説明

加工食品および加工食品製造方法

【課題】より多様な食感が得られる加工食品、および、本物のエビ肉に近い食感が得られる加工食品の製造方法を提供する。
【解決手段】食材を成形したゲル状の成形食材片1を複数備え、複数の形状を有する成形食材片1を組み付けた加工食品本体10を有する加工食品X、および、食材を加工して、ゲル状の前斜筋片1a、中央筋片1b、横断筋片1cを作製する成形食材片作製工程と、中央筋片1bに形成した開口部pに前斜筋片1aを嵌通させた複数の加工食品部材10a、10bを作製する加工食品部材作製工程と、加工食品部材10a、10bどうしの間に横断筋片1cを嵌め込んで加工食品本体10を作製する加工食品本体作製工程と、加工食品本体10の表面に表皮膜部を成膜する成膜工程と、を有する加工食品製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材を成形して作製され、本物の動物肉に近い食感が得られる加工食品に関する。
【背景技術】
【0002】
蒲鉾は、魚肉のすり身を主成分とした水産練製品である。当該蒲鉾は、所望の形状にカットしてそのまま調味料で味付けして食べたり、調味液などで煮て食べたりしている。一方、通常の蒲鉾の風味や食感にバリエーションを持たせた加工食品として、例えば本物のカニ肉に似た風味を有する蒲鉾(以下、カニ風味蒲鉾と称する)が知られている。当該カニ風味蒲鉾は、通常の蒲鉾を食材として利用して、例えば繊維状の蒲鉾を束ねて棒状に成形したり、既成の蒲鉾に切れ目を入れたり(例えば特許文献1)、シート状の蒲鉾にスリットを入れてロール状に成形したり(例えば特許文献2)することで製造される。このようにして製造されたカニ風味蒲鉾は、食材として使用した蒲鉾とは異なる食感となり、本物のカニ肉に似た食感が得られ、また、着色する等して外観もカニ肉に似せることで、手軽に本物のカニ肉に似た風味を味わうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−260931号公報
【特許文献2】特開平08−228724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した公知のカニ風味蒲鉾は、本物のカニ肉の繊維状の態様のみを単純化して模したものである。例えば食材として使用される繊維状の蒲鉾は、その形状(断面積など)が画一的であるため、製造されたカニ風味蒲鉾は単純な食感となりがちであった。
【0005】
また、例えば摂食者が本物のカニ肉に対してアレルギーを呈する場合であっても、魚肉のすり身を主成分とした蒲鉾から製造されたカニ風味蒲鉾であれば、アレルギー症状が出ることなく摂食できる場合がある。このように、本物のカニ肉に似た食感を手軽に味わえるカニ風味蒲鉾は、本物のカニ肉の代替品として使用することができる。
このような食物アレルギーなどの観点から、カニ肉以外の動物肉の代替品が手軽に食することができることが望まれている。
【0006】
従って、本発明の目的は、より多様な食感が得られる加工食品、および、本物のエビ肉に近い食感が得られる加工食品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る加工食品の第一特徴構成は、食材を成形したゲル状の成形食材片を複数備え、複数の形状を有する前記成形食材片を組み付けた加工食品本体を有する点にある。
【0008】
本発明では、食材を成形した複数のゲル状の成形食材片を組み付けて加工食品を製造する。本明細書における食材とは、例えば固体状態を呈するゲル状の食材や、流動状態を呈するゾル状の食材などのことをいう。これら食材を加工して所望の形状に成形したゲル状を呈する成形食材片を作製する。
ゲル状の食材は、例えば原料をすり潰して食塩などを添加して所望の形状に成形した後、加熱することで凝固(ゲル化)させたものや、原料を粉末化させ、所望のゲル化剤を添加して加熱してゲル化させたもの等を使用できる。
ゲル状の食材は適度な弾力性を有するため、成形食材片の成形が容易であり、かつ当該成形後に当該成形食材片の形状を維持し易くなる。
また、ゾル状の食材を使用する場合、所望の形状を有する型に当該ゾル状の食材を流し込むことで、成形食材片の成形を行なうことができる。
【0009】
摂食者は、食感、味、香りおよび色といった多くの要素を基準として食材の嗜好的判断を行うが、その中でも食感(歯ざわり、舌ざわり、噛み応え等)は特に重要な要素である。食感は、食材の力学特性(弾性や粘性)に由来している。
【0010】
本発明の加工食品では、複数の形状を有する成形食材片を組み付けた加工食品本体を有する。成形食材片の形状は、概ね、例えばブロック状・棒状・ドーナツ状など、種々の形状をとり得る。このように多様な形状を有する複数の成形食材片を組み付けることで、摂食者が本発明の加工食品を咀嚼した際の食感は、単一の成形食材片や、複数の同形の成形食材片からなる加工食品よりもバラエティに富んだものとなる。また、本発明の加工食品は、成形食材片はゲル状であるため、弾力性に富んだ食感を得ることができる。
【0011】
従って、本構成の加工食品であれば、より多様な食感を有する加工食品を提供することができる。
【0012】
本発明に係る加工食品の第二特徴構成は、前記加工食品本体は、一の成形食材片に形成した開口部に他の成形食材片を嵌通させて構成した加工食品部材を有する点にある。
【0013】
本構成によれば、一の成形食材片に形成した開口部に他の成形食材片を嵌通させることで、成形食材片どうしを所謂ホゾ継ぎのような組み方で組み付けることができる。これにより、成形食材片どうしの組み付けが強固になり、加工食品本体の構成単位としての加工食品部材の型崩れを未然に防止することができる。
従って、本発明の加工食品が有する独特の食感を長期に亘って維持し易くなる。
【0014】
本発明に係る加工食品の第三特徴構成は、前記加工食品本体の表面に形成した表皮膜部を有する点にある。
【0015】
本構成によれば、表皮膜部を有することで本物の動物肉が有する表皮膜を模すことができる。よって、本構成では加工食品本体が有する食感に加えて、表皮膜部においても摂食者が咀嚼した際に表皮膜を食い破るような弾力性のある食感(プリプリ感)を付与することができ、特に最初に噛んだときの食感が優れたものとなる。
【0016】
本発明に係る加工食品の第四特徴構成は、前記表皮膜部をアルギン酸カルシウムのゲル膜で形成した点にある。
【0017】
本構成によれば、例えば加工食品本体を適切な濃度の塩化カルシウム水溶液に浸漬した後、適切な濃度のアルギン酸ナトリウム水溶液に浸漬することで、加工食品本体の表面にアルギン酸カルシウムのゲル膜を容易に形成することができる。
【0018】
本発明に係る加工食品の第五特徴構成は、前記加工食品本体が動物の筋肉構造の配置を模して作製された点にある。
【0019】
本構成では、加工食品本体を動物の筋肉構造の配置を模して複数の成形食材片を配置して作製できるため、複数の成形食材片を組み付けて、本物の動物の筋肉構造をある程度再現することができる。これにより、摂食者が加工食品を咀嚼した際には、本物の動物の食材を咀嚼したときの食感に極めて近い食感を得ることができる。
よって、本構成では、複雑な動物肉の構造を模してより一層本物の動物肉に近い食感を得ることができる。
【0020】
本発明に係る加工食品の第六特徴構成は、前記動物をエビとした点にある。
【0021】
本構成によれば、本物のエビ肉を模した加工食品を提供することができる。そのため、当該加工食品は、本物のエビ肉に似た食感を手軽に味わえるエビ風味の加工食品となる。このようなエビ風味の加工食品は、本物のエビ肉の代替品として使用することができる。また、食物アレルギーなどの観点からエビ肉を食することができなかった摂食者においても、食物アレルギーを気にすることなく、安全に本物のエビ肉に似た食感を楽しむことができる。
【0022】
本発明に係る加工食品の第七特徴構成は、前記加工食品本体は、前記筋肉構造である前斜筋、中央筋、横断筋に対応する位置に、前記成形食材片として、それぞれ前斜筋片、中央筋片、横断筋片を配置させた点にある。
【0023】
本構成によれば、エビの腹部に認められる三種類の筋肉構造に対応する前斜筋片、中央筋片、横断筋片を組み付けて加工食品本体とするため、本発明の加工食品をエビの腹部が有する各筋肉構造の配置に似せることができる。そのため、本発明の加工食品では、より一層本物のエビ肉の食感に似た食感を得ることができる。
【0024】
本発明に係る加工食品の第八特徴構成は、前記加工食品本体は、前記中央筋片に形成した開口部に前記前斜筋片を嵌通させて形成した加工食品部材を複数備え、前記複数の加工食品部材の間に前記横断筋片を嵌め込んだ点にある。
【0025】
後述の実施例にて示すように、エビの腹部の筋肉構造の概要は、例えば中央筋に形成された開口に前斜筋が挿入されており、横断筋は中央筋と中央筋との間に位置しているものと認められた。
本構成では、中央筋片に形成した開口部に前斜筋片を所謂ホゾ継ぎのような組み方で嵌通させて加工食品部材を形成し、複数の加工食品部材の間に前記横断筋片を嵌め込むことにより横断筋片が中央筋片と中央筋片との間に位置するように構成するため、エビの腹部に認められる三種類の筋肉構造の立体構造を本発明の加工食品において比較的忠実に再現することができる。そのため、本構成の加工食品は、本物のエビ肉の独特の食感をより忠実に再現できる。
【0026】
本発明に係る加工食品の第九特徴構成は、前記食材を水産練製品とした点にある。
【0027】
本構成によれば、食材として、例えば蒲鉾などの魚肉を主成分とした水産練製品を使用することができる。このような水産練製品は入手が容易な食材であり、かつ加工が容易であるため、本発明の加工食品の製造を容易に行なうことができる。
【0028】
本発明に係る加工食品の第十特徴構成は、前記食材を植物性製品とした点にある。
【0029】
本構成によれば、食材として、例えばコンニャクなどのゲル化させた植物性製品を使用することができる。このような植物性製品は入手が容易な食材であり、かつ加工が容易であるため、本発明の加工食品の製造を容易に行なうことができる。
【0030】
本発明に係る加工食品製造方法の特徴手段は、食材を加工して、エビの筋肉構造である前斜筋、中央筋、横断筋に対応するゲル状の成形食材片として、それぞれ前斜筋片、中央筋片、横断筋片を作製する成形食材片作製工程と、前記中央筋片に形成した開口部に前記前斜筋片を嵌通させた複数の加工食品部材を作製する加工食品部材作製工程と、複数の前記加工食品部材どうしを隣接位置させ、前記加工食品部材どうしの間に前記横断筋片を嵌め込んで加工食品本体を作製する加工食品本体作製工程と、前記加工食品本体の表面に表皮膜部を成膜する成膜工程と、を有する点にある。
【0031】
本手段によれば、ゲル状の食材をカットして、或いは、ゾル状の食材を所望の形状の型に流し込んだ後に加熱するなどの加工を行なって成形した複数のゲル状の成形食材片を組み付けるだけで本発明の加工食品を容易に製造することができる。特に、エビの筋肉構造に対応する前斜筋片、中央筋片、横断筋片を組み付けて加工食品部材および加工食品本体を作製するため、エビの腹部に認められる三種類の筋肉構造の立体構造を本手段によって忠実に再現することができる。そのため、本手段では、本物のエビ肉の食感をより忠実に再現できる加工食品を製造することができる。
【0032】
また、本手法では、加工食品本体の表面に表皮膜部を成膜するため、当該手法によって製造された加工食品は、加工食品本体が有する食感に加えて、表皮膜部においても摂食者が咀嚼した際に表皮膜を食い破るような弾力性のある食感(プリプリ感)を付与することができ、特に最初に噛んだときの食感が優れたものとなる。
従って、本手法では、本物のエビ肉を模した加工食品を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の加工食品および当該加工食品を構成する成形食材片を示す概略図である。
【図2】本発明の加工食品を示す概略図である。
【図3】エビの腹部に認められる筋肉構造を示した写真図。
【図4】本発明の加工食品の製造方法の概要を示す流れ図。
【図5】エビの筋肉構造の立体構造を解析した図
【図6】加工食品本体の写真図。
【図7】比較例1,2の破断強度曲線を示したグラフ。
【図8】比較例3および本発明例1〜3の破断強度曲線を示したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の加工食品は、複雑な動物肉の構造を模してより一層本物に近い食感が得られるように構成する。
【0035】
図1,2に示したように、当該加工食品Xは、食材を成形したゲル状の成形食材片1を複数備え、複数の形状を有する成形食材片1を組み付けた加工食品本体10を有する。
【0036】
加工食品本体10は、一の成形食材片1bに形成した開口部pに他の成形食材片1aを嵌通させて構成した加工食品部材10a,10bを有する。加工食品本体10の表面には、表皮膜部20が形成してある。また、加工食品本体10は、動物の筋肉構造の配置を模して作製される。
【0037】
(動物)
動物としては、例えば甲殻類・哺乳類・鳥類・魚類・貝類・軟体類等に属する動物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本実施形態では、動物を甲殻類であるエビとした場合について説明する。
【0038】
(食材)
本発明で使用できる食材としては、例えば固体状態を呈するゲル状の食材や、流動状態を呈するゾル状の食材などを使用することができる。
ゲル状の食材は、例えば原料をすり潰して食塩などを添加して所望の形状に成形した後、加熱することで凝固(ゲル化)させたものや、原料を粉末化させ、所望のゲル化剤を添加して加熱してゲル化させたもの等を使用できる。ゲル状の食材は、適度な弾力性を有するようにゲル化させた食材であるため、カットするなどして所望の形状に容易に成形できる。
また、ゾル状の食材を使用する場合、所望の形状を有する型に当該ゾル状の食材を流し込み加熱する、或いは、所望の形状を有する型に当該ゾル状の食材およびゲル化剤を混合させて流し込み、加熱や冷却を行なうことで、所望の形状に容易に成形できる。
食材としては、水産練製品、植物性製品および動物性製品などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
水産練製品は、例えば魚肉を主成分とした練製品であり、蒲鉾・はんぺん・ちくわ・さつま揚・魚肉ソーセージ等がある。本実施形態では、食材の例として蒲鉾を使用した場合について説明する。
蒲鉾は、通常、魚肉に塩などを加えてすり潰し、成型した後、加熱して凝固(ゲル化)させることにより作製される。しかし、公知の手法で製造された蒲鉾であれば何れも使用できる。また、蒲鉾の原料として使用される魚肉の種類は、例えばスケソウダラ等の白身魚の魚肉が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0040】
植物性製品は、例えばコンニャクやゼリーなどのゲル化させた食材を使用することができる。例えばコンニャクは、コンニャクイモに含まれるコンニャクマンナンという多糖を糊化し、得られた水和物を水酸化カルシウムなどのアルカリを加え加熱してゲル化させることにより作製できる。
植物性製品のゼリーは、植物由来の寒天・ペクチン・カラギーナンなどのゲル化剤で凝固させた食材であればよい。
【0041】
動物性製品は、例えば動物由来のゼラチンなどのゲル化剤を含んだゼリーなどのゲル化させた食材を使用することができる。
【0042】
ゲル状の食材は、例えば使用するゲル化剤の濃度を所望の濃度に設定して、本発明の加工食品を構成するため使用する成形食材片1に適切な弾力性を有するようにすればよい。
本発明の加工食品Xは複数の成形食材片1を使用するが、それぞれの成形食材片1は同一のゲル状の食材としてもよいし、異なるゲル状の食材を組み合わせてもよい。
【0043】
(加工食品本体、成形食材片)
加工食品本体10は、食材を成形したゲル状の成形食材片1を備え、複数の形状を有する成形食材片1を組み付けたものである。
【0044】
本実施形態では、エビの腹部に認められる主要な三種類の筋肉構造に着目して成形食材片1を作製した場合について説明する。主要な三種類の筋肉は前斜筋、中央筋、横断筋である。前斜筋には前部前斜筋と後部前斜筋がある。これら筋肉構造の概要を図3((a)横断面図、(b)水平断面図、(c)正中線断面図)に示す。図3で示した筋肉構造は、後部前斜筋a、中央筋bおよび横断筋cである。これら筋肉構造に対応するゲル状の成形食材片1として、それぞれ前斜筋片1a、中央筋片1bおよび横断筋片1cを作製する。蒲鉾の成形は、カッターやナイフなどを使用して行えばよい。或いは、蒲鉾を作製する際に、予め、所望の成形食材片1の形状となるように成形しておいてもよい。
【0045】
図1に示したように、前斜筋片1aは、長尺状(棒状)かつ湾曲させた態様に成形してある。このように前斜筋片1aを湾曲させることで、エビの腹部の形状にある程度正確に似せることができる。中央筋片1bは、概ねブロック状に成形し、ドーナツ状となるように開口部pを有する。横断筋片1cも概ねブロック状に成形するが、その表面には凹部を形成してある。
【0046】
成形食材片1の形状は、上述した態様に限られるものではなく、前記三種類の筋肉構造以外の筋肉構造(例えば後斜筋)に模した形状に成形してもよい。
このように多様な形状を有する複数の成形食材片1を組み付けることで、摂食者が本発明の加工食品Xを咀嚼した際の食感は、単一の成形食材片からなる加工食品よりもバラエティに富んだものとなる。
【0047】
加工食品本体10は、エビの後部前斜筋a、中央筋b、横断筋cに対応する位置に、成形食材片1として、それぞれ前斜筋片1a、中央筋片1b、横断筋片1cを配置させてある。本実施形態では、これら成形食材片1のうち、中央筋片1bに形成した開口部pに前斜筋片1aを嵌通させて加工食品部材10aを形成する。
【0048】
図1には、二つの加工食品部材10a,10bを有する加工食品本体10を示しているが、加工食品部材の数はこれに限定されるものではない。横断筋片1cは、二つの加工食品部材10a,10b(中央筋片1b)の間に形成された空隙に嵌め込むようにして組み付ける。横断筋片1cを組み付ける際には、横断筋片1cの表面に形成した凹部を加工食品部材の表面の凸部に係合させるようにすれば、それぞれの成形食材片1の位置決めを正確に行なうことができ、かつ、位置ズレがおきるのを防止できる。横断筋片1cの数は特に限定されるものではない。
【0049】
このように、本発明の加工食品Xでは、エビの腹部に認められる三種類の筋肉構造に対応する前斜筋片1a、中央筋片1b、横断筋片1cを組み付けて加工食品本体10とするため、当該加工食品Xをエビの腹部が有する各筋肉構造の配置に似せることができる。そのため、本発明の加工食品Xは、より一層本物のエビ肉の食感に似た食感を得ることができる。
【0050】
(表皮膜部)
加工食品本体10の表面には、表皮膜部20が形成してある。
表皮膜部20は、加工食品本体10の全体を覆うことができる食材であれば、特に限定されるものではない。例えば、アルギン酸カルシウムのゲル膜や動物の腸などを表皮膜部20として、加工食品本体10を被覆すればよい。
表皮膜部20を動物の腸とする場合には、例えば羊腸などを使用すればよい。また、天婦羅の衣の要領で作製した衣部を表皮膜部20としてもよい。
【0051】
このように加工食品本体10の表面に表皮膜部20を形成することにより、動物肉の構造を模した加工食品本体10の表面に、表皮を模した表皮膜部20を作製することができる。これにより、例えば表皮膜部20によってエビの表皮膜を再現し、より一層本物のエビ肉に近い弾力性のある食感(プリプリ感)を得ることができる。
【0052】
<本発明の加工食品の製造方法>
本発明の加工食品Xは、例えば以下の手順により作製することができる(図4)。
(1)成形食材片作製工程A
本工程では、食材を加工して、エビの筋肉構造である前斜筋(後部前斜筋)、中央筋、横断筋に対応するゲル状の成形食材片1として、それぞれ前斜筋片1a、中央筋片1b、横断筋片1cを作製する。
【0053】
食材は、ゲル状の食材やゾル状の食材などを使用することができる。ゲル状の食材は、適度な弾力性を有するようにゲル化させた食材であるため、カットするなどして所望の形状に成形できる。また、ゾル状の食材を使用する場合、所望の形状を有する型に当該ゾル状の食材を流し込み加熱する、或いは、所望の形状を有する型に当該ゾル状の食材およびゲル化剤を混合させて流し込み、加熱や冷却を行なうことで、所望の形状に成形できる。
【0054】
本実施形態では、ゲル状の食材として蒲鉾を使用した場合について説明する。蒲鉾は、例えば以下のように製造される。
まず、スケソウダラ等の原魚を水洗し、骨と皮と肉に分け、余分な水分を除いて水分含有量を約75〜80%程度にし、冷凍変性を防ぐために糖分と重合リン酸塩を練り込んで冷凍して冷凍すり身を作製する。
冷凍すり身に2%〜4%の塩を添加し、さらに、水を加えて塩分と堅さを調整して粘調性のあるペースト状にする。
ペースト状のすり身に砂糖・卵白・澱粉・調味料・防腐剤・安定剤等の副材料を添加し、所望の形状に成形して中心温度が75℃以上になるように加熱することですり身のゲル化と殺菌処理を行った後、冷やすことで蒲鉾が完成する。
上記以外に例えばエビエキス・ビタミン類・ミネラル類・甘味料・酸味料・着色料などを副材料として添加してもよい。
【0055】
エビの筋肉構造は、例えば、エビの腹部をX線CT装置や画像処理ソフトなどで解析(後述の実施例1,2)することにより、その大まかな形状を把握することができる。エビの腹部を構成する筋肉は、前斜筋(前部前斜筋、後部前斜筋)、中央筋、横断筋、後斜筋などが知られている。これらのうち、後部前斜筋、中央筋、横断筋に対応するゲル状の成形食材片1として、それぞれ前斜筋片1a、中央筋片1b、横断筋片1cを、上述のように製造した蒲鉾をナイフなどでカットして作製する。
【0056】
本発明で作製された成形食材片1は、適度な弾力性を有する蒲鉾(ゲル状の食材)で作製してあるため、当該成形食材片1の成形が容易であり、かつ当該成形後に当該成形食材片1の形状を維持し易くなる。
【0057】
(2)加工食品部材作製工程B
本工程では、中央筋片1bに形成した開口部pに前斜筋片1aを嵌通させた複数の加工食品部材10a、10bを作製する。
前斜筋片1aおよび中央筋片1bの接触部位には、例えば魚肉のすり身を塗布して、前斜筋片1aおよび中央筋片1bの間に形成された隙間を埋めるようにしてもよい。
【0058】
(3)加工食品本体作製工程C
本工程では、複数の加工食品部材10a、10bどうしを隣接位置させ、加工食品部材10a、10bの間に横断筋片1cを嵌め込んで加工食品本体10を作製する。
【0059】
加工食品部材10a,10bおよび横断筋片1cの接触部位には、例えば魚肉のすり身を塗布して、加工食品部材10a,10bおよび横断筋片1cの間に形成された隙間を埋めるようにしてもよい。
【0060】
(4)成膜工程D
本工程では、加工食品本体10の表面に表皮膜部20を成膜する。
本実施形態では、表皮膜部20としてアルギン酸カルシウムのゲル膜を作製する場合は、加工食品本体10を10%程度の塩化カルシウム水溶液に浸漬した後、0.5%程度のアルギン酸ナトリウム水溶液に浸漬する。これにより、加工食品本体10の表面にアルギン酸カルシウムのゲル膜を形成することができる。
また、表皮膜部20として羊腸を使用する場合は、加工食品本体10を袋状の羊腸に収容して密封すればよい。
【0061】
尚、上述の態様では、すり身を75℃に加熱して蒲鉾を製造した後に、当該蒲鉾をカットして成形食材片1を作製したが、これに限らず、すり身を所望の型に入れ、50℃程度の加熱で所望の形状にゲル化させた成形食材片1の複数を組み合わせて加工食品本体10を形成した後、75℃以上の加熱を行ってもよい。
また、加熱方法は、蒸す、湯煎、あぶり焼き、油で揚げる等、公知の手法を適宜選択して行える。さらに、上述した成膜工程Dは省略してもよい。
【実施例】
【0062】
〔実施例1〕
動物としてエビを選択し、本発明の加工食品Xであるエビ様加工食品を作製するに際し、エビの筋肉構造を調べた。
【0063】
エビ(クルマエビ科クルマエビ)の頭部と殻を除去し凍結乾燥後、X線CT装置(ヤマト科学、TDM1000−IW)を使用してX線撮影した。当該撮影は、X線管電圧60000KV、X線管電流0.008mAの条件で行なった。結果を図3((a)横断面、(b)水平縦断面、(c)正中線縦断図)に示した。図3には、前斜筋(後部前斜筋)a、中央筋b、横断筋cの位置を示してある。
【0064】
〔実施例2〕
画像処理ソフトを使用して、上記三種類の筋肉構造の立体構造を解析した。画像処理ソフトはVGStudio MAX2.1(日本ビジュアルサイエンス社製)を使用した。
【0065】
まず、実施例1で撮影した試料エビの画像に基づいて、三種類の筋肉構造ごとに色分けを行ない(図5(a))、当該筋肉構造の3D化を行なった(図5(b))。次に、3D化した筋肉構造をそれぞれの筋肉ごとに分解した(前斜筋a:図5(c)、中央筋b:図5(d)、横断筋c:図5(e))。
図5(c)〜(d)には、それぞれの筋肉構造の側面図および当該筋肉構造の全体または一部の上面図(四角で囲った図)を示した。これらより、各筋肉構造は以下の構造を有していると認められた。
【0066】
前斜筋a(図5(c))は、長尺状(棒状)であり、全体に湾曲した形状を呈していた。また、複数の前斜筋aが集合してエビの腹部の形状を形作っているものと認められた。
中央筋b(図5(d))は、概ね、開口を有するドーナツ状のブロックが連なった形状を呈していた。当該開口には、他の筋肉構造(例えば前斜筋a)が入り込んでいた。
横断筋c(図5(e))は、概ね、ブロック状となっていた。
【0067】
〔実施例3〕
蒲鉾を使用して、加工食品本体10を作製した。
【0068】
蒲鉾は、以下のようにして作製した。
スケソウダラの冷凍すり身を冷蔵庫で一晩置き解凍した。包丁で約1cm角に切断した。すり身の2割の重量の冷水を加え、フードプロセッサーで1分間混合した。全体の重量の3%の食塩を加え、フードプロセッサーで1分半混合した。パウチに入れ、沸騰水で約10分間加熱した。加熱終了後、流水で急冷し、蒲鉾を作製した。
【0069】
実施例2で判明した各筋肉構造を参考に、ナイフを使用して蒲鉾を成形し、成形食材片1(前斜筋片1a、中央筋片1bおよび横断筋片1c)を作製した(図1)。
このようにして作製した成形食材片1のうち、中央筋片1bに形成した開口部pに前斜筋片1aを嵌通させて二つの加工食品部材10a,10bを形成した。二つの加工食品部材10a,10bを重ねて、横断筋片1cが中央筋片1bと中央筋片1bとの間に配置されるように、横断筋片1cを二つの加工食品部材10a,10bの間に形成された空隙に嵌め込むようにして組み付け、加工食品本体10を作製した(図1,6)。
【0070】
〔実施例4〕
実施例3で作製した加工食品本体10の表面に表皮膜部20を形成した。
【0071】
当該加工食品本体10を10%塩化カルシウム水溶液に1分浸漬した後、0.5%アルギン酸ナトリウム水溶液に3分浸漬した。これにより、加工食品本体10の表面にアルギン酸カルシウムのゲル膜を形成した(図2)。
【0072】
〔実施例5〕
上述のように作製した加工食品X(エビ様加工食品)について圧縮破断強度を測定した。
【0073】
破断強度曲線は、圧縮破断強度を測定することによって得られた測定値を基に作成することができる。圧縮破断強度は、例えば物質の力学的性状を測定する装置であるレオメータによって測定できる。当該レオメータは、圧縮破断強度、引張り強度、切断強度、弾性、粘弾性、脆さ、粘着性、応力緩和、クリープ等の測定が可能な測定機器である。
【0074】
当該破断強度曲線は、レオメータに備えてあるプランジャーを、測定対象物である食材に進入させ、予め定めた単位時間又は単位距離毎に食材の押圧・破断に伴いプランジャーに掛かる荷重を連続して測定し、プランジャー進入率(歪率(%))およびプランジャーに付加した圧縮荷重(N)の関数として得ることができる。
【0075】
即ち、プランジャーを測定対象物である食材に進入させて破断強度曲線に明確なピークが得られるということは、食材の摂食者が感じる歯ごたえなどの食感を感じているものと見なすことができる。例えば、破断強度曲線に複数の明確なピークが得られた場合、その食材に対して摂食者は咀嚼にメリハリを感じることができるため、弾力性のある好ましい食感が得られる食材であると見なすことができる。
【0076】
食材に対してプランジャーを進入させる部位は特に限定されるものではないが、例えば食材のうち、咀嚼しやすい部位、或いは、最も肉厚がある部位とすれば、実際に摂食者が咀嚼したときの食感を破断強度曲線に反映し易くなると考えられる。このような部位としては、食材がエビである場合は、腹部二節の中心部とするのがよい(図3)。
【0077】
例えばエビは2分程度の煮沸により、筋肉タンパク質が変性して食感が良好となることが知られている。この状態ではコラーゲンの加水分解が進行していない状態であるため、筋原繊維を束ねた膜である筋基質の構造が維持される。よって、食材の表面組織および筋繊維構造の崩壊が抑制され、優れた食感を有している。
従って、本発明のエビ様加工食品Xの構造が、短時間で煮沸処理を行った後の筋基質タンパク質の構造と同様な特性を有すると認められれば、当該エビ様加工食品Xがより一層本物に近い食感が得られるものと見なせる。
【0078】
試料エビ(実施例1で使用した生エビ(比較例1)、2分間ボイルした試料エビ(比較例2))の組織強度をレオメータ(株式会社山電製、REII―33005、ロードセル2Kgf用)によって測定し、破断強度曲線を作成した。レオメータは、3mm径の円柱型プランジャーを備え、試料台移動速度1mm/秒の条件で、試料エビの腹部二節目中心部に対して左側面から右側面に向けてプランジャー進入率99%となるまで圧縮荷重を連続付加した。結果を図7(a),(b)に示した。
【0079】
非加熱の試料エビ(比較例1)では、破断強度曲線において、歪率(プランジャー進入率)45%付近、55%付近において大きなピークが確認された(図7(a))。特に歪率45%付近の位置では、プランジャーに大きな圧縮荷重を付加し、その後、プランジャーに付加した圧縮荷重が減少していることから、当該位置にて試料エビの表皮が破断されたものと認められた。
【0080】
試料エビを沸騰水中に投入して2分間ボイルしたもの(比較例2)では、破断強度曲線において、歪率45%付近、55%付近、65%付近、80%付近において大きなピークが確認された(図7(b))。比較例2では65%付近、80%付近に確認されたピークは、比較例1では確認されなかった。この理由は、試料エビをボイルすることによって筋肉タンパク質が変性したためである。即ち、エビは2分間の煮沸により、適度な食感が得られる硬さを有する筋肉の層が形成されたことになる。図3(a)(横断面)に示した筋肉束と照合すると、歪率45%付近、55%付近、65%付近、80%付近におけるピークは、それぞれ、表皮、(左半身)中央筋b、後部前斜筋a、(右半身)中央筋bを破断したものに対応するピークであると考えられた。このように複数のピークが出現することにより、良好な食感(プリプリ感)が得られる。
【0081】
同様の条件で、蒲鉾(比較例3)、加工食品部材10a(本発明例1:前斜筋片1aおよび中央筋片1b)、加工食品本体10(本発明例2:前斜筋片1a、中央筋片1bおよび横断筋片1c)、表皮膜部20を形成した加工食品本体10(本発明例3)、のそれぞれについて破断強度曲線を作成した。それぞれの結果を図8(a)〜(d)に示した。
【0082】
未加工の蒲鉾(比較例3:図8(a))では、破断強度曲線において、顕著なピークは確認できなかった。
加工食品部材10a(本発明例1:前斜筋片1aおよび中央筋片1b)では、歪率40%付近において大きなピークが確認された(図8(b))。比較例1,2では歪率45%付近で大きなピークが認められたことを鑑みると、本発明例1が有する食感と、比較例1,2が有する食感とは近い食感、特に最初に噛んだときの食感が似たものとなる。
【0083】
加工食品本体10(本発明例2:前斜筋片1a、中央筋片1bおよび横断筋片1c)では、歪率40%付近、55%付近、70%付近においてピークが確認された(図8(c))。比較例1,2では歪率45%付近、55%付近、65%付近で大きなピークが認められたことを鑑みると、本発明例2が有する食感は、比較例1,2が有する食感により近づいた食感が得られたと認められた。
本発明例2では、本発明例1より一つ多い成形食材片1(横断筋片1c)を使用しているため、破断強度曲線において本発明例1より多くのピークを有することとなり、本発明例1より咀嚼時のメリハリを明確に感じることができるものと認められた。
【0084】
加工食品本体10(本発明例3:表皮膜部20を形成)では、歪率30%付近、50%付近、70%付近、80%付近においてピークが確認された(図8(d))。比較例2では歪率45%付近、55%付近、65%付近、80%付近で大きなピークが認められたことを鑑みると、本発明例3が有する食感は、比較例2が有する食感により一層近づいた食感が得られたと認められた。
特に、本発明例3では表皮膜部20を形成しており、この表皮膜部20を破断したときに得られた最初のピーク(歪率30%付近)がエビの表皮に対応する食感を有するものと認められた。よって、本発明例3は、本発明例1,2より咀嚼時のメリハリをより一層明確に感じることができるものと認められた。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、食材を成形して作製され、本物の動物肉に近い食感が得られる加工食品およびその製造方法に利用できる。
【符号の説明】
【0086】
X 加工食品
1 成形食材片
1a 前斜筋片
1b 中央筋片
1c 横断筋片
10 加工食品本体
10a、10b 加工食品部材
20 表皮膜部
p 開口部
A 成形食材片作製工程
B 加工食品部材作製工程
C 加工食品本体作製工程
D 成膜工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を成形したゲル状の成形食材片を複数備え、複数の形状を有する前記成形食材片を組み付けた加工食品本体を有する加工食品。
【請求項2】
前記加工食品本体は、一の成形食材片に形成した開口部に他の成形食材片を嵌通させて構成した加工食品部材を有する請求項1に記載の加工食品。
【請求項3】
前記加工食品本体の表面に形成した表皮膜部を有する請求項1又は2に記載の加工食品。
【請求項4】
前記表皮膜部が、アルギン酸カルシウムのゲル膜で形成してある請求項3に記載の加工食品。
【請求項5】
前記加工食品本体は、動物の筋肉構造の配置を模して作製された請求項1〜4の何れか一項に記載の加工食品。
【請求項6】
前記動物がエビである請求項5に記載の加工食品。
【請求項7】
前記加工食品本体は、前記筋肉構造である前斜筋、中央筋、横断筋に対応する位置に、前記成形食材片として、それぞれ前斜筋片、中央筋片、横断筋片を配置させてある請求項6に記載の加工食品。
【請求項8】
前記加工食品本体は、前記中央筋片に形成した開口部に前記前斜筋片を嵌通させて形成した加工食品部材を複数備え、
前記複数の加工食品部材の間に前記横断筋片を嵌め込んである請求項7に記載の加工食品。
【請求項9】
前記食材が水産練製品である請求項1〜8の何れか一項に記載の加工食品。
【請求項10】
前記食材が植物性製品である請求項1〜8の何れか一項に記載の加工食品。
【請求項11】
食材を加工して、エビの筋肉構造である前斜筋、中央筋、横断筋に対応するゲル状の成形食材片として、それぞれ前斜筋片、中央筋片、横断筋片を作製する成形食材片作製工程と、
前記中央筋片に形成した開口部に前記前斜筋片を嵌通させた複数の加工食品部材を作製する加工食品部材作製工程と、
複数の前記加工食品部材どうしを隣接位置させ、前記加工食品部材どうしの間に前記横断筋片を嵌め込んで加工食品本体を作製する加工食品本体作製工程と、
前記加工食品本体の表面に表皮膜部を成膜する成膜工程と、を有する加工食品製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−94079(P2013−94079A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237681(P2011−237681)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(507152970)公益財団法人東洋食品研究所 (14)
【Fターム(参考)】