで例えば噴霧、浸漬法等によって、該機器と接触状態に置かれる場合)等の技術を利用して、該ポリマー担体領域の生成に引続き、これに導入することができる。
【0101】
幾つかの実施例においては、例えば該ポリマー担体領域を、水に対して不溶性とするために、当分野において公知の方法を使用して、これら領域を架橋することができる。
【0102】
上に述べたように、少なくとも一つのポリマーバリア領域を、本発明の実施例に従って、担体領域に与えることができる。このようなバリア層は、例えば特に上に列挙したポリマーから製造することができる。これらの実施例においては、該ポリマーバリア層を、例えば上記の溶媒を用いる技術または熱可塑性技術の一種を用いて、該担体領域上に形成することができる。あるいはまた、予め形成したポリマーバリア領域を、担体領域に接着することも可能である。
【0103】
ここにおいて、様々な実施例を具体的に示し、また説明してきたが、本発明の様々な改良並びに変更が、上記の教示によってカバーされており、また本発明の精神並びに意図した範囲を逸脱することなしに、添付した特許請求の範囲内に入るものであることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0104】
10・・男性の泌尿生殖器の解剖学的構造
20・・前立腺
22・・膀胱
23・・膀胱の壁
24・・ペニス
26・・睾丸(精巣)
27・・副睾丸
28・・尿道
29・・精管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
泌尿器科学的医療機器であって、α-アドレナリン作動遮断剤、鎮痙薬、抗-コリン作動性/抗-ムスカリン薬、カルシウムチャンネル遮断剤、抗炎症薬、ホルモン作用薬、抗癌剤、およびこれらの組合せから選択される、前立腺に対して有益な薬剤を含み、該泌尿器科学的医療機器が、対象の尿路に移植または挿入して、悪性前立腺肥大、前立腺癌および前立腺炎から選択される前立腺疾患を治療するのに有効な放出プロフィールにて、該前立腺に対して有益な薬剤の少なくとも一部分を、該対象の尿道前立腺部内に放出するのに適したものであることを特徴とする、前記泌尿器科学的医療機器。
【請求項2】
前記泌尿器科学的医療機器が、細長い中実機器である、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項3】
前記泌尿器科学的医療機器が、細長い中空機器である、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項4】
前記泌尿器科学的医療機器が、前記対象内において、ラセン形状を呈するのに適したものである、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項5】
前記泌尿器科学的医療機器が、尿道ステント、カテーテルおよび排液チューブから選択される、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項6】
複数の異なる前立腺に対して有益な薬剤を含む、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項7】
前記前立腺に対して有益な薬剤が、カルシウムチャンネル遮断剤である、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項8】
前記カルシウムチャンネル遮断剤が、ベンゾチアゼピン、ジヒドロピリジン、アリールアルキルアミン、ピペラジン、およびこれらの組合せから選択される、請求項7記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項9】
前記カルシウムチャンネル遮断剤が、ジルチアゼム、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ベプリジル、ベラパミル、ミベフラジル、これらの薬学的に有効な塩、およびこれらの組合せから選択される、請求項7記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項10】
前記前立腺に対して有益な薬剤が、α-アドレナリン作動遮断剤である、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項11】
前記前立腺に対して有益な薬剤が、α-1-アドレナリン作動遮断剤である、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項12】
前記α-アドレナリン作動遮断剤が、ドキサゾシン、テラゾシン、これらの薬学的に有効な塩、およびこれらの組合せから選択される、請求項11記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項13】
前記前立腺に対して有益な薬剤が、鎮痙薬である、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項14】
前記鎮痙薬が、フラボキセイトまたはその薬学的に有効な塩である、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項15】
前記前立腺に対して有益な薬剤が、抗-コリン作動性/抗-ムスカリン薬である、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項16】
前記抗-コリン作動性/抗-ムスカリン薬が、オキシブチニン、ヒヨスチン、トルテロジン、その薬学的に有効な塩およびその組合せである、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項17】
前記前立腺に対して有益な薬剤が、抗-炎症薬である、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項18】
前記抗-炎症薬が、非-ステロイド系の抗-炎症薬である、請求項17記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項19】
前記前立腺に対して有益な薬剤が、ホルモン作用薬である、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項20】
前記ホルモン作用薬が、ステロイド系および非-ステロイド系エストロゲン、ステロイド系および非-ステロイド系抗-アンドロゲン、黄体形成ホルモン放出ホルモン類似体、ゲストロゲン、エンドセリン受容体アンタゴニスト、およびこれらの組合せから選択される、請求項19記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項21】
前記ホルモン作用薬が、ジエチルスチルベストロール、エストラジオール、ブセレリン、ゴセレリン、ロイプロリド、酢酸メゲストロール、酢酸メドロキシプロゲステロン、ケトコナゾール、およびアミノグルテチミド、ビカルタミド、シプロテロン、酢酸クプロテン、フルタミド、酢酸メドロキシプロゲステロン、ニルタミド、アトラセンタン、これらの薬学的に有効な塩、およびこれらの組合せから選択される、請求項19記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項22】
前記前立腺に対して有益な薬剤が、抗-新生物薬である、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項23】
前記抗-新生物薬が、抗-新生物性抗生物質、アルカロイド、ナイトロジェンマスタード、代謝拮抗物質、およびこれらの組合せから選択される、請求項22記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項24】
前記抗-新生物薬が、ドキソルビシン、ミトキサントロン、ドセタキセル、ビノレルビン、ゲムシタビン、およびこれらの組合せから選択される、請求項22記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項25】
コルチコステロイド、P-グリコプロテインポンプ遮断剤、麻酔性および非-麻酔性鎮痛剤、局所麻酔剤、抗生物質、およびこれらの組合せから選択される補助薬を含み、その結果として該補助薬の少なくとも一部が、インビボにて放出される、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項26】
前記医療機器が、前記前立腺に対して有益な薬剤を含有する、ポリマー担体領域を含む、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項27】
前記ポリマー担体領域が、泌尿器科学的医療機器本体に相当する、請求項26記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項28】
前記ポリマー担体領域が、下方の前記泌尿器科学的医療機器本体を、少なくとも部分的に覆っている、層の形状にある、請求項26記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項29】
前記ポリマー担体領域が、シリコーンポリマー、ポリウレタン、ポリエステルポリマー、およびアルケンポリマーから選択されるポリマーを含む、請求項26記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項30】
前記ポリマー担体領域が、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、エチレン-メタクリル酸コポリマー、およびエチレン-アクリル酸コポリマーから選択されるアルケンポリマーを含む、請求項26記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項31】
前記ポリマー担体領域が、生分解性ポリマーを含む、請求項26記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項32】
前記非-ステロイド系抗-炎症剤が、ケトロラックおよび薬学的に許容されるその塩から選択される、請求項18記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項33】
(a) 悪性前立腺肥大、前立腺癌および前立腺炎から選択される前立腺疾患に罹患した対象を診断する工程;および(b) 該対象に請求項1記載の機器を移植または挿入する工程を含むことを特徴とする、前立腺疾患の治療方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−522023(P2010−522023A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554567(P2009−554567)
【出願日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/003646
【国際公開番号】WO2008/115536
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(506192652)ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド (172)
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
【Fターム(参考)】