説明

加熱調理器

【課題】状況変化があってもヒーター加熱手段による所定の火力を得て、安定した調理ができる加熱調理器を提供することを目的とする。
【解決手段】被調理物2を加熱調理するヒーター加熱手段3と、ヒーター加熱手段3に流れる電流を検知する検知手段4と、検知手段4の検知信号を入力する入力手段5と、入力手段5による実際の出力値と基準となる基準入力値との差を計算して差がなくなるようにヒーター加熱手段3のオン時間を変更する加熱オン時間変更手段6と、加熱オン時間変更手段6の信号を入力としヒーター加熱手段3を制御する制御手段7とを備えたものである。これによって、例え、ヒーター加熱手段3の入力電圧変動が生じたり、バラツキがあったり、特性に変化があったりしても、ヒーター加熱手段3による所定の火力になるようにその時々にあったオン時間を変更し、火力バラツキを抑え安定した調理ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭で使用するグリルなどの単体、あるいはグリルと誘導加熱装置などとの複合の加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加熱調理器は、魚などの被調理物を調理室内においてヒーター加熱手段により加熱調理するとともに、調理室内の温調およびヒーター加熱手段のオン時間の設定はサーミスタで行っている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−347020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、例えば、ヒーター加熱手段への入力電圧変動が生じたり、ヒーター加熱手段のバラツキがあったり、ヒーター加熱手段の特性に変化があったりしても、ヒーター加熱手段のオン時間は一定である。したがって、状況によってヒーター加熱手段のワットが入り過ぎていたり、逆に足りなかったりで、調理のでき栄えを左右することがあるという課題を有していた。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、状況変化があってもヒーター加熱手段による所定の火力を得て、安定した調理ができる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理器は、魚などの被調理物を加熱調理する調理室内のヒーター加熱手段と、ヒーター加熱手段に流れる電流を検知する検知手段と、検知手段の検知信号を入力する入力手段と、入力手段の入力信号による実際の出力値と基準となる基準入力値との差を計算して差がなくなるようにヒーター加熱手段のオン時間を変更する加熱オン時間変更手段と、加熱オン時間変更手段の信号を入力としヒーター加熱手段を制御する制御手段とを備えた加熱調理器とするものである。
【0006】
これによって、例え、ヒーター加熱手段への入力電圧変動が生じたり、ヒーター加熱手段のバラツキがあったり、ヒーター加熱手段の特性に変化があったりしても、ヒーター加熱手段による所定の火力になるようにその時々にあったオン時間を変更して、火力バラツキを抑え安定した調理ができることとなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の加熱調理器は、状況変化があってもヒーター加熱手段による所定の火力を得て、火力バラツキを抑え安定した調理ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、魚などの被調理物を加熱調理する調理室内のヒーター加熱手段と、ヒーター加熱手段に流れる電流を検知する検知手段と、検知手段の検知信号を入力する入力手段と、入力手段の入力信号による実際の出力値と基準となる基準入力値との差を計算して差がなくなるようにヒーター加熱手段のオンしている時間を変更する加熱オン時間変更手段と、加熱オン時間変更手段の信号を入力としヒーター加熱手段を制御する制御手段とを備えた加熱調理器とするものである。これによって、例え、ヒーター加熱手段への入力電圧変動が生じたり、ヒーター加熱手段のバラツキがあったり、ヒーター加熱手段の特性に変化があったりしても、ヒーター加熱手段による所定の火力になるようにその時々にあったオン時間を変更して、火力バラツキを抑え安定した調理ができることとなる。
【0009】
第2の発明は、特に、第1の発明において、入力手段は、サンプリング時に取得する複数回の電流入力値の中で他の値より値が離れている入力値をサンプリング取得から外すようにしたことにより、ノイズや瞬時の負荷変動など不正規な状態を取り除くこととなり、より精度のよい現状の出力状況を知ることができる。
【0010】
第3の発明は、特に、第2の発明において、加熱オン時間変更手段は、入力手段が電流入力値をサンプリング取得できなかった場合には、前回の加熱オン時間を引き続き設定するようにしたことにより、ノイズや瞬時の負荷変動など不正規な状態を取り除くこととなり、ふらつくことなく安定したヒーター加熱手段の出力を得ることができる。
【0011】
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明において、加熱オン時間変更手段は、加熱オン時間の変更を一定周期毎に行うことにより、ヒーター加熱手段の出力が急変することがなく、安定した入力値のフィードバックが行えることとなり、安定したヒーター加熱手段の出力を得ることができる。
【0012】
第5の発明は、特に、第1〜第4のいずれか1つの発明において、加熱オン時間変更手段は、調理終了時にヒーター加熱手段に電流が流れていた場合、異常と判断することにより、ヒーター加熱手段の接点異常や漏電検知を行うことができることとなり、安全性が向上することができる。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態)
図は、本発明の実施の形態におけるグリルなどの加熱調理器を示している。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態における加熱調理器は、焼き網1上の魚などの被調理物2を加熱調理する調理室8内のヒーター加熱手段3と、ヒーター加熱手段3に流れる電流を検知する検知手段4と、検知手段4の検知信号を入力する入力手段5と、入力手段5の入力信号による実際の出力値と基準となる基準入力値との差を計算して差がなくなるようにヒーター加熱手段3のオン時間を変更する加熱オン時間変更手段6と、加熱オン時間変更手段6の信号を入力としヒーター加熱手段3を制御する制御手段7とを備えている。
【0016】
加熱調理器としては、一般家庭で使用するグリルなどの単体、あるいはグリルと誘導加熱装置などとの複合の加熱調理器であり、実際には焼き網1は受け皿(図示せず)上に載っており、調理室8の前面を覆う扉の開閉に連動して出し入れできるものである。また、ヒーター加熱手段3は、被調理物2の上下に設けて被調理物2の上下両面を加熱調理するようにしている。
【0017】
以上のように構成された加熱調理器の動作、作用を、図2に基づいて説明する。
【0018】
まず、焼き網1上に被調理物2を載せ、ヒーター加熱手段3を加熱する(ステップS1)。次に、検知手段4にてヒーター加熱手段3がオンしている時のヒーター加熱手段3を流れる電流入力値を検知する(ステップS2)。入力手段5は、検知手段4にて検知した電流入力値を取得し、ある一定期間内のその複数回の電流入力平均値IINaveを作成する(ステップS3)。ただし、サンプリング時に取得した複数回の電流入力値の中で他の値より値が離れている電流入力値が存在した場合には、その電流入力値はサンプリング取得せず、すなわち電流入力平均値IINave作成からは外す。また、複数回の電流入力値が大きく二分していた場合には、多数決をとり多い方にて電流入力平均値IINave作成を行う。さらに、二分した時に全く半分に分かれた場合には、サンプリング時間を延ばし、その間における複数回の電流入力値にて平均化可能か判断し、可能ならば電流入力平均値IINave作成を行う。なお、サンプリング時間を細かく変化させると追従できなくなるので、幾つかのサンプリング時間の中から選択する形をとる。
【0019】
そして、入力手段5が電流入力値をサンプリング取得できなかった場合には、すなわち電流入力平均値IINave作成ができない場合には、一回でもオンしていたならば前回の電流入力平均値IINaveを維持し、一回もオンしていない場合には、電流入力平均値IINave未作成情報を加熱オン時間変更手段6に渡す。このようにして入力手段5は、電流入力平均値IINaveを作成すると、その電流入力平均値IINaveの情報を加熱オン時間変更手段6に渡す(ステップS4)。
【0020】
加熱オン時間変更手段6は、入力手段5が電流入力値をサンプリング取得できなかった場合には、前回の加熱オン時間を引き続き設定するものであり、また、ヒーター加熱手段3がオンしている時の基準となる設定出力時の基準入力値IINstdというものを持っている。そして、入力手段5から取得した電流入力平均値IINaveと、基準入力値IINstdと、電流入力平均値IINaveが基準入力値IINstdと差がなくなる場合に設定する標準オン時間TONstdとから、実際に次にヒーター加熱手段3をオンさせたいオン時間TONchgを計算する<TONchg=TONstd×IINstd/IINave>(ステップS5)。
【0021】
図3(a)のように、IINstd>IINaveであった場合には設定するオン時間は長くなる。また、図3(b)のように、IINstd<IINaveであった場合には設定するオン時間は短くなる。制御手段7は、加熱オン時間変更手段6で作成されたオン時間TONchgだけヒーター加熱手段3をオンするように制御する(ステップS6)。加熱オン時間変更手段6は、入力手段5による実際の出力値、すなわち電流入力平均値IINaveと基準となる基準入力値IINstdとの差を計算して差がなくなるようにヒーター加熱手段3のオン時間を変更する。加熱オン時間の変更は一定周期毎に行うものである。そして、被調理物2の調理が終了するまでステップS2からステップS6までの動作を繰り返す(ステップS7)。
【0022】
加熱終了後も、入力手段5では電流入力平均値IINave作成は行われていて、加熱オン時間変更手段6は、制御手段7がヒーター加熱手段3をオンしていないのに電流が流れていると判断した場合(ステップS8)には、異常と判断し、異常報知を行う(ステップS9)。
【0023】
以上のように、本実施の形態における加熱調理器は、魚などの被調理物を加熱調理する調理室内のヒーター加熱手段と、ヒーター加熱手段に流れる電流を検知する検知手段と、検知手段の検知信号を入力する入力手段と、入力手段の入力信号による実際の出力値と基準となる設定出力時の基準入力値との差を計算して差がなくなるようにヒーター加熱手段のオン時間を変更する加熱オン時間変更手段と、加熱オン時間変更手段の信号を入力としヒーター加熱手段を制御する制御手段とを備えたことにより、例え、ヒーター加熱手段への入力電圧変動が生じたり、ヒーター加熱手段のバラツキがあったり、ヒーター加熱手段の特性に変化があったりしても、ヒーター加熱手段による所定の火力になるようにその時々にあったオン時間を変更して、火力バラツキを抑え安定した調理ができることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上のように、本発明にかかる加熱調理器は、状況変化があってもヒーター加熱手段による所定の火力を得て、火力バラツキを抑え安定した調理ができるので、一般家庭で使用するグリルなどの単体、あるいはグリルと誘導加熱装置などとの複合の加熱調理器として適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態における加熱調理器を示すブロック図
【図2】同加熱調理器の動作を示すフローチャート
【図3】同加熱調理器のヒーター加熱手段の出力タイムチャート
【符号の説明】
【0026】
1 焼き網
2 被調理物
3 ヒーター加熱手段
4 検知手段
5 入力手段
6 加熱オン時間変更手段
7 制御手段
8 調理室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚などの被調理物を加熱調理する調理室内のヒーター加熱手段と、ヒーター加熱手段に流れる電流を検知する検知手段と、検知手段の検知信号を入力する入力手段と、入力手段の入力信号による実際の出力値と基準となる基準入力値との差を計算して差がなくなるようにヒーター加熱手段のオン時間を変更する加熱オン時間変更手段と、加熱オン時間変更手段の信号を入力としヒーター加熱手段を制御する制御手段とを備えた加熱調理器。
【請求項2】
入力手段は、サンプリング時に取得する複数回の電流入力値の中で他の値より値が離れている入力値をサンプリング取得から外すようにした請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
加熱オン時間変更手段は、入力手段が電流入力値をサンプリング取得できなかった場合には、前回の加熱オン時間を引き続き設定するようにした請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
加熱オン時間変更手段は、加熱オン時間の変更を一定周期毎に行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
加熱オン時間変更手段は、調理終了時にヒーター加熱手段に電流が流れていた場合、異常と判断する請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−194273(P2008−194273A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−33189(P2007−33189)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】