説明

加圧装置および加圧方法

【課題】加圧面の平坦性をより柔軟に制御することが可能な技術を提供する。
【解決手段】加圧装置1は、被加圧物91,92を加圧する装置である。加圧装置1は、ヘッド22とステージ12とを備える。ヘッド22とステージ12とがZ方向(鉛直方向)において互いに近接する向きに相対的に移動された後に、両被加圧物91,92はステージ12とヘッド22との間に挟まれて加圧される。ヘッド22は、被加圧物92に対して加圧用の力を伝達する加圧面FCと、ピエゾアクチュエータ37とを有している。ピエゾアクチュエータ37は、加圧面FCの中央部分をZ方向において変位させ、加圧面FCの中央部分を加圧面FCの外周側部分に対してZ方向において相対的に変位させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの被加圧物を加圧する加圧装置およびそれに関連する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの被加圧物を2つの加圧部材の相互間に挟んで加圧する技術が存在する。詳細には、上側の加圧部材と下側の加圧部材との間に2つの被加圧物(たとえば半導体ウエハ)を挟んで当該2つの被加圧物を加圧する装置が存在する。
【0003】
このような装置においては、上側加圧部材の下面と下側加圧部材の上面との間に両被加圧物が挟まれ、当該両被加圧物が加圧される。このとき、一般的には、上側加圧部材の下面と下側加圧部材の上面とはそれぞれ平坦な面として構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上側加圧部材の下面(加圧面)と下側加圧部材の上面(加圧面)とが、それぞれ、平坦な面として構成される場合には、種々の事情により、十分な加圧処理ができないことがある。
【0005】
たとえば、被加圧物が加熱処理を伴って加圧される場合には、加熱に起因して加圧面が変形し加圧面の平坦性を十分に確保できないことがある、という問題が存在する。
【0006】
このような問題を解消するために、被加圧物を加圧する加圧面が所定温度に加熱された際に平坦になるように、当該保持面を加熱した状態で当該保持面を平面研磨することが考えられる。
【0007】
しかしながら、このような技術を採用したとしても、平面研磨時の所定温度以外の温度では加圧面の平坦性が必ずしも十分でない、という問題が存在する。
【0008】
あるいは、たとえば2つの被加圧部材で2つの被加圧物を加圧して接合する際においては、加圧面の平坦性が不十分であることなどに起因して接合界面にボイド(空隙)が発生することがある、という問題が存在する。
【0009】
このように、加圧面の平坦性を十分に制御できないことに起因する諸問題が存在する。
【0010】
そこで、この発明は、加圧面の平坦性をより柔軟に制御することが可能な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、第1の被加圧物と第2の被加圧物との両被加圧物を加圧する加圧装置であって、第1の加圧部と、第2の加圧部と、所定方向において前記第1の加圧部と前記第2の加圧部とを相対的に移動させる駆動手段と、を備え、前記第1の加圧部と前記第2の加圧部とが前記所定方向において互いに近接する向きに相対的に移動された後に、前記第1の被加圧物と前記第2の被加圧物とは前記第1の加圧部と前記第2の加圧部との間に挟まれて加圧され、前記第1の加圧部は、前記第1の被加圧物に対して加圧用の力を伝達する加圧面と、前記加圧面の中央部分を前記所定方向において変位させ、前記加圧面の中央部分を前記加圧面の外周側部分に対して前記所定方向において相対的に変位させる中央部変位手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る加圧装置において、前記中央部変位手段は、前記両被加圧物の加圧中において、前記加圧面の中央部分を前記所定方向において変位させることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1の発明に係る加圧装置において、前記中央部変位手段は、前記両被加圧物の加圧中において、前記加圧面の中央部分を前記所定方向において変位させることにより、前記加圧面の中央部分が前記第1の被加圧物側に向けて前記加圧面の外周側部分よりも突出した第1の状態から、前記加圧面の中央部分が前記所定方向において前記加圧面の外周側部分と略同一の位置に存在する第2の状態へと前記加圧面の凹凸状態を遷移させることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1の発明に係る加圧装置において、前記中央部変位手段は、前記両被加圧物の加圧中において、前記加圧面の中央部分を前記所定方向において変位させることにより、前記加圧面の中央部分が前記第1の被加圧物側に向けて前記加圧面の外周側部分よりも突出した第1の状態から、前記加圧面の中央部分と前記加圧面の外周側部分とが前記所定方向において略同一位置に存在する第2の状態を経て、前記加圧面の外周側部分が前記第1の被加圧物側に向けて前記加圧面の中央部分よりも突出した第3の状態へと前記加圧面の凹凸状態を遷移させることを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかの発明に係る加圧装置において、前記加圧面の中央部分における加圧圧力を測定する第1の測定手段、をさらに備え、前記中央部変位手段は、前記中央部分での加圧圧力に基づき前記中央部分の前記所定方向における変位を調整することを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかの発明に係る加圧装置において、前記第1の加圧部は、略円錐台形状あるいは略多角錐台形状を有し且つ前記両被加圧物に対する加圧用の力を伝達する第1の伝達部材と、前記第1の伝達部材と前記第1の被加圧物との間に配置され、前記第1の伝達部材からの加圧用の力を前記第1の伝達部材から前記第1の被加圧物へとさらに伝達する略板状の第2の伝達部材と、をさらに有することを特徴とする。
【0017】
請求項7の発明は、請求項6の発明に係る加圧装置において、前記第1の被加圧物と前記第2の被加圧物との平行度合を調整する平行調整手段、をさらに備え、前記駆動手段は、前記平行調整手段による平行調整動作の後に、前記第1の被加圧物を保持する前記第1の加圧部と前記第1の被加圧物を保持する前記第2の加圧部とを前記所定方向において相対的に移動して前記両被加圧物を接触させることを特徴とする。
【0018】
請求項8の発明は、請求項7の発明に係る加圧装置において、略円錐台形状あるいは略多角錐台形状を有する前記第1の伝達部材の頂点側において、所定のベース部材と前記第1の伝達部材との間に配置される伸縮手段、をさらに備え、前記伸縮手段は、前記平行調整手段による平行調整動作が行われ且つ前記両被加圧物が接触した後に、伸縮することによって前記第1の伝達手段に伝達する加圧力を調整することを特徴とする。
【0019】
請求項9の発明は、請求項6の発明に係る加圧装置において、略円錐台形状あるいは略多角錐台形状を有する前記第1の伝達部材の頂点側において、所定のベース部材と前記第1の伝達部材との間に配置される伸縮手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0020】
請求項10の発明は、請求項8または請求項9の発明に係る加圧装置において、前記伸縮手段は、ピエゾアクチュエータを有することを特徴とする。
【0021】
請求項11の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかの発明に係る加圧装置において、前記中央部変位手段は、前記加圧面の中央部分付近に設けられるピエゾアクチュエータであって前記所定方向に伸縮して前記加圧面の中央部分を前記所定方向において変位させるピエゾアクチュエータ、を有することを特徴とする。
【0022】
請求項12の発明は、請求項6の発明に係る加圧装置において、前記中央部変位手段は、前記加圧面の中央部分付近に設けられ、前記第1の伝達部材と前記第2の伝達部材とを接続する接続部材と、前記接続部材を加熱する加熱手段と、を有し、前記中央部変位手段は、前記接続部材を加熱することによって前記接続部材を前記所定方向に伸長させ前記加圧面の中央部分を前記所定方向において変位させることを特徴とする。
【0023】
請求項13の発明は、第1の被加圧物と第2の被加圧物との両被加圧物を加圧する加圧方法であって、a)前記第1の被加圧物を保持する第1の加圧部と前記第2の被加圧物を保持する第2の加圧部とを相対的に移動するステップと、b)前記第1の被加圧物を保持する加圧面の中央部分を前記所定方向において変位させ、前記加圧面の中央部分を前記加圧面の外周側部分に対して前記所定方向において相対的に変位させるステップと、を備えることを特徴とする。
【0024】
請求項14の発明は、請求項13の発明に係る加圧方法において、前記ステップb)においては、加圧時の処理温度に応じて前記加圧面の中央部分の前記所定方向における変位量が調整されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
請求項1ないし請求項14に記載の発明によれば、加圧面の平坦性を良好に調整することが可能である。
【0026】
特に、請求項3に記載の発明によれば、比較的大きな圧力の作用位置を両被加圧物の中央部から周辺部へと移動させつつ、両被加圧物を適切に加圧することができる。
【0027】
また特に、請求項4に記載の発明によれば、両被加圧物の特に周辺部においても十分に大きな圧力を作用させることが可能である。
【0028】
また特に、請求項5に記載の発明によれば、加圧面の平坦性をさらに良好に確保することが可能である。
【0029】
また特に、請求項7に記載の発明によれば、接触時の位置ずれが生じにくい。
【0030】
また特に、請求項14に記載の発明によれば、加圧時の処理温度が所定値以外である場合においても、第1の加圧部の加圧面の平坦性を良好に調整することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1実施形態に係る加圧装置を示す縦断面図である。
【図2】ステージおよびヘッド付近の概略構成を示す斜視図である。
【図3】ヘッドの縦断面図である。
【図4】ヘッドの平面図である。
【図5】加圧時の処理温度と加圧面を平坦化する変位量との関係を示す図である。
【図6】両被加圧物付近の様子を示す図である。
【図7】非平行配置状態を示す模式図である。
【図8】下側部材の中央部が下側に向けて突出している状態を示す図である。
【図9】研磨後且つ冷却後の状態を示す図である。
【図10】第1実施形態に係る動作を示すフローチャートである。
【図11】加圧面の「中凸状態」を示す図である。
【図12】加圧面の「平坦状態」を示す図である。
【図13】加圧面の「中凹状態」を示す図である。
【図14】第2実施形態に係る動作を示すフローチャートである。
【図15】中凸状態の加圧面による加圧状態を示す図である。
【図16】中凸状態の加圧面による加圧状態を示す図である。
【図17】中凸状態の加圧面による加圧状態を示す図である。
【図18】中凹状態の加圧面による加圧状態を示す図である。
【図19】面内圧力調整用の目標値の経時変化曲線を示す図である。
【図20】両被加圧物の相互間に樹脂層が挟まれた状態を示す図である。
【図21】部分的に樹脂層が設けられた状態を示す断面図である。
【図22】部分的に樹脂層が設けられた状態を示す平面図である。
【図23】部分的に樹脂層が設けられた状態を示す断面図である。
【図24】変形例に係る動作を時系列で示す図である。
【図25】先鋭部分の周辺に「ボイド」が生じる様子を模式的に示す図である。
【図26】チップオンウエハに係る変形例を示す図である。
【図27】チップオンウエハに係る変形例を示す図である。
【図28】変形例に係る加圧装置(ナノインプリント装置)を示す構成図である。
【図29】ナノインプリント装置において加圧される両被加圧物を示す図である。
【図30】紫外線が両被加圧物に照射される様子を示す図である。
【図31】変形例に係る「中凹状態」を示す図である。
【図32】変形例に係る「中凸状態」を示す図である。
【図33】変形例に係るヘッド付近を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0033】
<1.第1実施形態>
<1−1.装置>
図1は、本発明の第1実施形態に係る加圧装置1(1Aとも称する)を示す縦断面図である。なお、以下、各図においては、便宜上、XYZ直交座標系を用いて方向等を示している。
【0034】
この加圧装置1は、減圧下のチャンバ(真空チャンバ)2内で、被加圧物91と被加圧物92とを対向させて(重ねて)加圧し、両被加圧物91,92を接合する装置である。そのため、この加圧装置1は、接合装置であるとも表現される。
【0035】
加圧装置1は、両被加圧物91,92の処理空間である真空チャンバ2を備える。真空チャンバ2は、排気管6と排気弁7とを介して真空ポンプ5に接続されている。真空ポンプ5の吸引動作に応じて真空チャンバ2内の圧力が低減(減圧)されることによって、真空チャンバ2は真空状態にされる。また、排気弁7は、その開閉動作と排気流量の調整動作とによって、真空チャンバ2内の真空度を調整することができる。
【0036】
ここでは、被加圧物91,92として、半導体ウエハ(基板)を用いるものとする。なお、被加圧物91,92は「被接合物」とも称され、装置1における加圧処理(加圧方法)は接合処理(接合方法)とも称される。
【0037】
また、両被加圧物91,92は、加圧時(接合時)において、ヘッド22(加圧部材)の加圧面22f(図2参照)とステージ12(加圧部材)の加圧面12f(図2参照)との間に介装される。具体的には、上側の被加圧物92は、ヘッド22(より詳細にはヘッド22の下側先端部に設けられた静電チャックあるいは機械式チャック等)によって保持される。同様に、下側の被加圧物91は、当該ステージ12(より詳細にはステージ12の上側先端部に設けられた静電チャックあるいは機械式チャック等)によって保持される。
【0038】
ヘッド22およびステージ12は、いずれも、真空チャンバ2内に設置されている。ヘッド22は、当該ヘッド22に内蔵されたヒータ22h(図3)によって加熱され、ヘッド22に保持された被加圧物(ヘッド22側の被加圧物)92の温度を調整することができる。同様に、ステージ12は、当該ステージ12に内蔵されたヒータ12hによって加熱され、ステージ12上の被加圧物(ステージ12側の被加圧物)91の温度を調整することができる。
【0039】
ヘッド22は、アライメントテーブル24によってX方向およびY方向に移動(並進移動)されるとともに、回転駆動機構25によってθ方向(Z軸回りの回転方向)に回転される。ヘッド22は、後述する位置認識部28による位置検出結果等に基づいてアライメントテーブル24および回転駆動機構25によって駆動され、X方向、Y方向、θ方向におけるアライメント動作が実行される。
【0040】
また、ヘッド22は、Z軸昇降駆動機構26によってZ方向(鉛直方向)に移動(昇降)される。ヘッド22のZ方向の移動動作(昇降動作)によって、ステージ12とヘッド22とが相対的に移動し、ステージ12に保持された被加圧物91とヘッド22に保持された被加圧物92との相対的位置関係が変動する。これにより、両被加圧物91,92の状態が離間状態から接触状態へと遷移し、両被加圧物91,92が加圧される。なお、接合時の加圧圧力は、複数の圧力検出センサ(ロードセル等)32(32a,32b,32c),36,38(図2〜図4参照)により検出された信号に基づいて制御される。
【0041】
また、加圧装置1は、被加圧物91,92の位置(詳細にはX,Y,θ)を認識する位置認識部28を備えている。
【0042】
図1に示すように、位置認識部28は、被加圧物等に関する光像を画像データとして取得する撮像部(カメラ)28c,28dを有する。撮像部28c,28dは、それぞれ、同軸照明系を有している。また、両被加圧物91,92には、それぞれ、位置識別用パターンマーク(以下、単にパターンあるいはマークとも称する)が付されている。例えば、一方の被加圧物91に2つの位置識別用マークが設けられ、他方の被加圧物92にも2つの位置識別用マークが設けられる。なお、当該各マークは、特定の形状を有することが好ましい。
【0043】
両被加圧物91,92の位置合わせ動作(アライメント動作)は、位置認識部(カメラ等)28により、両被加圧物91,92に付された2組のマークの位置を認識することによって実行される。
【0044】
図1に示すように、位置認識部28は、両被加圧物91,92が対向する状態において、撮像部28c,28dの各同軸照明系から出射された照明光の透過光および反射光に関する画像データを用いて、両被加圧物91,92の位置を認識する。なお、撮像部28c,28dの各同軸照明系の光源としては、両被加圧物91,92等を透過する光(例えば赤外光)が用いられる。
【0045】
具体的には、カメラ28Mにおける同軸照明系の光源(不図示)から出射された光は、ミラー28eで反射されてその進行方向が変更され上方に進行する。当該光は、さらに、窓部2b(図1)および両被加圧物91,92の一部(あるいは全部)を透過した後に両被加圧物91,92の各マークで反射されると、今度は逆向き(下向き)に進行する。そして、再び、窓部2bを透過してミラー28eで反射されて、その進行方向が左向きに変更され、カメラ28Mの撮像部28cに到達する。位置認識部28は、このようにして両被加圧物91,92に関する光像(各マークを含む画像)を画像データとして取得し、当該画像データに基づいて両被加圧物91,92に付された或る1組のマークの位置を認識するとともに、当該1組のマーク相互間の位置ずれ量を求める。
【0046】
同様に、カメラ28Nにおける同軸照明系の光源(不図示)から出射された光は、ミラー28fで反射されてその進行方向が変更され上方に進行する。当該光は、さらに、窓部2b(図1)および両被加圧物91,92の一部あるいは全部を透過した後に両被加圧物91,92の各マークで反射されると、今度は逆向き(下向き)に進行する。そして、再び、窓部2bを透過してミラー28fで反射されて、その進行方向が右向きに変更され、カメラ28Nの撮像部28dに到達する。位置認識部28は、このようにして両被加圧物91,92に関する光像(各マークを含む画像)を画像データとして取得し、当該画像データに基づいて両被加圧物91,92に付された他の1組のマークの位置を認識するとともに、当該1組のマーク相互間の位置ずれ量を求める。
【0047】
その後、位置認識部28は、これら2組のマークの位置ずれ量に基づいて、X方向、Y方向およびθ方向における両被加圧物91,92の相対的ずれ量を算出する。そして、位置認識部28により認識された当該相対的ずれ量が低減されるように、ヘッド22が2つの並進方向(X方向およびY方向)と回転方向(θ方向)とに駆動される。これにより、両被加圧物91,92が相対的に移動され、上記の位置ずれ量が補正される。
【0048】
このようにして、(X方向、Y方向およびθ方向に関する)アライメント動作が実行される。
【0049】
さらに、このような位置認識動作と位置合わせ用の駆動動作とが繰り返し実行される。これによれば、ヘッド22駆動時の駆動誤差が徐々に低減されていき、さらに正確なアライメント動作が実行される。
【0050】
図2は、ステージ12およびヘッド22付近の概略構成を示す斜視図である。また、図3は、ヘッド22の縦断面図であり、図4は、ヘッド22の平面図である。なお、図2および図4においては、図示の都合上、ベース部材23およびアライメントテーブル24等は省略されている。
【0051】
これらの図に示すように、ステージ12は略円柱形状を有しており、ヘッド22は略円錐台形状を有している。
【0052】
ヘッド22は、略円錐台形状を有する上側部材221と、略円盤形状の板状部材である下側部材223とを備える。
【0053】
上側部材221および下側部材223は、ベース部材23からの加圧用の力を両被加圧物91,92へと伝達する。
【0054】
下側部材223は、静電吸着機構等を有しており、被加圧物92を吸着して保持することが可能である。また、下側部材223は、ヒータおよび断熱部材を内蔵しており、下側部材223に保持される被加圧物92を適切な温度にまで加熱することができる。
【0055】
また、加圧装置1は、3つのピエゾアクチュエータ31(31a,31b,31c)と3つの圧力検出センサ32(32a,32b,32c)と3つの測距センサ33(33a,33b,33c)と3つの反射板34(34a,34b,34c)とをさらに備えている。
【0056】
図3に示すように、ヘッド22は、3つのピエゾアクチュエータ31(31a,31b,31c)およびベース部材23等を介してアライメントテーブル24に接続されている。
【0057】
3つのピエゾアクチュエータ31a,31b,31cと3つの圧力検出センサ32a,32b,32cとは、ヘッド22とベース部材23との間に設けられている。詳細には、図4の平面図にも示すように、各ピエゾアクチュエータ31a,31b,31cは、上面視において(詳細には仮想水平面内の互いに異なる位置(非同一直線上の3つの位置)PE1,PE2,PE3において)、圧力検出センサ32a,32b,32cをそれぞれ介して、ヘッド22の上面とベース部材23とを接続している。より詳細には、3つのピエゾアクチュエータ31a,31b,31cは、略円錐台形状のヘッド22の上面(円錐面)の外周部付近において略等間隔で配置されている。また、3つの圧力検出センサ32a,32b,32cは、対応する各ピエゾアクチュエータ31a,31b,31cの上端面とベース部材23の下面とを接続している。換言すれば、3つの圧力検出センサ32a,32b,32cは、ヘッド22の加圧面に平行な平面における3つの独立した位置(非同一直線上の位置)PE1,PE2,P3に配置されている。
【0058】
3つのピエゾアクチュエータ31a,31b,31cは、互いに独立して、Z方向に伸縮可能であり、ヘッド22の姿勢(詳細には2軸周り(例えばX軸周りおよびY軸周り)の姿勢角度)および位置(詳細にはZ方向の位置)を微調整することが可能である。また、3つの圧力検出センサ32a,32b,32cは、ヘッド22の下面(加圧面)22fに平行な平面内における3つの位置(非同一直線上の位置)PE1,PE2,P3での加圧力を測定することができる。
【0059】
3つの測距センサ33a,33b,33cは、ステージ12の上面12fに平行な平面(XY平面に平行な平面)において(上面視において)、非同一直線上の互いに異なる位置P1,P2,P3に配置されている(図3参照)。より詳細には、3つの測距センサ33a,33b,33cは、略円柱状のステージ12の外周側面部において略等間隔で固定されている(図2参照)。また、ヘッド22の外周側面部においては、反射板34a,34b,34cが、各測距センサ33a,33b,33cにそれぞれ対応する対向位置に固定されて設けられている。
【0060】
各測距センサ33a,33b,33cとしては、例えばレーザ式の測距センサが用いられる。ステージ12に固定された各測距センサ(レーザ式測距センサ等)33a,33b,33cは、それぞれ、対応する反射板34a,34b,34cまでの距離を測定する。具体的には、各測距センサ33は、レーザ光を出射し、反射板34で反射された当該レーザ光(反射光)を用いて、測距センサ33から反射板34までの距離DMを測定する。より詳細には、各測距センサ33a,33b,33cは、それぞれ、XY平面に平行な平面内の各位置P1,P2,P3において、距離DM(DM1,DM2,DM3)を計測する。そして、距離DMから両被加圧物91,92の厚さ等を差し引くことによって、ステージ12に保持された被加圧物91とヘッド22に保持された被加圧物92とのZ方向における離間距離DAが算出される。詳細には、各位置P1,P2,P3における離間距離DA(DA1,DA2,DA3)がそれぞれ算出される。
【0061】
このように、3つの測距センサ33a,33b,33cは、上記のような3つの位置P1,P2,P3での各Z方向距離DAを測定することによって、ステージ12に対するヘッド22のZ方向位置(相対位置)および姿勢(相対姿勢)を非常に正確に測定することが可能である。換言すれば、両被加圧物91,92の相対位置および相対姿勢を非常に正確に測定することが可能である。
【0062】
さらに、加圧装置1は、Z方向距離DAに関する測定値に基づいて3つのピエゾアクチュエータ31a,31b,31cを駆動することにより、ヘッド22の下面22f(図2参照)とステージ12の上面(加圧面)12fとの平行度合を調整することが可能である。ひいては、加圧装置1は、ステージ12に保持された被加圧物91とヘッド22に保持された被加圧物92との平行度合を調整することが可能である。詳細には、加圧装置1は、3つの位置P1,P2,P3でのZ方向距離DAを互いに均等化するように、3つのピエゾアクチュエータ31a,31b,31cを駆動することにより、ステージ12に保持された被加圧物91とヘッド22に保持された被加圧物92とを平行に配置できる。
【0063】
また、図2および図3に示すように、加圧装置1は、ピエゾアクチュエータ35と圧力検出センサ36とをさらに備えている。
【0064】
圧力検出センサ36は、略円柱状のベース部材23の底面側中央部に設けられた円柱状凹部23bに固定されており、ピエゾアクチュエータ35は、圧力検出センサ36の下面側(底面側)に固定されている。
【0065】
ピエゾアクチュエータ35は、略円錐台形状を有するヘッド22の上面22b側に配置されている。換言すれば、ピエゾアクチュエータ35は、略円錐台形状を有するヘッド22の頂点側(円錐台の上面と下面とのうち、比較的小さな面積を有する上面側)において、ベース部材23と上側部材221との間に配置されている。
【0066】
ピエゾアクチュエータ35は、Z方向に伸縮可能である。ピエゾアクチュエータ35は、Z方向の伸縮程度を変更することによって、ヘッド22の上面22bに接触しない状態とヘッド22の上面22bに接触する状態とを切り換えることができる。後述するように、両被加圧物91,92の接触前における複数のピエゾアクチュエータ31による平行調整動作は、ピエゾアクチュエータ35がヘッド22の上面22bに接触しない状態で実行される。一方、両被加圧物91,92の加圧動作は、ピエゾアクチュエータ35がヘッド22の上面22bに接触する状態において実行される。加圧動作時には、加圧用の力がピエゾアクチュエータ35からヘッド22を介して両被加圧物91,92に伝達される。また、ピエゾアクチュエータ35がヘッド22の上面22bに接触した状態において、ピエゾアクチュエータ35の伸縮量がさらに調整されることによって、加圧動作における加圧圧力が調整される。具体的には、ピエゾアクチュエータ35の伸長量が増大することによって加圧圧力が増大し、ピエゾアクチュエータ35の伸長量が低減することによって加圧圧力が低減する。
【0067】
また、図2および図3に示すように、加圧装置1は、ピエゾアクチュエータ37と圧力検出センサ38とをさらに備えている。
【0068】
ピエゾアクチュエータ37および圧力検出センサ38は、上側部材221の下面側中央部に設けられた略円柱状の凹部(中空部とも称する)221b内に配置される。換言すれば、ピエゾアクチュエータ37および圧力検出センサ38は、下側部材223の水平方向における中央部分付近(下側部材223の下面22fの中央部分付近とも表現される)にて下側部材223の上側に設けられる。なお、下側部材223の下面22f(以下、「FC」とも表記する)は、被加圧物92に対する接触面、あるいは被加圧物92に対して加圧用の力を伝達する加圧面とも称される。また、この下面FCは、略板状の下側部材223における外部側主面(下側主面)であるとも表現される。
【0069】
圧力検出センサ38は中空部221bの上端面に固定されている。また、ピエゾアクチュエータ37は、圧力検出センサ38の下面側(底面側)に固定されるとともに、下側部材223の上面側中央部に固定されている。このように、上側部材221と下側部材223とは、ヘッド22の中央部において、ピエゾアクチュエータ37および圧力検出センサ38等を介して接続されている。逆に言えば、ピエゾアクチュエータ37等は、上側部材221と下側部材223とを接続している。
【0070】
また、上側部材221と下側部材223とは、ヘッド22の外周縁部においても、ボルト等により互いに固定されている。換言すれば、下側部材223の外周縁部と上側部材221の外周縁部とが固定されている。
【0071】
ピエゾアクチュエータ37は、Z方向に伸縮することによって、加圧面FCの中央部分に対して作用するZ方向の力の大小を調整し、略板状の下側部材223の下面の中央部分をZ方向において変位させることが可能である。具体的には、ピエゾアクチュエータ37は、伸縮することによって、加圧面FCの中央部分をZ方向において変位(微小変位)させ、加圧面FCの中央部分を加圧面FCの外周側部分に対してZ方向において相対的に変位させることが可能である。このように、ピエゾアクチュエータ37は、加圧面FCの中央部分のZ方向変位量を調整する。なお、ピエゾアクチュエータ37は、下側部材223(詳細には加圧面FC223)の中央部のZ方向において変位させる中央部変位手段であるとも表現される。また、ピエゾアクチュエータ37は、加圧面FCに関する平坦性調整用の駆動手段であるとも表現される。
【0072】
加圧動作時には、加圧用の力がピエゾアクチュエータ35からヘッド22を介して両被加圧物91,92に伝達される。詳細には、ピエゾアクチュエータ35からの力は、上側部材221の中央部およびピエゾアクチュエータ37を介して、加圧面FCの中央部へと伝達される。また、ピエゾアクチュエータ35からの力は、上側部材221の外周部等を介して、加圧面FCの外周部等へも伝達される。このように、ピエゾアクチュエータ35からの力は、中央部分のみならず、少なくとも外周縁部付近において円環状の拡がり(線状ないし面状の拡がり)を有する部分へも、分散して伝達される。そのため、比較的均等に加圧用の圧力が分散して伝達される。特に、3つのピエゾアクチュエータ31のみでベース部材23からの力を伝達する場合(3点のみで力を伝達する場合)に比べて、比較的均等に下側部材223の各部分に加圧用の力を伝達することが可能である。
【0073】
<1−2.加圧面FCの平坦度合の調整>
ここにおいて、下側部材223は、温度上昇に伴う熱膨張によって、その中央部がその周辺部(外周側部分とも称する)に比べて下側に向けて膨らむ特性(換言すれば、加圧面FCの中央部が下側に向けて加圧面FCの周辺部よりも突出する特性)を有している。下側部材223は、下側部材223の上側において上側部材221に接しているとともに、下側部材223の外周縁部において上側部材221に固定されていることもあり、温度上昇に伴う熱膨張が生じると、下側部材223の中央部分に特に大きな変形が生じるためである。
【0074】
加圧面FCの平坦性が要求される場合には、このような変形は好ましくない。
【0075】
そこで、この実施形態においては、まず、加圧面FCが所定の温度TXに加熱された際に平坦になるように、下側部材223を温度TXにまで加熱した状態で加圧面FCを平面研磨しておく。ただし、温度TX(たとえば500℃)は、加圧処理時の処理温度TP(たとえば200℃〜400℃)よりも高い温度である。
【0076】
具体的には、図8に示すように、下側部材223を温度TXにまで加熱する。図8においては、温度上昇に伴う熱膨張によって、その中央部がその周辺部に比べて下側に向けて突出している様子が、誇張して示されている。そして、このような突出状態において下側部材223の下面(加圧面)FCが平面研磨されて、下側部材223が製作される。なお、冷却後の常温(たとえば25℃)においては、図9に示すように、下側部材223は、その中央部がその周辺部よりも薄い状態(換言すれば、加圧面FCの中央部が凹んでいる状態(「中凹」状態とも称される))を有する。また、下側部材223は、温度TXよりも低い温度においては(常温以外の温度においても)、中凹状態を有することが可能である。
【0077】
ここにおいて、仮に、平面研磨時の温度TXが処理温度TP2(例えば400℃)に等しい場合を想定する。この場合には、加圧時の処理温度が温度TP2であるときには、加圧面FCはほぼ完全に平坦であり、処理温度TP2における加圧面FCの平坦性は非常に良好である。しかしながら、加圧時の処理温度が処理温度TP1(例えば200℃)であるときには、処理温度TP1における加圧面FCは、若干「中凹」状態であり、加圧面FCの平坦性は低下する。このように、或る処理温度にて平面研磨する技術のみを利用するときには、当該処理温度以外の温度で加圧する際には十分な平坦性を得ることができないという問題が存在する。
【0078】
一方、この実施形態においては、上述のようにして、まず、加圧面FCを温度TXにて平面研磨する技術を用いて下側部材223が製作される。そして、下側部材223を用いた加圧時には、ピエゾアクチュエータ37を用いて加圧面FCの中央部分がZ方向において変位され、加圧面FCの中央部分が加圧面FCの外周側部分に対してZ方向において相対的に変位される。すなわち、ピエゾアクチュエータ37の伸縮動作によって、加圧面FCの平坦度合が調整される。
【0079】
より詳細には、加圧時の処理温度に応じて加圧面FCの中央部分のZ方向における変位量ΔZが調整される。すなわち、加圧面FCを平坦化する変位量ΔZが、処理温度Tに応じて調整される。
【0080】
図5は、加圧時の処理温度Tと加圧面FCを平坦化する変位量ΔZとの関係を示す図である。加圧時におけるピエゾアクチュエータ37の変位量ΔZとして、図5の曲線LC1で示される関係を充足する値が設定されることによれば、加圧時の加圧面FCが平坦化される。
【0081】
たとえば、平面研磨時の温度TX(たとえば500℃)から比較的大きく離れた温度TP1(たとえば200℃)においては、ピエゾアクチュエータ37の変位量(伸長量)ΔZは、比較的大きな値ΔZ1(例えば30マイクロメートル(μm))に設定される。一方、平面研磨時の温度TXに比較的近い温度TP2(たとえば400℃)においては、ピエゾアクチュエータ37の変位量(伸長量)ΔZは、比較的小さな値ΔZ2(例えば10マイクロメートル)に設定される。これにより、複数の処理温度TP1,TP2のいずれにおいても、加圧時の加圧面FCの平坦性を非常に良好に調整することが可能である。
【0082】
なお、この実施形態においては、温度TX(たとえば500℃)は、加圧処理時の処理温度TP(たとえば200℃〜400℃)よりも高い温度である。これにより、処理温度TPよりも低い温度(たとえば室温)で中凹状態を生成することができる。したがって、上側部材221の存在によって下側部材223の上側への膨張が規制される場合でも、ピエゾアクチュエータ37の伸長程度を調整することによって、加圧面FCの平坦度合を良好に調整することが可能である。
【0083】
<1−3.動作>
次に、2つの両被加圧物91,92に関する加圧動作等について説明する。なお、当該加圧動作等は、コントローラ100の制御下において実行される。
【0084】
図6は、上記のようなアライメント動作が完了した状態を示す両被加圧物91,92付近の様子を示す図である。
【0085】
図6においては、両被加圧物91,92は、まだ互いに接触しておらず、Z方向において互いに間隔を空けた状態で配置されている様子が示されている。また、図6の状態においては、上記のアライメント動作により、XY方向およびθ方向における両被加圧物91,92の相対位置は、所望の状態を有しているものとする。
【0086】
以下では、図10に示すように、図6(ないし図7)に示す状態から、(1)加圧面FCの平坦度合の調整動作(ステップS11)、(2)ヘッド22の平行調整動作(ステップS12)、(3)加熱および加圧動作(ステップS13)、がこの順序でさらに実行される場合について例示する。
【0087】
<加圧面FCの平坦度合の調整動作>
上述のように、下側部材223は、温度上昇に伴う熱膨張によって、その中央部がその周辺部(外周側部分とも称する)に比べて下側に向けて膨らむ特性(換言すれば、加圧面FCの中央部が下側に向けて加圧面FCの周辺部よりも突出する特性)を有している。また、下側部材223の中央部(加圧面FCの中央部)の突出程度は、温度上昇に伴って大きくなる。
【0088】
これに対して、この実施形態においては、ステップS11において、このような熱膨張による影響を抑制するため、加圧装置1は、ピエゾアクチュエータ37を駆動して、ヘッド22の下面(接触面)FCの平坦度合(凹凸度合)を調整し、加圧面FCの平坦度合を調整する。
【0089】
詳細には、ピエゾアクチュエータ37の伸長量ΔZ(換言すれば、加圧面FCの中央部分のZ方向における変位量)が加圧時の処理温度TPに応じて調整される。すなわち、加圧面FCを平坦化する変位量ΔZが、処理温度Tに応じて調整される。
【0090】
より具体的には、上述のように、図5の曲線LC1に基づいて、加圧時の処理温度Tに対するピエゾアクチュエータ37の変位量ΔZが決定される。たとえば、処理温度Tが値TP1であるときには、ピエゾアクチュエータ37の変位量(伸長量)ΔZは、比較的大きな値ΔZ1(例えば30マイクロメートル)に設定される。また、処理温度Tが値TP2であるときには、ピエゾアクチュエータ37の変位量(伸長量)ΔZは、比較的小さな値ΔZ2(例えば10マイクロメートル)に設定される。これにより、複数の処理温度TP1,TP2のいずれにおいても、加圧時の加圧面FCの平坦性を非常に良好に調整することが可能である。
【0091】
<ヘッド22の平行調整動作>
つぎに、ステップS12において、ヘッド22とステージ12との相対姿勢を制御して、両被加圧物91,92の平行調整動作が実行される。なお、両被加圧物91,92の接触前における複数のピエゾアクチュエータ31による平行調整動作は、ピエゾアクチュエータ35がヘッド22の上面22bに接触しない状態で実行される(図6および図7参照)。
【0092】
図6においては、ヘッド22とステージ12とが完全に平行に配置された理想的な状態(完全平行配置状態)が示されている。しかしながら、実際には図7に示すようにヘッド22とステージ12とは完全な平行配置状態からずれて配置されていることが多い。図7は、このような状態(非平行配置状態)を示す模式図である。図7においては、ヘッド22とステージ12とが、微小な傾斜角度を有する状態で配置されている様子が、誇張して示されている。
【0093】
まず、図7の状態において、3つの測距センサ33a,33b,33cを用いて、3つの位置P1,P2,P3(図3参照)での各距離DM(詳細にはDMi(i=1,2,3))がそれぞれ計測される(図7参照)。そして、各距離DMiおよび両被加圧物91,92の厚さ等に基づいて、各位置Piにおける両被加圧物91,92の相互間の距離DAiが算出される。
【0094】
そして、これらの値DAiが互いに同一の値になるように3つのピエゾアクチュエータ31a,31b,31cが駆動される。
【0095】
これにより、図7に示す状態から図6に示すような状態へと遷移する。すなわち、両被加圧物91,92が互いに平行に配置される。
【0096】
仮に、このような平行調整動作が行わることなく図7の状態のまま両被加圧物91,92の接触が開始される場合には、両被加圧物91,92の接触の過程において、一部の接触部分が引きずられることなどによって、XY方向における両被加圧物91,92の位置ずれが生じることがある。このような位置ずれは抑制されることが好ましい。
【0097】
一方、上記のような平行調整動作が両被加圧物91,92の接触前(ステップS12)に予め行われることによれば、両被加圧物91,92が互いに平行な相対姿勢を有する状態で両被加圧物91,92の接触が次のステップS13にて開始される。そのため、両被加圧物91,92の接触時におけるXY平面内での位置ずれが良好に抑制され得る。
【0098】
なお、平行調整動作後には、上記のアライメント動作が再び実行されることが好ましい。これにより、XY方向およびθ方向において、両被加圧物91,92がさらに正確にアライメントされる(位置合わせされる)。
【0099】
<加熱および加圧動作>
平行調整動作(ステップS12)の後のステップS13において、ステージ12とヘッド22とがZ方向において互いに近接する向きに相対的に移動され両被加圧物91,92が接触する。詳細には、Z軸昇降駆動機構26が駆動されることによって、ヘッド22が下降され、両被加圧物91,92が互いに接触する。そして、両被加圧物91,92を互いに接合する接合動作(加圧動作)が実行される。このように、ステージ12とヘッド22とがZ方向において互いに近接する向きに相対的に移動された後に、両被加圧物91,92はステージ12とヘッド22との間に挟まれた状態で加圧されて接合される。
【0100】
また、この加圧動作は、ピエゾアクチュエータ35が伸長されピエゾアクチュエータ35がヘッド22の上面22bに接触する状態において実行される。この加圧動作時には、ピエゾアクチュエータ35の伸長動作によって、加圧用の力がピエゾアクチュエータ35からヘッド22を介して両被加圧物91,92に伝達される。また、当該加圧動作は、両被加圧物91,92がヒータ12h,22hによって所定の温度TPにまで加熱された状態において実行される。
【0101】
また、加圧動作中においては、圧力検出センサ32a,32b,32c,36,38による測定値を用いて、2種類の圧力調整処理がさらに実行される。1つは、全体的な加圧圧力の調整処理であり、他の1つは、面内圧力の均等化処理である。これらの圧力調整処理が実行されることにより、両被加圧物91,92に作用する圧力が非常に良好に調整される。
【0102】
前者の圧力調整処理は、ピエゾアクチュエータ35の伸長量を制御することによって実行される。すなわち、ピエゾアクチュエータ35が伸縮することによって、上側部材221から下側部材223等を介して両被加圧物91,92に伝達される加圧力が調整される。
【0103】
具体的には、圧力検出センサ36の測定値PRtに基づいて、ピエゾアクチュエータ35の伸長量が制御される。圧力検出センサ36の測定値PRtは、両被加圧物91,92の接触面(接合面)の全体に加わる平均的な加圧圧力(全体的な加圧圧力)を示す値である。より詳細には、値PRtが目標値PDよりも大きいときには、ピエゾアクチュエータ35の伸長量が低減され、値PRtが目標値PDよりも小さいときには、ピエゾアクチュエータ35の伸長量が増大される。これによれば、全体的な加圧圧力の大小がより適切に調整される。
【0104】
後者の圧力調整処理(面内圧力の均等化処理)は、圧力検出センサ38等の検出結果に基づいてピエゾアクチュエータ37の伸長量を制御することによって実行される。なお、上述のように加圧時の処理温度に応じてピエゾアクチュエータ37の変位量ΔZが予め定められること(ステップS11)によれば、加圧面FCの平坦性は或る程度良好に確保される。ただし、次述するような面内圧力の均等化処理が実行されること(実際の圧力測定値に基づいてピエゾアクチュエータ37の変位量ΔZが調整されること)によれば、加圧面FCの平坦性をさらに良好に確保することが可能である。
【0105】
具体的には、まず、中央部(詳細には中央部下側)に配置された圧力検出センサ38による圧力検出結果(測定値)PRcと周辺部(外周側部分)に配置された3つの圧力検出センサ32a,32b,32cによる圧力検出結果の平均値(測定値)PRuとが比較される。ここにおいて、圧力検出センサ38による測定値PRcは、両被加圧物91,92の(水平方向)中央部の接触面(接合面)に加わる加圧圧力を示す値である。また、圧力検出センサ32a,32b,32cによる測定値PRuは、両被加圧物91,92の周辺部の接触面(接合面)に加わる加圧圧力を示す値である。
【0106】
そして、両測定値PRc,PRuが互いに同一になるように、ピエゾアクチュエータ37の伸長量が調整される。より詳細には、中央部圧力値PRcが周辺部圧力値PRuよりも大きいときには、加圧装置1は、ピエゾアクチュエータ37の伸長量を低減して中央部の圧力を低下させる。一方、中央部圧力値PRcが周辺部圧力値PRuよりも小さいときには、加圧装置1は、ピエゾアクチュエータ37の伸長量を増大し中央部の圧力を増大させる。
【0107】
このような動作によれば、加圧面FC内における圧力分布をさらに均一化することが可能である。
【0108】
以上のような工程を経ることによって、種々の半導体デバイスが生成(製造)される。
【0109】
上述のように、ピエゾアクチュエータ37によって、加圧面FCの中央部分が加圧面FCの外周側部分に対してZ方向において相対的に変位されるので、加圧面FCの平坦性を良好に調整することが可能である。詳細には、ピエゾアクチュエータ37の伸縮動作によって、両被加圧物91,92に作用する圧力を加圧面全体にわたって均一化することが可能である。特に上記の接合動作においては、両被加圧物(両被接合物)91,92に作用する接合圧力を、接合面全体にわたって均一化することが可能である。
【0110】
また、加圧面FCの平坦度合は、加圧処理時(接合処理時)の温度TPに応じて良好に調整されているので、加圧時の処理温度が所定値以外である場合においても、第1の加圧部の加圧面の平坦性を良好に調整することが可能である。したがって、様々な加熱温度に対応して両被加圧物を良好に加圧することが可能である。特に上記の接合動作においては、様々な加熱温度に対応して両被接合物を良好に接合することが可能である。
【0111】
なお、この実施形態では、加圧面FCの平坦度合の調整動作(ステップS11)の後にヘッド22の平行調整動作(ステップS12)が行われる場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、逆に、ヘッド22の平行調整動作(ステップS12)の処理の後に加圧面FCの平坦度合の調整動作(ステップS11)が行われるようにしてもよい。
【0112】
<2.第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0113】
この第2実施形態においては、両被加圧物91,92の加圧動作時にピエゾアクチュエータ37の伸縮動作によって加圧面FCの平坦性を経時的に変化させる技術について説明する。具体的には、ピエゾアクチュエータ37の伸縮量(伸長量)ΔZが変更されることによって加圧面FCの中央部分がZ方向において変位し、加圧面FCの平坦性が変更される。より詳細には、ピエゾアクチュエータ37の伸長量が徐々に低減されることによって、加圧面FCの凹凸状態(平坦度合)は、「中凸状態」(図11)から「平坦状態」(図12)を経て「中凹状態」(図13)へと遷移する。なお、図11〜図13においては、ピエゾアクチュエータ37の伸長量の大小が白矢印の長さの大小で示されている。また、図11〜図13においては、加圧面FCの平坦度合が誇張して示されている。後述する図15〜図18等においても同様である。
【0114】
ここにおいて、図11に示すように、「中凸状態」は、加圧面FCの中央部分が両被加圧物91,92側(図11では下側)に向けて加圧面FCの外周側部分よりも突出した状態(中央部が下向きに凸の状態)である。また、図12に示すように、「平坦状態」は、加圧面FCの中央部分と加圧面FCの外周側部分とがZ方向において略同一位置に存在する状態である。さらに、図13に示すように、「中凹状態」は、加圧面FCの外周側部分が両被加圧物91,92側に向けて加圧面FCの中央部分よりも突出した状態である。換言すれば、「中凹状態」は、加圧面FCの中央部分が加圧面FCの外周側部分よりも凹んだ状態である。
【0115】
図14は、第2実施形態に係る動作を示すフローチャートである。図14を参照しながら、第2実施形態に係る動作について説明する。
【0116】
まず、ステップS21の動作が行われる。ステップS21においては、ピエゾアクチュエータ37の変位量ΔZを調整することによって、加圧面FCの凹凸状態(平坦度合)は「中凸状態」に設定される。加圧面FCの凹凸状態が、「平坦状態」ではなく「中凸状態」に先ず設定される点において、第1実施形態のステップS11とは異なる。
【0117】
ここでは、「中凸状態」を実現するためのピエゾアクチュエータ37の伸縮量が、加圧処理(接合処理)時の処理温度に基づいて決定される。
【0118】
詳細には、加圧処理時の処理温度が温度TP1(たとえば200℃)であるときには、加圧面FCの平坦状態を実現する変位量ΔZ1(たとえば、30マイクロメートル)に対して所定量α(例えば5マイクロメートル)を加算した値(ΔZ1+α)(たとえば35マイクロメートル)が、「中凸状態」を実現するための変位量ΔZとして算出される。加圧面FCの平坦状態を実現する変位量ΔZ1(たとえば、30マイクロメートル)は、図5に示すような曲線LC1に基づいて算出される。ピエゾアクチュエータ37の伸長量を値(ΔZ1+α)に設定することによって、「中凸状態」が実現される。
【0119】
あるいは、加圧処理時の処理温度が温度TP2(たとえば400℃)であるときには、加圧面FCの平坦状態を実現する変位量ΔZ2(たとえば、10マイクロメートル)に対して所定量α(例えば5マイクロメートル)を加算した値(ΔZ2+α)(たとえば15マイクロメートル)が、「中凸状態」を実現するための変位量ΔZとして算出される。加圧面FCの平坦状態を実現する変位量ΔZ2(たとえば、10マイクロメートル)は、図5に示すような曲線LC1に基づいて算出される。ピエゾアクチュエータ37の伸長量を値(ΔZ2+α)に設定することによって、「中凸状態」が実現される。
【0120】
なお、後述するように、ステップS23において、ピエゾアクチュエータ37の伸長量が徐々に低減されることによって、加圧面FCの状態は「中凸状態」から「平坦状態」を経由して「中凹状態」へと遷移していく。
【0121】
つぎに、ステップS22の平行調整動作が行われる。ステップS22の動作は、上記第1実施形態におけるステップS12の動作と同様である。
【0122】
そして、ステップS23の動作が行われる。
【0123】
具体的には、第1実施形態と同様に、Z軸昇降駆動機構26の駆動に応じて、ヘッド22が下降され、両被加圧物91,92が互いに接触する。これにより、両被加圧物91,92を互いに接合する接合動作(加圧動作)が開始される。
【0124】
なお、第1実施形態と同様に、この接合動作(加圧動作)は、ピエゾアクチュエータ35が伸長されピエゾアクチュエータ35がヘッド22の上面22bに接触する状態において実行される。加圧動作時には、ピエゾアクチュエータ35の伸長動作によって、加圧用の力がピエゾアクチュエータ35からヘッド22を介して被加圧物92に伝達される。また、当該加圧動作は、両被加圧物91,92がヒータ12h,22hによって所定の処理温度TPにまで加熱された状態において実行される。
【0125】
ただし、このステップS23においては、加圧面FCが「中凸状態」を有する状態にて両被加圧物91,92が接触を開始した後、徐々にピエゾアクチュエータ37の伸長量ΔZが低減される。これにより、加圧面FCの凹凸状態が、「中凸状態」から「平坦状態」を経て「中凹状態」へと徐々に遷移する。なお、ピエゾアクチュエータ37の伸長量ΔZの変化に伴う全体的な圧力の変化は、ピエゾアクチュエータ35の伸長量ΔZの変更によって調整される。
【0126】
図15から図18は、このような変遷を時系列で示す図である。なお、図15〜図18のそれぞれにおける矢印および黒点は、比較的大きな接合圧力(加圧圧力)が作用する部分を示している。
【0127】
図15に示すように、両被加圧物91,92の接触開始時点においては、被加圧物92に接触する加圧面FCは「中凸状態」を有しており、加圧面FCから被加圧物92の中央部分において非常に大きな圧力が作用している。この結果、両被加圧物91,92の相互間においては、その中央部分に大きな接合圧力が作用する。これにより、両被加圧物91,92の中央部分におけるボイドの発生が抑制される。
【0128】
その後、(平坦性調整用の)ピエゾアクチュエータ37の伸長量ΔZが徐々に低減されるとともに(全体圧力調整用の)ピエゾアクチュエータ35の伸長量ΔZが徐々に増大される。これにより、両被加圧物91,92の接触部分が両被加圧物91,92の中央部分から徐々に周辺部分(外周側部分)へと拡がっていく(図16および図17参照)。このとき、比較的大きな圧力が作用する部分(上面視において円状部分あるいは円環状部分)は、比較的周辺部分へと広がっていく。これにより、ボイドの発生が抑制された良好な接合部分を、中央部分から周辺部分へと徐々に拡大させることが可能である。
【0129】
やがて、加圧面FCは「平坦状態」に遷移する。これにより、ボイドの発生が抑制された良好な接合部分は、両被加圧物91,92の接合面内の比較的広い範囲にまで拡大する。
【0130】
その後、さらにピエゾアクチュエータ37の伸長量ΔZが低減され、加圧面FCは「中凹状態」に遷移する。「中凹状態」においては「平坦状態」に比べて、両被加圧物91,92の周縁部分に対して比較的大きな接合圧力を作用させることが可能である(図18参照)。これによれば、両被加圧物91,92の周縁部分にも十分な接合圧力を作用させることが可能である。
【0131】
このような動作によれば、ボイドが低減された状態で、両被加圧物91,92を良好に接合することが可能である。
【0132】
この第2実施形態においては、加圧動作中に圧力検出センサ32a,32b,32c,36,38による測定値を用いて、2種類の圧力調整処理が実行される。1つは、全体的な加圧圧力の調整処理であり、他の1つは、比較的高い圧力が作用する位置を徐々に移動していく処理(高圧作用位置移動処理とも称される)である。
【0133】
前者の圧力調整処理は、第1実施形態と同様に実行される。
【0134】
後者の圧力調整処理(高圧作用位置移動処理)は、加圧面FCの凹凸状態を適切に実現するように行われる。
【0135】
具体的には、中央部下側に配置された圧力検出センサ38による圧力検出結果(測定値)PRcと周辺部(外周側部分)に配置された3つの圧力検出センサ32a,32b,32cによる圧力検出結果の平均値(測定値)PRuとの差DF(=PRc−PRu)が各時刻において算出される。この差DFを用いることによって、加圧面FCの凹凸状態が適切に制御される。
【0136】
図19は、差DFに関する目標値DFdの経時変化曲線LC2を示す図である。両被加圧物91,92の接合開始時点t10においては、所望の「中凸状態」(図11および図15参照)を実現するための値DFcが目標値DFdとして設定される。その後、差DFに関する目標値DFdは、徐々に低減され、時刻t20においてゼロになる。また、目標値DFdは、さらに徐々に低減され、時刻t30において値DFu(<0)になる。なお、目標値DFuは、所望の「中凹状態」(図13および図18参照)を実現するための値である。
【0137】
ステップS23においては、差DFが各時点tの目標値DFd(t)に一致するように、ピエゾアクチュエータ37の伸長量ΔZが制御(フィードバック制御)される。たとえば、時刻t10においては、差DFが目標値DFcに一致するようにピエゾアクチュエータ37の伸長量ΔZが調整される。その後、目標値DFdが経時的に低減されていく。各時点においては、各時点tの目標値DFd(t)を実現するようにピエゾアクチュエータ37の伸長量ΔZが調整される。時刻t30においては、差DFが所定値DFuに一致するようにピエゾアクチュエータ37の伸長量ΔZが調整される。
【0138】
このようにして、目標値DFdの経時的低減に応じてピエゾアクチュエータ37の伸長量が徐々に低減され、加圧面FCの状態は「中凸状態」から「平坦状態」を経由して「中凹状態」へと遷移していく。
【0139】
以上のように、ピエゾアクチュエータ37によって、加圧面FCの中央部分が加圧面FCの外周側部分に対してZ方向において相対的に変位されるので、加圧面FCの平坦性を良好に調整することが可能である。
【0140】
詳細には、ピエゾアクチュエータ37の伸縮動作によって、両被加圧物91,92の加圧開始時点において、加圧面FCの中央部分がZ方向において変位され加圧面FCの中央部分が両被加圧物91,92側に向けて加圧面FCの外周側部分よりも突出する。したがって、加圧開始時点において両被加圧物91,92の中央部に比較的大きな圧力を作用させることが可能である。そのため、上記の接合処理においては、両被加圧物91,92の中央部分におけるボイドの発生を抑制することが可能である。
【0141】
また、上記第2実施形態においては、両被加圧物91,92の加圧中に、加圧面FCの凹凸状態(平坦度合)が、「中凸状態」から「平坦状態」へと遷移するように制御される。したがって、加圧装置1は、比較的大きな圧力の作用位置を両被加圧物91,92の中央部から周辺部へと移動させつつ、両被加圧物91,92を加圧することができる。そのため、上記の接合処理においては、両被加圧物91,92におけるボイドの発生を良好に抑制することが可能である。
【0142】
さらに、上記第2実施形態においては、両被加圧物91,92の加圧中に、加圧面FCの凹凸状態(平坦度合)が、「中凸状態」から「平坦状態」を経て、さらに「中凹状態」へと遷移するように制御される。したがって、加圧装置1は、両被加圧物91,92の特に周辺部においても十分に大きな圧力を作用させることが可能である。そのため、上記の接合処理においては、両被加圧物91,92におけるボイドの発生を非常に良好に抑制することが可能である。
【0143】
また、上記第2実施形態によれば、ステップS21において、「中凸状態」を実現するためのピエゾアクチュエータ37の伸縮量ΔZが、加圧処理(接合処理)時の処理温度に基づいて決定される。そのため、様々な加熱温度に対応して「中凸状態」をより正確に実現することが可能である。ひいては、様々な加熱温度に対応して両被接合物を良好に接合することが可能である。
【0144】
なお、上記実施形態においては、「中凸状態」から「平坦状態」を経て「中凹状態」へと遷移する一連の動作が1回のみ実行される場合を例示したが、これに限定されず、「中凸状態」から「平坦状態」を経て「中凹状態」へと遷移する一連の動作が複数回(繰り返し)実行されるようにしてもよい。
【0145】
また、上述のような「中凸状態」から「平坦状態」を経て「中凹状態」へと遷移する一連の動作が1回または複数回行われた後、「中凹状態」から「平坦状態」に戻して、第1実施形態と同様にして、圧力調整処理(面内圧力の均等化処理)が行われるようにしてもよい。これによれば、ピエゾアクチュエータ37の伸縮動作によって、両被加圧物91,92に作用する圧力を加圧面全体にわたって均一化することが可能である。特に上記の接合動作においては、両被加圧物(両被接合物)91,92に作用する接合圧力を、接合面全体にわたって均一化することが可能である。
【0146】
また、上記第2実施形態においては、2種類の測定値に関する差DFに応じてピエゾアクチュエータ37を調整する場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、図5に基づいて、「平坦状態」を実現するための変位量ΔZを予め加圧時の処理温度ごとに求めるとともに、「中凸状態」および「中凹状態」をそれぞれ実現する変位量Δを加圧時の処理温度ごとに予め求めておくようにしてもよい。そして、各時点における変位量Δが順次実現されるようにピエゾアクチュエータ37が駆動されるようにしてもよい。
【0147】
詳細には、加圧時の処理温度が温度TP1(たとえば200℃)であるときには、ピエゾアクチュエータ37の伸長量ΔZは、値(ΔZ1+α)から値(ΔZ1−α)まで変更される。ここで、加圧面FCの平坦状態を実現する変位量ΔZ1(たとえば、30マイクロメートル)は、図5の曲線LC1に基づいて求められる。また、値αは、所定値(例えば5マイクロメートル)である。
【0148】
ピエゾアクチュエータ37の伸長量ΔZが値(ΔZ1+α)(たとえば35マイクロメートル)に設定されると、加圧面FCは「中凸状態」を有する。また、ピエゾアクチュエータ37の伸長量ΔZが値ΔZ1(たとえば30マイクロメートル)に設定されると、加圧面FCは「平坦状態」を有する。さらに、ピエゾアクチュエータ37の伸長量ΔZが値(ΔZ1−α)(たとえば25マイクロメートル)に設定されると、加圧面FCは「中凹状態」を有する。
【0149】
また、加圧時の処理温度が他の温度であるときにも同様にして、「中凸状態」および「中凹状態」をそれぞれ実現する伸長量ΔZa,ΔZbを求めるとともに、ピエゾアクチュエータ37の伸長量ΔZを値ΔZaから値ΔZbへと徐々に変更していくようにしてもよい。ただし、上記のように、実際の圧力測定値に基づいてピエゾアクチュエータ37の変位量ΔZが調整されることによれば、加圧面FCの平坦度合をさらに正確に調整することが可能である。
【0150】
<3.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0151】
<樹脂層および金属層等>
たとえば、上記各実施形態においては、各被加圧物91,92として半導体ウエハ(シリコンウエハ)を用いるとともに当該両半導体ウエハを直接的に互いに接触させて接合する場合を例示したが、これに限定されない。
【0152】
具体的には、少なくとも一方の半導体ウエハに樹脂層を積層した被加圧物を被加圧物91(および/または被加圧物92)として用いて、第1実施形態と同様の動作が実行されるようにしてもよい。換言すれば、両被加圧物91,92の相互間に樹脂層93(図20参照)を挟んだ状態で、第1実施形態と同様にして両被加圧物91、92が加圧されるようにしてもよい。これによれば、加圧面FCの平坦性が良好に確保されることにより、特に樹脂層93の膜厚(層の厚さ)の均一化を図ることが可能である。あるいは、両被加圧物91,92の相互間に樹脂層93(図20参照)を挟んだ状態で、第2実施形態と同様にして両被加圧物91、92が加圧されるようにしてもよい。なお、樹脂層93の材料としては、たとえば、加熱により硬化する熱硬化樹脂等が用いられればよい。樹脂層93は加圧時の加熱処理により硬化される。あるいは、樹脂層93の材料として、紫外線等の光により硬化する光硬化樹脂等が用いられるようにしてもよい。
【0153】
あるいは、半導体ウエハ等に金属層を積層した被加圧物を被加圧物91(および/または被加圧物92)として用いて、各実施形態と同様の動作が実行されるようにしてもよい。換言すれば、樹脂層でなく金属層(たとえば金、銅、アルミニウム、ハンダ等で形成される金属層)を両被加圧物91,92の相互間に挟んだ状態で、両被加圧物91,92が加圧されるようにしてもよい。
【0154】
なお、樹脂層は、両被加圧物91,92の対向面の全体に亘って形成されることを要さず、両被加圧物91,92の対向面の一部に形成されるようにしてもよい。金属層も同様である。すなわち、金属層は金属バンプとして形成されるようにしてもよい。
【0155】
より詳細には、たとえば、図21〜図23に示すように、両被加圧物91,92の一方(たとえば被加圧物91)において部分的に樹脂層94が設けられる場合において、第2実施形態と同様の動作が実行されるようにしてもよい。
【0156】
図22および図23は、その対向面の一部に形成された樹脂層94を挟んで両被加圧物91,92が接合される様子を示す模式図である。図21および図23は断面図であり、図22は平面図である。ここでは、真空封止を行うために、半導体ウエハ91と半導体ウエハ92との間の空隙において、上面視において(全体ではなく)格子状の部分(詳細には真空封止領域を囲む境界壁領域部分)に樹脂材料が挟まれて配置されている。
【0157】
また、図23および図24は、このような変形例に係る動作を時系列で示す図である。
【0158】
図23の断面図に示すように、樹脂層94の製作時においては、部分的に形成された樹脂層94の端部に、尖った部分(先鋭部分とも称する)が生じていることがある。このとき非常に平坦な加圧面を用いて両被加圧物91,92に対して対向方向(上下方向)において面圧力を加えるのみでは、この先鋭部分は必ずしも潰されてしまうとは限らず、先鋭部分の周辺部(当該先鋭部分よりも低い部分)には、先鋭部分の高さと周辺部分の高さとの相違に起因して「ボイド」が生じ得る。図25は、このような先鋭部分の周辺に生じたボイドVDを模式的に示す図である。当該ボイドVDは、図22の平面図においても模式的に示されている。
【0159】
全体的に均一な面圧力を増大させることにより、上述のような先鋭部分を押し潰そうとすると多大な圧力が必要である。一方、上記実施形態のように加圧面FCを「中凸状態」から「中凹状態」へと徐々に変形させていくことによれば、比較的大きな圧力が集中的に作用する部分(円状部分あるいは円環状部分)が徐々に移動していく。或る時点においては、樹脂層94の先鋭部分に比較的大きな押圧力が集中的に作用する(図24参照)。そのため、全体としては同程度の力であっても力を部分的かつ集中的に作用させることによって各先鋭部分を良好に潰すことが可能である。これによれば、先鋭部分を全体的に均一な面圧力のみで押し潰そうとする場合に比べて、数分の1〜十分の1程度の力で各先鋭部分を良好に潰すことが可能である。たとえば、先鋭部分を全体的に均一な面圧力のみで押し潰す場合には100kN(キロニュートン)の力を要するのに対して、上記実施形態の動作によれば、全体としては10kN(キロニュートン)の力で済む。したがって、比較的小さな力でボイドの発生を良好に抑制することが可能である。
【0160】
また、第2実施形態と同様の動作は、部分的に形成された複数の樹脂層(樹脂部)94に高さのバラツキが生じている場合にも有用である。具体的には、当該動作によれば、当該バラツキを有する複数の樹脂部を、部分的に集中させた力で良好に押し潰すことが可能である。すなわち、高さ方向のバラツキに対しても良好に対処することが可能である。
【0161】
同様に、樹脂層94の代わりに金属バンプが設けられる場合に上記思想を適用するようにしてもよい。これによれば、バラツキを有する複数の金属バンプを、部分的に集中させた力で良好に塑性変形させて押し潰すことが可能である。したがって、高さ方向のバラツキに対して良好に対処することが可能である。
【0162】
<チップオンウエハ>
同様に、チップオンウエハ(COW:Chip On Wafer)技術に上記の思想を適用することも可能である。具体的には、図26に示すように、半導体ウエハ91の上に、金属バンプ96を介してチップ(半導体チップ)95が配置される場合において、上記の思想を適用するようにしてもよい。
【0163】
図26においては、上側の被加圧物として、上記の半導体ウエハ92の代わりにチップ95が採用される。なお、金属バンプ96の材料としては、たとえばハンダが用いられる。ただし、これに限定されず、金属バンプ96の材料として、Au(金)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)等を用いるようにしてもよい。
【0164】
そして、半導体ウエハ91とチップ95との間に金属バンプ96(の層)が挟まれた状態で、当該両被加圧物91,95がステージ12とヘッド22との間に挟まれて加圧される。
【0165】
この場合にも、高さにバラツキを有する複数のチップ(特にその金属バンプの部分)を、それぞれ、部分的に集中させた力で良好に塑性変形させて押し潰すことが可能である。したがって、高さ方向のバラツキに対して良好に対処することが可能である。
【0166】
また、半導体ウエハ91上にチップを1段積層する場合のみならず、複数のチップ層を半導体ウエハ91上に積層する場合に上記の思想を適用するようにしてもよい。より具体的には、図27に示すように、複数のチップ95(95a,95b,95c)と複数の金属バンプ96(96a,96b,96c)の層とがZ方向に交互に積層される場合に、上記の思想を適用するようにしてもよい。
【0167】
<ナノインプリント>
また、上記各実施形態においては、加熱を伴う接合装置を加圧装置として例示したが、これに限定されず、接合および/または加熱を伴わない加圧装置に上記の思想を適用するようにしてもよい。
【0168】
たとえば、ナノインプリント装置に上記の思想を適用するようにしてもよい。
【0169】
図28は、このような変形例に係る加圧装置(ナノインプリント装置(微細転写装置))1Cを示す構成図であり、図29は、当該ナノインプリント装置において加圧される両被加圧物92,97を示す図である。ここでは被加圧物92は半導体ウエハであり、被加圧物97はモールドである。
【0170】
加圧装置1Cは、第1実施形態の加圧装置1Aと同様の構成を有している。ただし、加圧装置1Cは、UV(紫外線)照射部61を備える点、およびUV照射時にはミラー固定部材28gがY軸方向に移動して退避可能である点などにおいて、加圧装置1Aとは相違する。ミラー固定部材28gは、ミラー28e,28fを固定する部材である。
【0171】
また、ここでは、被加圧物(半導体ウエハ)92がヘッド22に保持されるとともに、モールド(原版)97がステージ12に保持される場合を例示する(図29参照)。また、被加圧物92の表面(下側表面)には光硬化樹脂が予め塗布されている。換言すれば、被加圧物92の下面側には、光硬化樹脂で形成された樹脂層98が設けられている。さらに、モールド97は透光性部材(例えば石英等)で形成されており、モールド97の表面(図の上側)には凹凸のパターンが設けられている。端的に言えば、モールド97は、透明金型である。
【0172】
このような両被加圧物92,97が光硬化樹脂で形成される樹脂層98を挟んで加圧され、モールド97の凹凸パターンが樹脂層98の樹脂材料に押し付けられることなどによって、当該凹凸パターンが樹脂層98に転写される。また、UV照射部61を硬化手段(光硬化手段)として用いて、樹脂層98(光硬化性樹脂材料)が硬化される(図30参照)。
【0173】
ナノインプリント技術においては、このような原理で、所定のパターンが被加圧物92上に形成される。
【0174】
このような装置においても、上記各実施形態と同様の思想を適用することが可能である。
【0175】
<その他>
また、上記各実施形態においては、ヘッド22が略円錐台形状を有する場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、ヘッド22は略多角錐台形状(四角錐台形状あるいは六角錐台形状等)を有するものであってもよい。
【0176】
また、上記各実施形態においては、ヘッド22における加圧面FCに対して本発明の思想を適用する場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、ステージ12における加圧面FC(ステージ12と被加圧物91との接触面)に関しても同様の思想が適用され得る。具体的には、ステージ12もヘッド22と同様の構成を有するようにしてもよい。あるいは、ステージ12にのみ上記の思想を適用するようにしてもよい。
【0177】
また、上記第1実施形態においては、面内圧力の均等化処理は、中央部に配置された圧力検出センサ38による圧力検出結果(測定値)PRcと周辺部(外周側部分)に配置された3つの圧力検出センサ32a,32b,32cによる圧力検出結果の平均値PRuとが互いに同一になるように、ピエゾアクチュエータ37の伸長量が調整される場合を例示したが、これに限定されない。
【0178】
たとえば、中央部下側に配置された圧力検出センサ38による圧力検出結果(測定値)PRcと中央部上側に配置された圧力検出センサ36による圧力検出結果(測定値)PRdとが互いに同一になるように、ピエゾアクチュエータ37の伸長量が調整されるようにしてもよい。なお、測定値PRcは、加圧面FCの中央部分における加圧圧力(両被加圧物91,92の中央部分における加圧圧力)を示す値であり、測定値PRdは、両被加圧物91,92の相互間に作用する全体的な加圧圧力を示す値である。
【0179】
このようにして、加圧面FCの中央部分の加圧圧力の測定値に基づき、ピエゾアクチュエータ37の伸縮量が調整されるようにしてもよい。
【0180】
同様に、上記第2実施形態の高圧作用位置移動処理においては、中央部に配置された圧力検出センサ38による圧力検出結果(測定値)PRcと周辺部(外周側部分)に配置された3つの圧力検出センサ32a,32b,32cによる圧力検出結果の平均値PRuとの差DF(=PRc−PRu)を用いることによって、加圧面FCの凹凸状態が適切に制御される場合を例示したが、これに限定されない。
【0181】
たとえば、中央部下側に配置された圧力検出センサ38による圧力検出結果(測定値)PRcと中央部上側に配置された圧力検出センサ36による圧力検出結果(測定値)PRdとの差DG(=PRc−PRd)を用いて、ピエゾアクチュエータ37の伸長量が調整されるようにしてもよい。具体的には、差DGを上述の差DFと同様に扱って第2実施態と同様の動作が実行されればよい。
【0182】
このようにして、加圧面FCの中央部分の加圧圧力の測定値に基づき、ピエゾアクチュエータ37の伸縮量が調整されるようにしてもよい。
【0183】
また、上記各実施形態においては、温度TXへの加熱状態において下側部材223の下面を平面研磨することによって、常温における加圧面FCの中凹状態を生成する場合を例示したが、これに限定されない。
【0184】
たとえば、図31および図32に示すような構造を採用するようにしてもよい。図31においては、下側部材223の外周側縁部において、上側部材221との間に(上面視)円環状のシム部材227を設けて、下側部材223の中央部と上側部材221の中央部との間に隙間が形成されている様子が示されている。下側部材223の中央部と上側部材221の中央部とを接続するピエゾアクチュエータ37を伸縮することによって、加圧面FCの「中凹状態」、「平坦状態」および「中凸状態」等が形成される。具体的には、ピエゾアクチュエータ37が基準長ZBを有するときに加圧面FCの「平坦状態」が実現される。また、ピエゾアクチュエータ37が基準長Zbよりも大きな長さZc(=Zb+β)にまで伸長するときに、加圧面FCの「中凸状態」が実現される(図32参照)。一方、ピエゾアクチュエータ37が基準長Zbよりも小さな長さZa(=Zb−β)にまで収縮するときに、加圧面FCの「中凹状態」が実現される(図31参照)。なお、値βは正の値である。また、下側部材223の中央部と上側部材221の中央部との間に形成された隙間のZ方向長さは、値βよりも大きいことが好ましい。
【0185】
また、上記各実施形態においては、ピエゾアクチュエータ37を用いて、加圧面FCのZ方向変位を変更して加圧面FCの平坦度合を調整する技術を例示したが、これに限定されない。たとえば、図33に示すように、ピエゾアクチュエータ37の代わりに上側部材221と下側部材223とを接続する略円柱状の接続部材372を設けるとともに、当該接続部材372を包囲するようにヒータ374を設けるようにしてもよい。そして、ヒータ374を加熱して接続部材372を熱膨張によりZ方向において伸長させる。このようにして、ピエゾアクチュエータ37を伸長させる代わりに接続部材372を伸長させて、加圧面FCの中央部をZ方向に変位させるようにしてもよい。また、接続部材372の伸長量は、ヒータ374の加熱量の調整によって適宜調整されればよい。ただし、上述のようにピエゾアクチュエータ37を用いることによれば、ヒータ374を設けることを要しないため、ピエゾアクチュエータ37付近での発熱が抑制される。そのため、加圧面FCでの温度ムラ(ひいては両被加圧物91,92での温度ムラ)の発生を抑制することが可能である。
【0186】
また、上記第2実施形態においては、加圧開始時点において加圧面の中央部分が外周部分よりも突出した状態(中凸状態)(図15)から、平坦状態を経て、加圧面の外周部分が中央部分よりも突出した状態(中凹状態)(図18)へと遷移する態様が例示されているが、これに限定されない。たとえば、逆に、加圧開始時点において加圧面の外周部分が中央部分よりも突出した状態(中凹状態)(図18)から、平坦状態を経て、加圧面の中央部分が外周部分よりも突出した状態(中凸状態)(図15)へと遷移するように改変してもよい。上記第2実施形態においては、加圧面の中央部分が突出した状態で両被加圧物が接触されて加圧が開始されるため、加圧開始時点にて点接触状態に近い状態が発生し、両被加圧物の相対的な並進移動および/または回転移動に伴う位置ずれ(並進方向および/または回転方向の位置ずれ)が生じることがある。一方、このような改変例によれば、加圧開始時点において加圧面の外周部分が中央部分よりも突出している(中凹状態)(図18)ので、加圧開始時点において外周部分を中央部分よりも先に接触させて比較的大きな接触面積を得ることができる。したがって、比較的大きな摩擦力を得ることができ、点接触に起因する上述のような位置ずれ(特に回転方向の位置ずれ)を低減することが可能である。このように、加圧面の外周部分が中央部分よりも突出した状態(中凹状態)(図18)接触および加圧を開始し、その後、平坦状態を経て、加圧面の中央部分が外周部分よりも突出した状態(中凸状態)(図15)へと遷移させることが好ましいこともある。
【符号の説明】
【0187】
1 加圧装置
12 ステージ
22 ヘッド
31,31a,31b,31c (平行調整用)ピエゾアクチュエータ
32,32a,32b,32c,36,38 圧力検出センサ
33,33a,33b,33c 測距センサ
34 反射板
35 (全体圧力調整用)ピエゾアクチュエータ
37 (平坦性調整用)ピエゾアクチュエータ
91,92 被加圧物
FC 加圧面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の被加圧物と第2の被加圧物との両被加圧物を加圧する加圧装置であって、
第1の加圧部と、
第2の加圧部と、
所定方向において前記第1の加圧部と前記第2の加圧部とを相対的に移動させる駆動手段と、
を備え、
前記第1の加圧部と前記第2の加圧部とが前記所定方向において互いに近接する向きに相対的に移動された後に、前記第1の被加圧物と前記第2の被加圧物とは前記第1の加圧部と前記第2の加圧部との間に挟まれて加圧され、
前記第1の加圧部は、
前記第1の被加圧物に対して加圧用の力を伝達する加圧面と、
前記加圧面の中央部分を前記所定方向において変位させ、前記加圧面の中央部分を前記加圧面の外周側部分に対して前記所定方向において相対的に変位させる中央部変位手段と、
を有することを特徴とする加圧装置。
【請求項2】
請求項1に記載の加圧装置において、
前記中央部変位手段は、前記両被加圧物の加圧中において、前記加圧面の中央部分を前記所定方向において変位させることを特徴とする加圧装置。
【請求項3】
請求項1に記載の加圧装置において、
前記中央部変位手段は、前記両被加圧物の加圧中において、前記加圧面の中央部分を前記所定方向において変位させることにより、前記加圧面の中央部分が前記第1の被加圧物側に向けて前記加圧面の外周側部分よりも突出した第1の状態から、前記加圧面の中央部分が前記所定方向において前記加圧面の外周側部分と略同一の位置に存在する第2の状態へと前記加圧面の凹凸状態を遷移させることを特徴とする加圧装置。
【請求項4】
請求項1に記載の加圧装置において、
前記中央部変位手段は、前記両被加圧物の加圧中において、前記加圧面の中央部分を前記所定方向において変位させることにより、前記加圧面の中央部分が前記第1の被加圧物側に向けて前記加圧面の外周側部分よりも突出した第1の状態から、前記加圧面の中央部分と前記加圧面の外周側部分とが前記所定方向において略同一位置に存在する第2の状態を経て、前記加圧面の外周側部分が前記第1の被加圧物側に向けて前記加圧面の中央部分よりも突出した第3の状態へと前記加圧面の凹凸状態を遷移させることを特徴とする加圧装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の加圧装置において、
前記加圧面の中央部分における加圧圧力を測定する第1の測定手段、
をさらに備え、
前記中央部変位手段は、前記中央部分での加圧圧力に基づき前記中央部分の前記所定方向における変位を調整することを特徴とする加圧装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の加圧装置において、
前記第1の加圧部は、
略円錐台形状あるいは略多角錐台形状を有し且つ前記両被加圧物に対する加圧用の力を伝達する第1の伝達部材と、
前記第1の伝達部材と前記第1の被加圧物との間に配置され、前記第1の伝達部材からの加圧用の力を前記第1の伝達部材から前記第1の被加圧物へとさらに伝達する略板状の第2の伝達部材と、
をさらに有することを特徴とする加圧装置。
【請求項7】
請求項6に記載の加圧装置において、
前記第1の被加圧物と前記第2の被加圧物との平行度合を調整する平行調整手段、
をさらに備え、
前記駆動手段は、前記平行調整手段による平行調整動作の後に、前記第1の被加圧物を保持する前記第1の加圧部と前記第1の被加圧物を保持する前記第2の加圧部とを前記所定方向において相対的に移動して前記両被加圧物を接触させることを特徴とする加圧装置。
【請求項8】
請求項7に記載の加圧装置において、
略円錐台形状あるいは略多角錐台形状を有する前記第1の伝達部材の頂点側において、所定のベース部材と前記第1の伝達部材との間に配置される伸縮手段、
をさらに備え、
前記伸縮手段は、前記平行調整手段による平行調整動作が行われ且つ前記両被加圧物が接触した後に、伸縮することによって前記第1の伝達手段に伝達する加圧力を調整することを特徴とする加圧装置。
【請求項9】
請求項6に記載の加圧装置において、
略円錐台形状あるいは略多角錐台形状を有する前記第1の伝達部材の頂点側において、所定のベース部材と前記第1の伝達部材との間に配置される伸縮手段、
をさらに備えることを特徴とする加圧装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の加圧装置において、
前記伸縮手段は、ピエゾアクチュエータを有することを特徴とする加圧装置。
【請求項11】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の加圧装置において、
前記中央部変位手段は、
前記加圧面の中央部分付近に設けられるピエゾアクチュエータであって前記所定方向に伸縮して前記加圧面の中央部分を前記所定方向において変位させるピエゾアクチュエータ、
を有することを特徴とする加圧装置。
【請求項12】
請求項6に記載の加圧装置において、
前記中央部変位手段は、
前記加圧面の中央部分付近に設けられ、前記第1の伝達部材と前記第2の伝達部材とを接続する接続部材と、
前記接続部材を加熱する加熱手段と、
を有し、
前記中央部変位手段は、前記接続部材を加熱することによって前記接続部材を前記所定方向に伸長させ前記加圧面の中央部分を前記所定方向において変位させることを特徴とする加圧装置。
【請求項13】
第1の被加圧物と第2の被加圧物との両被加圧物を加圧する加圧方法であって、
a)前記第1の被加圧物を保持する第1の加圧部と前記第2の被加圧物を保持する第2の加圧部とを相対的に移動するステップと、
b)前記第1の被加圧物を保持する加圧面の中央部分を前記所定方向において変位させ、前記加圧面の中央部分を前記加圧面の外周側部分に対して前記所定方向において相対的に変位させるステップと、
を備えることを特徴とする加圧方法。
【請求項14】
請求項13に記載の加圧方法において、
前記ステップb)においては、加圧時の処理温度に応じて前記加圧面の中央部分の前記所定方向における変位量が調整されることを特徴とする加圧方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2012−166263(P2012−166263A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−11655(P2012−11655)
【出願日】平成24年1月24日(2012.1.24)
【出願人】(304019355)ボンドテック株式会社 (36)
【Fターム(参考)】