説明

加硫可能なゴム組成物および成形品。〔発明の詳細な説明〕

【課題】
液体有機物を多量に添加する場合においても、混練り加工性・成形性に優れたゴム組成物および該ゴム組成物を含有してなる成形品を提供すること。
【解決手段】
ゴム成分(A)100重量部に対して、液体有機物(B)5重量部〜4000重量部、充填剤(C)5重量部〜4000重量部、加硫剤(D)及び該液体有機物(B)100重量部に対して、増粘剤(E)0.1重量部〜100重量部を含有してなるゴム組成物及び該ゴム組成物を含有する成形品によって上記課題が解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物およびそれを用いた成形品に関し、混練り工程における混練り加工性に優れ、成形物からの液体有機物のブリードを抑制したゴム組成物およびそれを用いた成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴム製品は、一般的には、硬度で区分される。低硬度ゴムを得る方法としては、ゴムの形態を発泡ゴムにする方法、ソリッドゴムの場合は、液体有機物を多量に添加する方法あるいは極端に架橋度を低くするといった方法である。発泡ゴムの場合は、その強度や圧縮永久歪に問題があり、用途が限定される。架橋度を低くする方法も圧縮永久歪に問題がある。一方、液体有機物を添加する場合には、その種類・量の選定をゴムの性状を加味して選択する必要がある。低硬度が求められる場合は、多量に添加する必要があり、特に最近では殆どゼロに近い硬度が求められるケースが増えている。
【0003】
液体有機物を多量に添加する場合に問題になるのは、混練り工程で、混練機器たとえば、ニーダーではロータ、ケーシング、ラムへの混練物の粘着・付着が激しくなり、その混練り作業性に支障を来すことである。また、ロールによる加硫剤、加硫促進剤等の添加作業工程では、ロールに混練物が粘着し、添加剤の良好な分散を得ることが困難である。このことは、成形品の性能にバラツキを生じる原因になる。一方、加硫成形した成形品においても、多量に添加された液体有機物の一部が成形品の表面に滲み出す所謂ブリード現象が生じることである。この問題を解決する方法として、吸油性に優れた充填剤を配合することがなされている。(特許文献1、特許文献2)しかしながら、このようなシリカは、硬度アップを伴うために多量に添加することは出来ない。液体有機物とシリカとの量的なバランスが極めて難しい。また、パラフィン油のブリード防止に液状ポリイソブチレン、ポリブテンを一部置換する方法も提案されているが、パラフィン油に限定される点において十分な方法とは言えない。(特許文献3)
【0004】
【特許文献1】特開10−237223
【特許文献2】特開-11−140233
【特許文献3】特開-11−302478
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、混練り加工性に優れ、ブリード現象のないゴム組成物およびそれを用いた成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、ゴム成分(A)、液体有機物(B)、充填剤(C)、加硫剤(D)及び増粘剤(E)を含有してなるゴム組成物が、混練り加工性に優れ、ブリード現象のないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
【0008】
(1)請求項1記載の発明は、ゴム成分(A)、液体有機物(B)、充填剤(C)、加硫剤(D)及び増粘剤(E)を含有してなるゴム組成物 及び該ゴム組成物を含む成形品。
【0009】
(2)請求項2記載の発明は、ゴム成分(A)100重量部に対して、液体有機物(B)5重量部〜4000重量部、充填剤(C)5重量部〜4000重量部、加硫剤(D)及び該液体有機物(B)100重量部に対して、増粘剤(E)0.1重量部〜100重量部を含有してなる請求項1記載のゴム組成物 及び該ゴム組成物を含む成形品。
【0010】
(3)請求項3記載の発明は、前記増粘剤(E)が、樹脂酸類とアミン類との混合物(E−1−1)、および/または当該混合物塩(E−1−2)を含有してなる請求項1〜請求項2いずれかに記載のゴム組成物及び該ゴム組成物を含む成形品。
【0011】
(4)請求項4記載の発明は、前記増粘剤(E)が、炭素数20以上の脂肪酸のエステル(E−2−1)及びHLBが3以下のポリグリセリン脂肪酸エステル(E−2−2)及び/又はショ糖脂肪酸エステル(E−2−3)を含有してなる請求項1〜請求項2いずれかに記載のゴム組成物及び該ゴム組成物を含む成形品。
【0012】
(5)請求項5記載の発明は、前記増粘剤(E) が、炭素数1〜24であるアルコキシ
ル基を有するアルミニウムオキサイドアルコキサイド類及び炭素数6〜24であるアシル基を有するアルミニウムオキサイドアシレート類からなるアルミニウムオリゴマー類(E−3−1)及びアルミニウムトリアルコキサイド類(E−3−2)から選ばれる少なくとも1種と、炭素数8〜24の飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸及び脂環式脂肪酸から選ばれる少なくとも1種である増粘促進剤(E−3−3)を含有してなる請求項1〜請求項2いずれかに記載のゴム組成物及び該ゴム組成物を含む成形品。
【0013】
(6)請求項6記載の発明は、前記増粘剤(E)が、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム、ベヘニン酸アルミニウム、パルミチン酸アルミニウム、2−エチルヘキサン酸アルミニウムの1種及び又は1種以上の金属塩(E−4−1)と、前記増粘促進剤(E−3−3)を含有してなる請求項1〜請求項2いずれかに記載のゴム組成物及び該ゴム組成物を含む成形品。
【0014】
(7)請求項7記載の発明は、成形品が、フィルムシート、板状体、ブロック体、箱体、球体、角錐体、円錐体、またはその組み合わせ等任意の3次元形状を構成するもの。
【0015】
(8)請求項8記載の発明は、成形品が免震材、防振材、制振材、電磁波シールド材、放熱材、パッキン材、シール材、ガスケット材。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ゴム成分(A)、液体有機物(B)、充填剤(C)、加硫剤(D)、増粘剤(E)を含有してなるゴム組成物 及び該ゴム組成物を含む成形品を提供することができる。
該ゴム組成物は、混練り加工性に優れており、また成形品はブリード現象のないことから従来困難とされていた超低硬度の分野にも展開できることとなり、その効果は極めて大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のゴム成分(A)は、ジエン系ゴムとしては、天然ゴム、IR、BR、SBR、XSBR、CR、XCR、NBR、XNBR、HNBRなどである。非ジエン系ゴムとし
ては、IIR、BIIR、CIIR、EPM、EPDM、U、Q、CSM、CM、ACM、AEM、CO、ECO、FKM、FMQ、FVMQ、MQ、VMQ、AU、EU、NORなどを挙げることができる。
【0018】
好ましくは、EPM、EPDM、NBR、HNBR、XNBR、XCR、CRである。特に好ましくは、EPM、EPDMである。これらは、単独または二種以上を用いることができる。
【0019】
本発明の液体有機物(B)としては、鉱物油系軟化剤、植物油系軟化剤、可塑剤等を挙げることができる。鉱物油系軟化剤としては、具体的には、パラフィン系油、ナフテン系油、芳香族系油である。植物油系軟化剤としては、ひまし油、錦実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、パイン油、トール油などである。可塑剤としては、フタル酸誘導体、アジピン酸誘導体、アゼライン誘導体、セバシン酸誘導体、ドデカン−2−酸誘導体、アレイン酸誘導体、フマル酸誘導体、ピロメリット酸誘導体、クエン酸誘導体、オレイン酸誘導体、トリメリット酸誘導体、リン酸誘導体、グリコール誘導体、グリセリン誘導体、パラフィン誘導体、エポキシ誘導体、重合形可塑剤などである。
液体有機物(B)の添加量は、ゴム成分(A)100重量部に対して、通常、5重量部〜4000重量部、好ましくは10重量部〜2000重量部である。さらに好ましくは、20重量部〜1000重量部である。
【0020】
本発明の充填剤(C)としては、例えばカーボンブラック、重質炭酸カルシウム、胡粉、軽微性炭酸カルシウム、極微細活性化炭酸カルシウム、特殊炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、カオリンクレー、焼成クレー、パイロフライトクレー、シラン処理クレー、天然ケイ酸、合成無水ケイ酸、合成含水ケイ酸、合成ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、フェライト、カオリン、セリサイト、タルク、微粉タルク、ウォラスナイト、ゼオライト、ゾーノトナイト、マイカ、アスベスト、PMF(Processed Mineral Fiber : 加工鉱物繊維)、セピオライト、チタン酸カリウム、エレスタダイト、石膏繊維、ガラスバルン、シリカバルン、ハイドロタルサイト、フライアシュバルン、シラスバルン、カーボン系バルン、フェノール樹脂、尿素樹脂、スチレン系樹脂、サラン樹脂等の有機系バルン、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維(チョップドストランド、ロービング、ミルドガラス繊維、ガラスフレーク)、カットファイバー、ロックファイバー、ミクロファイバー、炭酸繊維、芳香族ポリアミド繊維、チタン酸カリウム繊維、再生ゴム、ゴム粉末、エボナイト粉末、セラック、木粉等が挙げられる。前記充填剤(D)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0021】
充填剤(C)の添加量は、ゴム成分(A)100重量部に対して、通常、5重量部〜4000重量部、好ましくは10重量部〜2000重量部である。さらに好ましくは、20重量部〜1000重量部である。なお充填剤(C)は、ゴム成分(A)との濡れ性を向上させるために、予め各種カップリング剤で処理されていてもよいし、混練り時にカップリング剤を添加してもよい。このようなカップリング剤としては例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤を挙げることができる。
【0022】
本発明の加硫剤(D)としては、用いられるゴムの種類により、硫黄系加硫剤、有機過酸化物、キノイド加硫剤、樹脂加硫剤、金属酸化物加硫剤、含硫黄有機化合物、アミン加硫剤、トリアジン系加硫剤、ポリオール加硫剤、金属石けん加硫剤、マレイミド系加硫剤、ヒドロシリル化反応用架橋剤等を適宜選択して使用される。
【0023】
硫黄系加硫剤としては、例えば粉末硫黄、硫黄華、高分散性硫黄、不溶性硫黄、沈降硫黄、表面処理硫黄、コロイド硫黄、塩化硫黄、一塩化硫黄、二塩化硫黄等が挙げられる。これらの硫黄系加硫剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。また、加硫・架橋剤として硫黄系加硫剤を使用する場合には、加硫促進剤を併用することもできる。
【0024】
加硫促進剤としては、例えばヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒド・アンモニア等のアルデヒドアンモニア類;n−ブチルアルデヒドーアニリン縮合品、ブチルアルデヒドーモノブチルアミン縮合品、ヘプトアルデヒドーアニリン反応品、トリクロトニリデン・テトラミン等のアルデヒドアミン類;ジフェニルグアニジン、ジーoートリルグアニジン、オルト・トリル・ビグアニド、ジカテコール・ホウ酸のジオルト・トリル・グアニジン塩等のグアニジン塩類;2−メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン類;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトチアゾリン、ジベンゾチアジル・ジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2−(2,4−ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール、2−(N,N−ジエチルチオ・カルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(4’−モルホリノ・ジチオ)ベンゾチアゾール、4−モルホニル−2−ベンゾチアジル・ジスルフィド等のチアゾール類;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド等のスフェンアミド類;チオカルバニド、エチレン・チオ尿素(2−メルカプトイミダゾリン)、ジエチル・チオ尿素、ジブチル・チオ尿素、混合アルキルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、ジラウリルチオ尿素等のチオ尿素類;ジメチル・ジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチル・ジチオカルバミン酸ナトリウム、ジ−n−ブチル・カルバミン酸ナトリウム、ジメチル・ジチオカルバミン酸鉛、ジアミル・ジチオカルバミン酸鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジアミル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジーn−ブチル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジル・ジチオカルバミン酸亜鉛、N−ペンタメチレン・ジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチル・ジチオカルバミン酸セレン、ジエチル・ジチオカルバミン酸セレン、ジエチル・ジチオカルバミン酸テルル、ジエチル・ジチオカルバミン酸カドミウム、ジメチル・ジチオカルバミン酸銅、ジメチル・ジチオカルバミン酸鉄、ジメチル・ジチオカルバミン酸ビスマス、ジメチル・ジチオカルバミン酸ピペリジン、メチルペンタメチレン・ジチオカルバミン酸ピペコリン、活性化ジチオカルバメート等のジチオカルバミン酸塩類;テトラメチルチウラム・モノスルフィド、テトラメチルチウラム・ジスルフィド、活性テトラメチルチウラム・ジスルフィド、テトラエチルチウラム・ジスルフィド、テトラブチルチウラム・ジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラム・ジスルフィド、ジペンタメチレンチウラム・ジスルフィド、ジペンタメチレンチウラム・テトラスルフィド、混合アルキル・チウラム・ジスルフィド等のチウラム類;イソプロピル・キサントゲン酸ナトリウム、イソプロピル・キサントゲン酸亜鉛、ブチル・キサントゲン酸亜鉛等のザンテート類;4,4’−ジチオジモルホリン、アミノジアルキルジチオホスフェート、亜鉛−o,o−n−ブチル・ホスホロジチオエート、3−メルカプトイミダゾリン−チオン−2、チオグリコール酸エステル等が挙げられる。これらの加硫促進剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0025】
有機過酸化物としては、例えば1,1−ジ第三ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ第三ブチルパーオキサイド、第三ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルパーオキシ)ヘキサン)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルパーオキシ)ヘキシン、1,3−ビス(第三ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、第三ブチルパーオキシ−イソプロピルカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルフォニルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート、ジプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジ(メトキシイソプロピル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、第三ヘキシルパーオキシネオヘキサネート、ジ(3−メチル−3−メチロキシブチル)パーオキシジカーボネート、第三ブチルパーオキシネオデカネート、第三ヘキシルパーオキシネオデカネート、第三ブチルパーオキシネオヘキサネート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、第三ヘキシルパーキシピバレート、第三ブチルパーヘキシピバレート、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、クミルパーオキシオクテート、アセチルパーオキサイド、第三ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサネート)、ベンゾイルパーオキサイド、第三ブチルパーオキシイソイソブチレート、1,1−ビス(第三ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、第三ブチルパーオキシマレイックアシッド、第三ブチルパーオキシラウレート、第三ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサネート、シクロヘキサノンパーオキサイド、第三ブチルパーオキシアリルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,2−ビス(第三ブチルパーオキシ)オクタン、第三ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(第三ブチルパーオキシ)ブタン、第三ブチルパーオキシベンゾエート、ブチル−4,4−ビス(第三ブチルパーオキシ)バレレート、ジ第三ブチルジパーオキシイソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、α,α’−ビス(第三ブチルパーオキシーmーイソプロピル)シクロヘキサン、ジイソプロピルベンゼン−ヒドロパーオキサイド、pーメンタンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、第三ブチルヒドロパーオキサイド等が挙げられる。これらの有機過酸化物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0026】
また、加硫・架橋剤として有機過酸化物を使用する場合には、共架橋剤を併用することもできる。共架橋剤としては、例えば硫黄、pーキノンジオキシム、p−ベンゾキノンジオキシム、p,p’ージベンゾイルキノンジオキシム、NーメチルーN’ー4ージニトロソアニリン、N,N−m−フェニレンビスマレイミド、ジペンタメチレンチウラムペンタスルフィド、ジニトロソベンゼン、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアジンチオール、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメトロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジアリルメラミン、ジビニルアジペート、ビニルブチラート、ビニルステアレート、液状ポリブタジエンゴム、液状ポリイソプレンゴム、液状スチレンーブタジエンゴム、液状アクリロニトリルーブタジエンゴム、(メタ)アクリル酸マグネシウム、(メタ)アクリル酸カルシウム、(メタ)アクリル酸アルミニウム、(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸第一錫、(メタ)アクリル酸マグネシウム等が挙げられる。これらの共架橋剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0027】
キノイド加硫剤としては、例えばp−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、ポリ−p−ジニトロベンゼン等が挙げられる。これらのキノイド加硫剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。樹脂加硫剤としては、例えばアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、メラミンーホルムアルデヒド縮合物、トリアジン−ホルムアルデヒド縮合物、オクチルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノール・スルフィド樹脂、ヘキサメトキシメチル・メラミン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂加硫剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。金属酸化物加硫剤としては、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、一酸化鉛等が挙げられる。これらの金属酸化物加硫剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0028】
含硫黄有機加硫剤としては、例えばモルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、N、N’−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼピノン−2)、チウラムポリスルフィド、2ー(4’ーモルホリノ・ジチオ)ベンゾチアゾール等が挙げられる。これらの含硫黄有機加硫剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0029】
ポリアミン系加硫剤としては、例えばヘキサメチレンジアミンカルバメ−ト、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレン・テトラミン、テトラエチレン・ペンタミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)カルバメ−ト、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン、アンモニウムベンゾエ−ト等が挙げられる。これらのポリアミン系加硫剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。トリアジン系加硫剤としては、例えば2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらのトリアジン系加硫剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0030】
ポリオ−ル加硫剤としては、例えばビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルAF、ハイドロキノン、ペンタエリトリト−ル等が挙げられる。これらのポリオール系加硫剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。金属石けん加硫剤としては、例えばステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等が挙げられる。これらの金属石けん加硫剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。マレイミド系加硫剤としては、例えばN,N’−m−フェニレンジマレイミド等が挙げられる。
【0031】
ヒドロシリル化反応用架橋剤としては、一分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンである。該オルガノポリシロキサンの分子構造は特に限定されないが、例えば、直鎖状、分岐状、環状、または三次元網状構造の樹脂状物のいずれでもよい。ケイ素原子に結合している有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が例示され、好ましくは、メチル基である。
【0032】
このようなオルガノポリシロキサンとしては、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、およびこれらのオルガノポリシロキサンの2種以上の混合物が例示される。
【0033】
ヒドロシリル化反応を促進させるためのヒドロシリル化反応用触媒としては、白金 系触媒、ロジウム系触媒、イリジウム系触媒、パラジウム系触媒、ルテニウム系触媒が例示され、好ましくは、白金系触媒である。具体的には、白金微粉末、白金黒、塩化白金酸、四塩化白金 、アルコール変性塩化白金酸、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金のカルボニル錯体、これらの白金系触媒を含むメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性有機樹脂粉末等の白金系触媒である
本発明の増粘剤(E)としては、例えば、以下の4種類を挙げることができる。
(1)増粘剤(E)としては、樹脂酸類とアミン類との混合物(E−1−1)、および/または当該混合物塩(E−1−2)である。
樹脂酸類とは一般に松脂あるいはロジン中の主成分である炭素を20個含有してなるジテルペンカルボン酸であり、具体的にはアビエチン酸、レボピマル酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマル酸、イソピマル酸、サンダラコピマル酸、デヒドロアビエチン酸、更にはロジンを水素化して得られる水素化ロジンに含有されるジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸等をあげることができる。樹脂酸類としては、未精製のロジン類をそのまま使用できる。
【0034】
なお、本発明においてロジン類とは、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンの他、不均化ロジン、脱水素化ロジン、水素化ロジンなどが挙げられる。これらの樹脂酸の中には共役二重結合の異性化や、酸素による酸化が懸念される樹脂酸を含むロジン類もあるため、化学的に安定なデヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸およびテトラヒドロアビエチン酸を含む不均化ロジン、脱水素化ロジンおよび水素化ロジンが特に好ましい。アミン類としては、特に限定されず公知のものを用いることができる。
【0035】
具体的には、アミノ基を1個有するモノアミン類としては、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ピペリジン、2−アミノ2−メチル−1−プロパノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、ピリジン、アニリン、4−メチルアニリン、4−ヒドロキシアニリン、4−メトキシアニリン、4−アミノ安息香酸メチル、ベンジルアミン、1−フェニルエチルアミン、2−フェニルエチルアミン、3−フェニルプロピルアミン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、2−アミノビフェニル、1−アミノアントラキノン、フルフリルアミン、テトラヒドロフルフリルアミンなどをあげることができる。
【0036】
アミノ基を2個有するジアミン類としては、例えば、ヒドラジン、1,2−ジアミノエタン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2,6−ジメチルピペラジン、1,2−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノ−6−メチルベンゼン、1,4−ジアミノ−2,5−ジメチルベンゼン、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,4−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、4,4´−ジアミノジフェニルメタンなどをあげることができる。
【0037】
アミノ基を3個以上有するポリアミン類としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンテトラミン、および、いわゆるポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンなどをあげることができる。これらアミン類の中では、ゲル化能の点から、アミノ基を2個以上含有するものが好ましく、アミノ基を2個含有するものが特に好ましい。具体的にはヒドラジン、1,2−ジアミノエタン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ピペラジン、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、などが好ましい。
樹脂酸類とアミン類との混合物(E−1−1)、および/または当該混合物塩(E−1−2)の添加量は、通常、液体有機物(B)100重量部に対し、0.1重量部〜100重量部であり、好ましくは0.5重量部〜50重量部である。この範囲を超えると、増粘が不十分であったり、引張り特性に劣ったりするため好ましくない。樹脂酸類とアミン類とのモル比は1/0.1〜1/10が好ましい。さらに好ましくは、1/0.5〜1/2である。この範囲を超えると増粘が不十分となり好ましくない。
【0038】
(2)増粘剤(E)としては、炭素数20以上の脂肪酸のエステル(E−2−1)及びHLBが3以下のポリグリセリン脂肪酸エステル(E−2−2)及び/又はショ糖脂肪酸エステル(E−2−3)である。
炭素数20以上の脂肪酸のエステルとは例えば、アラキン酸、ベヘニン酸等とプロピレングリコール、グリセリン、ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン等とのエステルである。具体的には、グリセリンモノベヘニン酸エステル、グリセリンモノアラキン酸、ソルビタンジアラキン酸エステル等が挙げられるがこれらに限定するものではない。本発明におけるHLB3以下のポリグリセリン脂肪酸エステルとはトリグリセリンペンタステアレート、ヘキサグリセリンオクタステアレート、デカグリセリンデカパルミテート等をさし、HLB3以下のショ糖脂肪酸エステルはショ糖のパルミチン酸、ステアリン酸エステルをさすが、これらに限定するものではない。
【0039】
(3)増粘剤(E)としては、炭素数1〜24のアルコキシル基を有するアルミニウムオキサイドアルコキサイド類及び炭素数6〜24のアシル基を有するアルミニウムオキサイドアシレート類からなるアルミニウムオリゴマー類(E−3−1)及びアルミニウムトリアルコキサイド類(E−3−2)から選ばれる少なくとも1種と、炭素数8〜24の飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸及び脂環式脂肪酸から選ばれた少なくとも1種である増粘促進剤(E−3−3)を含有してなる。
【0040】
前記アルミニウムトリアルコキサイド類(E−3−2)としては、アルミニウムトリメトキサイド、アルミニウムトリエトキサイド、アルミニウムトリn−プロポキサイド、アルミニウムトリイソプロポキサイド、アルミニウムトリn−ブトキサイド、アルミニウムトリ−sec−ブトキサイド、アルミニウムトリi−ブトキサイド、アルミニウムトリヘキシルオキシド、アルミニウムトリ(2−エチルヘキシルオキシド)、アルミニウムブトキシジイソプロポキサイド、アルミニウムジブトキシイソプロポキサイド、アルミニウムジイソプロポキシ2−エチルヘキシルオキサイド、アルミニウムトリオクチルオキサイドなどの炭素数1〜24のアルコキシル基を有するアルミニウムトリアルコキサイド等が挙げられる。
【0041】
本発明で使用するアルミニウムオキサイドアルコキサイド類は、アルミニウムトリアルコキサイドの3分子環状縮合物であり、例えば、「INDUSTRIALAND ENG
INEERING CHEMISTRY Vol.56,No.5,p42〜50、1964」や、米国特許第2979497号(1961)等に記載されている製造方法によって製造することができる。
【0042】
そのようなアルミニウムオリゴマー類(E−3−1)の例としては、アルミニウムトリメトキサイド、アルミニウムトリエトキサイド、アルミニウムトリn−プロポキサイド、アルミニウムトリイソプロポキサイド、アルミニウムトリn−ブトキサイド、アルミニウムトリsec−ブトキサイド、アルミニウムトリi−ブトキサイド、アルミニウムトリヘキシルオキシド、アルミニウムトリ(2−エチルヘキシルオキシド)、アルミニウムブトキシジイソプロポキサイド、アルミニウムジブトキシイソプロポキサイド、アルミニウムジイソプロポキシ2−エチルヘキシルオキサイド、アルミニウムトリオクチルオキサイドなどの炭素数1〜24のアルコキシル基を有するアルミニウムトリアルコキサイドを、炭化水素溶媒又はアルコール溶媒中で強撹拌下に水を添加して反応させ、生成するアルコールと使用溶媒とを蒸留によって除くことによって製造される環状トリマーであるアルミニウムオキサイドアルコキサイド類や、該アルミニウムオキサイドアルコキサイド類を一塩基性有機酸と反応させてアルコキシル基を一塩基性有機酸由来のアシル基で置換して得られるアルミニウムアシレート環状オリゴマー類が挙げられる。
【0043】
前記アルミニウムオキサイドアシレート類の製造に使用される一塩基性有機酸の例としては、n−オクチル酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸及びその混合物等が挙げられるが、一塩基性有機酸の例は、上記例示のものに限定されるものではない。
【0044】
アルミニウムオリゴマー類(E−3−1)の添加量は、増粘する液体有機物(B)の種類、性状により異なるが、アルミニウムオリゴマー類(E−3−1)を液体有機物(B)100重量部に対して0.1重量部〜100重量部である。0.1重量部未満では、増粘することが困難であり、100重量部を超えると、引張特性が劣り好ましくない。
【0045】
本発明で、前記アルミニウムトリアルコキサイド類(E−3−2)及び/又はアルミニウムオリゴマー類(E−3−1)と併用される増粘促進剤(E−3−3)としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ナフテン酸等の長鎖の飽和又は不飽和の脂肪族カルボン酸類が挙げられる。このような脂肪酸類の添加量は、増粘する液状有機物(B)100重量部に対して1重量部〜100重量部である。
【0046】
本発明で前記アルミニウムアルコキサイド類(E−3−2)及び/又はアルミニウムオリゴマー類(E−3−1)と上記の増粘促進剤(E−3−3)とに、さらにカルボキシル基含有液状高分子を加えて増粘を図っても良い。カルボキシル基含有液状高分子としては、α,ω−ポリブタジエンジカルボン酸類(例えば、「商品名:NISSO−PBC1000,日本曹達製」、「商品名:HycarRLP CTB−2000×162,BF Goodrich製」、「商品名:HC−polymer,Tiokol製」、「商品名:TelagenGeneralTire製」、「商品名:ButaretzPhillipsPetroleum製」等)及び、アクリロニトリル変性α,ω−ポリブタジエンジカルボン酸類(例えば、「商品名:HycarRLP CTBN−1300×31,BF Goodrich製」、「商品名:HycarRLP CTBN−1300×8,BF Goodrich製」、「商品名:HycarRLP CTBN−1300×13,BF Goodrich製」、「商品名:HycarRLPCTBNX−1300×9,BFGoodrich製」等)のような液状のカルボキシル基含有高分子が好適に用いられる。
【0047】
これらカルボキシル基含有の高分子は、増粘促進剤(E−3−3)100重量部に対して0.1重量部〜30重量部である。カルボキシル基含有の高分子は予め増粘促進剤(E−3−3)中に溶解して使用することが好ましい。
【0048】
(4)増粘剤(E)としては、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム、ベヘニン酸アルミニウム、パルミチン酸アルミニウム、2−エチルヘキサン酸アルミニウムの1種及び又は1種以上の金属塩(E−4−1)と、前記増粘促進剤(E−3−3)を含有してなる。
【0049】
このうち、金属塩(E−4−1)としては、2−エチルヘキサン酸アルミニウムが好ましい。2−エチルヘキサン酸アルミニウムは、乾燥したものあるいは含水のままのどちらでもかまわないが、含水品は飛散が少なく扱いやすい。2−エチルヘキサン酸アルミニウムは、通常のアルミニウム石けんの製造方法つまり複分解反応を行なったもので良く(特公昭36−19125号公報、特公昭36−19379号公報、特公昭36−10476号公報、特公平7−25717号公報、フランス特許160524号等)乾燥しないままの状態が好ましいが、70℃以下で乾燥したものであれば良い。また、ジソープ、モノソープ、トリソープの組成比を変えるためにアルミニウムアルコキサイドからの製造方法と組み合わせても良い。
【0050】
2−エチルヘキサン酸アルミニウムの形状は、粉末、粒状、ペレット、シート状、ブロック状、塊状、ペースト状等があるがこれらに限定されるものではない。2−エチルヘキサン酸アルミニウムは、単独でもさしつかえないが、本発明を逸脱しないかぎり、これに適量の従来公知のアルミニウム石けん類例えばステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、カプリン酸アルミニウム等を配合したものであっても良い。また2−エチルヘキサン酸アルミニウムを製造する時に各種の脂肪酸を添加して反応して製造したものであっても良い。
金属塩(E−4−1)の含有量は、液体有機物(B)100重量部に対して0.1重量部〜100重量部である。金属塩(E−4−1)の含有量が0.1重量部未満では、増粘することが困難であり、また、100重量部を超えると、引張特性が劣り好ましくない。
【0051】
一方、増粘促進剤(E−3−3)としては、前述のように、炭素数が8〜24である飽和および/または不飽和脂肪酸であることが好ましい。例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸、ウンデジレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などがあげられる。このうち、ステアリン酸はゴム配合に通常、加工助剤として用いられるものである。ただし、室温では固体状であるため、増粘促進にはオレイン酸がより好ましい。
【0052】
増粘促進剤(E−3−3)の添加量は、液体有機物(B)100重量部に対して、0.1重量部〜100重量部である。0.1重量部未満では増粘促進効果が乏しく、また100重量部を超えると、スリップするため、混練工程で充分な練りが困難になる傾向がある。
【0053】
さらに、本発明のゴム組成物には、通常のゴム組成物で使用されている各種の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、老化防止剤、酸化防止剤、加工助剤、活性剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、滑剤、奪水剤、ワックス、活性剤、光安定剤、カップリング剤、内部離型剤、スコーチ防止剤、発泡剤、発泡助剤、抗菌剤、難燃剤、素練り促進剤、蓄熱剤、電子導電付与剤、イオン導電付与剤、熱伝導付与剤、放熱剤、蓄光剤、着色剤、熱可塑性樹脂、熱可塑性架橋エラストマー、等を配合することもできる。
【0054】
本発明のゴム組成物は、以下に示す方法によって得ることが出来る。
(1) 先ず、適当な容器に液体有機物(B)を計量し、次いで、増粘剤(E)を計量して前記容器内に入れて混合する。この場合常温又は加熱しながら撹拌してもよい。このようにして得られた増粘物とゴム成分(A)及び充填剤(C)とをバンバリーミキサー、ニーダー等の混練機に投入して混練りする方法。
(2)ゴム成分(A)、液体有機物(B)、充填剤(C)増粘剤(E)をバンバリーミキサー、ニーダー等の混練機に順次投入して混練りする方法。
(1)、(2)のいずれかの方法によって得られた混練物についてロールによって加硫剤(D)を添加し、均一に分散した段階でロールから取り出し、本発明のゴム組成物を得る。
【0055】
本発明のゴム組成物は、成形加工性に優れており、通常のゴム加工で使用されているプレス成形、押出し成形、射出成形、トランスファー成形等により容易に成形される。また架橋を伴う場合には、プレス架橋、UHF架橋、電子線架橋、HAV架橋、紫外線架橋等により架橋成形される。
〔実施例〕
【0056】
実施例に基ずいて本発明を詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0057】
表1に示した配合組成比率で、ゴム成分(A)として3042EH、液体有機物(B)としてPW−90、増粘剤(E−4−1)としてオクトープアルミT、増粘促進剤(E−3−3)としてオレイン酸、充填剤(C)としてBF−083を用いて、3Lニーダー(60℃、40rpm)に順次投入し混練りした。混練時間は10分で終了した。ローター、ケーシング、ラムへの粘着・付着も無く、良好であった。次いで、6インチロールを用いて加硫剤(D)としてカヤクミルD−40を添加し均一に分散した段階で2.5mmでシート出しした。ロール加工性についても良好であった。ロール作業は5分で終了した。このシートを160mm×160mm×2.5mmに成形したものを170℃、15分プレス加硫し、引張試験(JIS K6251)用加硫シートを作製した。このシートからJIS 3号ダンベル試験片を打ち抜き引張試験、硬さ試験(JIS K6253)を行った。その結果を表2に示した。
【実施例2】
【0058】
表1に示した配合組成比率で液体有機物(B)としてPW−90をビーカーに計量し、次いで増粘剤(E−3−1)として液体オリープAODを加えて撹拌し均一状態にした(約5分要した)。次に、増粘促進剤(E−3−3)としてオレイン酸をビーカーに加えたのち均一になるまで撹拌した(約5分)。次に容器の温度を室温から50℃まで加温した。50℃で30分経過した時点で十分な増粘状態に達した。このものを、ゴム成分(A)として3042EH、充填剤(C)としてニップシールLPと共に3Lニーダーに投入して混練りした。混練時間5分後には良好な混練物が得られた。このものについて実施例1と同様6インチロールを用いて、加硫剤(D)としてパーカドックス#14/40、バルノックPMを添加し、ロール作業を行った。実施例1と同様良好なロール加工性であった。 2.5mmでシート出し後、160mm×160mm×2.5mmに成形したものを170℃、15分プレス加硫し、引張試験(JIS K6251)用加硫シートを作製した。このシートからJIS−3号ダンベル試験片を打ち抜き引張試験、硬さ試験(JIS K6253)を行った。その結果を表2に示した。
【実施例3】
【0059】
表1に示した配合組成比率で、ゴム成分(A)としてN230S、液体有機物(B)としてDOP、増粘剤(E−4−1)としてオクトープアルミT、増粘促進剤(E−3−3)としてオレイン酸、充填剤(C)として#HTC20、加硫剤(D)としてサルファックスPMC、ノクセラーCZ、ノクセラーTTを用い、実施例1と同様にしてニーダー混練、ロール作業を実施した。何れも良好な加工性であった。このものについても、2.5mmでシート出しの後、160mm×160mm×2.5mmに成形したものを170℃、15分プレス加硫し、引張試験(JIS K6251)用加硫シートを作製した。このシート
からJIS 3号ダンベル試験片を打ち抜き引張試験、硬さ試験(JIS K6253)を行った。その結果を表2に示した。
【実施例4】
【0060】
表1に示した配合組成比率で、ゴム成分(A)としてスカイプレンB−5、液体有機物(B)として菜種油、増粘剤(E−4−1)としてオクトープアルミT、増粘促進剤(E−3−3)としてオレイン酸、充填剤(C)として#HTC20、加硫剤(D)として、キョウワマグ#150、NA−22、酸化亜鉛を用い、実施例1と同様にしてニーダー混練、ロール作業を実施した。何れも良好な加工性であった。このものについても、2.5mmでシート出しの後、160mm×160mm×2.5mmに成形したものを170℃、15分プレス加硫し、引張試験(JIS K6251)用加硫シートを作製した。この
シートからJIS 3号ダンベル試験片を打ち抜き引張試験、硬さ試験(JIS K6253)を行った。その結果を表2に示した。
「比較例1〜比較例2」
表1に示した配合組成比率で実施例1と同様にして3Lニーダーにて混練りした。
混練り段階で、ロ−タ−、ケーシング、ラムへの粘着が激しく多大の作業時間を要した。
また6インチロール作業においても粘着が激しく加硫剤のゴムへの分散が不十分であっ
た。この状態でシート出しを行い加硫シートを作製、引張試験、硬さ試験に供した。
結果を表2に示した。
【0061】
表2から明らかなように、比較例1及び比較例2は増粘剤(E)が含まれていないため、混練加工性に劣る。また引張試験の引張強度、伸びともに小さい。これらに比し、本発明のゴム組成物は、混練り加工性に優れ、加硫成形品は、同程度の硬度にもかかわらず、引張強度、伸び共に大きく良好である。従来の低硬度が要求されるゴム部品では粘着・付着が激しく、またその結果として分散不良を生起し引張り特性が不十分であったが、本発明により、さらに超低硬度が要求される分野にも、発泡ゴム状にすることなく得ることができることとなった。したがって、クッション性・衝撃吸収性・制振性、シール性が要求される製品・部材などの成形品に好適である。成形品としては、フィルムシート、板状体、ブロック体、箱体、球体、角錐体、円錐体、またはその組み合わせ等任意の3次元形状を構成するもの。
具体的な用途としては、免震材、防振材、制振材、電磁波シールド材、放熱材、パッキン材、シール材、ガスケット材等を挙げることができる。
【表1】

【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分(A)、液体有機物(B)、充填剤(C)、加硫剤(D)及び増粘剤(E)を含有してなるゴム組成物及び該ゴム組成物を含む成形品。
【請求項2】
ゴム成分(A)100重量部に対して、液体有機物(B)5重量部〜4000重量部、充填剤(C)5重量部〜4000重量部、加硫剤(D)及び該液体有機物(B)100重量部に対して、増粘剤(E)0.1重量部〜100重量部を含有してなる請求項1記載のゴム組成物 及び該ゴム組成物を含む成形品。
【請求項3】
前記増粘剤(E)が、樹脂酸類とアミン類との混合物(E−1−1)、および/または当該混合物塩(E−1−2)を含有してなる請求項1〜請求項2いずれかに記載のゴム組成物及び該ゴム組成物を含む成形品。
【請求項4】
前記増粘剤(E)が、炭素数20以上の脂肪酸のエステル(E−2−1)及びHLBが3以下のポリグリセリン脂肪酸エステル(E−2−2)及び/又はショ糖脂肪酸エステル(E−2−3)を含有してなる請求項1〜請求項2いずれかに記載のゴム組成物及び該ゴム組成物を含む成形品。
【請求項5】
前記増粘剤(E) が、炭素数1〜24であるアルコキシル基を有するアルミニウムオ
キサイドアルコキサイド類及び炭素数6〜24であるアシル基を有するアルミニウムオキサイドアシレート類からなるアルミニウムオリゴマー類(E−3−1)及びアルミニウムトリアルコキサイド類(E−3−2)から選ばれる少なくとも1種と、炭素数8〜24の飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸及び脂環式脂肪酸から選ばれた少なくとも1種である増粘促進剤(E−3−3)を含有してなる請求項1〜請求項2いずれかに記載のゴム組成物及び該ゴム組成物を含む成形品。
【請求項6】
前記増粘剤(E)が、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム、ベヘニン酸アルミニウム、パルミチン酸アルミニウム、2−エチルヘキサン酸アルミニウムの1種及び又は1種以上の金属塩(E−4−1)と、前記増粘促進剤(E−3−3)を含有してなる請求項1〜請求項2いずれかに記載のゴム組成物及び該ゴム組成物を含む成形品。
【請求項7】
成形品が、フィルムシート、板状体、ブロック体、箱体、球体、角錐体、円錐体、またはその組み合わせ等任意の3次元形状を構成するもの。
【請求項8】
成形品が、免震材、防振材、制振材、電磁波シールド材、放熱材、パッキン材、シール材、ガスケット材。

【公開番号】特開2009−40931(P2009−40931A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209092(P2007−209092)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(302067844)株式会社ツーワン (12)
【Fターム(参考)】