説明

加熱器及び加熱器の製造方法

【課題】生産性・加工性に優れ、安全且つ高効率に均一加熱を行うことができる加熱器並びに設置工事が容易で高効率に均一加熱を行うことが可能な床暖房用パネルを提供する。
【解決手段】可撓性を有する保護管13の内部に、外周面が被覆材12で覆われた単線状又は撚り線状の発熱体11を挿入し、前記被覆材12と前記保護管13内面との間隙に砂14を充填する。また、基材21の上面に溝27を形成し、前記加熱器10を前記溝27に装着し、更にその上に熱伝導シート24を接着して床暖房用パネル20を構成する。これにより、加熱器10は、生産性に優れ、曲げ加工を容易に行うことができ、且つ効率的に均一加熱を行うことができる。また、床暖房用パネル20は、熱源機や温水配管が不要で設置工事が容易に行えると共に、温水循環式床暖房に比べて暖房時の床面の温度むらを少なくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房、霜取り、結露防止、乾燥等に用いる電気式の加熱器及び加熱器の製造方法並びに電気式加熱器を用いた床暖房用パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からこの種の加熱器として、線形状の発熱体を無機絶縁物を介して金属性の保護管内部に埋設したものが知られている(例えば、特許文献1)。前記無機絶縁物としては酸化マグネシウム(マグネシア)等が広く用いられており、金属性の保護管としてはステンレス等が使用されている。
【0003】
また、住宅等の暖房装置として、温水配管を床材下のパネル内に埋設し、当該温水配管内に温水を循環させる温水循環方式の床暖房装置が知られている(例えば、特許文献2)。この種の暖房装置で用いられる床暖房用パネルは、発泡ポリスチレン等からなる基材の上面側に温水配管を設置する溝を設け、前記溝部に温水配管を設置し、更にその上に床材が敷設されている。そして、この種の暖房装置では、温水を供給するための熱源機として、灯油若しくはガス燃焼式の給湯装置又は電気式の給湯装置を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2964303号公報
【特許文献2】特開2004−53203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の金属性保護管を備えた加熱器では、金属管の剛性が高いため曲げ加工が困難で、加熱器を曲げるためには特別な曲げ加工機械を必要としていた。そのため、工場において曲げ加工機械を用いて所定の形状に加工してから出荷する必要があり、加熱器を設置、利用する現場において曲げ加工を行うことは極めて困難であった。また、曲げ加工が困難であるので、最終利用形状の設計自由度も制限されていた。
【0006】
そのため、従来の金属性保護管を備えた加熱器では、被加熱物の形態や加熱目的に合わせた形状、配置にすることが困難であり、その結果、加熱器の電力密度を高くし、表面温度を高くせざるを得ない状況もあった。特に、低温加熱を必要とする場合においては、表面温度を本来必要とする温度以上に高く設定することになり、加熱効率が悪く、消費電力が大きくなるという問題があった。
【0007】
また、保護管として金属管を用いる場合には、発熱体と保護管との間で電気絶縁性能を維持することが困難であった。即ち、加熱器として要求される電気絶縁性能を確保するためには、発熱体を保護管の中心線付近に保持する必要があり、発熱体や絶縁物の片寄り等により発熱体と保護管が接近すると絶縁性が失われるという問題があった。そのため、加熱器の製造過程においては、発熱体を保護管の中心線付近に保持するための工程が必要であり、また、加熱器の曲げ加工を行う場合においても、絶縁性能の劣化という問題を考慮する必要があった。
【0008】
また、従来から用いられている温水循環方式の床暖房装置では、熱源機の設置工事や温水配管の施工等が容易でないという問題があった。即ち、温水循環方式の床暖房設置では、床暖房パネルを設置する建物工事の他、ボイラー等の熱源機の設置工事と、燃料となるガス等の配管工事と、熱源機から床暖房を行う部屋への温水配管工事と、熱源機や制御機器の電気工事等が必要であった。このように、従来の温水循環方式の床暖房装置では建物全体に係わる工事作業が発生していた。そこで、特に、リフォーム等で既設住宅へ設備を追加設置するような場合や、暖房設備の更新工事を行うような場合、また、住宅内の一部分のみに床暖房を行いたい場合等には、設置工事が容易に行える床暖房装置が望まれていた。
【0009】
また更に、従来の温水循環方式の床暖房装置では、循環する温水からの顕熱放出により暖房を行うので、温水配管内を流れる温水の温度は熱放出によって低下する。そのため、温水配管は、温水流れ方向に温度勾配を持つことになり、その結果、床暖房パネルの表面温度を均一にすることが困難であるという問題があった。
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、生産性・加工性に優れ、安全且つ高効率に均一加熱を行うことができる加熱器を提供すること、並びに設置工事が容易で高効率に均一加熱を行うことが可能な床暖房用パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1発明の加熱器は、保護管の内部に単線状又は撚り線状の発熱体を設けた加熱器において、前記保護管は可撓性を有し、前記発熱体の外周面は被覆材で覆われており、前記被覆材と前記保護管内面との間隙に砂が充填されていることを特徴とする。
【0012】
第2発明の加熱器は、前記保護管が可撓性の樹脂であり、前記砂が川砂若しくは海砂であることを特徴とする。
【0013】
第3発明の加熱器は、配線穴が形成された封止部材を備え、前記配線穴に前記発熱体に接続される配線を通すと共に前記封止部材は前記保護管端部の外周面又は内周面に嵌合され、前記封止部材の外周面に取り付けられ前記封止部材を圧縮し前記配線を固定するカシメ部材を設けたことを特徴とする。
【0014】
第4発明の加熱器の製造方法は、前記砂の粒径を選別する粒径選別工程と、前記砂を乾燥させる乾燥工程と、前記保護管に前記発熱体を挿入する挿入工程と、前記発熱体が挿入された前記保護管の内部に前記砂を充填する砂充填工程とを少なくとも備え、前記砂充填工程は、前記保護管を該中心線が略鉛直になるように配置し加振機により振動させながら前記保護管の上方端部より前記砂を充填することを特徴とする。
【0015】
第5発明の床暖房用パネルは、上面に断面略U字形状の溝が形成された矩形板状のパネル基材と、前記溝に装着される線形状の加熱器と、前記パネル基材及び前記加熱器の上面に接着される熱伝導シートとからなる床暖房用パネルであって、前記加熱器として本願第1発明乃至第3発明何れか一の発明に係る加熱器を用いたことを特徴とする。
【0016】
第6発明の床暖房用パネルは、前記パネル基材と前記加熱器との間に第二の熱伝導シートを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1発明の加熱器によれば、前記保護管は可撓性を有し、且つ前記保護管内部の間隙に砂が充填されているので、容易に加熱器の曲げ加工を行うことができる。そのため、特別な曲げ加工機械が不要となり、加熱器の生産性が向上する。また、予め工場で加熱器の曲げ加工をしなくても、加熱器を利用する現場において容易に曲げ加工を行うことが可能となる。また、曲げ加工を容易に行えるので、複雑な曲げ形状を採用できるようになり、設計形状の選択自由度が大きくなる。
【0018】
そして、本発明の加熱器は、容易に曲げることができるので、比較的長尺の製品を製作することが可能であり、また、被加熱物の形態や加熱目的に合わせて自由に形状、配置を変えることができる。従って、加熱器の表面積を増大させると共に、発熱体と被加熱物との距離を近づけることができるので、加熱器の電力密度を低くし、表面温度を低く設定することが可能となる。その結果、加熱器の加熱効率が向上し、消費電力を抑えることができる。
【0019】
また更に、本発明の加熱器では、前記保護管内部に砂を充填しているので、加熱器の曲げ加工性を確保しつつ、発熱体から発生する熱を効率的に保護管表面へと伝達することができる。その結果、高効率で均一な加熱が可能となる。また、前記発熱体の外周面は被覆材で覆われいるので、発熱体の電気絶縁性を確保すると共に、生産時や曲げ加工時の発熱体の損傷を防止することができる。その結果、加熱器の生産性・曲げ加工性が向上すると共に、安全な加熱が可能となる。
【0020】
第2発明の加熱器によれば、前記保護管が可撓性の樹脂管であるので、発熱体の片寄り等により発熱体と保護管が接近した場合であっても電気絶縁性能を維持できるようになる。そのため、加熱器の生産時や曲げ加工時に保護管内における発熱体の位置を正確に管理する必要がなくなり、加熱器の生産性・加工性が向上し、且つ安全な加熱が可能となる。また、前記砂として川砂若しくは海砂を採用したので、材料調達が容易になり、加熱器の生産性が向上する。
【0021】
第3発明の加熱器によれば、配線穴が形成された封止部材を備え、前記配線穴に前記発熱体に接続される配線を通すと共に前記封止部材は前記保護管端部の外周面又は内周面に嵌合され、前記封止部材の外周面に取り付けられ前記封止部材を圧縮し前記配線を固定するカシメ部材を設けたので、加熱器の保護管端部密封処理を容易に行えるようになる。そのため、加熱器の生産性が向上する。
【0022】
第4発明の加熱器の製造方法によれば、前記砂の粒径を選別する粒径選別工程と、前記砂を乾燥させる乾燥工程と、前記保護管に前記発熱体を挿入する挿入工程と、前記発熱体が挿入された前記保護管の内部に前記砂を充填する砂充填工程とを少なくとも備え、前記砂充填工程は、前記保護管を該中心線が略鉛直になるように配置し加振機により振動させながら前記保護管の上方端部より前記砂を充填するので、前記砂を均一に効率的に保護管内部に充填することが可能となる。そのため、加熱器の生産性が向上する。
【0023】
第5発明の床暖房用パネルによれば、上面に断面略U字形状の溝が形成された矩形板状のパネル基材と、前記溝に装着される線形状の加熱器と、前記パネル基材及び前記加熱器の上面に接着される熱伝導シートとからなる床暖房用パネルであって、前記加熱器として本願第1発明乃至第3発明何れか一の発明に係る加熱器を用いたので、床暖房パネルの設置工事が容易で、高効率で均一な床暖房を行うことができる。特に、建物の一部分のみを床暖房する場合や、既設住宅のリフォーム等を行う場合であっても、容易に設置工事を行うことができるようになる。
【0024】
第6発明の床暖房用パネルによれば、前記パネル基材と前記加熱器との間に第二の熱伝導シートを設けたので、更に効率良く均一的な加熱を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る加熱器の構造を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る加熱器の端部構造を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る加熱器の保護管接続部を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る加熱器の生産工程を示す説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る加熱器の生産治具を示す説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る加熱器の構造を示す斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る床暖房用パネルの断面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る床暖房用パネルの平面図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る床暖房用パネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係る加熱器を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る加熱器10の構造を示す部分破断斜視図である。第1の実施形態に係る加熱器10は、被覆材12で覆われた発熱体11を保護管13の内部に挿入し、前記被覆材12と保護管13の内面との隙間に絶縁物としての砂14を充填している。
【0027】
発熱体11は、単線状又は撚り線状の抵抗発熱体であり、通電することにより熱を発するものである。本実施形態では発熱体11として、ニッケル−クロム合金線を用いている。発熱体11の材質としては、他にも、鉄−クロム−アルミ系合金等を採用することができる。発熱体11の抵抗値は、所定の発熱量即ち所定の電流値が得られるように設定されており、具体的には、発熱体の全長と直径とを適切に選定することにより調整されている。尚、発熱体11の両端部分には、図2に示すように、接続配線18が接続具32を介して通電可能に接続されている。
【0028】
被覆材12は、生産時や曲げ加工時に砂14によって発熱体11が損傷することを防ぐと共に絶縁性を確保するためのものであり、発熱体11の外周面を覆うシリコンゴムからなる。他にも被覆材12として、エナメル等や、耐熱性の樹脂、例えば、ビニル系樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、天然ゴム、エチレンプロピレン、クロロプレン等を採用しうる。このように、発熱体11の外周面を被覆材12で覆うことにより、外力や砂14に含有される水分や不純物等による発熱体11の損傷や劣化を防止できるので、加熱器10の耐荷重性や耐候性、耐久性が向上する。また、水分による絶縁性能の低下も防止することができるので、安全な加熱が可能となる。また、生産時や曲げ加工時の発熱体11の損傷を防止することができるので、加熱器の生産性・曲げ加工性が向上する。
【0029】
保護管13は、可撓性を有する樹脂管であり、本実施形態では、外径10mm、内径7mm、長さ3mの架橋ポリエチレン管を用いている。保護管13の材質としては、他にも、可撓性を有する樹脂、例えば、シリコン、ポリブデン、軟質塩化ビニル、四フッ化エチレン樹脂等を採用することができる。保護管13として樹脂管を用いると、発熱体11の片寄り等により発熱体11と保護管13が接近した場合であっても電気絶縁性能を維持できるようになる。そのため、加熱器10の生産時や曲げ加工時に保護管内における発熱11体の位置を正確に管理する必要がなくなり、加熱器10の生産性・加工性が向上し、且つ安全な加熱が可能となる。
【0030】
保護管13の内部には、絶縁物として砂14が充填されている。砂14は、発熱体11で発せられる熱を保護管13へと伝導するための熱伝達媒体としても機能する。このように、可撓性の保護管13の内部に砂14を充填しているので、加熱器10は容易に曲げることができ、且つ、発熱体11から発生する熱を効率的に保護管表面へと伝達することができる。その結果、高効率且つ均一な加熱が可能となる。本発明の加熱器は、熱伝達媒体として固体粒子である砂14を充填しているので、熱伝達媒体として液体を封入する場合に比べ、液漏れ等の恐れが全くない点が特に優れている。
【0031】
また、本実施形態に係る加熱器10では、砂14として、川砂若しくは海砂を用いている。砂14の構成物は、石英、長石、岩片、その他各種鉱物である。川砂若しくは海砂は、調達が容易であり、廉価であるので、生産面で有利である。また、特に、川砂を用いた場合、川砂には塩分等の含有が少ないので、前処理工程としての塩分除去等を目的とした洗浄が不要になるというメリットがある。そのため、川砂を採用することにより、加熱器10の生産性が更に向上する。尚、砂14としては、所謂山砂や火山砂、人口破砕された砕屑物等、その他の種類の砂を採用することも可能である。
【0032】
図2は、本実施形態に係る加熱器10の端部構造を示す断面図である。加熱器10の端部は、封止部材16及びカシメ部材17により封止されている。
封止部材16は、中心軸部に配線穴16aが形成された略円筒状の形状であり、保護管13の端部内面に挿入される。前記配線穴16aは、発熱体11に接続される配線18を通すためのものである。封止部材16の外周面の前記保護管13に嵌挿される部分には、該外径の大なる部分16bと小なる部分16cを設けて、略円錐台の形状を複数の並べた形状としており、これにより、保護管13の内周面への挿入を容易にすると共に抜けを防止し、確実な封止を可能としている。封止部材16の材質としては、ゴム系の樹脂材料を採用しうる。
【0033】
封止部材16として、前記のように保護管13の内周面に嵌め込む形状に代えて、保護管13の外周面に嵌め込む形状を採用することも可能である。前者のごとく保護管13の内周面に嵌め込む形状を採用すると封止部材16を小さくすることが可能で、加熱器10の端部形状をコンパクトにまとめることができる点で有利である。特に、この場合、加熱器10には保護管13の外径より大きな径となる部分がないので、加熱器の設置・利用時の取り扱い上問題が少ない。他方、後者のごとく保護管13の外周面に封止部材16を嵌める仕様では、勘合前に保護管13の外周面に付着した砂14等の異物を容易に拭き取ることができるので、生産性が良く、生産工程における勘合面への異物噛み込みが少ないとう点において有利である。
【0034】
カシメ部材17は、前記封止部材16の外周面に装着され、前記封止部材16を圧縮し、配線穴16aを塞ぐと共に前記配線を固定するものである。カシメ部材17の形状としては、リング状のものを用いても良いし、帯状のものを丸めて使用しても良く、材質としては、鉄等の金属や、樹脂等を用いることができる。カシメ方法としては、金属等の塑性変形を利用する所謂圧着方式でも良いし、ロック機構を備えたその他の方法でも良い。本実施形態に係る加熱器では、カシメ部材17として、ロック機構を備えた樹脂製のバンド、所謂結束バンド又はケーブルタイを用いており、効率よくカシメ作業を行うことができる。
【0035】
図3は、本実施形態に係る加熱器10の保護管接続部を示す断面図である。本実施形態に係る加熱器10では保護管13として長さ3mの架橋ポリエチレン管を用いているが、加熱器10の長さはこれに限定されるものではない。図3に示すように接続材19を用いて保護管13を必要数接続して、加熱器10を所定の長さにすることができる。本実施形態に係る加熱器10では、接続材19として樹脂性の粘着テープを用いている。そのため、保護管接続作業を容易に行うことができる。尚、接続材19として、アルミテープ等その他の粘着テープを採用することも可能である。また、接続材19として、円筒形状で、該円筒の内周面に保護管13の外周面が嵌挿されるように成形された樹脂等からなる継手を用いることもできる。
【0036】
次に、本発明の実施形態に係る加熱器の製造方法について詳細に説明する。
粒径選別工程では、充填される絶縁物の原材料となる川砂から、粒径が所定の大きさより小さいものを選別する。選別方法は、川砂を篩にかけることによる。即ち、所定のピッチを持つ金属性メッシュに振動を加えながら川砂を通過させることにより、所定の粒径より小さいものを選別している。これにより、保護管13に砂14を充填する作業の効率が高まると共に均一に充填することが可能となる。ここで、砂14の所定の粒径とは、0.1mmから1.0mmであり、更に好ましくは、粒径0.8mm以下である。
【0037】
次に、乾燥工程では、前記粒径選別工程で所定の粒径に選別された砂14を、乾燥炉を用いて乾燥させる。これにより、砂14に含まれる水分が除去され、その結果、砂14の粒子が互いに付着することを防止できるので、砂14の充填作業性が格段に向上する。更に、水分含有に起因する砂14の絶縁性不良や発熱体11の劣化を防止することができる。尚、砂14の乾燥度の管理は、乾燥時間の調整により行うことができる。
【0038】
挿入工程では、予め両端に配線18を接続した発熱体11を保護管13の内部に挿入する。この時、保護管13を該中心線が略鉛直、即ち水平面に対して略垂直になるように立てて、尚且つ、加振機により保護管13に振動を加えながら、発熱体11を保護管13の上端部より挿入することにより、効率よく挿入作業を行うことが可能となる。また、保護管13の一方端部より圧縮空気を流しながら同端部より発熱体11を挿入することにより、挿入工程の作業性を向上させることもできる。
【0039】
次に、砂充填工程では、前記発熱体11が挿入された後の保護管13の内部に砂14を充填する。図4は、本発明の第1の実施形態に係る加熱器10の砂充填工程を示す説明図である。図4において、矢印Aは、砂14を充填する方向を示している。前記砂充填工程は、前記保護管13を該中心線が略鉛直、即ち水平面に対して略垂直になるように配置し加振機により振動させながら保護管13の上方端部より砂14を充填する。これにより、砂14を均一且つ効率的に保護管13の内部に充填することが可能となる。尚、この時、予め保護管13の一端を封止部材16及びカシメ部材17により封止しておき、他端部より砂14を充填することになる。そして、砂14の充填が完了した部分を、図4に示すように、順次コイル状に巻き上げていく。これにより、作業スペースを狭くすることができ、設備も小さくすることができる。また、加熱器10を巻き上げた形状のまま次工程への移動や出荷を行うことができるので、作業効率が向上する。
【0040】
尚、砂充填工程においては、保護管13を該中心線が略鉛直且つ直線状になるように保持するため、保持用の治具31を用いている。本実施形態では、保護管13を保持する治具31として、図5に示すように、ステンレス鋼棒又は鋼管3本を利用している。ステンレス鋼棒3本を各々の中心線が互いに平行であり、鉛直、即ち水平面に対して垂直であり、且つ等間隔、即ち正三角形状に配置されるよう立設し、該3本のステンレス鋼棒の間に保護管13を通すようにしている。前記ステンレス鋼棒の間隔は、鋼棒の外周面と保護管13の外周面が適度なクリアランスを持って接するように設定している。このように、保護管13を保持する治具31を用いることにより、可撓性を有する保護管13の内部に砂14を充填する作業の効率を向上させることができる。尚、本実施形態の治具31は、簡便に保護管13を保持できる点において優れているが、保持用の治具31の形状や材質としては、本実施形態に限定されるものではなく、保護管13を該中心線が略鉛直且つ直線状になるように保持できれば、その他の形態でも差し支えない。
【0041】
保護管13を複数接続して、比較的長尺の加熱器10を製造する場合には、一つの保護管13に対して前記の挿入工程と砂充填工程を行った後、延長接続する保護管13に対して、挿入工程、接続、砂充填工程を繰り返して実施すれば良い。即ち、延長接続する保護管13に発熱体11を挿入し、既に砂が充填されている側の保護管13と延長する側の保護管13の管端部を互いに突合せ、外周面を接続材19としての樹脂粘着テープで固定接続した後、前記と同様の方法により、砂14を充填していく。このように、複数の所定長の保護管13を接続する構成を採用することにより、発熱体11の挿入工程と砂14の充填工程の作業効率を低下させずに長尺の加熱器10を製造することが可能となる。
【0042】
また、砂充填工程として、保護管13の一方の端部のみから砂14を充填する前述の方法に代えて、保護管13を略U字形状に曲げて該両端部が上方になるように略鉛直に立てて、両端部から砂14を充填すという方法を採用することも可能である。この場合、砂充填工程の作業効率が更に向上し、特に、比較的短尺の加熱器10を製造する場合に有利である。
【0043】
また、砂充填工程において、圧縮空気を用いて砂14を圧送充填する方法や、保護管13内部を真空引きした後、砂14を吸引充填する方法を採用することも可能である。これらの方法を前述の加振充填する方法と併せて採用することにより、砂充填工程の作業効率が更に向上する。
【0044】
砂充填工程が完了した後、加熱器10の端部封止を行う。砂14の充填口となっていた端部の配線18を封止部材16の配線穴16aに通し、封止部材16を保護管13の内周面に嵌め込む。そして、カシメ部材17としての所謂結束バンドを、前記封止部材16の外周面に装着し締め付けることにより前記封止部材16を圧縮し、配線穴16aを塞ぐと共に前記配線18を固定する。このように、本発明の加熱器は、保護管13の端部密封処理を容易に行えるので、生産性に優れている。以上の工程により、加熱器10の製造が完了する。
【0045】
次に、第1の実施形態に係る加熱器10の動作について説明する。
加熱器10を所定の形状にて配設し、発熱体11に繋がる配線18を電源若しくは電源に接続された温度コントローラに接続する。尚、本実施形態に係る発熱体11の電源としては、交流100V電源を使用している。加熱器10に通電されると発熱体11は発熱し、その熱は砂14に伝わり、保護管13へと伝達される。そして、保護管13の外周表面は所定の温度となり、加熱の用途に利用される。保護管13の表面温度或いは被加熱物の温度等を検出し、その温度に基づいて、図示しない温度コントローラにより、加熱器10への通電を制御することにより、加熱器10の加熱能力を調整することができる。温度コントローラとしては、簡易な方法として、例えば、バイメタル式等のサーモスイッチを用いることができる。
【0046】
ここで、発熱体11で発せられた熱は砂14を介して効率的に伝えられるため、保護管13の表面は、温度むらが少なく均一に加熱されることになる。また、砂14は適度な熱容量を有しているため、その蓄熱作用により、負荷の変動に対して安定した加熱を行うことが可能となる。即ち、負荷が急激に大きくなっても、砂14に蓄えられていた熱が放出されるため、加熱器10の表面温度若しくは被加熱物の温度が急激に低下することを抑えることができる。また、砂14の蓄熱作用によって加熱器10の温度変化が緩やかになるので、加熱器10を所定の温度に維持するための制御サイクル、即ち、加熱器10の通電ON、OFFサイクルが長くなり、その結果、加熱器10や制御装置の耐久性が向上するという効果が得られる。
【0047】
また更に、発熱体11の発熱が砂14を介して保護管13へと伝えられるため、保護管13の表面温度は発熱体11の温度より十分に低く、暖房や結露防止等比較的低温度の用途に対して好適で安全な加熱が可能となる。
【0048】
また、本発明の加熱器10は容易に曲げることができるので、比較的長尺の製品を製作することが可能であると共に、被加熱物の形態や加熱目的に合わせて自由に形状、配置を変えることができる。従って、金属性の保護管を備えた従来の加熱器と比較すると、加熱器の表面積を大きく、発熱体と被加熱物との距離を小さくすることができる。その結果、本発明の加熱器10は、従来の加熱器に比べて、電力密度を小さくし、表面温度を低く設定することができるので、加熱効率が高く、消費電力を低く抑えることができる。
【0049】
例えば、複雑な形状をした熱交換器の霜取りを行う場合、金属性保護管を備えた従来の加熱器では、曲げ加工が困難であったため、熱交換器から離れた位置(通常は熱交換器の上流側、即ち、空気等熱交換媒体供給側)に加熱器を設置し、加熱を行っていた。そのため、加熱器の表面温度を、除霜に必要な周囲温度よりもはるかに高い温度に設定する必要があった。それに対して、本発明の加熱器10は、容易に曲げて自由な形状を採用しうるので、熱交換器の除霜が必要な部分の近くに設置することが可能であり、長さについても従来のものより長くすることができる。その結果、加熱器10の表面温度を従来より低い温度に設定しても、十分に目的の効果を得ることができる。このように、本発明の加熱器10を採用することにより、特に低温度の加熱用途において、電力密度を抑えた高効率な加熱を行うことができるようになり、消費電力を削減することが可能となる。
【0050】
次に、本発明の他の実施形態である第2の実施形態に係る加熱器について、図面に基づき詳細に説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る加熱器110の部分破断斜視図である。図6において、第1の実施形態に係る加熱器10と同一若しくは同様の作用、効果を奏する構成要素については、同じ番号を付している。第2の実施形態に係る加熱器110は、保護管13の外周表面に熱伝導部材としての均熱材15を備えている。この点が、前述の第1の実施形態に係る加熱器10との相違点である。発熱体11、被覆材12、保護管13、砂14、封止部材16、カシメ部材17は、既に説明した第1の実施形態に係る加熱器10と同一の構成で同一の作用、効果を奏するので、その説明を省略し、第1の実施形態との相違点についてのみ詳細に説明する。
【0051】
本実施形態に係る加熱器110は、保護管13の外周面に均熱材15を備えている。均熱材15は、厚み約0.1mm程度のシート状又はテープ状のアルミニウムからなり、粘着材により保護管13の外周表面に接着されている。高熱伝導率の均熱材15により、保護管13の表面の熱が伝達されるため、加熱器110の表面温度むらが更に少なくなり、均一な加熱が可能となる。尚、均熱材15としては、アルミニウムの他、その他の金属箔やシリコン、アクリル等の樹脂複合材も採用しうる。
【0052】
次に、本発明の他の実施形態である第3の実施形態に係る床暖房用パネルについて、図面に基づき詳細に説明する。
図7は、本発明の第3の実施形態に係る床暖房用パネル20の断面図であり、図8は、床暖房用パネル20の平面図である。床暖房用パネル20は、住宅の床面下に設置され住宅内を床面から暖めるものであり、加熱源として、前述の第1の実施形態に係る加熱器10又は第2の実施形態に係る加熱器110を用いている。加熱器10及び加熱器110については既に説明した通りであるので、その説明を省略し、第1乃至第2の実施形態との相違点についてのみ詳細に説明する。
【0053】
本実施形態に係る床暖房用パネル20は、縦長矩形板状のパネル基材21と、パネル基材21に形成された溝27に装着される加熱源としての加熱器10と、熱伝導シート24と、小根太22とから構成される。床暖房用パネル20の単位モジュールの寸法は、幅約1尺、即ち303mm、長さ約1590mmである。設置場所に応じて必要数のモジュールを組み合わせて床暖房用パネル20を構成することが可能である。また、床暖房用パネル20の上面には、床面となる床材25が敷設される。
【0054】
パネル基材21は、発泡ポリスチレンからなる、厚み約12mmから15mmの縦長矩形板状のパネル材である。そして、パネル基材21は、加熱器10を保持するための基礎部材であると共に、加熱器10の熱がパネル下面へと逃げることを防止するための断熱材としての機能も果たす。パネル基材21の一方の面、即ち、設置されたときに上側となる面には、断面略U字形状の溝27が図8に示すように略U字形状に形成されている。この溝27は、加熱器10を保持するためのものである。加熱器10は、前述の通り、可撓性を有するので、溝27の配置形態は、本実施形態の形状に限らず、蛇行状等、自由な形態を採用しうる。また、パネル基材21は、型内発泡により製造され、前記溝27も発泡成形時に同時に形成される。尚、パネル基材21の材質としては、発泡ポリスチレンの他、木材や、その他樹脂材料等を採用することも可能である。
【0055】
加熱源としての加熱器10は、パネル基材21の前記溝27に装着される。前述の通り、加熱器10は、可撓性の保護管13の内部に砂14を充填してなる構造であるので、特別な曲げ加工機械を必要とせず容易に曲げることが可能である。そのため、パネル基材21に加熱器10を成形して装着する工程を極めて容易に行うことができ、床暖房用パネルの生産性を向上させることができる。
【0056】
熱伝導シート24は、床面の温度むらを少なくして、均一に加熱するためのものであり、パネル基材21に加熱器10を装着した後、更にその上面に貼付されるものである。熱伝導シート24は、厚み約0.1mm程度のアルミニウム箔である。アルミニウムは、熱伝導率が高く、加熱器10の熱を効率的に均一に伝達することができると共に、加工性にも優れている。尚、熱伝導シート24として、その他の金属箔や、複合樹脂シート材を用いることも可能である。熱伝導シート24を備えることにより、効率的で均一な加熱を行うことが可能となる。
【0057】
小根太22は、床暖房用パネル20の各モジュールの片側長辺部分に配設され、床暖房用パネル20の強度を担保し、また、床暖房用パネル20を床面下地材へ固定したり、床材25を固定するためのものである。小根太22の材質は、木材である。ここで、小根太22の上面側は、前記の熱伝導シート24に接着固定されている。本実施形態に係る床暖房用パネル20は、小根太22を備えているので、設置後、床面の十分な強度を確保することが可能となる。また、設置前の状態においても、小根太22によりパネル基材21が補強されるので、床暖房用パネル20の輸送等取り扱いが容易になり、パネル設置の作業性も向上する。
【0058】
床材25は、住宅の床面を構成する所謂フローリング材であり、床暖房用パネル20の上面、即ち前記熱伝導シート24が接着された後のパネル基材21の上側面に敷設される。床材25としては、一般の木質フローリング材の他、畳、タイル、カーペット、コルク材、クッションフロア材、塩化ビニルシート材等を採用しうる。
【0059】
また、本実施形態に係る床暖房用パネル20は、図示しない温度センサを備えている。前記温度センサは、パネル基材21の内部や加熱器10の表面に装着され、当該部分の温度を検出するものである。これにより、加熱器10の出力を制御し、床面の温度を好適に維持することが可能となる。即ち、前記温度センサが検出した温度は図示しない床暖房用コントローラにより読み取られ、前記床暖房用コントローラは、床暖房用パネル20の加熱器10の通電を制御する。そのことにより、床暖房を行う住宅の床面、即ち床材25の表面温度を快適な温度に制御できる。前記温度センサと前記床暖房用コントローラとして、簡便な方法としては、例えば、バイメタル式のサーモスイッチを用いることもできる。
【0060】
以上説明の構成による床暖房用パネル20は、住宅の床面下地材、即ち、根太上に設置された合板等の上に設置される。また、コンクリート構造の住宅等では、床面下地となるコンクリートスラブ上に設置することもできる。更にまた、増改築時等には、既設床面の上に設置することも可能である。そして、床下地合板等の上に本実施形態に係る床暖房用パネル20を設置した後、各々のパネルの配線18を電源線若しくは前記の床暖房用コントローラ等に接続する。配線接続後、床暖房用パネル20の上に床板25を敷設する。
【0061】
本実施形態に係る床暖房用パネル20は、上記の構成、即ち、パネル基材21、加熱器10、熱伝導シート24及び小根太22を備えたモジュールを、設置現場の広さに合わせて適宜1モジュールから数モジュールを組み合わせた状態まで工場で組み立てられ出荷される。そのため、設置現場では、通常の床張り作業に比べ、予め組み立てられた床暖房用パネル20を床下地材等の上に設置する作業が追加されるのみであるので、極めて容易に床暖房の設置工事を行うことができる。
【0062】
また、上記の構成での生産に代えて、床暖房用パネル20の上面に床材25を備えた状態まで工場で生産することも可能である。その場合、建築現場で床暖房用パネル20を敷設した後に床材25を張る工事が不要となるので、更に施工性が向上する。
【0063】
また更に、上記の生産出荷形態に限らず、建築現場で加熱器10の配設工事を行うこととしても差し支えない。即ち、設置現場で、パネル基材21を床下地材等の上に設置し、加熱器10をパネル基材21に設けられた溝27に装着し、熱伝導シート24を接着した後、床材25を張ることとしても良い。そのような場合であっても、本発明の加熱器10は曲げ加工を容易に行うことができるので、曲げ加工機械等を必要とせず、施工作業を容易に行うことができる。
【0064】
このように、本実施形態に係る床暖房用パネル20は、住宅の下地合板上に設置されるので、下地合板の下に設置される、所謂根太間ヒータに比べると、設置工事が極めて容易である。また、温水循環式の床暖房装置に比べると、ボイラー等の熱源機を必要としないので、熱源設備の設置工事や燃料配管工事、温水配管工事等も必要なくなるという点で優れている。特に、本発明の床暖房用パネルによれば、建物の一部分のみを床暖房する場合や、既設住宅のリフォーム等を行う場合であっても、容易に設置工事を行うことができるようになる。
【0065】
また、以上の説明の通り、本発明の床暖房用パネルによれば、パネル基材21がパネル下面への熱の損失を抑えると共に、熱伝導シート24が効率的且つ均一的に加熱器10の熱を床面に伝えるので、高効率で均一な床暖房を行うことができる。
【0066】
次に、本発明の他の実施形態である第4の実施形態に係る床暖房用パネルについて、図面に基づき詳細に説明する。
図9は、本発明の第4の実施形態に係る床暖房用パネル120の断面図である。図において、第3の実施形態に係る床暖房用パネル20と同一若しくは同様の作用効果を奏する構成要素については、同じ番号を付している。本実施形態に係る床暖房用パネル120は、縦長矩形板状のパネル基材21と、パネル基材21に接着される第二の熱伝導シート23と、パネル基材に形成された溝27に装着される加熱源としての加熱器10と、熱伝導シート24と、小根太22とから構成される。本実施形態に係る床暖房用パネル120は、第二の熱伝導シート23を備えている点が、前述の第3の実施形態に係る床暖房用パネル20と相違する。以下、この相違点についてのみ詳細に説明する。
【0067】
第二の熱伝導シート23は、床面の温度むらを少なくして、均一に加熱するためのものであり、パネル基材21の前記一方の面、即ち、上側となる面に接着される。ここで、第二の熱伝導シート23は、溝27の内面壁に沿うように接着されている。第二の熱伝導シート23は、厚み約0.1mm程度のアルミニウム箔である。アルミニウムは、熱伝導率が高く、加熱器10の熱を効率的に均一に伝達することができると共に、加工性にも優れている。尚、第二の熱伝導シート23として、その他の金属箔や、複合樹脂シート材を用いることも可能である。
【0068】
加熱源としての加熱器10は、前記の第二の熱伝導シート23が接着された後の前記溝27に装着される。そして、熱伝導シート24は、パネル基材21に加熱器10を装着した後、更にその上面に貼付されるものである。即ち、溝27に装着される加熱器10は、下側の第二の熱伝導シート23と、上側の熱伝導シート24に挟まれることになる。第二の熱伝導シート23を備えることにより、更に効率的で均一な加熱を行うことが可能となる。
【0069】
ここで、図9においては、第二の熱伝導シート23をパネル基材21の上面全体に亘って設ける例を示しているが、これに代えて、第二の熱伝導シート23を溝27及びその周囲部分のみに設ける構成としても差し支えない。前者のごとく第二の熱伝導シート23を全体に亘って設ける構成では、第二の熱伝導シートによる熱伝導効果が大きい点において有利であり、他方、後者ごとく溝27及びその周囲部分にのみ設ける構成においては、材料使用量を削減すると共に作業効率を向上させることができる点において優れている。
【0070】
以上説明の通り、本実施形態に係る床暖房用パネル120によれば、パネル基材21がパネル下面への熱の損失を抑えると共に、第二の熱伝導シート23及び熱伝導シート24が効率的且つ均一的に加熱器10の熱を床面に伝えるので、更に高効率で均一な床暖房を行うことができる。
【0071】
尚、上記の第3乃至第4の実施形態では、加熱源として加熱器10を用いる場合についてのみ詳細に説明をしたが、既に述べた通り、加熱源としては第2の実施形態に係る加熱器110を用いることも可能である。その場合、加熱器110は、保護管13の表面に均熱材15を備えているので、更に効率良く均一的な加熱を行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の加熱器は、暖房用途の他、霜取り用、結露防止用、乾燥用等の加熱源として産業上広く利用することが可能である。
【符号の説明】
【0073】
10、110・・・加熱器
11・・・発熱体
12・・・被覆材
13・・・保護管
14・・・砂
16・・・封止部材
16a・・・配線穴
17・・・カシメ部材
18・・・配線
20、120・・・床暖房用パネル
21・・・基材
23・・・第二の熱伝導シート
24・・・熱伝導シート
25・・・床材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護管の内部に単線状又は撚り線状の発熱体を設けた加熱器において、前記保護管は可撓性を有し、前記発熱体の外周面は被覆材で覆われており、前記被覆材と前記保護管内面との間隙に砂が充填されていることを特徴とする加熱器。
【請求項2】
前記保護管が可撓性の樹脂であり、前記砂が川砂若しくは海砂であることを特徴とする請求項1記載の加熱器。
【請求項3】
配線穴が形成された封止部材を備え、前記配線穴に前記発熱体に接続される配線を通すと共に前記封止部材は前記保護管端部の外周面又は内周面に嵌合され、前記封止部材の外周面に取り付けられ前記封止部材を圧縮し前記配線を固定するカシメ部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項2何れか一項記載の加熱器。
【請求項4】
前記砂の粒径を選別する粒径選別工程と、前記砂を乾燥させる乾燥工程と、前記保護管に前記発熱体を挿入する挿入工程と、前記発熱体が挿入された前記保護管の内部に前記砂を充填する砂充填工程とを少なくとも備え、前記砂充填工程は、前記保護管を該中心線が略鉛直になるように配置し加振機により振動させながら前記保護管の上方端部より前記砂を充填することを特徴とする請求項1乃至請求項3何れか一項記載の加熱器の製造方法。
【請求項5】
上面に断面略U字形状の溝が形成された矩形板状のパネル基材と、前記溝に装着される線形状の加熱器と、前記パネル基材及び前記加熱器の上面に接着される熱伝導シートとからなる床暖房用パネルであって、前記加熱器として請求項1乃至請求項3何れか一項記載の加熱器を用いたことを特徴とする床暖房用パネル。
【請求項6】
前記パネル基材と前記加熱器との間に第二の熱伝導シートを設けたことを特徴とする請求項5記載の床暖房用パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−97998(P2012−97998A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247966(P2010−247966)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(593131666)東京フォーミング株式会社 (8)
【Fターム(参考)】