加速度センサ応答における外力判別方法
【課題】様々な外力を識別して取り出すことで、これらの外力特性に合わせた評価が可能となることから、多機能で且つ優れたモニタリングシステムを構築することができる。
【解決手段】構造物に取り付けた加速度センサより加速度応答を取得する工程と、加速度応答に対してピークファクタに基づく第1判別手法によって、スパイクノイズの発生の有無を判別し、スパイクノイズが判別された場合にこれを除去する工程と、スパイクノイズを有しない加速度応答に対して振動数成分に基づく第2判別手法によって、地震動の振動数成分を判別し、地震外力を取り出す工程とを有し、構造物に作用する外力特性を加速度センサの応答に基づいて判別する外力判別方法を提供する。
【解決手段】構造物に取り付けた加速度センサより加速度応答を取得する工程と、加速度応答に対してピークファクタに基づく第1判別手法によって、スパイクノイズの発生の有無を判別し、スパイクノイズが判別された場合にこれを除去する工程と、スパイクノイズを有しない加速度応答に対して振動数成分に基づく第2判別手法によって、地震動の振動数成分を判別し、地震外力を取り出す工程とを有し、構造物に作用する外力特性を加速度センサの応答に基づいて判別する外力判別方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋脚などの構造物に適用される加速度センサ応答における外力判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物のヘルスモニタリングは、センサによる長期的な観測結果から有意義な情報を抽出することにある。従来、モニタリングとして実用化されているものとして一般的なものは、緊急地震速報を発する地震観測システムのように、外力の大きさや危険性を知ることを目的に運用されている。
また、計測震度やSI値のような構造物の被害を予想する方法については,対象とする構造物の特性を所与のものと考えた評価方法となっている。それに対して、ヘルスモニタリングは外力の特性だけでなく、構造物の特性を抽出することに主眼がある。センサの応答には、常時微動、地震、流体力(水、風等)、列車振動等の物理現象の他に、電気的なノイズ等様々なものが混在しているため、ヘルスモニタリングを行うためには、外力特性と構造物の特性を信号処理等を利用してそれぞれ評価をする必要がある。
【0003】
通常、センサの選定は目的とする外力に対応するように選定されるが、昨今のセンサデバイスやAD変換等の技術向上は目覚ましく、振幅レベルや対象振動数範囲等において様々な外力に対応できるセンサが開発されている。また、信号処理の方法も様々開発されており、外力の特性に合わせた評価方法が検討されている。
このため、運用において外力が分かる場合は、その外力に対する評価手法を適用することで、モニタリングシステムの多機能化を行うことが可能となり、高付加価値なシステムが構築されている。
【0004】
例えば、緊急地震速報を発するための地震観測システムにおいては、地震波と生活ノイズの自動判別アルゴリズムを搭載したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ところで、土木構造物にセンサを設置し応答を観測する場合、様々な外力による応答が観測されることになる。外力を判別する際に、センサ応答のみでなく画像等を併用すれば、どのような現象による応答なのかを判断することは可能であるが、この場合は常に人が監視する必要がある。そこで特許文献1のように、地震や土砂検知といった自然外力の監視においては、観測データに低域フィルタを適用し、人工的振動の振幅を減少させ、振幅の大きいイベントを地震として検出する方法が利用されてきた。さらに、地震波における加速度波形の立ち上がりの特性や振動数成分の特性から地震波と生活ノイズを自動で判別するアルゴリズムを搭載したものが検討されている。
また、土砂崩壊を検知するために、地震による応答と区別する方法が検討されており、卓越振動数の相違を利用すれば、出水、地震およびノイズを判別することが可能であるとしている。このような方法においては、目的とする応答のみを抽出することに主眼が置かれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−103672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、鉄道橋や道路橋のヘルスモニタリングにおいては、列車や車両の通過に伴う列車振動に曝されており、中小地震、洪水、強風といった自然外力による応答と比して、その応答加速度は大きくなる。このため、ヘルスモニタリングでは、列車振動の応答をいかに除去するかが重要となる等、構造物の性能評価の観点から地震力以外の様々な外力を識別して取り出すことが求められており、その点で改良の余地があった。
【0008】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、様々な外力を識別して取り出すことで、これらの外力特性に合わせた評価が可能となることから、多機能で且つ優れたモニタリングシステムを構築することができる加速度センサ応答における外力判別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る加速度センサ応答における外力判別方法では、構造物に作用する外力特性を加速度センサの応答に基づいて判別する外力判別方法であって、構造物に取り付けた加速度センサより加速度応答を取得する工程と、加速度応答に対してピークファクタに基づく第1判別手法によって、スパイクノイズの発生の有無を判別し、スパイクノイズが判別された場合にこれを除去する工程と、スパイクノイズを有しない加速度応答に対して振動数成分に基づく第2判別手法によって、地震動の振動数成分を判別し、地震外力を取り出す工程とを有することを特徴としている。
【0010】
本発明では、加速度センサにより取得した加速度応答に対して、第1判別手法のピークファクタによりスパイクノイズを除去し、そのスパイクノイズを有しない加速度応答に対して第2判別手法で地震動の振動数成分を判別して、地震外力のみを取り出すことができる。そして、この取り出した特定の地震外力を解析し、評価することが可能となる。さらに、第2判別手法において地震外力のみを取り出しておくことで、地震外力以外の他の加速度応答を分別することができるので、この他の加速度応答に対しても適宜な判別手法を用いて様々な外力に識別することが可能となり、外力特性に合わせて構造物を評価することができる。
【0011】
また、本発明に係る加速度センサ応答における外力判別方法では、第2判別手法では、カットオフ振動数が相違する複数のデジタルフィルタを利用し、標準偏差の比から振動数成分を求めることが好ましい。
【0012】
本発明では、デジタルフィルタを利用することで、より連続計測されたデータをリアルタイムで解析することができることから、従来のフーリエ変換を利用した方法のように対象とする外力により継続時間に長短がある等、収録する長さを決めることが難しいということが無くなる利点がある。
【0013】
また、本発明に係る加速度センサ応答における外力判別方法では、第2判別手法によって地震外力が取り除かれた他の加速度応答に対して、応答の大きさに基づく第3判別手法によって列車通過時に生じる列車振動と微動振動とを判別し、交通による外力を取り出す工程を有することが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る加速度センサ応答における外力判別方法では、第3判別手法によって交通による外力が取り除かれた微動振動に対して、非定常性平均に基づく第4判別手法によってドリフトの有無を判別し、ドリフトを有する場合にこれを除去する工程と、第4判別手法によってドリフトが取り除かれた加速度応答に対して、微動応答の大きさに基づく第5判別手法によって常時微動の有無を判別し、常時微動を有する場合にこれを取り出すとともに、常時微動が無い場合に増水外力又は強風外力の外力有りと判断する工程とを有することが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る加速度センサ応答における外力判別方法では、第5判別手法によって外力有りと判断された加速度応答に対して、微動スペクトル比に基づく第6判別手法によって増水時応答特性と強風時応答特性とを判別し、増水外力と強風外力とを分別して取り出す工程を有することが好ましい。
【0016】
この場合、第2判別手法によって分別された地震外力以外の他の加速度応答に対して、第3判別手法により列車振動を取り出し、この特定の交通による外力(列車振動)を解析し、構造物を評価することが可能となる。さらに、第3判別手法によって交通による外力が取り除かれた微動振動に対して、第4判別手法によりドリフトを除去し、その後、ドリフトが取り除かれた加速度応答に対して、第5判別手法により常時微動を取り出し、この特定の常時微動による外力を解析し、構造物を評価することが可能となる。さらにまた、第5判別手法によって外力有りと判断された加速度応答に対して、第6判別手法により増水外力と強風外力を取り出し、この特定の増水外力と強風外力を解析し、構造物を評価することが可能となる。
このように、第1判別手法から第6判別手法の順序とすることで、上述した地震外力、列車振動による外力、常時微動による外力、増水外力、および強風外力を確実に判別して、取り出すことができるので、これら個々の外力特性に対して適宜な解析手段を用いて解析することで精度の高い構造物の評価を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の加速度センサ応答における外力判別方法によれば、様々な外力を識別して取り出すことで、これらの外力特性に合わせた評価が可能となることから、多機能で且つ優れたモニタリングシステムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態による外力判別方法の動作フローを示す図である。
【図2】ピークファクタに基づく判別手法を説明するための図であって、ピークファクタの異常波形の一例を示す図である。
【図3】フーリエ変換を利用した方法を説明するための図であって、地震スペクトルの特性の一例を示す図である。
【図4】スペクトル比に基づく判別手法を説明するための図であって、判定例を示す図である。
【図5】デジタルフィルタを利用した方法を説明するための図であって、デジタルフィルタ適用前後の標準偏差比の一例を示す図である。
【図6】応答の大きさに基づく判別手法を説明するための図であって、列車通過時の一例を示す図である。
【図7】列車振動と微動応答の判別例を示した図である。
【図8】非定常性平均に基づく判別手法を説明するための図であって、ドリフト波形の一例を示す図である。
【図9】微動応答の大きさに基づく判別手法を説明するための図であって、強風時の構造物の微動波形の一例を示す図である。
【図10】微動RMS応答の大きさの一例を示す図である。
【図11】微動スペクトル比に基づく判別手法を説明するための図であって、増水と強風のスペクトル特性差の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明による加速度センサ応答における外力判別方法の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態による加速度センサ応答における外力判別方法は、列車が走行する鉄道橋の橋脚(構造物)に作用する外力特性を加速度センサの応答に基づいて判別する方法である。ここで、本実施の形態による橋脚は、河川に架けられる橋梁を対象としており、橋脚も河川内に設けられている。また、加速度センサは、橋脚の上部の適宜な位置に取り付けられている。
【0021】
本実施の形態による外力判別方法は、外力自動判別手法(不図示)を使用して自動で各種外力が判別される。
図1に示すように、具体的に外力判別方法として、先ず、ステップS1において加速度応答を取得する。
【0022】
そして、ステップS2において、加速度応答に対してピークファクタに基づく第1判別手法によって、スパイクノイズの発生の有無を判別し、スパイクノイズが判別された場合にこれを除去する。すなわち、ピークファクタに基づいて、現象が物理的な現象によるものか、或いはセンサの電気的なノイズによるものかを判断する。このとき物理的な現象である場合にはステップS3に進み、スパイクノイズによる場合にはステップS4に進む。なお、電気的なノイズとしてスパイクノイズを対象としているが、値の大きなスパイクノイズが生じる場合には、大きな応答が生じることとなり、最大値等で判断する場合は誤報の原因となる。
【0023】
次に、ステップS3において、スパイクノイズを有しない加速度応答に対して振動数成分に基づく第2判別手法によって、地震動の振動数成分を判別し、地震外力を取り出す。すなわち、この第2判別手法は、スペクトル比に基づいての地震を取り出す判別手法であって、地震とその他の外力について判別する。そして、ステップS3で地震が判別されたときには、その取り出した地震外力に基づいて地震の解析を行うことができ(ステップS5)、地震外力以外と判別された加速度応答は次のステップS6へ進むことになる。
【0024】
なお、地震は様々な大きさのものが発生し、応答の大きさでは単純に判別することができないことから、ステップS3では振動数成分の相違を利用した判別を行う。振動数成分の比較をする際には、一般的なフーリエ変換を利用する方法やデジタルフィルタを利用する方法を用いることができる。なお、フーリエ変換を適用するためには、ある程度波形の長さ(サンプル数)を確保する必要がある。これに対して、デジタルフィルタを利用する方法では、リアルタイムに判別することができ効果的である。
【0025】
さらに、ステップS6では、第2判別手法によって地震外力が取り除かれた他の加速度応答に対して、応答の大きさに基づく第3判別手法によって列車通過時に生じる列車振動と微動振動とを判別し、交通による外力(列車振動)を取り出す。つまり、上述したステップS3で判別された地震以外の応答について、振動レベルが大きくなる列車振動とそれ以外の微動振動とに振り分けることが行われる。ここで、列車振動は、荷重の重量や速度等に関係なく微動に比べて大きな応答が生じるため、比較的簡単に判別することが可能である。そして、ステップS7において、ステップS6で判別されて取り出された列車振動を用いて列車振動解析を行うことができる。なお、列車振動以外の微動等は、ステップS8へ進むことになる。
【0026】
続いて、ステップS8において、第3判別手法によって交通による外力が取り除かれた微動振動に対して、非定常性平均に基づく第4判別手法によってドリフトの有無を判別し、ドリフトを有する場合にこれを除去する。そして、ドリフトが無い場合にはステップS9へ進み、ドリフトが有る場合にはステップS10へ進む。
【0027】
なお、第4判別手法において、列車振動以外の微動波形について応答を利用する際の条件としては、シグナルとノイズの比であるS/N比においてシグナルがセンサの性能および測定環境で決まる自己ノイズよりも大きいことである。応答波形の平均が変化していくような非定常性が有る場合は、波形がドリフトを起こしていると考えられ自己ノイズが大きくなる。加速度センサのドリフト現象は温度特性の影響が考えられるが、大きなドリフトが生じる場合は、DC値だけでなく高い振動数にまで影響することになり、正確な計測ができない可能性があるため利用不可とする必要がある。つまり、ドリフトが有る場合には、ステップS10において波形が確認されることとなる。そして、増水時や強風時においてはシグナルが大きくなることが知られており、また構造物の特性が明確に表れるため、増水や強風の判定をセンサ応答で行うことができれば、より信頼性の高い解析を行うことが可能となる。
【0028】
さらに、ステップS9において、第4判別手法によってドリフトが取り除かれた加速度応答に対して、微動応答の大きさに基づく第5判別手法によって常時微動の有無を判別し、常時微動を有する場合にこれを取り出すとともに、常時微動が無い場合に増水外力又は強風外力の外力有りと判断する。すなわち、ステップS8でドリフト無しと判別された加速度応答に対して、常時微動のものと、外力有りのものとに振り分ける。そして、ステップS9において、判別された常時微動を用いて常時微動解析を行うことができる。なお、それ以外の外力有りのものは、ステップS12へ進む。
【0029】
続いて、ステップS12において、前記第5判別手法によって外力有りと判断された加速度応答に対して、微動スペクトル比に基づく第6判別手法によって増水時応答特性と強風時応答特性とを判別し、増水外力と強風外力とを分別して取り出す。すなわち、増水振動と判別されたものはステップS13で増水振動解析が行われ、強風振動と判別されたものはステップS14で強風振動解析が行われることとなる。
【0030】
(第1の判別手法)
次に、図1に示すステップS2で行われるピークファクタによる判別手法について、詳細に説明する。
つまり、図2に示すように、大きなスパイクノイズは、最大値や平均といった統計指標に影響し、除去する必要があるため、ピークファクタによる波形においてスパイクノイズが生じていないかを判別する。また、トリガー計測を行う場合には、異常なトリガーとなり、異常波形をもたらす原因ともなるために本ステップS2による判別を行う。
【0031】
具体的には、収録加速度波形をT秒ごとの区間とし、p区間目のm(=T/dt)個のサンプルによる最大値と標準偏差を(1)式および(2)式により算出する。
【0032】
【数1】
【0033】
ここで、| |は絶対値を表し、max[ ]、rms[ ]はそれぞれ最大値、標準偏差を求める手順である。標準偏差と最大値との比から(3)式よりピークファクタを求める。なお、しきい値としては、epを(4)式のように設定する。
ただし、epは、センサの温度特性等から予め設定される値とする。図2は、横軸に時間(秒)、縦軸に加速度(m/s)を示し、ピークファクタが大きくなる異常波形の一例を示したものである。
【0034】
【数2】
【0035】
【数3】
【0036】
(第2の判別手法)
次に、図1に示すステップS3で行われるスペクトル比に基づく判別手法について、詳細に説明する。
本判別手法では,既存のトリガー計測によるシステムに適用する方法(フーリエ変換を利用した方法)と、リアルタイム評価に適用する方法(デジタルフィルタを利用した方法)
と、を採用することができる。
トリガー計測による方法は、収録システムの解析速度や容量等の制約があるため、モニタリングにおけるデータ収集方法として、ある加速度以上の応答が生じた場合に計測を開始し、一定の長さの波形を解析する方法となっている。この場合、対象とする外力により継続時間に長短がある等、収録する長さを決めることが難しい。一方、リアルタイム評価に適用する方法は、より連続計測されたデータをリアルタイムで解析することができるので、上記トリガー計測による方法よりも好適である。
【0037】
(フーリエ変換を利用した方法)
本フーリエ変換を利用した方法は、図3に示すように、地震応答によるスペクトルと列車振動によるスペクトルでは含まれる振動数帯が相違することから、このような振動数成分の違いを利用して外力判別をする方法である。
p区間目の加速度時系列応答をフーリエ変換して、(5)式によりフーリエスペクトルを算出し、(6)式によりパワースペクトルを算出する。
【0038】
【数4】
【0039】
【数5】
【0040】
パワースペクトルを累積したものを、(7)式に基づいて累積パワースペクトルとして算出する。
また、ハイパスフィルタのカットオフ振動数ωelを設定し、(7)式の累積スペクトルにおいて、ωelより高周波のスペクトルを(8)式に基づいて累積する。
さらに、スペクトル全体の中で高周波がどの程度含まれるかを(7)式と(8)式を利用して(9)式のように算出する。
【0041】
【数6】
【0042】
そして、しきい値として qetを定め、以下の判定基準により判別する。
qet、p<qetのとき、p区間内の波形に地震外力有り
qet、p≧qetのとき、p区間内の波形に地震外力無し
図4に示す判定例のように地震外力有りと判定された場合は、近接する地震外力有りの区間を全て接続して地震波形を作成し、地震振動解析を行う。なお、しきい値については、オーダーで相違するため、あまり重要とならないが、構造物の特性等を考慮して設定する。
【0043】
(デジタルフィルタを利用した方法)
次に、デジタルフィルタを利用してリアルタイムに地震を判別する方法について説明する。
デジタルフィルタの場合には、フーリエ変換を利用しないため、スペクトルの振動数刻みを確保するために、ある程度波形の長さ(サンプル数)が必要となってリアルタイムで判定することが困難となることがないという利点がある。
パーセヴァルの定理によれば、パワースペクトルと時系列波形の2乗平均(分散)には以下のような関係がある。
【0044】
【数7】
【0045】
この関係を利用してデジタルフィルタの処理前後の標準偏差の比から、上述したフーリエ変換を利用した方法と同様の概念で波形を判別する。
なお、デジタルフィルタの設計方法として本手法の適用には、特定のデジタルフィルタに限定されることはないが、適用の容易性から以下のローパスデジタルフィルタを利用する。
カットオフ振動数をBとしたシンク関数は(11)式のように定義される。
ここで、τ=−S,−S+dt,・・・,0,・・・,−S−dt,Sであり、S=1/2B、a=2Sである。シンク関数には、(12)式のような特性がある。
【0046】
【数8】
【0047】
フィルタ適用後の加速度波形は、(11)式を利用して、(13)式のようにデジタルフィルタ処理を行える。
【0048】
【数9】
【0049】
ここで、df=1/dtである。
フィルタの特性はSにより影響されるが、判別判定までに要する時間に大きく影響するのは、フィルタ処理後に標準偏差をとる際のサンプル数mである。加速度応答の標準偏差の安定性を考慮して、区間P(サンプル数M)を定めれば、(14)式のようにフィルタ前後の標準偏差の比の移動比を計算できる。
【0050】
【数10】
【0051】
この場合は、判定までに要する時間はM×dtとなる。しきい値としてqrtを定め、以下の判定基準で判別する。
qr,p<qrtのとき、P区間内の波形に地震外力有り
qr,p≧qrtのとき、P区間内の波形に地震外力無し
そして、適用した事例を図5に示す。列車振動では高振動数成分が大きいため、フィルタ後の応答が相対的に小さくなっている。ただし、地震でも列車でもない微動区間については(14)式の分子の値を利用して、次に示す応答の大きさによる方法と複合的に判断を行うこととする。
【0052】
(第3の判別手法)
次に、図1に示すステップS6で行われる応答の大きさに基づく判別手法について、詳細に説明する。
図6に示すように、橋梁等の構造物において、列車振動や地震による応答は、微動応答に比して大きい。そこで、応答の大きさの相違を利用して微動応答を判別する方法を示す。
加速度波形時系列の標準偏差は上述した(2)式で求めることができる。しきい値etと定めれば、(15)式、(16)式のように判別できる。
なお、より信頼性を向上するため、判定不能とする区間をeqtで定め、(17)式のように判定不能判定を行う。
【0053】
【数11】
【0054】
交通外力有と判定された場合は、近接する交通外力有りの区間を全て接続して交通(列車)波形を作成し、列車振動解析を行う。図7には、その判別例を示す。
【0055】
(第4の判別手法)
次に、図1に示すステップS8で行われる非定常性平均に基づく判別手法について、詳細に説明する。
つまり、微動波形の利用不可な波形としてドリフトが大きく生じている波形を以下の方法で除去する。
微動加速度波形のP区間の平均値を以下のように求める。
また、∃l,k区間において,ドリフト量を(19)式のように定義する.
【0056】
【数12】
【0057】
しきい値qztを利用して(20)式のように判定を行う。
ただし,qztは、センサの温度特性等から予め決定される値である。
図8に示すドリフト有波形については、利用しないとともに、波形の確認を行いセンサの故障等も含めて対処する。
【0058】
【数13】
【0059】
(第5の判別手法)
次に、図1に示すステップS9で行われる微動応答の大きさに基づく判別手法について、詳細に説明する。
増水や強風時の応答は、図6の列車振動に対しては、図9に示した強風時の応答のように2オーダー程度低い応答になるが、図10のように通常の常時微動に対しては大きな応答が生じる。微動が大きくなればS/N比が大きくなり、また、構造物の特性が明確に表れるようになるため、信頼性の高い解析を行うことが可能となる。
微動加速度波形が得られた場合、連続した時間軸において(2)式を利用して標準偏差を算出する。
基準となる振動レベルをeatとebtを決め、(21)式のような判定を行う。
【0060】
【数14】
【0061】
常時微動判定となれば、常時微動を利用した解析を行う。また、外力有の場合は、増水や強風時の応答解析を行う。しきい値eatはセンサの自己ノイズや量子化の解像度等のシステム性能を考慮して設定を行う。しきい値ebtは、フィールドにおける環境や構造物特性を評価して決める。
【0062】
(第6の判別手法)
次に、図1に示すステップS12で行われる微動スペクトル分析に基づく判別手法について、詳細に説明する。
ステップS9の微動応答の判別手法によって外力有りと判定された波形において、増水応答と強風応答の両方の可能性がある場合は、どちらの外力により微動が増幅されているか判定する方法を用いる。
【0063】
励起される振動数帯が相違する場合は、構造物の特性の評価を行う際には重要となる。図11には、同じ構造物において、増水時応答のスペクトルと強風時応答のスペクトルの比較を示している。このように増水時の応答は高振動数成分が強風時応答に比べて多いことがわかる。これは、粘性が相違することによるものと考えられるため、上述した第2の判別手法であるスペクトル比に基づいた判別方法を適用することが可能となる。
【0064】
次に、上述した加速度センサ応答における外力判別方法の作用について、詳細に説明する。
本実施の形態の外力判別方法では、速度センサにより取得した加速度応答に対して、第1判別手法のピークファクタによりスパイクノイズを除去し、そのスパイクノイズを有しない加速度応答に対して第2判別手法で地震動の振動数成分を判別して、地震外力のみを取り出すことができる。そして、この取り出した特定の地震外力を解析し、評価することが可能となる。さらに、第2判別手法において地震外力のみを取り出しておくことで、地震外力以外の他の加速度応答を分別することができるので、この他の加速度応答に対しても適宜な判別手法を用いて様々な外力に識別することが可能となり、外力特性に合わせて構造物を評価することができる。
【0065】
また、第2判別手法によって分別された地震外力以外の他の加速度応答に対して、第3判別手法により列車振動を取り出し、この特定の交通による外力(列車振動)を解析し、構造物を評価することが可能となる。さらに、第3判別手法によって交通による外力が取り除かれた微動振動に対して、第4判別手法によりドリフトを除去し、その後、ドリフトが取り除かれた加速度応答に対して、第5判別手法により常時微動を取り出し、この特定の常時微動による外力を解析し、構造物を評価することが可能となる。さらにまた、第5判別手法によって外力有りと判断された加速度応答に対して、第6判別手法により増水外力と強風外力を取り出し、この特定の増水外力と強風外力を解析し、構造物を評価することが可能となる。
【0066】
このように、第1判別手法から第6判別手法の順序とすることで、上述した地震外力、列車振動による外力、常時微動による外力、増水外力、および強風外力を確実に判別して、取り出すことができるので、これら個々の外力特性に対して適宜な解析手段を用いて解析することで精度の高い構造物の評価を行うことができる。
【0067】
上述した第1の実施の形態による加速度センサ応答における外力判別方法では、様々な外力を識別して取り出すことで、これらの外力特性に合わせた評価が可能となることから、多機能で且つ優れたモニタリングシステムを構築することができる。
【0068】
以上、本発明による加速度センサ応答における外力判別方法の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態ではステップS2の第1判別手法からステップS12の第6判別手法までを行い、地震外力、列車振動による外力、常時微動による外力、増水外力、および強風外力を取り出して、それら外力を解析し評価可能としているが、第6判別手法まで行うことに制限されることはない。例えば、ステップS6の第3判別手法で列車振動の外力を取り出すところまでの判別を行うものとし、ステップS8(第4判別手法)以降を省略することも可能である。
【0069】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋脚などの構造物に適用される加速度センサ応答における外力判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物のヘルスモニタリングは、センサによる長期的な観測結果から有意義な情報を抽出することにある。従来、モニタリングとして実用化されているものとして一般的なものは、緊急地震速報を発する地震観測システムのように、外力の大きさや危険性を知ることを目的に運用されている。
また、計測震度やSI値のような構造物の被害を予想する方法については,対象とする構造物の特性を所与のものと考えた評価方法となっている。それに対して、ヘルスモニタリングは外力の特性だけでなく、構造物の特性を抽出することに主眼がある。センサの応答には、常時微動、地震、流体力(水、風等)、列車振動等の物理現象の他に、電気的なノイズ等様々なものが混在しているため、ヘルスモニタリングを行うためには、外力特性と構造物の特性を信号処理等を利用してそれぞれ評価をする必要がある。
【0003】
通常、センサの選定は目的とする外力に対応するように選定されるが、昨今のセンサデバイスやAD変換等の技術向上は目覚ましく、振幅レベルや対象振動数範囲等において様々な外力に対応できるセンサが開発されている。また、信号処理の方法も様々開発されており、外力の特性に合わせた評価方法が検討されている。
このため、運用において外力が分かる場合は、その外力に対する評価手法を適用することで、モニタリングシステムの多機能化を行うことが可能となり、高付加価値なシステムが構築されている。
【0004】
例えば、緊急地震速報を発するための地震観測システムにおいては、地震波と生活ノイズの自動判別アルゴリズムを搭載したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ところで、土木構造物にセンサを設置し応答を観測する場合、様々な外力による応答が観測されることになる。外力を判別する際に、センサ応答のみでなく画像等を併用すれば、どのような現象による応答なのかを判断することは可能であるが、この場合は常に人が監視する必要がある。そこで特許文献1のように、地震や土砂検知といった自然外力の監視においては、観測データに低域フィルタを適用し、人工的振動の振幅を減少させ、振幅の大きいイベントを地震として検出する方法が利用されてきた。さらに、地震波における加速度波形の立ち上がりの特性や振動数成分の特性から地震波と生活ノイズを自動で判別するアルゴリズムを搭載したものが検討されている。
また、土砂崩壊を検知するために、地震による応答と区別する方法が検討されており、卓越振動数の相違を利用すれば、出水、地震およびノイズを判別することが可能であるとしている。このような方法においては、目的とする応答のみを抽出することに主眼が置かれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−103672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、鉄道橋や道路橋のヘルスモニタリングにおいては、列車や車両の通過に伴う列車振動に曝されており、中小地震、洪水、強風といった自然外力による応答と比して、その応答加速度は大きくなる。このため、ヘルスモニタリングでは、列車振動の応答をいかに除去するかが重要となる等、構造物の性能評価の観点から地震力以外の様々な外力を識別して取り出すことが求められており、その点で改良の余地があった。
【0008】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、様々な外力を識別して取り出すことで、これらの外力特性に合わせた評価が可能となることから、多機能で且つ優れたモニタリングシステムを構築することができる加速度センサ応答における外力判別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る加速度センサ応答における外力判別方法では、構造物に作用する外力特性を加速度センサの応答に基づいて判別する外力判別方法であって、構造物に取り付けた加速度センサより加速度応答を取得する工程と、加速度応答に対してピークファクタに基づく第1判別手法によって、スパイクノイズの発生の有無を判別し、スパイクノイズが判別された場合にこれを除去する工程と、スパイクノイズを有しない加速度応答に対して振動数成分に基づく第2判別手法によって、地震動の振動数成分を判別し、地震外力を取り出す工程とを有することを特徴としている。
【0010】
本発明では、加速度センサにより取得した加速度応答に対して、第1判別手法のピークファクタによりスパイクノイズを除去し、そのスパイクノイズを有しない加速度応答に対して第2判別手法で地震動の振動数成分を判別して、地震外力のみを取り出すことができる。そして、この取り出した特定の地震外力を解析し、評価することが可能となる。さらに、第2判別手法において地震外力のみを取り出しておくことで、地震外力以外の他の加速度応答を分別することができるので、この他の加速度応答に対しても適宜な判別手法を用いて様々な外力に識別することが可能となり、外力特性に合わせて構造物を評価することができる。
【0011】
また、本発明に係る加速度センサ応答における外力判別方法では、第2判別手法では、カットオフ振動数が相違する複数のデジタルフィルタを利用し、標準偏差の比から振動数成分を求めることが好ましい。
【0012】
本発明では、デジタルフィルタを利用することで、より連続計測されたデータをリアルタイムで解析することができることから、従来のフーリエ変換を利用した方法のように対象とする外力により継続時間に長短がある等、収録する長さを決めることが難しいということが無くなる利点がある。
【0013】
また、本発明に係る加速度センサ応答における外力判別方法では、第2判別手法によって地震外力が取り除かれた他の加速度応答に対して、応答の大きさに基づく第3判別手法によって列車通過時に生じる列車振動と微動振動とを判別し、交通による外力を取り出す工程を有することが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る加速度センサ応答における外力判別方法では、第3判別手法によって交通による外力が取り除かれた微動振動に対して、非定常性平均に基づく第4判別手法によってドリフトの有無を判別し、ドリフトを有する場合にこれを除去する工程と、第4判別手法によってドリフトが取り除かれた加速度応答に対して、微動応答の大きさに基づく第5判別手法によって常時微動の有無を判別し、常時微動を有する場合にこれを取り出すとともに、常時微動が無い場合に増水外力又は強風外力の外力有りと判断する工程とを有することが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る加速度センサ応答における外力判別方法では、第5判別手法によって外力有りと判断された加速度応答に対して、微動スペクトル比に基づく第6判別手法によって増水時応答特性と強風時応答特性とを判別し、増水外力と強風外力とを分別して取り出す工程を有することが好ましい。
【0016】
この場合、第2判別手法によって分別された地震外力以外の他の加速度応答に対して、第3判別手法により列車振動を取り出し、この特定の交通による外力(列車振動)を解析し、構造物を評価することが可能となる。さらに、第3判別手法によって交通による外力が取り除かれた微動振動に対して、第4判別手法によりドリフトを除去し、その後、ドリフトが取り除かれた加速度応答に対して、第5判別手法により常時微動を取り出し、この特定の常時微動による外力を解析し、構造物を評価することが可能となる。さらにまた、第5判別手法によって外力有りと判断された加速度応答に対して、第6判別手法により増水外力と強風外力を取り出し、この特定の増水外力と強風外力を解析し、構造物を評価することが可能となる。
このように、第1判別手法から第6判別手法の順序とすることで、上述した地震外力、列車振動による外力、常時微動による外力、増水外力、および強風外力を確実に判別して、取り出すことができるので、これら個々の外力特性に対して適宜な解析手段を用いて解析することで精度の高い構造物の評価を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の加速度センサ応答における外力判別方法によれば、様々な外力を識別して取り出すことで、これらの外力特性に合わせた評価が可能となることから、多機能で且つ優れたモニタリングシステムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態による外力判別方法の動作フローを示す図である。
【図2】ピークファクタに基づく判別手法を説明するための図であって、ピークファクタの異常波形の一例を示す図である。
【図3】フーリエ変換を利用した方法を説明するための図であって、地震スペクトルの特性の一例を示す図である。
【図4】スペクトル比に基づく判別手法を説明するための図であって、判定例を示す図である。
【図5】デジタルフィルタを利用した方法を説明するための図であって、デジタルフィルタ適用前後の標準偏差比の一例を示す図である。
【図6】応答の大きさに基づく判別手法を説明するための図であって、列車通過時の一例を示す図である。
【図7】列車振動と微動応答の判別例を示した図である。
【図8】非定常性平均に基づく判別手法を説明するための図であって、ドリフト波形の一例を示す図である。
【図9】微動応答の大きさに基づく判別手法を説明するための図であって、強風時の構造物の微動波形の一例を示す図である。
【図10】微動RMS応答の大きさの一例を示す図である。
【図11】微動スペクトル比に基づく判別手法を説明するための図であって、増水と強風のスペクトル特性差の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明による加速度センサ応答における外力判別方法の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態による加速度センサ応答における外力判別方法は、列車が走行する鉄道橋の橋脚(構造物)に作用する外力特性を加速度センサの応答に基づいて判別する方法である。ここで、本実施の形態による橋脚は、河川に架けられる橋梁を対象としており、橋脚も河川内に設けられている。また、加速度センサは、橋脚の上部の適宜な位置に取り付けられている。
【0021】
本実施の形態による外力判別方法は、外力自動判別手法(不図示)を使用して自動で各種外力が判別される。
図1に示すように、具体的に外力判別方法として、先ず、ステップS1において加速度応答を取得する。
【0022】
そして、ステップS2において、加速度応答に対してピークファクタに基づく第1判別手法によって、スパイクノイズの発生の有無を判別し、スパイクノイズが判別された場合にこれを除去する。すなわち、ピークファクタに基づいて、現象が物理的な現象によるものか、或いはセンサの電気的なノイズによるものかを判断する。このとき物理的な現象である場合にはステップS3に進み、スパイクノイズによる場合にはステップS4に進む。なお、電気的なノイズとしてスパイクノイズを対象としているが、値の大きなスパイクノイズが生じる場合には、大きな応答が生じることとなり、最大値等で判断する場合は誤報の原因となる。
【0023】
次に、ステップS3において、スパイクノイズを有しない加速度応答に対して振動数成分に基づく第2判別手法によって、地震動の振動数成分を判別し、地震外力を取り出す。すなわち、この第2判別手法は、スペクトル比に基づいての地震を取り出す判別手法であって、地震とその他の外力について判別する。そして、ステップS3で地震が判別されたときには、その取り出した地震外力に基づいて地震の解析を行うことができ(ステップS5)、地震外力以外と判別された加速度応答は次のステップS6へ進むことになる。
【0024】
なお、地震は様々な大きさのものが発生し、応答の大きさでは単純に判別することができないことから、ステップS3では振動数成分の相違を利用した判別を行う。振動数成分の比較をする際には、一般的なフーリエ変換を利用する方法やデジタルフィルタを利用する方法を用いることができる。なお、フーリエ変換を適用するためには、ある程度波形の長さ(サンプル数)を確保する必要がある。これに対して、デジタルフィルタを利用する方法では、リアルタイムに判別することができ効果的である。
【0025】
さらに、ステップS6では、第2判別手法によって地震外力が取り除かれた他の加速度応答に対して、応答の大きさに基づく第3判別手法によって列車通過時に生じる列車振動と微動振動とを判別し、交通による外力(列車振動)を取り出す。つまり、上述したステップS3で判別された地震以外の応答について、振動レベルが大きくなる列車振動とそれ以外の微動振動とに振り分けることが行われる。ここで、列車振動は、荷重の重量や速度等に関係なく微動に比べて大きな応答が生じるため、比較的簡単に判別することが可能である。そして、ステップS7において、ステップS6で判別されて取り出された列車振動を用いて列車振動解析を行うことができる。なお、列車振動以外の微動等は、ステップS8へ進むことになる。
【0026】
続いて、ステップS8において、第3判別手法によって交通による外力が取り除かれた微動振動に対して、非定常性平均に基づく第4判別手法によってドリフトの有無を判別し、ドリフトを有する場合にこれを除去する。そして、ドリフトが無い場合にはステップS9へ進み、ドリフトが有る場合にはステップS10へ進む。
【0027】
なお、第4判別手法において、列車振動以外の微動波形について応答を利用する際の条件としては、シグナルとノイズの比であるS/N比においてシグナルがセンサの性能および測定環境で決まる自己ノイズよりも大きいことである。応答波形の平均が変化していくような非定常性が有る場合は、波形がドリフトを起こしていると考えられ自己ノイズが大きくなる。加速度センサのドリフト現象は温度特性の影響が考えられるが、大きなドリフトが生じる場合は、DC値だけでなく高い振動数にまで影響することになり、正確な計測ができない可能性があるため利用不可とする必要がある。つまり、ドリフトが有る場合には、ステップS10において波形が確認されることとなる。そして、増水時や強風時においてはシグナルが大きくなることが知られており、また構造物の特性が明確に表れるため、増水や強風の判定をセンサ応答で行うことができれば、より信頼性の高い解析を行うことが可能となる。
【0028】
さらに、ステップS9において、第4判別手法によってドリフトが取り除かれた加速度応答に対して、微動応答の大きさに基づく第5判別手法によって常時微動の有無を判別し、常時微動を有する場合にこれを取り出すとともに、常時微動が無い場合に増水外力又は強風外力の外力有りと判断する。すなわち、ステップS8でドリフト無しと判別された加速度応答に対して、常時微動のものと、外力有りのものとに振り分ける。そして、ステップS9において、判別された常時微動を用いて常時微動解析を行うことができる。なお、それ以外の外力有りのものは、ステップS12へ進む。
【0029】
続いて、ステップS12において、前記第5判別手法によって外力有りと判断された加速度応答に対して、微動スペクトル比に基づく第6判別手法によって増水時応答特性と強風時応答特性とを判別し、増水外力と強風外力とを分別して取り出す。すなわち、増水振動と判別されたものはステップS13で増水振動解析が行われ、強風振動と判別されたものはステップS14で強風振動解析が行われることとなる。
【0030】
(第1の判別手法)
次に、図1に示すステップS2で行われるピークファクタによる判別手法について、詳細に説明する。
つまり、図2に示すように、大きなスパイクノイズは、最大値や平均といった統計指標に影響し、除去する必要があるため、ピークファクタによる波形においてスパイクノイズが生じていないかを判別する。また、トリガー計測を行う場合には、異常なトリガーとなり、異常波形をもたらす原因ともなるために本ステップS2による判別を行う。
【0031】
具体的には、収録加速度波形をT秒ごとの区間とし、p区間目のm(=T/dt)個のサンプルによる最大値と標準偏差を(1)式および(2)式により算出する。
【0032】
【数1】
【0033】
ここで、| |は絶対値を表し、max[ ]、rms[ ]はそれぞれ最大値、標準偏差を求める手順である。標準偏差と最大値との比から(3)式よりピークファクタを求める。なお、しきい値としては、epを(4)式のように設定する。
ただし、epは、センサの温度特性等から予め設定される値とする。図2は、横軸に時間(秒)、縦軸に加速度(m/s)を示し、ピークファクタが大きくなる異常波形の一例を示したものである。
【0034】
【数2】
【0035】
【数3】
【0036】
(第2の判別手法)
次に、図1に示すステップS3で行われるスペクトル比に基づく判別手法について、詳細に説明する。
本判別手法では,既存のトリガー計測によるシステムに適用する方法(フーリエ変換を利用した方法)と、リアルタイム評価に適用する方法(デジタルフィルタを利用した方法)
と、を採用することができる。
トリガー計測による方法は、収録システムの解析速度や容量等の制約があるため、モニタリングにおけるデータ収集方法として、ある加速度以上の応答が生じた場合に計測を開始し、一定の長さの波形を解析する方法となっている。この場合、対象とする外力により継続時間に長短がある等、収録する長さを決めることが難しい。一方、リアルタイム評価に適用する方法は、より連続計測されたデータをリアルタイムで解析することができるので、上記トリガー計測による方法よりも好適である。
【0037】
(フーリエ変換を利用した方法)
本フーリエ変換を利用した方法は、図3に示すように、地震応答によるスペクトルと列車振動によるスペクトルでは含まれる振動数帯が相違することから、このような振動数成分の違いを利用して外力判別をする方法である。
p区間目の加速度時系列応答をフーリエ変換して、(5)式によりフーリエスペクトルを算出し、(6)式によりパワースペクトルを算出する。
【0038】
【数4】
【0039】
【数5】
【0040】
パワースペクトルを累積したものを、(7)式に基づいて累積パワースペクトルとして算出する。
また、ハイパスフィルタのカットオフ振動数ωelを設定し、(7)式の累積スペクトルにおいて、ωelより高周波のスペクトルを(8)式に基づいて累積する。
さらに、スペクトル全体の中で高周波がどの程度含まれるかを(7)式と(8)式を利用して(9)式のように算出する。
【0041】
【数6】
【0042】
そして、しきい値として qetを定め、以下の判定基準により判別する。
qet、p<qetのとき、p区間内の波形に地震外力有り
qet、p≧qetのとき、p区間内の波形に地震外力無し
図4に示す判定例のように地震外力有りと判定された場合は、近接する地震外力有りの区間を全て接続して地震波形を作成し、地震振動解析を行う。なお、しきい値については、オーダーで相違するため、あまり重要とならないが、構造物の特性等を考慮して設定する。
【0043】
(デジタルフィルタを利用した方法)
次に、デジタルフィルタを利用してリアルタイムに地震を判別する方法について説明する。
デジタルフィルタの場合には、フーリエ変換を利用しないため、スペクトルの振動数刻みを確保するために、ある程度波形の長さ(サンプル数)が必要となってリアルタイムで判定することが困難となることがないという利点がある。
パーセヴァルの定理によれば、パワースペクトルと時系列波形の2乗平均(分散)には以下のような関係がある。
【0044】
【数7】
【0045】
この関係を利用してデジタルフィルタの処理前後の標準偏差の比から、上述したフーリエ変換を利用した方法と同様の概念で波形を判別する。
なお、デジタルフィルタの設計方法として本手法の適用には、特定のデジタルフィルタに限定されることはないが、適用の容易性から以下のローパスデジタルフィルタを利用する。
カットオフ振動数をBとしたシンク関数は(11)式のように定義される。
ここで、τ=−S,−S+dt,・・・,0,・・・,−S−dt,Sであり、S=1/2B、a=2Sである。シンク関数には、(12)式のような特性がある。
【0046】
【数8】
【0047】
フィルタ適用後の加速度波形は、(11)式を利用して、(13)式のようにデジタルフィルタ処理を行える。
【0048】
【数9】
【0049】
ここで、df=1/dtである。
フィルタの特性はSにより影響されるが、判別判定までに要する時間に大きく影響するのは、フィルタ処理後に標準偏差をとる際のサンプル数mである。加速度応答の標準偏差の安定性を考慮して、区間P(サンプル数M)を定めれば、(14)式のようにフィルタ前後の標準偏差の比の移動比を計算できる。
【0050】
【数10】
【0051】
この場合は、判定までに要する時間はM×dtとなる。しきい値としてqrtを定め、以下の判定基準で判別する。
qr,p<qrtのとき、P区間内の波形に地震外力有り
qr,p≧qrtのとき、P区間内の波形に地震外力無し
そして、適用した事例を図5に示す。列車振動では高振動数成分が大きいため、フィルタ後の応答が相対的に小さくなっている。ただし、地震でも列車でもない微動区間については(14)式の分子の値を利用して、次に示す応答の大きさによる方法と複合的に判断を行うこととする。
【0052】
(第3の判別手法)
次に、図1に示すステップS6で行われる応答の大きさに基づく判別手法について、詳細に説明する。
図6に示すように、橋梁等の構造物において、列車振動や地震による応答は、微動応答に比して大きい。そこで、応答の大きさの相違を利用して微動応答を判別する方法を示す。
加速度波形時系列の標準偏差は上述した(2)式で求めることができる。しきい値etと定めれば、(15)式、(16)式のように判別できる。
なお、より信頼性を向上するため、判定不能とする区間をeqtで定め、(17)式のように判定不能判定を行う。
【0053】
【数11】
【0054】
交通外力有と判定された場合は、近接する交通外力有りの区間を全て接続して交通(列車)波形を作成し、列車振動解析を行う。図7には、その判別例を示す。
【0055】
(第4の判別手法)
次に、図1に示すステップS8で行われる非定常性平均に基づく判別手法について、詳細に説明する。
つまり、微動波形の利用不可な波形としてドリフトが大きく生じている波形を以下の方法で除去する。
微動加速度波形のP区間の平均値を以下のように求める。
また、∃l,k区間において,ドリフト量を(19)式のように定義する.
【0056】
【数12】
【0057】
しきい値qztを利用して(20)式のように判定を行う。
ただし,qztは、センサの温度特性等から予め決定される値である。
図8に示すドリフト有波形については、利用しないとともに、波形の確認を行いセンサの故障等も含めて対処する。
【0058】
【数13】
【0059】
(第5の判別手法)
次に、図1に示すステップS9で行われる微動応答の大きさに基づく判別手法について、詳細に説明する。
増水や強風時の応答は、図6の列車振動に対しては、図9に示した強風時の応答のように2オーダー程度低い応答になるが、図10のように通常の常時微動に対しては大きな応答が生じる。微動が大きくなればS/N比が大きくなり、また、構造物の特性が明確に表れるようになるため、信頼性の高い解析を行うことが可能となる。
微動加速度波形が得られた場合、連続した時間軸において(2)式を利用して標準偏差を算出する。
基準となる振動レベルをeatとebtを決め、(21)式のような判定を行う。
【0060】
【数14】
【0061】
常時微動判定となれば、常時微動を利用した解析を行う。また、外力有の場合は、増水や強風時の応答解析を行う。しきい値eatはセンサの自己ノイズや量子化の解像度等のシステム性能を考慮して設定を行う。しきい値ebtは、フィールドにおける環境や構造物特性を評価して決める。
【0062】
(第6の判別手法)
次に、図1に示すステップS12で行われる微動スペクトル分析に基づく判別手法について、詳細に説明する。
ステップS9の微動応答の判別手法によって外力有りと判定された波形において、増水応答と強風応答の両方の可能性がある場合は、どちらの外力により微動が増幅されているか判定する方法を用いる。
【0063】
励起される振動数帯が相違する場合は、構造物の特性の評価を行う際には重要となる。図11には、同じ構造物において、増水時応答のスペクトルと強風時応答のスペクトルの比較を示している。このように増水時の応答は高振動数成分が強風時応答に比べて多いことがわかる。これは、粘性が相違することによるものと考えられるため、上述した第2の判別手法であるスペクトル比に基づいた判別方法を適用することが可能となる。
【0064】
次に、上述した加速度センサ応答における外力判別方法の作用について、詳細に説明する。
本実施の形態の外力判別方法では、速度センサにより取得した加速度応答に対して、第1判別手法のピークファクタによりスパイクノイズを除去し、そのスパイクノイズを有しない加速度応答に対して第2判別手法で地震動の振動数成分を判別して、地震外力のみを取り出すことができる。そして、この取り出した特定の地震外力を解析し、評価することが可能となる。さらに、第2判別手法において地震外力のみを取り出しておくことで、地震外力以外の他の加速度応答を分別することができるので、この他の加速度応答に対しても適宜な判別手法を用いて様々な外力に識別することが可能となり、外力特性に合わせて構造物を評価することができる。
【0065】
また、第2判別手法によって分別された地震外力以外の他の加速度応答に対して、第3判別手法により列車振動を取り出し、この特定の交通による外力(列車振動)を解析し、構造物を評価することが可能となる。さらに、第3判別手法によって交通による外力が取り除かれた微動振動に対して、第4判別手法によりドリフトを除去し、その後、ドリフトが取り除かれた加速度応答に対して、第5判別手法により常時微動を取り出し、この特定の常時微動による外力を解析し、構造物を評価することが可能となる。さらにまた、第5判別手法によって外力有りと判断された加速度応答に対して、第6判別手法により増水外力と強風外力を取り出し、この特定の増水外力と強風外力を解析し、構造物を評価することが可能となる。
【0066】
このように、第1判別手法から第6判別手法の順序とすることで、上述した地震外力、列車振動による外力、常時微動による外力、増水外力、および強風外力を確実に判別して、取り出すことができるので、これら個々の外力特性に対して適宜な解析手段を用いて解析することで精度の高い構造物の評価を行うことができる。
【0067】
上述した第1の実施の形態による加速度センサ応答における外力判別方法では、様々な外力を識別して取り出すことで、これらの外力特性に合わせた評価が可能となることから、多機能で且つ優れたモニタリングシステムを構築することができる。
【0068】
以上、本発明による加速度センサ応答における外力判別方法の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態ではステップS2の第1判別手法からステップS12の第6判別手法までを行い、地震外力、列車振動による外力、常時微動による外力、増水外力、および強風外力を取り出して、それら外力を解析し評価可能としているが、第6判別手法まで行うことに制限されることはない。例えば、ステップS6の第3判別手法で列車振動の外力を取り出すところまでの判別を行うものとし、ステップS8(第4判別手法)以降を省略することも可能である。
【0069】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物に作用する外力特性を加速度センサの応答に基づいて判別する外力判別方法であって、
前記構造物に取り付けた前記加速度センサより加速度応答を取得する工程と、
該加速度応答に対してピークファクタに基づく第1判別手法によって、スパイクノイズの発生の有無を判別し、該スパイクノイズが判別された場合にこれを除去する工程と、
前記スパイクノイズを有しない加速度応答に対して振動数成分に基づく第2判別手法によって、地震動の振動数成分を判別し、地震外力を取り出す工程と、
を有することを特徴とする加速度センサ応答における外力判別方法。
【請求項2】
前記第2判別手法では、カットオフ振動数が相違する複数のデジタルフィルタを利用し、標準偏差の比から振動数成分を求めることを特徴とする請求項1に記載の加速度センサ応答における外力判別方法。
【請求項3】
前記第2判別手法によって前記地震外力が取り除かれた他の加速度応答に対して、応答の大きさに基づく第3判別手法によって列車通過時に生じる列車振動と微動振動とを判別し、交通による外力を取り出す工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の加速度センサ応答における外力判別方法。
【請求項4】
前記第3判別手法によって交通による外力が取り除かれた微動振動に対して、非定常性平均に基づく第4判別手法によってドリフトの有無を判別し、該ドリフトを有する場合にこれを除去する工程と、
前記第4判別手法によって前記ドリフトが取り除かれた加速度応答に対して、微動応答の大きさに基づく第5判別手法によって常時微動の有無を判別し、該常時微動を有する場合にこれを取り出すとともに、常時微動が無い場合に増水外力又は強風外力の外力有りと判断する工程と、
を有することを特徴とする請求項3に記載の加速度センサ応答における外力判別方法。
【請求項5】
前記第5判別手法によって外力有りと判断された加速度応答に対して、微動スペクトル比に基づく第6判別手法によって増水時応答特性と強風時応答特性とを判別し、増水外力と強風外力とを分別して取り出す工程を有することを特徴とする請求項4に記載の加速度センサ応答における外力判別方法。
【請求項1】
構造物に作用する外力特性を加速度センサの応答に基づいて判別する外力判別方法であって、
前記構造物に取り付けた前記加速度センサより加速度応答を取得する工程と、
該加速度応答に対してピークファクタに基づく第1判別手法によって、スパイクノイズの発生の有無を判別し、該スパイクノイズが判別された場合にこれを除去する工程と、
前記スパイクノイズを有しない加速度応答に対して振動数成分に基づく第2判別手法によって、地震動の振動数成分を判別し、地震外力を取り出す工程と、
を有することを特徴とする加速度センサ応答における外力判別方法。
【請求項2】
前記第2判別手法では、カットオフ振動数が相違する複数のデジタルフィルタを利用し、標準偏差の比から振動数成分を求めることを特徴とする請求項1に記載の加速度センサ応答における外力判別方法。
【請求項3】
前記第2判別手法によって前記地震外力が取り除かれた他の加速度応答に対して、応答の大きさに基づく第3判別手法によって列車通過時に生じる列車振動と微動振動とを判別し、交通による外力を取り出す工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の加速度センサ応答における外力判別方法。
【請求項4】
前記第3判別手法によって交通による外力が取り除かれた微動振動に対して、非定常性平均に基づく第4判別手法によってドリフトの有無を判別し、該ドリフトを有する場合にこれを除去する工程と、
前記第4判別手法によって前記ドリフトが取り除かれた加速度応答に対して、微動応答の大きさに基づく第5判別手法によって常時微動の有無を判別し、該常時微動を有する場合にこれを取り出すとともに、常時微動が無い場合に増水外力又は強風外力の外力有りと判断する工程と、
を有することを特徴とする請求項3に記載の加速度センサ応答における外力判別方法。
【請求項5】
前記第5判別手法によって外力有りと判断された加速度応答に対して、微動スペクトル比に基づく第6判別手法によって増水時応答特性と強風時応答特性とを判別し、増水外力と強風外力とを分別して取り出す工程を有することを特徴とする請求項4に記載の加速度センサ応答における外力判別方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−242362(P2012−242362A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116108(P2011−116108)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(596001173)株式会社ビーエムシー (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(596001173)株式会社ビーエムシー (4)
【Fターム(参考)】
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