説明

加工機械

【課題】段差のある異径の被加工物を加工する場合であっても、加工した後の被加工物の径を一定とすることができる加工機械の提供。
【解決手段】加工機械1は、ワイヤ電極21に電圧を印加して放電させる自励式の放電電源装置2と、円柱状の被加工物を軸回りに回転させるとともに、被加工物の軸方向に沿ってワイヤ電極21を移動させるNC装置3と、ワイヤ電極21を移動させる速度を制御する制御装置4とを備え、ワイヤ電極21に放電させることで被加工物を加工する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工機械に関し、特にワイヤ電極に放電させることで被加工物を加工する加工機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤ電極に電圧を印加して放電させる自励式の放電電源装置を備え、ワイヤ電極に放電させることで被加工物を加工する加工機械が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の放電加工機(加工機械)は、放電電極(ワイヤ電極)に電圧を印加して放電させる自励式の放電パルス電源装置(放電電源装置)を備えている。
【0003】
図4は、加工機械10にて円柱状の被加工物Wを加工している状態を示す模式図である。
加工機械10は、図4に示すように、柱状の被加工物Wを軸回りに回転させるとともに(図4中矢印A)、被加工物Wの軸方向(図4中矢印B)に沿ってワイヤ電極11を移動させる駆動装置(図示略)を備えている。そして、駆動装置は、図4(A)〜(D)に示すように、被加工物Wの軸と、ワイヤ電極11との間の距離を一定に維持しつつ、ワイヤ電極11を一定の速度で移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−276174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、段差のある異径の被加工物Wを加工する場合には、加工した後の被加工物Wの径が一定とならないという問題がある。
具体的に、図4(A)に示すように、加工する前に大きな径を有していた部分を大径部W1とし、小さな径を有していた部分を小径部W2とすれば、加工した後には、図4(D)に示すように、大径部W1の径は、小径部W2の径よりも小さくなる。
これは、自励式の放電電源装置を備える加工機械10では、被加工物W、及びワイヤ電極11の間隔と、被加工物Wの除去量とに応じて放電の頻度が変わるためである。具体的に、被加工物W、及びワイヤ電極11の間隔が狭いと放電の頻度は多くなり、広いと放電の頻度は少なくなる。また、被加工物Wの除去量が多いと放電の頻度は多くなり、少ないと放電の頻度は少なくなる。
【0006】
したがって、大径部W1を加工するときと、小径部W2を加工するときとでは放電の頻度が異なるので、段差のある異径の被加工物Wを加工する場合には、加工した後の被加工物Wの径が一定とならない。
これに対して、被加工物W、及びワイヤ電極11の間隔を検出し、検出した間隔に応じてワイヤ電極11の位置を制御することによって、被加工物W、及びワイヤ電極11の間隔を調整し、加工した後の被加工物Wの径を一定とすることが考えられる。しかしながら、被加工物W、及びワイヤ電極11の間隔を精度よく検出することは困難であるという問題がある。
【0007】
また、ワイヤ電極11は、図4(B),(C)に二点鎖線で示すように、放電による加工液の気化爆発や、溶融部分の飛散によって加振される。ワイヤ電極11の振動は、ワイヤ電極11の径が大きくなることに相当するので、加工した後の被加工物Wの径が一定とならないという問題は更に顕著になるという問題がある。
これに対して、ワイヤ電極11にガイド等を設けることによって、ワイヤ電極11の振動を抑制することが考えられる。しかしながら、ワイヤ電極11の径が微細である場合には、ガイド等を設けることは困難であるという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、段差のある異径の被加工物を加工する場合であっても、加工した後の被加工物の径を一定とすることができる加工機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の加工機械は、柱状の被加工物を軸回りに回転させるとともに、前記被加工物の軸方向に沿ってワイヤ電極を移動させる駆動装置と、前記ワイヤ電極に電圧を印加して放電させる自励式の放電電源装置とを備え、前記ワイヤ電極に放電させることで前記被加工物を加工する加工機械であって、前記ワイヤ電極を移動させる速度を制御する制御装置を備えることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、加工機械は、ワイヤ電極を移動させる速度を制御する制御装置を備えるので、大径部を加工するときと、小径部を加工するときとでワイヤ電極を移動させる速度を変えることができる。
具体的に、ワイヤ電極を移動させる速度を大きくすれば、単位時間あたりの被加工物の除去量は多くなり、放電の頻度は多くなるので、大径部を加工するときのワイヤ電極の速度と比較して小径部を加工するときのワイヤ電極の速度を速くすることによって、加工機械は、段差のある異径の被加工物を加工する場合であっても、加工した後の被加工物の径を一定とすることができる。
なお、被加工物における大径部、及び小径部の位置は、例えば、予め加工機械の使用者が設定しておいてもよく、センサ等によって検出するようにしてもよい。
【0011】
本発明では、前記制御装置は、前記ワイヤ電極に流通する電流に応じて前記ワイヤ電極を移動させる速度を制御することが好ましい。
【0012】
ここで、放電の頻度は、被加工物、及びワイヤ電極の間隔と、被加工物Wの除去量に応じて増減するので、ワイヤ電極に流通する電流もこれらに応じて増減する。
本発明によれば、制御装置は、ワイヤ電極に流通する電流に応じてワイヤ電極を移動させる速度を制御することができるので、被加工物の形状に応じて自動的にワイヤ電極を移動させる速度を制御することができる。したがって、加工機械は、段差のある異径の被加工物を加工する場合であっても、加工した後の被加工物の径を一定とすることができる。
【0013】
本発明では、前記制御装置は、前記ワイヤ電極に流通する電流を電圧に変換する電流電圧変換部と、前記電流電圧変換部にて変換された電圧の状態を判定する電圧判定部と、前記電圧判定部にて判定された結果に基づいて、前記ワイヤ電極を移動させる速度を制御する速度制御部とを備えることが好ましい。
【0014】
このような構成によれば、制御装置は、電流電圧変換部、電圧判定部、及び速度制御部を備えるので、簡素な構成でワイヤ電極に流通する電流に応じてワイヤ電極を移動させる速度を制御することができる。
【0015】
本発明では、前記電流電圧変換部、及び前記電圧判定部は、前記放電電源装置側に設けられ、前記速度制御部は、前記駆動装置側に設けられていることが好ましい。
【0016】
ここで、ワイヤ電極に流通する電流、及び電流電圧変換部にて変換された電圧は、アナログ信号であり、ノイズの影響を受けやすいので、電圧判定部に入力されるまでの伝送路は短いことが望ましい。これに対して、電圧判定部にて判定された結果は、デジタル信号であり、ノイズの影響を受けにくいので、速度制御部に入力されるまでの伝送路は長くてもよい。
また、放電電源装置側に規模の大きい回路を実装すると、放電電源装置に大きな浮遊容量が発生してしまうという問題がある。
本発明によれば、電流電圧変換部、及び電圧判定部は、放電電源装置側に設けられているので、アナログ信号の伝送路を短くすることができ、ノイズの影響を抑制することができる。また、速度制御部は、駆動装置側に設けられているので、放電電源装置に大きな浮遊容量が発生してしまうことを抑制することができる。
【0017】
本発明では、前記制御装置は、前記ワイヤ電極を移動させる速度を段階的に制御することが好ましい。
このような構成によれば、制御装置は、ワイヤ電極を移動させる速度を段階的に制御するので、数値情報によって制御をする既存のNC(Numerical Control)装置を駆動装置として採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る加工機械を示すブロック図。
【図2】前記実施形態における加工機械にて円柱状の被加工物を加工している状態を示す模式図。
【図3】前記実施形態における制御装置の各部における信号の状態を示すグラフ。
【図4】加工機械にて円柱状の被加工物を加工している状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る加工機械1を示すブロック図である。図2は、加工機械1にて円柱状の被加工物Wを加工している状態を示す模式図である。
加工機械1は、図1、及び図2に示すように、ワイヤ電極21に電圧を印加して放電させる自励式の放電電源装置2と、円柱状の被加工物Wを軸回りに回転させるとともに(図2中矢印A)、被加工物Wの軸方向(図2中矢印B)に沿ってワイヤ電極21を移動させるNC装置3と、ワイヤ電極21を移動させる速度を制御する制御装置4とを備え、ワイヤ電極21に放電させることで被加工物Wを加工するものである。
【0020】
放電電源装置2は、前述した特許文献1に記載の放電パルス電源装置と同一の構成を有し、図1に示すように、ワイヤ電極21と、ワイヤ電極21にカソードが接続されるダイオード22と、ダイオード22のアノードに一端が接続されるとともに、他端が接地されるコンデンサ23と、ダイオード22のカソードにゲートが接続されるとともに、コンデンサ23にソースが接続されるFET(Field Effect Transistor)24とを備える。また、放電電源装置2は、抵抗25を介して+極がダイオード22のカソードに接続されるとともに、−極がアノードに接続される5Vの電源26と、FET24のドレインに接続される高圧電源27とを備える。
【0021】
この放電電源装置2は、高圧電源27から流れる電流によってコンデンサ23に充電し、ワイヤ電極21にコンデンサ23の電圧を印加して放電させるものである。
具体的に、ダイオード22には、電源26にて逆電圧が印加されているので、FET24は、ドレイン−ソース間に電流が流れるオン状態になる。FET24がオン状態になると、放電電源装置2は、高圧電源27から流れる電流によってコンデンサ23を充電する。コンデンサ23に充電されると、ダイオード22には、順電圧が印加され、ワイヤ電極21にコンデンサ23の電圧が印加される。そして、ワイヤ電極21に電圧を印加して放電させると、ダイオード22には、再度、電源26にて逆電圧が印加される。
放電電源装置2は、以上の動作を繰り返すことでワイヤ電極21に繰り返し放電させる。
【0022】
駆動装置としてのNC装置3は、被加工物Wを軸回りに回転させるとともに、被加工物Wの軸方向に沿ってワイヤ電極21を移動させる駆動部(図示略)と、数値情報によって駆動部を制御する数値制御部31と、ワイヤ電極21を移動させる速度を数値制御部31に設定するための4ビットのロータリーコードスイッチ32と、数値制御部31、及びロータリーコードスイッチ32の間に配設されるスイッチ33とを備える。なお、本実施形態では、数値制御部31は、被加工物Wを一定の速度で回転させるものとする。
【0023】
数値制御部31は、4ビットの入力信号に応じてワイヤ電極21を移動させる速度を段階的に制御する。具体的に、数値制御部31は、入力信号の示す16進数で0〜Fまでの数値に対して0〜150%までのワイヤ電極21の速度を関連付けている(以下、数値制御部31への入力信号をオーバーライド値(0〜150%)とする)。ここで、ワイヤ電極21を移動させる速度は、予め設定された基準速度を100%としている。
したがって、例えば、オーバーライド値100%の信号が入力された場合には、数値制御部31は、基準速度でワイヤ電極21を移動させる。また、例えば、オーバーライド値150%の信号が入力された場合には、数値制御部31は、基準速度の1.5倍の速度でワイヤ電極21を移動させる。
【0024】
ロータリーコードスイッチ32は、4ビットの信号を切り替えて出力するものであり、数値制御部31、及びロータリーコードスイッチ32がスイッチ33を介して接続されている場合には、数値制御部31は、ロータリーコードスイッチ32から出力されるオーバーライド値に応じた速度でワイヤ電極21を移動させる。
スイッチ33は、ロータリーコードスイッチ32から出力されるオーバーライド値と、NC装置3の外部から入力されるオーバーライド値とを切り替える。なお、図1では、スイッチ33は、NC装置3の外部から入力されるオーバーライド値を数値制御部31に入力するように切り替えられている。
【0025】
制御装置4は、ワイヤ電極21に流通する電流を電圧に変換する電流電圧変換部5と、電流電圧変換部5にて変換された電圧の状態を判定する電圧判定部6と、電圧判定部6にて判定された結果に基づいて、ワイヤ電極21を移動させる速度を制御する速度制御部7とを備える。ここで、電流電圧変換部5、及び電圧判定部6は、放電電源装置2側に設けられ、速度制御部7は、NC装置3側に設けられている。
【0026】
電流電圧変換部5は、一端がワイヤ電極21に接続され、他端が接地される抵抗51を備え、放電することでワイヤ電極21に流通する電流を抵抗51にて電圧に変換する。
電圧判定部6は、電流電圧変換部5にて変換された電圧を平滑化する平滑化回路61と、平滑化回路61にて平滑化された電圧の状態を判定するコンパレータ62とを備える。
コンパレータ62は、平滑化回路61にて平滑化された電圧の状態を判定した結果を3本の信号線(超高、高、及び低)を用いて出力する。具体的に、超高、高、及び低の3本の信号線は、平滑化回路61にて平滑化された電圧の大きさに応じた信号の出力に用いられる。
【0027】
速度制御部7は、コンパレータ62から出力される信号を絶縁するためのフォトカプラ71と、コンパレータ62にて判定された結果に基づいて、ワイヤ電極21を移動させる速度を制御するロジック回路72と、ロジック回路72、及びNC装置3の間に配置される4つのロータリーコードスイッチ73(731〜734)とを備える。
各ロータリーコードスイッチ731〜734は、ロータリーコードスイッチ32と同一の構成を有し、ロータリーコードスイッチ731は、オーバーライド値0%の信号を出力し、ロータリーコードスイッチ732は、オーバーライド値50%の信号を出力し、ロータリーコードスイッチ733は、オーバーライド値100%の信号を出力し、ロータリーコードスイッチ734は、オーバーライド値150%の信号を出力するように切り替えられている。
【0028】
図3は、制御装置4の各部における信号の状態を示すグラフである。なお、図3(A)は、電流電圧変換部5にて変換された電圧を示すグラフであり、図3(B)は、平滑化回路61にて平滑化された電圧を示すグラフであり、図3(C)は、コンパレータ62から出力される信号を示すグラフである。
また、図3では、説明のために、横軸における座標0から座標Sに向かうに従って、ワイヤ電極21に流通する電流が大きくなるものとする。
【0029】
以下、図3を参照して制御装置4の動作について説明する。
コンパレータ62は、図3(B),(C)に示すように、平滑化回路61にて平滑化された電圧の状態を判定し、判定した結果を3本の信号線を用いて出力する。また、ロジック回路72、及び各ロータリーコードスイッチ73は、コンパレータ62にて判定された結果に基づいて、ワイヤ電極21を移動させる速度を制御する。
【0030】
具体的に、コンパレータ62は、平滑化回路61にて平滑化された電圧の大きさが0からV1までの間は、低の信号線をH(High)レベルとし、他の信号線をL(Low)レベルとする。この場合には、ロジック回路72は、ロータリーコードスイッチ734にオーバーライド値150%の信号を出力させる。
コンパレータ62は、平滑化回路61にて平滑化された電圧の大きさがV1からV2までの間は、各信号線をLレベルとする。この場合には、ロジック回路72は、ロータリーコードスイッチ733にオーバーライド値100%の信号を出力させる。
【0031】
コンパレータ62は、平滑化回路61にて平滑化された電圧の大きさがV2からV3までの間は、高の信号線をHレベルとし、他の信号線をLレベルとする。この場合には、ロジック回路72は、ロータリーコードスイッチ732にオーバーライド値50%の信号を出力させる。
コンパレータ62は、平滑化回路61にて平滑化された電圧の大きさがV3より大きいときは、高、及び超高の信号線をHレベルとし、他の信号線をLレベルとする。この場合には、ロジック回路72は、ロータリーコードスイッチ731にオーバーライド値0%の信号を出力させる。
【0032】
ここで、ワイヤ電極21に流通する電流は、放電の頻度に応じて増減するので、図2に示すように、加工する前に大きな径を有していた部分である大径部W1を加工するときには(図2中矢印B)、被加工物W、及びワイヤ電極21の間隔が狭いので放電の頻度は多くなり、加工する前に小さな径を有していた部分である小径部W2を加工するときには(図2中矢印C)、被加工物W、及びワイヤ電極21の間隔が広いので放電の頻度は少なくなる。
したがって、以上のような加工機械1によれば、大径部W1を加工するときのワイヤ電極21の速度と比較して小径部W2を加工するときのワイヤ電極21の速度を速くすることができる。
【0033】
本実施形態に係る加工機械1によれば、次のような効果がある。
(1)加工機械1は、ワイヤ電極21を移動させる速度を制御する制御装置4を備えるので、大径部W1を加工するときのワイヤ電極21の速度と比較して小径部W2を加工するときのワイヤ電極21の速度を速くすることができる。したがって、段差のある異径の被加工物Wを加工する場合であっても、加工した後の被加工物Wの径を一定とすることができる。
(2)制御装置4は、ワイヤ電極21に流通する電流に応じてワイヤ電極21を移動させる速度を制御することができるので、被加工物Wの形状に応じて自動的にワイヤ電極21を移動させる速度を制御することができる。
(3)制御装置4は、電流電圧変換部5、電圧判定部6、及び速度制御部7を備えるので、簡素な構成でワイヤ電極21に流通する電流に応じてワイヤ電極21を移動させる速度を制御することができる。
【0034】
(4)電流電圧変換部5、及び電圧判定部6は、放電電源装置2側に設けられているので、アナログ信号の伝送路を短くすることができ、ノイズの影響を抑制することができる。また、速度制御部7は、NC装置3側に設けられているので、放電電源装置2に大きな浮遊容量が発生してしまうことを抑制することができる。
(5)制御装置4は、ワイヤ電極21を移動させる速度を段階的に制御するので、数値情報によって制御をする既存のNC装置3を駆動装置として採用することができる。
【0035】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、制御装置4は、ワイヤ電極21に流通する電流に応じてワイヤ電極21を移動させる速度を制御していた。これに対して、例えば、制御装置は、被加工物、及びワイヤ電極の間隔を検出し、検出した間隔に応じてワイヤ電極を移動させる速度を制御してもよい。要するに、加工機械は、ワイヤ電極を移動させる速度を制御する制御装置を備えていればよい。
【0036】
前記実施形態では、制御装置4は、電流電圧変換部5、電圧判定部6、及び速度制御部7を備え、簡素な構成でワイヤ電極21に流通する電流に応じてワイヤ電極21を移動させる速度を制御していたが、これ以外の構成であってもよい。要するに、制御装置は、ワイヤ電極に流通する電流に応じてワイヤ電極を移動させる速度を制御することができればよい。
前記実施形態では、電流電圧変換部5、及び電圧判定部6は、放電電源装置2側に設けられ、速度制御部7は、NC装置3側に設けられていたが、制御装置の各部は、どのような位置に設けられていてもよい。
前記実施形態では、制御装置4は、ワイヤ電極21を移動させる速度を段階的に制御していたが、段階的に制御しなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、加工機械に利用でき、特にワイヤ電極に放電させることで被加工物を加工する加工機械に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1…加工機械
2…放電電源装置
3…NC装置(駆動装置)
4…制御装置
5…電流電圧変換部
6…電圧判定部
7…速度制御部
21…ワイヤ電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状の被加工物を軸回りに回転させるとともに、前記被加工物の軸方向に沿ってワイヤ電極を移動させる駆動装置と、前記ワイヤ電極に電圧を印加して放電させる自励式の放電電源装置とを備え、前記ワイヤ電極に放電させることで前記被加工物を加工する加工機械であって、
前記ワイヤ電極を移動させる速度を制御する制御装置を備えることを特徴とする加工機械。
【請求項2】
請求項1に記載の加工機械において、
前記制御装置は、前記ワイヤ電極に流通する電流に応じて前記ワイヤ電極を移動させる速度を制御することを特徴とする加工機械。
【請求項3】
請求項2に記載の加工機械において、
前記制御装置は、
前記ワイヤ電極に流通する電流を電圧に変換する電流電圧変換部と、
前記電流電圧変換部にて変換された電圧の状態を判定する電圧判定部と、
前記電圧判定部にて判定された結果に基づいて、前記ワイヤ電極を移動させる速度を制御する速度制御部とを備えることを特徴とする加工機械。
【請求項4】
請求項3に記載の加工機械において、
前記電流電圧変換部、及び前記電圧判定部は、前記放電電源装置側に設けられ、
前記速度制御部は、前記駆動装置側に設けられていることを特徴とする加工機械。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の加工機械において、
前記制御装置は、前記ワイヤ電極を移動させる速度を段階的に制御することを特徴とする加工機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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