説明

加熱部材、定着装置及び画像形成装置

【課題】発熱源を有する2本の筒体が管体内の部材と干渉しないように配置した加熱部材、定着装置、画像形成装置を得る。
【解決手段】ランプヒータ48、50のガス導入部76の軸線Pとガス導入部78の軸線Qを互いに近づけて、加熱ロール44の芯金62の同心円R内にガス導入部76及びガス導入部78の外角部76A、78Aが配置されるようにすると共に、芯金62の同心円S内に、板状端子72及び板状端子74の外角部72A、74Aが配置することで、ランプヒータ48、50と芯金62の内部(芯金62の内周面62A、キー部54、C形止め輪64)との干渉が回避される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱部材、定着装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式を採用した複写機やプリンター等の画像形成装置においては、感光体ドラムの表面を帯電装置によって帯電した後、感光体ドラムの表面に像光を照射して静電潜像を形成し、この静電潜像を現像装置によって現像してトナー像を形成する。そして、そのトナー像を用紙上に転写した後、用紙上のトナー像を定着装置によって加熱及び加圧して定着させることにより、画像を形成する。
【0003】
定着装置は、内部にヒータを内蔵した加熱ローラと、加熱ローラに用紙を圧接する加圧ローラと、を備えている。そして、加熱ローラと加圧ローラとの間に、トナー像を保持した用紙を通過させ、そのトナー像を加熱及び加圧により溶融して、用紙上に定着させる構成である。
【0004】
例えば、特許文献1の加熱ローラでは、複数本のランプが備えられており、隣り合うランプのピンチシール部が互いに干渉することなく、隣り合うランプにおける直管状部分を接触または極めて接近した状態とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−216734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、発熱源を有する2本の筒体が管体内の部材と干渉しないように配置した加熱部材、定着装置、画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、加熱部材において、内部に発熱源が設けられた第1筒体と、前記第1筒体と並んで配置され、内部に発熱源が設けられた第2筒体と、前記第1筒体及び前記第2筒体の周りを回転し、内側へ突出する突出部が端部に設けられた管体と、を備え、前記管体の同心円上であって、前記突出部と接する第1同心円との間に予め定めた隙間を設けて形成された第1仮想同心円内に前記第1筒体及び第2筒体が配置されている。
【0008】
請求項2に記載の発明は、加熱部材において、内部に発熱源が設けられた第1筒体と、前記第1筒体と並んで配置され、内部に発熱源が設けられた第2筒体と、前記第1筒体及び前記第2筒体の周りを回転する管体と、前記管体へ固定され、管体の内側へ突出するギアキー部と、前記管体へ装着される軸受け又はギアの抜け止めであり、管体の内側へ突出する抜け止め部材と、を備え、前記管体の同心円上であって、前記ギアキー部と接する第2同心円との間に予め定めた隙間を設けて形成された第2仮想同心円、及び、前記管体の同心円上であって、前記抜け止め部材と接する第3同心円との間に予め定めた隙間を設けて形成された第3仮想同心円内に前記第1筒体及び第2筒体が配置されている。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の加熱部材において、前記第1筒体が、両端部に設けられ前記発熱源に電力を供給する板状の第1電力供給部と、前記第1電力供給部の幅方向に沿って前記第1筒体の外周面から第1筒体の半径方向へ突出し、第1筒体内へガスを供給する第1ガス導入部と、を備え、前記第2筒体が、両端部に設けられ前記発熱源に電力を供給する板状の第2電力供給部と、前記第2電力供給部の幅方向に沿って前記第2筒体の外周面から第2筒体の半径方向へ突出し、前記第1ガス導入部と干渉しない位置に設けられ、第2筒体内へガスを供給する第2ガス導入部と、を備えて、前記第1ガス導入部と前記第2ガス導入部を互いに近づけて配置し、前記第1ガス導入部及び前記第2ガス導入部が、前記管体の内周面との間に予め定めた隙間を設けて形成された第4仮想同心円内に配置され、前記第1電力供給部及び前記第2電力供給部が、前記第2仮想同心円及び前記第3仮想同心円内に配置されている。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の加熱部材において、前記第1筒体よりも前記第2筒体の管径が大きく、前記第1筒体の発熱領域が第1筒体の長手方向の中央部であり、前記第2筒体の発熱領域が第2筒体の長手方向の全域に亘っている。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載の加熱部材において、前記第1筒体の外周面と前記第2筒体の外周面の離間距離が1mm以上である。
【0012】
請求項6に記載の発明は、定着装置において、請求項1〜5の何れか1項に記載の加熱部材と、前記加熱部材に未定着の画像が転写された被転写媒体を押し付ける加圧部材と、を有している。
【0013】
請求項7に記載の発明は、画像形成装置において、像保持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を現像する現像手段と、現像された画像を被転写媒体に転写する転写手段と、前記被転写媒体上の前記画像を定着する請求項6に記載の定着装置と、を有している。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、発熱源を有する2本の筒体が管体の内側へ突出する突出部と干渉しないようにすることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、発熱源を有する2本の筒体が管体内の部材と干渉しないようにすることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、筒体が管体内の部材と干渉しないように配置されると共に、管体の管径をできるだけ小さくすることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、加熱効率が上昇し、加熱部材の待機時間を短くすることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、第1筒体及び第2筒体の寸法公差や振動等による干渉によって発生する第1筒体及び第2筒体の破損を回避することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、被転写媒体の大きさに合わせて第1筒体又は第2筒体を使い分けることができ、経済的である。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、画像形成装置の待機時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略側面図である。
【図2】本実施形態に係る定着ユニットを示す側断面図である。
【図3】本実施形態に係る定着ユニットの内部を示す概略斜視図である。
【図4】本実施形態に係る加熱ローラの構成を示す概略斜視図である。
【図5】本実施形態に係る加熱ローラの構成を示す概略平面図である。
【図6】本実施形態に係る加熱ローラの内部を示す拡大図である。
【図7】本実施形態に係る加熱ローラ内のランプヒータを示す斜視図である。
【図8】(A)、(B)は、本実施形態に係る加熱ローラの芯金の変形例を示す断面図である。
【図9】図8(A)の芯金の内部を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の最良な実施の形態について、図面に示す実施例を基に詳細に説明する。まず最初に、本発明に係る定着装置を備えた画像形成装置10について、図1を基に説明する。なお、定着装置は、画像形成装置本体12に対して脱着可能な定着ユニット40として構成されている。
【0023】
<画像形成装置>
【0024】
図1で示すように、画像形成装置10は、画像形成装置本体12に対して回転可能に取り付けられた開閉カバー14を有しており、この開閉カバー14を開放させることによって、画像形成装置本体12内に定着ユニット40が装填可能とされている。
【0025】
定着ユニット40が画像形成装置本体12に装填されると、これと同時に定着ユニット40のコネクター42が画像形成装置本体12のコネクター16と結合され、定着ユニット40に対して給電可能になるとともに、定着ユニット40の装填完了が検知される。画像形成装置本体12に定着ユニット40が装填された後は、開閉カバー14を閉じることで、画像形成装置10が作動可能な状態になる。
【0026】
また、画像形成装置本体12には、画像形成部を一体的にユニット化したプロセスカートリッジ18が設けられている。このプロセスカートリッジ18の内部には、一定方向に回転する感光体ドラム20が設けられている。この感光体ドラム20の周囲には、回転方向上流側から、感光体ドラム20を帯電する帯電ローラ22と、感光体ドラム20上に形成された静電潜像を現像する現像ローラ24と、感光体ドラム20上の現像されたトナー像を用紙に転写する転写ローラ26とが配設されている。
【0027】
更に、感光体ドラム20の回転方向における転写ローラ26の下流側には、転写後の感光体ドラム20表面を清掃するクリーニング部材28が設けられている。また、画像形成装置本体12には、帯電ローラ22と現像ローラ24との間で、感光体ドラム20に像光を照射する露光装置30が設けられている。
【0028】
画像形成装置本体12の下部には、用紙を収容する給紙カセット32が外部に引き出し可能に配設されており、この給紙カセット32の用紙の取り出し位置には、用紙を1枚ずつ取り出して搬送する給紙ローラ34が設けられている。
【0029】
また、画像形成装置本体12の下部には、給紙ローラ34から供給される用紙を感光体ドラム20と転写ローラ26との対向位置に搬送する搬送ローラ対36が複数設けられている。そして、用紙の搬送方向における転写ローラ26の下流側には定着ユニット40が配設されており(装填されており)、定着ユニット40の下流側には、トナー像定着後の用紙を排出する排紙部38が設けられている。
【0030】
このような画像形成装置10では、感光体ドラム20の表面が帯電ローラ22により帯電され、露光装置30から像光が照射されることによって、その表面に静電潜像が形成される。この静電潜像は現像ローラ24によって現像され、感光体ドラム20上にトナー像が形成される。
【0031】
一方、給紙カセット32から給紙ローラ34により用紙が供給され、搬送ローラ対36によって感光体ドラム20と転写ローラ26との対向位置に搬送される。そして、感光体ドラム20上のトナー像が、転写ローラ26によって用紙上に転写される。トナー像が転写された用紙は、定着ユニット40へ搬送され、加熱ローラ44と加圧ローラ46との間で加熱・加圧されることにより、そのトナー像が溶融されて用紙上に定着される。その後、画像が形成された用紙は排紙トレイ38に排出される。
【0032】
<定着ユニット>
【0033】
次に、本発明に係る定着装置を備えた定着ユニットについて説明する。
【0034】
図2及び図3に示すように、定着ユニット40の内部には、予め定めた温度に加熱される加熱ローラ44と、この加熱ローラ44に用紙を圧接させる加圧ローラ46と、を備えている。
【0035】
加圧ローラ46は、一例として、ステンレス又は鉄製の芯金60に耐熱性の弾性体層(シリコンスポンジ、アスカーC硬度40°)を備えており、表層に低摩擦係数の離型層(膜厚30μmのPFAからなるチューブ)が設けられている。
【0036】
一方、加熱ローラ44は、一例として、表面に低摩擦係数の離型層(膜厚30μmのPFAからなるチューブ)を設けた、軸方向に沿って同一径を成す円筒状の芯金62(肉厚0.5mm〜1.5mmの鉄又はアルミ素管)を備えており、加熱ローラ44の内部には、定着ユニット40の装置本体41側に固定されたランプヒータ(筒体)48、50が配置されている(後述する)。
【0037】
図4及び図5に示すように、加熱ローラ44の両端部には、ベアリング58が嵌合されており、加熱ローラ44が回転可能に支持されている。また、図2に示すように、加熱ローラ44の一端部には、画像形成装置本体12の駆動ギア51と噛合する駆動ギア52が設けられている。
【0038】
この駆動ギア52の内周面には、直方体状のキー部54が突設されており、加熱ローラ44の芯金62の一端部に形成されたキー溝56に嵌め込まれ、キー部54が芯金60の内周面62A側へ突出する。これにより、駆動ギア52が加熱ローラ44と一体となって、加熱ローラ44に対して回転不能とされ、駆動ギア52を介して加熱ローラ44に回転駆動力が伝達される。
【0039】
このように、画像形成装置本体12の駆動ギア51から駆動ギア52に回転駆動力が伝達されることにより、加熱ローラ44が予め定めた方向に一定の速度でランプヒータ48、50周りを回転する。すなわち、定着ユニット40において、加熱ローラ44と加圧ローラ46とが互いに反対方向に一定速度で回転駆動される。
【0040】
<加熱ロール>
【0041】
ここで、加熱ローラ44について説明する。
【0042】
本実施形態では、図2及び図6に示すように、加熱ローラ44の芯金62内にはランプヒータ48、50を配置している。このように、加熱ローラ44に2本のランプヒータ48、50を用いることで、用紙サイズに応じた発熱領域が確保され、小サイズ用紙時の生産性低下が回避される。
【0043】
また、芯金62の両端部には、ベアリング58又は駆動ギア52の抜け止め用のC形止め輪64が装着可能とされる。このため、芯金62の両端部には、装着穴66が形成されており、C形止め輪64の両端部に設けられた装着部64Aが該装着穴66に装着される。
【0044】
したがって、C形止め輪64の装着部64Aは、芯金60の内周面62A側へ突出する。ここで、芯金62の一端側は、駆動ギア52が設けられているため、駆動ギア52の端面にC形止め輪64が装着され、芯金62の他端側は、ベアリング58の端面にC形止め輪64が装着される。
【0045】
一方、図7に示すように、ランプヒータ48、50は、石英ガラスからなる管型封体としての発光管68、70を備えており、発光管68、70内には、軸方向に沿ってフィラメント(図示省略)が配設され、ハロゲン及び不活性ガスが封入されている。
【0046】
ランプヒータ48はランプヒータ50よりも管径が大きくなっており、ランプヒータ48は発光管68の軸方向の略全域に亘って、巻きピッチが密にされたフィラメントが配設され、ランプヒータ50は発光管70の中央部に、巻きピッチが密にされたフィラメントが配設されている。つまり、ランプヒータ48の発熱領域は、発光管68の軸方向の全域に亘っているが、ランプヒータ50の発熱領域は、発光管70の軸方向の中央部となっている。
【0047】
ランプヒータ48、50の長さは、搬送される用紙の最大幅に基づいて設定されている。例えば、搬送される用紙の最大サイズをA3とした場合、ランプヒータ48の発熱領域は、A3サイズの幅寸法よりも若干幅広となる寸法に設定され、ランプヒータ50の発熱領域は、A4サイズの幅寸法よりも若干幅広となる寸法に設定される。
【0048】
これにより、搬送される用紙がA4サイズの場合は、ランプヒータ50に電力が供給され、搬送される用紙がA3サイズの場合は、ランプヒータ48に電力が供給される。また、画像形成装置10の稼働停止状態から稼働開始までの間(待機時間)は、この待機時間を短くするため、ランプヒータ48に電力が供給される。そして、ランプヒータ48の管径をランプヒータ50よりも大きくすることで、画像形成装置10の待機時間がさらに短くなる。
【0049】
一方、発光管68、70の両端部には、フィラメントと接続された板状端子(電力供給部)72、74がそれぞれ設けられている。この板状端子72、74は、ニッケル、ステンレス鋼等の薄肉金属板であり、発光管68、70を封止すると共に、この板状端子72、74に設けられたコネクタ75、77を介して、それぞれ図示しない電源に接続され、ランプヒータ48、50へ電力が供給可能とされる。
【0050】
また、発光管68、70の外周面からは、その半径方向に沿ってガス導入部76、78がそれぞれ突出している。このガス導入部76、78は、発光管68、70内へハロゲン及び不活性ガスを導入するために設けられたものであり、発光管68、70の外周面に痕として残ってしまう。また、ガス導入部76、78の突出方向は、板状端子72、74の幅方向に沿うようにしている。つまり、図6に示すように、板状端子72、74の幅方向に沿った線L1、L2に沿って、ガス導入部76、78が突出している。
【0051】
そして、図7に示すように、このガス導入部76、78を発光管68と発光管70とで軸方向の位置をずらしている。これにより、ランプヒータ48とランプヒータ50を並べて配置したときに、ガス導入部76とガス導入部78が互いに干渉しないようにしている。
【0052】
ランプヒータ48とランプヒータ50の2本を用いることで、筒体が1本の場合よりも加熱ローラ44の管径は大きくなってしまう。画像形成装置10の小型化、低価格化を考慮すると、加熱ローラ44の管径をできるだけ小さくする必要がある。
【0053】
図6に示すように、ガス導入部76又はガス導入部78は、ランプヒータ48又はランプヒータ50から突出しているため、ガス導入部76及びガス導入部78を芯金62の内周面62Aと干渉させないように、ランプヒータ48及びランプヒータ50を配置しなければならない。
【0054】
このため、まず、ガス導入部76の軸線Pとガス導入部78の軸線Qを互いに近づけるようにする。これにより、ガス導入部76及びガス導入部78の芯金62の内部との干渉を回避させる。ここで、芯金62の寸法公差を考慮し、芯金62の同心円上であって、芯金62の内周面62Aから該寸法公差分の隙間(予め定めた隙間)H1を設けた第4仮想同心円R内に、ガス導入部76及びガス導入部78の外角部76A、78Aが配置されるようにする。これにより、ガス導入部76及びガス導入部78と芯金62の内周面62Aとの干渉が抑制される。
【0055】
一方、ガス導入部76又はガス導入部78の突出方向(軸線P、Q)が、板状端子72又は板状端子74の幅方向(L1、L2)に沿うようにしているため、ガス導入部76の軸線Pとガス導入部78の軸線Qを互いに近づけるようにすると、板状端子72と板状端子74は、互いに離れる方向へ移動する。このため、板状端子72及び板状端子74の外角部72A、74Aが芯金62の内周面62Aと干渉しないように、ランプヒータ48及びランプヒータ50を配置しなければならない。
【0056】
ここで、板状端子72又は板状端子74は、ランプヒータ48、50の両端部に設けられているが、ランプヒータ48、50の外側に設けられた芯金62の一端部には、少なくとも、駆動ギア52及びC形止め輪64が装着されている。そして、駆動ギア52のキー部54は芯金62に形成されたキー溝56を通じて、また、C形止め輪64は芯金62に形成された装着穴66を通じて、それぞれ芯金60の内周面62A側へ突出している。
【0057】
つまり、板状端子72及び板状端子74の外角部72A、74Aは、芯金62の内周面62Aから突出した、キー部54又はC形止め輪64の内面と干渉しないように、ランプヒータ48及びランプヒータ50を配置しなければならない。
【0058】
このため、該キー部54又はC形止め輪64の寸法公差を考慮し、キー部54の内面から該寸法公差分の隙間(予め定めた隙間)H2を設けた、芯金62の第2仮想同心円S、及び、C形止め輪64の内面から該寸法公差分の隙間(予め定めた隙間)H3を設けた、芯金62の第3仮想同心円S内に、板状端子72及び板状端子74の外角部72A、74Aが配置されるようにする。
【0059】
これにより、板状端子72及び板状端子74とキー部54又はC形止め輪64の内面との干渉が抑制される。なお、ここでは、第2仮想同心円と第3仮想同心円を同じにしているが、第2仮想同心円と第3仮想同心円とで小径側の仮想同心円内に板状端子72及び板状端子74の外角部72A、74Aが配置されるようにすれば良い。
【0060】
以上のように、ガス導入部76の軸線Pとガス導入部78の軸線Qを互いに近づけて、芯金62の第4仮想同心円R内にガス導入部76及びガス導入部78の外角部76A、78Aを配置すると共に、芯金62の第2仮想同心円S、第3仮想同心円S内に、板状端子72及び板状端子74の外角部72A、74Aを配置することで、ランプヒータ48、50と芯金62の内部(芯金62の内周面62A、キー部54、C形止め輪64)との干渉が回避されるため、これを満たすようにして、芯金60の管径をできるだけ小さくする。これにより、加熱ロール44の管径が小さくなる。
【0061】
そして、ランプヒータ48の外周面とランプヒータ50の外周面の離間距離tを1mm以上にする。これにより、ランプヒータ48及びランプヒータ50の寸法公差や振動等による干渉によって発生するランプヒータ48、50の破損を回避する。
【0062】
なお、ここでは、ランプヒータ48をランプヒータ50の管径よりも大きくしたが、ランプヒータ48とランプヒータ50の管径は同じであっても良い。また、ここでは、ランプヒータ48の発熱領域を発光管68の軸方向の全域に亘るようにして、ランプヒータ50の発熱領域を発光管70の軸方向の中央部にしたが、定着ユニット40の仕様に応じて発熱領域を変えても良い。
【0063】
また、ここでは、軸方向に沿って同一径を成す円筒状の芯金62について説明したが、芯金62の形状はこれに限るものではない。例えば、図8(A)に示すように、両端部に、内側へ向かって湾曲されたカーリング部(突出部)80が形成された芯金82を用いても良い。
【0064】
この場合、図6に示すキー部54又はC形止め輪64よりも内側にカーリング部80の内径部80Aが配置される。このため、図9に示すように、カーリング部80の内径部80Aの寸法公差を考慮し、カーリング部80の内径部80Aから該寸法公差分の隙間(予め定めた隙間)H4を設けた、芯金82の第1仮想同心円X内に、板状端子72及び板状端子74の外角部72A、74Aが配置されるようにする。
【0065】
また、両端部にカーリング部80が形成された芯金82以外にも、図8(B)に示すように、両端部に絞り部(突出部)84が形成された芯金86を用いても良い。
【符号の説明】
【0066】
10 画像形成装置
12 画像形成装置本体
20 感光体ドラム(像保持体)
24 現像ローラ(現像手段)
26 転写ローラ(転写手段)
30 露光装置(潜像形成手段)
40 定着ユニット(定着手段)
44 加熱ローラ(加熱部材)
46 加圧ローラ(加圧部材)
48 ランプヒータ(第1筒体)
50 ランプヒータ(第2筒体)
54 キー部(ギアキー部)
62 芯金(加熱筒体)
64 C形止め輪(抜け止め部材)
72 板状端子(第1電力供給部)
74 板状端子(第2電力供給部)
76 ガス導入部(第1ガス導入部)
78 ガス導入部(第2ガス導入部)
80 カーリング部(突出部)
82 芯金(加熱筒体)
84 絞り部(突出部)
86 芯金(加熱筒体)
R 第4仮想同心円
S 第2仮想同心円
S 第3仮想同心円
X 第1仮想同心円
t 離間距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に発熱源が設けられた第1筒体と、
前記第1筒体と並んで配置され、内部に発熱源が設けられた第2筒体と、
前記第1筒体及び前記第2筒体の周りを回転し、内側へ突出する突出部が端部に設けられた管体と、
を備え、
前記管体の同心円上であって、前記突出部と接する第1同心円との間に予め定めた隙間を設けて形成された第1仮想同心円内に前記第1筒体及び第2筒体が配置された加熱部材。
【請求項2】
内部に発熱源が設けられた第1筒体と、
前記第1筒体と並んで配置され、内部に発熱源が設けられた第2筒体と、
前記第1筒体及び前記第2筒体の周りを回転する管体と、
前記管体へ固定され、管体の内側へ突出するギアキー部と、
前記管体へ装着される軸受け又はギアの抜け止めであり、管体の内側へ突出する抜け止め部材と、
を備え、
前記管体の同心円上であって、前記ギアキー部と接する第2同心円との間に予め定めた隙間を設けて形成された第2仮想同心円、及び、前記管体の同心円上であって、前記抜け止め部材と接する第3同心円との間に予め定めた隙間を設けて形成された第3仮想同心円内に前記第1筒体及び第2筒体が配置された加熱部材。
【請求項3】
前記第1筒体が、両端部に設けられ前記発熱源に電力を供給する板状の第1電力供給部と、前記第1電力供給部の幅方向に沿って前記第1筒体の外周面から第1筒体の半径方向へ突出し、第1筒体内へガスを供給する第1ガス導入部と、を備え、
前記第2筒体が、両端部に設けられ前記発熱源に電力を供給する板状の第2電力供給部と、前記第2電力供給部の幅方向に沿って前記第2筒体の外周面から第2筒体の半径方向へ突出し、前記第1ガス導入部と干渉しない位置に設けられ、第2筒体内へガスを供給する第2ガス導入部と、を備えて、
前記第1ガス導入部と前記第2ガス導入部を互いに近づけて配置し、前記第1ガス導入部及び前記第2ガス導入部が、前記管体の内周面との間に予め定めた隙間を設けて形成された第4仮想同心円内に配置され、前記第1電力供給部及び前記第2電力供給部が、前記第2仮想同心円及び前記第3仮想同心円内に配置された請求項2に記載の加熱部材。
【請求項4】
前記第1筒体よりも前記第2筒体の管径が大きく、前記第1筒体の発熱領域が第1筒体の長手方向の中央部であり、前記第2筒体の発熱領域が第2筒体の長手方向の全域に亘っている請求項2又は3に記載の加熱部材。
【請求項5】
前記第1筒体の外周面と前記第2筒体の外周面の離間距離が1mm以上である請求項2〜4の何れか1項に記載の加熱部材。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の加熱部材と、
前記加熱部材に未定着の画像が転写された被転写媒体を押し付ける加圧部材と、
を有する定着装置。
【請求項7】
像保持体上に潜像を形成する潜像形成装置と、
前記潜像を現像する現像装置と、
現像された画像を被転写媒体に転写する転写装置と、
前記被転写媒体上の前記画像を定着させる請求項6に記載の定着装置と、
を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−231971(P2010−231971A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77247(P2009−77247)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】