説明

加湿温風機

【課題】温風運転モード設定時に、温風暖房に加えて微加湿しながら浄化できる加湿温風機を提供すること。
【解決手段】加湿温風機10は、送風機17と、この送風機からの空気を加熱するヒーター19と、ヒーターを通った空気を温風吹出口15側又は湿風送風路21側へ切換える切換え手段26と、湿風送風路Xに配設されて貯水タンクからの水を気化して加湿する加湿手段31及び加湿された湿風を吹出す湿風吹出口23とを備え、送風機17と湿風送風路21とは、送風機17から送風される空気の一部をヒーター19を迂回して直接湿風送風路21へ通過させるバイパス通風路X3で連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿温風機に係り、さらに詳しくは、温風運転モード、加湿温風運転モード及び加湿運転モードを備え、このうち温風運転モードが設定されたときに、非加熱空気で微加湿しながら温風暖房ができるようにした加湿温風機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
部屋内暖房は、暖房により室内の空気が乾燥し過ぎると、喉や皮膚などを傷め、或いは風邪を引き易くなるなどの恐れがあるので、その予防策として、通常、加湿器が設置されている。この加湿器は、部屋内に設置する暖房機の他に設置されるので、近年は、電気暖房機に加湿機能を付設した、いわゆる加湿温風機が開発されて多くの特許出願がされて公開されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、器機本体内に、ヒーターと、このヒーターで加熱した温風を送風する送風ファンと、送風ファンからの温風を吹出口に導く温風ダクトと、加湿装置と、温風ダクトの途中からバイパスされ加湿装置を介して設けた加湿ダクトとを備え、温風ダクトと加湿ダクトの分岐部に送風ファンからの温風を切換える風路切換手段を設けた加湿温風機が開示されている。この加湿温風機は、加湿運転時に、風路切換手段を所定位置にして、ヒーターで加熱した温風の殆どを加湿ダクトに流すとともに、温風ダクトの一部に開口部を形成しておき、風速の速い温風を吹出口へ流すようになっている。
【0004】
また、下記特許文献2には、水を貯水する貯水タンク及びこの貯水タンクの水で気化して加湿する加湿フィルターを設けた加熱装置と、通過空気を加熱する加熱体及びこの加熱体に空気を送る送風手段からなる暖房装置とを備え、加湿運転時に、暖房装置の加熱体及び送風手段を駆動するようにした加湿温風機が開示されている。この加湿温風機によれば、加熱体により加湿された空気が加湿フィルターを通らずに供給されるので、加湿による空気温度の低下を抑えることができる。
【0005】
ところが、これらの加湿温風機は、いずれも温風及び加湿風の吹出口が兼用された1個の吹出口で形成されている。このため、加湿運転時に、人体に湿風が直接当たり、不快感を与えてしまうことがある。そこで、本願の出願人は、このような不快感を解消するために、それらの吹出口を分離し、湿風が人体に直接当たらないようにした加湿機能付き温風機を開発し、既に特許を取得している(下記特許文献3参照)。
【0006】
この加湿機能付き温風機は、機体の背面側に、吹出口を有する湿風送風ダクト及び前面側に、温風送風路及び温風吹出口をそれぞれ配設して、前記温風送風路は、上流に送風ファン及びヒーターが所定間隔をあけて縦方向に配列し、下流で第1、第2送風路に分岐し、前記第1送風路は前記温風吹出口に及び前記第2送風路は前記湿風送風ダクトにそれぞれ連結し、かつ前記第1、第2送風路に分岐する位置に前記第1、第2送風路を開閉する切換えダンパーが配設した構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−61900号公報(図1、段落〔0016〕〜〔0019〕参照)
【特許文献2】特開2003−56873号公報(図1、特許請求の範囲請求項1参照)
【特許文献3】特許第4201744号公報(段落〔0009〕、〔0014〕、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献3の加湿機能付き温風機は、機体のほぼ中心部に温風送風路を形成し、しかもこの温風送風路はその下流で機体の前面及び背面側へそれぞれ分岐し、かつ分岐した位置に切換えダンパーが配設されているので、温風や湿風をバランスよく機体の前面及び背面へ送風することが可能になり、その結果、上記特許文献1、2の温風機が抱える潜在的な課題を解決できる。しかしながら、この加湿機能付き温風機も長年の使用から改良点が見つかった。それは温風運転モード設定時に、温風が部屋内で循環されるが、部屋内の空気が汚染されるとその汚染された空気がそのまま循環されてしまうことである。特に、事務所や会議室などの換気の少ない密閉化された部屋では、部屋内の人が多いと、呼吸により排出される二酸化炭素やタバコの煙、埃など、或いは悪臭、細菌などを含む空気汚染物質が増加して、これらが温風に混じって循環してしまって室内環境をさらに悪化させてしまうことになる
そこで、発明者らは、温風運転モード設定時に、悪臭、細菌などを含む空気汚染物質が温風に混じって循環して室内環境の悪化を招くことから、現在の機器を大幅に設計変更することなく、しかも簡単に除去できないかを様々な観点から試行してみた。その結果、温風運転モード設定時に、送風機からの非加熱空気の一部が加湿手段を通るようにすれば、加湿温風運転モードと異なる形態で温風運転モード設定時における空気汚染物質の除去ができることを見出して本発明を完成させるに至ったものである。
【0009】
そこで、本発明は、本出願人が先に開発し特許を取得した加湿機構付き温風機を改良したもので、その発明の目的は、温風運転モード設定時に、温風暖房に加えて微加湿しながら空気を浄化できるようにした加湿温風機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本願の請求項1に記載の加湿温風機は、送風機と、前記送風機からの空気を加熱するヒーターと、前記ヒーターを通った空気を温風吹出口側又は湿風送風路側へ切換える風路切換え手段と、前記湿風送風路に配設されて貯水タンクからの水を気化して加湿する加湿手段及び加湿された湿風を吹出す湿風吹出口とを備えた加湿温風機において、前記送風機と前記湿風送風路とは、前記送風機から送風される空気の一部を前記ヒーターを迂回して直接前記湿風送風路へ通過させるバイパス通風路で連結されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の加湿温風機において、前記バイパス通風路の通風量は、前記送風機から送られる送風量の四分の一以下であることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1に記載の加湿温風機において、オゾン発生器又はプラズマイオン及びマイナスイオンの少なくとも一方のイオンを発生させるイオン発生器が設けられて、それが前記湿風送風路に連結されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の加湿温風機において、前記湿風送風路は、機体の背面側にあって上方に湿風吹出口を設けた湿風送風ダクトからなり、前記湿風送風ダクトに沿って前記バイパス通風路が形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1に記載の加湿温風機において、前記ヒーターは、容量の異なる複数個のセラミックヒーターで構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上記の構成を備えることにより、以下に示すような優れた効果を奏する。すなわち、請求項1の発明によれば、送風機と湿風送風路とがヒーターを迂回したバイパス通風路で連結されているので、送風機からの空気を加熱しないで加湿して、湿風吹出口から外部へ送風できる。すなわち、風路切換え手段により、温風が温風吹出口側又は湿風送風路側のいずれへ切換えられても、送風機からの空気の一部が加熱されないで加湿されて、湿風吹出口から送風できる。特に、温風吹出口側へ切換えられたとき、すなわち温風運転モード設定時に、送風機からの空気を加熱しないで加湿手段で加湿し浄化して、湿風吹出口から外部へ送風できるので、この運転モード設定時に温風暖房に加えて微加湿しながら浄化できる。バイパス通風路を通る空気は、送風機から送風される空気の一部であるので、温風温度を加湿によって低下させることがない。さらに、他の運転モードのときも悪影響を及ぼすこともない。
【0016】
請求項2の発明によれば、バイパス通風路の通風量は、前記送風機から送られる送風量の四分の一以下であるので、温風運転モード設定時の温風温度を加湿によって低下させることがない。さらに、他の運転モードのときも悪影響を及ぼすこともない。
【0017】
請求項3の発明によれば、湿風送風路はオゾン発生器又はイオン発生器に連結されるので、加湿温風運転モード及び加湿運転モード設定時に、室内を循環する空気から悪臭、細菌などを含む空気汚染物質を除去して浄化できる。また、温風運転モード設定時にも、送風機からの空気を加熱しないで加湿・浄化して、湿風吹出口から外部へ送風できるので、この運転モード設定時に温風暖房に加えて微加湿して浄化できる。なお、マイナスイオンを発生するようにすれば、使用者にリラックス効果を与えることができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、湿風送風路は、機体の背面側にあって上方に湿風吹出口を設けた湿風送風ダクトからなり、この湿風送風ダクトに沿ってバイパス通風路が形成されるので、温風や湿風をバランスよく機体の前面及び背面へ送風することが可能になる。
【0019】
請求項5の発明によれば、容量の異なる複数個のヒーターを使用することにより、所望する温度設定が容易になる。また、加湿運転の際に小容量ヒーターを使用して加湿できるので加湿風が不必要に加熱されることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る加湿温風機を示し、図1(a)は正面図、図1(b)は上面図である。
【図2】図2は図1(a)のII−IIの断面図である。
【図3】図3は図2を別角度からみた断面斜視図である。
【図4】図4はヒーター回路図である。
【図5】図5は風路切換え手段の斜視図である。
【図6】図6は風路切換え手段の弁体の回動位置を模式的に示した説明断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための加湿温風機を例示するものであって、本発明をこの加湿温風機に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
【0022】
図1〜図3を参照して、本発明の実施形態に係る加湿温風機を説明する。なお、図1は、本発明の実施形態に係る加湿温風機を示し、図1(a)は正面図、図1(b)は上面図、図2は図1(a)のII−II線の断面図、図3は図2を別角度からみた断面斜視図である。
【0023】
本発明の実施形態に係る加湿温風機10は、図1〜図3に示すように、送風ファン17、モーター18及びヒーター19等を取付ける機体フレーム11と、この機体フレーム11の前面を覆う前面カバー20と、背面を覆う背面カバー22とを備え、機体フレーム11の前面側に温風吹出口15、背面側に湿風送風ダクト21(本発明における「湿風送風路」に対応)をそれぞれ配設して、これらの湿風送風ダクト21と前面側との間に温風送風路Xを形成し、機体フレーム11の底部13には、加湿手段31及びオゾン発生手段を配設した構成を有している。なお、機体には、所定量の水を蓄える貯水タンクが着脱自在に装着できるようになっているが、図示が省略されている。
【0024】
機体フレーム11は、床面に置いても転倒しないように底部13が広がり内部に貯水タンク及び加湿手段(加湿フィルター)などを収容できるスペースを有する基台部12と、この基台部12の一端からほぼ垂直に起立した取付け板部14とからなり、基台部12と取付け板部14との継ぎ目に壇部が設けられて、合成樹脂材で一体成型されている。
【0025】
取付け板部14には、送風ファン17、この送風ファンを回転させるモーター18、及び送風ファンから送風された空気を加熱するヒーター19がそれぞれ装着されている。なお、符合17aは、送風ファンを覆う環状フードを示している。また、この取付け板部14から所定の距離離れた背面側に湿風送風ダクト21が設けられている。さらに、取付け板部14の上方には、操作パネル25が装着されている.
湿風送風ダクト21は、内部に中空孔を有する直方体形状の筒状体からなり、上部に開口23が設けられ下部が加湿手段31に連結されている。上部の開口23は湿風の吹出口となっている。この湿風送風ダクト21は、モーター18と重ならないようにして背面側に装着されている。
【0026】
取付け板部14に、送風ファン17、ヒーター19、及び湿風送風ダクト21を取付けけることにより、取付け板部14側と湿風送風ダクト21との間に温風送風路Xが形成される。また、この温風送風路Xと湿風送風ダクト21との間には、バイパス通風路X3が形成されている。このバイパス通風路X3は、ヒーター19を迂回して、送風ファン17が設置された空間17bと湿風送風ダクト21の下端部とを連通するバイパス路となっている。具体的には、送風ファン17を設けた周辺には所定大きさの空間17bが形成され、この空間17b側に送風口24a及び下端部に送出口24cと、これらの送風口24a及び送出口24cを連通する隙間24bとからなる、狭隙ダクト24で形成されている。バイパス通風路X3、すなわち狭隙ダクト24は、ヒーター19側に設けた隔壁板と湿風送風ダクト21の隔壁板との間隙で形成されている。この構成により、送風ファン17からの空気は、ヒーター19を通って下流へ送風されるものと、ヒーター19を通らず迂回してバイパス通風路X3を通って下流へ送風されるものとなり、これらの割合は、前者を多く後者を少なく、四分の一以下になるようにするのが好ましい。例えば前者80%〜90%、後者20%〜10%程度となっている。なお、この%に限定されるものでない。この割合、すなわち後者を少なく前者を多くすることにより、後述する温風運転モード設定時に、温風温度を加湿によって低下させることがなくなり、また、他の運転モードに悪影響を及ぼすこともない。
【0027】
ヒーター19を通る空気は、温風送風路Xを通って基台部12で2方向に分かれて送風される。すなわち、温風送風路Xは、基台部12で分岐送風路X1、X2に二分岐される。そして、一方の分岐送風路X1は、機体前面の温風吹出口15に連通され、他の分岐送風路X2は、加湿手段31などを通って機体背面の湿風送風ダクト21に連通されている。なお、加湿手段31は、分岐送風路X2と湿風送風ダクト21との間に所定の空間30を形成し、この空間内に設置されている。各分岐送風路X1、X2への切換え送風は、風路切換え手段26によって行われる。ヒーター19を通らない空気は、送風ファン17からの一部であるがバイパス通風路X3を通って直接下流へ送風される。
【0028】
図2〜図4を参照してヒーターを説明する。なお、図4はヒーター回路図である。
【0029】
ヒーター19は、送風ファン17の下方に所定の隙間をあけて取付け板部14に装着されている。このヒーター19には、正特性のセラミックヒーターを使用する。このヒーター19は、3個のセラミックヒーター素子からなるヒーターユニットで構成されている。このヒーターユニットは、図4に示すように、3個のセラミックヒーター素子H1、H2、H3が並列接続されスイッチS1〜S3を介して電源Pに接続された構成を有している。この3個の素子の容量は、例えば、H1は600W、H2は600W、H3は300Wのものを使用し、スイッチS1〜S3を切換えて使用する。このように容量の異なる複数個のヒーターを使用し、これらを組合せることにより温度調節の範囲が拡大できる。各ヒーター素子H1、H2、H3のうち、最も容量の小さい素子H3を機体の背面側に配設することが好ましい。容量の小さいヒーターH3を機体の背面側に配設することにより、取付け部材の耐熱対策が容易になり、しかも、加湿運転の際に小容量ヒーターを使用して加湿できる。また、ヒーターH3と湿風送風ダクト21との間には、バイパス通風路X3があるので、加湿風が不必要に加熱されることがなくなる。
【0030】
図5、図6を参照して、風路切換え手段を説明する。なお、図5は風路切換え手段の斜視図、図6は風路切換え手段の弁体の回動位置を模式的に示した説明断面図である。
【0031】
風路切換え手段26は、ヒーター19のほぼ真下に配設されており、分岐送風路X1、X2の送風口15a、21a(図6参照)を開閉するものであって、送風口を塞ぐ弁体を有するもので構成される。この風路切換え手段26は、矩形状の弁体27と、この弁体の一側辺の両端に設けられた枢軸28a、28bと、一つの枢軸28bに結合されたカム機構29とからなっている。矩形状の弁体27は、送風を遮断できるように板状体からなる。なお、図5の格子状の桟27aは樹脂成型したときの補強桟である。この風路切換え手段26は、一方の枢軸28aが機体フレーム11の開口(図示省略)に挿入され、また、カム機構29は、取付け板部14に装着され、モーター(図示省略)により、所定の回動制御がなされる。更にこの風路切換え手段26は、その回転軸、すなわち、両端の枢軸28a、28bで結合された回転軸がヒーター19のほぼ真下にあって、温風送風路Xの幅長方向の中心部分に位置するように取付けけられる。風路切換え手段26の回転軸(枢軸28a、28b)がヒーター19のほぼ真下に枢支されることにより、図6に示すように、風路切換え手段26の弁体27が垂直位置Bにあるときは、温風送風路Xから送られてくる温風が分岐送風路X1、X2へバランスよく等分して送り出されるようになる。また、風路切換え手段26の弁体27がこの位置から左右に回動させれば、それに応じて温風の送風量を簡単にバランスよく調節することが可能になる。
【0032】
図2、図3に戻って、加湿手段及びオゾン発生器を説明する。
【0033】
基台部12には、図2、図3に示すように、空間30内に加湿手段31及びオゾン発生器(図示省略)が配設されている。加湿手段31は、加湿フィルターからなり、直方体形状をなしている。この加湿フィルターは多孔質のスポンジ或いは吸水性を有する不織布などを用いる。この加湿フィルターは、貯水皿32に設置される。貯水皿32には、図示を省略した貯水タンクから弁機構等(図示省略)によって制御されて、所定量の水が一時的に貯められるようになっている。貯水皿32に貯められた水は、加湿フィルター31に供給され、送風された空気が加湿フィルター31内を通過し、水分を含んだ空気が送風される。なお、加湿手段31は、加湿フィルターに限定されるものでなく、他のもの、例えば超音波式の加湿器などを用いてもよい。
【0034】
また、この加湿フィルター31の手前、すなわち、分岐送風路X2と加湿フィルターとの間にオゾン発生器(図示省略)が設置されている。このオゾン発生器は、例えば、アルミナ基板に誘導電極と放電電極を形成した沿面放電式のオゾン発生電極を用いる。このオゾン発生器の設置により、空気中に含まれる浮遊細菌類に対して効果的に殺菌作用を発揮する。なお、このオゾン発生器は、加湿フィルター31の後段に設けてもよい。これにより、加湿用水中で繁殖し加湿空気に乗ってくる細菌類に対して直接殺菌作用を発揮する。
また、このオゾン発生器に代えて、プラズマイオン及びマイナスイオンの少なくとも一方のイオンを発生させるイオン発生器を用いてもよい。マイナスイオンにより、使用者にリラックス効果を与えることができる。又、オゾン発生器に代えて電解水除菌システムを用いても良い。
【0035】
前面カバー20は、不図示の貯水タンクを覆う大きさを有し、その表面に化粧加工が施され、貯水タンクを覆って、機体フレーム11に着脱自在に装着される。また、背面カバー22には、上方に吹出口23が形成される。この吹出口23は、湿風送風ダクト21の開口の上に設けられる。温風吹出口15には、図1(a)に示すように、格子状の枠体16が設けられて、吹出口15から送風された温風が所定の方向へ向くようになっている。また、操作パネル25は、図1(b)に示すように、電源スイッチ、運転モード設定手段、表示部などが設けてある。運転モードは、温風運転モード、加湿温風運転モード及び加湿運転モードとなっている。なお、このような操作パネルは、既に公知であるので説明を省略する。
【0036】
以下に、図1〜6を参照して、この加湿温風機の運転モードを説明する。この加湿温風機10は、温風運転モード、加湿温風運転モード及び加湿運転モードで運転される。
(a)温風運転モード
操作パネル25上の電源スイッチをONするとともに温風運転モードを設定する。これによりモーター18が回転して送風ファン17が回転されて、送風ファンからの空気がONされたヒーター19で加熱されて温風送風路Xへ送風される。温風送風路Xへ送られた温風は、風路切換え手段26の弁体27が図6に示すAの位置に回動されているので、温風吹出口15を通って外部へ送風される。このとき、送風ファン17からの空気は、ヒーター19を通らず迂回してバイパス通風路X3を通ってオゾン発生器及び加湿フィルター31と通過して、湿風送風ダクト21へ入り込み湿風吹出口23から外部へ送風される。
【0037】
この温風運転モード設定時には、送風機からの空気を加熱しないで加湿手段で加湿し浄化して、湿風吹出口から外部へ送風できるので、この運転モード設定時に温風暖房に加えて微加湿しながら浄化できる。バイパス通風路を通る空気は、送風機から送風される空気の一部であるので、温風温度を加湿によって低下させることがない。
(b)加湿温風運転モード
この加湿温風運転モードは、風路切換え手段26の弁体27が図6に示すAとCとの間に位置された状態で運転されることとなり、室内の温度及び湿度を検知して、設定された温度・湿度での運転となる。このモードは、自動加湿モードとなる。
(c)加湿運転モード
加湿運転モードは、風路切換え手段26の弁体27が図6に示すCの位置に回動された加湿のみの運転となる。
【0038】
この実施形態に係る加湿温風機によれば、送風機と湿風送風路とがヒーターを迂回したバイパス通風路で連結されているので、送風機からの空気を加熱しないで加湿して、湿風吹出口から外部へ送風できる。すなわち、風路切換え手段により、温風が温風吹出口側又は湿風送風路側のいずれへ切換えられても、送風機からの空気の一部が加熱されないで加湿されて、湿風吹出口から送風できる。特に、温風吹出口側へ切換えられたとき、すなわち温風運転モード設定時に、送風機からの空気を加熱しないで加湿手段で加湿し浄化して、湿風吹出口から外部へ送風できるので、この運転モード設定時に温風暖房に加えて微加湿しながら浄化できる。バイパス通風路を通る空気は、送風機から送風される空気の一部であるので、温風温度を加湿によって低下させることがない。また、他の運転モードのときも悪影響を及ぼすこともない。また、この加湿温風機は、以下の特徴をも備えている。機体のほぼ中心部に温風送風路が形成され、しかもこの送風路はその下流で機体の前面及び背面側へそれぞれ分岐され、かつ分岐する位置に風路切換え手段が配設されるので、温風や湿風をバランスよく機体の前面及び背面へ送風することが可能になる。すなわち、温風送風路が機体のほぼ中心部に位置し、しかも風路切換え手段も中心部の分岐路に配設されるので、送風路が機体の前面及び背面へバランスよく等分され、しかも送風路も短縮され、送風をスムーズに効率よく機体の前面及び背面へ切換え送風が可能となる。また、湿風送風ダクトは、機体背面のスペースを有効利用して配設でき、しかもこのダクトの吹出口を機体の上方まで延長させることが可能になる。したがって、この吹出口が機体の上方に位置することにより、従来技術のように加湿風が人体に直接当たり不快感を与えることがなくなる。風路切換え手段がヒーターのほぼ真下に配設されるので、温風送風路からの切換開閉を多段階に行うことが可能になる。自動加湿モードが選択されている際に、予め設定された二つの設定値によりダンパーを動作させ、湿風の供給量を制御することができるようになるため、室内の湿度に合わせた湿風の供給が可能となる。
【符号の説明】
【0039】
10 加湿温風機
11 機体フレーム
12 基台部
13 底部
14 取付け板部
15 温風吹出口
17 送風ファン
18 モーター
19 ヒーター
21 湿風送風ダクト
23 湿風吹出口
24 狭隙ダクト
25 操作パネル
26 風路切換え手段
31 加湿手段(加湿フィルター)
X 温風送風路
3 バイパス通風路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機と、前記送風機からの空気を加熱するヒーターと、前記ヒーターを通った空気を温風吹出口側又は湿風送風路側へ切換える風路切換え手段と、前記湿風送風路に配設されて貯水タンクからの水を気化して加湿する加湿手段及び加湿された湿風を吹出す湿風吹出口とを備えた加湿温風機において、
前記送風機と前記湿風送風路とは、前記送風機から送風される空気の一部を前記ヒーターを迂回して直接前記湿風送風路へ通過させるバイパス通風路で連結されていることを特徴とする加湿温風機。
【請求項2】
前記バイパス通風路の通風量は、前記送風機から送られる送風量の四分の一以下であることを特徴とする請求項1に記載の加湿温風機。
【請求項3】
オゾン発生器又はプラズマイオン及びマイナスイオンの少なくとも一方のイオンを発生させるイオン発生器が設けられて、それが前記湿風送風路に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の加湿温風機。
【請求項4】
前記湿風送風路は、機体の背面側にあって上方に湿風吹出口を設けた湿風送風ダクトからなり、前記湿風送風ダクトに沿って前記バイパス通風路が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加湿温風機。
【請求項5】
前記ヒーターは、容量の異なる複数個のセラミックヒーターで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の加湿温風機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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