説明

加水分解的に安定した赤外線吸収剤を含む中間層

本発明は、高水分によって引き起こされる加水分解効果に耐えるために処理された赤外線吸収剤、これらの薬剤を含む中間層、およびこれらの中間層を含む様々な多層ガラスパネルを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線吸収剤を含むポリマーシートおよび多層ガラスパネルの分野に存在し、より詳しくは、本発明は、加水分解劣化に耐えながら、選択的に赤外線を吸収する赤外線吸収剤を含む、ポリマーシートおよび多層ガラスパネルの分野に存在する。
【背景技術】
【0002】
ポリ(ビニルブチラール)(PVB)は、安全ガラスまたはポリマー積層板などの、光透過性積層板における中間層として使用し得るポリマーシートの製造において、通常使用される。安全ガラスは、しばしば、ガラスの2枚のシートの間に設置されたポリ(ビニルブチラール)シートを含む透明な積層板のことを意味する。安全ガラスは、しばしば、建築物および自動車の開口部における透明な仕切りを提供するために使用される。この主たる機能は、物体の衝撃によって引き起こされるエネルギーなどのエネルギーを、開口部またはガラス破片の分散体を貫通させることなく吸収し、こうして、閉じ込められた領域内に存在する物体または人に与える損傷または外傷を最小にすることである。また、安全ガラスは、音響ノイズを減衰させること、紫外線および/または赤外線透過を低減させること、および/または窓の開口部の外観および美的魅力を向上させることなどの、別の有益な効果を提供するために使用することもできる。
【0003】
多くの用途において、選択された用途のための適切な物理的性能特性を有するのみならず、製品の最終用途に特に適した光透過特性を有する安全ガラスを使用することが望ましい。例えば、改善された熱特性を提供するために、積層安全ガラスを通過する赤外線透過を制限することが、しばしば望ましいことになる。
【0004】
赤外線、および特に近赤外線の透過を低減させる能力は、多層ガラスパネル、および特に自動車および建築用途において使用される安全ガラス用の多層ガラスパネルの、特に望ましい特性であり得る。赤外線の透過を低減させることは、閉じられた空間内のこのような放射によって発生される熱を低減させる結果になり得る。
【0005】
多くの例が、多層ガラスパネルを透過する赤外線透過を低減させるための組成物および方法の技術分野に存在する。しかし、これらの多くは、基本的な製造技法の変更、最終の多層製品に対する層の追加、あるいは高価な、または赤外線に加えて望ましい可視光線を遮蔽する薬剤の取入れを必要とする。
【0006】
さらに、水分のポリマーシートへの浸入が比較的速い速度で生じる用途において、例えば、剥き出しの端または2層の用途において、水分は赤外線吸収剤の加水分解を引き起こし、これによりこれらの薬剤の赤外線吸収能力を低減させることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光学品質に悪影響を及ぼすことなく安定性を付与するために、赤外線吸収剤を含む多層ガラスパネル、および特にポリ(ビニルブチラール)層を含む多層ガラスパネルの特性を向上させるさらに改善された組成物および方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、高水分によって引き起こされる加水分解効果に耐えるために処理された赤外線吸収剤、これらの薬剤を含む中間層、およびこれらの中間層を含む様々な多層ガラスパネルを含む。
【0009】
(詳細な記述)
本発明には、赤外線吸収剤および中間層におけるこれらの使用、ならびに例えば自動車用風防ガラスおよび建築用途において使用することができる、これらの中間層を含む多層ガラスパネルが含まれる。本明細書において開示されるように、以下で詳細に説明されることになる、耐湿性被覆内部に配置される赤外線吸収コアを含む赤外線吸収剤は、多層ガラスパネル用途において使用するための中間層または中間層内部における層として有用であるポリマーシート内にまたはポリマーシート上に取り入れられる。以下で詳細に説明されるように、本発明のポリマーシートは、適切ないずれのポリマーでも含むことができ、好ましい実施形態においては、ポリマーシートはポリ(ビニルブチラール)を含む。
【0010】
赤外線を低減させるための当技術分野におけるこれまでの試みには、様々な赤外線反射層(例えば、米国特許文書第6391400号、第5245468号および第2002/0150744号を参照されたい。)またはポリマー層の上または内部に分配された様々な赤外線吸収剤(例えば、米国特許文書第6737159号、第6506487号、第6620782号、第6673456号、第2002/0054993号、第2003/0094600号、第2003/0122114号、第2003/0054160号、および第6620872号ならびに国際特許出願WO02/077081を参照されたい。)を使用することが含まれる。しかし、個別の赤外線反射層を使用するには、時間の掛かる非効率な処理ステップが必要となる可能性があり、一方で赤外線吸収剤を使用する場合は、いくつかの困難が提示される可能性があり、困難の中の1つは、ポリマー層中に水分が浸入するために、薬剤が徐々に加水分解し、その結果劣化することである。水の浸入問題は、2層および曝露された端のある積層板などの用途において特に切実である可能性がある。
【0011】
本発明は、中間層における1つまたは複数のポリマー層、および特にポリマーシートの内部または上に分布させることができる赤外線吸収剤を含む。耐湿性被覆内部に配置された赤外線吸収コアを有する、本発明の赤外線吸収剤は、従来のいずれの中間層用途においても使用することができ、過剰な水分浸入が生じる用途において特に有用である。本発明の耐湿性被覆は、赤外線吸収コアを水分の有害な影響から効果的に保護し、これにより、赤外線吸収コアを安定化させ、長期にわたる効果的な赤外線保護を中間層用途に提供するものである。
【0012】
本発明の赤外線吸収剤の一実施形態の断面の概略を表す図1において、全体が10で示されているように、赤外線吸収コア12は、耐湿性被覆14の内部に配置されている。赤外線吸収コア12は、形状においてほぼ球形であり得るが、非球形、例えば卵形または変則的な球形であることもできる。
【0013】
本発明の赤外線吸収剤は、中間層の1つまたは複数層の上にまたは内部に配置することができる。様々な実施形態において、赤外線吸収剤は、中間層内に取り入れられるポリマーシートの上にまたは内部に配置される。これらの実施形態において、中間層は、単一ポリマーシートのみを含むことができる、またはポリマーシートを含む多層中間層であり得る。使用される多層中間層における実施形態は、当技術分野において知られているものを含み、例えば、これに限らないが、単一中間層を形成するために共に積層されている2つ以上のポリマーシートを有する中間層、および1つまたは複数のポリマーフィルムにより共に積層されている1つまたは複数のポリマーシートを有する中間層を含み、これらの中間層は以下で詳細に説明されることになる。これらの実施形態のいずれにおいても、赤外線吸収剤は、ポリマーシートおよびポリマーフィルムを含む層の、いずれか1つまたは複数の上にまたは内部に配置され、様々な層は、同一であることもまたは異なっていることもできる。さらに、多層の上にまたは内部に配置される赤外線吸収剤は、同一であることもまたは異なっていることもでき、単一の薬剤または2つ以上の薬剤の混合物を含むことができる。
【0014】
例示的な多層中間層構成体は、以下の:
(ポリマーシート)
(ポリマーシート/ポリマーフィルム/ポリマーシート)
を含み、式中、nは1から10であり、様々な実施形態において5未満であり、pは1から5であり、様々な実施形態において3未満である。
【0015】
本発明の中間層は、多層ガラスパネルに取り入れられ得るものであり、様々な実施形態において、ガラスの2つの層の間に取り入れられる。このような構成体の用途には、特に、自動車用風防ガラスおよび建築用ガラスが含まれる。
【0016】
中間層が、ガラスの2つの層の間に配置されている実施形態において、本発明の赤外線吸収剤を取り入れた本発明の中間層は、多層ガラスパネルの端が、自動車用風防ガラスおよび横窓の場合のように環境に曝露されている場合、特に有用である。
【0017】
本発明の別の実施形態において、赤外線吸収剤を含む中間層は、2層において使用される。本明細書において、2層は、中間層が上に配置されている、ガラスまたはアクリル樹脂などの剛性基板を備えた多層構成体である。代表的な2層構成体は:(ガラス)//(ポリマーシート)//(ポリマーフィルム)である。本発明の赤外線吸収剤は、曝露されたポリマーフィルムは、通常、水分がポリマーフィルムを通過してポリマーシート中に浸入することを可能にするので、2層にとって特に有用である。2つの剛性基板を有する用途と同様に、2層実施形態は、同一であることも異なることもできる1つまたは複数の層の上または内部に配置される1つまたは複数の赤外線吸収剤を有することができる。2層構成体には、例えば、これに限らないが:
(ガラス)//((ポリマーシート)//(ポリマーフィルム))
(ガラス)//(ポリマーシート)//(ポリマーフィルム)
が含まれ、式中、hは1から10であり、様々な実施形態において3未満であり、gは1から5であり、様々な実施形態において3未満である。
【0018】
さらなる実施形態において、まさに記載された中間層は、破片防御物(例えばこれに限らないが:
(多層ガラスパネル)//((ポリマーシート)//(ポリマーフィルム))
(多層ガラスパネル)//(ポリマーシート)//(ポリマーフィルム)
式中、hは1から10であり、様々な実施形態において3未満であり、gは1から5であり、様々な実施形態において3未満である。)としての役割を果たすために、多層ガラスパネルの片方の面に追加することができる。
【0019】
耐湿性被覆内部に配置された赤外線吸収コアを有する、本発明の赤外線吸収剤に加えて、1つまたは複数の従来からの赤外線吸収剤または赤外線反射層は、本発明の中間層内に取り入れることができる。
【0020】
様々な実施形態において、ソーラーコントロールガラス(ソーラーガラス)が、本発明の1つまたは複数の多層ガラスパネル用に使用される。ソーラーガラスは、ガラスの光学品質を改善するために、1つまたは複数の添加剤を取り入れる、従来のいずれかのガラスであってよく、特に、ソーラーガラスは、近赤外線および紫外線などの放射の望ましくない波長が透過するのを低減させるまたは無くすように、典型的に開発されることになる。ソーラーガラスは、また、着色することができ、いくつかの用途では、可視光線の透過の望ましい低減をもたらす。本発明において有効なソーラーガラスの例は、ブロンズガラス、ニュートラルグレーガラス、ローイーガラス、および米国特許第6737159号および第6620872号において開示されているものを含めて、当技術分野において知られているソーラーガラスパネルである。下記のごとく、ガラス以外の剛性基板を、使用することができる。
【0021】
本発明の様々な実施形態において、本発明の赤外線吸収コア/耐湿性被覆剤は、ポリマーシートおよび/またはポリマーフィルム上または内部において分配されている。赤外線吸収コア/耐湿性被覆剤の濃度は、特別の用途の要求に適するように調節することができる。一般に、シートを透過する可視光線の透過を容認できないほど低減させることなく、シートに所望の赤外吸光度を付与するのに十分な、赤外線吸収コア/耐湿性被覆剤の量が添加されることになる。本発明の様々な実施形態において、赤外線吸収コア/耐湿性被覆剤は、ポリマーシートの百万当たり10から50部(重量ppm)、25から250ppm、20から200ppm、40から200ppm、または50から150ppmである。
【0022】
本発明の赤外線吸収剤は、電磁スペクトルの赤外領域において選択的に光を吸収する。本明細書においては、波長の特定の領域において光を「選択的に吸収する」薬剤は、この薬剤が、スペクトルのこの特定の領域においては光を大いに吸収するが、スペクトルの他の領域においても同様に大いに光を吸収することはないことを意味する。様々な実施形態において、赤外線吸収コア/耐湿性被覆剤を含む本発明のポリマーシートは、700ナノメートルと2000ナノメートルの間の赤外線の、少なくとも5%、少なくとも15%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%または少なくとも90%を吸収し、同時に可視光線の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%を透過させる。
【0023】
(赤外線吸収コア)
様々な実施形態において、赤外線吸収コアは、図1において示された球形の実施形態に関して「d」として示されている、最も広い寸法の直径で1000ナノメートル(nm)未満、750ナノメートル未満、500ナノメートル未満、300ナノメートル未満、200ナノメートル未満、100ナノメートル未満、75ナノメートル未満、または20ナノメートル未満であり得る。様々な実施形態において、赤外線吸収コアは、中間層における個々の粒子全体の少なくとも80%、90%、95%、99%、または100%について、最も広い場所で、上記の幅以下であり得る。すなわち、いくつかの実施形態において、粒子の大半またはほとんどすべては所定の範囲に入り、いくつかの粒子は所定の範囲より大きいことになる。当業者には、材料の選択だけでなく、赤外線吸収コアの寸法および耐湿性被覆の厚さは、用途および所望の波長の吸収に適合するように決定できることが理解されよう。
【0024】
赤外線吸収コアは、中間層において赤外線を吸収するために通常使用される、適切な寸法および形状の粒子に形成することができる、および選択された耐湿性被覆と親和性のある、いかなる組成物をも含むことができる。使用することができる組成物の例には、これに限らないが、六ホウ化ランタン(LaB6)、酸化スズ、アンチモンスズ酸化物、酸化タングステンの合金、ドープされた酸化亜鉛、インジウムスズ酸化物、およびこれらの混合物が含まれる。一実施形態において、赤外線吸収コアは六ホウ化ランタンを含む。様々な実施形態において、赤外線吸収コアは、米国特許文書第6506487号、第6620872号、第6673456号、第2002/0054993号、第2003/0094600号、第2003/0122114号、第2003/0054160号、および第6620872号、ならびに国際特許出願WO02/077081において開示されている従来からの赤外線吸収剤を含む。
【0025】
本発明の赤外線吸収コアは、当技術分野において知られている、いずれかの従来法によって、製造することができる。様々な実施形態において、ナノ寸法の赤外線吸収コアは、ビーズ粉砕法を使用することによって形成される。
【0026】
(耐湿性被覆)
本発明によれば、図1において14として示されている耐湿性被覆は、赤外線吸収コアおよび赤外線吸収剤が上または中に分散させられているポリマー層と親和性があり、これに限らないが、二酸化ケイ素、フルオロシラン、およびn−アルケン基を有するシラン(例えば、米国特許出願第20050161642号を参照されたい。)を含む、適切ないずれの耐湿性組成物をも含むことができる。
【0027】
本発明の赤外線吸収コアは、シランタイプの処理剤、クロロシランなどのケイ素を含有する表面処理剤、分子構造内に少なくとも1つのアルコキシル基を有する無機処理剤、および側鎖において分子の末端に少なくとも1つのアルコキシル基を有する有機処理剤により、被覆することができる。一般に、これらの薬剤は、水分の浸透を防止することができる疎水性物質である。これらの耐湿性被覆は、表面処理剤に含有されるケイ素に換算して、赤外線吸収コア1重量部に対して0.01から100重量部の割合であり得る。
【0028】
シラザンタイプの処理剤もまた使用することができ、この処理剤は、赤外線吸収コア、特に六ホウ化ランタン粒子と非常に強く反応することができるので、この粒子の表面上で六ホウ化ランタン粒子と共有結合を形成して、六ホウ化ランタン粒子の表面を覆うことができる。加えて、シラザンは、親油性であり、小さな分子構造を有するので、粒子表面を緻密に覆い、最外殻を疎水性にすることができる。シラザンタイプの処理剤は、ヘキサメチルジシラザン、環状シラザン、N,N−ビス(トリメチルシリル)尿素、N−トリメチルシリルアセトアミド、ジメチルトリメチルシリルアミン、ジエチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール、およびN−トリメチルシリルフェニル尿素を特に含むことができる。また、これらのまたはこれらのポリマーのいずれの水解物でも、使用することができる。
【0029】
クロロシランタイプの処理剤のクロロ基もまた六ホウ化ランタン粒子と、この粒子の表面上で共有結合を形成し得る。クロロシランタイプの処理剤は、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、トリフルオロプロピルトリクロロシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン、およびビニルトリクロロシランを含むことができる。これらのまたはこれらのポリマーのいずれの水解物でもまた使用することができる。
【0030】
分子構造内に少なくとも1つのアルコキシル基を有する無機処理剤もまた、これらのアルコキシル基を介して赤外線吸収コア、特に六ホウ化ランタン粒子と、粒子表面上で共有結合を形成することができる。無機処理剤は、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ−)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドオキシプロピルトリエトキシ−シラン、γ−グリシドオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミンエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシ−シラン、N−β−(アミンエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメタ−オキシシラン、およびγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを特に含むことができる、シランタイプのカップリング剤を含むことができる。この無機処理剤は、さらにアルコキシシラン表面処理剤として分類される以下の化合物−テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、およびヘプタデカトリフルオロデシルトリメトキシシランを含むことができる。また、これらのまたはこれらのポリマーのいずれの水解物でも使用することができる。
【0031】
分子末端にまたは側鎖内に少なくとも1つのアルコキシル基を有する、主鎖がエポキシ、アクリル、またはウレタンなどの親油性ハイポリマーである有機処理剤もまた有効である。アルコキシル基は、赤外線吸収コア、特に六ホウ化ランタン粒子と、粒子の表面上で共有結合を形成する。
【0032】
耐湿性被覆14は、図1において示された球形の実施形態において「t」として示された、すなわち、様々な実施形態において2から100ナノメートル、3から50ナノメートル、4から10ナノメートル;または100ナノメートル未満、50ナノメートル未満、25ナノメートル未満、12ナノメートル未満、10ナノメートル未満、8ナノメートル未満、6ナノメートル未満、4ナノメートル未満、または2ナノメートル未満である、厚さを有することができる。様々な実施形態において、耐湿性被覆は、ポリマーシートにおける個々の赤外線吸収剤粒子のすべての、少なくとも80%、90%、95%、99%、または100%について、被覆の最も厚い場所において上記の厚さ以下のいずれかを有することができる。すなわち、いくつかの実施形態において、粒子の大半またはほとんどすべては所定の範囲に入り、いくつかの粒子は所定の範囲より大きいことになる。
【0033】
耐湿性被覆は、当技術分野において知られている従来のいずれのやり方でも、赤外線吸収コア上に形成することができ、従来法には、これに限らないが、赤外線吸収コア、および特に六ホウ化ランタン粒子が、適切な溶媒中に分散させられ、次いで表面処理剤が、適切な温度で添加され、混合されて赤外線吸収コア表面と反応し、このコア表面を被覆する、湿式法が含まれる。別法として、表面処理剤は、粉末形態の赤外線吸収コア上に噴霧され、乾燥され、次いで加熱されて、粒子を被覆することができる。
【0034】
様々な実施形態において、本発明の赤外線吸収コア/耐湿性被覆剤は、可視光線を大幅に吸収することなく、赤外線を吸収することになる。
【0035】
(ポリマーフィルム)
本明細書において使用される、「ポリマーフィルム」は、性能を向上させる層として機能する、比較的薄い、剛性ポリマー層を意味する。本明細書において、ポリマーフィルムは、これ自体で、必要な耐貫通性およびガラス保持特性を多層グレージング構造体にもたらすものではなく、どちらかと云えば、赤外線吸収特性などの性能改善をもたらすものであるという点で、ポリマーシートとは異なる。ポリ(エチレンテレフタレート)が、ポリマーフィルムとして最も普通に使用される。
【0036】
様々な実施形態において、ポリマーフィルム層は、0.013mmから0.20mm、好ましくは0.025mmから0.1mm、または0.04mmから0.06mmの厚さを有する。ポリマーフィルム層は、場合により表面処理または被覆されて、接着または赤外線反射などの、1つまたは複数の特性を改善することができる。これらの機能遂行層には、例えば、太陽に曝された場合、赤外太陽放射を反射させ、可視光線を透過させるための多層積層体が含まれる。この多層積層体は、当技術分野において知られており(例えば、WO88/01230および米国特許第4799745号を参照されたい。)、例えば、1オングストロームの厚さの1つまたは複数の金属層および順番に堆積された、光学的に共同する1層または複数(例えば2層)の誘電体層を含むことができる。知られているように(例えば、米国特許第4017661号および第4786783号を参照されたい。)、金属層(複数可)は、付随するいずれのガラス層をも、霜取りまたは曇り除去するために、場合により電気抵抗加熱することができる。
【0037】
本発明で使用することができる、米国特許第6797396号に記載の、ポリマーフィルムのさらなるタイプは、金属層により引き起こされる可能性のある干渉を生じさせることなく、赤外線を反射させる機能を果たす、多数の非金属層を含む。
【0038】
いくつかの実施形態において、ポリマーフィルム層は、光学的に透明であり(すなわち、層の一方の側に隣接する物体を、別の側からこの層を通して見る、ある特定の観察者の目が、快適に見ることができる。)、組成に拘わらず、隣接するいずれのポリマーシートの引張り係数よりも大きな、いくつかの実施形態においてはかなり大きな、引張り係数を通常有する。様々な実施形態において、ポリマーフィルム層は、熱可塑性材料を含む。適切な特性を有する熱可塑性材料の中には、ナイロン、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、セルロースアセテートおよびトリアセテート、塩化ビニルポリマーおよびコポリマーなどがある。様々な実施形態において、ポリマーフィルム層は、ポリエステル、例えばポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(エチレンテレフタレート)グリコール(PETG)を含む、よく知られた特性を有する再延伸熱可塑性フィルムなどの材料を含む。様々な実施形態において、ポリ(エチレンテレフタレート)が使用され、様々な実施形態において、ポリ(エチレンテレフタレート)は二軸延伸されて強度を向上させ、高温に曝された場合に低収縮特性をもたらすように熱安定化される(例えば、150℃で30分後に、両方の方向で2%未満の収縮)。
【0039】
本発明で使用することができる、ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムに対する様々な被覆および表面処理技法は、公表された欧州出願第0157030号に開示されている。本発明のポリマーフィルムはまた、当技術分野において知られている、ハードコートおよび/またはおよび曇り留め層を含むこともできる。
【0040】
(ポリマーシート)
以下の節では、本発明のポリマーシートを形成するのに使用することができる、ポリ(ビニルブチラール)などの、様々な材料について記載する。
【0041】
本明細書において使用される「ポリマーシート」は、積層グレージングパネルに対して、十分な耐貫通性およびガラス保持特性を与える中間層として使用するのに、単体で、または複数層の積層体として適している薄層に、適切ないずれかの方法により形成される、あらゆる熱可塑性ポリマー組成物を意味する。可塑化ポリ(ビニルブチラール)は、ポリマーシートを形成するのに最も普通に使用される。
【0042】
本明細書において使用される「樹脂」は、酸触媒作用およびその後のポリマー前駆体の中和から生じる混合物から取り出されるポリマー(例えば、ポリ(ビニルブチラール))成分を指す。樹脂は一般に、ポリマーに加えて、アセテート、塩、およびアルコールなどの他の成分を有する。本明細書において使用される「メルト」は、樹脂と可塑剤および場合により他の添加剤との溶融混合物のことをいう。
【0043】
本発明のポリマーシートは、適切ないずれのポリマーをも含むことができ、好ましい実施形態においては、上記で例示されたように、ポリマーシートはポリ(ビニルブチラール)を含む。ポリ(ビニルブチラール)をポリマーシートのポリマー成分として含む、本明細書において示される本発明の実施形態のいずれにおいても、ポリマー成分が、ポリ(ビニルブチラール)からなるまたは本質的になる、別の実施形態が含まれる。これらの実施形態において、本明細書において開示される、可塑剤を含む添加剤の変形形態のいずれでも、ポリ(ビニルブチラール)からなるまたは本質的になるポリマーを有するポリマーシートで使用することができる。
【0044】
一実施形態において、ポリマーシートは、部分的にアセタール化されたポリ(ビニルアルコール)を基材とするポリマーを含む。別の実施形態において、ポリマーシートは、ポリ(ビニルブチラール)、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ(エチレン酢酸ビニル)、これらの組合せなどからなる群から選択されるポリマーを含む。さらなる実施形態において、ポリマーシートは、ポリ(ビニルブチラール)および1種または複数種の別のポリマーを含む。適切なガラス転移温度を有する別のポリマーもまた使用することができる。ポリ(ビニルブチラール)に関して(例えば、これに限らないが、可塑剤、成分のパーセンテージ、厚さ、および特性向上添加剤に関して)、好ましい範囲、値、および/または方法が具体的に与えられる、本明細書における節のいずれにおいても、これらの範囲はまた、該当する場合は、ポリマーシートにおける成分と同じように有用な、本明細書において開示される、別のポリマーおよびポリマーブレンドにも当てはまる。
【0045】
ポリ(ビニルブチラール)を含む実施形態において、ポリ(ビニルブチラール)は、ポリ(ビニルアルコール)(PVOH)を酸触媒の存在下においてブチルアルデヒドと反応させ、次いで触媒の中和、分離、安定化、および樹脂の乾燥を行うことを含む、知られているアセタール化法により製造することができる。
【0046】
様々な実施形態において、ポリ(ビニルブチラール)を含むポリマーシート樹脂は、ポリ(ビニルアルコール)として計算された10から35重量%(wt.%)のヒドロキシル基、またはポリ(ビニルアルコール)として計算された13から30wt.%のヒドロキシル基、またはポリ(ビニルアルコール)として計算された15から22wt.%のヒドロキシル基を含む。ポリマーシート樹脂はまた、15wt.%未満の残留エステル基、13wt.%、11wt.%、9wt.%、7wt.%、5wt.%、または3wt.%未満の、ポリ酢酸ビニルとして計算された残留エステル基を含むことができ、残りは、アセタール、好ましくはブチルアルデヒドアセタールであるが、場合により、少量の別のアセタール基、例えば、2−エチルヘキサナール基を含む(例えば、米国特許第5137954号を参照されたい。)。
【0047】
様々な実施形態において、ポリマーシートは、少なくとも30000、40000、50000、55000、60000、65000、70000、120000、250000の分子量、または少なくとも1モル当たり350000グラム(g/モルまたはダルトン)を有するポリ(ビニルブチラール)を含む。また、ジアルデヒドまたはトリアルデヒドの少量を、アセタール化ステップの間に添加して、分子量を少なくとも350g/モルに増大させることができる(例えば、米国特許第4902464号、第4874814号、第4814529号および第4654179号を参照されたい。)。本明細書において使用される用語、「分子量」は、重量平均分子量を意味する。
【0048】
酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、およびマグネシウム塩を含む、様々な接着制御剤は、本発明のポリマーシートにおいて使用することができる。本発明のこれらの実施形態で使用することができるマグネシウム塩は、これに限らないが、米国特許第5728472号に開示されているものであり、サリチル酸マグネシウム、ニコチン酸マグネシウム、ジ−(2−アミノ安息香酸)マグネシウム、ジ−(3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸)マグネシウム(magnesium di−(3−hydroxy−2−napthoate))、およびマグネシウムビス(2−エチルブチレート)(ケミカルアブストラクト番号7992−76−0)などが含まれる。本発明の様々な実施形態において、マグネシウム塩はマグネシウムビス(2−エチルブチレート)である。
【0049】
他の添加剤を、ポリマーシート中に取り入れて、最終製品の性能を向上させることができる。当技術分野において知られているこのような添加剤には、これに限らないが、染料、顔料、安定剤(例えば、紫外線安定剤)、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、赤外線吸収剤、難燃剤、前述の添加剤の組合せなどが含まれる。
【0050】
本発明のポリマーシートの様々な実施形態において、ポリマーシートは、樹脂100部当たり(phr)、20から60、25から60、20から80、10から70、または10から100部の可塑剤を含むことができる。無論、特定の用途に対して適切な別の量を、使用することができる。いくつかの実施形態において、可塑剤は、20個未満、15個未満、12個未満または10個未満の炭素原子の、炭化水素セグメントを有する。
【0051】
可塑剤の量は、ポリ(ビニルブチラール)シートのガラス転移温度(T)に影響するように調節することができる。一般に、可塑剤のより多くの量が添加されると、Tを下げる。本発明のポリ(ビニルブチラール)ポリマーシートは、40℃以下、35℃以下、30℃以下、25℃以下、20℃以下、および15℃以下のTを有することができる。
【0052】
適切ないずれの可塑剤でも、ポリマーシートを形成するために、本発明のポリマー樹脂に添加することができる。本発明のポリマーシートにおいて使用される可塑剤は、特に多塩基酸または多価アルコールのエステルを含むことができる。適切な可塑剤には、例えば、トリエチレングリコールジ−(2−酪酸エチル)、トリエチレングリコールジ−(2−ヘキサン酸エチル)、ジヘプタン酸トリエチレングリコール、ジヘプタン酸テトラエチレングリコール、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、シクロヘキシルアジピン酸ヘキシル、アジピン酸ヘプチルおよびアジピン酸ノニルの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、オイル改質セバシン酸アルキド樹脂などのポリマー可塑剤、および米国特許第3841890号に開示されているようなホスフェートおよびアジペートの混合物、および米国特許第4144217号に開示されているようなアジペート、および前述したものの混合物および組合せが含まれる。使用することができる他の可塑剤は、米国特許第5013779号に開示されているように、CからCのアルキルアルコールおよびCからC10のシクロアルコールから製造された混合アジペート、およびアジピン酸ヘキシルなどのCからCのアジピン酸エステルである。様々な実施形態において、使用される可塑剤は、アジピン酸ジヘキシルおよび/またはトリエチレングリコールジ−2ヘキサン酸エチルである。
【0053】
適切ないずれの方法を用いても、本発明のポリマーシートを製造することができる。ポリ(ビニルブチラール)を製造するための適切な方法の詳細は、当業者に知られている(例えば、米国特許第2282057号および第2282026号を参照されたい。)。一実施形態において、B.E.Wade、Encyclopedia of Polymer Science & Technology、第3版、第8巻、381−399頁(2003年)の、Vinyl Acetal Polymersに記載されている溶媒法を使用することができる。別の実施形態において、その中に記載されている水性法を使用することができる。ポリ(ビニルブチラール)は、様々な形態で、例えば、Solutia Inc.、セントルイス、ミズーリ州、からButvar(商標)樹脂として入手することができる。
【0054】
ポリ(ビニルブチラール)ポリマー、可塑剤、およびいかなる添加剤でも、当業者に知られている方法により、熱的に加工し、シートの形態に作製することができる。ポリ(ビニルブチラール)シートを形成する1つの例示的な方法には、樹脂、可塑剤、および添加剤を含む溶融ポリ(ビニルブチラール)を、このメルトをダイ(例えば、1つの寸法が、これに垂直な寸法より相当に大きい開口部を有するダイ)に強制的に通すことにより、押出し成形することが含まれる。ポリ(ビニルブチラール)シートを形成する別の例示的な方法には、メルトをダイからローラー上に流し出し、樹脂を固化させ、その後で固化された樹脂をシートとして取り出すことが含まれる。様々な実施形態において、ポリマーシートは、例えば、0.1から2.5ミリメートル、0.2から2.0ミリメートル、0.25から1.75ミリメートル、および0.3から1.5ミリメートルの厚さを有することができる。
【0055】
ガラス層を備えた前述のそれぞれの実施形態に関して、適切な場合は、グレージングタイプの材料が、ガラスに代わって使用される別の実施形態が存在する。このようなグレージング層の例には、高いガラス転移温度(例えば、60℃超または70℃)を有する剛性プラスチック(例えば、ポリカーボネートおよびポリアルキルメタクリレート)、および特にアルキル部分に1から3個の炭素原子を有するものが含まれる。
【0056】
本発明の赤外線吸収コア/耐湿性被覆剤は、赤外線吸収コア/耐湿性被覆剤を可塑剤と混合し、次いで、層製品が形成される前に樹脂と溶融ブレンドすることにより、ポリマーシートに容易に添加することができる。別の実施形態において、赤外線吸収コア/耐湿性被覆剤はまた、揮発性溶媒中に分散させ、樹脂粉末と混合させ、次いで溶融および押出し成形することができる。加工の間に生じる高温により揮発性溶媒が蒸発し、ポリマーシート内に分散させられた赤外線吸収コア/耐湿性被覆剤が取り残される。
【0057】
また、任意の組合せで本明細書において開示された本発明のポリマーシートおよび中間層のいずれの積層体または巻いたものも、本発明に含まれる。
【0058】
また、本発明は、本発明の中間層のいずれかを備えた、風防ガラス、窓、およびこの他の完成したグレージング製品を含む。
【0059】
本発明は、本発明の中間層またはガラスパネルを、本明細書に記載の本発明のポリマーシートを用いて形成することを含む、中間層およびガラスパネルを製造する方法を含む。
【0060】
開口部に、例えば、風防ガラスまたはガラスパネル内部に、本発明のポリマーシート構成体のいずれかを配置するステップを含む、前記開口部を通る赤外および/または近赤外線の透過を低減させる方法もまた、本発明の範囲内で本明細書に含まれる。
【0061】
本発明は、本発明の赤外線吸収コア/耐湿性被覆剤のいずれかを、本明細書に記載のポリマーのいずれかのメルトと混合し、次いでポリマーシートを形成することを含む、ポリマーシートの製造方法をさらに含む。
【0062】
様々なポリマーシートおよび/または積層ガラスの特性および測定技法は、本発明で使用するために次に記載する。
【0063】
ポリマーシート、特にポリ(ビニルブチラール)シートの清澄性は、シートを通って透過しない光の数量化である、ヘーズ値を測定することによって求めることができる。パーセントヘーズは、以下の技法に従って測定することができる。ヘーズの量を測定するための装置、ヘーズメータ(Hazemeter)、型式D25(Hunter Associates(レストン、バージニア州)から入手可能)を、2°の観測者視野角でC光源を用い、ASTM D1003−61(再承認 1997年)−Procedure Aに従って使用することができる。本発明の様々な実施形態において、パーセントヘーズは、5%未満、3%未満、および1%未満である。
【0064】
パメル(pummel)接着は、以下の技法に従って測定することができ、ポリマーシートのガラスへの接着を数量化するために、本明細書において「パメル」と呼ぶ場合は、以下の技法を用いてパメルを求める。2層ガラス積層板試料を、標準のオートクレーブ積層条件を用いて調製する。積層板は、約−17℃(0°F)に冷却され、ガラスを砕くために手作業によりハンマーで打たれる。次いで、ポリ(ビニルブチラール)シートに接着していないすべての破損ガラスは除去され、ポリ(ビニルブチラール)シートに接着して残されたガラスの量が、目視により1組の標準と比較される。標準は、様々な程度のガラスが、ポリ(ビニルブチラール)シートに接着して残留する規模に対応する。特に、ゼロのパメル標準においては、ポリ(ビニルブチラール)シートに接着して残っているガラスは存在しない。10のパメル標準においては、ガラスの100%が、ポリ(ビニルブチラール)シートに接着して残っている。本発明の積層ガラスパネルに関して、様々な実施形態が、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも8、少なくとも9、または10のパメルを有する。別の実施形態は、8と10(8と10を含む。)の間のパメルを有する。
【0065】
ポリマーシートの「黄色指数」は、以下に従って測定することができる:本質的に平坦および並行である、滑らかなポリマー表面を有する、厚さ1cmのポリマーシートの透明な、鋳造ディスクを形成する。指数は、ASTM法D1925、「Standard Test Method for Yellowness Index of Plastics」に従って、可視スペクトルの分光光度光透過率から測定する。値は、測定された試料の厚さを用いて、1cmの厚さに補正する。
【0066】
本明細書において使用される「平均粒径」は、分散された粒子の、多数の電子顕微鏡画像を直接測定することによって計算する。
【実施例】
【0067】
(実施例1)
トリエチレングリコールビス(2−ヘキサン酸エチル)可塑剤中に、シリカを被覆した六ホウ化ランタンナノ粒子が分散した分散体が、住友金属鉱山工業株式会社から得られる。
【0068】
この分散体は、トリエチレングリコールビス(2−ヘキサン酸エチル)可塑剤によって、さらに希釈され、被覆された六ホウ化ランタン粒子0.04重量%が、最終の押出し成形シート中に存在していたように、ポリ(ビニルブチラール)樹脂中へ溶融混合される。被覆されていない六ホウ化ランタンナノ粒子0.04重量%を含有するシートは、同じやり方で調製される。両方のシートは、0.76mmの厚さである。
【0069】
2つのポリマーシートが透明ガラス2枚の間で積層される。次いで、積層板は、50℃、95%の相対湿度の環境に6週間曝露される。
【0070】
被覆されていない六ホウ化ランタンを含有するシートから製造された積層板は、積層板の中へ25ミリメートル伸びている、明白な端の消失を示した。スペクトル測定の結果は、加水分解およびその結果生じる六ホウ化ランタン結晶の破壊による六ホウ化ランタンの損失を意味する、1000ナノメートル波長における光吸収が減少することを明白に示した。被覆された六ホウ化ランタンを含有するシートから製造された積層板は、わずか2ミリメートルの非常に軽微なエッジ消失を示した。
【0071】
本発明によって、水分によって引き起こされる劣化に耐える、優れた選択的赤外透過低減特性を有する、ポリ(ビニルブチラール)シートなどの中間層、およびこの他のポリマーシートを提供することが、今や可能である。
【0072】
本発明を例示的な実施形態を参照して説明してきたが、本発明の範囲を逸脱することなく、様々な修正を行うことが可能であり、同等品をこれらの構成要素と置換し得ることを、当業者は理解されよう。加えて、本発明の基本的な範囲を逸脱することなく、多くの変更を加えて、特定の状況または材料を本発明の教示に対して適合させることができる。したがって、本発明は、本発明を実行するために考えられた最良の形態として開示された、特別な実施形態に限定されないこと、および本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入るすべての実施形態を含むことが、意図されている。
【0073】
本発明のあらゆる単一成分に与えられた範囲、値、または特性のいずれでも、交換可能な場合は、本発明の別の成分のいずれかに与えられた、いずれかの範囲、値、または特性と交換して使用し、本明細書全体を通して与えられたような、成分のそれぞれについて定められた値を有する実施形態を形成することができることが理解されよう。例えば、該当する場合は、可塑剤に与えられた範囲のいずれかに加えて、与えられた範囲のいずれかに存在する残留ポリ(ビニルアルコール)を含むポリマーシートを形成し、本発明の範囲内に存在するが、列挙するとすれば面倒なことになる、多くの置換品を形成することができる。
【0074】
要約またはいずれの請求項であっても、この中で与えられたいずれの図の参照番号も、説明の目的だけのものであり、特許請求の範囲に記載されている発明を、いずれかの図に示されたいずれか1つの特定の実施形態に限定するものであると解釈してはならない。
【0075】
図は、特段の指示がない限り縮尺して描かれてはいない。
【0076】
本明細書において参照される、定期刊行物の論文、特許、出願、および書籍を含む、それぞれの参考資料は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】耐湿性被覆内部に赤外線吸収コアを有する、本発明の単一赤外線吸収剤を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐湿性被覆内に配置された赤外線吸収コアを含む赤外線吸収剤を含む中間層。
【請求項2】
ポリ(ビニルブチラール)を含む、請求項1の中間層。
【請求項3】
前記赤外線吸収コアが、500ナノメートル未満の平均直径を有する、請求項1の中間層。
【請求項4】
前記赤外線吸収コアが、200ナノメートル未満の平均直径を有する、請求項1の中間層。
【請求項5】
前記赤外線吸収コアが、100ナノメートル未満の平均直径を有する、請求項1の中間層。
【請求項6】
前記赤外線吸収コアが、六ホウ化ランタン、インジウムスズ酸化物、アンチモンスズ酸化物、ドープされた酸化亜鉛、または酸化タングステンの合金を含む、請求項1の中間層。
【請求項7】
前記赤外線吸収コアが、六ホウ化ランタン、インジウムスズ酸化物、アンチモンスズ酸化物、または酸化タングステンの合金を含む、請求項6の中間層。
【請求項8】
前記赤外線吸収コアが、六ホウ化ランタンを含む、請求項6の中間層。
【請求項9】
前記赤外線吸収コアが、六ホウ化ランタン、ならびにインジウムスズ酸化物、アンチモンスズ酸化物、酸化タングステンの合金、またはインジウムスズ酸化物、アンチモンスズ酸化物、および酸化タングステンの合金の混合物のいずれかを含む、請求項1の中間層。
【請求項10】
前記耐湿性被覆が、2から100ナノメートルの厚さを有する、請求項1の中間層。
【請求項11】
前記耐湿性被覆が、4から10ナノメートルの厚さを有する、請求項1の中間層。
【請求項12】
前記耐湿性被覆が、シランタイプの処理剤、クロロシラン、分子構造内に少なくとも1つのアルコキシル基を有する無機剤、または側鎖内の分子の末端に少なくとも1つのアルコキシル基を有する有機処理剤を含む、請求項1の中間層。
【請求項13】
前記耐湿性被覆が、二酸化ケイ素を含む、請求項1の中間層。
【請求項14】
耐湿性被覆内に配置される赤外線吸収コアを含む赤外線吸収剤を含む中間層を含む多層ガラスパネル。
【請求項15】
2層である、請求項14のパネル。
【請求項16】
曝露された端を有する、請求項14のパネル。
【請求項17】
風防ガラスである、請求項14のパネル。
【請求項18】
ポリマーメルトを提供すること;
耐湿性被覆内に配置される赤外線吸収コアを含む赤外線吸収剤を前記ポリマーメルト中に取り入れること;および
前記メルトを押出し成形して中間層を形成すること
を含む、中間層を製造する方法。
【請求項19】
前記赤外線吸収剤が、前記ポリマーメルトと機械的に混合される、請求項18の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−534287(P2009−534287A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506671(P2009−506671)
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/065810
【国際公開番号】WO2007/121079
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(500276390)ソリユテイア・インコーポレイテツド (43)
【Fターム(参考)】