説明

加圧成形装置

【課題】加圧成形装置において、成形物を覆うゴム部材やシール部材のはみ出しや挟み込みによる破損を確実に防止できる。
【解決手段】加圧成形装置100は、プレスフレーム15によりバックアップシリンダ12が支持され、バックアップシリンダ12の上に下加圧台10が載置されている。下加圧台10の上には、加圧ゴム3及び成形ゴム5が加圧ゴム押え6により取り付けられている。加圧成形装置100は、上加圧台14に取り付けられた加圧プレート7と成形圧力容器8とにより成形加圧室32を形成し、成形圧力容器8が押圧され、ばね機構9により移動する。加圧成形前における外枠ゴムシートの初期厚さT2と成形圧力容器8に挿通される加圧プレート7の深さT3がT2<T3の関係を満足するように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の成形物を、成形物に加圧媒体が接触しない乾式により加圧成形する加圧成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、平面部材と、この平面部材で保護部材を介して被加圧成形物を上下に挟み付ける加圧手段とを有する加圧成形装置がある。
この加圧成形装置による加圧成形に際しては、たとえば、先ず平面部材の表面に被加圧成形物を載置し、その上を保護部材で覆い、平面部材と加圧手段とで被加圧成形物を挟み付ける。次いで加圧手段により、被加圧成形物を平面部材に対して押圧する。この平面部材は加圧成形時には移動不可能に規制されているので、押圧手段による押圧力によって、被加圧成形物は平面部材と押圧手段とにより強固に挟み付けられ押圧される。一定時間の押圧により、被加圧成形物が固結してなる加圧成形物が得られる。
【0003】
このような加圧成形装置は、例えば、特開平10−6323号公報(特許文献1)や、特開平10−85996号公報(特許文献2)に開示されている。
特許文献1においては、被加圧成形物に加圧媒体が接触することを防ぐシール部材を中板と端板とよりなる圧力容器により挟み込み、支持部材にて形状保持している。加圧及び加熱によるシール部材の伸びを吸収するため、シール部材の加圧面に窪み部と凸部とからなる伸び代を設ける技術が開示されている。なお、シール部材と被加圧成形物との間に設けられる保護ゴムは、下ピストンの上昇と共に、圧力容器内に挿入されるものとなっている。
【0004】
特許文献2においては、被加圧成形物を下板ならびに型ゴムと共にピストン上に載せ、中板(圧力容器本体)内に挿入する加圧成形装置が開示されている。被加圧成形物に加圧媒体が接触することを防ぐシールゴム、ならびにシールゴムと被加圧成形物との間に設けられる保護ゴムは中板(圧力容器本体)内に装着されている。
【特許文献1】特開平10−6323号公報
【特許文献2】特開平10−85996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示された技術は、それぞれ以下のような問題点がある。
特許文献1に開示された技術については、加圧は加温状態で行なわれ、シール部材はゴム材質であるため、圧力容器等の金属部材より、線膨張率が大きく、加圧時には弛みを生じた状態で加圧されることになり、皺が発生して被加圧成形物に転写される可能性がある。また、保護ゴムも加温により伸びており、下ピストンの外径と圧力容器の内径とが適切な径寸法でない場合には、保護ゴムやシール部材などのはみ出しや噛み込みが起こる可能性がある。
【0006】
特許文献2に開示された技術については、構造上、シールゴムは必然的に下向き加圧となり、加温による伸びに加え、加圧流体の重量と残圧とによりシールゴムは下方に大きく膨らむこととなる。また、被加圧成形物が載置された下板が中板(圧力容器本体)に嵌入されるので、下板の外径と圧力容器の内径とが適切な径寸法でない場合には、被加圧成形物上の型ゴムや前述のシールゴムがはみ出したり噛み込んだりして損傷する可能性がある。
このように、シート状の成形物を、成形物に加圧媒体が接触しない乾式により加圧成形する装置では、成形物を覆う保護ゴムや型ゴムなどのゴム部材が存在し、このような部材を被加圧成形物と共に圧力容器に挿入する場合、圧力容器の寸法(径や深さ)が不適切であると、圧力容器の挿入開口部からはみ出たり噛み込んだりするといった不都合が、従来より存在していた。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、成形物を覆うゴム部材やシール部材のはみ出しや噛み込みによる破損を防止でき、確実な乾式等方圧加圧処理を実現できる加圧成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明にかかる加圧成形装置は、被加圧成形物を上方から加圧する上加圧台と、前記上加圧台と対向すると共に前記被加圧成形物を下方から加圧する下方加圧台と備える加圧成形装置であって、前記下加圧台には、前記被加圧成形物及び被加圧成形物を取り囲む外枠弾性部材を下方から支持する成形用弾性部材と、該成形用弾性部材の下方に配備され且つ加圧成形時に前記成形用弾性部材に下方から加圧力を付与する加圧用弾性部材と、が設けられ、前記上加圧台には、前記外枠弾性部材が挿入すると共に前記下加圧台で押し上げられることで深さが浅くなるよう構成された成形圧力容器が設けられ、加圧成形前における前記外枠弾性部材の厚さT2と前記成形圧力容器の深さT3とが、T2<T3の関係を満足するように設定されていることを特徴とする。
【0009】
この加圧成形装置によると、上加圧台に設けられた成形圧力容器は、その深さが変化するように構成されていて、処理前には、成形圧力容器の深さT3は、外枠弾性部材の初期厚さT2より大きいが、加圧(予圧)に従い成形圧力容器の深さT3が縮まり、成形圧力容器の深さT3は、処理前の被加圧成形物の厚さと概略同等となる。
そのため、処理前には、外枠弾性部材が成形圧力容器内に確実に入り込むこととなり、はみ出したりする不都合を確実に回避できる。
加えて、加圧中は、外枠弾性部材の変形に応じて、予圧時に成形圧力容器の深さT3が変わるので、密閉された成形圧力容器内に処理前の被加圧成形物と外枠弾性部材とで充満させることができ、外枠弾性部材の変形により、被加圧成形物の周囲に側圧を与えることができる。成形圧力容器の深さT3が変化することにより、外枠弾性部材に従来のような伸び代(凹部、窪み部)を設置する必要がなくなる。
【0010】
好ましくは、前記上加圧台の下面には、前記成形圧力容器が下方付勢力を発生する弾性体機構を介して取り付けられているとよい。
また、前記下加圧台には、当該下加圧台を上方に押し上げるバックアップシリンダが備えられているよい。
このように構成すると、バックアップシリンダを用いて、被加圧成形物に対する予圧が容易に行える。また、予圧処理において、加圧用弾性部材を膨張させる必要が無くなるため、加圧用弾性部材のゴムの変形量を少なくでき裂損の危険性を少なくすることができる。従来の成形室に比して浅い成形室となるので、空気が逃げやすく特別の脱気孔を設ける必要がなくなる。
【0011】
また、前記加圧用弾性部材の内部に形成された圧力室と前記バックアップシリンダ内とを連通する連通路が設けられ、前記連通路には、前記圧力室の圧力がバックアップシリンダ内の圧力より高くなることを防止する圧力調整手段が設けられているとよい。
このように構成すると、万が一、バックアップシリンダ内の圧力が減少した場合でも同時に加圧ゴム液圧室の圧力も減少するので、加圧ゴムが無負荷で膨張することを防止できる。また、何らかの原因で、加圧ゴム液圧室の圧力が上昇したとしても、同時にバックアップシリンダ内の圧力も上昇するため、下加圧台が上加圧台から外れることは無い。
【0012】
さらに好ましくは、加圧成形後の減圧時に、前記加圧用弾性部材の圧力室の圧力を大気圧以下とすることができるよう構成されているとよい。
この構成であると、減圧時に、加圧ゴム液圧室ラインを大気圧以下にして、加圧ゴムを加圧ゴムサポートプレートに密着させることができる。
また、前記上加圧台及び下加圧台は、プレスフレームに支持されており、前記上加圧台は、前記プレスフレームの外方に延びる上加圧台ガイドに移動自在に懸架されて、下加圧台に対し非対向とすることが可能となるように構成することは好ましい。
【0013】
こうすることで、メンテナンス時に、上加圧台を下加圧台の上方位置から外すことができるようになり、下加圧台との間の開口の狭さを解消して、作業容易性を確保できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の加圧成形装置によれば、成形物を覆うゴム部材やシール部材の挟み込みによる破損を防止でき、確実な加圧成形処理が行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図を基に説明する。
なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
図1は本実施形態に係る加圧成形装置100の概略を示す側面図である。図2は本実施形態に係る加圧成形装置100の概略を示す正面図である。
加圧成形装置100は、内部開放の門型のプレスフレーム15を有し、このプレスフレーム15の下側にバックアップシリンダ12が設けられている。このバックアップシリンダ12の上には、間座11(スペーサ部材)を介して下加圧台10が載置されている。バックアップシリンダ12が伸長することで下加圧台10が上方へ移動する。
【0016】
下加圧台10の上には、加圧ゴム3(加圧用弾性部材)が設けられ、その上に被加圧成形物1が載置される成形ゴム5(成形用弾性部材)が配備されている。加圧ゴム3及び成形ゴム5は下加圧台10に対して加圧ゴム押え6により取り付けられている。
間座11の内部には、加圧ゴム3内に形成された空間、すなわち加圧ゴム3の液圧室31とバックアップシリンダ12内とが連通路30で接続されており、この連通路30の途中には、液圧室31の圧力がバックアップシリンダ12内の圧力より高くなることを防止する圧力調整手段(逆止弁18)が設けられている。この逆止弁18は、バックアップシリンダ12側に圧媒が自由に流れる機能を備える。
【0017】
下加圧台10の上方であって対向する位置には上加圧台14が設けられ、この上加圧台14は、プレスフレーム15の上側に取り付けられている。上加圧台14の下面には、平面視リング状の成形圧力容器8が取り付けられ、この成形圧力容器8の上底(すなわち、上加圧台14の下面)には、成形圧力容器8の内周壁に隙間無く嵌り込む加圧プレート7が設けられている。この加圧プレート7もゴムで構成され、加圧プレート7と成形圧力容器8とにより成形加圧室32が形成されている。なお、加圧プレート7は金型(金属)で構成されてもよくゴムに限定されない。
【0018】
成形圧力容器8は、前記下加圧台10で押し上げられることで、成形加圧室32の深さが浅くなるよう構成されている。具体的には、成形圧力容器8は、上加圧台14の下面に設けられたばね機構9(弾性部材機構)により吊り下げられている。ばね機構9は成形圧力容器8を下側に付勢する力を発生するものとなっている。
下加圧台10には下ヒータ16が組込まれており、上加圧台14には上ヒータ17が組み込まれている。上ヒータ17と下ヒータ16とは独立に所定温度に制御でき、全体として被加圧成形物1を所定温度に均熱できる。
【0019】
さらに、図2に示すように、加圧成形装置100は、上加圧台14をプレスフレーム15外に取り出すことができるように、上加圧台14を上加圧台ガイド200から懸架している。上加圧台ガイド200は、プレスフレーム15の上側から外側に向けて略水平に延びており、この上加圧台ガイド200に対し上加圧台14は摺動自在となっている。
このようにすると、上加圧台14を下加圧台10に対し非対向とし、上加圧台14を下加圧台10の上方位置から外すことができて、その結果、加圧ゴム3、成形ゴム5及び加圧ゴム押え6の上方を開放することが可能となる。そのため、メンテナンス時に、上加圧台14と下加圧台10との間の開口の狭さを解消して作業容易性を確保できる。
【0020】
同様に、プレスフレーム15外に取り出した上加圧台14に取り付けられた加圧プレート7及び成形圧力容器8の点検が容易になる。
本実施形態に係る加圧成形装置100は、加圧成形前における、外枠ゴムシートの初期厚さT2と成形圧力容器8の深さT3(すなわち、成形圧力容器8内に挿入された加圧プレート7の深さ)が、T2<T3の関係を満足することを特徴とする。
以下、これについて詳しく説明する。
図3に、被加圧成形物1を取り囲む外枠ゴムシート2(外枠弾性部材)、加圧プレート7及び成形圧力容器8の部分拡大図を示す。
【0021】
図3に示すように、被加圧成形物1は矩形あるいは円形のシート状であり、その厚さはT1である。被加圧成形物1は、外枠ゴムシート2(厚さT2)に収納され、被加圧成形物1の外周は、その出し入れに支障のない程度に外枠ゴムシート2よりわずかに小さくなっている。外径が円形である外枠ゴムシート2も成形圧力容器8(深さT3)の内径に入いるため、外枠ゴムシート2の外径は成形圧力容器8の内径よりわずかに小さい。
成形圧力容器8の深さT3は、外枠ゴムシート2の厚さT2より大きく、被加圧成形物1と外枠ゴムシート2が成形圧力容器8内に完全に入ってから加圧できるようになっている。ゆえに、外枠ゴムシート2が成形圧力容器8内に入りきらず、成形圧力容器8の開口側縁部からはみ出て挟み込まれることによる破損を確実に防止できる。
【0022】
成形圧力容器8は、ばね機構9で支持されているので、成形圧力容器8の深さは変化して最適にすることができる。すなわち、処理前には成形圧力容器の深さT3は外枠ゴムシート2の厚さT2より大きいが、加圧(予圧)に従い成形圧力容器の深さT3が縮まり、成形圧力容器の深さT3は、本加圧処理前の被加圧成形物の厚さT1と概略同等となる。このとき、成形圧力容器8の深さT3及び外枠ゴムシート2の厚さT2が、被加圧成形物1の厚さT1と略同等となる。
この時(すなわち予圧時に)、外枠ゴムシート2の変形に応じて、密閉された成形圧力容器8内を処理前の被加圧成形物1と外枠ゴムシート2とで充満させることができる。また、外枠ゴムシート2の変形により、被加圧成形物1の周囲に側圧(被加圧成形物1を側方から内側に押さえる力)を与えることができる。このように、被加圧成形物1の外周部に配置した外枠ゴムシート2を本加圧前に圧縮し、成形物1を支持してその径方向の変位を制限することで、被加圧成形物1の位置ズレや割れやダレを防止できるようになる。
【0023】
成形圧力容器8の深さT3が変化することにより、外枠ゴムシート2に従来のような凹部(窪み部)を設置する必要がなくなる。また、予圧をバックアップシリンダ12で行なうので加圧ゴム3の変形量が少なく、浅い成形室となるので特別の脱気孔を設ける必要はなくなる。
なお、図1,図2から明らかなように、本実施形態に係る加圧成形装置100は、バックアップシリンダ12などに圧力を供給する液圧配管(連通路30など)を全て被加圧成形物1の下方側に配置している。そのため、液漏れが発生したとしても、被加圧成形物1が汚れることを防止できる。加圧ゴム3の液重量による膨れも防ぐことができる。
【0024】
加圧成形装置100に処理前の被加圧成形物1が搬入された後における、加圧成形装置100の処理動作(予圧処理動作、加圧処理動作)について説明する。
図4に加圧成形装置100における加圧前予圧状態を示す側面図を示す。図5に加圧成形装置100における加圧状態を示す側面図を示す。
まず、予圧処理動作として、加圧前に、低圧ポンプ19からの圧媒(液圧)をバックアップシリンダ12のみに導き(油圧ユニットの方向切換弁は図示せず)、間座11を介して下加圧台10を、加圧ゴム押え6の上面が成形圧力容器8の下面に当たるまで上昇させる。
【0025】
更にバックアップシリンダ12を、外枠ゴムシート2の厚さT2が処理前の被加圧成形物1の厚さT1になるまで上昇させると、外枠ゴムシート2の内外径部分の隙間がなくなり、成形圧力容器8内は処理前の被加圧成形物1と外枠ゴムシート2とで充満され、外枠ゴムシート2の変形により、そのポアソン比に相当到する分の側圧が処理前の被加圧成形物1の外周に加わることとなる。このとき、ばね機構9の弾性力に抗して成形圧力容器8が上昇するので、成形圧力容器8の深さT3は、外枠ゴムシート2の厚さT2及び処理前の被加圧成形物1の厚さT1と概略同等になる。なお、成形圧力容器8には、ばね機構9の弾性力が下方に加わっており隙間が開くことはない。
【0026】
次に、加圧処理動作として、増圧機20(高圧ポンプ)を作動させて、圧媒をバックアップシリンダ12と加圧ゴム3との内部に同時に導き、成形ゴム5を膨らまして、処理前の被加圧成形物1と外枠ゴムシート2とを加圧する。被加圧成形物1は、前述の加圧力と、加圧プレート7の反力と外枠ゴムシート2のポアソン比に相当する分の側圧とにより、ほぼ等方圧が付加されることになる。なお、予圧時に成形圧力容器8内が処理前の被加圧成形物1と外枠ゴムシート2とで充満されていることが、等方圧を付加させることに大いに影響している。
【0027】
また、加圧による加圧ゴム3の変形が少ないので、加圧ゴム3においては伸び代のための弛みは必要ない。バックアップシリンダ12の内径は加圧ゴム3の外径より大きくなっているものの、バックアップシリンダ12から付与される加圧力は、加圧ゴム押え6を介して成形圧力容器8から上加圧台14に確実に伝えられる。このため隙間が開くことはない。
さらには、下加圧台10を上昇させ、外枠ゴムシート2を成形圧力容器8内に挿入することから明らかなように、予圧・加圧に処理において、金属部品同士が脱着することがないため、金属接触による焼付きを防止可能な加圧成形装置となっている。
【0028】
被加圧成形物1に対して等方圧加圧処理を行った後の減圧処理動作は、まず加圧ゴム3側の圧力を開放し、その後、バックアップシリンダ12側の圧力を開放する。なお、万一、誤操作でバックアップシリンダ12側の圧力を先に開放した場合には、間座11内に設けられた連通路30の逆止弁18が機能して、加圧ゴム3側の圧力とバックアップシリンダ12側の圧力とを同一にして、圧力がかかっている間に成形圧力容器8が開放されることを防ぐこととなっている。
ところで、かかる逆止弁18すなわち圧力調整手段を加圧成形装置10の外部に設けることも考えられるが、その場合、外部にある逆止弁18までの配管抵抗等のため、動作遅れを生じたり、差圧が生じたりする。本実施形態の逆止弁18は、このような問題を回避して、加圧ゴム3が無負荷で過膨張することを防止できる。
【0029】
また、間座11を設けることにより、加熱される下加圧台10の熱がバックアップシリンダ12に伝わり難くできる。
なお、減圧処理後に液圧室31に残圧があると、加圧ゴム3は過膨張状態となるので、増圧機20を動作させ、液圧室31を若干負圧(大気圧以下)にし、加圧ゴム3を加圧ゴムサポートプレート4に密着させるとよい。負圧を発生させる手段は増圧機20に限らず、エゼクタのようなものでもよい。
以上のように予圧処理→加圧処理→減圧処理を行なうことにより、被加圧成形物1の乾式等方圧加圧処理を適切に行なうことができる。
【0030】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】加圧成形装置の概略を示す側面図である。
【図2】加圧成形装置の概略を示す正面図である。
【図3】成形圧力容器の近傍の拡大断面図である。
【図4】加圧成形装置の予圧処理状態を示す側面図である。
【図5】加圧成形装置の加圧処理状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 被加圧成形物
2 外枠ゴムシート
3 加圧ゴム
4 加圧ゴムサポートプレート
5 成形ゴム
6 加圧ゴム押え
7 加圧プレート
8 成形圧力容器
9 ばね機構
10 下加圧台
11 間座
12 バックアップシリンダ
13 ラム
14 上加圧台
15 プレスフレーム
16 下ヒータ
17 上ヒータ
18 逆止弁
19 低圧ポンプ
20 増圧機
30 連通路
31 加圧ゴムの液圧室
32 成形加圧室
100 加圧成形装置
200 上加圧台ガイド
T1 被加圧成形物厚さ
T2 外枠ゴムシート厚さ
T3 成形圧力容器の初期深さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加圧成形物を上方から加圧する上加圧台と、前記上加圧台と対向すると共に前記被加圧成形物を下方から加圧する下方加圧台と備える加圧成形装置であって、
前記下加圧台には、前記被加圧成形物及び被加圧成形物を取り囲む外枠弾性部材を下方から支持する成形用弾性部材と、該成形用弾性部材の下方に配備され且つ加圧成形時に前記成形用弾性部材に下方から加圧力を付与する加圧用弾性部材と、が設けられ、
前記上加圧台には、前記外枠弾性部材が挿入すると共に前記下加圧台で押し上げられることで深さが浅くなるよう構成された成形圧力容器が設けられ、
加圧成形前における前記外枠弾性部材の厚さT2と前記成形圧力容器の深さT3とが、T2<T3の関係を満足するように設定されていることを特徴とする加圧成形装置。
【請求項2】
前記上加圧台の下面には、前記成形圧力容器が下方付勢力を発生する弾性体機構を介して取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の加圧成形装置。
【請求項3】
前記下加圧台には、当該下加圧台を上方に押し上げるバックアップシリンダが備えられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の加圧成形装置。
【請求項4】
前記加圧用弾性部材の内部に形成された圧力室と前記バックアップシリンダ内とを連通する連通路が設けられ、
前記連通路には、前記圧力室の圧力がバックアップシリンダ内の圧力より高くなることを防止する圧力調整手段が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の加圧成形装置。
【請求項5】
加圧成形後の減圧時に、前記加圧用弾性部材の圧力室の圧力を大気圧以下とすることができるよう構成されていることを特徴とする請求項4に記載の加圧成形装置。
【請求項6】
前記上加圧台及び下加圧台は、プレスフレームに支持されており、
前記上加圧台は、前記プレスフレームの外方に延びる上加圧台ガイドに移動自在に懸架されて、下加圧台に対し非対向とすることが可能となっている請求項1〜5のいずれかに記載の加圧成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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