説明

加圧ポンプ内蔵貯湯式給湯装置

【課題】加圧ポンプを内蔵した貯湯式給湯装置の水抜き性を向上する。
【解決手段】湯水を貯湯する貯湯タンク1と、貯湯タンク1内の湯水を加熱する加熱手段2と、貯湯タンク1下部に給水する給水管3と、貯湯タンク1上部から給湯する給湯管4と、貯湯タンク1上部と連通して開弁状態で貯湯タンク1を大気開放する開閉弁11と、給湯管4途中に設けられ湯水を圧送する加圧ポンプ19と、加圧ポンプ19の吐出側の逆止弁20と、水抜き動作の開始を指示する指示手段22と、指示手段22が操作されると、一定時間加圧ポンプ19を駆動するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯タンク内に貯湯された湯水を圧送する加圧ポンプを内蔵した貯湯式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の貯湯式給湯装置においては、給湯経路途中に貯湯タンク内に貯湯された湯水を圧送する加圧ポンプを貯湯タンクユニット内に内蔵して設けたものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−24392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、この従来のものでは、加圧ポンプの吐出側に逆止弁を設けた場合、貯湯タンクユニットの水抜きを行う際に、給湯管の接続口に設けられている水抜き栓を開いても加圧ポンプ内の湯水が逆止弁の影響によって排水できず、雰囲気温度が低下すると残留水が凍結して加圧ポンプや逆止弁が破損してしまう問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、上記課題を解決するため、湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンク下部に給水する給水管と、前記貯湯タンク上部から給湯する給湯管と、前記貯湯タンク上部と連通して開弁状態で前記貯湯タンクを大気開放する開閉弁と、前記給湯管途中に設けられ湯水を圧送する加圧ポンプと、前記加圧ポンプの吐出側の逆止弁と、水抜き動作の開始を指示する指示手段と、前記指示手段が操作されると、一定時間前記加圧ポンプを駆動するようにした。
【0006】
また、前記給水管から分岐して前記給湯管に合流する給水バイパス管と、前記給水バイパス管からの水と前記貯湯タンクからの湯との混合比率を調整する混合弁とを設け、前記指示手段が操作されると、前記混合弁の開度を所定の中間開度にすると共に、一定時間前記加圧ポンプを駆動するようにした。
【発明の効果】
【0007】
このように本発明によれば、水抜きのための指示手段が操作されると、一定時間加圧ポンプが駆動されるため、加圧ポンプおよび逆止弁の残留水が排出され、低外気温時に加圧ポンプや逆止弁の破損を防止できる。
【0008】
また、混合弁を所定の中間開度とした状態で加圧ポンプが駆動されるため、給湯管および給水バイパス管の両方の残留水も良好に水抜きすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態の概略構成図。
【図2】同一実施形態の作動を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
1は湯水を貯湯する貯湯タンク、2は貯湯タンク1内の湯水を加熱する加熱手段、3は貯湯タンク1底部に接続された給水管、4は貯湯タンク1頂部から給湯栓5へ給湯するための給湯管、6は給水管3から分岐して給湯管4へ合流する給水バイパス管、7は給水バイパス管6と給湯管4との合流点に設けられ給水管3からの水と貯湯タンク1からの湯との混合比率を調整する混合弁である。
【0011】
8は混合弁7の下流に設けられ給湯流量を検出する流量センサ、9は流量センサ8の下流に設けられ給湯温度を検出する給湯温度センサ、10は給水管3途中に設けられ給水圧を所定の圧力に減圧する減圧弁、11は開弁状態で貯湯タンク1を大気開放する開閉弁である。なお、この開閉弁11は、手動で開弁可能であると共に、貯湯タンク1内が所定の高圧設定値を超過すると自動で開弁し、圧力を逃がす圧力逃がし弁を兼ねているものである。
【0012】
12は給湯管4と外部の給湯配管とを接続するための給湯接続口、13は給水管3と外部の給水配管とを接続するための給水接続口、14は給湯接続口12および給水接続口13にそれぞれ設けられた水抜き栓、15は貯湯タンク1底部に接続され排水栓16を有した排水管、17は給水管3の上流側に設けられた止水栓、18は貯湯タンク1の側面上下に複数設けられ貯湯温度を検出する貯湯温度センサである。
【0013】
19は給湯管4途中に設けられ湯水を圧送する加圧ポンプ、20は加圧ポンプ19の吐出側に設けられ貯湯タンク1側への逆流を防止する逆止弁である。
【0014】
21は給湯設定温度を設定すると共に、水抜き動作の開始を指示する指示手段22を有したリモートコントローラ、23はこの加圧ポンプ内蔵貯湯式給湯装置の作動を制御するマイクロコンピュータを有した制御部である。
【0015】
そして、この制御部23は、給湯栓5が開かれると、流量センサ8を介して流量を検出し、加圧ポンプ19を駆動開始すると共に、リモートコントローラ21で設定された給湯設定温度の給湯を行うように、給湯温度センサ9が検出する給湯温度が給湯設定温度と一致するように混合弁7の開度を調整する。そして、給湯栓5が閉じられて流量センサ8が流量を検出しなくなると、加圧ポンプ19の駆動停止し、給湯を終了する。
【0016】
また、制御部23は、深夜時間帯になると、貯湯温度センサ18で検出した貯湯タンク1内の貯湯熱量を検出し、翌朝までに貯湯タンク1内の貯湯熱量が目標の貯湯熱量となるように加熱手段2を駆動して沸き上げ運転を行うものである。
【0017】
次に、この一実施形態の作動を図2のフローチャートに基づいて説明する。
長期間給湯を使用しない等の水抜きが必要な状況となると、ユーザーは止水栓17を閉弁すると共に、給湯栓5、開閉弁11および排水栓16を開き、貯湯タンク1内の湯水を排水する。
【0018】
そして、指示手段22が操作されると、制御部23は水抜きモードを開始する(ステップS1)。水抜きモードが開始されると、制御部23は混合弁7を所定の中間開度にすると共に、加圧ポンプ19の駆動を開始する(ステップS2)。
【0019】
加圧ポンプ19が駆動されると、給湯管4および給水バイパス管6の残留水が加圧ポンプ19によって吸い出されて排水される。加圧ポンプ19の駆動開始から一定時間が経過すると(ステップS3)、加圧ポンプ19の駆動を停止し(ステップS4)、水抜きモードを終了する(ステップS5)。
【0020】
このようにして、水抜きモード時に加圧ポンプ19が一定時間駆動されるため、給湯管4、給水バイパス管6、混合弁7、加圧ポンプ19および逆止弁20の残留水が排水され、加圧ポンプ19よりも下流側の確実な水抜きが可能となり、低外気温時に加圧ポンプ19や逆止弁20の破損を防止できるものである。
【0021】
また、加圧ポンプ19は水抜きモードでの駆動開始から一定時間の経過で停止されるため、不要な空回し時間を制限することができ、加圧ポンプ19の寿命を徒に短縮させることがない。
【0022】
なお、水抜きモードの開始を指示する指示手段22は制御部23の電気回路基板上にスイッチを直接設ける構成としてもよいものであり、加熱手段2としてヒートポンプ式の加熱手段としてもよいものであり、発明の要旨を変更しない範囲で改変可能なものである。
【符号の説明】
【0023】
1 貯湯タンク
2 加熱手段
3 給水管
4 給湯管
6 給水バイパス管
7 混合弁
11 開閉弁
19 加圧ポンプ
20 逆止弁
22 指示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンク下部に給水する給水管と、前記貯湯タンク上部から給湯する給湯管と、前記貯湯タンク上部と連通して開弁状態で前記貯湯タンクを大気開放する開閉弁と、前記給湯管途中に設けられ湯水を圧送する加圧ポンプと、前記加圧ポンプの吐出側の逆止弁と、水抜き動作の開始を指示する指示手段と、前記指示手段が操作されると、一定時間前記加圧ポンプを駆動するようにしたことを特徴とする加圧ポンプ内蔵貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記給水管から分岐して前記給湯管に合流する給水バイパス管と、前記給水バイパス管からの水と前記貯湯タンクからの湯との混合比率を調整する混合弁とを設け、前記指示手段が操作されると、前記混合弁の開度を所定の中間開度にすると共に、一定時間前記加圧ポンプを駆動するようにしたことを特徴とする請求項1記載の加圧ポンプ内蔵貯湯式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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