説明

加熱調理器

【課題】加熱庫の天井壁を曲面状に構成したものにあって、加熱庫の天井壁と外箱の上面板との間に生ずる隙間を有効利用する。
【解決手段】外箱2内に設けられる加熱庫3の天井壁4を、左右方向の中央部が上方に膨らむ曲面状に構成する。加熱庫3の背壁8部分に、熱風生成装置10を設ける。天井壁4の上面に沿うように、グリル調理用の面状ヒータ15を設ける。天井壁4と外箱2の上面板2aとの間の上部空間Sのうち、右端側に、面状ヒータ15用の接続端子17を設け、左端側に、加熱庫3内の水蒸気等を排出する排気ダクト18を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、矩形箱状をなす外箱内に、前面が開口し被加熱物が収容される加熱庫を備える加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の加熱調理器、例えばオーブン機能付き電子レンジは、矩形箱状の外箱内に、前面が開口した矩形箱状の加熱庫を備えて構成されている(例えば特許文献1参照)。前記加熱庫の背壁部分には、ヒータ及び遠心ファン装置からなる熱風生成装置が設けられ、該加熱庫の背壁面に形成された多数のパンチング穴からなる熱風供給口から、加熱庫内に熱風を循環供給してオーブン調理を実行するようになっている。また、外箱内の加熱庫の右側に位置して設けられた機械室内には、レンジ調理用のマグネトロンや、冷却ファン装置等の各種部品が配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−372245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような従来の加熱調理器では、加熱庫が単純な矩形箱状に構成されているため、熱風生成装置によるオーブン調理時に、加熱庫内の熱風の流れがさほど良くない事情があり、熱風の流れに死角が生じて加熱むらが起こる虞がある。そこで、近年、加熱庫の天井壁を、左右方向中央部が上方に膨らむような曲面状(円弧状)に構成することが考えられている。これによれば、オーブン調理時の加熱庫内の熱風の流れが良好となり、加熱むらを抑えて効率の良い加熱調理を行うことができる。
【0005】
上記のように、加熱庫の天井壁を曲面状(円弧状)に構成した場合には、外箱の上面板(上面壁)が水平に構成されているため、加熱庫の天井壁と外箱の上面板との間に、特に左右両側部分において高さ方向に比較的大きな隙間が生ずるようになる。従って、加熱庫の天井壁を曲面状(円弧状)に構成した場合の課題として、加熱庫の天井壁と外箱の上面板との間に生ずる隙間を有効利用することが要望されるのである。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、加熱庫の天井壁を曲面状に構成したものにあって、加熱庫の天井壁と外箱の上面板との間に生ずる隙間を有効利用することができる加熱調理器を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の加熱調理器は、矩形箱状をなす外箱内に、前面が開口し被加熱物が収容される加熱庫を備えるものにあって、前記加熱庫の天井壁は、左右方向の中央部が上方に膨らむ曲面状に構成されていると共に、前記加熱庫の天井壁と前記外箱の上面板との間に設けられる上部空間のうち、前記天井壁の中央部を除く位置に、上部配置部品が配設されるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、加熱庫の天井壁を、左右方向中央部が上方に膨らむ曲面状に構成したことにより、オーブン調理時の加熱庫内の熱風の流れを良好とすることができ、ひいては加熱むらを抑えて効率の良い加熱調理を行うことができる。そして、加熱庫の天井壁と外箱の上面板との間に、特に左右両側部分において高さ方向に比較的大きな上部空間が生ずるようになるが、この部分に、上部配置部品を配設するようにしたので、高さ方向に比較的大型の部品であっても、上部空間に配設することができ、この結果、上部空間の有効利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施例を示すもので、加熱調理器の概略的な縦断正面図
【図2】遮熱板を省略して示す加熱庫部分の斜視図
【図3】遮熱板を取付けた状態で示す加熱庫部分の斜視図
【図4】排気ダクト部分の拡大斜視図
【図5】加熱庫の分解斜視図
【図6】本発明の第2の実施例を示すもので、加熱庫部分の斜視図
【図7】加熱調理器の概略的な縦断正面図
【図8】要部の拡大縦断正面図
【図9】本発明の第3の実施例を示すもので、加熱庫部分の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)第1の実施例
以下、本発明を具体化した第1の実施例(請求項1〜6に対応)について、図1ないし図5を参照しながら説明する。本実施例では、加熱調理器としてのオーブン機能付電子レンジに本発明を適用したものである。図1は、本実施例に係る加熱調理器(オーブン機能付電子レンジ)1の全体構成を概略的に示しており、矩形箱状をなす外箱(筐体)2内には、図2,図3等にも示すように、内部を被加熱物(食品)が収容される加熱調理室とする加熱庫(内箱)3が配設されている。また、図示は省略しているが、外箱2の前面部には、前記加熱庫3の前面を開閉する扉が設けられ、その扉の前面下辺部には、各種操作キーを有する操作パネルが設けられている。
【0011】
前記加熱庫3は、基本的には、前面が開口した矩形箱状に構成されているのであるが、ここでは、その天井壁4が、左右方向の中央部が上方に膨らむ曲面状(円弧面状)に構成されている。より具体的には、図5に示すように、加熱庫3は、底壁5、左右の側壁6,7、背壁8、前記天井壁4を結合することにより構成される。この場合、前記底壁5は、マイクロ波の透過が可能な耐熱ガラス製とされ、その上面に被加熱物を載置可能とされている。左右の側壁6,7、背壁8、前記天井壁4は、金属板製とされている。前記左右の側壁6,7には、加熱庫3内においてオーブン調理用の棚板を支持するための棚板支え6a(図5に一部のみ図示)が上下2段に形成されている。
【0012】
尚、詳しい図示及び説明は省略するが、前記外箱2は、加熱庫3よりも一回り大きい矩形箱状をなし、水平状態に配置される上面板2a(図1、図4参照)や、図5に示す前面板9などを備えて構成されている。前記前面板9は、加熱庫3の形状に対応した開口部9aを有する矩形枠状に構成され、加熱庫3の前面の周囲部を囲むように位置して該加熱庫3に結合される。外箱2の背面板には、図示しない通気口等が設けられている。
【0013】
そして、図1に示すように、前記加熱庫3の背壁部8の背面側には、オーブン調理用の熱風生成装置10が設けられる。詳しく図示はしないが、この熱風生成装置10は、背壁8の背面に取付けられるケーシング内に、遠心ファン11を配設すると共に、その遠心ファン11を囲むようにシーズヒータ等のヒータ12を配設して構成されている。前記ケーシングの外側には、前記遠心ファン11を回転駆動するファンモータが設けられる。このとき、前記背壁8には、中央部に位置して、多数個のパンチング孔からなる吸込口13が設けられていると共に、その周囲(上下左右)の所定部分に位置して、やはり多数個のパンチング孔からなる吹出口14が設けられている。
【0014】
これにて、熱風生成装置10が駆動されると、遠心ファン11の回転駆動によって加熱庫3内の空気が吸込口13からケーシング内に取込まれ、ヒータ12にて加熱されて熱風化され、該熱風が吹出口14から庫内に吹出される。この場合、吹出口14から吹出された熱風は、加熱庫3内において例えば正面から見て反時計回り方向に流れ、被加熱物の加熱に寄与した後、再び吸込口13から取込まれるという循環が行われ、以てオーブン調理が実行されるのである。
【0015】
また、図示はしないが、外箱2内の後部部位(熱風生成装置10の後部側)には、食品の温め等のレンジ調理用のマグネトロンやその駆動回路、さらには冷却ファン装置等が配設されている。これも図示はしないが、外箱2の内底部(前記底壁5の下面側)には、前記マグネトロンから発振されたマイクロ波を、底壁5を通して加熱庫3内に供給するための導波管が設けられている。この導波管内には、マイクロ波を撹拌するためのスタラファンが設けられている。前記冷却ファン装置により生成された冷却風は、マグネトロンや各種電装品を冷却するようになっていると共に、その一部を送風ダクトを通して加熱庫3内に供給することも可能とされている。
【0016】
さらに、図1及び図2に示すように、前記加熱庫3の天井壁4部分には、グリル調理用の面状ヒータ15が設けられている。詳しく図示はしないは、この面状ヒータ15は、枠状の耐熱絶縁板(マイカ板)にヒータ線を巻回し、やはり耐熱絶縁板製のカバーでその上下両面を覆った周知構成を備えている。この面状ヒータ15は、前記天井壁4の曲面形状に沿う形状つまり円弧面状をなし、該天井壁4の上面に沿って、左右方向ほぼ全体にわたり、且つ、前部寄り部位(後端部を除く部位)に位置して配設されている。
【0017】
このとき、本実施例では、図3に示すように、前記面状ヒータ15と、前記外箱2の上面板2aとの間には、面状ヒータ15の上部を、隙間を存して覆うように、遮熱板16が設けられる。この遮熱板16は、金属板から下面が開放した薄型箱状に構成され、加熱庫3の左右の側壁6,7の上端部間に水平状態に掛け渡されるように配設されている。これにて、遮蔽板16により、面状ヒータ15からの熱線が上方に輻射されることが遮断され、外箱2の上面板2aの温度上昇が抑制される。尚、図1に示すように、前記面状ヒータ15の右端部から給電用のリード線15aが導出され、その先端には接続端子17が設けられる。後述するように、この接続端子17が上部配置部品の一つとされる。
【0018】
さて、上記構成の加熱調理器1にあっては、加熱庫3の天井壁4と、外箱2の上面板2aとの間には、図1に示すように、所定の空間、即ち上部空間Sが設けられるのであるが、天井壁4が湾曲形状をしているため、その上部空間Sは、左右方向中央部で高さ方向に小さく、左右両端側で高さ方向に大きく設けられることになる。そこで、本実施例では、上部空間Sのうちの、中央部を除く位置に、次のように上部配置部品が配設される。
【0019】
即ち、図2に示すように、前記上部空間Sのうちの右端側部位には、上部配置部品として、前記面状ヒータ15に通電するための前記接続端子17が設けられる。前記面状ヒータ15の右端部から導出されたリード線15aは上方に延び、その先端の接続端子17が遮蔽板16の下面側を通して加熱庫3の右側壁7の上端部に配置される。この場合、接続端子17を面状ヒータ15から上方に比較的大きく離れた位置に配設することができる。この接続端子17には、右側壁7の右外側において、図示しない給電線が接続されることは勿論である。
【0020】
一方、図2、図4に示すように、前記上部空間Sのうちの左端側の後部部位(面状ヒータ15よりも後方)には、上部配置部品としての排気ダクト18が配設される。この排気ダクト18は、加熱庫3内において発生する水蒸気や、臭い、煙等の成分(粒子)を含んだ空気を、外箱2の外部に排出するためのものである。図4に拡大して示すように、この排気ダクト18は、前端が前記天井壁4に接続されて、加熱庫3内と連通され、上方に延びた後、折れ曲がって後方に延び、その後端が外箱2の背面板に接続されて外部に連通している。このとき、図4に示すように、排気ダクト18は、前記外箱2の上面板2aとの間に、高さ方向の寸法が例えば25mm程度の隙間Cを存して設けられている。
【0021】
上記構成を備える本実施例の加熱調理器1によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。即ち、加熱庫3の天井壁4を、左右方向中央部が上方に膨らむ曲面状に構成したことにより、熱風生成装置10によるオーブン調理時における、加熱庫3内の熱風の流れを良好とすることができ、ひいては加熱むらを抑えて効率の良い加熱調理を行うことができる。
【0022】
また、加熱庫3の天井壁4部分に、グリル調理用の面状ヒータ15を設けることにより、上面からヒータ加熱(輻射加熱)するグリル調理が可能となる。このとき、面状ヒータ15を天井壁4の曲面形状に沿った形状としたので、加熱効果に優れ、配設スペース的にも有利となる。このとき、面状ヒータ15と外箱2の上面板2aとの間に、遮熱板16を設けるようにしたので、面状ヒータ15からの熱線が上面板2aに直接的に輻射されることを抑制することができ、上面板2aが高温となることを防止することができる。これと共に、面状ヒータ15の上面と遮熱板16との間に、特に左右両端側に位置して、空気の流通が可能な隙間が形成されるので、面状ヒータ15と遮熱板16との間に熱気がこもることを未然に防止でき、部品や上面板2aの温度上昇を抑えることができる。
【0023】
そして、本実施例では、加熱庫3の天井壁4と外箱2の上面板2aとの間に設けられる上部空間Sのうち、高さ方向に比較的大きな隙間が生じている左右両側部分において、上部配置部品として、接続端子17及び排気ダクト18を配設するようにした。これにより、高さ方向に比較的大型の部品であっても、上部空間Sに配設することができ、この結果、加熱庫3の天井壁4を曲面状(円弧状)に構成した場合の課題であった上部空間Sの有効利用を図ることができる。このとき、上部空間Sは比較的大きいので、複数個の上部配置部品を、互いに干渉することなく、スペースに余裕をもって配置することができる。
【0024】
特に本実施例では、上部配置部品として、前記面状ヒータ15に給電するための接続端子17を設けるようにしたので、接続端子17を高温となる面状ヒータ15から上方に離して配置することができ、接続端子17部分が高温となることを抑えて劣化などの不具合を防止しながら、上部空間Sのスペースの有効利用を図ることができる。
【0025】
また、上部空間Sに配置する上部配置部品として、加熱庫3内の水蒸気等を外部に排出するための排気ダクト18を設けるようにしたので、比較的大型で効率の良い排気ダクト18を設けることができ、このとき、加熱庫3内の高温の空気や水蒸気等を、排気ダクト18内を通して冷却し、温度を下げた状態で、外箱2の外部に排出することができる。このとき、排気ダクト18と外箱2の上面板2aとの間に隙間Cを設けることができるので、排気ダクト18自体が高温となっても、上面板2aへの熱伝達が抑えられ上面板2aが高温となることを防止することができる。
【0026】
(2)第2、第3の実施例、その他の実施例
次に、図6ないし図8を参照して、本発明の第2の実施例(請求項7,8に対応)について述べる。尚、この第2の実施例及び後述する第3の実施例は、やはり本発明をオーブン機能付電子レンジに適用したもので、上記第1の実施例と基本的な構成は共通している。従って、上記第1の実施例との共通部分については、新たな図示や詳しい説明を省略すると共に、符号を共通して使用し、以下、上記第1の実施例と異なる点についてのみ説明する。
【0027】
図6は、本実施例における加熱庫21の構成を示し、この加熱庫21は、やはり、底壁5、左右の側壁6,7、背壁8、天井壁4を結合することにより構成され、前記天井壁4が、左右方向の中央部が上方に膨らむ曲面状(円弧面状)に構成されている。このとき、右側の側壁7は、天井壁4の右側縁部よりも上方に延長されて設けられており、その延長部分に、冷却ファン装置からの冷却風を上部空間Sに流通させるための開口部22が形成されている。この開口部22は、後端部寄り部分に位置して、前後方向に横長な矩形状に形成されている。
【0028】
より具体的には、図8に示すように、右側の側壁7は、天井壁4の右側縁部よりも上方に延び、その上端から右方に折曲がるフランジ部7aを有している。これに対し、天井壁4の右端部位には、前記側壁7の上部(延長部分)の内面(左側)に重なるような上方延長部4aを一体に有すると共に、その上方延長部4aの上端から右方に折曲がって、前記フランジ部7aの上面に重なる接合部4bを一体に有している。側壁7と天井壁4とは、フランジ部7aと接合部4bとが重なっている部分(かしめ部23)において、かしめ結合されている。前記開口部22は、側壁7の上部(延長部分)と天井壁4の上方延長部4aとの双方に跨るように開口されている。
【0029】
詳しく図示はしないが、加熱庫3の背面側に配設された冷却ファン装置が駆動されると、冷却風が生成されてマグネトロン等の冷却に寄与すると共に、本実施例では、その冷却風の一部が、加熱庫21の右側の側壁7の外面側(外箱2との間)に供給され、矢印A方向に流れるように構成されている。そして、その冷却風が、開口部22から、加熱庫21の天井壁4と外箱2の上面板2aとの間の上部空間Sに導入され、矢印B方向に流れるようになっている。
【0030】
さらに、本実施例では、図6、図7に示すように、加熱庫21の天井壁4と外箱2の上面板2aとの間の上部空間Sに配設される上部配置部品として、天井壁4の右端部側部分に位置して、赤外線センサ装置24が配設されている。この赤外線センサ装置24は、加熱庫21内に収容された被加熱物(食品)の上面の温度を直接的に検出するためのものであり、マグネトロンのマイクロ波を利用するレンジ調理のうち、特定のメニューにおいて、赤外線センサ装置24の検出温度に基づいて調理が制御されるようになっている。
【0031】
上記構成においては、冷却ファン装置が駆動されることにより、マグネトロン等が冷却されると共に、冷却ファン装置からの冷却風の一部が、加熱庫21の右側の側壁7と外箱2との間の隙間を通り、矢印A方向に流れて開口部22から上部空間Sに導入される。そして、その冷却風が上部空間S内を矢印B方向に流通することにより、上部配置部品即ち、赤外線センサ装置24、排気ダクト18、接続端子17(図6〜図8では図示省略)等の冷却に寄与してそれらの温度上昇を抑えることができる。特に赤外線センサ装置24の温度を一定に保つことにより、温度検出の精度を高めることができる。また、外箱2の上面板2aや右側板なども冷却され、外箱2の温度上昇も抑えることができる。
【0032】
従って、この第2の実施例によれば、上記第1の実施例と同様に、加熱庫21の天井壁4を曲面状に構成し、オーブン調理時の加熱庫21内の熱風の流れを良好とすることができるものにあって、加熱庫21の天井壁4と外箱2の上面板2aとの間の上部空間Sに、赤外線センサ装置24や排気ダクト18等の上部配置部品を配設するようにしたので、上部空間Sの有効利用を図ることができる。
【0033】
そして、特に本実施例では、冷却ファン装置の冷却風を、上部空間Sに導くように構成したので、上部配置部品や外箱2の温度上昇を抑えることができる。この場合、外箱2の右側板の温度上昇を抑えることができるので、加熱庫7の右側壁7と外箱2の右側板との間の隙間を小さくすることも可能となる。さらに、冷却ファン装置からの冷却風を上部空間Sに流通させるための開口部22を、加熱庫21の側壁7の上方への延長部分に設けるようにしたので、開口部22を大きく(横長に)とることができ、冷却風を上部空間Sに効率的に導入させることができるといった利点も得ることができる。
【0034】
図9は、本発明の第3の実施例(請求項9,10に対応)を示すものである。この第3の実施例が、上記第2の実施例と異なるところは、冷却ファン装置からの冷却風を上部空間Sに流通させるための開口部の構成にある。この第3の実施例においては、加熱庫31は、やはり、底壁5、左右の側壁6,7、背壁8、天井壁4を結合することにより構成され、前記天井壁4が、左右方向の中央部が上方に膨らむ曲面状(円弧面状)に構成されている。
【0035】
このとき、前記背壁8は、天井壁4よりも上方に、外箱2の上面板2aの下面まで延長されて設けられているのであるが、その延長部分に、上部空間Sに冷却風を流通させるための導入用及び排出用のこの場合2個の開口部32,33が形成されている。そのうち導入用の開口部32は、背壁8の右端側に位置して形成されており、排出用の開口部33は、背壁8の左側の排気ダクト18の近傍に位置して形成されている。また、これら開口部32,33は、やや横長な矩形状をなすと共に、その下縁部が天井壁4の湾曲に沿うような円弧状に形成されている。
【0036】
詳しく図示はしないが、冷却ファン装置により生成された冷却風の一部は、矢印Dで示すように、導入用の開口部32から上部空間Sに導入され、その冷却風が上部空間Sを左方向に流れ、矢印Eで示すように、排出用の開口部33から、外箱2に形成された排気孔を通り外部に排出されるようになっている。
【0037】
従って、この第3の実施例によっても、上記第2の実施例と同様に、加熱庫31の天井壁4を曲面状に構成し、オーブン調理時の加熱庫31内の熱風の流れを良好とすることができるものにあって、加熱庫31の天井壁4と外箱2の上面板2aとの間の上部空間Sに排気ダクト18等の上部配置部品を配設するようにしたので、上部空間Sの有効利用を図ることができる。
【0038】
そして、特に本実施例では、背壁8の上部延長部の左右に位置して、冷却ファン装置の冷却風を上部空間Sに導くための、導入用及び排出用の少なくとも2個の開口部32,33を設けたので、冷却風を上部空間S内において滞留なく左右方向に流通させることができ、上部配置部品や外箱2の温度上昇を効果的に抑えることができる。また、上記第2の実施例のような側壁7と天井壁4との重なり部分に開口部22を形成するものと異なり、開口部32,33を、背壁8にのみ形成すれば良いので、開口部32,33の形成作業が簡単になるといったメリットも得ることができる。
【0039】
尚、上記第2、第3の実施例では、加熱庫の右の側壁7あるいは背壁8に、開口部22,32,33を形成するようにしたが、左の側壁7の上方延長部分に開口部を形成するようにしても良い。それら冷気流通用の開口部を設ける位置に関して様々な組合せとすることが可能であり、全体で3個以上の開口部を設けるようにしても良い。また、上記各実施例では、天井壁4に面状ヒータ15を設けるようにしたが、面状ヒータ15を備えない加熱調理器にも本発明を適用することができる。
【0040】
その他、上部空間に配設する上部配置部品としても、排気ダクト、接続端子、赤外線ヒータに限定されるものではなく、例えば気体センサ等の別のセンサや、庫内灯(ランプ)、給気用ダクトなどの他の部品であっても良い等、本発明は要旨を逸脱しない範囲内で、適宜変更して実施し得るものである。
【符号の説明】
【0041】
図面中、1は加熱調理器、2は外箱、2aは上面板、3,21,31は加熱庫、4は天井壁、6,7は側壁、8は背壁、10は熱風生成装置、15は面状ヒータ、16は遮熱板、17は接続端子(上部配置部品)、18は排気ダクト(上部配置部品)、22,32,33は開口部、24は赤外線センサ装置(上部配置部品)、Sは上部空間を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形箱状をなす外箱内に、前面が開口し被加熱物が収容される加熱庫を備える加熱調理器において、
前記加熱庫の天井壁は、左右方向の中央部が上方に膨らむ曲面状に構成されていると共に、
前記加熱庫の天井壁と前記外箱の上面板との間に設けられる上部空間のうち、前記天井壁の中央部を除く位置に、上部配置部品が配設されることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記加熱庫の天井壁部分には、該天井壁の曲面形状に沿う形状をなす面状ヒータが設けられていることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記上部配置部品は、前記面状ヒータに給電するための接続端子であることを特徴とする請求項2記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記上部配置部品は、前記加熱庫内の水蒸気等を外部に排出するための排気ダクトであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記排気ダクトは、前記外箱の上面板との間に隙間を存して配設されていることを特徴とする請求項4記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記面状ヒータと前記外箱の上面板との間には、該面状ヒータとの間に隙間を存して遮熱板が配設されていることを特徴とする請求項2記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記外箱内には、冷却ファン装置が設けられていると共に、その冷却ファン装置からの冷却風が、前記上部空間に導かれることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記加熱庫を構成する左右の側壁のうち少なくとも一方の側壁は、前記天井壁の側縁部よりも上方に延長されて設けられており、その延長部分に、前記冷却ファン装置からの冷却風を前記上部空間に流通させるための開口部が形成されていることを特徴とする請求項7記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記加熱庫を構成する背壁は、前記天井壁よりも上方に延長されて設けられており、その延長部分に、前記上部空間に冷却風を流通させるための開口部が形成されていることを特徴とする請求項7記載の加熱調理器。
【請求項10】
前記開口部は、左右に位置して導入用及び排出用の少なくとも2個が形成され、前記上部空間を左右方向に冷却風が流通することを特徴とする請求項8又は9記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−58674(P2011−58674A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206982(P2009−206982)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】