説明

加速度評価装置

【課題】自動車の燃料消費量を抑制することを支援し、燃料消費に伴う有害物質の削減に資する。
【解決手段】本発明は、自動車の走行中において、急加速または急減速されたとき、急加速または急減速された時点の乗員、積載貨物、積載燃料の重量を含めた車両総重量を推定する。そして、推定された車両総重量に基づいて加速度閾値または減速度閾値を算出し、加速度または減速度(絶対値)がこれらの閾値以上となった場合に、これを運転者に対して報知する。この報知の際に、表示装置に、“加速(減速)限度を超えたこと”を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原動機の出力に基づく駆動力によって加速し、ブレーキの制動力によって減速する自動車の加速度を評価し、該加速度が所定閾値以上となった場合に運転者に報知する加速度評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境意識が高まってきているなか、自動車は、より高度な環境性能を求められるようになってきている。ここで、環境性能とは、燃料消費量をより少なくし、燃料消費に伴う有害物質の排出量をより抑制して走行するために自動車に要求される性能のことである。
【0003】
例えば、特許文献1には、必要に応じて車速を制限して自動車の燃料消費量を抑制しつつ、加速のためにアクセル操作が行われたとき、もしくは登坂状態であるときには車速制限を解除することによって、該自動車のエンジンの出力を必要に応じて引き出すことを可能とした車速制限装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−252520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に代表される従来技術では、加速時または登坂時には車速制限が解除されるため、加速のためにアクセルペダルが必要以上に踏み込まれることが許容されてしまうこととなり、燃料消費量は増大する。したがって、加速時または登坂時には、燃料消費量は全く考慮されていないこととなる。
【0006】
ところで、車速が同一であれば、水平面の走行に比べ斜面を遡上する走行の方が、同じ加速度でもより多くの燃料消費量を必要とする。また、車速が同一であれば、車両の重量に乗員、積載貨物、積載燃料の重量を含めた車両総重量がより重い方が、同じ加速度でより多くの燃料消費を必要とする。
【0007】
また、車速が同一であれば、水平面の走行に比べ斜面を降坂(斜面を下ること)する走行時または車両総重量がより重い時は、燃料消費量の点より考えると、より早いタイミングで減速を開始する必要がある。すなわち、車速が同一であれば、降坂時や車両総重量がより重い方が、同じ減速度でより多くの燃料消費を節約することができる。
【0008】
例えば、車両総重量を考慮に入れずに急加速度判定を行った場合、水平面の走行や車両総重量がより軽い時には急加速であると判定されない加速度であても、登坂時や車両総重量がより重い時には該加速度と同じ加速度であっても急加速と判定する必要があるにもかかわらず、急加速と判定されないという問題がある。
【0009】
また、同様に、車両総重量を考慮に入れずに急加速度判定を行った場合、水平面の走行や車両総重量がより軽い時には急ブレーキと判定されない減速度であっても、斜面を降坂(斜面を下ること)時や車両総重量がより重い時には該減速度と同じ減速度であっても急ブレーキと判定する必要があるにもかかわらず、急ブレーキと判定されないという問題がある。
【0010】
急加速・急減速は、燃費・排出ガスに関する環境性能の点からも極めて好ましくない。したがって、走行面の傾斜や車両総重量に応じて、急加速であるか否か、または急減速であるか否かを適切に判定して、急加速・急減速を抑制することが必要である。しかし、上記特許文献1に代表される従来技術は、このような観点に基づいて燃料消費量を抑制するものではなかった。
【0011】
本発明は、上記問題点(課題)を解決するためになされたものであって、加速時または登坂時、もしくは減速時または降坂時に走行面の傾斜や車両総重量を考慮して、燃料消費量を抑制することを支援し、燃料消費に伴う有害物質の削減に資する加速度評価装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した問題を解決し、目的を達成するため、本発明は、原動機の出力に基づく駆動力によって加速し、ブレーキの制動力によって減速する自動車の加速度を評価し、該加速度が所定閾値以上となった場合に運転者に報知する加速度評価装置であって、前記駆動力を算出する駆動力算出手段と、前記制動力を算出する制動力算出手段と、前記駆動力算出手段によって算出された前記自動車の駆動力、または、前記制動力算出手段によって算出された前記自動車の制動力と、該自動車の加速度とに基づいて、少なくとも該自動車の乗員、積載貨物、積載燃料の重量を含む車両総重量を推定する車重推定手段と、前記車重推定手段によって推定された車両総重量に基づいて、前記自動車の加速度の閾値を算出する閾値算出手段と、前記自動車の加速度と、前記閾値算出手段によって算出された閾値とを比較して、該加速度が該閾値以上となったか否かを評価する評価手段と、前記評価手段によって前記加速度が前記閾値以上となったと評価されたことを報知する報知手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記自動車が走行する走行面の勾配を検知する勾配検知手段をさらに備え、前記車重推定手段は、前記自動車の駆動力または前記自動車の制動力と、該自動車の加速度と、前記勾配検知手段によって検知された勾配とに基づいて車両総重量を推定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記駆動力は、前記自動車のスロットル開度に応じて決まり、前記閾値算出手段は、前記車重推定手段によって推定された車両総重量に基づいて、前記スロットル開度の閾値を算出し、前記評価手段は、前記スロットル開度と、前記閾値算出手段によって算出された前記スロットル開度の閾値とを比較して、該スロットル開度が該閾値以上となったか否かを評価することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記制動力は、前記自動車のブレーキ油圧に応じて決まり、前記閾値算出手段は、前記車重推定手段によって推定された車両総重量に基づいて、前記ブレーキ油圧の閾値を算出し、前記評価手段は、前記ブレーキ油圧と、前記閾値算出手段によって算出された前記ブレーキ油圧の閾値とを比較して、該ブレーキ油圧が該閾値以上となったか否かを評価することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、前記報知手段は、前記自動車の運転に支障なく視認可能に表示する表示装置を使用して報知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、運転者に急加速あるいは過剰な加速、または急減速あるいは過剰な減速を抑制させることが可能となり、燃料消費を抑え、有害物質の排出を削減することが可能となるという効果を奏する。また、急加速あるいは過剰な加速、または急減速あるいは過剰な減速を抑制させることによって、安全運転を行わせることが可能となるという効果を奏する。
【0018】
また、本発明によれば、勾配に応じて運転者に過剰な加速あるいは過剰な急減速を抑制させることが可能となり、勾配走行における燃料消費を抑え、有害物質の排出を削減することが可能となるという効果を奏する。また、勾配走行における急加速あるいは過剰な加速、または急減速あるいは過剰な減速を抑制させることによって、安全運転を行わせることが可能となるという効果を奏する。
【0019】
また、本発明によれば、運転者に過剰なアクセル操作を抑制させることが可能となり、燃料消費を抑え、有害物質の排出を削減することが可能となるという効果を奏する。また、過剰なアクセル操作を抑制させることによって、安全運転を行わせることが可能となるという効果を奏する。
【0020】
また、本発明によれば、運転者に過剰なブレーキ操作を抑制させることが可能となり、燃料消費を抑え、有害物質の排出を削減することが可能となるという効果を奏する。また、過剰なブレーキ操作を抑制させることによって、安全運転を行わせることが可能となるという効果を奏する。
【0021】
また、本発明によれば、急加速あるいは過剰な加速、または急減速あるいは過剰な減速を、自動車の運転に支障なく視認可能に運転者に表示し、前方視界から視線を大きく移動させることなく、容易かつ確実に運転者に報知できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に添付図面を参照し、本発明の加速度評価装置に係る実施例を詳細に説明する。なお、以下に示す実施例において、単に「加速度」という場合は、自動車の加速の際の加速度および減速の際の減速度の双方を含む。力学的にみて、自動車に作用する「力」は、「加速度」に比例するが、「力」が自動車の進行方向に作用する場合の「加速度」が加速の際の速度の増加の微分量であり、「力」が自動車の進行方向の反対に作用する場合の「加速度」が減速の際の速度の減少の微分量である。また、「加速度」と「減速度」とを併記する場合は、「加速度」が加速の際の速度の増加の微分量であり、「減速度」が減速の際の速度の減少の微分量である。
【0023】
以下の実施例では、自動車は、化石燃料(ガソリンや軽油など原油を精製した燃料、石炭など)または爆発しやすい気体(水素など)を燃料とする内燃機関(エンジン)の出力から駆動力を得る内燃機関搭載自動車であるとするが、これに限らず、電気モータの出力から駆動力を得る電気自動車、あるいは内燃機関および電気モータの双方を搭載し、状況に応じて両者を切り換えて使用する、いわゆるハイブリッド自動車であっても、本発明は適用可能である。
【0024】
なお、内燃機関搭載自動車、電気自動車、ハイブリッド自動車のいずれを問わず、加速度が大きければ大きいほど、自動車の原動機により消費されるエネルギー量が大きい。よって、この加速度を抑制するようにすることで、自動車の原動機により消費されるエネルギー量を抑制することが可能となる。
【実施例】
【0025】
先ず、本発明の概要を説明する。図1は、本発明の概要を説明するための説明図である。同図に示すように、本発明は、自動車の走行中において、(1)急加速または急減速されたとき、(2)急加速または急減速された時点の乗員、積載貨物、積載燃料の重量を含めた車両総重量を推定する。
【0026】
そして、(3)推定された車両総重量に基づいて加速度閾値または減速度閾値を算出し、加速度または減速度(絶対値)がこれらの閾値以上となった場合に、これを運転者に対して報知する。この報知の際に、表示装置に、“加速(減速)限度を超えたこと”を表示す。
【0027】
運転者は、前述の報知によって、加速しすぎている(アクセルペダルを踏みすぎている)こと、あるいは減速しすぎている(ブレーキペダルを踏みすぎている)ことを認識し、加速または減速の程度を緩和することになる。よって、燃料消費量をより少なくし、延いては、燃料消費に伴う有害物質の排出量をより抑制することが可能となる。
【0028】
次に、実施例にかかる車載ネットワークおよび加速度評価装置の構成について説明する。図2は、実施例にかかる車載ネットワークおよび加速度評価装置の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、自動車1において、車載ネットワークであるCAN(Controller Area Network)2に、加速度評価装置10と、車載電子機器の制御を行う艤装系制御部20と、エンジンを電子制御するエンジン制御部30とが接続されている。加速度評価装置10と、艤装系制御部20と、エンジン制御部30とは、CAN2を介して通信可能である。これら以外の構成については説明を省略する。
【0029】
加速度評価装置10は、表示手段である表示部11と、記憶手段である記憶部12と、加速度評価装置10の制御をつかさどる制御部13とを有する。
【0030】
記憶部12は、駆動力理想値12aと、制動力理想値12bと、急加減速評価閾値理想値12cとをさらに記憶する。駆動力理想値12aは、自動車1の駆動力の理想値である。制動力理想値12bは、自動車1の制動力の理想値である。また、急加減速評価閾値理想値12cは、急加速と評価される加速度の閾値および急減速と評価される減速度の閾値である。
【0031】
自動車1の駆動力P(θ)[N]は、エンジンへの燃料噴射量を調節するスロットルの開度(以下、「アクセル開度」と呼ぶ)θ[°]に依存して決まるエンジンの出力トルク[N・m]、トランスミッションのギア比に応じた係数およびエンジンから車輪へのトルクの伝達効率を掛け、これを車輪の有効直径で割って理想値が算出可能である。しかし、理想的な摩擦面を有する平坦面を、乗員、積載貨物重量、積載燃料のいずれも0とした理想的な車両総重量で、P(θ)の理想値を経験的に求めることが可能である。
【0032】
したがって、乗員、積載貨物重量、積載燃料のいずれも0とした理想的な車両総重量(車両総重量理想値)をm0[kg]、駆動力がP(θ)[N]のときの自動車1の加速度をa0[m/s2]とすると、運動方程式から、次式が成立する。なお、加速度a0[m/s2]は、後述の車速センサ20bから取得可能である。
【0033】
【数1】

【0034】
このように、(1)式から算出されたアクセル開度がθ[°]のときの駆動力P(θ)[N]が駆動力理想値12aに記憶されることとなる。例えば、図3−1に示すように、アクセル開度がθ[°]のときの駆動力P(θ)[N]は、θとP(θ)との間に一次の相関関係があるとして駆動力理想値12aに記憶される。図3−1によると、アクセル開度がθ1[°]のときの駆動力P(θ1)[N]は、P1[N]である。
【0035】
自動車1の制動力B(p)[N]は、ブレーキの制動力を調節するブレーキオイルの油圧(以下、「ブレーキ油圧」と呼ぶ)p[MPa]に依存して決まる値である。ここで、理想的な摩擦面を有する平坦面を、乗員、積載貨物重量、積載燃料重量のいずれも0とした理想的な車両総重量で、B(p)[N]の理想値を経験的に求めることが可能である。
【0036】
したがって、車両総重量理想値をm0、制動力がB(p)[N]のときの自動車1の加速度(減速度)をa0´[m/s2]とすると、運動方程式から、(1)式と同様の次式が成立する。
【0037】
【数2】

【0038】
(2)式から算出されたブレーキ油圧がpのときの制動力B(p)[N]が制動力理想値12bに記憶されることとなる。例えば、図3−2に示すように、ブレーキ油圧がp0[MPa]のときの制動力B(p)[N]は、pとB(p)との間に一次の相関関係があるとして制動力理想値12bに記憶される。図3−2によると、ブレーキ油圧がp1[MPa]のときの制動力B(p1)[N]は、B1[N]である。
【0039】
急加減速評価閾値理想値12cは、例えば、図4に示すように、急加減速評価閾値の理想値が速度範囲毎に段階的に異なるように、あらかじめ設定される値である。急加減速評価閾値の理想値とは、例えば、速度が0〜5[m/s]の範囲内のときは、加速度または減速度の絶対値が4[m/s2]以上になると、急加減速と評価されることとなる。
【0040】
なお、急加減速評価閾値の理想値は、駆動力理想値または制動力理想値を決めるために用いられた加速度a1またはa1´の閾値である。本実施例では、急加減速評価閾値の理想値を、a1およびa1´の両方に共通の閾値としているが、これに限らず、a1、a1´それぞれに異なる閾値を設定するようにしてもよい。
【0041】
制御部13は、加減速度算出部13aと、駆動力算出部13bと、制動力算出部13cと、車重推定部13dと、急加減速評価閾値算出処理部13eと、急加減速評価処理部13fと、評価結果表示制御部13gとをさらに有する。これら以外の構成については省略している。
【0042】
加減速度算出部13aは、後述の車速センサ20bから取得される車速の変化量に基づき、自動車1の加速度または減速度を算出する。駆動力算出部13bは、後述のアクセル開度センサ30aから取得されるアクセル開度θに基づき、駆動力理想値12aを参照し、当該θに対応する駆動力理想値を算出する。また、制動力算出部13cは、後述のブレーキ油圧センサ20aから取得されるブレーキ油圧pに基づき、制動力理想値12bを参照し、当該pに対応する制動力理想値を算出する。
【0043】
車重推定部13dは、加減速度算出部13aによって算出された加速度または減速度と、駆動力算出部13bによって算出された駆動力理想値または制動力算出部13cによって算出された制動力理想値とに基づいて、当該時点の自動車1の乗員、積載貨物重量、積載燃料重量を含む車両総重量を推定する。車両総重量の推定方法は、以下の通りである。
【0044】
自動車1が平坦面を走行することを想定し、アクセル開度がθ[°]のとき、乗員、積載貨物重量、積載燃料重量を考慮した車両総重量をm1[kg]、このときの加速度をa1[m/s2]とすると、(1)式同様に、次の運動方程式が成立する。
【0045】
【数3】

【0046】
(4)式をm1について式変形すると、次のようになる。
【0047】
【数4】

【0048】
すなわち、アクセル開度がθのときの駆動力P(θ)[N]は、駆動力理想値12aに記憶されているので既知であり、加速度a1[m/s2]も後述の車速センサ20bから取得可能であるので、既知である。よって、アクセル開度がθのときの駆動力P(θ)[N]および加速度a1[m/s2]から、乗員、積載貨物重量、積載燃料重量を考慮した車両総重量m1[kg]が算出可能となる。この算出結果が、乗員、積載貨物重量、積載燃料重量を考慮した車両総重量の推定結果である。
【0049】
同様に、自動車1が平坦面を走行することを想定し、ブレーキ油圧がp[MPa]のとき、乗員、積載貨物重量、積載燃料重量を考慮した車両総重量をm1[kg]、このときの減速度をa1´[m/s2]とすると、(3)式同様に、次の運動方程式が成立する。
【0050】
【数5】

【0051】
(5)式をm1について式変形すると、次のようになる。
【0052】
【数6】

【0053】
すなわち、ブレーキ油圧がpのときの制動力B(p)[N]は、制動力理想値12bに記憶されているので既知であり、減速度a1´[m/s2]も後述の車速センサ20bから取得可能であるので、既知である。よって、ブレーキ油圧がp[MPa]のときの制動力B(p)[N]および減速度a1´[m/s2]から、乗員、積載貨物重量、積載燃料重量を考慮した車両総重量m1[kg]が算出可能となる。この算出結果が、乗員、積載貨物重量、積載燃料重量を考慮した車両総重量の推定結果である。
【0054】
急加減速評価閾値算出処理部13eは、車重推定部13dによって推定された車両総重量m1[kg]と、車両総重量理想値m0[kg]と、急加減速評価閾値理想値12cから読み出した、当該時点の車速に応じた急加減速評価閾値理想値とに基づいて、当該m1[kg]の場合の急加減速評価閾値を算出する。
【0055】
ここで、車両総重量がm0[kg]、これに対応する加速度の閾値がa0Th[m/s2]のときに自動車1に作用する力と、車両総重量がm1[kg]、これに対応する加速度の閾値をa1Th[m/s2]としたときに自動車1に作用する力とが一致することから、次式が成立する。
【0056】
【数7】

【0057】
(7)式を変形すると、次式のようになる。
【0058】
【数8】

【0059】
すなわち、車両総重量がm1[kg]に対応する加速度の閾値a1Th[m/s2]は、(8)式から、m0、m1、a0Thから算出することができることがわかる。この算出結果が、乗員、積載貨物重量、積載燃料重量を考慮した車両総重量に基づく加速度(減速度)の閾値である。
【0060】
なお、(8)式によると、m0およびm1の比と、a0Thおよびa1Thの比とが一致するようにa1Thを算出することとせず、次式のように補正係数k1および補正項k2を考慮してa1Thを算出することとしてもよい。
【0061】
【数9】

【0062】
急加減速評価処理部13fは、急加減速評価閾値算出処理部13eによって算出された急加減速評価閾値と、加減速度算出部13aによって算出された自動車1の加速度または減速度の絶対値とを比較し、加速度または減速度の絶対値が急加減速評価閾値以上であるか否かを評価する。そして、評価結果を評価結果表示制御部13gへ受け渡す。評価結果表示制御部13gは、急加減速評価処理部13fから受け渡された評価結果に対応する情報を表示部11に表示させる。
【0063】
艤装系制御部20は、ブレーキ油圧センサ20aと、車速センサ20bと、勾配検知センサ20cとをさらに有する。これら以外の構成については省略している。ブレーキ油圧センサ20aは、制動装置の作動をコントロールするためのブレーキオイルが充填されたブレーキホース内におけるブレーキオイルの油圧を検知する。
【0064】
車速センサ20bは、自動車1の車速をリアルタイムに検知可能なセンサである。また、勾配検知センサ20cは、自動車1の車体傾斜をリアルタイムに検知可能なセンサである。勾配検知センサ20cは、例えば、自動車1が角度α[°]の勾配を上っているとき、勾配α[°]を検知し、自動車1が角度α[°]の勾配を下っているとき、勾配(−α)[°]を検知する。すなわち、勾配を上っているときには、正の角度を検知し、勾配を下っているときには、負の角度を検知するものである。
【0065】
エンジン制御部30は、自動車1に搭載されるエンジンを電子的に制御する制御装置である。そして、エンジン制御部30は、アクセル開度センサ30aをさらに有する。アクセル開度センサ30aは、エンジンへの燃料噴射量を調節するスロットルの開度θ[°]を検知する。これら以外の構成については省略している。
【0066】
次に、図2に示した加速度評価装置10で実行される急加減速評価処理について説明する。図5は図2に示した加速度評価装置10で実行される急加減速評価処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、先ず、加減速度算出部13aは、加減速度を検知したか否かを判定する(ステップS101)。加減速度を検知した場合は(ステップS101肯定)、ステップS102へ移り、加減速度を検知しなかった場合は(ステップS101否定)、ステップS101を繰り返す。
【0067】
ステップS102では、加減速度算出部13aは、検出された加減速度が加速度であるか否かを判定する。加速度である場合(ステップS102肯定)、ステップS103へ移り、加速度でない場合(ステップS102否定)、ステップS108へ移る。
【0068】
ステップS103では、駆動力算出部13bは、駆動力を算出する。続いて、車重推定部13dは、ステップS103で算出された駆動力と、当該時点での自動車1の加速度とから、乗員、積載貨物重量、積載燃料重量を含む車両総重量を推定する(ステップS104)。続いて、急加減速評価閾値算出処理部13eは、ステップS104で推定された車両総重量と、車両総重量の理想値と、急加減速評価閾値理想値とに基づいて、急加減速評価閾値を算出する(ステップS105)。
【0069】
続いて、急加減速評価処理部13fは、ステップS101で検知された加速度は、ステップS105で算出された閾値以上か否かを判定する(ステップS106)。ステップS101で検知された加速度が、ステップS105で算出された閾値以上である場合(ステップS106肯定)、評価結果表示制御部13gは、表示部11に表示することによって急加速を報知する(ステップS107)。ステップS101で検知された加速度が、ステップS105で算出された閾値以上でない場合(ステップS106否定)、急加減速評価処理は終了する。
【0070】
なお、図6−1は、ステップS107の報知の表示画面例を示す。なお、報知は、表示画面への表示に限らず、音声による報知やランプ・インジケータ類の点等・点滅による報知であってもよい。
【0071】
一方、ステップS108では、制動力算出部13cは、制動力を算出する。続いて、車重推定部13dは、ステップS108で算出された制動力と、当該時点での自動車1の減速度とから、乗員、積載貨物重量、積載燃料重量を含む車両総重量を推定する(ステップS109)。続いて、急加減速評価閾値算出処理部13eは、ステップS109で推定された車両総重量と、車両総重量の理想値と、急加減速評価閾値理想値とに基づいて、急加減速評価閾値を算出する(ステップS110)。
【0072】
続いて、急加減速評価処理部13fは、ステップS110で検知された減速度は、ステップS110で算出された閾値以上か否かを判定する(ステップS111)。ステップS101で検知された減速度の絶対値が、ステップS110で算出された閾値以上である場合(ステップS111肯定)、評価結果表示制御部13gは、表示部11に表示することによって急減速を報知する(ステップS112)。ステップS101で検知された減速度が、ステップS110で算出された閾値以上でない場合(ステップS111否定)、急加減速評価処理は終了する。
【0073】
なお、図6−2は、ステップS112の報知の表示画面例を示す。なお、報知は、表示画面への表示に限らず、音声による報知やランプ・インジケータ類の点等・点滅による報知であってもよい。
【0074】
また、急加速または急減速の表示は、所定の走行距離における急加速または急減速の回数をそれぞれ記憶しておき、これらの回数を所定のタイミング(例えば、イグニションキーをオンまたはオフしたとき)で表示してもよい。
【0075】
また、表示は、1トリップ走行距離(イグニションキーをオンしたときから次にオフしたときまで)における急加速または急減速して走行した走行距離の比率であってもよい。また、1トリップ走行距離において急加速または急減速して走行した走行距離の合計、急加速または急減速によって無駄に消費された燃料量の合計、加速または急減速を抑制することによって節約された燃料量の合計を表示することとしてもよい。
【0076】
また、1トリップ走行距離の全ての加速または減速における急加速または急減速によって走行した走行距離のそれぞれの比率を表示することとしてもよい。
【0077】
以上は、自動車1が水平面を走行する場合を想定しているが、登坂時には、自動車1の進行方向とは逆の方向に、また降坂時には、自動車1の進行方向と同じ方向に、重力による力が作用する。このために、水平面を走行する場合に比べて、車重推定部13dによって推定される車両総重量が異なってくる。
【0078】
図7−1は、傾斜α[°]の斜面を登坂する場合に自動車1に作用する力を説明するための説明図である。このときの自動車1の車両総重量をm1[kg]、加速度をa1[m/s2]とすると、重力加速度g[m/s2]により自動車1に作用する力m1g[N]の斜面成分は、m1g・sinα[N]である。m1g・sinα[N]は、自動車1の加速による力m11[N]とは反対の方向に作用する。よって、(3)式は次のようになる。
【0079】
【数10】

【0080】
(3´)式から、m1が次式で算出されることとなる。
【0081】
【数11】

【0082】
(4´)式によるm1の算出結果が、乗員、積載貨物重量、積載燃料重量および勾配を考慮した、駆動力P(θ)に基づく車両総重量の推定結果である。この推定結果を使用して算出した加減速度の閾値によって当該加減速度を評価し、該閾値以上となった場合に報知することによって、過剰な加速あるいは急加速、または過剰な減速あるいは急減速を抑制させることが可能となり、燃料消費を抑え、有害物質の排出を削減することが可能となる。また、過剰な加速あるいは急加速、または過剰な減速あるいは急減速を抑制させることによって、安全運転を行わせることが可能となる。
【0083】
なお、(4)式は、(4´)式において、傾斜α=0[°]とした場合である。
【0084】
また、図7−2は、傾斜α[°]の斜面を降坂する場合に自動車1に作用する力を説明するための説明図である。このときの自動車1の車両総重量をm1[kg]、加速度をa1[m/s2]とすると、重力加速度g[m/s2]により自動車1に作用する力m1g[N]の斜面成分は、降坂であるので傾斜を(―α)[°]とすると、m1g・sin(−α)[N]である。(4´)式のαに(−α)を代入すると、次式のようになる。
【0085】
【数12】

【0086】
この(4´´)式によると、“m1g・sinα”の符号がプラスであることから、重力加速度g[m/s2]により自動車1に作用する力m1g[N]の斜面成分は、自動車1の加速による力m11[N]と同じ方向に作用することを示している。よって、降坂時も、(3´)式および(4´)式は同様に成立することがわかる。
【0087】
なお、制動時も駆動時と同様である。すなわち、制動力をB(p)[N]、乗員、積載貨物重量、積載燃料重量を考慮した車両総重量をm1[kg]、加速度をa1´[m/s2]、勾配をα[°]とすると、(6)式は次のようになる。
【0088】
【数13】

【0089】
(6´)式によるm1の算出結果が、乗員、積載貨物重量、積載燃料重量および勾配を考慮した、制動力B(p)に基づく車両総重量の推定結果である。この推定結果を使用して算出した加減速度の閾値によって当該加減速度を評価し、該閾値以上となった場合に報知することによって、過剰な加速あるいは急加速、または過剰な減速あるいは急減速を抑制させることが可能となり、燃料消費を抑え、有害物質の排出を削減することが可能となる。また、過剰な加速あるいは急加速、または過剰な減速あるいは急減速を抑制させることによって、安全運転を行わせることが可能となる。
【0090】
なお、(6)式は、(6´)式において、傾斜α=0[°]とした場合である。
【0091】
上記実施例では、乗員、積載貨物重量、積載燃料重量および勾配を考慮して、駆動力P(θ)または制動力B(p)に基づいて車両総重量を推定することとした。これは、乗員の人数の多寡が車両総重量に与える影響が大きいためである。乗車定員の多い自動車であれば、乗員の人数の多寡が車両総重量に与える影響が特に大きい。
【0092】
また、貨物車など積載可能貨物重量が大きい自動車であれば、貨物の重量の多寡が車両総重量に与える影響が大きい。また、燃料タンクの容量が大きい自動車であれば、積載燃料重量の多寡が車両総重量に与える影響が大きい。これらの要因で車両総重量が大きく変動すると、自動車の加速または減速に必要なエネルギーの変動も大きい。
【0093】
また、自動車が走行する勾配が自動車の走行に与える負荷の影響も大きく、登坂する場合はより多くの消費エネルギーが多くなり、逆に、降坂する場合は、消費エネルギーが少なくなる。
【0094】
本発明は、これらの自動車の走行に必要なエネルギー量に影響する各種要因を勘案して決め細やかに加速および減速の制限値を算出し、この算出された制限値以上となった(または超えた)場合に運転者に報知することによって、自動車の消費エネルギー(消費燃料)を抑制し、燃料消費に伴う有害物質の排出量を削減することが可能となる。
【0095】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内で、更に種々の異なる実施例で実施されてもよいものである。また、実施例に記載した効果は、これに限定されるものではない。
【0096】
以上の実施例では、説明を容易にするために、変速機のギアシフトを考慮していない。しかし、駆動力理想値12aおよび制動力理想値12bを、ギアシフト位置毎に求めておいて、加減速度算出部13aによって加減速度が検知されたときのギアシフト位置を検知し、この検知されたギアシフト位置に対応する駆動力理想値12aまたは制動力理想値12bに基づいて車両総重量を推定することとしてもよい。
【0097】
上記実施例では、車両総重量を車両の駆動力(または制動力)と加速度とに基づいて推定しているが、各種センサにより自動車の乗員、積載貨物、積載燃料を検知または計測し、車両総重量理想値を加算したものを車両総重量としてもよい。この場合、各種センサの検知または計測タイミングは、自動車の乗員、積載貨物に対しては発進時、積載燃料に対しては燃料消費ごと、走行中一定期間ごとまたは発進時ごととしてもよい。
【0098】
上記実施例では、加減速度検知を契機に推定した車両総重量に基づいて加速度または減速度の閾値を算出することとした。この加速度または減速度の閾値の算出のために使用する車両総重量は、閾値算出時点までの一定時間に推定された車両総重量の平均を採用することとしてもよい。この一定期間に推定された車両総重量の平均の期間を変化させ、車両総重量の学習値として採用することとしてもよい。そして、この車両総重量の平均を使用して、加速度または減速度の閾値を算出することとしてもよい。
【0099】
また、走行開始後一定時間にわたって推定された車両総重量の平均を算出し、これより後は、閾値算出時点で新たに推定された車両総重量が該平均から乖離する(所定範囲を超える)場合は新たな推定値を破棄し、該平均から乖離しない(所定範囲内に収まる)場合は、新たな推定値を含めて推定値の平均を改めて算出するようにしてもよい。そして、新たに算出された車両総重量の推定値の平均を使用して、加速度または減速度の閾値を算出することとしてもよい。
【0100】
上記実施例では、自動車1が勾配検知センサ20cを備えることとしているが、これに限らず、勾配検知センサ20cを備えない構成であってもよい。この場合、走行開始後一定時間にわたって推定された車両総重量の平均を算出し、これより後に、閾値算出時点で新たに推定された車両総重量が該平均から乖離する(所定範囲を超える)場合が所定時間連続するときに、勾配を認識することとしてもよい。
【0101】
この場合に認識される勾配の角度は、該平均から乖離する車両総重量の平均の、走行開始後一定時間にわたって推定された車両総重量の平均に対する比率に基づいて算出する。該比率と、勾配の角度との関係は、あらかじめ理論的に算出して記憶しておく、あるいは実験などにより経験的に算出して記憶しておいたものを使用することとしてもよい。
【0102】
なお、車両総重量の平均を算出する対象期間は、エンジン始動からエンジン停止まで、一の走行の開始から該走行の終了まで、もしくはリセット操作がされてから次にリセット操作がされるまでのいずれの期間であってもよい。
【0103】
上記実施例では、アクセル開度θ[°]によって決まる駆動力P(θ)[N]およびブレーキ油圧p[MPa]によって決まる制動力B(p)[N]の理想値を、経験的に求めるとした。しかし、これに限らず、駆動力P(θ)[N]は、エンジンへの燃料噴射量を調節するアクセル開度θ[°]に依存して決まるエンジンの出力トルク[N・m]、トランスミッションのギア比に応じた係数およびエンジンから車輪へのトルクの伝達効率を掛け、これを車輪の有効直径で割って理論的に算出可能であるため、この理論値を採用してもよい。また、制動力B(p)[N]は、ブレーキ油圧p[MPa]に依存して決まるブレーキディスクまたはブレーキドラムにかかる摩擦力[N]に基づいて理論的に算出可能であるため、この理論値を採用してもよい。
【0104】
上記実施例では、急加減速と判定するための閾値を、加減速度で表すこととした。すなわち、加減速度に基づいて急加減速か否かを判定することとした。しかし、これに限らず、(3)、(3´)などに示すように、加速度は、アクセル開度θ[°]に依存するので、閾値をアクセル開度θ[°]で表すこととしてもよい。すなわち、アクセル開度θ[°]に基づいて急加速か否かを判定することとしてもよい。
【0105】
また、(5)などに示すように、減速度は、ブレーキ油圧p[MPa]に依存するので、閾値をブレーキ油圧p[MPa]で表すこととしてもよい。すなわち、ブレーキ油圧p[MPa]に基づいて急減速か否かを判定することとしてもよい。
【0106】
上記実施例において各種数値・指標の算出、推定のために示した各数式は、算出・推定手法の一例を示したに過ぎず、本発明の目的を達成するために、他の数式を使用することも可能である。
【0107】
上記実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記実施例で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報、各種のデータやパラメータの単位については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0108】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0109】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPU(Central Processing Unit)(またはMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)などのマイクロ・コンピュータ)および当該CPU(またはMPU、MCUなどのマイクロ・コンピュータ)にて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、自動車の燃料消費量を抑制することを支援したい場合に有用であり、特に、加速時または登坂時、もしくは減速時または降坂時に、走行面の傾斜や車両総重量を考慮して、燃料消費量を抑制することを支援したい場合に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の概要を説明するための説明図である。
【図2】実施例にかかる車載ネットワークおよび加速度評価装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図3−1】アクセル開度と駆動力との関係を示す図である。
【図3−2】ブレーキ油圧と制動力との関係を示す図である。
【図4】急加減速評価閾値の理想値を示す図である。
【図5】急加減速評価処理手順を示すフローチャートである。
【図6−1】急加速を報知する報知画面例を示す図である。
【図6−2】急減速を報知する報知画面例を示す図である。
【図7−1】登坂時に自動車に作用する力を説明するための説明図である。
【図7−2】降坂時に自動車に作用する力を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0112】
1 自動車
10 加速度評価装置
11 表示部
12 記憶部
12a 駆動力理想値
12b 制動力理想値
12c 急加減速評価閾値理想値
13 制御部
13a 加減速度算出部
13b 駆動力算出部
13c 制動力算出部
13d 車重推定部
13e 急加減速評価閾値算出処理部
13f 急加減速評価処理部
13g 評価結果表示制御部
20 艤装系制御部
20a ブレーキ油圧センサ
20b 車速センサ
20c 勾配検知センサ
30 エンジン制御部
30a アクセル開度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機の出力に基づく駆動力によって加速し、ブレーキの制動力によって減速する自動車の加速度を評価し、該加速度が所定閾値以上となった場合に運転者に報知する加速度評価装置であって、
前記駆動力を算出する駆動力算出手段と、
前記制動力を算出する制動力算出手段と、
前記駆動力算出手段によって算出された前記自動車の駆動力、または、前記制動力算出手段によって算出された前記自動車の制動力と、該自動車の加速度とに基づいて、少なくとも該自動車の乗員、積載貨物、積載燃料の重量を含む車両総重量を推定する車重推定手段と、
前記車重推定手段によって推定された車両総重量に基づいて、前記自動車の加速度の閾値を算出する閾値算出手段と、
前記自動車の加速度と、前記閾値算出手段によって算出された閾値とを比較して、該加速度が該閾値以上となったか否かを評価する評価手段と、
前記評価手段によって前記加速度が前記閾値以上となったと評価されたことを報知する報知手段と
を備えたことを特徴とする加速度評価装置。
【請求項2】
前記自動車が走行する走行面の勾配を検知する勾配検知手段をさらに備え、
前記車重推定手段は、前記自動車の駆動力または前記自動車の制動力と、該自動車の加速度と、前記勾配検知手段によって検知された勾配とに基づいて車両総重量を推定することを特徴とする請求項1に記載の加速度評価装置。
【請求項3】
前記駆動力は、前記自動車のスロットル開度に応じて決まり、
前記閾値算出手段は、前記車重推定手段によって推定された車両総重量に基づいて、前記スロットル開度の閾値を算出し、
前記評価手段は、前記スロットル開度と、前記閾値算出手段によって算出された前記スロットル開度の閾値とを比較して、該スロットル開度が該閾値以上となったか否かを評価することを特徴とする請求項1または2に記載の加速度評価装置。
【請求項4】
前記制動力は、前記自動車のブレーキ油圧に応じて決まり、
前記閾値算出手段は、前記車重推定手段によって推定された車両総重量に基づいて、前記ブレーキ油圧の閾値を算出し、
前記評価手段は、前記ブレーキ油圧と、前記閾値算出手段によって算出された前記ブレーキ油圧の閾値とを比較して、該ブレーキ油圧が該閾値以上となったか否かを評価することを特徴とする請求項1、2または3に記載の加速度評価装置。
【請求項5】
前記報知手段は、前記自動車の運転に支障なく視認可能に表示する表示装置を使用して報知することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の加速度評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【公開番号】特開2008−162380(P2008−162380A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−353302(P2006−353302)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】