説明

加熱調理器

【課題】加熱調理器全体の厚さを薄くするために薄型の発光表示体を提供すること。
【解決手段】発光表示体25の発光源27を箱体26の側壁側に配置したことにより発光源27の高さ分箱体26を高くする必要がない。また、発光源27からの直接光と箱体26の内部で反射した光で発光表示部28を光らせるため表示の明るさを一様にでき、発光源27と発光表示部28の間に発光源27の光を広げるための空間を設ける必要がなく、発光表示体25を薄くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加熱調理容器の載置位置や加熱体が加熱状態にあることなどを表示する発光表示体を備えた加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、キッチンキャビネットの収納部の開閉形態は使いやすくするため扉式から引き出し式に変わってきている。組込み式誘導加熱調理器などの加熱調理器設置部の下方もまた引き出し式の収納部が増えてきており、収納部の容積を確保するために収納部側に出っ張らない薄型の加熱調理器の開発が望まれている。
【0003】
従来、この種の加熱調理器としては、天板の下に加熱体が配置され、天板上に載置した被加熱調理容器の載置位置や加熱体が加熱状態にあることなどを表示するために天板の下に発光表示体を設けたものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
その構成は図8〜図11に示すように、本体1の天面は鍋などの被加熱調理容器(図示していない)を載置する天板2で形成され、天板2の内側には被加熱調理容器を加熱する加熱体3が配置されている。加熱体3の下方には制御装置4が設けられ、加熱体3の出力を調整している。また、本体1の内側で加熱体3の下方外周には発光表示体5が配置され、加熱時に天板2側に向けて発光し被加熱調理容器を載置する位置や加熱体3が加熱状態であることを表示するようになっている。発光表示体5の外郭は遮光性の箱体6で形成され、箱体6の底側には発光源7が配置されている。箱体6の天板2側には開口部8が設けられ、開口部8は表示シート9で覆われている。表示シート9は発光源7が点灯した時に開口部8を通った光を受けて光るように半透明に加工されている。また、発光源7と表示シート9の間は表示シート9の光りむらが少なくなるように空間を空けてある。
【特許文献1】特開2004−247186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来の構成では、加熱調理器全体1を薄くしようとした時に発光表示体5も薄くしなければならないが、表示シート9の光むらを少なくするために発光源7と表示シート9の間に空間を設ける必要があることや、発光源7を箱体6の底側に設けているために発光源7の高さ分箱体6を高くしなければならず発光表示体5が厚くなり、その結果加熱調理器全体1を薄くできないという課題があった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、加熱調理器を薄くするための薄型の発光表示体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理器は、本体の上面に設けた透光性の天板と、前記天板の下方に設けられ前記天板上の被加熱調理容器を加熱する加熱体と、前記加熱体の外周に配置され前記天板側に向けて発光する発光表示体とを備え、前記発光表示体は発光源と、前記発光源を覆い前記天板側に発光表示部を設けた箱体で構成し、前記発光源を前記箱体の側壁側に配置したものである。
【0008】
これによって、発光源の高さが箱体の高さに影響せずかつ箱体の内部で反射した光と直接光で発光表示部を光らせるため発光源と発光表示部の間に発光源の光を広げるための空間を設けなくても表示の明るさを一様にでき、発光表示体を薄くすることができるもので
ある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の加熱調理器は、発光源の高さが箱体の高さに影響せずかつ箱体の内部で反射した光と直接光で発光表示部を光らせるため発光源と発光表示部の間に発光源の光を広げるための空間を設けなくても表示の明るさを一様にでき、発光表示体を薄くすることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明は、発光表示体を、発光源と、発光源を覆い天板側に発光表示部を設けた箱体で構成し、発光源を箱体の側壁側に配置したとすることにより、発光源の高さが箱体の高さに影響せずかつ箱体の内部で反射した光と直接光で発光表示部を光らせるため発光源と発光表示部の間に発光源の光を広げるための空間を設けなくても表示の明るさを一様にでき、発光表示体を薄くすることができるものである。
【0011】
第2の発明は、特に、第1の発明において、発光表示部を箱体の天板側に設けた開口部と開口部を覆い光透過部と不透過部を有する表示シートで構成し、開口部の大きさを表示シートの光透過部よりも大きくしたもので、発光表示体の取り付け位置や発光の目的などに応じて容易に表示形状の変更をすることができる。
【0012】
第3の発明は、特に、第2の発明において、開口部に対し発光源の光が直接開口部に当るように発光源を水平方向に離して設けたもので、発光源からの直接光で表示シートを明るく発光させることができ、天板上から見た時の表示を明瞭にすることができる。
【0013】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明において、回路基板が箱体の側壁の一部を形成するようにしたことにより、回路基板を箱体の外側から取り付けることができるので組み立てが容易である。また、回路基板が箱体の側壁の一部を形成しているので箱体の材料使用量を少なくすることができ、安価にすることができる。
【0014】
第5の発明は、特に第4の発明において、発光表示体の回路基板の充電部を箱体の内側に配置したもので、充電部が他の充電部や金属部品に触れる恐れがなく、発光表示体の周囲に空間を設ける必要がなく狭い場所に設置することができる。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1)
図1〜図3は、本発明の実施の形態1における加熱調理器を示している。
【0017】
図に示すように、本体21の天面は鍋などの被加熱調理容器(図示していない)を載置する天板22で形成され、天板22の内側には被加熱調理容器を加熱する加熱体23が配置されている。加熱体23の出力は天板22に設けた調整ボタン24を操作することによって調整される。本体21の内側で加熱体23の外周には発光表示体25が配置され、天板22側に向けて発光し被加熱調理容器を載置する位置や加熱体23が加熱状態であることを表示する。発光表示体25の外郭は箱体26で形成され、箱体26の側壁側には発光源27が配置されている。ここで、箱体26は外部に光が漏れないように遮光性の材料で形成されている。また、箱体26の天板22側には発光表示部28が設けられ、発光表示部28には天板22側から見た時に発光源27が隠れるように天井を残して開口部29が設けられている。開口部29は表示シート30で覆われ、表示シート30は発光源27が点灯した時に開口部29を通った光を受けて光るように半透明に加工されている。加熱体
23の下方には制御回路31が設けられ、加熱体23の出力や加熱中に発光源27を発光させるなどの制御を行っている。
【0018】
以上のように構成された加熱調理器について、以下その動作、作用を説明する。
【0019】
まず、被加熱調理容器を加熱する場合には天板22の加熱体23の上に被加熱調理容器を載せ、調整ボタン24を押す。すると、加熱体23に通電され被加熱調理容器の加熱が開始され、発光源27が点灯する。発光源27から出た光は、開口部29から抜けるとともに箱体26内で反射しその光も開口部29から抜ける。開口部29を通った光は表示シート30に当って光り、被加熱調理容器を載置する位置や加熱体23が加熱状態であることを表示する。発光源27からの光を箱体26内で反射させて表示シート30が光るようにしたことにより表示シート30は一様に光り、発光源27と表示シート30の間に発光源27の光を広げるために高さ方向の空間を設ける必要がない。また、発光源27が箱体26の側壁側にあるので発光源27の高さ分箱体26を高くする必要がなく、発光表示体25を薄くすることができる。その結果、発光表示体25の厚さを薄くでき、薄型の加熱調理器を提供することが可能となる。
【0020】
このように、本実施の形態においては、発光表示体25は発光源27と発光源27を覆い天板22側に発光表示部28を設けた箱体26で構成し、発光源27を箱体26の側壁側に配置したことにより、発光源27の高さが箱体26の高さに影響せずかつ箱体26の内部で反射した光と直接光で発光表示部28を光らせるため発光源27と発光表示部28の間に発光源27の光を広げるための空間を設けなくても表示の明るさを一様にでき、発光表示体25を薄くすることができるものである。
【0021】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における加熱調理器を示している。実施の形態1と同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0022】
本実施の形態における加熱調理器は、表示シート30に印刷を施して光透過部30aと不透過部30bを設け、印刷を変えることで光透過部30aの大きさや形状を変えることができる。そして、開口部29の大きさは光透過部30aの形状が変わっても陰ができないように光透過部30aよりも大きくしてあり、表示シート30の印刷を変えるだけで表示形状を変えることができる(開口部29の形状を変える必要がない)。発光表示体25の取り付け位置や発光の目的などに応じて表示を変えたい場合に、箱体26や発光源27を変更することなく容易に表示形状を変更することができる。
【0023】
このように、本実施の形態においては、発光表示部28を箱体26の天板22側に設けた開口部29と開口部29を覆い光透過部30aと不透過部30bを有する表示シート30で構成し、開口部29の大きさを表示シート30の光透過部よりも大きくしたことにより、発光表示体25の取り付け位置や発光の目的などに応じて容易に表示形状の変更をすることができる。
【0024】
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3における加熱調理器を示している。実施の形態1と同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0025】
本実施の形態における加熱調理器は、開口部29に対して発光源27から放射され広がっていく光が直接開口部29に当るように、発光源27を開口部29から水平方向に離して設けてある。発光源27からの直接光が開口部29を通り表示シート30に当ることで表示シート30を明るく発光させることができ、天板上から見た時の表示を明瞭にするこ
とができる。
【0026】
このように、本実施の形態においては、開口部29に対し発光源27の光が直接開口部29に当るように発光源27を開口部29から水平方向に離して設けたもので、発光源27からの直接光で表示シート30を明るく発光させることができ、天板22上から見た時の表示を明瞭にすることができる。
【0027】
(実施の形態4)
図6は、本発明の実施の形態4における加熱調理器を示している。実施の形態1と同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0028】
本実施の形態における加熱調理器は、発光源27を回路基板32上に設け、回路基板32が箱体26の側壁の一部になるように外側から取り付けてある。回路基板32を箱体26の外側から取り付けることができるので、組み立てが容易である。また、回路基板32が箱体26の側壁の一部を形成することで、箱体26の材料使用量を少なくすることができ、安価にすることができる。
【0029】
このように、本実施の形態においては、回路基板32が箱体26の側壁の一部を形成するようにしたことにより、回路基板32を箱体26の外側から取り付けることができるので組み立てが容易である。また、回路基板32が箱体26の側壁の一部を形成しているので箱体26の材料使用量を少なくすることができ、安価にすることができる。
【0030】
(実施の形態5)
図7は、本発明の実施の形態5における加熱調理器を示している。実施の形態1と同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0031】
本実施の形態における加熱調理器は、回路基板32上の発光源27や回路パターン33などの充電部を箱体26の内側に配置してある。充電部が箱体26の内側にあるので充電部が他の充電部や金属部品に触れる恐れがなく、発光表示体25の周囲に空間を設ける必要がなく狭い場所に設置することができる。
【0032】
このように、本実施の形態においては、発光表示体25の発光源27等の充電部を箱体26の内側に配置したもので、充電部が他の充電部や金属部品に触れる恐れがなく、発光表示体25の周囲に空間を設ける必要がなく狭い場所に設置することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上のように、本発明にかかる加熱調理器は発光表示体を薄くすることができるので、加熱調理器に限らず発光表示体を有する機器全般に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態1における加熱調理器の平面図
【図2】同加熱調理器の断面図
【図3】同加熱調理器の発光表示体の分解斜視図
【図4】本発明の実施の形態2における加熱調理器発光表示体の分解斜視図
【図5】本発明の実施の形態3における加熱調理器の発光表示体の断面図
【図6】本発明の実施の形態4における加熱調理器の発光表示体の断面図
【図7】本発明の実施の形態5における加熱調理器の発光表示体の分解斜視図
【図8】従来例における加熱調理器の平面図
【図9】同加熱調理器の断面図
【図10】同加熱調理器の発光表示体の断面図
【図11】同加熱調理器をキッチンキャビネットに組み込んだ斜視図
【符号の説明】
【0035】
21 本体
22 天板
23 加熱体
25 発光表示体
26 箱体
27 発光源
28 発光表示部
29 開口部
30 表示シート
30a 光透過部
30b 不透過部
32 回路基板
33 回路パターン(充電部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の上面に設けた透光性の天板と、前記天板の下方に設けられ前記天板上の被加熱調理容器を加熱する加熱体と、前記天板の下方から前記天板側に向けて発光する発光表示体とを備え、前記発光表示体は発光源と、前記発光源を覆い前記天板側に発光表示部を設けた箱体で構成し、前記発光源が前記箱体の側壁側に配置された加熱調理器。
【請求項2】
発光表示部は箱体の天板側に設けた開口部と前記開口部を覆い光透過部と不透過部を有する表示シートで構成し、前記開口部の大きさを前記表示シートの前記光透過部よりも大きくした請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
開口部に対し発光源の光が直接前記開口部に当るように前記発光源を水平方向に離して設けた請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
発光源を回路基板上に取り付け、前記回路基板が箱体の側壁の一部を形成する請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
発光表示体の回路基板の充電部が箱体の内側に配置された請求項4に記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−283220(P2009−283220A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−132772(P2008−132772)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】