説明

加熱調理器

【課題】ドアの強度を増すことによりケース本体との密閉性を確保して、加熱効率を向上するとともに、外観を改善することのできる加熱調理器を提供する。
【解決手段】本体12の加熱室11の開口を開閉するドア20の前面を、略全域にわたって1枚のガラス板21で覆ったので、ドア20の捩れ強度や曲げ強度を向上させることができ、ドア20の本体12への密着性が向上して加熱効率が向上する。また、前面を1枚のガラス板21で覆っているので、デザイン的にもすっきりして意匠性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前面に開口を覆うドアを有する加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図21に示すように、従来の高周波加熱調理器100は、矩形箱状の本体ケース101を有し、内部には食材等の被加熱物を収容する加熱室102を有していて、加熱室102の底板の下側には機械室(図示省略)を有している。本体ケース101の前面は、ドア103を有しており、ドア103を開けて加熱室102に被加熱物の出し入れを行うことができるようになっている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
前述した加熱調理器100のドア103は金属製の枠部材103aを有しており、枠部材103aの開口部には、シールド部材として耐熱ガラス103bおよびシールドメタル(パンチングメタル)(図示省略)が取り付けられている。従って、ドア103を閉じることにより、ケース本体101の加熱室102の開口からの漏波を防止している。枠部材103aの前面下辺には、メニュー表示部104が設けられている。また、ドア103の下方には、被加熱物を調理するためのメニュー選択や温度設定等を入力する操作部105が設けられている。
【特許文献1】特開2005−345090号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した特許文献1に記載の加熱調理器100のドア103は、前面(表側)がフラットであるものの、メニュー表示部104が設けられている化粧板部分と操作部105が設けられている操作パネル部分とに分かれていた。このため、枠部材103aがあるとは言え、捩れ強度や曲げ強度が低いという不都合があった。また、捩れ強度や曲げ強度が低いため、本体ケース101に対するドア103の密着性が悪く、隙間ができやすい。これに伴い、オーブンレンジとして使用する際に隙間から熱風が逃げるため加熱効率が悪くなったり、電子レンジとして使用する際に漏波するおそれがあるという不都合があった。
【0005】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、ドアの強度を増すことによりケース本体との密閉性を確保して、加熱効率を向上するとともに、外観を改善することのできる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の加熱調理器は、被加熱物を収容する加熱室を備える本体と、前記加熱室の開口を閉鎖するドアとを有し、前記ドアが、前面の略全域を覆うガラス板を備えた構成を有している。
【0007】
この構成により、本体の加熱室の開口を開閉するドアの前面を、略全域にわたって1枚のガラス板で覆ったので、ドアの捩れ強度や曲げ強度を向上させることができ、ドアの本体への密着性が向上して加熱効率が向上する。また、前面を1枚のガラス板で覆っているので、デザイン的にもすっきりして意匠性が向上する。
【0008】
また、本発明の加熱調理器は、前記ガラス板の一部に穴を設け、この穴に少なくとも手動加熱の選択、自動加熱の選択、手動加熱の時間設定、蒸気供給時間の設定が可能な一つのダイヤルを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、本体の加熱室の開口を開閉するドアの前面を、略全域にわたって1枚のガラス板で覆ったので、ドアの捩れ強度や曲げ強度を向上させることができ、ドアの本体への密着性が向上して加熱効率が向上する。また、前面を1枚のガラス板で覆っているので、デザイン的にもすっきりして意匠性が向上するという効果を有する加熱調理器を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態の加熱調理器について、図面を用いて説明する。
図1は本発明の実施形態にかかる加熱調理器の斜視図、図2は加熱調理器の内部を示す斜視図、図3は加熱調理器の内部を示す断面図、図4は赤外線センサの取付部を示す断面図、図5は図4中V方向から見た赤外線センサの正面図、図6は高周波放射部の一形態を示す斜視図、図7は反射板の拡大斜視図、図8は高周波放射部の別の形態を示す斜視図、図9はドアを前方から見た分解斜視図、図10はドアのハンドルの分解斜視図、図11はドアを後方から見た分解斜視図、図12(A)、(B)はドア下部の断面図、図13は裏側化粧カバーを裏側から見た斜視図、図14は本体に設けられている冷却手段を示す斜視図、図15は本体の前面に設けられているダクトの斜視図、図16は送風部およびダクトにおける冷却風の流れを示す断面図、図17(A)はグリル皿の斜視図、図17(B)は断面図、図18(A)は水タンクの斜視図、図18(B)は水タンクの分解斜視図、図18(C)は図18(A)中C方向から見た斜視図、図19は水タンクおよび受け皿の斜視図、図20は受け皿を取付けた水タンクの斜視図である。
【0011】
図1〜図3に示すように、加熱調理器としての蒸気発生装置付加熱調理器10は、前面が開口し内部に被加熱物Mを収納する加熱室11を有する矩形箱状の本体12と、本体12の開口を開閉するドア20を有している。図2および図3に示すように、加熱室11には、加熱室11内の空気を撹拌・循環させる循環ファン13と、加熱室11内を循環する空気を加熱するコンベクションヒータ14と、加熱室11の側壁11cに設けられ加熱室11内の温度を検出する赤外線センサ15が設けられている。加熱室11の底板11aの中央部には凹部11bが設けられており、この凹部11bには高周波(マイクロ波)を放射する高周波放射部30が設けられている。この凹部11bの上は、通常、板で覆われているので、高周波放射部30は隠されている。また、底板11aにおける凹部11bの奥側には、蒸気発生部40が設けられている。
【0012】
加熱室11は、加熱室11の奥部に設けられている仕切板16によって仕切られて、本体12の後壁12aとの間に空間17が設けられており、この空間17に循環ファン13およびコンベクションヒータ14が設けられている。仕切板16には、中央に複数の吸気用通風孔16aが設けられており、仕切板16の周縁部には複数の送風用通風孔16bが設けられている。従って、循環ファン13によって、吸気用通風孔16aから加熱室11の空気を吸い込んでコンベクションヒータ14によって加熱し、加熱された空気を送風用通風孔16bから加熱室11に送り込むことにより、加熱室11内を加熱できるようになっている。
【0013】
図2および図4に示すように、加熱室11の右側の側壁11cの上部には、三角柱状の突起11dが加熱室11内に突出して設けられており、突起11dの内部に赤外線センサ15が設けられている。突起11dの下面には窓11eが切り欠かれており、赤外線センサ15からの測定光が加熱室11内に投光されるようになっている。赤外線センサ15は首振り機構15aによって首振り可能となっており、図5に示すように、調理中は窓11eを通って加熱室11に向いている(図5中実線で表示)が、調理後は首を振って、赤外線センサ15のレンズが窓11eから外れる(図5中点線で表示)ようにする。また、図2に示すように、加熱室11の左右の側壁11c、11cには、高周波調理器用のグリル皿50を支持するために、上面が水平な支持突起11fが前後方向に水平に複数段(図2では、例えば3段)設けられている。
【0014】
なお、図5に示すように、赤外線センサ15は窓11eの中心から偏心して取付けられており、赤外線センサ15の首振りを行うことによって、レンズを完全に窓11eから外すことが可能になる。これは、温度測定時以外は窓11eから外して位置させることにより蒸気Sを用いて調理するとき等に、加熱室11内の蒸気Sが赤外線センサ15のレンズに結露して、その後の調理の際の温度検出に狂いが生じるのを防止するためである。
【0015】
図2、図3および図6に示すように、高周波放射部30は、加熱室11の底板11aの下側の機械室に高周波を発生するマグネトロン31を有し、このマグネトロン31からの高周波を前記第1、第2回転アンテナ32、33に導く導波管31aが設けてある。また、底板11a上面の凹部11bにマグネトロン31からの高周波を放射する第1回転アンテナ32と、第1回転アンテナ32よりも高周波の放射が高い第2回転アンテナ33とを有している。また、底板11aにおける凹部11bの奥側には、蒸気発生部40の蒸発皿41が設けられており、蒸発皿41の下側には蒸発皿加熱ヒータ42(図3参照)が設けられている。図6に示すように、蒸発皿41に近い側には出力が大きな第2回転アンテナ33が設けられており、蒸発皿41に遠い側には出力が低い第1回転アンテナ32が設けられている。第1回転アンテナ32および第2回転アンテナ33は、加熱室11の奥行方向に対して交差する左右方向(図6において左右方向)に沿って配列されている。
【0016】
このように、第1回転アンテナ32および第2回転アンテナ33の2つの回転アンテナを加熱室11の奥行方向に対して交差する方向に沿って配列しているので、横長形状の加熱室であっても高周波を加熱室11全体に均一に放射することができ、加熱効率が向上する。また、蒸発皿41が、高出力アンテナである第2回転アンテナ33のそばに配置されているので、高周波により蒸発用の水が早く沸騰し、蒸気S発生までの時間が短縮して調理時間の短縮を図ることができることとなる。
【0017】
なお、回転アンテナ32、33の出力は、アンテナの大きさが大きい方が出力が大きい。また、回転軸32a、33aの軸長も長い方が出力が大きくなる。また、凹部11bにおける第1回転アンテナ32および第2回転アンテナ33の前方(図6において下方)の近傍には、各々反射板34a、34bが設けられている。この反射板34a、34bは、図7に示すように、凹部11bを切起して設けることができるが、別途、反射板34a、34bをネジ止め等によって取付けることも可能である。このように、回転アンテナ32、33の前方に反射板34a、34bを設けたので、回転アンテナ32、33に当たって加熱室11の前方へ向かう高周波を反射板34a、34bによって反射して、加熱室11内部へ向かうようにしている。これにより、加熱効率を向上させて、調理時間を短縮することができる。
【0018】
あるいは、図8に示すように、蒸発皿41に近い側に出力が小さな第1回転アンテナ32を配置し、蒸発皿41から遠い側に出力が大きな第2回転アンテナ33を配置することもできる。この場合は、オーブンレンジのみあるいは電子レンジのみを用いて調理する際で、蒸気を発生させたくないときに、高出力の第2回転アンテナ33からの出力を、蒸発皿41の加熱に用いずに、調理に有効に用いることができ、調理時間の短縮を図ることができる。なお、図6において前述した場合と同様に、凹部11bにおける第1回転アンテナ32および第2回転アンテナ33の前方(図8において下方)の近傍には、各々反射板34a、34bが設けられている。
【0019】
図1および図9〜図12には、ドア20が示されている。図1に示すように、ドア20は、加熱調理器本体12の加熱室11の開口を閉鎖するものであり、ドア20の前面は略全域がガラス板21で覆われている。なお、図12(A)は放熱板27cが分断された位置における断面図、図12(B)は放熱板27aが繋がっている位置における断面図である。
【0020】
図9に示すように、ドア20は、金属製の矩形枠部材であるドア筐体22を有しており、ドア筐体22の前側(図9において左側)に、ドア飾り23、矩形板状のガラス板21、飾り板24を有している。ドア筐体22は、中央部に開口22aを有しており、開口22aの下側に操作部22bを有している。また、操作部22bには液晶表示部22c用の切欠き22dおよびダイヤル26用の穴22eが設けられており、上部にはハンドル25取付け用の穴22fが設けられている。ドア飾り23は矩形枠状の部材であり、下辺に表示部用の切欠き23aおよびダイヤル26用の穴23bが設けられている。ガラス板21は、透明な一枚のガラス板であり、ドア20の前面を略全面にわたって覆っている。ガラス板21の下部にはダイヤル26用の1個の穴21aが設けられており、上部には、ハンドル25取付け用の穴21bが複数個設けられている。また、飾り板24は、ガラス板21の周縁部および下辺を覆うものであり、ガラス板21の補強および外観の向上を図っている。
【0021】
図10に示すように、ハンドル25は、ドア20の上部に取付けるベース部材25aと、使用者が手で把持する把持棒25bと、把持棒25bをベース部材25aに取付けるための止め部材25cを有している。ベース部材25aは、左右一対のブロック25dと、両ブロック25dを連結する連結部材25eを有している。ブロック25dには一対の取付け用の円柱形状をした突起25fが複数本(例えば、2本)設けられており、ガラス板21の穴21bおよびドア飾り23の穴23cを貫通して、ドア筐体22の穴22fに挿入され、ドア筐体22の背面からねじ止めされる。また、ブロック25dには、把持棒25b取付け用の円形の突起25gが設けられており、把持棒25bに設けられている取付け穴25hに挿入して位置決めし、止め部材25cを把持棒25bの端部から挿入して突起25gを係止することにより、把持棒25bをブロック25dに固定するようになっている。
【0022】
このように、本体12の加熱室11の開口を開閉するドア20の前面を、略全域にわたって1枚のガラス板21で覆ったので、ガラス板21が補強板の役割をする。このため、ドア20の捩れ強度や曲げ強度を向上させることができ、ドア20の本体12への密着性が向上して加熱効率が向上する。また、前面を1枚のガラス板21で覆っているので、デザイン的にもすっきりすると共に、ガラス板21を通して液晶表示部22cを見るので、奥行感が得られて意匠性が向上する。また、1個のダイヤル26で操作することができるので、ガラス板21等の加工が簡単になるとともに、断熱効率の低下を少なくすることができる。上記ダイヤル26は、手動加熱の選択、自動加熱の選択、手動加熱の時間設定、蒸気供給時間の設定、自動加熱の仕上がり調節等をひとつで設定する機能を有しており、例えば特開平6−50539号公報に開示されているようなものであり、ドア20の前面を1枚のガラス板で覆いつつこれにこのような機能を有するダイヤル1個を組み合わせたことにより、各種設定を、ガラス強度を落とすことなくシンプルな外観で可能としている。
【0023】
図11には、ドア20の内側の構造が示されている。図11に示すように、ドア20に設けられた回路基板である操作基板27aと、冷却風を循環させることにより操作基板27aを冷却する冷却手段60(図12参照)が設けられている。
【0024】
すなわち、図11および図12に示すように、ドア筐体22下部の操作部22bの後側(図11において右側)には、操作基板27a、樹脂製の基板蓋27b、アルミ製の放熱板27cが順次設けられている。また、ドア筐体22全体の後側には、電波シール板28およびドア20の内面を化粧する裏側化粧カバー29が設けられている。電波シール板28は、矩形の金属枠28aの開口に、耐熱ガラス28bを取付けたものであり、ドア筐体22の後面にネジ止めされるようになっている。
【0025】
従って、操作基板27a、基板蓋27b、放熱板27cは、ドア筐体22と電波シール板28および裏側化粧カバー29との間に取り付けられることになる。なお、放熱板27cと裏側化粧カバー29との間には冷却のための空間28dが形成されており、ドア20の幅方向に沿って、空気の流路が形成されている。
【0026】
図13に示すように、裏側化粧カバー29は矩形枠状をした樹脂製の部材であり、下辺29aの内側には放熱板27cとの間に前述した空間28dが形成される。また、下辺29aの両端部は切り欠かれており、空間28dに連続する空気孔29bが両端部に設けられている。従って、一方の空気孔29bは、本体12のダクト62(図15参照)からの冷却風を取り入れる吸入口として作用し、他方の空気孔29bは操作基板27aを冷却した風が外に出る排気口として作用することになる。
【0027】
図16に示すように、冷却手段60は、本体12の底板11aの下側の空間に設けられたファン61a等を有する送風部61と、送風部61からの冷却風を本体12の前面に案内するダクト62を有している。ダクト62の送風口62aは、ドア20が閉鎖されたときに裏側化粧カバー29の吸入口としての空気孔29bと対面して、ドア20内部の空間28dに冷却風を送り込む。送り込まれた冷却風は、放熱板27c、操作基板27a等を冷却した後、裏側化粧カバー29の空間28dの下流端の排気口としての空気孔29bから外部に排出される。
【0028】
この構成により、本体12の加熱室11の開口を開閉するドア20に冷却手段60を設けて、冷却風を循環させるようにしたので、ドア20に設けられている操作基板27aを一定温度以下に維持して初期性能を長時間維持することができることとなる。
【0029】
図17(A)および(B)に示すように、高周波調理用グリル皿50は、被加熱物Mに接触して支持する山部51aと、被加熱物Mに接触しないで油等を回収する谷部51bとを有する皿本体51と、皿本体51の裏側において山部51aおよび谷部51bに対応する領域に設けられた電波吸収発熱体(フェライト)52とを備えている。そして、図17(B)に示すように、電波吸収発熱体52は谷部51bに対応する領域の厚み寸法T1が、山部51aに対応する領域の厚み寸法T2よりも薄い構成を有している。例えば、谷部51bに対応する領域の厚み寸法T1は、0.8mm程度、山部51aに対応する領域の厚み寸法T2は、1.4mm程度とすることができる。すなわち、T1:T2=1:1.5とすることができる。
【0030】
この構成により、被加熱物Mに接触する山部51aと被加熱物Mに接触しない谷部51bとを有する高周波調理用グリル皿50において、山部51aの裏面に接触して発熱する電波吸収発熱体52の厚みT2を、被加熱物Mに接触しない谷部51bの裏面に接触して発熱する電波吸収発熱体52の厚みT1よりも大きくした。このため、電波吸収発熱体52の厚みが大きな山部51aを集中的に加熱することができ、調理時間を短縮することができることとなる。
【0031】
また、高周波調理用グリル皿50は、皿本体51がアルミニウム製であることが好ましい。このように、皿本体51を、熱伝導率が高いアルミニウムによって形成することにより、加熱効率が向上し、調理時間を短縮することができることとなる。
【0032】
さらに、高周波調理用グリル皿50は、皿本体51の裏面における電波吸収発熱体52に接する領域が未塗装であることが好ましい。このように、電波吸収発熱体52に接する皿本体51を未塗装とすることにより、熱伝導率が向上し、調理時間を短縮することができることとなる。
【0033】
なお、高周波調理用グリル皿50は、加熱室11の左右の側壁11cに設けられている支持突起11fにスライドさせて加熱室11内に出し入れするため、高周波調理用グリル皿50の両端部下面には、スライドしやすい耐熱性に富んだ滑り部材53がネジ止めされている。
【0034】
図18に示すように、水タンク70は蒸気Sを生成するための水を貯蔵するものであり、高周波調理器10本体12の前面下方に着脱自在に設けられている。すなわち、図19に示すように、本体12の前面下部には、前面が開口して挿入口72aを有する矩形箱状の水タンク収納部72が取付けられており、水タンク70が挿入可能となっている。なお、水タンク収納部72は、本体12の前面より前方に突出しているが、ドア20の前面よりは後方へ引っ込んでいる。
【0035】
また、図18に示すように、水タンク70の前面には把持部71が設けられており、この把持部71は水タンク70の着脱方向(前後方向)に対して交差する方向(図18(B)において左右方向)に沿って着脱可能となっている。すなわち、タンク本体73の前面には、把持部71のスライド方向に沿ってガイドレール73bが設けられており、把持部71の裏面には、ガイドレール73bに沿ってスライド可能なスライドガイド71aが設けられている。
【0036】
従って、把持部71および把持部71の取付け位置(すなわち、タンク本体73の前面)の掃除を容易に行うことができる。また、本体12に対する水タンク70の着脱方向に対して交差する方向に沿って把持部71をスライド可能とすることにより着脱可能となっているため、本体12に対して水タンク70を着脱する際に、把持部71が水タンク70から意図せず脱落するのを防止することができる。
【0037】
また、図18に示すように、水タンク70は、有底枠状のタンク本体73と、タンク本体73の開口面(上面)を覆う被覆面を有する蓋74と、開口の縁部に設けられて開口面に沿ってタンク本体73から離れる方向に突出する第1突部73aと、蓋74の周縁に設けられて被覆面に沿って蓋74から離れる方向に突出する第2突部74aとを備え、第1突部73aおよび第2突部74aが、開口面および閉鎖面の同一面に沿って位相配置された構成を有している。
【0038】
図18(B)に示すように、タンク本体73の底板73cは、中央部が最も低くなっており、収納されている水が少量になると中央部に集まるようになっている。タンク本体73の後壁73d内面には、収容されている水を吸い出すための吸水管75が取付けられており、先端の開口は底板73cの中央の僅かに上方に位置している。また、吸水管75の他端は、タンク本体73の後壁73dの背面に開口(75a)している(図18(C)参照)。この開口75aは、水タンク70を本体12に収容すると、本体12に設けられている吸水装置(図示省略)に接続され、水タンク70に収容されている水を蒸発皿41に供給するようになっている。また、蓋74には、水タンク70に水を補給するための小蓋74bが設けられており、使用者は、小蓋74bを取り外して水を補給することになる。
【0039】
従って、第1突部73aおよび第2突部74aが開口面および閉鎖面の同一面に沿って位相配置されているので、蓋74を確実に閉じることができるとともに、タンク本体73および蓋74を捻ることにより、容易に蓋74を取り外すことができる。
【0040】
なお、上記把持部71は後述する水滴受け皿と同様の着色部材で構成してあり、水位を表示する表示部76の幅を水タンク70の前面横幅一部とすることによって横幅いっぱいが透明となっている場合に比べ中の水位が明瞭に判別できるようになるとともに、本体10にセットしたときの外観を良好なものとする。また、水タンク70における水位を表示する表示部76の内面にシボ加工を施こすのが好ましい。これにより、水タンク70に収容されている透明な水の水位を確実に視認することができる。
【0041】
また、図20に示すように、水タンク70の前部上方および水タンク70の左右両側には、蒸気Sを用いた調理後にドア20を閉じた際に滴下する水滴を受ける受け皿77が設けられている。この受け皿77は、水タンク70を本体12の水タンク収納部72に収納した際に、ドア20と本体12との境界の下方に位置することになる。なお、受け皿77における水タンク70の上方の領域77bでは、受けた水滴を左右に振り分けて、左右の貯水部77aに貯蔵する。
【0042】
なお、本発明の加熱調理器は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上のように、本発明にかかる加熱調理器は、本体の加熱室の開口を開閉するドアの前面を、略全域にわたって1枚のガラス板で覆ったので、ドアの捩れ強度や曲げ強度を向上させることができ、ドアの本体への密着性が向上して加熱効率が向上する。また、前面を1枚のガラス板で覆っているので、デザイン的にもすっきりして意匠性が向上するという効果を有し、前面に開口を覆うドアを有する加熱調理器等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態にかかる加熱調理器の斜視図
【図2】加熱調理器の内部を示す斜視図
【図3】加熱調理器の内部を示す断面図
【図4】赤外線センサの取付部を示す断面図
【図5】図4中V方向から見た赤外線センサの正面図
【図6】高周波放射部の一形態を示す斜視図
【図7】反射板の拡大斜視図
【図8】高周波放射部の別の形態を示す斜視図
【図9】ドアを前方から見た分解斜視図
【図10】ドアのハンドルの分解斜視図
【図11】ドアを後方から見た分解斜視図
【図12】(A)、(B)はドア下部の断面図
【図13】裏側化粧カバーを裏側から見た斜視図
【図14】本体に設けられている冷却手段を示す斜視図
【図15】本体の前面に設けられているダクトの斜視図
【図16】送風部およびダクトにおける冷却風の流れを示す断面図
【図17】(A)はグリル皿の斜視図、(B)はグリル皿の断面図
【図18】(A)は水タンクの斜視図、(B)は水タンクの分解斜視図、(C)は図18(A)中C方向から見た斜視図、
【図19】前面下部に水タンク収納部取を有する本体の斜視図
【図20】水タンクおよび受け皿の斜視図
【図21】従来の加熱調理器を示す断面図
【符号の説明】
【0045】
10 加熱調理器
11 加熱室
12 本体
20 ドア
21 ガラス板
M 被加熱物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を収容する加熱室を備える本体と、
前記加熱室の開口を閉鎖するドアとを有し、
前記ドアが、前面の略全域を覆うガラス板を備えていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記ガラス板の一部に穴を設け、この穴に少なくとも手動加熱の選択、自動加熱の選択、手動加熱の時間設定、蒸気供給時間の設定が可能な一つのダイヤルを設けたことを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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