説明

副溝結合剤(MGB)−オリゴヌクレオチドmiRNAアンタゴニスト

miRNAのごとき非コードRNAの作用を阻害するための組成物および方法が提供される。この組成物は、副溝結合剤(「MGB」)とコンジュゲートした一本鎖または二本鎖オリゴヌクレオチドを含有する。オリゴヌクレオチドは、長さが変動でき、1またはそれを超える修飾を有するヌクレオチドを含有でき、1またはそれを超える成熟miRNAまたはpiRNAに実質的に相補的である領域を有することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2009年11月25日に提出された、タイトル「副溝結合剤(MGB)−オリゴヌクレオチドmiRNAアンタゴニスト」の米国仮特許出願第61/264,380号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、miRNAおよびpiRNAのごとき非コードRNAの作用を阻害するための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
RNA干渉(RNAi)は、転写後遺伝子調節に関与するほぼ遍在的な経路である。RNAiの鍵となるエフェクター分子はマイクロRNA(「miRNA」または「miR」)である。これらの低分子非コードRNAは、図1に示す一次miRNA(「プリmiRNA」)として転写され、ドローシャ(III型リボヌクレアーゼ)によって核内でプロセシングされて、プレmiRNAと呼ばれる短いヘアピン構造を生成する。これらの分子は次に細胞質へと輸送され、第2のヌクレアーゼ(ダイサー)によってプロセシングされて、成熟二本鎖形態のmiRNAを生成し、前記miRNAは、次にRNA誘導サイレンシング複合体(「RISC」)に組み込まれ得る。成熟miRNA−RISC複合体と標的メッセンジャーRNA(「mRNA」)との間の相互作用は、miRNAガイド鎖のシード領域(ヌクレオチド2〜7)によって(部分的に)媒介され、転写産物切断および/または翻訳減衰による遺伝子ノックダウンを導く。
【0004】
miRNAおよびmiRNA標的が疾患、細胞分化およびホメオスタシスにおいて果たす役割を研究者が理解することを可能にするツールは、非常に貴重である。かかるツールは、miRNA阻害物質を含むが、これらに限定されない。miRNA阻害物質のクラスがこれまでに記載されている(Meister 2004およびHutvagner 2004を参照)。これらの分子は一本鎖であり、そのサイズは21〜31ヌクレオチド(「nts」)長の範囲であり、リボース環の2'位にO−メチル置換を含む。miRNA阻害物質の最初の発見以来、複数の設計要素が同定および組み込まれ、生物学的状況におけるこれらの分子の効果を高めてきた。例えば、より長い長さを有するまたは二次構造を組み込んだ阻害物質(例えば、二本鎖阻害物質)は、より短い一本鎖の21〜31ヌクレオチドの設計に比べて優れた性能を示すことが実証されている(Vermeulenら 2007)。他の設計は、ロックト核酸(「LNA」)の組込みを含む(Oromら 2006)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Meister, G.ら, RNA 10(3):544-50 (2004)
【非特許文献2】Hutvagner, G.ら, PLoS Biol. Apr; 2(4):E98 (2004)
【非特許文献3】Vermeulenら, RNA, 13(5):723-30 (2007)
【非特許文献4】Oromら, Gene 372:137-141 (2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、miRNAおよびpiRNAのごとき非コードRNAの作用を阻害するための組成物および方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、miRNAおよびpiRNAのごとき非コードRNAの作用を阻害するための組成物および方法を提供する。この組成物は、副溝結合剤(「MGB」)とコンジュゲートした一本鎖または二本鎖オリゴヌクレオチドを含む。組成物のオリゴヌクレオチド部分の長さは大きく変動し得る。さらに、オリゴヌクレオチドは、ヘアピン、バルジおよび/またはミスマッチから生じるものを含むがこれらに限定されない二次構造を組み込むことができる。好ましくは、オリゴヌクレオチドは、1または複数の内因性成熟miRNAまたはpiRNA配列に(少なくとも)実質的に相補的な(約70%)配列を含有する。
【0008】
理論に拘束されることを望むものではないが、miRNA阻害物質の改善された性能は、おそらく、阻害物質と標的分子との間の高い結合親和性から生じる。したがって、二本鎖の安定性を高めるまたは阻害物質miRNA−RISC複合体をより望ましい立体配置にロックする代替的なストラテジーは、現在のmiRNA阻害物質の設計の機能性をさらに高める。
【0009】
副溝結合剤(「MGB」)にコンジュゲートしたオリゴヌクレオチドは、相補的配列を有する安定な二本鎖を形成することができる(Kutyavin, I. V.ら 2000)。MGBの作用の背後にある機構はまだ十分には理解されていないが、MGBは二本鎖の安定性を高める立体配置変化を誘導することが示唆されている。同様に、短い阻害物質分子へのMGBのコンジュゲーションは、同様のサイズの非MGB阻害物質よりもそれらの効力をかなり高めると期待される。
【0010】
また、副溝結合剤成分は、大きく変動することもでき、かなり多数の構造を含むこともできる。MGB構造の非限定的な例は、ここに出典明示して本明細書に組み込まれる、米国特許第5,801,155号および米国特許第7,582,739号に見出され得る。これらのMGBは、1もしくはそれを超えるオリゴヌクレオチドの5'および/もしくは3'末端にコンジュゲートされ得るか、またはオリゴヌクレオチドの内部の1またはそれを超えるヌクレオチドと会合し得る。
【0011】
本明細書に開示されている組成物は、miRNAの作用を阻害するための様々なインビボまたはインビトロ法において有用である。例えば、組成物は、miRNAの過剰発現により特徴付けられる疾患または状態を、かかるmiRNAに対して最適量の本発明のMGBアンタゴニストを投与することによって処置する際に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、RNAi経路の全体的概略図を示す。
【図2】図2(a)は、オリゴヌクレオチドにコンジュゲートした2つのMGB立体構造(DPI3およびCDPI3部分)の概略図を示す。図2(b)は、MGBが置換され得る例示的な位置の概略図を示す。
【図3】図3は、デュアルルシフェラーゼアッセイの概略図を示す。
【図4】図4aは、let−7cデュアルルシフェラーゼレポーター構築物に関する複数のmiRNA阻害物質の設計の性能を示す。図4bは、miR−21デュアルルシフェラーゼレポーター構築物に関する複数のmiRNA阻害物質の設計の性能を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
I.概要
本発明は、siRNA、piRNAおよびmiRNA誘導遺伝子サイレンシングを含む、RNA干渉を阻害するための組成物および方法に指向される。
【0014】
本発明は、miRNAおよびpiRNAのごとき非コードRNAの作用を阻害するための組成物および方法を提供する。組成物は、リンカーを介して副溝結合剤(「MGB」)とコンジュゲートした一本鎖または二本鎖オリゴヌクレオチドを含む。その分子のオリゴヌクレオチド部分は、RNA、DNAまたはRNA−DNAハイブリッドから構成でき、前記のヌクレオチドのいずれかは修飾されているかまたは修飾されていない。組成物のオリゴヌクレオチド部分の長さは大きく変動でき、6ヌクレオチドまたは塩基対(例えば、シード領域の最小長)という短いものから100ヌクレオチドまたは塩基対という長いものまで及び得る。さらに、オリゴヌクレオチドは、ヘアピン、バルジおよび/またはミスマッチから生じるものを含むがこれらに限定されない二次構造を組み込み得る。好ましくは、オリゴヌクレオチドは、1または複数の内因性成熟miRNAまたはpiRNA配列に(少なくとも)実質的に相補的な(約70%)配列を含有する。
【0015】
図1は、RNAi経路の最も基本的な詳細を記載する概略図である。内因性miRNAは、最小で、5'および3'隣接領域を伴うヘアピン構造から成るプリmiRNAとして最初に転写される。プリmiRNAはドローシャによってプロセシングされて、単純化されたヘアピン構造から成るプレmiRNAを生じる。プレmiRNAは核から細胞質へと輸送され、ここで、ダイサーにより、RISCに入り込みmRNA切断または翻訳減衰のいずれかによって遺伝子発現を抑制することができる成熟二本鎖miRNAへとさらにプロセシングされる。
【0016】
II.定義
特記されない限りは、以下の用語および語句は、以下に付与される意味を有する:
【0017】
「レポーター」または「レポーター遺伝子」なる用語は、その発現を観察することができる遺伝子をいう。例えば、レポーターの発現レベルを評価して、RNAi経路の基質による遺伝子サイレンシングの成功を判定することができる。
【0018】
「RNA誘導サイレンシング複合体」なる用語およびその頭字語である「RISC」は、切断、翻訳減衰、メチル化および/または他の改変のために核酸分子(例えば、mRNA)を標的とするための、成熟miRNAまたはsiRNAのごとき一本鎖ポリヌクレオチドと複合するタンパク質のセットをいう。RISCの公知の非限定的な成分は、ダイサー、R2D2およびアルゴノートファミリーのタンパク質、ならびにsiRNAおよびmiRNAの鎖を含む。
【0019】
「RNA干渉」なる用語および「RNAi」なる用語は同義語であり、少なくとも1つのポリリボヌクレオチド単位を含むポリヌクレオチド(miRNAまたはsiRNA)が生物学的過程に対する効果を奏するプロセスをいう。プロセスは、mRNAを分解し翻訳を減衰することによる遺伝子サイレンシング、tRNA、rRNA、hnRNA、cDNAおよびゲノムDNAとの相互作用、ならびに補助タンパク質によるDNAのメチル化を含むが、これらに限定されない。
【0020】
「遺伝子サイレンシング」なる用語は、特定の遺伝子産物の発現がRNA干渉によって低下するまたは減衰する過程をいう。遺伝子サイレンシングのレベル(「ノックダウン」の程度ということもある)は、ノーザンブロット分析、B−DNA技術、転写感受性レポーター構築物、発現プロファイリング(例えば、DNAチップ)、qRT−PCRおよび関連技術による転写産物レベルの測定を含むがこれらに限定されない、様々な手段によって測定できる。あるいは、サイレンシングのレベルは、特定の遺伝子によってコードされるタンパク質のレベルを評価することによって測定できる。これは、ウエスタン分析を含む多数の試験を行うこと、例えば、蛍光特性(例えば、GFP)または酵素活性(例えば、アルカリホスファターゼ)を有するレポータータンパク質の発現のレベルを測定すること、またはいくつかの他の手順によって達成できる。
【0021】
「マイクロRNA」、「miRNA」または「miR」なる用語はすべて、RNAi経路に入り込み、遺伝子発現を調節できる非コードRNA(および、さらに、文脈が指示する場合は、かかるRNAをコードするDNA配列)をいう。「一次miRNA」または「プリmiRNA」は、ドローシャプロセシングに先立つ非コード転写産物を表し、ステムループ構造ならびにフランキング5'および3'配列を含む。「前駆体miRNA」または「プレmiRNA」は、プリmiRNAのドローシャプロセシング後の非コード転写産物を表す。「成熟miRNA」なる用語は、プレmiRNAのダイサープロセシングから生じる二本鎖産物またはダイサープロセシング後にRISCに導入される一本鎖産物をいい得る。いくらかの場合には、miRNAの一本鎖だけがRNAi経路に入る。他の場合には、miRNAの二本鎖がRNAi経路に入ることができる。
【0022】
「成熟鎖」なる用語は、注目する標的RNAの完全なまたは部分的逆相補物である(すなわち、完全にまたは部分的に相補的である)内因性miRNA中の配列をいう。「成熟配列」または「標的鎖」および「標的配列」なる用語は、「成熟鎖」なる用語と同義語であり、本明細書ではしばしば互換可能に用いられる。
【0023】
「MGB阻害物質」、「MGB miRNA阻害物質」、「MGBアンタゴニスト」および「MGBオリゴヌクレオチドmiRNAアンタゴニスト」なる用語は互換可能に用いられ、副溝結合剤(「MGB」)にコンジュゲートしたオリゴヌクレオチド成分を有し、miRNAまたはpiRNAの作用を阻害できる分子をいう。
【0024】
「標的配列」なる用語は、成熟鎖に部分的または完全に相補的な標的RNAまたはDNA中の配列をいう。標的配列は、DNAの4つの塩基(A、T、GおよびC)またはRNAの4つの塩基(A、U、GおよびC)を用いて記載できる。
【0025】
「標的RNA」なる用語は、RNAの機能活性の低下を生じさせる、RNAi経路によって標的とされる特定のRNAをいう。いくらかの場合には、RNA標的は、その機能活性が翻訳されるその能力であるmRNAである。かかる場合には、RNAi経路は翻訳減衰によってまたは切断によってmRNAの機能活性を低下させる。本開示では、標的RNAはmiRNA、piRNA、またはその機能が結合によって阻害され得る関連分子である。また、「標的」なる用語は、DNAというもとができる。
【0026】
「相補的」なる用語は、相互に塩基対を形成するポリヌクレオチドの能力をいう。塩基対は、逆平行ポリヌクレオチド鎖内のヌクレオチド単位の間の水素結合によって典型的には形成される。相補的ポリヌクレオチド鎖は、ワトソン・クリック型で(例えば、Tに対してA、Uに対してA、Gに対してC)、またはUとGとの間で形成されるゆらぎ塩基対を含む、二本鎖の形成を可能にするいずれかの他の方法でも塩基対合することができる。当業者が認識するように、RNAを用いる場合は、DNAと異なり、チミンではなくウラシルがアデノシンに相補的とみなされる塩基である。しかしながら、本発明の文脈においてUを示す場合は、特記されない限りは、Tを置換する能力を意味する。
【0027】
「二本鎖」なる用語は、少なくとも部分的に相補的であるポリヌクレオチド鎖間の安定化された二本鎖構造を可能にするワトソン・クリックの塩基対およびU−Gゆらぎ塩基対を含む、相互に塩基対を形成する2つの相補的なまたは実質的に相補的なポリヌクレオチドによって形成される二本鎖構造をいう。二本鎖の鎖は、二本鎖を形成するために完全に相補的である必要はない、すなわち、二本鎖は1またはそれを超える塩基ミスマッチを含んでいてよい。加えて、二本鎖は、一本鎖(例えば、ヘアピン)内の2つの相補的領域の間で形成できる。
【0028】
「ヌクレオチド」なる用語は、リボヌクレオチドもしくはデオキシリボヌクレオチドまたはそれらの修飾形態、ならびにそれらの類似体をいう。ヌクレオチドは、プリン、例えば、アデニン、ヒポキサンチン、グアニンおよびそれらの誘導体および類似体、ならびにピリミジン、例えば、シトシン、ウラシル、チミンおよびそれらの誘導体および類似体を含む種を含む。ヌクレオチド類似体は、塩基、糖および/またはリン酸塩の化学構造に修飾を有するヌクレオチドを含み、限定されないが、5位ピリミジン修飾、8位プリン修飾、シトシン環外アミンでの修飾および5−ブロモウラシルの置換;ならびに、限定されないが、2'−OHがH、OR、R、ハロ、SH、SR、NH2、NHR、NR2またはCN(式中、Rはアルキル部分である)のごとき基によって置換されている糖修飾リボヌクレオチドを含めた、2'位の糖修飾を含む。また、ヌクレオチド類似体は、イノシン、キューオシン、キサンチンのごとき塩基、2'−メチルリボースのごとき糖、エチルホスホネート、ホスホロチオエートおよびペプチドにおけるごとき非天然ホスホジエステル連結を有するヌクレオチドを含むことも意図される。
【0029】
修飾塩基は、例えば、1またはそれを超える原子または基の置換または付加によって修飾されたアデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル、キサンチン、イノシンおよびキューオシンのごときヌクレオチド塩基をいう。塩基部分に関して修飾されているヌクレオチドを含むことができる修飾のタイプのいくつかの例は、個別にまたは組合せて、アルキル化、ハロゲン化、チオール化、アミノ化、アミド化またはアセチル化塩基を含むが、これらに限定されない。より具体的な例は、例えば、5−プロピニルウリジン、5−プロピニルシチジン、6−メチルアデニン、6−メチルグアニン、N,N−ジメチルアデニン、2−プロピルアデニン、2−プロピルグアニン、2−アミノアデニン、1−メチルイノシン、3−メチルウリジン、5−メチルシチジン、5−メチルウリジンおよび5位に修飾を有する他のヌクレオチド、5−(2−アミノ)プロピルウリジン、5−ハロシチジン、5−ハロウリジン、4−アセチルシチジン、1−メチルアデノシン、2−メチルアデノシン、3−メチルシチジン、6−メチルウリジン、2−メチルグアノシン、7−メチルグアノシン、2,2−ジメチルグアノシン、5−メチルアミノエチルウリジン、5−メチルオキシウリジン、7−デアザアデノシンのごときデアザヌクレオチド、6−アゾウリジン、6−アゾシチジン、6−アゾチミジン、5−メチル−2−チオウリジン、2−チオウリジンおよび4−チオウリジンおよび2−チオシチジンのごとき他のチオ塩基、ジヒドロウリジン、プソイドウリジン、キューオシン、アルカエオシン、ナフチルおよび置換ナフチル基、N6−メチルアデノシンのごときいずれかのO−およびN−アルキル化プリンおよびピリミジン、5−メチルカルボニルメチルウリジン、ウリジン5−オキシ酢酸、ピリジン−4−オン、ピリジン−2−オン、フェニルおよびアミノフェノールまたは2,4,6−トリメトキシベンゼンのごとき修飾フェニル基、G−クランプヌクレオチドとして作用する修飾シトシン、8−置換アデニンおよびグアニン、5−置換ウラシルおよびチミン、アザピリミジン、カルボキシヒドロキシアルキルヌクレオチド、カルボキシルアルキルアミノアルキルヌクレオチド、ならびにアルキルカルボニルアルキル化ヌクレオチドを含む。また、修飾ヌクレオチドは、2'−O、4'−Cメチレン架橋を含有することによるごとき、糖部分に関して修飾されたそれらのヌクレオチド、ならびにリボシルではない糖またはその類似体を有するヌクレオチドも含む。例えば、糖部分は、マンノース、アラビノース、グルコピラノース、ガラクトピラノース、4'−チオリボースおよび他の糖、ヘテロ環または炭素環であり得るか、またはそれらに基づき得る。
【0030】
また、ヌクレオチドなる用語は、汎用塩基として当該技術分野で公知のものを含むことも意図される。例として、汎用塩基は、3−ニトロピロール、5−ニトロインドールまたはネブラリンを含むが、これらに限定されない。また、「ヌクレオチド」なる用語は、アミン基でのリボシル3'酸素の置換から生じる、N3'〜P5'ホスホルアミデートを含むことも意図される。さらに、ヌクレオチドなる用語はまた、例えば、ヌクレオチドに結合した放射性もしくは蛍光部分または質量標識のごとき、検出可能な標識を有するそれらの種を含む。
【0031】
III.具体例の説明
1つの具体例において、MGB miRNA阻害物質はオリゴヌクレオチド成分およびMGBリンカーの組合せを含み、リンカーは、C、O、N、S、PおよびSiから選択される約3〜100個の主鎖原子を有する。リンカーは、三価リンカー、分枝脂肪族鎖、ヘテロアルキル鎖、1もしくはそれを超える置換環構造、またはそれらの組合せであることができる。1つの好ましい具体例において、阻害物質は、(1)長さが6〜100ヌクレオチド長の間で変動できる、(2)1もしくはそれを超える成熟miRNAもしくはpiRNAまたは成熟miRNAもしくはpiRNAの部分に実質的に相補的である領域を有する、および(3)リンカーを介して1またはそれを超える副溝結合剤(MGB)にコンジュゲートしている、一本鎖オリゴヌクレオチドを含む。好ましくは、分子は、DPI3またはCDPI3であるMGBを含む。
【0032】
もう1つの具体例は、遺伝子発現を調節するための方法に関し、前記方法は、インビトロまたはインビボにて、標的核酸、好ましくはmiRNAまたはpiRNAの機能が阻害される濃度にてMGB miRNA阻害物質を細胞に導入することを含む。
【0033】
もう1つの具体例は、遺伝子の誤発現または望ましくない機能を有する遺伝子の発現から生じる疾患または状態を処置する方法に関する。前記方法は、十分量の、本明細書に開示されている1またはそれを超えるMGB miRNA阻害物質を、適切な医薬担体と共にまたは該医薬担体なくして、かかる疾患または状態を有することが疑われる患者に投与することを含む。
【0034】
好ましくは、MGB阻害物質のオリゴヌクレオチド部分の1またはそれを超えるヌクレオチドが修飾されている。好ましい修飾は、ヌクレオチドのいくらかまたはすべてのリボース環の2'炭素のO−アルキル修飾である。かかる修飾は標的核酸に対する分子の親和性を大いに高める。そこで、本発明のMGB阻害物質は、等しい長さの簡単な修飾一本鎖阻害物質よりも多くの改善を示す。最も重要なことには、MGB阻害物質は、高いサイレンシング効力を示す。
【0035】
本明細書に記載されている高度機能性MGB阻害物質を開発する場合、複数の設計要素が考慮される。これらは、(1)一本鎖対複数鎖設計、(2)オリゴヌクレオチドの長さ、(3)オリゴヌクレオチドの内容物(オリゴヌクレオチドの標的部分および/または非標的部分における)、(4)オリゴヌクレオチドの化学修飾、(5)MGBコンジュゲートのタイプ、(6)オリゴヌクレオチド上のMGBコンジュゲートの位置、ならびに(7)MGB部分をオリゴヌクレオチドに会合させるために用いるリンカーのタイプを含む。以下の記載はこれらの要素の各々をより詳細に取り上げる。
【0036】
A.阻害物質設計
MGBの向上と適合する阻害物質設計は、一本鎖および複数鎖設計の双方を含む。例えば、阻害物質のオリゴヌクレオチド部分は、一本鎖、完全二本鎖、または一本鎖領域と二本鎖領域との組合せ(例えば、ヘアピンループを含有する)であることができる。MGB適合性阻害物質設計に関するさらなる詳細は、WO2007/095387号に見出すことができる。
【0037】
B.オリゴヌクレオチドの長さ
MGBと会合するオリゴヌクレオチドの長さは、分子によって標的とされる内因性miRNAの長さおよび阻害物質の所望する設計特性を含めた多数の因子に依存して変動し得る。成熟miRNAは約18塩基対〜28塩基対の長さで変動し得る。したがって、1つの具体例において、MGBにコンジュゲートしたオリゴヌクレオチドの長さは、標的とされるmiRNAの成熟鎖の逆相補物である。すべての公知のmiRNAに対する逆相補物は、Sanger Instituteによって維持されるmiRBase(http://microrna.sanger.ac.uk/)に見出され得るmiRNA成熟鎖配列から決定され得る。miRBaseにおいて入手可能な配列のリストは、すべての種におけるmiRNA配列の数が拡大すると共に増加すると予測されることに留意すべきである。したがって、MGB阻害物質が標的とし得る潜在的配列の数は増大すると期待される。
【0038】
他の例においては、非MGB阻害物質の性能は長さが増加すると共に増加することが試験で示されている(Vermeulenら 2007を参照)。したがって、もう1つの具体例において、MGB阻害物質は、標的とされるmiRNAの逆相補物である配列に隣接する配列を含むことができる。これらの配列の長さは大きく変動し(5'および/または3'末端で5〜100ヌクレオチド)、(1)プレmiRNAもしくはプリmiRNA内の成熟配列に隣接する配列の逆相補物、または(2)プレmiRNAもしくはプリmiRNAの逆相補物に部分的に関連するまたは関連しない配列を含み得る。
【0039】
C.MGB miRNA阻害物質のMGB成分
複数のMGBをMGB阻害物質設計に組み込むことができる。1つの非限定的な例において、DPI3およびCDPI3副溝結合剤リガンドは、当該技術分野において公知の広範囲のリンカー化学を用いていずれの数の配向でもオリゴヌクレオチドに結合できる。好ましくは、副溝結合剤は、例えば、標的miRNAの標的鎖の逆相補物である阻害物質の3'または5'末端のいずれかにコンジュゲートする。
【0040】
図2(a)は、オリゴヌクレオチドにコンジュゲートした2つのMGB立体構造(DPI3およびCDPI3部分)の概略図である。図2(b)は、MGBが置換され得る位置を示す概略図である。図2(b)において、Wは、C、O、N、S、PおよびSiから選択される、約3〜100個の主鎖原子を有するリンカーである。一般的に、Wは、三価リンカー、分枝脂肪族鎖、ヘテロアルキル鎖、1もしくはそれを超える置換環構造、またはそれらの組合せを表す。[A-B]nは、Aが、核酸の調製において用いられる糖リン酸骨格、修飾糖リン酸骨格、ロックト核酸骨格、ペプチド骨格またはそれらの変異体を表し、Bが、以下により詳細に記載される核酸塩基、修飾塩基または塩基類似体を表す核酸オリゴマー(例えば、修飾塩基および糖を有するものを含む、DNA、RNA、PNAまたはそれらのいずれかの組合せ)を表す。下付き文字nは、約3〜約100、好ましくは6〜約50、より好ましくは8〜約20の整数である。記号Ra、Rb、Rc、Rd、ReおよびRfは、H、ハロゲン、(C1〜C8)アルキル、ORg、N(Rg)2、N+(Rg)3、SRg、CORg、CO2Rg、CON(Rg)2、(CH2)mSO3-、(CH2)mCO2-、(CH2)mOPO3-2およびNHC(O)(CH2)mCO2-、ならびにそれらのエステルおよび塩(式中、各Rgは、独立して、Hまたは(C1〜C8)アルキルであり、下付き文字mは0〜6の整数である)から選択される置換基を表す。記号RhおよびRwは、Hを表すかまたは、環式、非環式もしくはそれらの組合せのいずれかである、C、N、O、PおよびSから選択される1〜30個の原子を有し、かつ利用可能な原子価を満たすためのさらなる水素原子を有する基(典型的には、固相合成において用いる連結基の痕跡)を表す。置換基のさらなる例は、米国特許出願公開第2005/0118623号に見出すことができる。
【0041】
上述したごとく、置換基Aは、デオキシリボフラノースリン酸骨格またはリボフラノースリン酸骨格を含むことができる。好ましい具体例において、リボフラノースは以下に示すごとく置換される:
【0042】
【化1】

【0043】
(式中、Rzは、−ORaa(式中、Raaは−O−アルキル1〜12、−(CH2)nO−アルキル1〜12(式中、nは1〜6である)、ハロゲンまたは−CF3である)であり;Bは通常の塩基または上記で定義されたもしくは米国特許第7,045,610号における修飾塩基である)。また、上記した修飾オリゴヌクレオチドのリン酸骨格は、オリゴヌクレオチドがホスホロチオエート連結および/またはメチルホスホネートまたはホスホロアミデートを含有するように修飾できる(Chenら, Nucl. Acids Res., 23:2662-2668 (1995))。また、MB−オリゴヌクレオチドコンジュゲート中のオリゴヌクレオチド連結の組合せは本発明の範囲内である。さらなる他の骨格修飾は当業者に知られている。
【0044】
いくらかの副溝結合剤は種々の反復単位を含有する。好ましい副溝結合剤は:
【0045】
【化2】

【0046】
(式中、下付き文字mは2〜5の整数であり;下付き文字rは2〜10の整数であり;各RaおよびRbは、独立して、オリゴヌクレオチドに対する連結基(直接もしくは消光剤を介して間接的に)、H、−ORc、−NRcRd、−COORcまたは−CONRcRd(式中、各RcおよびRdは、H、(C2〜C12)ヘテロアルキル、(C3〜C12)ヘテロアルケニル、(C3〜C12)ヘテロアルキニル、(C1〜C12)アルキル、(C2〜C12)アルケニル、(C2〜C12)アルキニル、アリール(C1〜C12)アルキルおよびアリールから選択される)であり、ただし、Ra およびRbの一方は、ODNまたはフルオロフォアに対する連結基を表す。さらなる具体例において、各構造内の各環は、H、ハロゲン、(C1〜C8)アルキル、ORg、N(Rg)2、N+(Rg)3、SRg、CORg、CO2Rg、CON(Rg)2、(CH2)mSO3、(CH2)mCO2、(CH2)mOPO3−2およびNHC(O)(CH2)mCO2、AsO-32-、ならびにそれらのエステルおよび塩(式中、各Rgは独立してHまたは(C1〜C8)アルキルであり、下付き文字mは0〜6の整数である)から選択される1またはそれを超えるさらなる置換基を含むことができる。これらの構造に関するさらなる詳細は、米国特許出願公開第2004/32665号および同第2006/0229441号に見出され得る。
【0047】
注目する他の副溝結合剤は米国特許第6,312,894号に開示されている。1つの群の具体例において、MGBは、CC1065、レキシトロプシン、ジスタマイシン、ネトロプシン、ベレニル、デュオカルマイシン、ペンタミジン、4,6−ジアミノ−2−フェニルインドール、スチルバミジン、4,4'−ジアセチルジフェニル尿素ビス(グアニルヒドラゾン)(DDUG)およびピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピンまたはそれらのいずれかの類似体よりなる群から選択される。
【0048】
D.MGB阻害物質のオリゴヌクレオチド内容物
MGB阻害物質のオリゴヌクレオチド部分は、RNA、DNA、RNA−DNAハイブリッドおよび前記の修飾型よりなることができる。一般的に、各阻害物質のいくらかの配列は、注目する細胞によって発現される所与のmiRNAの逆相補物であるように設計される。あるいは、miRNAが関連配列のファミリー(例えば、let−7ファミリー)を代表する場合は、MGB阻害物質のオリゴヌクレオチド部分は、例えば、1つのファミリーメンバーの逆相補物を含み得るが、miRNAファミリー中の他のメンバーと整列する場合、1またはそれを超えるバルジまたは塩基対ミスマッチを有することができる。そこで、好ましくは、MGB阻害物質のオリゴヌクレオチド部分は標的miRNAに少なくとも70〜80%相補的である。より好ましくは、MGB阻害物質のオリゴヌクレオチド部分は標的miRNAに少なくとも80〜99%の相補性を有する。そして最も好ましくは、MGB阻害物質のオリゴヌクレオチド部分は標的miRNAに100%の相補性を有する。
【0049】
MGB阻害物質のオリゴヌクレオチド部分のヌクレオチドは、ヌクレアーゼの作用に対するリジリエンス、細胞への分子の送達可能性、特異性、または二本鎖(すなわち、標的miRNAとMGB阻害物質のオリゴヌクレオチド部分との間の)の安定性を高める様々な化学修飾を含み得る。これらの所望の形質を与える化学修飾は当該技術分野でよく知られており、塩基の改変/修飾、ヌクレオチド間連結、ならびにオリゴヌクレオチドの糖残基を含むが、これらに限定されない。いくらかの好ましい修飾は以下に列挙されており、米国特許第7,045,610号に記載されている。これらは、2'−O−アルキル修飾(例えば、2'−O−メチル)、2'ハロゲン修飾(例えば、2'F)、5'および/または3'コレステロール修飾等を含む。さらに、MGB阻害物質は、分子に有益な特性を提供すすさらなる修飾を含むことができる。したがって、例えば、MGB阻害物質は、各々、MGB阻害物質の視覚化および送達を高める、例えば、蛍光染料ならびに、例えば、コレステロール修飾でさらに修飾できる。
【0050】
MGBアンタゴニストのポリマー骨格に会合し得る修飾の一例を以下に示す:
【0051】
【化3】

【0052】
(式中、Rzは−Hであり、R=−C≡C−CH2CH2OHである)。また、この構造はSuper Aとして知られている。
【0053】
E.MGB阻害物質の作用を導入し、検出する方法
本発明の阻害物質は、インビトロで用いることができるか、または当該技術分野において公知のいずれかの方法によって細胞またはヒトを含めた動物に投与できる。例えば、本発明の分子は細胞に受動的に送達できる。阻害物質の受動的取込みは、例えば、ポリエチレングリコール部分もしくはコレステロール部分のごときコンジュゲート、またはオリゴヌクレオチドの5'末端、3'末端もしくは内部領域に会合したいずれかの他の疎水性部分の存在によって調節できる。あるいは、受動的送達は、受容体媒介性エンドサイトーシスを通して細胞によって取り込まれるリガンドのコンジュゲーションによって調節できる。阻害物質送達のための他の方法は、DEAE−デキストラン、リン酸カルシウム、カチオン性脂質/リポソーム、微量注入、電気穿孔、イムノポレーション、および抗体、ペプチド、抗原または受容体のごとき特定のコンジュゲートまたはリガンドへの阻害物質のカップリングを使用するトランスフェクション技術(フォワードまたはリバーストランスフェクション技術を用いる)を含むが、これらに限定されない。
【0054】
阻害物質のレベルを評価する方法は限定されない。したがって、いずれかの阻害物質の作用を、ノーザン分析、RT PCR、発現プロファイリング等を含むがこれらに限定されない、多数の当該技術分野で試験された手順の1つによって検討できる。1つの好ましい方法において、そのタンパク質産物が容易にアッセイされるレポーターをコードするベクターまたはプラスミドを、配列の5'UTR、ORFまたは3'UTR内に標的部位(成熟miRNA、piRNAまたはsiRNAの逆相補物)を含むように修飾する。かかるレポーター遺伝子は、アルカリホスファターゼ(AP)、βガラクトシダーゼ(LacZ)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、ルシフェラーゼ(Luc)の変異体、およびそれらの誘導体を含む。阻害物質の不存在下では、内因性(または外因性に添加された)miRNAは、サイレンシング(転写産物切断または翻訳減衰のいずれかによる)のためにレポーターmRNAを標的とし、したがって全体的に低いレベルのレポーター発現に導く。対照的に、本発明の阻害物質の存在下では、miRNA(piRNAまたはsiRNA)媒介性ターゲティングは抑制され、したがって高レベルのレポーター発現を生じさせる。好ましいレポーター構築物はpsiCHECK-2デュアルルシフェラーゼレポーター(Promega)を含む。
【0055】
IV.適用
本発明の阻害物質は、基礎研究を含めた様々な適用において用い得る。例えば、本発明を用いて、miRNAまたはmiRNAの標的が薬剤発見または開発のための標的であるかどうかを確認し得る。特定のmiRNAまたはmiRNAの群を阻害する本発明の阻害物質を細胞または生物に導入し、前記細胞または生物を、標的とされる分子の特異的阻害を可能にする条件下に維持する。次いで、標的の発現または活性の低下の程度を、かかる発現または活性の低下の影響と共に測定し、発現または活性が低下した場合は、標的が薬剤発見または開発のための作用物質であるとの判定を下す。このようにして、表現型効果を、注目する特定の標的の阻害に関連づけることができ、適切な場合には、毒性および薬物動態試験を実施して、治療製剤を開発できる。
【0056】
本発明の分子を用いて、単一または複数の標的を同時に阻害できる。複数の標的のノックダウンは、異なる分子を標的とする阻害物質のプールを導入することによって起こり得る。従前の阻害物質設計は効力を欠き、そのため、例えば、単一のmiRNAを部分的に阻害するのに高い濃度が必要であった。従前の設計を用いた阻害物質のプールの導入は、細胞傷害性でありかなねあい過剰に高濃度を必要とする。対照的に、本発明の分子の高い効力は、使用者が、最小限の非特異的作用でRNAi経路の全体的機能性を保持する濃度にて1またはそれを超える特異的標的を阻害することを可能にする。
【0057】
本発明の阻害物質は、それらが導入される細胞型または種に独立して作用するので、本発明は、植物、動物、原生動物、細菌、ウイルスおよび真菌を含むがこれらに限定されない、広範囲の生物にわたって適用可能である。本発明は、ウシ、ウマ、ヤギ、ブタ、ヒツジ、イヌのごとき哺乳動物、鳥類、ハムスター、マウスおよびラットのごときげっ歯動物、ならびにゴリラ、チンパンジーおよびヒトのごとき霊長動物における使用のために特に有利である。
【0058】
本発明は、一次細胞、生殖細胞系および体細胞を含むがこれらに限定されない、様々な細胞型で有利に用い得る。例えば、細胞型は、胚細胞、卵母細胞、精子細胞、脂肪細胞、線維芽細胞、筋細胞、心筋細胞、内皮細胞、ニューロン、グリア、血球、巨核球、リンパ球、マクロファージ、好中球、好酸球、好塩基球、肥満細胞、白血球、顆粒球、ケラチノサイト、軟骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、肝細胞および内分泌腺または外分泌腺の細胞であり得る。重要なことには、本発明は、(1)糖尿病、アルツハイマー病および癌のごとき疾患に関与するヒトゲノムのmiRNAおよびpiRNA、ならびに(2)病原体(例えば、病原性ウイルス)のゲノムに関連するものを含むがこれらに限定されない、広い範囲のmiRNA、piRNAおよびsiRNAを阻害するために使用され得る。
【0059】
さらに、本発明は、疾患の処置における動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトの医薬の製造における組成物の使用を含めた、診断、予防および治療のごときRNA干渉適用に用い得る。特に、本発明の作用物質は、治療剤として用いられるsiRNA、miRNAまたはpiRNAの作用を反転するために用いることができる。
【0060】
治療または予防目的の場合には、本発明により製造される医薬の用量は、対象のキログラム当たり数マイクログラムから数百ミリグラムまで変動し得る。当該技術分野で公知のように、用量は、当業者に周知の他の因子の中でも、投薬を受ける哺乳動物の質量、投薬を受ける哺乳動物の性質、疾患または障害の重症度、および対象の血清中での医薬の安定性によって変動する。これらの適用に関して、注目する特定の標的核酸の操作による調節を受けやすい疾患または障害を有することが疑われる生物を、本発明の阻害物質を投与することによって処置する。処置の結果は、特定の疾患または障害の改善、緩和、予防および/または診断であり得る。
【0061】
本発明の治療または予防適用は、様々な治療組成物および投与方法で行うことができる。医薬上許容される担体および希釈剤は当業者に知られている。細胞および生物への投与の方法も当業者に知られている。投薬計画は、例えば、処置される疾患または障害の重症度および応答性の度合に依存することが知られており、処置の経過は数日間から数か月間まで、または障害もしくは疾患状態への所望の効果が達成されるまでに及ぶ。本発明の阻害物質の慢性投与は、いくつかの疾患または障害に関して所望の効果を持続させるために必要であり得る。適切な投薬計画は、例えば、医薬上許容される担体または希釈剤中の、種々の量の1またはそれを超える阻害物質を医薬上許容される送達経路で投与することによって決定でき、受容生物の体内に蓄積された薬物の量を投与後の様々な時点で測定できる。同様に、阻害物質の投与後、様々な時点で所望の効果を測定することができ、このデータは、身体または器官蓄積のごとき他の薬物動態データと相関できる。当業者は、最適用量、投薬計画等を決定することができる。当業者は、ヒト試験のための指針としてインビボおよびインビトロ動物モデルからのEC50データを利用し得る。
【0062】
本発明の阻害物質は、クリームまたは軟膏として局所的に、例えば、カプセルまたは錠剤または懸濁剤または溶液等の経口製剤として投与できる。投与経路は、静脈内、筋肉内、経皮、皮下、鼻内、経口、経直腸的、点眼液によって、阻害物質を有利な位置で、例えば、注目する標的核酸を保持する器官または組織または細胞型の近傍などで放出するデバイスの組織移植によってであり得る。
【0063】
前記具体例は本発明の理解を助けるために提示され、決して、本発明を限定することは意図されず、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。本開示を読み取る当業者に明らかに成り得るすべての代替法、修飾物および等価物は、本発明の精神および範囲内に包含される。
【実施例】
【0064】
以下の実施例は、ここで特許請求される本発明を説明するために提供されるものであり、本発明を限定するためではない。
【0065】
実施例1 MGB阻害物質の調製
DPI3修飾オリゴヌクレオチドを、米国特許第7381818号に記載されているDPI3固相DNA合成の支持体を用いて調製した。以下の工程をCDPI3修飾オリゴヌクレオチドの調製において実施した。
【0066】
1.アミン修飾オリゴヌクレオチドのHPLC精製および塩交換。アミン修飾オリゴヌクレオチド(0.2〜1μmolの合成規模)を0.1M TEAB(重炭酸トリエチルアンモニウム)緩衝液に溶解して約1mlとし、0.1M TEAB緩衝液中のCH3CNの勾配で溶出するLuna C18(10μm)4.6×250mmカラム(Phenominex)でクロマトグラフィを実施した。画分を含む生成物を収集し、乾燥ペレットが得られるまでSpeedVac濃縮機で乾燥した。
【0067】
2.CDPI3コンジュゲーション反応。アミン修飾オリゴヌクレオチド(0.2〜1μmolの初期DNA合成規模)を含む各チューブに、以下に示す(さらに米国特許第5801155号にも記載されている)1mgのCDPI3 TFPエステル、および80μlのDMSO中2mlのTEAを添加した。チューブを静かに旋回させて固体を溶解した。コンジュゲーション反応を5〜18時間進行させた。
【0068】
【化4】

CDPI3 TFPエステル
【0069】
3.コンジュゲートの精製。反応物を2mlの0.1M TEAB緩衝液で希釈し、Luna C18カラムに投入して、0.1M TEAB緩衝液中の勾配(8〜40%のCH3CN)で溶出した。画分を含む生成物を収集し、乾燥ペレットが得られるまでSpeedVac濃縮機で乾燥した。
【0070】
実施例2 miRNA阻害物質機能を評価するためのアッセイ
報告されている実験の大部分につき、阻害のレベルの定量を、デュアルシフェラーゼレポーター系、psiCheck2(Promega)を用いて行った。図3はデュアルルシフェラーゼアッセイの概略図である。デュアルルシフェラーゼレポーターは、(1)Flucレポーターおよび(2)3'UTR内にmiRNA標的部位(miR−X標的部位)を含有するRlucレポーターの双方を含有する。(1)非標的miRNA阻害物質対照が存在し、(2)Rluc構築物を標的とすることができる内因性miRNA(miRNA-X)が発現される場合、Rluc対Flucの相対比は抑制される。これに対し、内因性に発現されるmiRNA(miRNA-X)を標的とすることができるmiRNA阻害物質も同時に存在する場合、miRNAがRluc構築物を標的とする能力は抑制され、それゆえRluc対Fluc比は増加する。
【0071】
略言すると、psiCheckプラスミドは、ルシフェラーゼの2つの変異体、ウミシイタケおよびホタルをコードする。標的配列をウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子の3'UTRのマルチクローニング部位に挿入し、これにより、ホタル配列を内部対照として使用することを可能にした。種々の阻害物質設計の実用性を測定するため、本発明のオリゴヌクレオチドと修飾psiCheck2プラスミドとを細胞に同時トランスフェクトした(レポーターDNA 100ng/ウエル、25〜100nM阻害物質、脂質=DharmaFECT Duo, Thermo Fisher Scientific)。24〜96時間後、細胞を溶解し、各ルシフェラーゼの相対量を、Dual Glo Assay(Promega)を用いて測定した。すべての実験につき、特記しない限りは、有意なレベルの細胞毒性を認めなかった。
【0072】
Dual-Glo(商標)Luciferase Assay System(Promega、カタログ番号E2980)を、製造者の指示に従い、わずかな変更を加えて用いて、ホタルおよびウミシイタケルシフェラーゼ活性を測定した。細胞を溶解する場合は、増殖培地を細胞から吸引した後、50μLのホタルルシフェラーゼ基質および50μLのウミシイタケルシフェラーゼ基質を添加した。
【0073】
ルシフェラーゼアッセイはすべて、製造者によって推奨されるプログラムを使用してWallac Victor2 1420マルチラベルカウンター(Perkin Elmer)で読み取った。
【0074】
実験計画およびデータ解析:すべての処理を3連で試行した。加えて、レポータープラスミドでの各実験処理を、psiCHECK(商標)−2対照プラスミド(挿入物なし)を用いて重複して実施した。レポータープラスミドへの非特異的作用を明らかにするため、実験結果を、正規化された比(Rluc/Fluc)正規化:所与のmiRNAレポータープラスミドに関するウミシイタケルシフェラーゼ発現−対−ホタルルシフェラーゼ発現の比(Rluc/Fluc)miRNを、同じ処理を行ったpsiCHECK(商標)−2レポータープラスミドについての(Rluc/Fluc)対照比で除したものとして表す。レポータープラスミドから得られる最大値は配列によって変動する。理想的には、約1の値は低いmiRNA機能を示し、ゼロに近い値は高いmiRNA機能を示す。データは3ウエルの平均として報告し、誤差バーは、正規化因子((Rluc/Fluc)対照の平均)によってスケーリングされた、実験処理からの3つの(Rluc/Fluc)miRN比の標準偏差である。比は正規分布に従わないが、標準偏差値はデータの変動性の良好な感覚を与える。
【0075】
異なるmiRNAレポータープラスミド間の値を比較する場合は、すべてのレポーターが約1の最大値を有するように、最大正規化(Rluc/Fluc)正規化比をさらなるスケーリング因子として使用した。比較を容易にするためさらなるスケーリングを実施したが、結果には影響しない。
【0076】
細胞培養。HeLa細胞を標準的条件下で増殖させ、トリプシン処理によって固体支持体から遊離させた。大部分のアッセイにつき、細胞を1×105細胞/mlに希釈し、続いて100μLの細胞/ウエルを添加した。次いで、プレートを37℃、5%CO2で一晩インキュベートした。
【0077】
実施例3 種々の設計の副溝結合剤阻害物質の試験
上述したデュアルルシフェラーゼアッセイを使用して、多数のオリゴヌクレオチド、修飾オリゴヌクレオチドおよびMGB−オリゴヌクレオチドコンジュゲートをmiRNA機能の阻害物質として評価した。Rlucの3'UTRに挿入した標的配列は、表1からのLet7cTcomp(Let7cについて)および表2からの_miR21Tcomp(miR-21について)であった。let-7c miRNAおよびmiR-21 miRNAの阻害物質についての配列を、各々、表1および表2に示す。表1および表2において、オリゴヌクレオチド中の2’−O−メチルリボフラノース糖の存在を太字のイタリック体で示す。Super A修飾塩基の存在を小文字「a」で示す。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
図4は、多数のmiRNA阻害物質設計の性能を示す。種々の設計の阻害物質を、適切な(let-7cまたはmiR-21)デュアルルシフェラーゼレポーター構築物と共に細胞に導入した。対照は、未処理細胞(無)または簡単な2'−Oメチル修飾逆相補物阻害物質分子(2'−Omet)で処理した細胞から成った。
【0081】
let-7c阻害物質の性能を図4aに示す。Rluc/Flucのベースライン比を阻害物質分子の不存在下で得た(「無」参照)。未処理対照(無)と比較して、2'−Oメチル修飾一本鎖阻害物質(2'Omet)はRluc/Fluc比の増加を示し、この設計がいくらかのレベルのlet-7c阻害を提供できることを示した。「DNA」、「3'−MGB−DNA」、「5'−MGB−DNA」、「Super A置換DNA」(米国特許第7,045,610号に開示される2'−デオキシリボヌクレオシドをいう)およびキメラ「Super A−2'Omet」は未処理対照と同様のベースラインレベルの阻害を示し、これらの設計の立体配置がlet-7c機能を阻害できなかったことを示唆した。しかしながら、「3'−MGB−2'−OMet」は2'Ometと同様のレベルの阻害を誘導し、22-merの「5'−MGB−2'−OMe」は2'Omet設計のおよそ3.4倍高いレベルの阻害を誘導した。miR-21に関して実施した平行実験からの結果は、非常に類似した結果を示す(図4b参照)。5'−MGB−2'−OMetおよび3'−MGB−2'−OMet阻害物質の立体配置は、2'−Omet設計に比べて、各々、およそ10×および3×の性能改善を示した。
【0082】
参考資料
米国特許文献
米国特許第5,801,155号
米国特許第6,312,894号
米国特許第7,045,610号
米国特許第7,381,818号
米国特許第7,582,739号
米国特許公開第2004/32665号
米国特許公開第2005/0118623号
米国特許公開第2006/0229441号
【0083】
国際特許文献
CT出願公開第WO2007/095387号
【0084】
他の刊行物
Chenら, Nucl. Acids Res., 23:2662-2668 (1995)
Hutvagner, G.ら (2004)“Sequence-specific inhibition of small RNA function.”PLoS Biol. Apr; 2(4):E98
Kutyavin, I. V.,ら (2000)“3'-Minor groove binder-DNA probes increase sequence specificity at PCR extension temperatures.”NAR, 28(2):655-661
Meister, G.ら, (2004)“Sequence-specific inhibition of microRNA- and siRNA-induced RNA silencing.”RNA 10(3):544-50
Orom ら, (2006)“LNA-modified oligonucleotides mediate specific inhibition of microRNA function”Gene 372:137-141
Vermeulen ら RNA, 2007 13(5):723-30

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリゴヌクレオチド;および
副溝結合剤(MGB)
を含む、非コードRNAを阻害するための阻害物質組成物。
【請求項2】
MGBがそれを介してオリゴヌクレオチドに結合するリンカーをさらに含む、請求項1記載の阻害物質組成物。
【請求項3】
リンカーが、鎖中にC、O、N、S、PおよびSiよりなる群から選択される約3〜約100個の原子を含む、請求項2記載の阻害物質組成物。
【請求項4】
リンカーが、三価構造、分枝脂肪族鎖、ヘテロアルキル鎖、1もしくはそれを超える置換環構造、またはそれらの組合せを含む、請求項2記載の阻害物質組成物。
【請求項5】
オリゴヌクレオチドが、一本鎖、二本鎖またはそれらの組合せである、請求項1記載の阻害物質組成物。
【請求項6】
オリゴヌクレオチドが、RNA、DNAまたはそれらの組合せを含む、請求項1記載の阻害物質組成物。
【請求項7】
オリゴヌクレオチドが、約6〜約100個のヌクレオチドを含む、請求項1記載の阻害物質組成物。
【請求項8】
オリゴヌクレオチドが、1またはそれを超える二次構造を含む、請求項1記載の阻害物質組成物。
【請求項9】
二次構造が、ヘアピン、バルジ、ミスマッチまたはそれらの組合せを含む、請求項8記載の阻害物質組成物。
【請求項10】
オリゴヌクレオチドが、内因性成熟miRNAまたはpiRNA配列に実質的に相補的である、請求項1記載の阻害物質組成物。
【請求項11】
オリゴヌクレオチドが、内因性成熟miRNAまたはpiRNA配列に少なくとも約70%相補的である、請求項10記載の阻害物質組成物。
【請求項12】
オリゴヌクレオチドが、1またはそれを超える修飾塩基を含む、請求項1記載の阻害物質組成物。
【請求項13】
1またはそれを超える修飾塩基が、5−プロピニルウリジン、5−プロピニルシチジン、6−メチルアデニン、6−メチルグアニン、N,N−ジメチルアデニン、2−プロピルアデニン、2−プロピルグアニン、2−アミノアデニン、1−メチルイノシン、3−メチルウリジン、5−メチルシチジン、5−メチルウリジンおよび5位に修飾を有する他のヌクレオチド、5−(2−アミノ)プロピルウリジン、5−ハロシチジン、5−ハロウリジン、4−アセチルシチジン、1−メチルアデノシン、2−メチルアデノシン、3−メチルシチジン、6−メチルウリジン、2−メチルグアノシン、7−メチルグアノシン、2,2−ジメチルグアノシン、5−メチルアミノエチルウリジン、5−メチルオキシウリジン、7−デアザアデノシン、6−アゾウリジン、6−アゾシチジン、6−アゾチミジン、5−メチル−2−チオウリジン、2−チオウリジン、4−チオウリジン、2−チオシチジン、ジヒドロウリジン、プソイドウリジン、キューオシン、アルカエオシン、ナフチル基、N6−メチルアデノシン、5−メチルカルボニルメチルウリジン、ウリジン5−オキシ酢酸、ピリジン−4−オン、ピリジン−2−オン、アミノフェノール、2,4,6−トリメトキシベンゼン、修飾シトシン、8−置換アデニンおよびグアニン、5−置換ウラシルおよびチミン、アザピリミジン、カルボキシヒドロキシアルキルヌクレオチド、カルボキシアルキルアミノアルキルヌクレオチド、アルキルカルボニルアルキル化ヌクレオチドならびにそれらの組合せを含む、請求項12記載の阻害物質組成物。
【請求項14】
1または修飾塩基が、リボース環の2'炭素のO−アルキル修飾を有する1またはそれを超える塩基を含む、請求項12記載の阻害物質組成物。
【請求項15】
1またはそれを超える修飾塩基が、2'ハロゲン修飾を有する1またはそれを超える塩基を含む、請求項12記載の阻害物質組成物。
【請求項16】
1またはそれを超える修飾塩基が、3'コレステロール修飾を有する1またはそれを超える塩基を含む、請求項12記載の阻害物質組成物。
【請求項17】
1またはそれを超える修飾塩基が、以下の構造:
【化1】


(式中、Rzは−Hであり、R=−C≡C−CH2CH2OHである)
を有する1またはそれを超える塩基を含む、請求項12記載の阻害物質組成物。
【請求項18】
オリゴヌクレオチドが、1またはそれを超える汎用塩基を含む、請求項1記載の阻害物質組成物。
【請求項19】
オリゴヌクレオチドが、検出可能標識を有する1またはそれを超えるヌクレオチドを含む、請求項1記載の阻害物質組成物。
【請求項20】
オリゴヌクレオチドが、デオキシリボフラノースまたはリボフラノースを含む1またはそれを超えるヌクレオチドを含む、請求項1記載の阻害物質組成物。
【請求項21】
オリゴヌクレオチドが、以下の構造:
【化2】

(式中、Rzは−ORaa(式中、Raaは−O−アルキル1〜12、−(CH2)nO−アルキル1〜12(式中、nは1〜6である)、ハロゲンまたは−CF3である)であり;Bは通常の塩基または修飾塩基である)
を有するリボフラノースを含む1またはそれを超えるヌクレオチドを含む、請求項20記載の阻害物質組成物。
【請求項22】
オリゴヌクレオチドが、1またはそれを超えるホスホロチオエート、メチルホスホネートまたはホスホロアミデートを含む、請求項1記載の阻害物質組成物。
【請求項23】
オリゴヌクレオチドが、標的配列の成熟鎖の逆相補物である配列を含む、請求項1記載の阻害物質組成物。
【請求項24】
隣接配列をさらに含む、請求項23記載の阻害物質組成物。
【請求項25】
MGBがオリゴヌクレオチドの5'末端にコンジュゲートしている、請求項1記載の阻害物質組成物。
【請求項26】
MGBがオリゴヌクレオチドの3'末端にコンジュゲートしている、請求項1記載の阻害物質組成物。
【請求項27】
MGBがDPI3またはCDPI3である、請求項1記載の阻害物質組成物。
【請求項28】
MGBが、以下の群:
【化3】


(式中、下付き文字mは2〜5の整数であり;
下付き文字rは2〜10の整数であり;ならびに
各RaおよびRbは、独立して、オリゴヌクレオチドに対するリンカー、フルオロフォアに対するリンカー、H、−ORc、−NRcRd、−COORcまたは−CONRcRd(式中、各RcおよびRdは、H、(C2〜C12)ヘテロアルキル、(C3〜C12)ヘテロアルケニル、(C3〜C12)ヘテロアルキニル、(C1〜C12)アルキル、(C2〜C12)アルケニル、(C2〜C12)アルキニル、アリール(C1〜C12)アルキルおよびアリールから選択される)であり、RaおよびRbの一方は、オリゴヌクレオチドまたはフルオロフォアに対するリンカーである)
から選択される構造を含む、請求項1記載の阻害物質組成物。
【請求項29】
構造内の環が、H、ハロゲン、(C1〜C8)アルキル、ORg、N(Rg)2、N+(Rg)3、SRg、CORg、CO2Rg、CON(Rg)2、(CH2)mSO3、(CH2)mCO2、(CH2)mOPO3−2およびNHC(O)(CH2)mCO2ならびにそれらのエステルおよび塩(式中、各Rgは、独立して、Hまたは(C1〜C8)アルキルであり、下付き文字mは0〜6の整数である)から選択される1またはそれを超える置換基を含む、請求項28記載の阻害物質組成物。
【請求項30】
MGBが、CC1065、レキシトロプシン、ジスタマイシン、ネトロプシン、ベレニル、デュオカルマイシン、ペンタミジン、4,6−ジアミノ−2−フェニルインドール、スチルバミジン、4,4'−ジアセチルジフェニル尿素ビス(グアニルヒドラゾン)(DDUG)、ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピンおよびそれらのいずれかの類似体よりなる群から選択される、請求項1記載の阻害物質組成物。
【請求項31】
阻害物質組成物が、以下の構造:
【化4】


(式中、Wは、C、O、N、S、PおよびSiから選択される約3〜100個の主鎖原子を有するリンカーであり;
[A-B]nは、Aが、核酸の調製に用いる糖リン酸骨格、修飾糖リン酸骨格、ロックト核酸骨格、ペプチド骨格またはそれらの変異体を表し、Bが塩基であるオリゴヌクレオチドであり;
nは約3〜約100の整数であり;
Ra、Rb、Rc、Rd、ReおよびRfは、H、ハロゲン、(C1〜C8)アルキル、ORg、N(Rg)2、N+(Rg)3、SRg、CORg、CO2Rg、CON(Rg)2、(CH2)mSO3-、(CH2)mCO2-、(CH2)mOPO3-2およびNHC(O)(CH2)mCO2-ならびにそれらのエステルおよび塩(式中、各Rgは、独立して、Hまたは(C1〜C8)アルキルであり、下付き文字mは0〜6の整数である)から選択される置換基であり;
RhおよびRwは、Hまたは、C、N、O、PおよびSから選択される1〜30個の原子を有し、環式、非環式もしくはそれらの組合せである基である)
の1つを含む、請求項1記載の阻害物質組成物。
【請求項32】
請求項1に記載の阻害物質組成物を、インビトロまたはインビボでmiRNA活性が存在する位置に導入することを含む、インビトロまたはインビボでのmiRNA活性を阻害する方法。
【請求項33】
請求項1に記載の阻害物質組成物を、前記miRNAの作用を阻害するのに十分な濃度で対象に投与することを含む、miRNAの過剰発現を特徴とする状態を処置する方法。

【図1】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate


【公表番号】特表2013−511984(P2013−511984A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541168(P2012−541168)
【出願日】平成22年11月23日(2010.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/057862
【国際公開番号】WO2011/066312
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(512136499)エリテック・ホールディング・ベスローテン・フェンノートシャップ (1)
【氏名又は名称原語表記】ELITECH HOLDING B.V.
【出願人】(505175825)ダーマコン, インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】