説明

加熱蒸散システム及びそれを用いた蒸散方法

【課題】薬剤を効率良く蒸散させることのでき、無駄な煙をほとんど発生させることのない加熱蒸散システム及びそれを用いた蒸散方法を提供すること。
【解決手段】凹部を形成した担体収納部12を上面に備えた熱発生装置Aと、加熱により蒸散する薬剤を担持させた担体aとからなる加熱蒸散システム1であって、前記担体収納部12の底面及び前記担体aの下面の少なくとも一方に凹部又は凸部を設け、前記担体aは、厚さ方向に貫通する貫通孔を設けて、担体収納部の底面から加熱蒸散システムの外部へ通じる連通部を形成した状態で該担体収納部に収納される、或いは、外径を担体収納部の内径よりも小さく構成して、その外周面が担体収納部の側面と離間した状態で該担体収納部に収納される加熱蒸散システム1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱蒸散システム及びそれを用いた蒸散方法に関するものであり、詳しくは、薬剤を効率良く蒸散させることができ、無駄な煙をほとんど発生させない加熱蒸散システム及びそれを用いた蒸散方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、屋内や倉庫等に存在する害虫を駆除するため、薬剤を隅々まで到達させることのできる加熱蒸散システムが用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1では、加熱手段を用いて有効成分を蒸散させる加熱蒸散システムが提案されている。この加熱蒸散システムは、図6に示されるような断面略図として示される自己発熱装置21の形態で使用され、該自己発熱装置21は有底円筒状の外容器22を備えており、その底部から側部にかけて加水発熱剤28が収容されている。外容器22は、底部に複数の通水孔を有し、通水孔は通水性を有する部材、例えば不織布シート23によって塞がれている。また、外容器22の内部は、仕切部材24により2つの空間に区画されている。仕切部材24は、円筒状で底部が略中空半球状を呈しており、その側壁が外容器22の周壁と同心状に配置されている。
【0004】
加水発熱剤28は、外容器22の周壁、仕切部材24及び不織布シート23とで形成される空間に充填され、仕切部材24の内部には有効成分、熱分解してガスを発生させる発泡剤、発泡助剤およびその他の添加剤からなる加熱蒸散用薬剤27が収容される。また、外容器22の上部開放面には、仕切部材24の上部開放面に相当する領域に複数の開口部が形成された蓋部材25が被冠されており、更に蓋部材25の開口部は通気孔を有する熱溶融フィルム26によって塞がれている。
【0005】
加水発熱剤28は水との反応により自己発熱する物質であり、例えば酸化カルシウム(生石灰)が用いられている。従って、使用に際して、自己発熱装置21を水Wが入った容器29に浸漬することにより、水Wが通水孔を通じて外容器22内に流入し、加水発熱剤28と接触し、そのとき発生した反応熱により加熱蒸散用薬剤27が加熱されて有効成分が蒸散し、熱溶融フィルム26の通気孔を通じて外部(室内等)に放出される。また、熱溶融フィルム26は加熱蒸散用薬剤27からの放熱、外容器22の熱並びに蒸散した有効成分との接触により熱溶融するため、蒸散の比較的早い時期から、蒸散した有効成分は蓋部材25の開口部を通じて効率良く外部に放出される。
【特許文献1】特開2005−120028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術の加熱蒸散システムは、加熱蒸散用薬剤に含まれる有効成分以外の成分、例えば有機発泡剤からの分解物などの灰により、室内が汚染されたり、観葉植物等の枯死等が生じることがあった。また、室内での煙の濃度が一時的に高くなり、火災報知器の誤作動の危険性があった。
【0007】
そこで本発明は、薬剤を保持した固体の担体から薬剤を効率良く蒸散させることができ、無駄な煙をほとんど発生させることのない加熱蒸散システム及びそれを用いた蒸散方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明は、以下の(1)〜(3)によって達成されるものである。
(1) 凹部を形成した担体収納部を上面に備えた熱発生装置と、加熱により蒸散する薬剤を担持させた担体とからなる加熱蒸散システムであって、前記担体収納部の底面及び前記担体の下面の少なくとも一方に凹部又は凸部を設け、前記担体は、厚さ方向に貫通する貫通孔を設けて、担体収納部の底面から加熱蒸散システムの外部へ通じる連通部を形成した状態で該担体収納部に収納される、或いは、外径を担体収納部の内径よりも小さく構成して、その外周面が担体収納部の側面と離間した状態で該担体収納部に収納されることを特徴とする加熱蒸散システム。
(2) 前記担体収納部の深さを、前記担体を当該担体収納部に収納した際に担体の上面が担体収納部の上面と略等しいかそれより低くなるように設定し、該担体を下面側と側面側の両方から加熱することを特徴とする前記(1)に記載の加熱蒸散システム。
(3) 前記(1)又は(2)に記載の加熱蒸散システムを用いて薬剤を蒸散させる方法であって、前記熱発生装置により生じた熱により担体を加熱して、該担体の下面から蒸散した薬剤を、担体の貫通孔や担体の外周に形成された間隙から外部へ蒸散させることを特徴とする蒸散方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の加熱蒸散システムは、担体収納部及び担体を特定の構造とすることで、担体を担体収納部に収納した際に、担体の下方から外部へ通じる間隙を形成するため、加熱により蒸散した薬剤を担体の下方からも効率よく放出させることができる。また、担体をその下面側と側面側の両方から加熱するので、より効率よく薬剤を加熱蒸散させることができる。更に、本発明の加熱蒸散システムによれば、煙の発生がほとんどないため、室内の汚染、観葉植物等の枯死等の問題がない。
【0010】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の加熱蒸散システムは、凹部を形成した担体収納部を上面に備えた熱発生装置と、加熱により蒸散する薬剤を担持させた担体とからなるものである。そして、担体収納部の底面及び担体の下面の少なくとも一方に凹部又は凸部を設け、担体は、厚さ方向に貫通する貫通孔を設けて、担体収納部の底面から加熱蒸散システムの外部へ通じる連通部を形成した状態で該担体収納部に収納する、或いは、外径を担体収納部の内径よりも小さく構成して、その外周面が担体収納部の側面と離間した状態で該担体収納部に収納するものである。
【0011】
熱発生装置は、発熱手段と凹部を形成した担体収納部を有するものである。該発熱手段は、熱を発生させると共に、薬剤の蒸散に必要な熱を上面の担体収納部に与える機能を有する構造であれば良く、例えば、電気ヒーター、加水発熱剤、酸化発熱剤等が挙げられる。電気ヒーターとしては、例えば、30〜800Wで200〜500℃の発熱温度を有するものを用いることができ、さらに所望の温度を一定に保つ手段(PTCヒーター)を備えていることが好ましい。
【0012】
発熱手段から担体収納部への熱伝導は、両者の構成材料同士、例えば、金属、セラミックス、ガラス、紙、耐熱性プラスチック等の材料同士(同種でも異種でもよい)、あるいはそれら両者材料に対し若しくは担体収納部に対し、空気、窒素、酸素等のガスを介して行われる。ガスを介して行う場合、熱発生装置は、ガスを内部又は外部へ通す構造を設けてもよい。
【0013】
発熱手段として加水発熱剤を用いるものは、熱発生装置が、加水発熱剤を収納する容器と、担体を収納保持する担体収納部とで構成される。該容器には、加水発熱剤が充填され、その底部及び/又は側面の底部近傍に通水部分(通水孔)を有するものが好ましい。ここで、側面の底部近傍とは、容器の側面のうち、水中または水面に接している部分のことであり、水が通水部分を通じて容器に流入することができる範囲を表す。
【0014】
発熱手段として加水発熱剤を用いる場合、操作性の点から、加水発熱剤を収納する容器の直径は5cm以上が好ましく、5〜10cmがより好ましい。また、当該容器の高さは2〜9cmが好ましく、3〜8cmがより好ましい。そして、容器(加水発熱剤充填部)の容積は40cm以上であることが好ましく、100〜480cmであることがより好ましい。
【0015】
担体収納部は、所定の径と深さと底面を有した凹部からなり、熱発生装置の上面に設けられるものである。熱発生装置を円筒状とした場合、担体収納部は同心円筒状とすることが好ましい。該担体収納部の内径は、10〜90mmが好ましく、20〜80mmがより好ましい。そして、担体収納部の深さは、後述する担体の厚みと略等しいかそれよりも高くなるように構成し、担体を担体収納部に収納した際に担体の上面が担体収納部の上面と略等しいかそれよりも低くなるようにするものである。担体収納部の深さは、特に限定されないが、5〜25mm程度とするのが好ましく、5〜20mmとするのがより好ましい。
【0016】
また、担体収納部の底面は平坦部として形成しても良いが、所望に応じて凹部又は凸部を設けることができる。凹部又は凸部を設けることにより、担体収納部に担体を収納した際に、該担体の下面が当該担体収納部と接触しない非接触面を有し、担体の下方に間隙が形成される。担体収納部の底面に凹部又は凸部を設ける場合、その深さ又は高さは担体収納部の深さの5〜40%が好ましく、10〜25%がより好ましい。また、凹部又は凸部の径は、担体収納部を円筒状とした場合、該円の直径の20〜95%が好ましく、25〜90%がより好ましい。つまり、担体収納部の内径が20〜80mmの場合、該担体収納部の底面に設ける凹部又は凸部は、直径を4〜76mmとするのが好ましく、5〜72mmとするのがより好ましい。また、凹部の深さ或いは凸部の高さは0.5〜5mmとするのが好ましく、1〜3mmがより好ましい。このような構造とすることで、担体の下方に空間部分を形成することができる。この空間部分が広すぎたり、狭すぎたりすると、担体の加熱が不十分となったり、薬剤が蒸散しにくくなるため、好ましくない。
【0017】
前記容器に充填される加水発熱剤は、水との反応により自己発熱する物質であり、10分以内に100〜400℃の発熱温度に達するものを用いることができ、例えば酸化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化鉄、ミョウバン、硫酸亜鉛、硫酸マグネシウム、塩化ニッケル等が使用できる。また、薬剤を効率よく蒸散させるために、担体を80〜350℃で加熱できる有効量を用いる必要があり、昇温速度との関係から、通常で40〜400gを用いて、上記した容器の全体に充填することが好ましい。この際に用いられる水は、10〜100mLが適当である。加水発熱剤を用いた発熱手段は、加熱蒸散システムの使用時に、通水部分から水を浸入させて加水発熱剤と接触させて熱を生じさせ、この熱を担体収納部に載置保持された担体に伝導させるものである。
【0018】
担体収納部に収納される担体は、固形状の多孔質体であり、例えば、MgAlSi18(コージライト)、AlSi13(ムライト)、Al(アルミナ)等のセラミックス、フローライト、タルク、クレー、カオリン、パーライト、リン酸水素カルシウム等の無機物が挙げられ、これらを打錠した錠剤、又はこれらにデンプン、カルボキシメチルセルロース塩等の結合剤を加えて混合成型して成型剤の形態で使用することができる。
【0019】
担体は、前記担体収納部の内径と略等しいか、或いは担体収納部の内径よりも小さい外形を有する所望厚さの板材である。担体収納部を円筒状とした場合、加熱効率の点から、担体も円柱状に形成することが好ましい。例えば、担体収納部の内径が20〜80mmの場合、担体の外径(直径)は20〜80mmとするのが好ましく、18〜78mmがより好ましい。また、該担体の厚みは、前記担体収納部の深さと略等しいかそれよりも小さくなるようにし、担体を担体収納部に収納した際に担体の上面が担体収納部の上面よりも突出しないようにする。本発明において、担体の厚みは2〜10mmとするのが好ましく、3〜6mmがより好ましい。
【0020】
担体の担体収納部の底面との接触面(下面)には、所望に応じて凹部又は凸部を設けることができる。凹部又は凸部を設けることにより、担体収納部に担体を収納した際に、該担体の下面が当該担体収納部の底面と接触しない非接触面を有し、従って、担体の下方に間隙が形成される。担体の下面に凹部又は凸部を設ける場合、その深さ又は高さは担体の厚みの10〜50%が好ましく、20〜40%がより好ましい。また、凹部又は凸部の径は、担体を円柱状とした場合、該円の直径の20〜95%が好ましく、50〜70%がより好ましい。つまり、担体の直径が18〜78mmの場合、担体に設ける凹部又は凸部は、直径を4〜74mmとするのが好ましく、9〜55mmとするのがより好ましい。また、凹部の深さ或いは凸部の高さは0.2〜5mmとするのが好ましく0.6〜3mmがより好ましい。このような構造とすることで、担体の下方に薬剤を蒸散させるために十分な空間部分を形成することができる。
【0021】
また、担体収納部の内径と略等しい直径として担体を作製した場合、担体には厚さ方向に貫通孔を形成することが好ましい。この貫通孔は担体の下方に形成した空間部分に連通する位置に形成することが好ましい。貫通孔を設ける場合、担体の直径が18〜78mmの場合、貫通孔の直径は3〜60mmとするのが好ましく、10〜50mmがより好ましい。担体に貫通孔を設けることにより、担体の下方に形成した空間部分に蒸散した薬剤を貫通孔を通って外部へ放出させることができる。尚、貫通孔は、1つ又は2つ以上を設けることができる。
【0022】
そして、担体の外径を担体収納部の内径よりも小さい径として構成した場合は、該担体を担体収納部に収納した際にその外周面が担体収納部の側面と離間した状態となり、担体の周囲に連通部が形成されるものである。この場合、担体の外径は、担体収納部の内径の50〜98%程度とすることが好ましく、60〜96%程度がより好ましい。つまり、担体収納部の内径が20〜80mmの場合、担体の外径を10〜78mmとするのが好ましく、12〜77mmとするのがより好ましい。このような構造とすることで、担体の下方に形成した空間部分に蒸散した薬剤を、連通部を通って外部へ放出させることができる。
【0023】
更に、担体は、その外径を担体収納部の内径よりも小さく形成するとともに、貫通孔を形成してもよい。また、該担体は、その外周面を厚さ方向に複数個切り欠いて連通部を形成してもよい。
【0024】
本発明において、空間率は、担体収納部に担体を収納した際に形成される担体収納部底面、担体収納部側面及び担体上面で囲まれた部分の容積に対する空間部分の割合であって、その空間率は5〜50%とすることが好ましく、18〜40%とするのがより好ましい。空間率を5〜50%とすることで、担体をその下面側と側面側の両方から十分に加熱することができ、また、担体の下方から蒸散した薬剤を効率よく外部へ放出することができる。また、担体の周囲に間隙を設けることにより、加熱により蒸散した薬剤は、間隙部分の空気の上昇気流に乗り、外方へ放出されやすくなる。
【0025】
薬剤を担体に保持させる方法としては、特に限定されないが、例えば、薬液を滴下点滴させる、又は担体を薬剤溶液に含浸し、溶媒を除去することにより保持させることができる。また、担体の成型時に薬剤を混合練り込みしたり、噴霧により担体に含浸させることもできる。本発明において、無駄な煙の発生を防ぐ目的から担体には薬剤のみを保持させるのが好ましいが、薬剤以外に薬剤の担体への保持、蒸散の促進のための助剤、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ペンタエリスリトールテトラキス等の酸化防止等、灯油、流動パラフィン等の溶剤等を添加しても良い。
【0026】
薬剤として殺虫剤を使用する場合は、特に制限されず所期のものが用いられるが、例えば、天然ピレトリン、ピレトリン、ビフェントリン、アレスリン、フタルスリン、レスメトリン、フラメトリン、ペルメトリン、フェノトリン、シフェノトリン、プラレトリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、イミプロトリン、エンペントリン、エトフェンプロックス等のピレスロイド系化合物;プロポクサー、カルバリル等のカーバメイト系化合物;フェニトロチオン、DDVP等の有機リン系化合物;メトキサジアゾン等のオキサジアゾール系化合物;フィプロニル等のフェニルピラゾール系化合物;アミドフルメト等のスルホンアミド系化合物;ジノテフラン、イミダクロプリド等のネオニコチノイド等、メトプレン、ハイドロプレン等の昆虫幼若ホルモン剤、プレコセン等の抗幼若ホルモン剤、エクダイソン等の脱皮ホルモン剤等のホルモン剤;フィットンチッド、ハッカ油、オレンジ油、桂皮油、ベンジルアルコール、丁子油等の精油類などの1種又は2種以上を組み合わせたものが挙げられる。
【0027】
また、必要に応じて上記殺虫剤の他に、IBTA、IBTE、四級アンモニウム塩、サリチル酸ベンジル等の殺虫・殺ダニ剤;ロテノン、p−メンタン−3,8−ジオール、ジエチルメタトルアミド、ジ−n−ブチルサクシネート、ヒドロキシアニソール等の忌避剤;PCMX、IPBC、TBZ、イソプロピルメチルフェノール、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン等のグアニジン系殺菌剤等の殺菌剤;ラウリルメタクリレート、ゲラニルクロトネート、カテキン等の消臭剤;バラ油、ラベンダー油、ハッカ油等の精油;ピネン、リモネン、リナロール、メントール、オイゲノール等の香料等が挙げられる。
【0028】
本発明の加熱蒸散システムは、上述したごとく、担体収納部の底面及び担体の下面の少なくとも一方に凹部又は凸部を設け、更に、該担体に貫通孔を設けるか、或いは担体の外径を担体収納部の内径よりも小さい径とすることで、収納された担体の下方に空間部分を形成するとともにこの空間部分に連通する連通部を形成するものである。この構成により、担体の下方に形成された空間部分に担体に担持させた薬剤が蒸散し、連通部を通って外部へ放出される。
【0029】
尚、本発明において、担体収納部の上面は開放されていてもよく、また通気孔を有する熱溶融フィルムによって塞がれていてもよい。
【0030】
そして、本発明の加熱蒸散システムは、害虫の防除、さらに殺菌、消臭、芳香等の目的に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の加熱蒸散システムの実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の加熱蒸散システムの斜視図であり、図2は、その断面図である。第1実施形態の加熱蒸散システム1は、有底円筒状の容器11と該容器11の上面に設けられる凹部を形成した担体収納部12とで構成される熱発生装置Aを備え、前記担体収納部12には担体aが収納されている。熱発生装置Aの内部には加水発熱剤4が収納され、熱発生装置Aの底部は複数の通水部分(通水孔13)を有する底板5により閉塞されるとともに、該通水孔13は通水性を有する部材、例えば不織布シート6によって塞がれている。また、熱発生装置Aの底部には複数の脚部7が設けられ、底板5の下方に隙間を形成して、流水可能に構成されている。
【0033】
熱発生装置Aの構成部材としては、熱発生装置Aの内部に収納される加水発熱剤4の発熱温度に対して耐熱性を有するものであれば特に限定されず、例えば、耐熱性プラスチック容器、紙容器、金属容器、セラミック容器、ガラス容器等が挙げられる。熱発生装置Aの構成部材である容器11は、直径が5cm以上のものが好ましく、5cm〜10cmがより好ましい。また、熱発生装置Aの高さは2〜9cmが好ましく、3〜8cmがより好ましい。そして、容器11の容積は40cm3以上であることが好ましく、100〜480cm3であることがより好ましい。
【0034】
担体収納部12は、該容器11の上面から内部に向けて陥入した略円筒形状の凹部であり、その内径は20〜80mm、深さは5〜25mm程度とする。第1実施形態において、担体収納部12の底面には略中央に略円柱状の間隙形成用凸部18が形成されている。該間隙形成用凸部18の直径は4〜76mm、高さは0.5〜5mm程度とする。
【0035】
加水発熱剤4は水との反応により自己発熱する物質であり、例えば酸化カルシウム(生石灰)を用いることができる。加熱温度は300〜400℃であることが好ましく、第1実施形態において加水発熱剤4の含有量は40〜400g程度であり、熱発生装置Aの内部全体に充填する。
【0036】
担体収納部12に収納される担体aは、固形状の無機多孔質体であり、例えば、クレーを用いることができる。第1実施形態において担体aは、図1及び図2に示したように、担体収納部12の内径よりも小さい直径を有する略円柱状の板材であり、直径は18〜78mm、厚みは2〜10mm程度である。
【0037】
上記構成とすることにより、担体収納部12に担体aを収納した際に、担体aの下方に空間部分が形成されるとともに、担体aの周囲に連通部19が形成される。そして、間隙形成用凸部18の高さと担体aの厚みをあわせても担体収納部12の深さよりも低く構成しているので、担体aの上面が担体収納部12の上面から突出することはない。
【0038】
第1実施形態において、使用に際しては、加熱蒸散システム1を水が入った容器に入れる。すると、熱発生装置Aの脚部7により形成された隙間より、水が容器11の底部に設けられた通水孔13から流入し、加水発熱剤4と接触し、反応熱が発生する。担体aはその下面側と側面側の両方から加熱され、担体aの上面から蒸散した薬剤はそのまま上方に放出され、担体aの下面から蒸散した薬剤は、矢印Yで示したように、担体aの下方に形成された空間部分から連通部19を通って蒸散し、外部(室内等)に放出される。
【0039】
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態の加熱蒸散システムの断面図である。以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構造および同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
第2実施形態の加熱蒸散システム10は、熱発生装置Bの担体収納部12の底面を平坦に形成し、担体eは担体収納部12の内径と略等しい直径で形成するとともに、略中央に切り欠き凹部16を形成して、且つ、貫通孔15を形成するものであり、その他の構成は前記第1実施形態と同様のものである。
【0040】
第2実施形態において、熱発生装置Bを構成する担体収納部12は、同じく熱発生装置Bを構成する容器11の上面から内部に向けて陥入した略円筒形状の凹部であり、その底面は平坦に構成されている。担体収納部12の深さは5〜25mm程度であり、内径は20〜80mm程度である。
【0041】
担体eは、図3に示したように、担体収納部12の内径と略等しい直径を有する略円柱状の板材であり、直径は20〜80mm、厚みは2〜10mm程度である。担体eの厚みを2〜10mmとすることで、担体eの上面が担体収納部12の上面から突出することはない。担体収納部12の底面と接触する担体eの下面は、略中央を略円柱状に切り欠いて、直径12〜66mm、深さ1〜6mmの切り欠き凹部16を形成している。また、担体eの略中央には、前記切り欠き凹部16の直径よりも小さい径(3〜55mm程度)の貫通孔15を形成している。従って、担体収納部12に担体eを収納した際に、担体eの下方に空間部分が形成されるとともに、この空間部分に連通する貫通孔15が形成される。
【0042】
第2実施形態において、担体eはその下面側と側面側の両方から加熱され、担体eの上面から蒸散した薬剤はそのまま上方に放出され、担体eの下方から蒸散した薬剤は、矢印Yで示したように、担体eの下方に形成された空間部分から貫通孔15を通って蒸散し、外部(室内等)に放出される。
【0043】
(第3実施形態)
図4は、本発明の第3実施形態の加熱蒸散システムの断面図である。以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構造および同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
第3実施形態の加熱蒸散システム20は、熱発生装置Cの担体収納部12の底面に間隙形成用凹部17を形成し、担体cには略中央に貫通孔15を形成したものであり、その他の構成は前記第1実施形態と同様のものである。
【0044】
第3実施形態において、熱発生装置Cを構成する担体収納部12は、同じく熱発生装置Cを構成する容器11の上面から内部に向けて陥入した略円筒形状の凹部であり、その底面には略中央に略円柱状の間隙形成用凹部17が形成されている。担体収納部12の深さは5〜25mm程度であり、内径は20〜80mm程度である。そして、間隙形成用凹部17の直径は4〜76mm、深さは0.5〜5mm程度とする。
【0045】
担体cは、図4に示したように、担体収納部12の内径と略等しい直径を有する略円柱状の板材であり、直径は20〜80mm、厚みは2〜10mm程度である。担体cの厚みを2〜10mmとすることで、担体cの上面が担体収納部12の上面から突出することはない。また、担体cの略中央には、前記間隙形成用凹部17の直径よりも小さい直径の貫通孔15を形成し、その直径は3〜55mm程度とする。従って、担体収納部12に担体cを収納した際に、担体cの下方に空間部分が形成されるとともに、この空間部分に連通する貫通孔15が形成される。
【0046】
第3実施形態において、担体cはその下面側と側面側の両方から加熱され、担体cの上面から蒸散した薬剤はそのまま上方に放出され、担体cの下方から蒸散した薬剤は、矢印Yで示したように、貫通孔15を通って蒸散し、外部(室内等)に放出される。
【0047】
(第4実施形態)
図5は、本発明の第4実施形態の加熱蒸散システムの断面図である。以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構造および同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
第4実施形態の加熱蒸散システム30は、熱発生装置Aの担体収納部12の底面に間隙形成用凸部18を形成し、担体dは担体収納部12の内径よりも小さい直径で形成するとともに、略中央に貫通孔15を形成したものである。
【0048】
第4実施形態において、熱発生装置Aを構成する担体収納部12は、同じく熱発生装置Aを構成する容器11の上面から内部に向けて陥入した略円筒形状の凹部であり、その底面には略中央に略円柱状の間隙形成用凸部18が形成されている。担体収納部12の深さは5〜25mm程度であり、内径は20〜80mm程度である。そして、間隙形成用凸部18の直径は4〜76mm、高さは0.5〜5mm程度とする。
【0049】
担体dは、図5に示したように、担体収納部12の内径よりも小さい直径を有する略円柱状の板材であり、直径は18〜78mm、厚みは2〜10mm程度とする。担体dの厚みを2〜10mmとすることで、担体dの上面が担体収納部12の上面から突出することはない。また、担体dの略中央には前記間隙形成用凸部18の直径よりも小さい直径の貫通孔15を形成し、その直径は3〜55mm程度とする。従って、担体収納部12に担体dを収納した際に、担体dの下方に空間部分が形成されるとともに、担体dの周囲に連通部19が形成される。
【0050】
第4実施形態において、担体dはその下面側と側面側の両方から加熱され、担体dの上面から蒸散した薬剤はそのまま上方に放出され、担体dの下方から蒸散した薬剤は、矢印Yで示したように、連通部19を通って蒸散し、外部(室内等)に放出される。
【実施例】
【0051】
以下、実施例及び比較例により本発明の加熱蒸散システム、それを用いた蒸散方法についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら制限されるものではない。
【0052】
(担体a〜eの作製)
クレー99.2gにカルボキシメチルセルロースナトリウム0.8gを混合し、水30gを加えて練合した。練合後、押し出し機で厚さ3.5mmの平板状に押し出し、下記表1に記載の直径で円柱形状に型抜きした後、40℃で24時間乾燥させた。乾燥後、担体c〜eについては表1に従って加工し、貫通孔又は切り欠き凹部を形成した。尚、貫通孔及び切り欠き凹部は同心状に形成した。
これら担体a〜eに、殺虫剤としてフェノトリン750mg、及びd・d−T−シフェノトリン100mg、酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010)10.8mgをアセトン10mLに溶解させて作製した薬剤を含浸させた。
【0053】
【表1】

【0054】
(熱発生装置Aの作製)
図1及び図2に示すような、直径66mm、高さ52mmの有底円筒状の容器の上面に、直径42mm、深さ8mmの略円筒状で、底面略中央部に、直径25mm、高さ1mmの間隙形成用凸部を形成した担体収納部を備えた熱発生装置Aを作製した。該熱発生装置Aの内部に加水発熱剤としての酸化カルシウム130gをその底部から側部にかけて全体的に充填した。容器の底部には脚部により隙間を形成し、複数の通水部分(通水孔)を有した底板を配設し、通水孔は不織布シートで塞いだ。
【0055】
(熱発生装置Bの作製)
担体収納部の底面を平坦に形成した以外は熱発生装置Aと同様にして、図3に示すような熱発生装置Bを作製した。
【0056】
(熱発生装置Cの作製)
担体収納部の底面略中央部に、直径25mm、深さ1mmの間隙形成用凹部を形成した以外は熱発生装置Aと同様にして、図4に示すような熱発生装置Cを作製した。
【0057】
[試験例1:実施例1〜4、比較例1〜5]
上記作製した熱発生装置A〜Cと担体a〜eにより下記表2の組み合せに従って加熱蒸散システムを作製した。実施例1は図1及び図2に示した加熱蒸散システム1に対応しており、実施例2は図3に示した加熱蒸散システム10に、実施例3は図4に示した加熱蒸散システム20に、実施例4は図5に示した加熱蒸散システム30にそれぞれ対応している。
また、担体a〜eを熱発生装置A〜Cの担体収納部12に収納した際に形成される空間率を併せて表2に示す。
【0058】
表2に示す実施例1〜4、比較例1〜5をそれぞれ水50mLを入れた容器に浸けることにより加熱蒸散をさせ、蒸散成分を図7に示す捕集装置を用いてシリカゲルに吸着させた。シリカゲルをアセトン1000mLに浸漬して50分間超音波で抽出した後、吸引ろ過し、内標(セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル及びフタル酸ジブチルの混合液)5mLを加えて分析サンプルとした。そして、分析サンプルをガスクロマトグラフを用いて定量分析を行い、次式により殺虫剤について、蒸散率(%)を求めた。結果を表2に示す。
蒸散率(%)=(殺虫剤の蒸散量/蒸散前の担体中の殺虫剤の含有量)×100
【0059】
【表2】

【0060】
表2の結果に示されるように、実施例1〜4の加熱蒸散システムはいずれも、フェノトリンが約70%、d・d−T−シフェノトリンが約60%の蒸散率であり、比較例1〜5の加熱蒸散システムと比べてフェノトリンで約10%、d・d−T−シフェノトリンで約10〜20%蒸散率を向上できた。蒸散率を向上することは殺虫効果を得るのに重要であり、殺虫効果を得るために余分に薬剤を含浸する必要がなくなる。従って、実施例1〜4の加熱蒸散システムは、有効成分を効率よく蒸散できることがわかった。
【0061】
[試験例2:実施例5、比較例6]
実施例5として、実施例1と同様の熱発生装置Aと担体bの組み合わせからなる加熱蒸散システムを用い、担体bにはフェノトリン1300mg、及びd・d−T−シフェノトリン150mgを含浸させた。一方、比較例6として、比較例2と同様の熱発生装置Bと担体aの組み合わせからなる加熱蒸散システムを用い、担体aには実施例5と同量のフェノトリンとd・d−T−シフェノトリンを含浸させた。実施例5と比較例6の加熱蒸散システムを用いてその殺虫効果を調べた。
【0062】
(試験方法)
1.オープン条件
8畳居室に1回/hの換気条件で、クロゴキブリ雌成虫10匹/箇所を、居室の床面の2隅に対角となるように設置し、実施例5又は比較例6を居室中央で蒸散させた。経時的にノックダウン(KD)を確認して2時間暴露し、KT50(半数が致死するまでの時間)及び2時間後のKD率、48時間後の致死率を確認した。結果を表3に示す。尚、結果は、試験を2回繰り返して行った平均値である。
2.スリット条件
幅1cm×高さ10cmのスリット(切り込み)を対向する面に対角線上に形成した30cm×30cm×30cmの箱に、クロゴキブリ雌成虫を10匹入れ、8畳居室の床面の2隅に対角となるように設置した。1回/hの換気条件で、実施例5又は比較例6を居室中央で蒸散させた。経時的にノックダウン(KD)を確認して2時間暴露し、KT50及び2時間後のKD率、48時間後の致死率を確認した。結果を表3に示す。尚、結果は、試験を2回繰り返して行った平均値である。
【0063】
【表3】

【0064】
表3の結果より、オープン条件において、実施例5の加熱蒸散システムは、比較例6の加熱蒸散システムに比べてKT50値が15分程度早かった。また、スリット条件においては、実施例5の加熱蒸散システムのKT50値が比較例6の加熱蒸散システムのKT50値と比べて著しく早い結果が得られ、48時間後の致死率についても実施例5の加熱蒸散システムは95%とほとんどのクロゴキブリを致死させることができた。この結果から、実施例5の加熱蒸散システムは、比較例6の加熱蒸散システムよりも高い致死効果が得られるとともに、薬剤との接触が制限される場所にいるクロゴキブリに対しても効果的に致死させることができることがわかった。
【0065】
[試験例3:実施例5、比較例7]
実施例5の加熱蒸散システム(試験検体)と、図6に示す自己発熱装置21の仕切部材24の内部に下記処方の加熱蒸散用薬剤10gを入れ、外容器22の内部に加水発熱剤28として酸化カルシウム65gを充填して作製した比較例7の加熱蒸散システム(対照検体)を用いて、その観葉植物及び金属に対する影響を目視にて以下の方法で評価した。
(対照検体の加熱蒸散用製剤処方)
フェノトリン(殺虫剤) 1300mg
d・d−T−シフェノトリン(殺虫剤) 150mg
α化デンプン(結合剤) 200mg
アゾジカルボンアミド(蒸散助剤) 適量
合計 10g
【0066】
(試験方法)
1.供試物
(1)観葉植物:ミニバラ、ポトス、アジアンタム
(2)金属:銅、真鍮(金属は7cm角程度に切り、事前にサンドペーパーで磨き、トルエンに浸漬し、油分を取り除いた。)
2.方法
各観葉植物及び各金属を部屋(8畳居室)の中に入れ、実施例5又は比較例7を部屋で蒸散し、2時間暴露した。暴露後、各観葉植物及び各金属に対する影響を評価した。試験は2回行った。
これらとは別に各観葉植物及び各金属を部屋の中に入れ、蒸散を行わなかったものをコントロールとした。
結果を表4に示す。
【0067】
【表4】

【0068】
供試物の評価は以下の通りである。
1)観葉植物
○:枯れが見られない。
×:枯れが見られる。
2)金属
○:腐食が見られない。
×:腐食が見られる。
【0069】
上記試験結果より、本発明の加熱蒸散システムを用いることで、観葉植物や金属に対する枯れや腐食を効果的に防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明に係る加熱蒸散システムは、薬剤を効率良く蒸散させることができ、無駄な煙をほとんど発生させることがない。そのため、殺虫剤や消臭剤、芳香剤などを加熱蒸散させるのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1実施形態に係る加熱蒸散システムの斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る加熱蒸散システムの構造を説明するための断面略図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る加熱蒸散システムの構造を説明するための断面略図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る加熱蒸散システムの構造を説明するための断面略図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る加熱蒸散システムの構造を説明するための断面略図である。
【図6】従来技術の加熱蒸散用製剤の構造を説明するための断面略図である。
【図7】実施例で用いた捕集装置の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0072】
1 加熱蒸散システム
4 加水発熱剤
5 底板
6 不織布シート
7 脚部
10,20,30 加熱蒸散システム
11 容器
12 担体収納部
13 通水孔
15 貫通孔
16 切り欠き凹部
17 間隙形成用凹部
18 間隙形成用凸部
19 連通部
21 自己発熱装置
22 外容器
23 不織布シート
24 仕切部材
25 蓋部材
26 熱溶融フィルム
27 加熱蒸散用薬剤
28 加水発熱剤
29 容器
A,B,C 熱発生装置
a,b,c,d,e 担体
W 水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部を形成した担体収納部を上面に備えた熱発生装置と、加熱により蒸散する薬剤を担持させた担体とからなる加熱蒸散システムであって、
前記担体収納部の底面及び前記担体の下面の少なくとも一方に凹部又は凸部を設け、
前記担体は、厚さ方向に貫通する貫通孔を設けて、担体収納部の底面から加熱蒸散システムの外部へ通じる連通部を形成した状態で該担体収納部に収納される、或いは、外径を担体収納部の内径よりも小さく構成して、その外周面が担体収納部の側面と離間した状態で該担体収納部に収納される
ことを特徴とする加熱蒸散システム。
【請求項2】
前記担体収納部の深さを、前記担体を当該担体収納部に収納した際に担体の上面が担体収納部の上面と略等しいかそれより低くなるように設定し、該担体を下面側と側面側の両方から加熱することを特徴とする請求項1に記載の加熱蒸散システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の加熱蒸散システムを用いて薬剤を蒸散させる方法であって、
前記熱発生装置により生じた熱により担体を加熱して、該担体の下面から蒸散した薬剤を、担体の貫通孔や担体の外周に形成された間隙から外部へ蒸散させることを特徴とする蒸散方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−124723(P2010−124723A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300920(P2008−300920)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000100539)アース製薬株式会社 (191)
【Fターム(参考)】