説明

加熱調理器

【課題】調理性能に優れ、安全で使いやすくお手入れ性の良い加熱調理器を提供すること。
【解決手段】本発明の加熱調理器は、調理物の上面を放射加熱する第1の加熱手段と、調理室底面を加熱するヒータを有し、調理物を載置する載置皿と調理室底面を熱的に接続し、調理物と載置皿の接触面に蒸気を供給することにより、載置皿を必要十分に加熱することができ調理物に必要な熱量を与え、調理物からの水分蒸発過多による硬化を防ぐことで食味を向上させることができる。また、安全で使いやすくお手入れ性に優れた加熱調理器とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般家庭で魚、肉等の調理物を加熱調理する加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加熱調理器は、調理物を載置する焼き網と調理物の上面を加熱するヒータと調理物の下面を加熱するヒータを有し、調理物は上下面両方から加熱されることで、調理の途中で調理物をひっくり返すことなく、両面を焼き上げることができるものが商品化されている。
【0003】
また、図7に示すように、調理物の上下両面をバランス良く十分加熱し得る加熱調理器も提案されている。加熱調理器40は、調理物41を収納して加熱調理を行う調理庫42と、調理庫42の上部に配置される上部加熱手段43と、調理庫42の下部に配置される下部加熱手段44と、調理を行う際に、調理庫42内に配置されるトレー45を備え、トレー45の一部には切欠き部46を有し、トレー45を調理庫42内にセットした際に、切欠き部46より下部加熱手段44がトレー45内に配置されるようにしたものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−88473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
市販の加熱調理器や、特許文献1における加熱調理器は、調理物の両面焼きが可能であり調理物の上下両面を加熱することが可能である。しかしながら、下部加熱手段に調理油などが滴下して発火する可能性があるため、下部加熱手段への入力を抑制しており十分に熱量を加えることができず加熱むらが生じ食味が満足のいくものではなかった。また、下部加熱手段に滴下した調理油が発煙して調理物の香りを損ねてしまっていた。また、加熱中に調理物から飛散した飛沫などが調理室内の壁面に付着したものを取り除く場合に下部加熱手段がじゃまになり清掃性が悪いなどの課題を有していた。
【0006】
本発明は前記従来の課題を解決するもので、調理性能に優れ、安全で使いやすくお手入れ性の良い加熱調理器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理器は、調理物を収納する調理室と、調理物を載置する載置皿と、前記載置皿に設けられた蒸気発生手段と、調理物を上方から加熱する第1の加熱手段と、調理室底面を加熱するヒータを有し、前記載置皿と前記調理室底面は熱的に接続され、調理物を上下から加熱調理するようにした加熱調理器としたものである。
【0008】
上記発明のように、調理室底面を加熱するヒータを有し前記載置皿と前記調理室底面は熱的に接続することにより、ヒータによって調理室底面が加熱され、さらに調理室底面からの熱伝導によって載置皿が加熱され、調理物の下面が加熱される。調理物の上面は、第1の加熱手段からの放射によって加熱される。これにより、調理物の両面焼きが可能となる。また、調理物の下面は、載置皿からの伝導熱で加熱されるため、調理物における載置皿との接触面は過加熱による水分蒸発過多により焦げが発生し硬くなるという課題を解決
できる。すなわち、調理物と載置皿との接触面付近に蒸気を供給することで以上の課題を解決する。よって、調理物との距離が最も近い載置皿に蒸気発生手段を設けることで、調理物からの水分蒸発過多による硬化を効果的に防ぐことができる。
【0009】
また、ヒータによって調理室側面が加熱されることで調理物を包み込むように加熱し調理物の内部まで火通りの良いオーブン機能を付加することが可能となる。
【0010】
以上の構成によると、ヒータに調理油などが滴下して発火する可能性がないため、下部加熱手段への入力を必要十分に加え載置皿を加熱することができ、調理物に必要な熱量を与えることで食味を向上させることができる。また、調理物との距離が最も近い載置皿に蒸気発生手段を設けることで、調理物からの水分蒸発過多による硬化を効果的に防ぐことができる。
【0011】
また、下部加熱手段に調理油が滴下することがないため、発煙によって調理物の香りが損なわれることがない。
【0012】
また、載置皿の温度は最大でも300℃程度であり、従来のように調理物の下部を放射加熱する場合のヒータの温度が500℃以上に上昇する場合と比較すると魚や鳥の油が発火することがなく極めて安全性が高い。さらに、加熱中に調理物から飛散した飛沫などが調理室内の壁面に付着した場合においても、調理物を下方から加熱する加熱手段が無いため、掃除の際に手が引っ掛かったりすることなく清掃性に優れるものである。
【0013】
よって、調理性能が向上し、安全で使いやすくお手入れ性の良い加熱調理器を提供することができるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の加熱調理器は、調理物の上面を放射加熱する第1の加熱手段と、調理室底面を加熱するヒータを有し、調理物を載置する載置皿に蒸気発生手段を有し、載置皿と調理室底面を熱的に接続することにより、載置皿を必要十分に加熱することができ調理物に必要な熱量を与えることで食味を向上させ、調理物との距離が最も近い載置皿に蒸気発生手段を設けることで、調理物からの水分蒸発過多による硬化を効果的に防ぐことができる。また、安全で使いやすくお手入れ性に優れた加熱調理器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1における加熱調理器の断面図
【図2】本発明の実施の形態1における加熱調理器のaa断面図
【図3】本発明の実施の形態2における加熱調理器の断面図
【図4】本発明の実施の形態2における加熱調理器のaa断面図
【図5】本発明の実施の形態3における加熱調理器の断面図
【図6】本発明の実施の形態3における加熱調理器のaa断面図
【図7】従来の加熱調理器の断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の発明は、調理物を収納する調理室と、調理物を載置する載置皿と、前記載置皿に設けられた蒸気発生手段と、調理物を上方から加熱する第1の加熱手段と、調理室底面を加熱するヒータを有し、前記載置皿と前記調理室底面は熱的に接続され、調理物を上下から加熱調理するようにした加熱調理器とすることにより、調理物の両面焼きと食味を向上させることが可能となる。
【0017】
すなわち、ヒータによって調理室底面が加熱され、さらに調理室底面からの熱伝導によ
って載置皿が加熱され、調理物の下面が加熱される。調理物の上面は、第1の加熱手段からの放射によって加熱される。調理物の下面は、載置皿からの伝導熱で加熱されるため、調理物における載置皿との接触面は過加熱による水分蒸発過多により焦げが発生し硬くなる。これを防止するために、調理物と載置皿との接触面付近に蒸気を供給することが有効となる。したがって、調理物との距離が最も近い載置皿に蒸気発生手段を設けることで、調理物からの水分蒸発過多による硬化を効果的に防ぐことができる。
【0018】
ヒータに調理油などが滴下して発火する可能性がないため、ヒータへの入力を必要十分に加え載置皿を加熱することができ、調理物に必要な熱量を与えることで食味を向上させることができる。また、ヒータによって調理室側面が加熱されることで調理物を包み込むように加熱し調理物の内部まで火通りの良いオーブン機能を付加することが可能となる。また、ヒータに調理油が滴下することがないため、発煙によって調理物の香りが損なわれることがない。
【0019】
また、載置皿の温度は最大でも300℃程度であり、従来のように調理物の下部を放射加熱する場合のヒータの温度が500℃以上に上昇する場合と比較すると魚や鳥の油が発火することがなく極めて安全性が高い。さらに、加熱中に調理物から飛散した飛沫などが調理室内の壁面に付着した場合においても、清掃性に優れるものである。
【0020】
よって、調理性能が向上し、安全で使いやすくお手入れ性の良い加熱調理器を提供することができるものである。
【0021】
第2の発明は、特に第1の発明における載置皿の調理物を載置する表面は凹凸を有する山谷形状とし、前記蒸気発生手段は前記凹部に貯留された水を蒸発させて蒸気を発生させる加熱調理器とすることにより、凸部における載置皿から調理物への熱伝導による加熱流束を十分に確保した上で、凹部における蒸気の発生によって調理物からの水分蒸発過多による硬化を効果的に防ぐことができる。載置皿の凹凸を、規則正しく設けることで調理物の加熱と硬化防止を高次元にバランスさせることができ、調理性能の向上につなげることができる。
【0022】
第3の発明は、特に第2の発明における凹部に水を供給する給水手段を設けた加熱調理器とすることにより、ユーザーに対し特に複雑な操作を強いることなく載置皿の凹部から蒸気を発生させることができる。
【0023】
すなわち、ユーザーが調理準備として従来行っていた受け皿に水を入れる作業を、例えば加熱調理器に設けられた水タンク等に入れる作業に替わるのみであり、調理終了後は水タンクの水を流す作業のみで良く新たな作業を強いるものではない。
【0024】
第4の発明は、特に第1〜3の発明における載置皿の略外周部には、調理物を載置する載置面よりも低い位置に溝を有する加熱調理器とすることにより、調理物から流れ出た油が載置皿の外周部に溜まることで調理物への油の再付着を抑制することができ、調理性能を向上させることができる。
【0025】
第5の発明は、特に第1〜4の発明における調理物を載置する載置面は、略中央部から略外周部に向かって傾斜し、略外周部は略中央部よりも低い位置にある加熱調理器とすることにより、調理物から流れ出た油を素早く載置皿の外周部に流出させることができ、調理物への油の再付着を一層抑制することができ、調理性能を向上させることができる。
【0026】
第6の発明は、特に第1〜5の発明における載置皿は可動するようにした加熱調理器とすることにより、使い勝手を向上させることができるものである。すなわち、調理物を載
置皿に載置し載置皿を加熱室に収容することで、載置皿の上端部と前記加熱壁の下端部とは勘合し加熱調理可能な状態となる。加熱調理が終了した際には、載置皿を加熱室から取り出すと調理物も同時に取り出され使い勝手が良いものである。
【0027】
第7の発明は、特に第1〜6の発明における載置皿と前記調理室底面は蓄熱性および耐熱性を有する材料からなる加熱調理器とすることにより、調理性能を向上させることができるとともに耐久性の高い加熱調理器とすることができる。すなわち、蓄熱性が高ければ調理物から発生する蒸気などによって調理室底面や載置皿の温度が低下しにくく、また調理室内の温度変動も少ないため、温度むらによる調理性能の低下を防ぐ効果を有するものである。また、耐熱性が高ければヒータによる繰り返し加熱においても材料が歪んだり劣化したりしにくく、初期性能を維持できるとともに長期に渡って使用できるものである。
【0028】
第8の発明は、特に第7の発明における載置皿の素材は、鋳鉄とした加熱調理器とすることにより、高強度かつ高い蓄熱性と耐熱性を有し、調理性能を向上させることができるとともに耐久性の高い加熱調理器を低コストで提供することができる。また、遠赤外線を効果的に放出することで調理物表面をこんがり焼くとともに包み込むように加熱することで内部まで火通りが良く、調理性能を向上させることができる。
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0030】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の断面図を示したものである。図2は本発明の第1の実施の形態における加熱調理器のaa拡大断面図である。
【0031】
図1において、1は加熱調理器の本体であり、魚等の調理物2を焼く調理室3を有する。前面にハンドル4を設けており、このハンドル4を操作することにより調理室3前後にスライドするものである。
【0032】
5は調理物2を上部から加熱する第1の加熱手段であり、マイカにフィルム状ヒータ線を螺旋状に巻きつけた平面ヒータ6を、調理室3の上面7に圧接して固定されている。加熱壁7の表面は放射率を高める表面処理(セラミック塗装)が施され、調理物2への放射による加熱効率を高めている。
【0033】
8は調理物2を下部から加熱する第2の加熱手段であり、マイカにフィルム状ヒータ線を螺旋状に巻きつけた平面ヒータ9を、調理室3の底面10に圧接して固定されている。
【0034】
11は調理物2を載置する載置皿である。載置皿11は、底面が平面形状で調理物を載置する載置面が波形状に形成され外周には壁面が形成されている。
【0035】
波形状の載置面において、山部12は調理物2と接触し、谷部13には水を貯留することができるようになっている。調理室3側面には水供給手段14を配設している。この水供給手段14は、載置皿11の谷部13に水を供給し、貯水タンク15、貯水タンク15の水を送水管16および給水口17を介して谷部13に給水するポンプ18を備える。
【0036】
載置皿11は、ハンドル4を操作することにより調理室3内外を前後にスライドし、調理室3内に底面10と面接触した状態でセットされる。載置皿11は、蓄熱性および耐熱性に優れた効果を有する鋳鉄を用いた。なお、鋳鉄に限定されるものではなく、蓄熱性および耐熱性に優れた材質であれば、ステンレスやアルミニウムなどを加工したものであってもよい。
【0037】
調理室3上部には、第1の温度センサ19が上面7に圧接して設けられ、調理室3下部には、第2の温度センサ20が載置皿11に圧接して設けられている。
【0038】
制御手段(図示しない)は、第1の加熱手段5と第2の加熱手段8とを調理工程プログラムに従って制御する。
【0039】
以上のように構成された加熱調理器について、以下その動作、作用を説明する。
【0040】
まず、グリル調理の際、使用者がハンドル4を引き出すと、それと連動して載置皿11が調理室3からスライドして引き出される。そこで載置皿11に魚等の調理物2を載せ、ハンドル4を押し、スライドさせて調理室3内に収納する。また、貯水タンク15に所定量の水を入れる。この時、載置皿11は調理室3内に底面10と面接触した状態でセットされる。その後、図示しない操作部を操作することにより、調理物2を加熱する調理工程が開始し、制御手段は第1の加熱手段5と第2の加熱手段8に通電し温度上昇工程が開始する。
【0041】
この工程では、平面ヒータ6の熱が上面7に伝熱し上面7の温度が上昇し続けるとともに、平面ヒータ9の熱が底面10に伝熱しさらに載置皿11に伝熱することで載置皿11の温度が上昇し続ける。
【0042】
そして、第1の温度センサ19と第2の温度センサ20からの入力信号によって、上面7と載置皿11との温度が調理所定温度(例えば、載置皿11の底面の温度は約250℃、加熱壁8は約600℃)まで上昇したことを検知すると、温度維持工程に移行し第1の加熱手段5と第2の加熱手段8へのデューティ制御を開始するとともに、ポンプ18に通電し給水口17から谷部13に給水を開始する。水供給手段14は発生蒸気量をポンプ18の動作による給水量によって可変することができる。
【0043】
この工程では、調理物2に対して載置皿11からは伝導熱により熱量を与え、上面7からは放射熱により熱量を与えることで調理物は加熱調理される。さらに、載置皿11の谷部13からは蒸気が発生し、直近の調理物に対し蒸気を供給する。
【0044】
平面ヒータ6と平面ヒータ9の入力電力と、上面7の温度分布と、底面10から載置皿11への伝熱量と、載置皿11と上面7の調理物2への加熱バランスおよび蒸気発生量については、種々の調理物を実調理にて加熱調理することで最適化を図り構成および形状を決定した。
【0045】
よって、調理物2は調理室3上部の上面7からの放射加熱と調理室3下部の載置皿11からの伝導加熱により、調理物2の表面温度は、たんぱく質成分が変性して凝固する凝固温度(例えば62℃)近傍まで急速に加熱される。調理物2の表面はこんがり焼け、内部は包み込むように加熱されることで火通りが良く、内部まで美味しく焼き上げることができる。また、載置皿11の谷部13から発生する蒸気によって、載置皿11と調理物2の接触面における過加熱による焦げや硬化を防ぐことができる。
【0046】
載置皿11の底面と調理室3の底面10は平面形状であり、接触面積を広くできることで底面10から載置皿11の底面への熱伝導をスムーズにし加熱効率を向上させることができる。また、底面10は平面形状のため加熱中に調理物から飛散した飛沫などが付着した場合においても、容易に清掃することができ清潔に保つことができる。
【0047】
また、平面ヒータ9と底面10とを熱的に接続したことにより、第2の加熱手段から載
置皿11への熱の伝わりがスムーズになり、載置皿11を調理可能な温度に素早く上昇させることが可能になるとともに任意に温度設定することができる。よって、調理物2を上下から素早く加熱することができ調理物2の内部に旨み成分を閉じ込め調理性能を向上させることができる。また、加熱効率が向上することで省エネにも繋がるものである。
【0048】
また、載置皿11は蓄熱性を有する鋳鉄であるため、調理中に調理物2から発生する蒸気などによって載置皿11の温度が低下しにくく、また調理室3内の温度変動も少ないため、温度むらによる調理性能の低下を防ぐ効果がある。また、鋳鉄は耐熱性が高くヒータによる繰り返し加熱においても材料が歪んだり劣化したりしにくく、初期性能を維持できるとともに長期に渡って使用できるものである。
【0049】
調理工程の時間が所定時間になるまで調理工程が行われると、制御手段は第1の加熱手段と第2の加熱手段への通電を終了し、調理工程を終了する。そして、使用者は、ハンドル4を調理室3から引き出すことにより、加熱調理された調理物2を取り出すことができる。
【0050】
なお、温度維持工程および調理工程の経過時間は制御手段に接続された図示しないタイマーでカウントするものである。
【0051】
以上のように、本実施の形態による加熱調理器は、調理物の両面焼きと食味を向上させることが可能となる。
【0052】
すなわち、ヒータによって調理室底面が加熱され、さらに調理室底面からの熱伝導によって載置皿が加熱され、調理物の下面が加熱される。調理物の上面は、第1の加熱手段からの放射によって加熱される。調理物の下面は、載置皿からの伝導熱で加熱されるため、調理物における載置皿との接触面は過加熱による水分蒸発過多により焦げが発生し硬くなる。これを防止するために、調理物と載置皿との接触面付近に蒸気を供給することが有効となる。したがって、調理物との距離が最も近い載置皿に蒸気発生手段を設けることで、調理物からの水分蒸発過多による硬化を効果的に防ぐことができる。
【0053】
ヒータに調理油などが滴下して発火する可能性がないため、ヒータへの入力を必要十分に加え載置皿を加熱することができ、調理物に必要な熱量を与えることで食味を向上させることができる。また、ヒータによって調理室側面が加熱されることで調理物を包み込むように加熱し調理物の内部まで火通りの良いオーブン機能を付加することが可能となる。また、ヒータに調理油が滴下することがないため、発煙によって調理物の香りが損なわれることがない。
【0054】
また、載置皿の温度は最大でも300℃程度であり、従来のように調理物の下部を放射加熱する場合のヒータの温度が500℃以上に上昇する場合と比較すると魚や鳥の油が発火することがなく極めて安全性が高い。さらに、加熱中に調理物から飛散した飛沫などが調理室内の壁面に付着した場合においても、清掃性に優れるものである。
【0055】
よって、調理性能が向上し、安全で使いやすくお手入れ性の良い加熱調理器を提供することができるものである。
【0056】
(実施の形態2)
図3は本発明の第2の実施の形態における加熱調理器の断面図を示したものである。図4は本発明の第2の実施の形態における加熱調理器のaa断面図である。
【0057】
図3、図4において、実施の形態1と同等の作用および動作部分については同符号を用
い説明を省略し、異なる部分のみを以下に述べる。
【0058】
21は調理物2を下部から加熱する第2の加熱手段であり、マイカにフィルム状ヒータ線を螺旋状に巻きつけた平面ヒータ22を、調理室3の底面23に圧接して固定されている。
【0059】
24は調理物2を載置する載置皿である。載置皿24は、底面が平面形状で調理物を載置する載置面が波状に形成され外周には壁面が形成されている。また、載置皿24の外周部には、調理物を載置する載置面よりも低い位置に溝25を有する。
【0060】
載置皿24は、ハンドル4を操作することにより調理室3内外を前後にスライドし、調理室3内に底面23と面接触した状態でセットされる。載置皿24は、蓄熱性および耐熱性に優れた効果を有する鋳鉄を用いた。なお、鋳鉄に限定されるものではなく、蓄熱性および耐熱性に優れた材質であれば、ステンレスやアルミニウムなどを加工したものであってもよい。
【0061】
以上の構成とすることにより、調理物2から流れ出た油は載置皿24の載置面に形成された山谷の谷部分を流れ、載置面よりも低い位置に形成された溝25に流れ込み貯留される。よって、調理物2への油の再付着を抑制することができ、調理性能を向上させることができる。
【0062】
(実施の形態3)
図5は本発明の第3の実施の形態における加熱調理器の断面図を示したものである。図6は本発明の第3の実施の形態における加熱調理器のaa断面図である。
【0063】
図5、図6において、実施の形態1と同等の作用および動作部分については同符号を用い説明を省略し、異なる部分のみを以下に述べる。
【0064】
30は調理物2を下部から加熱する第2の加熱手段であり、マイカにフィルム状ヒータ線を螺旋状に巻きつけた平面ヒータ31を、調理室3の底面32に圧接して固定されている。
【0065】
33は調理物2を載置する載置皿である。載置皿33は、底面が中央部から外周部に向かって傾斜し、調理物を載置する載置面が波状に形成され外周には壁面が形成されている。載置面は、中央部から外周部に向かって傾斜し、外周部は中央部よりも低い位置に形成されている。
【0066】
また、載置皿33の外周部には、調理物を載置する載置面よりも低い位置に溝34を有する。
【0067】
載置皿33は、ハンドル4を操作することにより調理室3内外を前後にスライドし、調理室3内に底面32と面接触した状態でセットされる。載置皿33は、蓄熱性および耐熱性に優れた効果を有する鋳鉄を用いた。なお、鋳鉄に限定されるものではなく、蓄熱性および耐熱性に優れた材質であれば、ステンレスやアルミニウムなどを加工したものであってもよい。
【0068】
以上の構成とすることにより、調理物2から流れ出た油を素早く載置皿の外周部に流出させることができ、調理物2への油の再付着を一層抑制することができ、調理性能を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上のように、本発明における加熱調理器は、調理物上部は放射加熱し下部は載置皿からの伝導加熱と載置皿に設けられた蒸気発生部からの蒸気を調理物に供給することで、調理物の両面焼きと食味向上を両立し、安全で使いやすくお手入れ性の良い加熱調理器を提供することができるものである。よってロースタや電子レンジ、オーブンレンジ、オーブンあるいはグリラーなどの加熱調理機器として有用である。
【符号の説明】
【0070】
1 加熱調理器
2 調理物
3 調理室
4 ハンドル
5 第1の加熱手段
6 平面ヒータ
7 上面
8 第2の加熱手段
10 底面
11 載置皿
12 山部
13 谷部
14 水供給手段
17 給水口
19 第1の温度センサ
20 第2の温度センサ
25 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理物を収納する調理室と、調理物を載置する載置皿と、前記載置皿に設けられた蒸気発生手段と、調理物を上方から加熱する第1の加熱手段と、調理室底面を加熱するヒータを有し、前記載置皿と前記調理室底面は熱的に接続され、調理物を上下から加熱調理するようにした加熱調理器。
【請求項2】
前記載置皿の調理物を載置する表面は凹凸を有する山谷形状とし、前記蒸気発生手段は前記凹部に貯留された水を蒸発させて蒸気を発生させる請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記凹部に水を供給する給水手段を設けた請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記載置皿の略外周部には、調理物を載置する載置面よりも低い位置に溝を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
調理物を載置する載置面は、略中央部から略外周部に向かって傾斜し、略外周部は略中央部よりも低い位置にある請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記載置皿は可動するようにした請求項1〜5のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記載置皿と前記調理室底面は蓄熱性および耐熱性を有する材料からなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記載置皿の素材は鋳鉄とした請求項7に記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−263967(P2010−263967A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116132(P2009−116132)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】