説明

加速度感覚呈示装置、加速度感覚呈示システム、情報処理装置、加速度感覚呈示方法

【課題】頭部に装着するヘッドギア型の装置の重心を任意に変化させることにより、ユーザに加速度感覚を呈示することが可能な、新規かつ改良された加速度感覚呈示装置を提供する。
【解決手段】ユーザの頭部に装着されるフレームと、前記フレームに備えられる少なくとも1以上の錘と、前記フレーム上で前記錘を移動させる駆動部と、を備える加速度感覚呈示装置である。加速度感覚提示装置は、前記駆動部により前記錘を移動させて、装置の重心を変化させることにより、ユーザに加速度感覚を呈示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加速度感覚呈示装置、加速度感覚呈示システム、情報処理装置、加速度感覚呈示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、ゲームセンタや遊園地などの遊技場には、映像上で擬似空間を創り、あたかもその場所にいるような錯覚を人間に与えることにより、疑似体験を提供する体感シミユレーション装置などが設置されている。また、家庭内のゲーム機器においても、コントローラなどに振動を与えることにより、ゲームのキャラクタの動きを体感できるようにする機能などが広く受け入れられている。このように、本当に体験しているかのような、いわゆるバーチャルリアリティ感覚をユーザに提供することにより、ユーザは疑似体験を楽しむことができる。
【0003】
バーチャルリアリティ感覚をユーザに提供する装置としては、例えば、特許文献1に記載された装置がある。特許文献1には、ユーザが座る座席をステージ上に固定し、当該ステージを駆動手段により揺動させることにより座席に座っているユーザも同時に揺動させることができる装置が開示されている。また、特許文献1に記載の装置は、例えば、映像上の乗り物やキャラクタなどの動きに合わせた揺動データを生成し、当該揺動データに基づいてステージを揺動することができる。これにより、当該装置は、ユーザに対して、当該映像上の乗り物やキャラクタなどとして、あたかも本当に体験しているかのようなバーチャルリアリティ感覚を提供することができる。この結果、ユーザは、映像上の乗り物に乗っているような疑似体験や、映像上のキャラクタとして行動しているような疑似体験を楽しむことができる。
【0004】
【特許文献1】特開2000−339487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような装置は、ユーザと座席をステージと同時に揺動させるため、ステージ上にはユーザが座るための座席を固定する必要がある。したがって、装置自体が大規模かつ高価になってしまうという問題が生じてしまう。また、家庭内でこのようなバーチャルリアリティ感覚を提供するには、このようなステージを利用した装置では、スペース、消費電力、安全性、価格などの種々の問題が生じてしまう。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、頭部に装着するヘッドギア型の装置の重心を任意に変化させることにより、ユーザに加速度感覚を呈示することが可能な、新規かつ改良された加速度感覚呈示装置、加速度感覚呈示方法、加速度情報処理装置および加速度感覚呈示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ユーザの頭部に装着されるフレームと、前記フレームに備えられる少なくとも1以上の錘と、前記フレーム上で前記錘を移動させる駆動部と、を備える加速度感覚呈示装置が提供される。
【0008】
係る構成により、加速度感覚呈示装置は、駆動部により、前記フレーム上に備えられる少なくとも1以上の錘を移動させることができる。これにより、加速度感覚呈示装置は、装置自体の重心を変化させることができる。
【0009】
また、前記フレームは、前記ユーザの頭部の少なくとも一部を囲って密着するベースフレームと、前記ベースフレームの任意の径方向である第1方向を軸として回転可能に前記ベースフレームに固定される略円弧状の第1回転フレームと、前記第1方向と直交する第2方向を軸として回転可能に前記ベースフレームに固定される略円弧状の第2回転フレームと、を含んでもよい。この場合、前記駆動部は、前記第1方向を軸として前記第1回転フレームを回転させる第1駆動部と、前記第2方向を軸として前記第2回転フレームを回転させる第2駆動部と、を含むこともできる。
【0010】
また、前記錘は、前記略円弧状の第1回転フレームの頂上部に固定される第1錘と、前記略円弧状の第2回転フレームの頂上部に固定される第2錘と、を含んでもよい。この場合、前記第1駆動部は、前記第1回転フレームを回転させることにより、前記第1錘を移動させ、前記第2駆動部は、前記第2回転フレームを回転させることにより、前記第2錘を移動させることもできる。
【0011】
また、前記第1回転フレームには円弧に沿った長孔の第1摺動孔が備えられ、前記第2回転フレームには円弧に沿った長孔の第2摺動孔が備えられ、前記錘は、前記第1回転フレームおよび前記第2回転フレームが交差する位置において、前記第1摺動孔および前記第2摺動孔に挿入されてもよい。この場合、前記第1駆動部は、前記第1回転フレームを回転させて、前記錘を前記第2摺動孔に沿って摺動させることにより前記錘を移動させ、前記第2駆動部は、前記第2回転フレームを回転させて、前記錘を前記第1摺動孔に沿って摺動させることにより前記錘を移動させることもできる。
【0012】
また、前記フレームは、前記ユーザの頭部の少なくとも一部を囲って密着するベースフレームと、前記ベースフレームの上方に固定される略中空四角形状のスライド補助フレームと、前記ベースフレームの任意の径方向である第1方向を長手方向とし、前記第1方向と直交する第2方向にスライド可能に前記スライド補助フレームに備えられる、長板形状の第1スライドフレームと、前記第2方向を長手方向とし、前記第1方向にスライド可能に前記スライド補助フレームに備えられる、長板形状の第2スライドフレームと、を含んでもよい。この場合、前記駆動部は、前記第2方向に前記第1スライドフレームをスライドさせる第1駆動部と、前記第1方向に前記第2スライドフレームをスライドさせる第2駆動部と、を含むこともできる。
【0013】
前記第1スライドフレームには、前記第1方向を長手方向とする長孔の第1摺動孔が設けられ、前記第2スライドフレームには、前記第2方向を長手方向とする長孔の第2摺動孔が設けられ、前記錘は、前記第1スライドフレームおよび前記第2スライドフレームが交差する位置において、前記第1摺動孔および前記第2摺動孔に挿入されてもよい。この場合、前記第1駆動部は、前記第1スライドフレームをスライドさせて、前記錘を前記第2摺動孔に沿って摺動させることにより前記錘を移動させ、前記第2駆動部は、前記第2スライドフレームをスライドさせて、前記錘を前記第1摺動孔に沿って摺動させることにより前記錘を移動させることもできる。
【0014】
外部機器またはネットワーク上から受信する所定の加速度情報に基づいて、前記駆動部に再生加速度信号を送信する再生回路をさらに備えてもよい。この場合、前記駆動部は、前記再生加速度信号に基づいて、前記錘の移動を制御することもできる。
【0015】
前記加速度感覚呈示装置は、所定の映像を表示するヘッドマウント・ディスプレイをさらに備えてもよい。この場合、前記再生回路はさらに、前記外部機器または前記ネットワーク上から受信する所定の映像信号を、前記ヘッドマウント・ディスプレイへ送信することもできる。
【0016】
前記加速度感覚呈示装置は、所定の音声を出力するスピーカをさらに備えてもよい。この場合、前記再生回路はさらに、前記外部機器または前記ネットワーク上から受信する所定の音声信号を、前記スピーカへ送信することもできる。
【0017】
前記錘の質量mは、前記加速度感覚呈示装置の質量Mの1/2以上としてもよい。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、撮像装置と、加速度感覚呈示装置と、再生回路と、を含む加速度感覚呈示システムが提供される。この場合、撮像装置は、所定の映像を撮像する撮像部と、前記映像と同期して所定の音声を記録する音声記録部と、前記映像および前記音声と同期して所定の加速度データを検出する加速度センサと、を備えることができる。また、加速度感覚呈示装置は、ユーザの頭部に装着されるフレームと、前記フレームに備えられる少なくとも1以上の錘と、前記フレーム上で前記錘を移動させる駆動部と、所定の映像を表示するヘッドマウント・ディスプレイと、所定の音声を出力するスピーカと、を備えることができる。また、再生回路は、前記撮像部により撮像された映像信号と、前記音声記録部により記録された音声信号と、前記加速度センサにより検出された加速度信号と、を同期して、それぞれ前記ヘッドマウント・ディスプレイ、前記スピーカおよび前記駆動部へ送信することができる。
【0019】
また、前記再生回路は、前記加速度センサにより検出された加速度信号に対して、所定のゲインを乗じて再生加速度信号として前記加速度感覚呈示装置に送信してもよい。
【0020】
また、前記再生回路は、前記再生加速度信号の大きさに応じて前記ゲインを適宜変化させてもよい。
【0021】
また、前記撮像装置は、乗用の移動手段、または該移動手段の模型移動装置に備え付けられ、前記映像信号、前記音声信号および前記加速度信号を、ネットワークを介して前記再生回路へ送信してもよい
【0022】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、所定のゲームプログラムを再生するゲーム機器と、加速度感覚呈示装置と、再生回路と、を含む加速度感覚呈示システムが提供される。この場合、加速度感覚呈示装置は、ユーザの頭部に装着されるフレームと、前記フレームに備えられる少なくとも1以上の錘と、前記フレーム上で前記錘を移動させる駆動部と、所定の映像を表示するヘッドマウント・ディスプレイと、所定の音声を出力するスピーカと、を備えることができる。また、再生回路は、前記ゲームプログラムに組み込まれる映像信号と、音声信号と、加速度信号と、を同期して、それぞれ前記ヘッドマウント・ディスプレイ、前記スピーカおよび前記駆動部へ送信することができる。
【0023】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ユーザの頭部に装着されるフレームと、前記フレームに備えられる少なくとも1以上の錘と、前記フレーム上で前記錘を移動させる駆動部と、所定の映像を表示するヘッドマウント・ディスプレイと、所定の音声を出力するスピーカと、を備える加速度感覚呈示装置に対して、前記ヘッドマウント・ディスプレイで表示する映像信号と、前記スピーカで出力する音声信号と、前記駆動部による前記錘の移動を制御する加速度信号と、を同期して、それぞれ前記ヘッドマウント・ディスプレイ、前記スピーカおよび前記駆動部へ送信する再生回路を備える加速度情報処理装置が提供される。
【0024】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ユーザの頭部に装着されるフレームに備えられる少なくとも1以上の錘を、駆動部により前記フレーム上で移動させることにより、前記ユーザに加速度感覚を呈示する加速度感覚呈示方法が提供される。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように本発明によれば、頭部に装着するヘッドギア型の装置の重心を任意に変化させることにより、ユーザに加速度感覚を呈示することが可能な、新規かつ改良された加速度感覚呈示装置、加速度感覚呈示方法、加速度情報処理装置および加速度感覚呈示システムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、説明は以下の順序で行うものとする。
1.加速度感覚呈示装置の概要
2.第1実施形態に係る加速度感覚呈示装置100構成
3.加速度感覚呈示装置100の重心の変化
4.加速度感覚呈示装置100の装着例
5.加速度感覚呈示装置100を利用したシステム
6.再生回路140による加速度情報の処理例
7.変形例
【0027】
(1.加速度感覚呈示装置の概要)
本発明の実施形態における加速度感覚呈示装置は、従来ゲームセンタや遊技場などで設置される、大規模かつ高価なステージを利用した装置と異なり、ヘッドギア型の装置のみにより、ユーザに加速度感覚を呈示することを特徴の1つとしている。そこで、まず、本発明の実施形態の詳細を説明するに当たり、本発明の実施形態における加速度感覚呈示装置の概要について説明する。
【0028】
本発明の実施形態における加速度感覚呈示装置は、ヘッドギア型の装置であり、ユーザは本装置を頭部に装着することにより、バーチャルリアリティを体感することができる。加速度感覚呈示装置には、移動可能な所定の重さの錘が備えられている。したがって、加速度感覚呈示装置は、この錘の位置を移動させることにより、加速度感覚呈示装置自体の重心を変化させることができる。この結果、加速度感覚呈示装置を装着するユーザの頭部には、所定の方向に所定の力が加えられることとなる。すなわち、加速度感覚呈示装置は、錘の位置を移動させて装置自体の重心を変化させ、ユーザに対して、所定の方向に所定の力を与えることにより、所定の加速度感覚をユーザに提供することができる。加速度感覚呈示装置は、例えば、ゲームなどにおける画面上の乗り物やキャラクタの動きに合わせて、所定の位置に錘を移動させることにより、任意の位置に加速度呈示装置自体の重心を変化させることができる。すなわち、加速度感覚呈示装置は、ゲームなどにおける画面上の乗り物やキャラクタの動きに合わせて、ユーザに対して任意の加速度感覚を呈示することができる。以下に、このような特徴を有する本発明の実施形態における加速度感覚呈示装置の詳細について説明する。
【0029】
(2.第1実施形態に係る加速度感覚呈示装置100の構成)
まず、本発明の第1実施形態に係る加速度感覚呈示装置100の全体構成について説明する。図1は、第1実施形態に係る加速度感覚呈示装置100の全体構成の概略を示す説明図である。
【0030】
図1に示すように、加速度感覚呈示装置100は、人間の頭部に装着するヘッドギア型の装置である。加速度感覚呈示装置100は主に、第1回転フレーム102、第2回転フレーム104およびベースフレーム106からなるフレーム116と、第1錘108と、第2錘110と、第1駆動部112と、第2駆動部114と、を含んで構成される。以下これらの各構成部について説明する。
【0031】
フレーム116は主に、図1に示すように、第1回転フレーム102と、第2回転フレーム104と、ベースフレーム106と、を含んで構成される。ベースフレーム106は、人間の頭部を囲うように略円形状に形成される。また、ベースフレーム106には、第1回転フレーム103を回転可能に固定する1対の第1固定部118が同軸上に形成される。また、ベースフレーム106には、第2回転フレーム104を回転可能に固定する1対の第2固定部120が同軸上に形成される。なお、本実施形態においては、1対の第1固定部118が形成される軸は、装着者の前後方向であり、以下の説明においてX軸と称する。また、1対の第2個底部120が形成される軸は、X軸と直交する装着者の左右方向であり以下の説明においてY軸と称する。なお、X軸は、本発明の第1方向に相当し、Y軸は、本発明の第2方向に相当するものである。もちろん、X軸およびY軸は、本実施形態を説明する上での一例であり、これらに限定されるものではない。すなわち、第1方向は、ベースフレーム106の任意の径方向に設定することができ、第2方向は、第1方向と直行する方向であればよい。
【0032】
第1回転フレーム102は、人間の頭部を覆うように円弧状に形成される。また、第1回転フレーム102は、ベースフレーム106のX軸上に形成される第1固定部118に回転可能に固定され、後述する第1駆動部112によってX軸を中心に回転することができる。第1回転フレーム102の頂上部の一側には、所定の重さの第1錘108が固定されている。したがって、第1回転フレーム102が、第1駆動部112によってX軸を中心に回転されることにより、第1回転フレーム102と固定された第1錘108も移動することとなる。この結果、フレーム116全体の重心が変化することとなる。なお、図1に示す加速度感覚呈示装置100の例では、第1錘108は、第1回転フレーム102の頂上部の下面に固定されているが、これに限定されるものではなく、第1回転フレーム102の頂上部の上面に固定されることもできる。
【0033】
第2回転フレーム104は、人間の頭部を覆うように円弧状に形成される。また、第2回転フレーム104は、ベースフレーム106のY軸上に形成される第2固定部120に回転可能に固定され、後述する第2駆動部112によってY軸を中心に回転することができる。第2回転フレーム104の頂上部の一側には、所定の重さの第2錘110が固定されている。したがって、第2回転フレーム104が、第2駆動部114によってY軸を中心に回転されることにより、第2回転フレーム104と固定された第2錘110も移動することとなる。この結果、フレーム116全体の重心が変化することとなる。なお、図1に示す加速度感覚呈示装置100の例では、第2錘110は、第2回転フレーム104の頂上部の上面に固定されているが、これに限定されるものではなく、第2回転フレーム104の頂上部の下面に固定されることもできる。
【0034】
フレーム116は、加速度感覚呈示装置100自体の軽量化を図るために、例えばプラスチックなどを射出成形することにより形成されることが望ましいが、これに限定されるものではなく、例えば、金属板などから形成されることもできる。すなわち、本実施形態の特徴の1つは、錘を移動させることにより装着者に加速度感覚を呈示することであり、フレーム116は特定の材質に限定されるものではない。同様に、第1錘108および第2錘110も、所定の重さの物質であれば、特定の材料の錘に制限されるものではない。また、図1に示したフレーム116、第1錘108および第2錘110の形状は、本実施形態を説明する上での一例であり、この形状に限定されるものではない。すなわち、フレーム116の形状は、例えば、装着者の頭部形状や、フレーム116の材質などによって適宜変更されることもできる。また、図1に示した以外の構成部を備えることも当然に可能である。例えば、フレーム116は、装着者の頭部を保護するためのシートや別のフレームを備えることなどもできる。
【0035】
次に、第1駆動部112は、第1固定部118に回転可能に固定されている第1回転フレーム102を、X軸を中心に回転させる駆動モータである。第1駆動部112としては、入力される第1駆動信号に応じて、所定の角度に回転を制御するサーボモータを利用することができる。なお、本実施形態に係る加速度感覚呈示装置100においては、第1駆動部118は、入力される第1駆動信号に応じて任意の角度に回転を制御することができるものであれば、特定のモータに限定されるものではない。第1駆動部112は、例えば、ゲームのソフトウェアにあらかじめプログラムされた信号、記録媒体に記録されている信号、ネットワークを介して通信取得した信号、など種々の信号に応じて、回転を制御することができる。本実施形態に係る第1駆動部112は、このような種々の信号に応じて、X軸を中心に第1回転フレーム102を任意の角度に回転するように制御することができる。
【0036】
第2駆動部114は、第2固定部120に回転可能に固定されている第2回転フレーム104を、Y軸を中心に回転させる駆動モータである。第2駆動部114としても、第1駆動部112と同様に、入力される第2駆動信号に応じて、所定の角度に回転を制御するサーボモータを利用することができる。なお、本実施形態に係る加速度感覚呈示装置100においては、第2駆動部120は、入力される第2駆動信号に応じて任意の角度に回転を制御することができるものであれば、特定のモータに限定されるものではない。第2駆動部114は、例えば、ゲームのソフトウェアにあらかじめプログラムされた信号、記録媒体に記録されている信号、ネットワークを介して通信取得した信号、など種々の信号に応じて、回転を制御することができる。本実施形態に係る第2駆動部114は、このような種々の信号に応じて、Y軸を中心に第2回転フレーム104を任意の角度に回転するように制御することができる。
【0037】
図2は、第1駆動部112によって第1回転フレーム102がX軸を中心に回転される例を示す概念図である。図2を参照すると、第1回転フレーム102は、1対の第1固定部118が備えられるX軸を中心に回転されていることがわかる。なお、図2においては、第1回転フレーム102がX軸を中心に回転される例のみを示すが、第2回転フレーム104も同様に、1対の第2固定部120が備えられるY軸を中心に回転されることができる。これにより、第1回転フレーム102に備えられる第1錘108と、第2回転フレーム104に備えられる第2錘110と、が移動されることとなり、加速度感覚呈示装置100の重心が変化することとなる。
【0038】
(3.加速度感覚呈示装置100の重心の変化)
上述したように、第1錘108は、第1駆動部112によって第1回転フレーム102が回転されることにより移動し、第2錘110は、第2駆動部114によって第2回転フレーム104が回転されることにより移動する。この結果、加速度感覚呈示装置100の重心が変化することとなる。この場合における、加速度感覚呈示装置100の重心の変化について以下説明する。
【0039】
図3は、加速度感覚呈示装置100において、所定の位置に第1錘108および第2錘110が移動した場合における、加速度感覚呈示装置100の重心を求めるための一例を示す概念図である。図3に示す例では、装着者の頭部130に加速度感覚呈示装置100が装着されている場合を仮定している。したがって、図3に示すように、装着者の高さ方向をZ軸と仮定すると、ベースフレーム106の中心部を中心とするXYZ空間を定義することができる。
【0040】
なお、X軸を中心に回転可能な第1回転フレーム102は、半径Rの円弧状に形成され、第1回転フレーム102の頂上部には第1錘108が固定されている。したがって、第1駆動部112によって第1回転フレーム102がX軸を中心に回転されることにより、第1錘108は、中心から半径RのY−Z平面を回転することとなる。図3に示す例では、第1錘108は、Y−Z平面において、Z軸からθyだけ回転した位置にある。
【0041】
一方、Y軸を中心に回転可能な第2回転フレーム104は、半径Rの円弧状に形成され、第2回転フレーム104の頂上部には第2錘110が固定されている。したがって、第2駆動部114によって第2回転フレーム104がY軸を中心に回転されることにより、第2錘110は、中心から半径RのX−Z平面を回転することとなる。図3に示す例では、第2錘110は、X−Z平面において、Z軸からθxだけ回転した位置にある。
【0042】
ここで、図3に示す例における、加速度感覚呈示装置100の重心rは、下式のようにして求めることができる。なお、中心から半径RのX−Z平面を回転する第2錘110の質量をm、中心から半径RのY−Z平面を回転する第1錘108の質量をm、第1錘108および第2錘110を除く加速度感覚呈示装置100の質量をFと仮定する。
【0043】
【数1】

【0044】
ここで、Mは、加速度感覚呈示装置100の全体の質量であり、M=F+m+mで求められる。ここで、第1錘108の質量mと第2錘110の質量mを同じ質量mに設定した場合(m=m=m)、加速度感覚呈示装置100の重心rは以下の式で表すことができる。
【数2】

【0045】
上記式(2)からもわかるように、加速度感覚呈示装置100の重心rは、θxおよびθyに応じて変化している。すなわち、X−Z平面における第2回転フレーム110の回転角度θxと、Y−Z平面における第1回転フレーム108の回転角度θyと、を任意に変化させることにより、加速度感覚呈示装置100の重心rを任意に変化させることができる。例えば、θx=θy=0、すなわち、第1回転フレーム102および第2回転フレーム104が回転されていない場合には、Z軸方向に2mのトルクが働くこととなる。一方、θxおよびθyが90°に近づくにつれ、Z方向へのトルクが小さくなることがわかる。このように、本実施形態に係る加速度感覚呈示装置100は、θxおよびθyを変化させることにより、任意に加速度感覚呈示装置100の重心rを変化させることができる。この結果、本実施形態に係る加速度感覚呈示装置100は、装着者の頭部に任意のトルクを与えることにより、任意の加速度感覚を装着者に呈示することができる。すなわち、本実施形態に係る加速度感覚呈示装置100は、頭部に装着するヘッドギア型の装置の重心を任意に変化させることにより、ユーザに対して加速度感覚を呈示することが可能である。
【0046】
また、加速度感覚呈示装置100の重心位置が装着者の頭部中心から離れるほど、装着者の頭部中心に対するトルクが大きくなり、装着者に加速度感覚をより効果的に呈示することができる。ここで、上記式(2)から、m/Mの値が大きいほど重心の位置が中心から遠くなることがわかる。したがって、m/Mの値が1に近くのなるように、第1錘108および第2錘110の質量を設定することが好ましい。本実施形態に係る加速度感覚呈示装置100では、m/Mの値を少なくとも0.5以上に設定することが好ましいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0047】
(4.加速度感覚呈示装置100の装着例)
次に、上記のように構成される加速度感覚呈示装置100のユーザへの装着例について、図4、5を参照にして説明する。図4は、本実施形態に係る加速度感覚呈示装置100の装着例の1つを説明する概念図である。
【0048】
図4に示すように、装着者130は、頭部に加速度感覚呈示装置100を装着することができる。これにより、加速度感覚呈示装置100は、例えば、ディスプレイ132に表示される映像内容に同期して装着者130に加速度感覚を呈示することができる。すなわち、ディスプレイ132に表示される映像内容に同期して、第1駆動部112および第2駆動部114が、第1回転フレーム102および第2回転フレーム104を回転させるための加速度信号を受信する。この結果加速度感覚呈示装置100は、ディスプレイの映像内容と同期して重心を変化させることにより、装着者130に対して加速度感覚を呈示することができる。すなわち、装着者130は、ディスプレイ132に表示されている映像およびスピーカ134から出力される音声と共に、映像内容と同期した加速度感覚を体験することができ、バーチャルリアリティ感覚を楽しむことができる。なお、図4に示した例は、本実施形態を説明する上での一例であり、これに限定されるものではない。図4に示したディスプレイ132およびスピーカ134と異なり、例えば、ゲームセンタや遊園地などに設置されるゲーム機器、映画館などにおいても、ディスプレイに表示される映像と同期して装着者130に加速度感覚を呈示することも可能である。
【0049】
また、加速度感覚呈示装置100の変形例として、ヘッドマウント・ディスプレイ136と、スピーカ138と、をさらに備えることもできる。このときの装着者130への加速度感覚呈示装置100の装着例を示す概念図を図5に示す。
【0050】
図5に示すように、加速度感覚呈示装置100は、X軸の装置前側にヘッドマウント・ディスプレイ136を備え、Y軸の装置左右に1対のスピーカ138を備えることもできる。この場合、ヘッドマウント・ディスプレイ136は、装着者130の目の前に位置し、1対のスピーカ138は、装着者130の両耳近傍に位置することとなる。したがって、ヘッドマウント・ディスプレイ136に映像信号が供給されることにより、装着者130は、ヘッドマウント・ディスプレイ136に表示される映像を見ることができる。また、スピーカ138に音声信号が供給されることにより、装着者130は、スピーカ138から出力される音声を聞くことができる。したがって、加速度感覚呈示装置100は、装着者130に対して、映像、音声および加速度感覚を合わせて提供することができる。この結果、従来のステージを利用した装置などとは異なり、ユーザは、小型の加速度感覚呈示装置100を用いて、家庭などでもバーチャルリアリティを体感することが可能となる。
【0051】
(5.加速度呈示装置100を利用したシステム)
次に、上記のように構成される加速度感覚呈示装置100を利用したシステムの一例について説明する。図6は、本実施形態に係る加速度感覚呈示装置100を利用したシステムの一例を示す説明図である。なお、図6では、ヘッドマウント・ディスプレイ136およびスピーカ138を備える加速度感覚呈示装置100を利用した場合の一例である。
【0052】
図6に示すように、加速度感覚呈示装置100は、例えば、情報処理装置、情報媒体、ネットワークなどから映像信号、音声信号、加速度信号などを、再生回路140を介して獲得することができる。ここで、再生回路140とは、例えば、インターネット160を介して受信した映像、音声、加速度信号などを、例えば、デコード処理、同期処理、増幅処理など各種処理をした後に、加速度感覚呈示装置100に当該信号を送信するための回路である。また、再生回路140は、例えば、ゲームのソフトウェアプログラムや、DVDなどの記録媒体に記録された映像、音声、加速度信号などを加速度感覚呈示装置100に送信することもできる。再生回路140は、加速度感覚呈示装置100に備えることができる。また、再生回路140は、例えば、DVDレコーダ、ハードディスクレコーダ、ゲーム機器などの情報処理装置に備えられることもできる。
【0053】
再生回路140は、例えば、情報処理装置やネットワークを介して受信した映像信号を、加速度感覚呈示装置100のヘッドマウント・ディスプレイ136へ送信することができる。これにより、加速度感覚呈示装置100は、当該映像をヘッドマウント・ディスプレイ136に表示することができる。また、再生回路140は、例えば、情報処理装置やネットワークを介して受信した音声信号を、加速度感覚呈示装置100のスピーカ138へ送信することができる。これにより、加速度感覚呈示装置100は、当該音声をスピーカ138から出力することができる。さらに、再生回路140は、例えば、情報処理装置やネットワークを介して受信した加速度信号に基づいて、第1回転フレーム102を回転させるために必要な第1駆動信号を第1駆動部112へ送信し、第2回転フレーム104を回転させるために必要な第2駆動信号を第2駆動部114へ送信することができる。これにより、加速度感覚呈示装置100の第1駆動部112は、第1駆動信号に基づいて第1回転フレームを回転させることができ、第2駆動部114は、第2駆動信号に基づいて第2回転フレームを回転させることができる。すなわち、加速度感覚呈示装置100は、再生回路140を介して得られる映像信号、音声信号および加速度信号に基づいて、装着者130に対して、映像、音声および加速度感覚を同期させて提供することができる。これにより、装着者130は、映像、音声および加速度感覚を同時に体験することができるバーチャルリアリティ感覚を楽しむことができる。
【0054】
例えば、図6に示す例では、装着者130は、遠隔地で走行中の自動車154からの各種信号情報に基づいて、当該自動車154の運転者と同様の感覚を疑似体験することができる。具体的には、自動車154に、自動車154の前方の風景を撮像する撮像装置166を備えることにより実現される。ここで、撮像装置166は、例えば、自動車154の進行方向を撮像して映像信号として記録する撮像部と、スピーカなどを介して入力される音声を音声信号として記録する音声記録部と、を備えている。さらに、撮像装置166には、加速度センサ162が備えられている。加速度センサ162は、自動車154の動きによって発生する重力加速度を測定するためのセンサであり、例えば、ピエゾ抵抗型、静電容量型、熱検知型などのMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)センサや、圧電式、動電式などの加速度センサを用いることができる。もちろん、これらは加速度センサ162の一例であり、自動車154の動きによって発生する重力加速度を測定することができるセンサであれば、特定の方式のセンサに限定されるものではない。加速度センサ162は、例えば、自動車154の前後方向をX方向、自動車154の左右方向をY方向、自動車の上方向をZ方向として、X,Y,Zの加速ベクトルの合計から、地面に対して運転者が受ける加速度ベクトルを検出することができる。なお、加速度センサ162は、撮像装置166とは別個独立して、自動車154内に設置されてもよい。
【0055】
上記のように、自動車154の撮像装置166により撮像された映像信号と音声信号、加速度センサ162により検出された加速度信号は、自動車154に備えられる送信機158から再生回路140へ送信される。なお、図6に示す例では、再生回路140は、遠隔地の自動車154から受信機156やインターネット160などを介して、各種信号を受信することができる。もちろん、図6に示した例は本実施形態を説明する上での一例であり、再生回路140は、例えば、有線接続により各種信号を直接受信することなども可能である。
【0056】
また、本実施形態に係る加速度感覚呈示装置100は、DVDレコーダ、ハードディスクレコーダなどの映像再生機器152から各種信号を、再生回路140を介して受信することにより、装着者130にバーチャルリアリティ感覚を提供することも可能である。
【0057】
図6に示す例では、再生回路140は、映像再生機器152から映像信号、音声信号、加速度信号などを受信して、加速度感覚呈示装置100に送信することもできる。例えば、自動車154内の撮像装置166や加速度センサ162によって検出等された各種データは、撮像データ168、音声データ170および加速度データ172として、同期してDVD、SDカード、メモリースティック(登録商標)、テープなどの記録媒体164に記録されることができる。したがって、映像再生機器152は、記録媒体164に記録されている映像データ168、音声データ170および加速度データ172などを、再生回路140を介して加速度感覚呈示装置100に送信することができる。なお、この場合、再生回路140は、映像再生機器152に備えられることもでき、または加速度感覚呈示装置100に備えられることもできる。
【0058】
これにより、加速度感覚呈示装置100は、記録媒体164に記録されている各種データに基づいて、ヘッドマウント・ディスプレイ136に映像を表示し、スピーカ138から音声を出力し、加速度感覚呈示装置100の重心を変化させることにより、装着者130に加速度感覚を呈示することができる。この結果、装着者130は、自動車154の運転者が見た風景、聞いた音声、体験した感覚などを、リアルタイムではなく、後から疑似的に体験することも可能である。
【0059】
また、本実施形態に係る加速度感覚呈示装置100は、ゲーム機器150から各種信号を、再生回路140を介して受信することにより、装着者130にバーチャルリアリティ感覚を提供することも可能である。
【0060】
図6に示す例では、再生回路140は、ゲーム機器150から映像信号、音声信号、加速度信号などを受信して、加速度感覚呈示装置100に送信することもできる。例えば、ゲーム機器150において作動するゲームのソフトウェアのプログラムには、あらかじめ、例えば、キャラクタ、乗り物などの動きに合わせた加速度情報を組み込んでおくことも可能である。これにより、ゲーム機器150は、ゲームのソフトウェアのプログラムに組み込まれている映像信号、音声信号および加速度信号などを、再生回路140を介して加速度感覚呈示装置100に送信することができる。なお、この場合、再生回路140は、ゲーム機器150に備えられることもでき、または加速度感覚呈示装置100に備えられることもできる。
【0061】
これにより、加速度感覚呈示装置100は、ゲーム機器150で作動するソフトウェアのプログラムに組み込まれている各種データに基づいて、ヘッドマウント・ディスプレイ136に映像を表示し、スピーカ138から音声を出力し、加速度感覚呈示装置100の重心を変化させることにより、装着者130に加速度感覚を呈示することができる。この結果、装着者130は、ゲームのキャラクタや乗り物などの動きに対応したバーチャルリアリティ感覚を楽しむことができる。
【0062】
以上、本実施形態に係る加速度感覚呈示装置100を利用したシステムの一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図6に示した自動車154の代わりに、ジェットコースター、鉄道、航空機、ヘリコプタ、などの各種乗用の移動手段を利用することも当然に可能である。また、このような移動手段の模型装置、例えばプラモデルなどに撮像装置166や加速度センサ166を搭載することによっても実現することができる。
【0063】
また、各種信号を処理した後にヘッドマウント・ディスプレイ136、スピーカ138、第1駆動部112および第2駆動部114に各種信号を送信する再生回路140は、必ずしも加速度感覚呈示装置100に備えられる必要はない。例えば、映像再生機器152やゲーム機器150などの情報処理装置に備えられることや、再生回路140を備える独立した情報処理装置であってもよい。
【0064】
また、図6に示す例では、ヘッドマウント・ディスプレイ136およびスピーカ138を備える加速度感覚呈示装置100について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、加速度感覚呈示装置100は、ヘッドマウント・ディスプレイ36およびスピーカ138を備えなくても良い。この場合、自動車154、ゲーム機器150、映像再生機器152から出力される映像信号は直接テレビなどのディスプレイに送信され、音声信号はテレビまたは別途設置されたスピーカなどに送信される。したがって、加速度感覚呈示装置100は、再生回路140を介して、加速度信号のみを受信することもできる。
【0065】
(6.再生回路140による加速度情報の処理例)
上記のように構成される加速度感覚呈示装置100を利用することにより、装着者130は、映像に合わせた加速度感覚を受けて、バーチャルリアリティを体験することができる。しかしながら、通常バーチャルリアリティを体験する場合には、「慣れ」による体感の鈍りという問題が生じる場合がある。すなわち、装着者130は、大きな加速度を体感した後には小さな加速度を体感し難くなる傾向や、一定の小さな加速度を継続的に体感している場合には時間の経過につれて体感が鈍るといった傾向がある。そこで、本実施形態に係る再生回路140は、ゲーム機器140や映像再生機器150などの情報処理装置やネットワークを介して受信した加速度信号に対して、所定のAGC(Automatic Gain Ccontrol)を施すことができる。具体的には、再生回路140は、受信した加速度信号が大きい場合には装着者130に提供する加速度を減少させ、受信した加速度信号が小さい場合には装着者130に提供する加速度を増加させる。以下、本実施形態において、再生回路140が行うことができる加速度信号のAGCの一例について説明する。
【0066】
図7は、再生回路140による加速度信号のAGCの一例を示す説明図である。なお、図7において、Aは、例えば、図6の加速度センサ162などから再生回路140に入力されたX軸に関する加速度信号であり、Aは、再生回路140によってAをAGC処理した後に第1駆動部112へ送信される再生加速度信号(第1駆動信号)である。したがって、第1駆動部112へ送信される再生加速度信号(第1駆動信号)Aは、以下の式(3)で表される。なお、以下の説明においては、X軸に関する所定の加速度信号AについてAGCを行い再生加速度信号(第1駆動信号)として第1駆動部112へ送信する例について説明するが、Y軸に関する所定の加速度信号についても同様に、AGCが行われた後に再生加速度信号(第2駆動信号)として第2駆動部114へ送信される。
【0067】
【数3】

【0068】
なお、Gは、AGC処理によりAに乗算されるゲイン値であり、kは、離散的な時刻を意味する。ここで、AGC処理に用いる初期ゲイン値をG、最大ゲイン値をGmax、再生加速度信号(第1駆動信号)Aが所定のゲイン増加閾値Ath未満の場合のゲイン増加係数をα(>0)、再生加速度信号Aが所定の最大再生加速度Alimを超える場合のゲイン減少係数をβ(>0)とすると、ゲインGは、再生回路140から加速度感覚呈示装置100に送信された再生加速度信号(第1駆動信号)Aの変化に伴って、以下の式(4)〜(8)に基づいて更新されていくこととなる。
【0069】
【数4】

【0070】
ここで、G(k)は、AGC処理にてA(k)に乗算するゲインG(k)を算出するための暫定値であり、加速度感覚呈示装置100に送信された1つ前の再生加速度信号(第1駆動信号)A(k−1)の値に基づいて、上記式(4)〜(6)により算出される。すなわち、加速度感覚呈示装置100に送信された1つ前の再生加速度信号(第1駆動信号)A(k−1)が、あらかじめ設定された所定のゲイン増加閾値Ath未満である場合には、G(k)は、式(4)により算出される。すなわち、暫定ゲイン値G(k)は、1つ前のゲインG(k−1)と比較して、ゲイン増加係数αだけ増加した値となる。すなわち、再生加速度信号(第1駆動信号)Aがゲイン増加閾値Ath未満である限りは、暫定ゲイン値Gは、時間の経過に伴ってαずつ増加していくこととなる。
【0071】
一方、加速度感覚呈示装置100に送信された1つ前の再生加速度信号(第1駆動信号)A(k−1)が、あらかじめ設定された所定のゲイン増加閾値Ath以上であるが、あらかじめ設定され所定の最大加速度Alim未満である場合には、G(k)は、式(5)により算出される。すなわち、暫定ゲイン値G(k)は、1つ前のゲインG(k−1)と同一の値となる。すなわち、再生加速度信号(第1駆動信号)Aがゲイン増加閾値Ath以上、最大加速度Alim未満である限りは、暫定ゲイン値Gは、時間が経過しても常に一定の値となる。
【0072】
さらに、加速度感覚呈示装置100に送信された1つ前の再生加速度信号(第1駆動信号)A(k−1)が、あらかじめ設定された所定の最大加速度Alim以上である場合には、G(k)は、式(6)により算出される。すなわち、暫定ゲイン値G(k)は、1つ前のゲインG(k−1)と比較して、ゲイン増加係数βだけ減少した値となる。すなわち、再生加速度信号(第1駆動信号)Aが最大加速度Alim以上である限りは、暫定ゲイン値Gは、時間の経過に伴ってβずつ減少していくこととなる。
【0073】
ここで、上記式(4)により算出された暫定ゲイン値G(k)は、上述したように、再生加速度信号(第1駆動信号)Aがゲイン増加閾値Ath未満である限りは増加していくこととなる。この結果、加速度センサ162が検出した実際の加速度とは大きく異なる加速度感覚を装着者130に提供してしまうおそれがある。したがって、本実施形態に係る再生回路140は、あらかじめ設定された所定の最大ゲイン値Gmaxをゲイン値の最大値とすることができる。したがって、再生回路140は、上記式(4)〜(6)で算出された暫定ゲイン値G(k)と、最大ゲイン値Gmaxに基づいて、式(7)または(8)によりゲイン値G(k)を算出することができる。
【0074】
例えば、式(4)〜(6)で算出された暫定ゲイン値G(k)が最大ゲイン値Gmax以上である場合には、G(k)は式(7)により算出される。すなわち、ゲインG(k)は、最大ゲイン値Gmaxと同一の値となる。一方、式(4)〜(6)で算出された暫定ゲイン値G(k)が最大ゲイン値Gmax未満である場合には、G(k)は式(8)により算出される。すなわち、ゲインG(k)は、式(4)〜(6)で算出された暫定ゲイン値G(k)と同一の値となる。
【0075】
このように、再生回路140は、再生加速度Aが小さいときにはゲイン値Gを増加させ、再生加速度Aが大きいときにはゲイン値Gを減少させていくことができる。したがって、再生回路140は、再生加速度Aが小さいときには通常よりも大きな再生加速度信号(第1駆動信号)を第1駆動部112へ送信し、再生加速度Aが大きいときには通常よりも小さい再生加速度信号(第1駆動信号)を第1駆動部112へ送信することができる。この結果、装着者130は、例えば、実際には小さい加速度が続く場合においても、慣れによる体感の鈍りを感じることがなくなり、加速度の変化をより効果的に体感することができる。
【0076】
次に、図7を参照にして、このようにして行われる再生回路140によるAGCの処理の一例を説明する。
【0077】
図7の(a)区間においては、再生加速度Aは、ゲイン増加閾値Athの値よりも小さい。したがって、ゲイン値Gは、上記式(4)および(8)に基づいて算出され、ゲイン増加係数αだけ増加していくこととなる。次に、(b)区間においては、再生加速度Aは、ゲイン増加閾値Athの値よりも大きく、最大加速度Alimよりも小さい。したがって、ゲイン値Gは、上記式(5)および(8)に基づいて算出され、一定値に固定されることとなる。すなわち、(b)区間においては、ゲイン値Gは、(b)区間開始当初のゲイン値のまま変化しない。
【0078】
その後、再び、再生加速度Aが、ゲイン増加閾値Athの値よりも小さくなると、ゲイン値Gは、上記式(4)および(8)に基づいて、ゲイン増加係数αに応じて増加していくこととなる。しかしながら、上述したように、式(4)により算出される暫定ゲイン値Gが所定の最大ゲイン値Gmax以上である場合には、式(7)により、ゲイン値Gは、最大ゲイン値Gmaxで維持される。すなわち、図7に示す例では、(c)区間においては、ゲイン値Gはゲイン増加係数αに応じて増加しているが、最大ゲイン値Gmaxに到達した後の(d)区間においては、ゲイン値Gは最大ゲイン値Gmaxで一定となる。このように、所定の最大ゲイン値Gmaxを設定することにより、装着者130に対して、過度の加速度を提供することを防止することができる。
【0079】
次に、図7の区間(e)においては、再生加速度Aは、最大加速度Alimの値以上になっている。したがって、ゲイン値Gは、上記式(6)および(8)に基づいて算出され、ゲイン減少係数βだけ減少していくこととなる。このように、再生加速度Aが大きい場合には、ゲイン値Gを減少させていくことにより、装着者130の慣れによる体感の鈍りを防止することができる。
【0080】
同様にして、その後区間(f)においては、再生加速度Aは、ゲイン増加閾値Ath以上、最大加速度Alim未満であるため、ゲインGは一定値となる。また、区間(g)においては、再生加速度Aは、ゲイン増加閾値Ath未満であるため、ゲインGは増加することとなる。さらに、区間(h)においては、再び、再生加速度Aが、ゲイン増加閾値Ath以上、最大加速度Alim未満となっているため、ゲインGは一定値となる。
【0081】
このように、再生回路140は、実際に入力される加速度信号に対して、所定の基準によりAGC処理を行うことができる。また、再生回路140は、例えば、小さい加速度信号が入力された場合には、大きいゲイン値に基づいてAGC処理をし、大きい加速度信号が入力された場合には、小さいゲイン値に基づいてAGC処理をすることができる。この結果、本実施形態に係る加速度感覚呈示装置100は、再生回路140によりAGC処理された再生加速度信号に基づいて、装着者130に加速度感覚を呈示することができる。したがって、装着者130は、慣れによる体感の鈍りを感じることなく、バーチャルリアリティを体験することができる。
【0082】
上述したように、本実施形態に係る加速度感覚呈示装置100は、所定の重さの第1錘108を備える第1回転フレーム102と、所定の重さの第2錘110を備える第2回転フレーム104を備えることができる。また、加速度感覚呈示装置100は、第1駆動部112を備えることにより、X軸を中心に第1回転フレーム102を回転させ、第2駆動部114を備えることにより、Y軸を中心に第2回転フレーム104を回転させることができる。これにより、第1錘108または/および第2錘110が移動して、加速度感覚呈示装置100の重心が変化することとなる。したがって、加速度感覚呈示装置100は、加速度感覚呈示装置100の重心を変化させることにより、装着者130に対して加速度感覚を呈示することができる。さらに、加速度感覚呈示装置100は、再生回路140から入力される再生加速度信号に基づいて、第1駆動部112および第2駆動部114による第1回転フレーム102および第2回転フレーム104の回転角度を任意に制御することができる。この結果、加速度感覚呈示装置100は、例えば、映像や音声などに同期した任意の加速度感覚を装着者130に対して呈示することができる。以上説明したように、本実施形態に係る加速度感覚呈示装置100は、装着者130の頭部に装着するヘッドギア型の装置の重心を任意に変化させることにより、ユーザに加速度感覚を呈示することが可能である。
【0083】
(7.変形例)
上述した加速度感覚呈示装置100は、上記実施形態を説明する上での一例であり、加速度感覚呈示装置100の形状や構成は、図1に示した例に限定されるものではない。すなわち、本実施形態に係る加速度感覚呈示装置は、錘の位置を任意に変化させることにより、装置自体の重心を変化させることができる形状、構造であれば、特定の構造に限定されるものではない。以下に、加速度感覚呈示装置の変形例について説明する。
【0084】
(変形例1)
図8は、変形例1の加速度感覚呈示装置200の外観構成を示す説明図である。図8に示すように、加速度感覚呈示装置200は、上述した加速度感覚呈示装置100と同様に、第1回転フレーム202、第2回転フレーム204およびベースフレーム206からなるフレーム216と、第1駆動部212と、第2駆動部214と、を含んで構成される。また、ベースフレーム206には、X軸を中心にして第1回転フレーム202を回転可能に固定する1対の第1固定部218が同軸上に形成される。また、ベースフレーム206には、Y軸を中心にして第2回転フレーム204を回転可能に固定する1対の第2固定部220が同軸上に形成される。
【0085】
ここで、変形例1の第1回転フレーム202および第2回転フレーム204は、上記第1実施形態と異なり、各フレームの長手方向にそれぞれ第1摺動孔240および第2摺動孔242が設けられている。また、図8に示すように、第1回転フレーム202と第2回転フレーム204とが交差する位置において、錘244が、第1摺動孔240および第2摺動孔242に挿入されている。すなわち、第1回転フレーム202および第2回転フレーム204は、錘244により連結されている。
【0086】
第1駆動部212および第2駆動部214は、上述した実施形態と同様に、再生回路140から受信する第1駆動信号および第2駆動信号に基づいて、第1回転フレーム202および第2回転フレーム204を回転させる。
【0087】
変形例1の加速度感覚呈示装置200では、例えば、第1駆動部212により第1回転フレーム202のみが回転させられると、錘244は、第2回転フレーム204の第2摺動孔242に沿って摺動することとなる。一方、例えば、第2駆動部214により第2回転フレーム204のみが回転させられると、錘244は、第1回転フレーム202の第1摺動孔240に沿って摺動することとなる。このように、変形例1の加速度感覚呈示装置200は、1つの錘244を第1摺動孔240または/および第2摺動孔242に沿って摺動させることにより、錘244を任意の位置に移動させることができる。また、加速度感覚呈示装置200は、第1回転フレーム202および第2回転フレーム204の両方を回転させることにより、1つの錘244を、X−Z平面およびY−Z平面のみならず、任意の位置に移動させることができる。したがって、変形例1の加速度感覚呈示装置200は、上記実施形態に係る加速度感覚呈示装置100の場合と異なり、1つの錘244のみで、任意に装置自体の重心を変化させることができる。
【0088】
ここで、加速度感覚呈示装置200は、1つの錘244しか錘を備えていないため、錘244の質量をmとすると、上記実施形態と同様の観点から、加速度感覚呈示装置200の重心rcは、以下の式(9)で算出されることとなる。
【0089】
【数5】

【0090】
したがって、加速度感覚呈示装置200は、上記実施形態において説明した加速度感覚呈示装置100と比較して、装置の単純化および、再生回路140による再生加速度信号の制御方法の単純化を図ることができる。なお、変形例1の加速度感覚呈示装置200においても、上記実施形態に係る加速度感覚呈示装置100と同様のシステムや再生回路140による処理を適用することができるものであるが、重複するため説明は省略する。
【0091】
(変形例2)
上述した加速度感覚呈示装置100、200においては、円弧状のフレームを回転させることにより、当該フレームに備えられる錘の位置を変化させ、装置自体の重心を変化させることを特徴としていた。しかしながら、錘を備えるフレームは円弧状のフレームに限定されるものではない。例えば、フレームの形状を長板状とすることもできる。図9は、変形例2の加速度感覚呈示装置300の外観構成を示す説明図である。
【0092】
図9に示すように、加速度感覚呈示装置300は、第1スライドフレーム302、第2スライドフレーム304、ベースフレーム306およびスライド補助フレーム330からなるフレーム316と、第1駆動部312と、第2駆動部314と、を含んで構成される。
【0093】
ここで、図9に示すように、変形例2の第1スライドフレーム302および第2スライドフレーム304は、水平の長板状に形成されてもよい。また、上記の変形例1と同様に、各フレームの長手方向にそれぞれ第1摺動孔340および第2摺動孔342が設けられている。さらに、図9に示すように、第1スライドフレーム302と第2スライドフレーム304とが交差する位置において、錘344が、第1摺動孔340および第2摺動孔342に挿入されている。すなわち、第1スライドフレーム302および第2スライドフレーム304は、錘344により連結されている。
【0094】
さらに、変形例2の加速度感覚呈示装置300が備えるスライド補助フレーム330は、第1スライドフレーム302をY軸方向にスライドするための第3摺動孔346と、第2スライドフレーム304をX軸方向にスライドするための第4摺動孔348と、を備えている。これにより、第1駆動部312は、再生回路140から受信する第1駆動信号に基づいて、第3摺動孔346に沿って第1スライドフレーム302をスライドさせることができる。同様に、第2駆動部314は、再生回路140から受信する第2駆動信号に基づいて、第4摺動孔348に沿って第2スライドフレーム304をスライドさせることができる。
【0095】
変形例2の加速度感覚呈示装置300では、例えば、第1駆動部312により第1スライドフレーム302のみを第3摺動孔346に沿ってスライドさせると、錘344は、第2スライドフレーム304の第2摺動孔342に沿って摺動することとなる。一方、例えば、第2駆動部314により第2スライドフレーム304のみを第4摺動孔348に沿ってスライドさせると、錘344は、第1スライドフレーム302の第1摺動孔340に沿って摺動することとなる。このように、変形例2の加速度感覚呈示装置300は、水平の長板形状のフレームをスライドさせて、1つの錘344を第1摺動孔340または/および第2摺動孔342に沿って摺動させることにより、錘344を任意の位置に移動させることができる。また、加速度感覚呈示装置300は、第1スライドフレーム302および第2スライドフレーム304の両方をスライドさせることにより、1つの錘344を、X−Y平面の任意の位置に移動させることができる。
【0096】
このように、本実施形態に係る加速度感覚呈示装置は、特定の構造や、特定のフレーム形状に限定されるものではない。すなわち、加速度感覚呈示装置は、任意の形状のフレームに少なくとも1以上の錘を備え、当該錘の位置を移動させることにより、装置自体の重心を変化させることができるものであれば、特定の材質、形状、寸法、構造などに限定されるものではない。
【0097】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0098】
例えば、上記実施形態において参照した加速度感覚呈示装置の外観構成を示す各図面は、上記実施形態を説明する上での一例であり、これらに限定されるものではない。例えば、加速度感覚呈示装置を構成するフレームや錘は、各図面および上記説明以外の形状、材質、寸法、構造であってもよい。また、重心の算出制御の簡便化などを考慮して、各駆動部に対向する位置に、各駆動部と同質量の部材を備えることなども可能である。
【0099】
また、上記実施形態において説明した、重心の算出式および、AGCの制御方法は、実施形態を説明する上での一例であり、これらに限定されるものではない。例えば、上記実施形態におけるX軸は、装着者の前後方向に限定されるものではなく、任意の方向とすることもできる。また、Y軸についても同様である。さらに、AGCの制御方法についても、例えば、複数のゲイン増加閾値、ゲイン増加係数などを設定し、段階的にゲイン値を更新していくことなども当然に可能である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本実施形態に係る加速度感覚呈示装置100の外観構成を示す説明図である。
【図2】本実施形態に係る加速度感覚呈示装置100のフレームの回転の一例を示す説明図である。
【図3】本実施形態に係る加速度感覚呈示装置100の重心の算出概念の一例を示す説明図である。
【図4】本実施形態に係る加速度感覚呈示装置100の装着例の1つを説明する概念図である。
【図5】本実施形態に係る加速度感覚呈示装置100の変形例における装着例の1つを説明する概念図である。
【図6】本実施形態に係る加速度感覚呈示装置100を利用したシステムの一例を示す説明図である。
【図7】本実施形態に係る加速度感覚呈示装置において、再生回路140による加速度信号のAGC処理の一例を示す説明図である。
【図8】変形例1の加速度感覚呈示装置200の外観構成を示す説明図である。
【図9】変形例2の加速度感覚呈示装置300の外観構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0101】
100、200、300 加速度感覚装置
102、202 第1回転フレーム
104、204 第2回転フレーム
106、206、306 ベースフレーム
108 第1錘
110 第2錘
112、212、312 第1駆動部
114、214、314 第2駆動部
116、216、316 フレーム
118、218 第1固定部
120、220 第2固定部
130 装着者
136 ヘッドマウント・ディスプレイ
138 スピーカ
240、340 第1摺動孔
242、342 第2摺動孔
244、344 錘
346 第3摺動孔
348 第4摺動孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの頭部に装着されるフレームと、
前記フレームに備えられる少なくとも1以上の錘と、
前記フレーム上で前記錘を移動させる駆動部と、
を備える加速度感覚呈示装置。
【請求項2】
前記フレームは、
前記ユーザの頭部の少なくとも一部を囲って密着するベースフレームと、
前記ベースフレームの任意の径方向である第1方向を軸として回転可能に前記ベースフレームに固定される、略円弧状の第1回転フレームと、
前記第1方向と直交する第2方向を軸として回転可能に前記ベースフレームに固定される、略円弧状の第2回転フレームと、
を含み、
前記駆動部は、
前記第1方向を軸として前記第1回転フレームを回転させる第1駆動部と、
前記第2方向を軸として前記第2回転フレームを回転させる第2駆動部と、
を含む、請求項1に記載の加速度感覚呈示装置。
【請求項3】
前記錘は、
前記略円弧状の第1回転フレームの頂上部に固定される第1錘と、
前記略円弧状の第2回転フレームの頂上部に固定される第2錘と、
を含み、
前記第1駆動部は、前記第1回転フレームを回転させることにより、前記第1錘を移動させ、
前記第2駆動部は、前記第2回転フレームを回転させることにより、前記第2錘を移動させる、請求項2に記載の加速度感覚呈示装置。
【請求項4】
前記第1回転フレームには、円弧に沿った長孔の第1摺動孔が備えられ、
前記第2回転フレームには、円弧に沿った長孔の第2摺動孔が備えられ、
前記錘は、前記第1回転フレームおよび前記第2回転フレームが交差する位置において、前記第1摺動孔および前記第2摺動孔に挿入され、
前記第1駆動部は、前記第1回転フレームを回転させて、前記錘を前記第2摺動孔に沿って摺動させることにより前記錘を移動させ、
前記第2駆動部は、前記第2回転フレームを回転させて、前記錘を前記第1摺動孔に沿って摺動させることにより前記錘を移動させる、請求項2に記載の加速度感覚呈示装置。
【請求項5】
前記フレームは、
前記ユーザの頭部の少なくとも一部を囲って密着するベースフレームと、
前記ベースフレームの上方に固定される略中空四角形状のスライド補助フレームと、
前記ベースフレームの任意の径方向である第1方向を長手方向とし、前記第1方向と直交する第2方向にスライド可能に前記スライド補助フレームに備えられる、長板形状の第1スライドフレームと、
前記第2方向を長手方向とし、前記第1方向にスライド可能に前記スライド補助フレームに備えられる、長板形状の第2スライドフレームと、
を含み、
前記駆動部は、
前記第2方向に前記第1スライドフレームをスライドさせる第1駆動部と、
前記第1方向に前記第2スライドフレームをスライドさせる第2駆動部と、
を含む、請求項1に記載の加速度感覚呈示装置。
【請求項6】
前記第1スライドフレームには、前記第1方向を長手方向とする長孔の第1摺動孔が設けられ、
前記第2スライドフレームには、前記第2方向を長手方向とする長孔の第2摺動孔が設けられ、
前記錘は、前記第1スライドフレームおよび前記第2スライドフレームが交差する位置において、前記第1摺動孔および前記第2摺動孔に挿入され、
前記第1駆動部は、前記第1スライドフレームをスライドさせて、前記錘を前記第2摺動孔に沿って摺動させることにより前記錘を移動させ、
前記第2駆動部は、前記第2スライドフレームをスライドさせて、前記錘を前記第1摺動孔に沿って摺動させることにより前記錘を移動させる、請求項5に記載の加速度感覚呈示装置。
【請求項7】
外部機器またはネットワーク上から受信する所定の加速度情報に基づいて、前記駆動部に再生加速度信号を送信する再生回路をさらに備え、
前記駆動部は、前記再生加速度信号に基づいて、前記錘の移動を制御する、請求項1に記載の加速度感覚呈示装置。
【請求項8】
所定の映像を表示するヘッドマウント・ディスプレイをさらに備え、
前記再生回路はさらに、前記外部機器または前記ネットワーク上から受信する所定の映像信号を、前記ヘッドマウント・ディスプレイへ送信する、請求項7に記載の加速度感覚呈示装置。
【請求項9】
所定の音声を出力するスピーカをさらに備え、
前記再生回路はさらに、前記外部機器または前記ネットワーク上から受信する所定の音声信号を、前記スピーカへ送信する、請求項8に記載の加速度感覚呈示装置。
【請求項10】
前記錘の質量mは、前記加速度感覚呈示装置の質量Mの1/2以上である、請求項1に記載の加速度感覚呈示装置。
【請求項11】
所定の映像を撮像する撮像部と、前記映像と同期して所定の音声を記録する音声記録部と、前記映像および前記音声と同期して所定の加速度データを検出する加速度センサと、を備える撮像装置と、
ユーザの頭部に装着されるフレームと、前記フレームに備えられる少なくとも1以上の錘と、前記フレーム上で前記錘を移動させる駆動部と、所定の映像を表示するヘッドマウント・ディスプレイと、所定の音声を出力するスピーカと、を備える加速度感覚呈示装置と、
前記撮像部により撮像された映像信号と、前記音声記録部により記録された音声信号と、前記加速度センサにより検出された加速度信号と、を同期して、それぞれ前記ヘッドマウント・ディスプレイ、前記スピーカおよび前記駆動部へ送信する再生回路と、
を含む、加速度感覚呈示システム。
【請求項12】
前記再生回路は、前記加速度センサにより検出された加速度信号に対して、所定のゲインを乗じて再生加速度信号として前記加速度感覚呈示装置に送信する、請求項11に記載の加速度感覚呈示システム。
【請求項13】
前記再生回路は、前記再生加速度信号の大きさに応じて前記ゲインを適宜変化させる、請求項12に記載の加速度感覚呈示システム。
【請求項14】
前記撮像装置は、乗用の移動手段、または該移動手段の模型移動装置に備え付けられ、
前記映像信号、前記音声信号および前記加速度信号を、ネットワークを介して前記再生回路へ送信する、請求項11に記載の加速度感覚呈示装置。
【請求項15】
所定のゲームプログラムを再生するゲーム機器と、
ユーザの頭部に装着されるフレームと、前記フレームに備えられる少なくとも1以上の錘と、前記フレーム上で前記錘を移動させる駆動部と、所定の映像を表示するヘッドマウント・ディスプレイと、所定の音声を出力するスピーカと、を備える加速度感覚呈示装置と、
前記ゲームプログラムに組み込まれる映像信号と、音声信号と、加速度信号と、を同期して、それぞれ前記ヘッドマウント・ディスプレイ、前記スピーカおよび前記駆動部へ送信する再生回路と、
を含む、加速度感覚呈示システム。
【請求項16】
ユーザの頭部に装着されるフレームと、
前記フレームに備えられる少なくとも1以上の錘と、
前記フレーム上で前記錘を移動させる駆動部と、
所定の映像を表示するヘッドマウント・ディスプレイと、
所定の音声を出力するスピーカと、
を備える加速度感覚呈示装置に対して、
前記ヘッドマウント・ディスプレイで表示する映像信号と、前記スピーカで出力する音声信号と、前記駆動部による前記錘の移動を制御する加速度信号と、を同期して、それぞれ前記ヘッドマウント・ディスプレイ、前記スピーカおよび前記駆動部へ送信する再生回路を備える加速度情報処理装置。
【請求項17】
ユーザの頭部に装着されるフレームに備えられる少なくとも1以上の錘を、駆動部により前記フレーム上で移動させることにより、前記ユーザに加速度感覚を呈示する加速度感覚呈示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−26865(P2010−26865A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188800(P2008−188800)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】