説明

加湿機能付き空気清浄機

【課題】給水タンク内の水が減ったことを簡単な構成ですぐに把握できる加湿機能付き空気清浄機を提供すること。
【解決手段】空気清浄機1では、空気が、入口8から流路15に取り込まれ、流路15を流れた後に出口9から排出される。空気清浄機1の本体ケース2内には、水が溜められる受皿22が、流路15の下流側を臨むように設けられ、流路15の下流側には、加湿ユニット20が配置されている。加湿ユニット20は、流路15の下流側を流れる清浄化された空気を受皿22の水によって加湿する。受皿22に供給される水を収容する給水タンク21が本体ケース2に対して着脱自在に装着されている。給水タンク21は、受皿22への給水によって内部の水が減るのに伴って本体ケース2の外から目視可能に浮上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、加湿機能付き空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気を取り込み、この空気を加湿して機外へ放出する加湿装置が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の加湿装置では、吸込口および吹出口を有した本体内に、吸込口および吹出口を連通する空気流路が形成され、空気流路には、送風機およびヒータが設けられている。そして、本体の下方部には、給水タンクから給水される水槽が設けられ、水槽には、加湿フィルタが、下部を水槽の水に浸漬した状態で、回転自在に設けられている。
【0003】
特許文献1に記載の加湿装置が運転状態にあるときには、機外の空気が送風機によって吸込口から空気流路へ吸い込まれた後にヒータへ送られ、ヒータで加熱されて温風となる。そして、この温風が、水槽の水に浸されながら回転している加湿フィルタに接触し、加湿フィルタに付着した水によって加湿され、吹出口から機外へ放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−200762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の加湿装置を含め、一般的な加湿機能付き空気清浄機では、給水タンク内の水の水位は、本体に設けられた水位センサ等で検知されており、給水タンク内の水位が所定水位まで下がると、本体に設けられた表示部による表示等によって、給水タンクへの水の補給を促す旨がユーザに報知される。
しかし、この場合には、水位センサや表示部を設けることで構成が複雑になる(換言すればコストがかかる)上、加湿機能付き空気清浄機の電源がOFFになっているときや加湿機能付き空気清浄機を遠くから見たときに給水タンク内の水が減ったことを一見して把握するのは困難である。
【0006】
この発明は、かかる背景のもとになされたもので、給水タンク内の水が減ったことを簡単な構成ですぐに把握できる加湿機能付き空気清浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、空気を取り込むための入口、前記入口から取り込まれた空気が流れる空気流路、および、前記空気流路を流れた空気を排出するための出口が形成された筐体と、前記筐体に備えられ、空気を前記入口から前記空気流路に取り込んで前記出口へ送る送風手段と、前記空気流路に配置され、前記入口から取り込まれた空気を清浄化して前記空気流路下流側へと流す空気清浄化手段と、前記筐体内において、前記空気流路下流側を臨むように設けられ、水が溜められる貯水槽と、前記空気流路の下流側に配置され、前記空気流路下流側を流れる清浄化された空気を前記貯水槽の水によって加湿する加湿手段と、前記筐体に対して着脱自在に装着され、前記貯水槽に供給される水を収容し、前記貯水槽への給水によって内部の水が減るのに伴って前記筺体の外から目視可能に浮上する給水タンクと、を有することを特徴とする、加湿機能付き空気清浄機である。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記給水タンクは、内部の水が減るのに応じて徐々に浮上することを特徴とする、請求項1記載の加湿機能付き空気清浄機である。
請求項3記載の発明は、前記給水タンクは、内部の水が所定量減ってから浮上することを特徴とする、請求項1記載の加湿機能付き空気清浄機である。
請求項4記載の発明は、前記筺体の表面の下部には、前記空気流路の前記空気清浄化手段の上流側に連通する補助入口が形成されており、前記給水タンクが浮上することによって、前記補助入口が開放されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の加湿機能付き空気清浄機である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、この加湿機能付き空気清浄機では、空気が、送風手段によって、入口から空気流路に取り込まれ、空気流路を流れた後に出口から排出される。
そして、空気流路に配置された空気清浄化手段が、入口から取り込まれた空気を清浄化して空気流路下流側へと流す。そのため、空気流路を流れた後に出口から排出される空気は、清浄化された空気である。
【0010】
また、加湿機能付き空気清浄機の筐体内には、水が溜められる貯水槽が、空気流路下流側を臨むように設けられ、空気流路下流側には、加湿手段が配置されている。加湿手段は、空気流路下流側を流れる清浄化された空気を貯水槽の水によって加湿する。
ここで、貯水槽に供給される水を収容する給水タンクが筐体に対して着脱自在に装着されている。この給水タンクは、貯水槽への給水によって内部の水が減るのに伴って筺体の外から目視可能に浮上する。そのため、給水タンクが浮上するといった簡単な構成で、給水タンク内の水が減ったことをすぐに把握できる。
【0011】
給水タンクは、請求項2記載の発明のように、内部の水が減るのに応じて徐々に浮上してもよい。この場合、給水タンクの浮上具合に応じて、給水タンクの内部の水がどれだけ減ったかを把握することができる。
給水タンクは、請求項3記載の発明のように、内部の水が所定量減ってから浮上してもよい。この場合、給水タンクが一気に浮上することから、給水タンクの浮上を明確に把握できるので、給水タンクの内部の水が減ったことを確実に把握できる。
【0012】
請求項4記載の発明によれば、筺体の表面の下部には、空気流路に連通する補助入口が形成されており、給水タンクが浮上することによって、補助入口が開放される。これにより、入口だけでなく、加湿機能付き空気清浄機が載置される載置面に近い補助入口からも空気が空気流路に取り込まれるので、追加的に載置面付近の空気を清浄化することができる。つまり、給水タンクの内部の水が減った場合には、加湿機能が低下するが、その代わりに、空気清浄機能を増強させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1(a)は、空気清浄機1の平面図であり、図1(b)は、空気清浄機1の正面図である。
【図2】空気清浄機1の右側面図であり、一部を断面で示している。
【図3】図2において、給水タンク21が離脱位置まで浮上した状態を示している。
【図4】図2に変形例を適用した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下には、図面を参照して、この発明の一実施形態としての空気清浄機1について具体的に説明する。この空気清浄機1は、後述するように加湿機能を有することから、加湿装置としても機能する。
<空気清浄機の全体構成>
図1(a)は、空気清浄機1の平面図であり、図1(b)は、空気清浄機1の正面図である。
【0015】
図1に示すように、空気清浄機1の筐体としての本体ケース2は、縦長かつ前後方向に薄い中空の略直方体形状である。本体ケース2は、略前半分をなすフロントケース3と略後半分をなすリヤケース4とによって、その外郭が形成されている(図1(a)参照)。なお、前側と正面側とは同義であり、後側と背面側とは同義である。
フロントケース3の天面には、操作パネル5が設けられている(図1(a)参照)。操作パネル5に設けられた操作キー6を操作することによって空気清浄機1の運転を制御することができ、空気清浄機1の運転条件および状態は、操作パネル5に設けられた表示部7に表示される。
【0016】
フロントケース3の前面の幅方向両端においてやや上寄りの位置には、入口8が形成されている(図1(b)参照)。入口8は、フロントケース3の内部に連通している。リヤケース4の天壁、左側壁および右側壁のそれぞれには、出口9が形成されている(図1(a)参照)。これらの出口9は、リヤケース4の内部に連通している。各出口9には、格子10が設けられている。空気清浄機1は、入口8から空気を取り込んで清浄化し、清浄化された空気を、出口9から排出する(図1(a)の2点鎖線の矢印を参照)。
【0017】
また、本体ケース2(フロントケース3)の正面において、入口8より下側には、着脱可能なフロントカバー23が設けられている(図1(b)参照)。フロントカバー23は、正面から見て、幅方向に長手の矩形状である。正面側からフロントカバー23を取り外すことによって、本体ケース2の正面(表面)の下部には、フロントカバー23と同じ大きさの開口24(補助入口)が形成されるので、この開口24を介して本体ケース2内にアクセスすることができる。
【0018】
図2は、空気清浄機1の右側面図であり、一部を断面で示している。
図2に示すように、フロントケース3とリヤケース4との間には、上下方向に延びる隔壁13が設けられており、隔壁13によって、フロントケース3の内部とリヤケース4の内部とが区画されている。この隔壁13の下側には、連通穴14が形成されており、連通穴14を介して、フロントケース3の内部とリヤケース4の内部とが互いに連通している。
【0019】
詳しくは、フロントケース3の内部は、仕切壁25によって、入口8に連通する上側の第1空間65と、入口8に連通せずに開口24に連通する下側の第2空間66とに仕切られている。仕切壁25は、隔壁13において連通穴14の下端を縁取る部分に連続して斜め前側上方(図2では斜め左側上方)へ延び、フロントケース3の前壁において入口8と開口24との間の部分に接続されている。ここで、仕切壁25において、フロントケース3の前壁に隣接する部分には、仕切壁25を上下に貫通する貫通穴39が形成されており、貫通穴39を介して、第1空間65と第2空間66とが連通している。なお、常態では、貫通穴39は、フロントカバー23の上端部によって下から塞がれており、第1空間65と第2空間66との間は遮断されている。そして、連通穴14は、第1空間65とリヤケース4の内部(第3空間74)とを連通させている一方で、第2空間66と第3空間74とを連通させていない。
【0020】
本体ケース2の内部には、入口8と出口9とを連通させる空気流路としての流路15(図2の太い実線矢印を参照)が形成されている。流路15の途中に、上述した連通穴14が位置している。
本体ケース2では、フロントケース3内部の第1空間65、詳しくは流路15の途中において、入口8に後側(図2では右側)から臨む位置に、空気清浄化手段としてのフィルタ11が備えられ、第1空間65におけるフィルタ11の後側に、送風手段としてのファン12が備えられている。
【0021】
フィルタ11は、上下方向に長く前後方向(図2では左右方向)に薄い矩形状であり、複数種類のフィルタ膜を積層することで構成されており、空気中に含まれる比較的大きな塵挨だけでなく、非常に細かな塵挨、たとえば花粉やたばこの煙の粒子等まで捕獲可能である。
ファン12は、たとえば、シロッコファンであって、図示しないモータに回転駆動されることによって吸引力を発生し、前側の空気を内側から吸い込んで外側(ここでは外側下方)へ吐出する。
【0022】
この空気清浄機1において、ファン12が駆動されると、空気清浄機1の外部にある空気が、ファン12が発生する吸引力によって、入口8よりフロントケース3の第1空間65内に取り込まれて空気流となる。そして、この空気(空気流)は、図2の太い実線矢印で示すように、流路15を流れ、その途中においてフィルタ11を通過することで塵埃や臭い成分が除去されて清浄化される。換言すれば、フィルタ11は、入口8から取り込まれた空気を清浄化して流路15の下流側へと流す。清浄化された空気(以下では単に「空気」ということがある。)は、ファン12によって下方へ吐出されて引き続き流路15を流れ、隔壁13の連通穴14からリヤケース4の内部(第3空間74)へ送り込まれる。
【0023】
このように流路15を流れた空気は、各出口9から空気清浄機1の外部へ排出される。機外へ排出された(清浄化された)空気は、空気清浄機1の外部(たとえば室内)の隅々まで行き渡り、室内全体を万遍なく浄化する。
そして、この空気清浄機1は、流路15を流れる空気を加湿するために、リヤケース4の第3空間74に加湿ユニット20(加湿手段)を備えている。つまり、この空気清浄機1は、加湿機能付きの空気清浄機である。
【0024】
加湿ユニット20は、フィルタ11を通過して清浄化された空気を加湿するものである。これにより、水分を含んだ空気が出口9から室内へ放出されることとなり、室内の湿気が補われる。
加湿ユニット20に関連して、本体ケース2内には、給水タンク21と受皿22(貯水槽)とが主に設けられている。受皿22には水を溜めることができ、給水タンク21は、受皿22に供給される水を内部に収容する。
【0025】
給水タンク21は、幅方向(図2の紙面に垂直な方向)に長手の中空体であり、フロントケース3内の第2空間66に収容されている。
給水タンク21の底には、弁体27によって開閉される水抜き穴36が形成されている。給水タンク21は、ねじ等によってフロントカバー23に後側から固定されている。ここで、給水タンク21の前面とフロントカバー23の後面との間には、所定の隙間Xが確保されている。給水タンク21とフロントカバー23とは、一体となって、フロントケース3(本体ケース2)に対して正面側から着脱自在である(図2は、給水タンク21およびフロントカバー23がフロントケース3に装着された状態を示している。)。給水タンク21(フロントカバー23)のフロントケース3に対する着脱方向Yは、太い点線矢印で示すように、前上側と後下側とを結ぶ方向である。
【0026】
以下では、フロントカバー23を給水タンク21の一部とする。
弁体27は、略円盤状の蓋部27Aと、蓋部27Aの円中心から下方へ突出する軸部27Bとを一体的に備えている。弁体27では、蓋部27Aと軸部27Bの一部(上側部分)とが給水タンク21内にある一方で、軸部27Bの下端部は、給水タンク21の下面から下方に露出されている。弁体27は、軸部27Bにおいて、給水タンク21の底によって上下にスライド自在に支持されている。弁体27が下限位置にある場合には、蓋部27Aが水抜き穴36を上から塞いでおり、これにより、弁体27が水抜き穴36を閉じている(後述する図3参照)。一方、弁体27が下限位置よりも上方に位置すると、図2に示すように、蓋部27Aが水抜き穴36から上方ヘ離間するので、これにより、弁体27が水抜き穴36を開く。また、軸部27Bの下端部は、鍔状に形成されており、軸部27Bの下端部と給水タンク21の底(下面)との間には、ばね35が介在されている。これにより、弁体27は、伸びようとするばね35によって、下限位置に配置されるように(水抜き穴36を閉じるように)、常には、下向きに付勢されている。
【0027】
受皿22は、本体ケース2内の底部に収容されており、加湿ユニット20および給水タンク21のそれぞれの下部を収容し得る大きさ(深さ)を有している。詳しくは、受皿22の底には、垂直に延びる仕切り板67が立設されており、仕切り板67によって、受皿22の内部が前後に二分されている。受皿22の内部において、仕切り板67より前側(図2では左側)の領域(前側領域22A)に、給水タンク21の下部が配置され、仕切り板67より後側(図2では右側)の領域(後側領域22B)に、加湿ユニット20の下部が配置される。つまり、受皿22において、給水タンク21の下部を収容する前側領域22Aは、フロントケース3の第2空間66に配置され、加湿ユニット20の下部を収容する後側領域22Bは、リヤケース4の第3空間74に配置される。受皿22の後側領域22Bは、第3空間74内において、流路15(詳しくは、流路15の下流側)を下から臨んでいる(流路15に連通している)。
【0028】
ここで、隔壁13において、連通穴14の下方には、仕切り板67にちょうど塞がれる大きさの貫通穴80が形成されている。貫通穴80は、フロントケース3の第2空間66とリヤケース4の第3空間74とを連通させる。常態では、貫通穴80は、前後方向において仕切り板67と一致しており、仕切り板67によって背面側から隙間なく塞がれている。
【0029】
仕切り板67の下端部には、仕切り板67を前後に貫通する連通穴68が形成されており、開放された状態にある連通穴68を介して、前側領域22Aと後側領域22Bとが連通している。そのため、前側領域22Aが配置される第2空間66と、後側領域22Bが配置される第3空間74とは、開放された状態にある連通穴68を介して連通している。 ここで、給水タンク21を受皿22の前側領域22A(第2空間66)に収容すると、給水タンク21の底の弁体27の軸部27Bの下端面が、受皿22の底から上向きに突設された突起16によって押し上げられる。これにより、弁体27は、上述したばね35の付勢力に抗して、上述した下限位置(図3参照)から上昇して、給水タンク21の水抜き穴36を開く。これにより、給水タンク21内の水が水抜き穴36から前側領域22Aに排出され、その後、連通穴68から後側領域22Bに流入し、後側領域22Bに溜まる。
【0030】
後側領域22Bに規定水位まで水が溜まると、その途中で連通穴68を介して水が前側領域22Aと後側領域22Bとの間で行き来することによって、前側領域22Aおよび後側領域22Bの水位は、結果的に、所定の等しい水位でつながる(図示した水面Sを参照)。このとき、連通穴68は、水面Sより下方に位置して、水に完全に浸かっている。また、上述したように隔壁13の貫通穴80が受皿22の仕切り板67によって塞がれている。そのため、空気が、連通穴68および貫通穴80を介して、前側領域22A(第2空間66)と後側領域22B(第3空間74)との間で行き来することはない。これにより、フロントケース3の第1空間65およびリヤケース4の内部(第3空間74)の空気が第2空間66に漏れることはないので、流路15を流れる空気が第2空間66に漏れることもない。
【0031】
そして、加湿ユニット20は、フィルタ11およびファン12を通過して各出口9へ向う空気の流路15(太い実線矢印参照)の途中(詳しくは下流側)に配置されている。そのため、フィルタ11で清浄化された空気の流れ(空気流)は、必ず加湿ユニット20を通過する。
加湿ユニット20は、前後方向に延びる中心軸を有する略円盤形状である。加湿ユニット20は、前後方向に重ねられた複数枚の加湿ディスク32と、このように重ねられた状態にあるこれらの加湿ディスク32を前後から挟持(保持)する前プレート30および後プレート31とを含んでいる。加湿ディスク32、前プレート30および後プレート31は、ほぼ同じ外径を有する円板形状であり、それぞれの中心軸は、前後方向に沿って延びている。加湿ディスク32および前プレート30は、外周縁および内周縁を有する環状をなしている。そして、前後に隣り合う加湿ディスク32は、互いに所定間隔を空けて重ねられている。重ねられた状態にある複数枚の加湿ディスク32には、それぞれの内周縁で区画された内空間57が形成されている。
【0032】
そして、加湿ユニット20は、リヤケース4の後壁の一部(リヤカバー120という。)から略水平方向に沿って前方へ延びて加湿ディスク32、前プレート30および後プレート31の円中心を通る軸51によって、この軸51を中心として回転自在に保持されている。この状態で、加湿ユニット20(少なくとも加湿ディスク32)の下部は、受皿22の後側領域22Bに所定水位まで溜まった水(水面S参照)に浸かっている。
【0033】
なお、加湿ユニット20は、加湿ディスク32の洗浄および交換といったメンテナンスのため、加湿ユニット20を回転自在に保持する軸51、リヤカバー120および受皿22と一体となって、本体ケース2に対して背面側から着脱可能である。
そして、上述したようにフィルタ11で清浄化された空気が引き続き流路15を流れて加湿ユニット20を通過する際に加湿ユニット20が回転する。加湿ユニット20が回転することによって、加湿ディスク32は、前プレート30および後プレート31とともに回転し、回転に伴って、後側領域22Bの水に浸かった状態と、この水から上がった状態との間を移動する。
【0034】
加湿ディスク32は、水から上がった状態のときに、清浄化された空気の流れ(図2の太い実線矢印を参照)に曝される。詳しくは、各加湿ディスク32において後側領域22Bの水によって濡れた部分が、加湿ユニット20が1回転を終えるまでの間に、流路15(詳しくは流路15の下流側)における清浄化された空気の流れに曝される。その結果、各加湿ディスク32に付着していた水分が、清浄化された空気を加湿して、この空気とともに、出口9から所定の方向へ放出され、室内の加湿に寄与する。加湿ディスク32に付着した水のうち、加湿に寄与しなかった(用いられなかった)水は、隣り合う加湿ディスク32の隙間に浸透して、加湿ディスク32の内周縁に至り、上述した内空間57に落下する。
【0035】
以上のように、この空気清浄機1は、取り込んだ空気を清浄化し、さらに加湿して機外に排出する。
ここで、この空気清浄機1には、内空間57内に、電解水ユニット70が設けられている。
電解水ユニット70は、加湿に寄与せずに内空間57に落下した水を受け、この水から電解水を生成する。一般に、内空間57に落下した水(元は受皿22に溜められた水)には、塩素が含まれた水道水が用いられることから、電解水ユニット70は、この水道水を電気分解することで、殺菌作用や脱臭作用を有する次亜塩素酸(HClO)や活性酸素を含む電解水を生成する。そして、電解水ユニット70は、生成した電解水を、ミスト状に放散し、フィルタ11を通過して流路15を流れる清浄化された空気に電解水を乗せる。
【0036】
そのため、この空気清浄機1は、上述したように外部から取り込んだ空気をフィルタ11で清浄化したり、加湿ユニット20で加湿したりするだけでなく、電解水ユニット70が生成および放散した電解水によって外部の空気を殺菌・脱臭することもできる。
<給水タンクについての詳細>
図3は、図2において、給水タンク21が離脱位置まで浮上した状態を示している。
【0037】
図2を参照して、上述した、受皿22の底から上向きに突設された突起16は、詳しくは、給水タンク21のフロントケース3に対する着脱方向Yに沿って前上側へ突出している。そして、受皿22の底には、この突起16を取り囲みつつ上向きに延びるコイルばね40が設けられている。そのため、図2に示すように給水タンク21が本体ケース2(フロントケース3)に装着された状態では、コイルばね40は、受皿22の底の上面と給水タンク21の底の下面との間に介在している。
【0038】
ここで、給水タンク21に水が十分(たとえば満杯程度)に溜まっている場合には、水を収容した給水タンク21の重みによってコイルばね40が圧縮されており、給水タンク21は、沈み込んで、受皿22の前側領域22Aにおける上下方向の定位置(収容位置といい、図2参照)に配置されている。この状態では、圧縮されたコイルばね40の復元力が付勢力となって、給水タンク21を上向きに付勢しているが、給水タンク21は、収容位置で維持されている。また、このとき、フロントケース3の前面では、上述した開口24がフロントカバー23によってほぼ隙間なく塞がれている。
【0039】
そして、図示しないが、加湿に伴う給水タンク21から受皿22への給水によって給水タンク21内の水が減ると、その分給水タンク21が軽くなるので、給水タンク21は、コイルばね40の付勢力(復元力)によって、給水タンク21のフロントケース3に対する離脱方向(着脱方向Yに沿って前上側へ延びる方向)に沿って収容位置から前上側へ浮上する。
【0040】
ここで、上述したように着脱方向Y(給水タンク21のフロントケース3に対する離脱方向を含む方向)に沿って前上側へ突出している突起16は、給水タンク21が前上側へ浮上しても、引き続き、給水タンク21の底の弁体27の軸部27Bの下端面を押し上げている。そのため、弁体27は、給水タンク21が収容位置にあったとき(図2参照)に比べて、上述したばね35の付勢力によって下限位置(図3参照)へ向かって下降して水抜き穴36に接近するものの、引き続き、水抜き穴36を開いている。そのため、給水タンク21から受皿22への給水は継続される。
【0041】
そして、受皿22への給水に伴って給水タンク21内の水がさらに減ると、給水タンク21は、水が減った分だけさらに前上側へ浮上する。つまり、給水タンク21は、内部の水が減るのに応じて徐々に浮上する。
その後、給水タンク21内の水が所定量(たとえば給水タンク21が空になるまで)減ると、水が減った分に応じて給水タンク21がさらに前上側へ浮上し、その後、給水タンク21は、図3に示す離脱位置で静止する。つまり、給水タンク21は、内部の水の減少に伴って上述した収容位置(図2参照)から離脱位置まで徐々に浮上したことになる。
【0042】
ここで、給水タンク21の一部をなすフロントカバー23は、本体ケース2(フロントケース3)の外(前方)に露出されているので、給水タンク21の浮上に伴って、本体ケース2の前面から前上側へ突き出るように浮上する。そのため、フロントカバー23を見ることで、給水タンク21の浮上が目視可能である。つまり、給水タンク21は、受皿22への給水によって内部の水が減るのに伴って本体ケース2の外から目視可能に浮上する。そのため、給水タンク21が浮上するといった電気等を使用しない簡単な構成で、給水タンク21内の水が減ったことを一見してすぐに把握できる。これにより、ユーザに対して、給水タンク21への速やかな水の補給を促すことができる。なお、給水タンク21が離脱位置にある場合には、弁体27が上述した下限位置に配置されることで水抜き穴36を閉じているので、水の補給のために給水タンク21を本体ケース2から離脱させても、給水タンク21内に残った水が水抜き穴36からこぼれることはない。
【0043】
また、給水タンク21が、上述したように内部の水が減るのに応じて徐々に浮上するので、給水タンク21の浮上具合に応じて、給水タンク21の内部の水がどれだけ減ったかを把握することができる。つまり、給水タンク21自体が、給水タンク21に収容された水の水位についてのレベルメータをなしている。
そして、給水タンク21が収容位置から離脱位置まで浮上すると、給水タンク21の一部をなすフロントカバー23も前上側へ上限まで浮上する。これにより、給水タンク21が収容位置にあるときには貫通穴39を下から塞いでいたフロントカバー23の上端部(図2参照)が貫通穴39に対して前上側へずれ、これにより、貫通穴39が開放されて第1空間65と第2空間66とが連通する。これにより、空気清浄機1が運転中であるときには、ファン12の吸引力が、上述した入口8だけでなく、貫通穴39を介して第2空間66にも作用する。
【0044】
また、フロントカバー23が前上側へ浮上することで、開口24が開放され、開口24は、連通状態になった第1空間65および第2空間66を介して流路15に連通する。よって、上述したように第2空間66に作用しているファン12の吸引力によって、開口24の前方にある空気が開口24から流路15に吸い込まれる。
これにより、太い破線矢印で示すように、開口24の上端部24A側から吸い込まれて貫通穴39を通過して流路15(詳しくはフィルタ11(空気清浄化手段)の上流側)に合流する空気の第1流路61と、開口24の下端部24B側から吸い込まれた後に給水タンク21とフロントカバー23との隙間Xおよび貫通穴39を順に通過して流路15(詳しくはフィルタ11(空気清浄化手段)の上流側)に合流する空気の第2流路62が発生する。
【0045】
よって、入口8だけでなく、空気清浄機1が載置される載置面(床面等)に近い開口24からも空気が流路15に取り込まれるので、追加的に載置面付近の空気を清浄化することができる。特に、第2流路62を流れる空気は、載置面周辺に存在していた空気なので、この空気が第2流路62を流れることにより、載置面に存在していたハウスダストや花粉などの塵埃が吸引され、フィルタ11によって捕獲される。
【0046】
以上のように、この空気清浄機1では、給水タンク21の内部の水が減った場合には、加湿機能が低下(停止)するが、その代わりに、空気清浄機能を増強させることができる。
図4は、図2に変形例を適用した図である。
上述した実施例では、給水タンク21は、内部の水が減るのに応じて徐々に浮上しているが、給水タンク21は、内部の水が所定量(たとえば給水タンク21が空になるまで)減ってから一気に浮上してもよい。
【0047】
この場合、図4に示すように、給水タンク21にフック42を設けておく。
給水タンク21において内部の水が所定量まで減るまでは、フック42は、受皿22に係合しており、給水タンク21は収容位置にある。しかし、給水タンク21内部の水が所定量まで減ると、コイルばね40が給水タンク21を上向きに付勢する付勢力の一部によってフック42が受皿22から外れ、その瞬間、給水タンク21が、コイルばね40の付勢力によって離脱位置まで一気に浮上する(図3参照)。この場合、給水タンク21が一気に浮上することから、給水タンク21の浮上を明確に把握できるので、給水タンク21の内部の水が減ったことを確実に把握できる。
【0048】
この発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 空気清浄機(加湿機能付き空気清浄機)
2 本体ケース(筐体)
8 入口
9 出口
11 フィルタ(空気清浄化手段)
12 ファン(送風手段)
15 流路(空気流路)
20 加湿ユニット(加湿手段)
21 給水タンク
22 受皿(貯水槽)
24 開口(補助入口)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を取り込むための入口、前記入口から取り込まれた空気が流れる空気流路、および、前記空気流路を流れた空気を排出するための出口が形成された筐体と、
前記筐体に備えられ、空気を前記入口から前記空気流路に取り込んで前記出口へ送る送風手段と、
前記空気流路に配置され、前記入口から取り込まれた空気を清浄化して前記空気流路下流側へと流す空気清浄化手段と、
前記筐体内において、前記空気流路下流側を臨むように設けられ、水が溜められる貯水槽と、
前記空気流路の下流側に配置され、前記空気流路下流側を流れる清浄化された空気を前記貯水槽の水によって加湿する加湿手段と、
前記筐体に対して着脱自在に装着され、前記貯水槽に供給される水を収容し、前記貯水槽への給水によって内部の水が減るのに伴って前記筺体の外から目視可能に浮上する給水タンクと、
を有することを特徴とする、加湿機能付き空気清浄機。
【請求項2】
前記給水タンクは、内部の水が減るのに応じて徐々に浮上することを特徴とする、請求項1記載の加湿機能付き空気清浄機。
【請求項3】
前記給水タンクは、内部の水が所定量減ってから浮上することを特徴とする、請求項1記載の加湿機能付き空気清浄機。
【請求項4】
前記筺体の表面の下部には、前記空気流路の前記空気清浄化手段の上流側に連通する補助入口が形成されており、
前記給水タンクが浮上することによって、前記補助入口が開放されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の加湿機能付き空気清浄機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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