説明

加熱調理器

【課題】ロースタ加熱室の使用中に受け皿のスライド手段に外気を導入してスライド手段を冷却し、また、この外気を利用して受け皿を冷却するようにした簡単な構造で安全な加熱調理器を提供する。
【解決手段】ロースタ加熱室20の両側に設けられ前端部にドアが取付けられたスライド手段21と、このスライド手段21に着脱可能に装着されロースタ加熱室内から引き出し可能に配置される受け皿31と、スライド手段21の内部にスライド手段21を冷却する冷却手段とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムキッチンのキャビネットなどに組込まれて使用される加熱調理器に係り、より詳しくは、受け皿のスライド手段を備えたロースタ加熱室を有する加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のシステムキッチンのキャビネットに組込まれて使用される加熱調理器に、ロースタ加熱室の下方には、ロースタ加熱室から被調理物を取り出す際に引き出される左右の引き出しレールと、ロースタ加熱室と引き出しレールの間に配した遮熱板とを設け、本体外部内の中仕切り板の引き出しレールに対向する位置に、冷却風を引き出しレールへ流す中仕切り板開口部を設け、冷却ファンにより発熱部品が搭載された回路基板に向って吸込まれた外気は、回路基板を冷却したのち左右の加熱コイルを冷却する空気と、中仕切り板開口部を通って引き出しレールを冷却する空気とに別れ、これらを冷却したのち後方に設けた排気口から排気するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−302682号公報(第4−7頁、図1、2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の加熱調理器においては、引き出しレールへ供給される空気は、回路基板を冷却したのち中仕切り板開口部を通って引き出しレールへ送り込まれるため、外気温度より高温の空気を引き出しレールへ供給することになり、このため冷却効率が悪く、ロースタ加熱室に設けた左右一対の引き出しレール、特に空気流の下流側の引き出しレールを十分に冷却することができない。このため、引き出しレールが高温になり、調理後に引き出しレールを引出したときに安全上問題がある。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、ロースタ加熱室の使用中に受け皿のスライド手段に外気を導入してスライド手段を冷却し、またこの外気を利用して受け皿を冷却するようにした簡単な構造で安全な加熱調理器を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る加熱調理器は、ロースタ加熱室の両側に設けられ前端部にドアが取付けられたスライド手段と、該スライド手段に着脱可能に装着され前記ロースタ加熱室内から引き出し可能に配置される受け皿と、前記スライド手段の内部に、前記ドアから流入した外気を通して該スライド手段を冷却する冷却手段とを設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、ロースタ加熱室の受け皿のスライド手段に冷却手段を設け、ドアからこの冷却手段に流入した外気によりスライド手段を冷却するようにしたので、加熱調理が終了したのちスライド手段を引き出して露出させても、冷却されているため使用者が触れても安全であり、簡単な構造で信頼性の高い加熱調理器を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係るシステムキッチンのキャビネットに組込まれる加熱調理器の斜視図、図2は図1のA−A断面図、図3はロースタ加熱室から引き出しレールを引出した状態の斜視図及びドアの斜視図、図4は引き出しレールの断面図、図5はロースタ加熱室の模式的縦断面図、図6は図5の背面側の模式的説明図である。
【0009】
本実施の形態に係る加熱調理器において、1は上面が開口された箱状の本体ケース、2は板ガラス等の非磁性材からなり、外周が支持枠3に支持されて、本体ケース1の上部開口部に着脱可能に載置された天板で、支持枠3の後部側には内部を冷却するための外気を吸い込む天板吸込み口4と、内部の空気を排出する天板排気口5とが設けられている。6a,6b,6cはトッププレート2上に、後述の加熱手段に対応して印刷された調理鍋等の載置部である。
【0010】
本体ケース1内の上部には上部仕切り板7が設けられており、その幅方向のほぼ中央部と底板との間には中央仕切り板9が設けられている。そして、中央仕切り板9の一方の側の前面側には、表示部やスイッチ類などを有する操作パネル10が設けられており、他方の側には前面が開口されて、箱状で前面が開口されたロースタ加熱室20が収容されたロースタ収容室11が設けられている。
【0011】
上部仕切り板7とトッププレート2との間の加熱室8には、コイル支持台12a,12b,12c(12cは図示してない)が配置され、それぞれ加熱手段である誘導加熱コイル13a,13b,13c(13cは図示してない)が設けられている。
また、中央仕切り板9の一方の側(操作パネル10の背面側)には、上下方向に複数に仕切られた制御室14が設けられており、誘導加熱コイル13a〜13cの駆動回路やロースタ加熱室20などの制御部を構成する回路基板15a〜15cがそれぞれ設置されている(以下、これらを総称して制御部ということがある)。
【0012】
また、本体ケース1の側壁と中仕切り板9のロースタ収容室11側には、底板に立設されて奥行方向に延設されたレール固定板16a,16bが設けられている。
21はロースタ加熱室20の両側壁の下部に沿って設けられた受け皿のスライド手段を構成する引き出しレールで、図2〜図4に示すように、開口部をロースタ加熱室20側にしてレール固定板16a,16bに固定された断面ほぼC字状の一対の固定レール22a,22b(以下、単に22と記すことがある)と、断面形状が固定レール22より小さいほぼC字状で、開口部を固定レール22側にしてロースタ加熱室20の側壁に沿って、固定レール22内に摺動自在に収容された一対の可動レール23a,23b(以下、単に23と記すことがある)と、固定レール22と可動レール23との間に介装されたベアリング(玉)24とからなり、可動レール23の内側と固定レール22との間には長手方向に沿って冷却手段を構成する通風路25が形成されている。なお、レール固定板16a,16bを省略し、固定レール22a,22bを、本体ケース1の側壁と中仕切り板9に取付けてもよい。
【0013】
28は可動レール23a,23bの前端部に固定された連結部材で、その両端部には、引き出しレール21に設けた通風路25に連通する通気口29a,29bが設けられている。30は連結部材の中央部に開口しロースタ加熱室に連通する外気取入口である。31はロースタ加熱室20内に収容されて底板上に載置され、可動レール23a,23bの連結部材28に着脱可能に取付けられた受け皿である。
【0014】
35は引き出しレール21の連結部材28に着脱可能に取付けられて、ロースタ収容室11の前面開口部を開閉するドアで、その前面側下部には、下方が開口された断面ほぼL字状のハンドル36が設けられている。そして、ハンドル36の背面側のドアの両端部には、引き出しレール21の連結部材28の両端部に設けた通気口29a,29bに連通するドア吸気口37a,37bが設けられており、また、中央部には連結部材28に設けた外気取入口30に連通するドア外気取入口38が設けられている。
【0015】
ロースタ加熱室20内には、図5に示すように、調理物51の加熱手段である上部ヒータ40及び下部ヒータ41が設けられており、後壁にはロースタ排気口42が設けられている。なお、50は受け皿31上に載置され、調理物51が載せられる焼き網である。
【0016】
引き出しレール21に設けた通風路25は、ロースタ加熱室20の後部に設けた第1の排気ダクト43に連通し、ロースタ加熱室20の後壁に設けたロースタ排気口42は、調理物51を加熱調理する際、ロースタ加熱室20内に発生した臭気や煙などを外部に排出する第2の排気ダクト44に連通している。
これら第1、第2の排気ダクト43,44は一部に重複領域(図6)を有し、この重複領域にはモータで駆動される1台の排気ファン45が設けられている。そして、第1、第2の排気ダクト43,44は、共通ダクト46を介して本体ケース1の後部に設けた天板排気口5に連通している。
【0017】
次に、上記のように構成した本実施の形態に係る加熱調理器の作用について説明する。
調理鍋等に入れられた調理物を調理する場合は、調理鍋を天板2の載置部6a〜6cのいずれかの上(例えば、6a)に載置し、操作パネル10の電源スイッチをONして、調理鍋が載置された載置部6aに対応した誘導加熱コイル13aに通電し、調理鍋を加熱して調理を行う。
【0018】
このとき、図示しない送風機により天板吸気口4から吸い込まれた外気は、制御室14に吹き込まれて発熱部品が搭載された回路基板15a〜15cを冷却したのち、上記仕切り板7に設けた通気口7aから加熱室8に送られる。そして、誘導加熱コイル13a〜13cを冷却し、天板排気口5から外部へ排出される。
【0019】
次に、ロースタ加熱室20により、調理物51(例えば、魚)を加熱調理する場合は、先ず、図3に示すように、ドア35を開いて引き出しレール21を引き出し、受け皿31上に載置した焼き網50の上に魚51を載せて引き出しレール21を押し込み、ドア35を閉じる。そして、操作パネル10の電源スイッチをONし、続いてロースタ加熱室20の駆動スイッチをONする。
【0020】
これにより、上下のヒータ40,41に通電され、魚51を加熱し、調理する。このとき、ロースタ加熱室20の駆動スイッチをONすると、第1、第2の排気ダクト43,44に共通して設けた排気ファン45が駆動され、ロースタ加熱室20内に発生した臭気や煙は、ドア外気取入口38から外気取入口30を経てロースタ加熱室20内に流入した空気と共に、ロースタ排気口42から第2の排気ダクト44へ送られる。
【0021】
同時に、ドア35に設けたドア吸気口37a,37bから外気が吸い込まれ、引き出しレール21の連結部材28に設けた通気口29a,29bを介して、引き出しレール21の固定レール22a,22bと可動レール23a,23bとの間に形成された通風路25に導かれ、通風路25を経て第1の排気ダクト43に送られ、ロースタ加熱室20から第2の排気ダクト44に排出された排気と混合し、共通ダクト46を経て天板排気口5から外部へ排出される。この間、引き出しレール21の固定レール22a,22b、可動レール23a,23b及びベアリング24は、通風路25を通る外気によって冷却されるため、高温になることはない。
【0022】
調理が終ったときは、引き出しレール21を引き出して、調理物51を取り出す。このとき、引き出しレール21の可動レール23a,23bは露出状態になるが、通風路25を流れる外気によって冷却されているため高温にならないので、使用者が触れても安全である。
【0023】
本実施の形態によれば、引き出しレール21に冷却のための専用の通風路25を設けて外気を直接導入するようにしたので、ロースタ加熱室20で調理中は外気と同温度の空気が常時引き出しレール21の内部に供給されて、引き出しレール21、特に可動レール23a,23bを効率よく冷却することができる。
このため、引き出しレール21は、十分安全な温度に保持されるので、加熱調理後に引き出しレール21を引き出して可動レール23が露出した際、使用者がこれに触れても安全である。
【0024】
一般に、引き出しレールにおいては円滑性を向上させるために、ベアリングに潤滑剤を使用しているが、本実施の形態のような高温になるロースタ加熱室20に設けた引き出しレール21においては、ベアリング24も高温になるため、高温になっても粘度が変化しにくい耐熱性の高い潤滑剤を使用しなければならず、コスト高になるという問題があった。
しかし、本実施の形態によれば、引き出しレール21は十分冷却されるので、ロースタ加熱室20において加熱調理中もベアリング24を低温に保持することができ、このため、耐熱性の高い高価な潤滑剤を用いる必要がなく、安価な潤滑剤を使用することができる。
【0025】
また、本実施の形態においては、引き出しレール21の冷却手段を別部材によって特別に構成することなく、引き出しレール21を構成する固定レール22、可動レール23及びベアリング24によって冷却手段である通風路25を構成したので、簡単な構造で確実に引き出しレール21を冷却することができる。
【0026】
さらに、本実施の形態によれば、引き出しレール21に設けた通風路25に外気を取り込むためのドア吸気口37a,37b及びロースタ加熱室20内に外気を導入するためのドア外気取入口38を、ドア35のハンドル36の背面側、したがって、ハンドル36で隠れて正面から見えない位置に設けたので、美観的に優れているばかりでなく、ロースタ加熱室20で加熱調理中に、使用者などが加熱調理器の前面側に身体を密着させたりしても、ドア吸気口37a,37b及びドア外気取入口38を塞ぐおそれがない。このため、引き出しレール21の冷却やロースタ加熱室20への外気の導入に影響を与えることがない。
【0027】
[実施の形態2]
図7は本発明の実施の形態2に係る加熱調理器のロースタ加熱室の模式的断面図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態は、実施の形態1に係るロースタ加熱室20において、第1、第2の排気ダクト43,44の重複領域に設けた排気ファン45を省略し、ドア35に設けたドア給気口37a,37bに、例えばファンモータからなる吸気ファン47a,47b(以下、単に47と記すことがある)を設置したものである。
【0028】
本実施の形態によれば、ドア35に設置した吸気ファン47によってドア吸気口37a,37bから吸引された外気は、出し入れレール21の連結部材28に設けた通気口29a,29bを経て通気路25に流入し(押し込まれ)、後部に設けた第1の排気ダクト43に送られる。
一方、ドア35のドア外気取入口38から連結部材28の外気取入口30を介してロースタ加熱室20内に流入した外気は、主としてロースタ加熱室20内に生じた自然対流と、吸気ファン47によって通風路25に押し込まれる外気の誘引効果とによって排気が促進され、重複領域において引き出しレール21の通風路25から送られた外気と合流し、共通ダクト46を介して天板排気口5から排出される。
【0029】
上記の説明では、ドア35の両側に設けたドア吸気口37a,37bにそれぞれ吸気ファン47を設けた場合を示したが、例えば、ドア35の中央部に設けたドア外気取入口38に吸気ファン47を設けると共に、ドア外気取入口38をドア吸気口37a,37bに連通させて、1個の吸引ファン47で両通風路25に外気を送るようにしてもよい。なお、この場合は、引き出しレール21の連結部材28に設けた外気取入口30からロースタ加熱室20内に、吸気ファン47によって取込んだ外気が流入するのを防止するため、連結部材28に外気取入口30を設けず、ロースタ加熱室20の底板の前縁部近傍に空気取入口30を設けてもよい(図3に破線で示してある)。
【0030】
本実施の形態によれば、ロースタ加熱室20の後部に設けた排気ファン45を省略し、ドア35に引き出しレール21の通風路25に外気を取り込む吸気ファン47を設けたので、その誘引効果により、ロースタ加熱室20内に発生し自然対流により外部に排出される臭気や煙の排出を促進することができる。
また、ロースタ加熱室20の後部に設けた排気ファン45を省略したので後部の空間部を拡大することができ、有効利用することができる。
【0031】
[実施の形態3]
図8は本発明の実施の形態3に係る加熱調理器のロースタ加熱室の要部の説明図である。なお、実施の形態1,2と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態は、受け皿31の引き出しレール21の可動レール23a,23bの長手方向(奥行方向)に、複数の外気吹出し口26を設けると共に、ロースタ加熱室20の両側壁に、この外気吹出し口26に対向してそれぞれ開口部27を設け、また、受け皿31の下面の幅方向(図の左右方向)に、外気吹出し口26から流入した外気との接触面積を増大するための、開口部27に対応した高さのリブ32を、奥行方向に所定の間隔で複数個平行に設けたものである。なお、48はロースタ加熱室20の底板上に設けられ、受け皿31の底面に接触又は近接して受け皿31の温度を検出する温度センサで、その検出信号は制御室14に設けた制御部へ送られる。
【0032】
本実施の形態において、ロースタ加熱室20で調理物を加熱調理中は、ドア35に設けた吸気ファン47により、引き出しレール21の通風路25に吸込まれた正圧の外気は、その一部が外気吹出し口26、開口部27を経てロースタ加熱室20に吹き込まれ、受け皿31の底面を冷却し、ロースタ排気口42から排出される。
【0033】
この間、受け皿31の底面に接触又は近接する温度センサ48により、加熱調理中の受け皿31の温度が検出されてその検出信号を制御部へ送られ、制御部は、この検出信号に応じて吸気ファン47の回転を制御する。例えば、受け皿31の温度が高温のときは、吸気ファン47の回転数を増加して外気吹出し口26から受け皿31の底面に吹き込まれる外気の量を増加させ、受け皿31上に落下した調理物51からの油等が高温になって、発煙、発火が生じるのを防止する。
【0034】
本実施の形態によれば、吸気ファン47により引き出しレール21に設けた通風路25に流入した外気によって引き出しレール21を冷却すると共に、その一部を外気吹出し口26からロースタ加熱室20の受け皿31の下部に吹き出して受け皿31を冷却するようにしたので受け皿31が高温になって受け皿31上に落下した油等が発煙や発火するのを防止することができる。
また、温度センサ48により受け皿31の温度を検知し、これが所定の温度を超えたときは吸気ファン47を制御して、通風路25、したがってロースタ加熱室20内に吹き込まれる外気の量を増加するようにしたので、受け皿31の温度を常に所定温度以下に保持することができる。
【0035】
さらに、受け皿31の底部に複数のリブ32を設けて、受け皿31の底面の表面積を拡大し、通風路25から吹き出した外気の伝熱面積を増大させるようにしたので、受け皿31の冷却効率を向上することができる。
【0036】
図9は本実施の形態の他の例を示すもので、本実施の形態においては、受け皿31の底部に、外気吹出し口26から流入した外気に乱流を発生させるための、例えば高さの異なる複数の凸部を千鳥状に配置した乱流促進体33を設けたものである。
本例によれば、通風路25からロースタ加熱室20内に吹き出した外気が、乱流促進体33に衝突して乱流化が促進され、これにより、受け皿31の底面との伝熱面積を増大させ、冷却効率を向上することができる。その他の作用、効果は、図8の場合と同様である。
【0037】
[実施の形態4]
図10は本発明の実施の形態4に係る加熱調理器のロースタ加熱室の模式的断面図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態は、実施の形態1〜3に係る加熱調理器において、ロースタ加熱室20に設けた排気ファン45又は吸気ファン47の回転を検知して、その検知信号を制御部へ送る回転検出器49を設けたものである。
【0038】
上記のように構成した本実施の形態において、ロースタ加熱室20で調理物51の加熱調理が開始されると、排気ファン45又は吸気ファン47も回転を開始し、その回転は回転検出器49で検出され、制御部へ送られる。
そして、回転検出器49により排気ファン45又は吸気ファン47の回転が検出されないか、又は検出された回転数が所定の回転数以下であったときは、制御部はロースタ加熱室20の駆動を中止して、加熱調理を行わないようにしたものである。
【0039】
本実施の形態によれば、排気ファン45若しくは吸気ファン47が回転せず、又は所定の回転数以下であったときは、制御部は排気ファン45若しくは吸気ファン47の劣化や、ファン羽根部への異物混入等により正常に動作しないと判断し、ロースタ加熱室20による加熱調理を行わないようにしたので、これらを要因とする発煙や発火を防止することができ、安全で信頼性の高い加熱調理器を得ることができる。
【0040】
上記の説明では、図示の加熱調理器に本発明を実施した場合を示したが、これに限定するものではなく、他の構造のビルドイン型や据え置き型の加熱調理器にも本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態1に係るシステムキッチンのキャビネットに組込まれる加熱調理器の斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】ロースタ加熱室から引き出しレールを引出した状態を示す斜視図及びドアの斜視図である。
【図4】引き出しレールの断面図である。
【図5】ロースタ加熱室の模式的断面図である。
【図6】図5の背面側の模式的説明図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る加熱調理器のロースタ加熱室の模式的断面図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係る加熱調理器のロースタ加熱室の要部の説明図である。
【図9】実施の形態3のロースタ加熱室の他の例の要部の説明図である。
【図10】本発明の実施の形態4に係る加熱調理器のロースタ加熱室の模式的断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 本体ケース、2 天板、4 天板吸込み口、5 天板排気口、10 操作パネル、13a〜13c 誘導加熱コイル、15a〜15c 回路基板(制御部)、20 ロースタ加熱室、21 引き出しレール(スライド手段)、22 固定レール、23 可動レール、24 ベアリング、25 通風路、26 外気吹出し口、27 開口部、28 連結部材、29a,29b 通気口、30 外気取入口、31 受け皿、32 リブ、33 突起、35 ドア、36 ハンドル、37 ドア吸気口、38 ドア外気取入口、42 ロースタ排気口、43 第1の排気ダクト、44 第2の排気ダクト、45 排気ファン、47 吸気ファン、48 温度センサ、49 回転検出器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロースタ加熱室の両側に設けられ前端部にドアが取付けられたスライド手段と、該スライド手段に着脱可能に装着され前記ロースタ加熱室内から引き出し可能に配置される受け皿と、前記スライド手段の内部に前記スライド手段を冷却する冷却手段とを設けたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記冷却手段は、前記スライド手段の内部に冷却風を通して該スライド手段を冷却する通風路を備えたことを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記通風路は、外気を流入することを特徴とする請求項2記載の加熱調理器。
【請求項4】
上部が開口された本体ケース、天板吸気口及び天板排気口を有し、前記本体ケースの上部開口部に装着された天板、前記本体ケース内に設けられた加熱手段、制御部、ほぼ箱状で前面が開口され後部にロースタ排気口が設けられたロースタ加熱室等を備えた加熱調理器において、
前記ロースタ加熱室は、その両側に設けられ前端部にドアが取付けられたスライド手段と、該スライド手段に着脱可能に装着され前記ロースタ加熱室内に配置される受け皿とを有し、
前記スライド手段に、前記ドアから流入した外気を通して該スライド手段を冷却する通風路を設けたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項5】
前記スライド手段のドアに、前記通風路に連通するドア吸気口を設け、又はドア吸気口及び前記ロースタ加熱室に連通するドア外気取入口を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記ドアの前面側にハンドルを設け、該ハンドルの背面側のドアに前記ドア吸気口又はドア吸気口及びドア外気取入口を設けたことを特徴とする請求項5記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記ロースタ加熱室に、前記通風路と共通ダクトとを連通する第1の排気ダクトを設けると共に、前記ロースタ排気口と前記共通ダクトとを連通する第2の排気ダクトを設け、前記第1、第2の排気ダクトの重複領域に排気ファンを設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記ロースタ加熱室に、前記通風路と前記共通ダクトとを連通する第1の排気ダクトを設けると共に、前記ロースタ排気口と前記共通ダクトとを連通する第2の排気ダクトを設け、前記スライド手段のドアに、前記通風路に連通するドア吸気口を設け、該ドア吸気口に吸気ファンを設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記ロースタ加熱室に、前記通風路と前記共通ダクトとを連通する第1の排気ダクトを設けると共に、前記ロースタ排気口と前記共通ダクトとを連通する第2の排気ダクトを設け、前記スライド手段のドアに、前記通風路に連通する一対のドア吸気口を設けて該ドア吸気口をドア外気取入口で連通し、該ドア外気取入口に吸気ファンを設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項10】
前記スライド手段は、前記ロースタ加熱室の両側において、開口部を該ロースタ加熱室側にして前記本体ケースに固定された断面ほぼC字状の一対の固定レールと、開口部を前記固定レール側にして該固定レール内に前記受け皿の引き出し方向にスライド自在に挿入された断面ほぼC字状の一対の可動レールと、前記固定レールと可動レールとの間に介装されたベアリングとを有し、前記固定レールと可動レールとの間に通風路を形成したことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項11】
前記一対の可動レールの前端部を連結する連結部材に、前記通風路と連通する通気口を形成したことを特徴とする請求項10記載の加熱調理器。
【請求項12】
前記スライド手段の可動レールの長手方向に複数の外気吹出し口を設けると共に、前記ロースタ加熱室の側壁に前記外気吹出し口に対向して開口部を設けたことを特徴とする請求項10または11のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項13】
前記受け皿に接触又は近接する温度センサを設けたことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項14】
前記外気吹出し口と前記受け皿の下方が連通するように構成し前記受け皿の底下面に前記外気吹出し口と直交するリブを設けたことを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項15】
前記リブは前記受け皿の奥行方向に所定の間隔で複数設けたことを特徴とする請求項14記載の加熱調理器。
【請求項16】
前記受け皿の下面に、複数の突起を設けたことを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項17】
前記排気ファン又は吸気ファンに回転検出器を設け、該回転検出器により前記排気ファン又は吸気ファンの回転が検出されないか又は所定の回転数より低い場合は、前記ロースタ加熱室に設けた加熱手段を停止させることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−12122(P2010−12122A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176502(P2008−176502)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】