説明

劣化吸収液再生方法並びに劣化吸収液再生装置及びこれを用いた二酸化炭素回収システム

【課題】二酸化炭素回収装置を稼働している状態で、劣化吸収液の再生処理ができる小型の劣化吸収液再生方法おび装置を提供する。
【解決手段】燃焼排ガス1に含まれる二酸化炭素を、弱アルカリ性の吸収液102と接触させて回収する吸収塔5と、吸収液から二酸化炭素を回収する再生塔8とを有する二酸化炭素回収装置において、硫黄酸化物を吸収した劣化吸収液の一部を抜出し、吸収液よりも水素イオン濃度が高いアルカリ剤を該劣化吸収液に混合し、生成した硫黄酸化物の塩と該劣化吸収液を分離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収液再生方法並びに劣化吸収液再生装置及びこれを用いた二酸化炭素回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化の防止又は抑制の観点から、燃焼排ガス中の二酸化炭素を分離・回収する要求が高まっている。
【0003】
燃焼排ガス中の二酸化炭素を分離・回収する手段としては、特許文献1に示されているように、吸収液に二酸化炭素を吸収させ、吸収液から二酸化炭素(以下、二酸化炭素をCO2と表記する。)を脱離するCO2回収装置及びCO2回収方法がある。吸収液としては、例えば、アミン水溶液が挙げられる。
【0004】
吸収液を用いて二酸化炭素を分離・回収する装置は、CO2を吸収させる吸収塔と、CO2を脱離させる再生塔とを含む構成である。
【0005】
この装置を用いた二酸化炭素分離・回収工程は、以下のようになっている。
【0006】
まず、燃焼排ガスを吸収塔に導き、CO2を吸収液に吸収させる。つぎに、その吸収液を再生塔に送り、CO2を脱離させる。そして、再生塔で脱離したCO2を圧縮して液化し、地底又は海底に貯留する。
【0007】
化石燃料を燃焼した排ガス中には、硫黄酸化物(以下、SOxと表記する。)が含まれる。SOxは、アミン水溶液等の吸収液に吸収され、吸収液に含まれるアミン等の弱アルカリ性物質と反応して、安定した塩(Heat Stable Salt:HSS)を生成する。
【0008】
HSSの生成は吸収液の劣化であり、これによりCO2の吸収性能は低下する。
【0009】
吸収液を再生するには、第1段階として、上記の弱アルカリ性物質よりも水素イオン濃度(pH)が高いアルカリ剤(例えば、炭酸ナトリウム(Na2CO3))を添加して、HSSからSOx分を切り離す。そして、第2段階として、アミン(R-NH2)と2Na及びSO42-とを分離し、弱アルカリ性物質を回収して再利用する。
【0010】
その分離方法として、例えば、特許文献2及び特許文献3には蒸留法が示されている。また、非特許文献1には電気透析法が示されている。さらに、特許文献4にはイオン交換樹脂法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−61777号公報
【特許文献2】特開2008−221166号公報
【特許文献3】特表2001−521018号公報
【特許文献4】特開昭59−169920号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】飯島正樹:化学吸収法による燃料排ガスからのCO2回収技術とCO2有効利用、処分技術:Petrotech:26,11,922−927(2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記の劣化した吸収液(劣化吸収液)の再生は、CO2回収装置(二酸化炭素回収装置)を停止して定期点検をする期間等に行うのが一般的である。しかし、限られた期間内で再生処理を行う必要があるため、稼働率は低いが、構成機器が大型になるという問題が生じている。
【0014】
本発明の目的は、二酸化炭素回収装置を稼働している状態で、劣化吸収液の再生処理を行う劣化吸収液再生装置を連続稼動可能として劣化吸収液再生装置の構成機器を小型化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を、弱アルカリ性物質とその溶媒とを含み弱アルカリ性を呈する吸収液を用いて回収する際に吸収液が燃焼排ガスに含まれる硫黄酸化物を吸収して生じる劣化吸収液を再生するものである。その際、劣化吸収液に含まれる硫黄酸化物の濃度を検出し、劣化吸収液の一部を抜出し、吸収液よりも水素イオン濃度が高いアルカリ剤を硫黄酸化物の濃度から算出した量だけ、抜き出した劣化吸収液に混合し、これにより生成した吸収液と硫黄酸化物の塩とを分離し、分離した吸収液を再利用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、吸収液を用いた二酸化炭素回収装置と、劣化した吸収液の再生処理装置とを同時に安定して稼動することができ、劣化吸収液再生装置の構成機器を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例の二酸化炭素回収システムを示す概略構成図である。
【図2】アルカリ剤の添加量を制御する制御部を付設した劣化吸収液再生装置を示す概略構成図である。
【図3】連続稼動を可能とした実施例のCO2回収装置及び劣化吸収液再生装置を示す概略構成図である。
【図4】実施例のCO2回収装置及び劣化吸収液再生装置の連続稼動の工程を示すフロー図である。
【図5】実施例の硫酸イオン濃度の分析手順を示すフロー図である。
【図6】硫酸イオン濃度の計測結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、アミン水溶液等の吸収液を用いた二酸化炭素回収装置においてSOxが混入して劣化した吸収液(以下、「劣化吸収液」とも呼ぶ。)の再生方法及び再生装置に関し、燃焼排ガス等に含まれる二酸化炭素を、吸収液を用いて回収する装置、及び、これに付随して設置する劣化吸収液の再生装置の双方を同時に安定的に稼働する技術に関するものである。
【0019】
本発明においては、二酸化炭素回収装置から抜出した劣化吸収液を貯留するタンクを設け、該タンクにアルカリ剤あるいはアルカリ水溶液を供給し、該タンクから分離装置に液を導くようにした。さらに、該タンク内の吸収液中の硫黄酸化物濃度を検出する硫黄酸化物濃度検出部と、検出した硫黄酸化物濃度を信号として取り込み、劣化吸収液再生処理装置において添加するアルカリ剤あるいはアルカリ水溶液の量を算出する制御部と、その量のアルカリ剤あるいはアルカリ水溶液を劣化吸収液に添加するアルカリ剤混合部とを設けてある。
【0020】
硫黄酸化物濃度検出部は、吸収塔又は再生塔に設けてもよい。
【0021】
アルカリ剤混合部は、スタティック型ミキサーであってもよい。
【0022】
さらに、硫黄酸化物濃度検出部は、劣化吸収液を採取し、少量のアルカリ剤あるいはアルカリ水溶液を逐次添加しながら、劣化吸収液中の硫酸化合物イオンを逐次計測し、その変化量から劣化吸収液中の硫黄酸化物濃度の決定するようにしてもよい。
【0023】
化石燃料を燃焼した排ガス中に含まれるSOxがアミン水溶液中のアミンと反応して、安定した塩(Heat Stable Salt:HSS)を生成する反応は、下記反応式(1)で表される。
【0024】
2R-NH2 + SOx → (R-NH2)2SOx …反応式(1)
上記反応式(1)において、アミンは、便宜的にR-NH2と記述している。また、硫黄酸化物の化学式は、SOxと記述している。これを用いると、HSSは、(R-NH2)2SOxと表される。ここで、SOxは、SO3、SO2、SO、S2O3、S2O4等の硫黄酸化物の総称であり、通常の微粉炭焚きボイラ等で発生する燃焼排ガスにおいては、このうちのSO2(亜硫酸ガス)が主成分となる。
【0025】
脱硝装置及び脱硫装置を組み込んだ微粉炭焚きボイラにおける実測値の例としては、脱硝装置の出口におけるSOx濃度が約1000ppm、脱硫装置の出口におけるSOx濃度が約30ppmであった。この30ppmのうち、SO2が98%、SO3が2%であり、その他のSOxは0%であった。したがって、吸収液と接触するSOxの濃度は、30ppm程度と想定することができる。硫黄を大量に含む微粉炭等を使用した場合でも100ppm程度と考えられる。ここで、SOx濃度は、ガスクロマトグラフ等のガス分析によって計測したものである。
【0026】
HSSの生成はアミンの劣化であり、これによりCO2の吸収性能は低下する。
【0027】
アミンを再生するための第1段階は、アルカリ剤を添加してHSSからSOx分を切り離す反応であり、下記反応式(2)で表される。
【0028】
(R-NH2)2SO4 + Na2CO3 → 2R-NH2 + 2Na + SO42- + CO2 …反応式(2)
上記反応式(2)においては、アルカリ剤として炭酸ナトリウム(Na2CO3)を用いている。また、SOxの主成分であるSO42-とR-NH2とが結合して生成したHSSの一種である(R-NH2)2SO4を分解する反応として記載している。
【0029】
第2段階としては、アミン(R-NH2)と2Na及びSO42-とを分離し、アミン(R-NH2)を回収して再利用する。
【0030】
以下、本発明の一実施形態に係る劣化吸収液再生方法並びに劣化吸収液再生装置及びこれを用いた二酸化炭素回収システムについて説明する。
【0031】
前記劣化吸収液再生方法は、燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を、弱アルカリ性物質とその溶媒とを含み弱アルカリ性を呈する吸収液を用いて回収する際に吸収液が燃焼排ガスに含まれる硫黄酸化物を吸収して生じる劣化吸収液を再生する方法であって、劣化吸収液に含まれる硫黄酸化物の濃度を検出し、劣化吸収液の一部を抜出し、吸収液よりも水素イオン濃度が高いアルカリ剤を硫黄酸化物の濃度から算出した量だけ、抜き出した劣化吸収液に混合し、これにより生成した吸収液と硫黄酸化物の塩とを分離し、分離した吸収液を再利用することを特徴とする。
【0032】
前記劣化吸収液再生方法においては、分離した吸収液に弱アルカリ性物質又は水などの溶媒を追加して、再利用する吸収液に含まれる弱アルカリ性物質の濃度を調整することが望ましい。
【0033】
前記劣化吸収液再生方法において、硫黄酸化物の濃度は、劣化吸収液を液体クロマトグラフィーにより分析することにより検出することが望ましい。
【0034】
前記劣化吸収液再生方法において、硫黄酸化物の濃度は、吸収液に接触する前のガス及び接触した後のガスを分析することにより検出することが望ましい。
【0035】
前記劣化吸収液再生方法において、硫黄酸化物の塩の分離は、蒸留法により行うことが望ましい。
【0036】
前記劣化吸収液再生方法においては、劣化吸収液の再生を二酸化炭素の回収と同時に連続して行うことが望ましい。
【0037】
前記劣化吸収液再生方法において、硫黄酸化物の濃度は、アルカリ剤を複数回に分けて添加する際にそれぞれのアルカリ剤の添加の後に硫黄酸化物の濃度の計測を行うことにより、その変化量から検出することが望ましい。
【0038】
前記劣化吸収液再生装置は、燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を、弱アルカリ性物質とその溶媒とを含み弱アルカリ性を呈する吸収液と接触させて吸収する吸収塔と、吸収液から二酸化炭素を回収する再生塔とを有する二酸化炭素回収装置で吸収液が燃焼排ガスに含まれる硫黄酸化物を吸収して生じる劣化吸収液を再生する装置であって、劣化吸収液に含まれる硫黄酸化物の濃度を検出する硫黄酸化物濃度検出部と、吸収塔又は再生塔から劣化吸収液の一部を抜出す第一の送液部と、吸収液よりも水素イオン濃度が高いアルカリ剤を第一の送液部から送られた劣化吸収液に混合するアルカリ剤混合部と、このアルカリ剤混合部で生成した吸収液と硫黄酸化物の塩とを分離する分離部と、この分離部で分離された吸収液を吸収塔又は再生塔に送る第二の送液部と、アルカリ剤混合部で混合するアルカリ剤の量を硫黄酸化物の濃度から算出する制御部とを備えたことを特徴とする。
【0039】
前記劣化吸収液再生装置は、さらに、分離部で分離された吸収液に弱アルカリ性物質又は溶媒を追加する濃度調整部を備えることが望ましい。
【0040】
前記劣化吸収液再生装置において、硫黄酸化物濃度検出部は、劣化吸収液を分析する液体クロマトグラフであることが望ましい。
【0041】
前記劣化吸収液再生装置において、硫黄酸化物濃度検出部は、吸収塔の入口部及び出口部のガスを分析するガスクロマトグラフであることが望ましい。
【0042】
前記劣化吸収液再生装置において、分離部は、アルカリ剤を混合した劣化吸収液の蒸留を行う蒸発缶であることが望ましい。
【0043】
前記劣化吸収液再生装置において、制御部は、第一の送液部及び第二の送液部の流量を等しくなるように調節することが望ましい。
【0044】
前記劣化吸収液再生装置において、アルカリ剤混合部は、スタティック型ミキサーであることが望ましい。
【0045】
前記二酸化炭素回収システムは、二酸化炭素回収装置と、劣化吸収液再生装置とを備えたことを特徴とする。
【0046】
以下、アミン水溶液を用いた二酸化炭素回収装置とアミン水溶液再生装置との組み合わせについて説明する。下記の実施例においては、微粉炭焚きボイラからの排ガスから二酸化炭素を回収する例を示すが、排ガスの種類は、ボイラからのものに限定されるものではなく、二酸化炭素を含有するガスであればよい。
【実施例1】
【0047】
図1は、二酸化炭素分離・回収システムの概略構成を示したものである。
【0048】
本図において、二酸化炭素分離・回収システム(二酸化炭素回収システムとも呼ぶ。)は、CO2回収装置20と吸収液再生装置30(劣化吸収液再生装置とも呼ぶ。)とを含む構成である。CO2回収装置20は、吸収液102を用いてCO2を吸収する吸収塔5、CO2を吸収した吸収液104からCO2を脱離する再生塔8、脱離したCO2を液化する圧縮機4等を含む。また、吸収液再生装置30は、劣化した吸収液102を抜出して貯留する混合用タンク15(アルカリ剤混合部)、アルカリ剤調製タンク11、蒸発缶17(分離部)、凝縮液タンク12等を含む。
【0049】
微粉炭焚きボイラで発生した燃焼排ガス1は、窒素酸化物(NOx)を除去する脱硝装置、及び煤塵を除去する集塵装置を経て、硫黄酸化物(SOx)を除去する脱硫装置3に入る。脱硫装置3を経た燃焼排ガス101は、CO2回収装置20に導入される。
【0050】
CO2回収装置20において、脱硫装置3を経た燃焼排ガス101は、吸収塔5に導かれる。この燃焼排ガス101は、CO2の吸収液102と気液接触し、燃焼排ガス101に含まれるCO2が吸収される。吸収液102は、例えば、アミン水溶液が好適である。
【0051】
吸収塔5でCO2が除去された排ガス103は、煙突7から排出される。一方、CO2を吸収した吸収液102は、液液熱交換器6でCO2を放出する温度にまで加熱され、再生塔8に導かれ、CO2を脱離する。再生塔8でCO2を脱離した吸収液104は、液液熱交換器6で冷却され、吸収塔5に導かれる。
【0052】
このように、吸収液102、104が吸収塔5と再生塔8とを循環するように構成することにより、CO2の吸収・脱離を繰り返すことができる。
【0053】
吸収液102、104は、CO2を吸収させる場合は低温に、CO2を脱離させる場合は高温にする必要がある。液液熱交換器6は、この温度差に対する熱エネルギーを有効利用している。さらに、CO2の吸収温度及び脱離温度は、吸収液102、104の種類によって最適な温度があり、図示していないが、加熱器や冷却器を追設して、効率よくCO2の吸収・脱離を行う。
【0054】
再生塔8で脱離したCO2を含むガス105には水蒸気も含まれるため、冷却器9でガス105の除湿を行った後、ガス106を圧縮機4で圧縮して、ガス106に含まれるCO2を液化する。
【0055】
SOxを含むガスが吸収液102に接触すると、吸収液102にSOxが吸収され、吸収液102に含まれるアミンとSOxとが反応し、安定な塩を生成する。この塩は、HSS(Heat Stable Salt)と称されている。燃焼排ガス1に含まれるSOxは、脱硫装置3でSOxの大部分を除去するため、吸収液102、104に混入するSOxは、比較的少量ではあるが、吸収液102、104が二酸化炭素回収のために繰り返し使用されているうちに徐々にHSSとして蓄積される。
【0056】
CO2は、吸収液102に吸収される際、アミンと反応する。CO2は、吸収液102を加熱することによって脱離するが、SOxは、CO2の脱離温度では脱離しない。吸収液102、104は、循環させて使用するため、吸収液102の中で生成したHSSは、吸収液102、104に蓄積される。HSSの量が多くなるとCO2の吸収性能は低下する。
【0057】
以下、CO2の吸収性能が低下した吸収液102、104を劣化吸収液と呼ぶことにする。本実施例においては、劣化吸収液が劣化アミン水溶液であるものとして記載しているが、劣化吸収液は、これに限定されるものではない。
【0058】
劣化吸収液を再生するには、まず、劣化吸収液にアルカリ剤を添加してHSSからSOx分を切り離す。アルカリ剤としては、例えば、炭酸ナトリウム(Na2CO3)が挙げられる。
【0059】
劣化吸収液にアルカリ剤を添加すると、劣化吸収液に含まれるアミンは再生されるが、Naイオン(Na)及びSO4イオン(SO42-)が不純物として劣化吸収液に残存しているため、これらの不純物を取り除く必要がある。取り除く方法としては、蒸留法、電気透析法及びイオン交換樹脂法がある。
【0060】
蒸留法は、水及びアミンを蒸発させ、NaイオンとSO4イオンとを反応させ、Na2SO4等を析出させて除去する方法である。
【0061】
電気透析法は、溶液に電圧を印加し、イオン交換膜を介してNaイオン及びSO4イオンを選択的に透過させることにより、Naイオン及びSO4イオンをイオン交換膜で仕切られた領域に集めて除去する方法である。
【0062】
イオン交換膜法は、イオン交換膜にNaイオン及びSO4イオンを吸着させて除去する方法である。
【0063】
本実施例においては、蒸留法を用いて説明するが、電気透析法やイオン交換膜法を適用してもよい。
【0064】
吸収液再生装置30においては、CO2回収装置20の吸収塔5から吸収液102(劣化吸収液)を送液ポンプ32(第一の送液部)によって抜出し、混合用タンク15に貯留する。この混合用タンク15にアルカリ剤調製タンク11よりアルカリ水溶液を添加し、HSSからSOxを切り離してアミンを生成する。アルカリ水溶液の添加量は、バルブ36の開度を調節することによって制御する。アルカリ水溶液の種類によっては、HSSからSOxを切り離す反応が遅いため、混合用タンク15を設けることにより攪拌等による反応の均一化を図ることができ、滞留時間を稼ぐことができる。これにより、添加するアルカリ剤の使用量を抑制することができる。
【0065】
混合用タンク15でHSSからSOx分を切り離した液は、送液ポンプ33によって蒸発缶17に導き、蒸気16の熱を利用して加熱する。水及びアミンが蒸発することにより析出した残渣(濃縮液)は、抜出し管18から排出する。一方、蒸発した水及びアミンは、ガス冷却器19で凝縮し、凝縮液タンク12に貯留される。
【0066】
凝縮液タンク12においては、アミン13及び水14を供給してアミン濃度を調整する。すなわち、凝縮液タンク12は濃度調整部である。凝縮液タンク12内の液は、送液ポンプ34(第二の送液部)を介してCO2回収装置20の再生塔8に戻すことにより再利用する。
【0067】
HSSにアルカリ水溶液を添加し、HSS中のSOxを切り離す工程において、アルカリ剤の添加量を過剰にすれば、析出物の量が多くなる。例えば、Na2CO3を使用すれば、析出物としてNa2SO4の他、Na2CO3も析出する。したがって、アルカリ剤の添加量は、必要量を添加すればよく、多すぎれば過剰となり、アルカリ剤の浪費となる。この問題を解決するためには、アルカリ剤の添加量を制御することが重要となる。
【0068】
図2は、アルカリ剤の添加量を調節する制御部を付設した劣化吸収液再生部(図1の吸収液再生装置30)を示したものである。
【0069】
本図に示すように、劣化吸収液再生部は、混合用タンク15、蒸発缶17、凝縮液タンク12等で構成されている。送液ポンプ32は、図1の吸収塔5から混合用タンク15に劣化吸収液(図1の吸収液102)を送るものである。送液ポンプ33は、アルカリ剤調製タンク11のアルカリ剤を混合した劣化吸収液を混合用タンク15から蒸発缶17に送るものである。蒸発缶17で加熱されて蒸発した水及びアミンは、ガス冷却器19で凝縮し、凝縮液タンク12に貯留される。
【0070】
本図において、混合用タンク15の内部には、液採取部35及び液位センサ37を設けてある。液採取部35は、混合用タンク15内の液(劣化吸収液)を採取してHSS濃度測定部151に送るものであり、HSS濃度測定部151は、液に含まれるHSSの濃度を測定し、その濃度を電気信号に変換して制御部40に送るようになっている。本実施例は、HSS濃度測定部151が液体クロマトグラフの場合である。HSS濃度測定部151は、硫酸イオン、亜硫酸イオン等のSOx成分を総量として測定するものであってもよい。ここで、液採取部35及びHSS濃度測定部151をまとめて硫黄酸化物濃度検出部と呼ぶ。
【0071】
制御部40は、この濃度に関する電気信号、液位センサ37で測定した混合用タンク15の液位等から、必要になるアルカリ剤添加量を算出し、バルブ36に開閉指令を送り、必要量を添加する。これらの一連の操作は、自動化することが可能である。これにより、必要量のアルカリ剤を添加することができる。
【0072】
以下、制御部40に関連する事項について更に説明する。
【0073】
液位センサ37は、送液ポンプ32を稼動することにより混合用タンク15に導いた劣化吸収液が所定の液位に達した場合にも制御部40に信号を送る。この場合、制御部40は、送液ポンプ32を停止する。これも自動化することができる。
【0074】
送液ポンプ32を稼働すると、図1のCO2回収装置20で使用される吸収液102、104(アミン水溶液)が減少するため、減少した吸収液102、104を凝縮液タンク12から補充する必要がある。抜出した劣化吸収液の量、及び補充する再生吸収液の量はそれぞれ、送液ポンプ32、34の出力から算出することができるため、送液ポンプ32、34の出力信号を制御部40に送って計算を行い、送液ポンプ32、34の回転数等の制御を自動的に行うことができる。
【0075】
凝縮液タンク12は、蒸発缶17で蒸発してガス冷却器19で凝縮した水及びアミンを貯留するものであるが、凝縮液のアミン及び水の組成は、CO2回収装置で必要になる組成と同じとは限らない。このため、凝縮液タンク12にアミン13及び水14を供給できるようにし、凝縮液の組成を調整できるようにしてある。
【0076】
混合用タンク15内の劣化吸収液にアルカリ剤を必要量添加し、HSSからSOx成分を脱離した後、送液ポンプ33を稼動して蒸発缶17に混合用タンク15内の液を導く。混合用タンク15内の液が所定の液位以下になった時点で、送液ポンプ33を停止し、再度、送液ポンプ32を稼働して劣化吸収液を混合用タンク15に導き、同様の操作で劣化吸収液を再生する。
【0077】
送液ポンプ32、33、34の液の吐出流量は、同一であることが望ましい。これにより、混合用タンク15、蒸発缶17及び凝縮液タンク12内の吸収液の量が一定に保持され、安定した操作を実現することができる。
【0078】
上記のように安定した操作を実現することにより、図1のCO2回収装置20と同時に稼動することが可能になる。混合用タンク15、蒸発缶17及び凝縮液タンク12の容量は、劣化吸収液の必要とされる再生速度に合わせて設計すればよく、CO2回収装置20の停止期間だけの稼動に限定されない。このため、混合用タンク15、蒸発缶17及び凝縮液タンク12の容量は、停止期間だけ稼動する場合に比べて小型化することができる。
【実施例2】
【0079】
実施例1の場合、図1のCO2回収装置20は連続操作である。これに対して、吸収液再生装置30は回分操作が基本となる。これは、図1の吸収液102、104に蓄積されるSOx成分の量がCO2の処理量に比べて格段に少ないためである。そこで、本実施例においては、吸収液再生装置30も連続操作とする構成を示す。
【0080】
図3は、図1のCO2回収装置20及び吸収液再生装置30を連続稼動させる構成を示したものである。
【0081】
図1のCO2回収装置20及び吸収液再生装置30を同時に連続稼動させるには、CO2回収装置20内のHSS濃度を連続計測する必要がある。
【0082】
そこで、本図においては、液採取部35を再生塔8の下部に設置し、貯留される吸収液104をサンプリングしてHSS濃度をHSS濃度測定部151で測定するようにしてある。なお、液採取部35は、吸収塔5の下部に設置し、貯留される吸収液102をサンプリングしてもよい。本実施例のHSS濃度測定部151も液体クロマトグラフである。
【0083】
また、吸収塔5に送られる燃焼排ガス1(吸収塔5の入口部のガス)の一部を採取するガス採取部301、及び吸収塔5から煙突7に送られるガス(吸収塔5の出口部のガス)の一部を採取するガス採取部303を利用してガスクロマトグラフ等のガス分析部302でSOxの濃度を計測し、それらの濃度差から吸収液102のHSS濃度(硫黄酸化物の濃度)を算出してもよい。
【0084】
本図においては、再生塔8の吸収液104を送液ポンプ32によってスタティック型ミキサー38(アルカリ剤混合部)に導き、アルカリ剤調製タンク11から送液ポンプ33によって送られるアルカリ剤と混合するようになっている。スタティック型ミキサー38を出た液は、蒸発缶17に導かれる。なお、本図における蒸発缶17及び凝縮液タンク12の構成は、実施例1と同様である。
【0085】
ここで、再生塔8から送液ポンプ32によって抜き出される吸収液104の流量を劣化吸収液抜出し流量FHSSと呼ぶことにする。また、アルカリ剤調製タンク11から送液ポンプ33によって送られるアルカリ剤の流量は、アルカリ水溶液流量FOHと呼ぶことにする。
【0086】
HSS濃度測定部35で得られた濃度信号を制御部40に取り込み、必要となるアルカリ剤の添加量を算出し、制御部40で劣化吸収液(吸収液104)の送液ポンプ32及びアルカリ水溶液の送液ポンプ33の動力を制御するようにしてある。送液ポンプ32、33の動力制御により、劣化吸収液及びアルカリ水溶液の連続供給流量を制御する。
【0087】
劣化吸収液を抜出すことにより、CO2回収装置20内の吸収液が減るため、減少した分を凝縮液タンク12から送液ポンプ34を介して補充する。抜出した劣化吸収液の量、及び補充する吸収液の量の制御は制御部40で自動化している。
【0088】
ここで、凝縮液タンク12から送液ポンプ34によって送られる再生吸収液補充流量FAと呼ぶことにする。
【0089】
劣化吸収液とアルカリ水溶液とをスタティック型ミキサー38に導入し、混合するようにした。実施例2においては混合用タンクであったが、HSSからSOx分を切り離す反応が速いアルカリ剤を用いる場合には、スタティック型ミキサーを用いることができ、混合部の容積を低減することができる。
【0090】
つぎに、図1のCO2回収装置20及び吸収液再生装置30の連続稼動の手順について説明する。
【0091】
図4は、CO2回収装置及び吸収液再生装置の連続稼動の工程を示すフロー図である。本図の説明は、主として図3の構成に基づくものである。
【0092】
図4においては、図1のCO2回収装置20を構成する再生塔8内の吸収液104のHSS濃度CHSSを一定の時間間隔で計測する(S401)。その濃度CHSSが規定のCHSS*1以上になった時点で図1の吸収液再生装置30を稼動する(S402)。
【0093】
3基の送液ポンプ32、33、34を起動し(S403)、劣化吸収液抜出し流量FHSS及び再生吸収液補充流量FAが同じになるようにする(S404)。さらに、FHSS 及びCHSSからアルカリ水溶液流量FOHを算出し、供給する(S405)。
【0094】
蒸発缶17は、空焚きしないように規定の液位になった後に加熱する(S406)。さらに、図示していないが、液位が高くなり過ぎないように、FHSS、及びFHSSに合わせて供給するFOHを制御する機能を有することが望ましい。
【0095】
吸収液再生装置を稼動している間、CO2回収装置内には再生吸収液が補充されるため、吸収液中のHSS濃度は低下する。吸収液を再生するには、蒸発させるためのエネルギーが必要であり、HSS濃度が低い場合の再生処理は無駄なエネルギーを使用することになる。
【0096】
そこで、吸収液再生装置を稼動している間、一定の時間間隔でHSS濃度CHSSを計測し(S407)、その濃度CHSSが規定のCHSS*2以下になった時点(S408)で吸収液再生装置の蒸発缶17の加熱を停止する操作(S409)及び送液ポンプ32、33、34の停止操作を行うことが望ましい。
【0097】
以下、HSS濃度の計測方法について説明する。
【0098】
吸収液に含まれるアミン(R-NH2)と硫黄酸化物(SOx)とからHSSすなわち(R-NH2)2SOxが生成する反応は、上記反応式(1)で表される。
【0099】
HSSにはSが含まれていることから、HSSのS分を計測すればよい。
【0100】
また、HSSにアルカリ剤、例えばNa2CO3を加える反応は、上記反応式(2)で表される。
【0101】
上記反応式(2)においてSO42- は硫酸イオンであり、この硫酸イオンを計測すればよい。
【0102】
硫酸イオンは、イオンクロマト法、あるいは、陰イオンを交換する吸着材に通した後、酸で洗浄、滴定する方法で計測することができる。
【0103】
いずれの方法を用いてもよいが、本実施例においては、硫酸イオンを計測する方法を採用した。
【0104】
図5は、硫酸イオン濃度の分析手順を示すフロー図である。
【0105】
図3の再生塔8から一定量の吸収液104(アミン水溶液Wa)を採取し(S501)、Na2CO3を一定量ΔWOH加える(S502)。その際に生成する硫酸イオン量WSO4,tを計測する(S503)。WSO4,tがこの計測の前の計測における硫酸イオン量WSO4,t-1より多ければ、再びNa2CO3を一定量ΔWOH加え(S502)、WSO4,tを計測する(S503)。WSO4,tがWSO4,t-1以下であれば、アルカリ剤であるNa2CO3の供給量(添加量)は、吸収液104に必要とされる供給量に達したと判定する(S505)。ここで、繰り返し添加したNa2CO3の積算量をWOHと定義する。
【0106】
図6は、硫酸イオン濃度の計測結果を示すグラフである。横軸にNa2CO3供給量をとり、縦軸に硫酸イオン量をとっている。
【0107】
本図において、採取した吸収液104に対するNa2CO3供給量が増加するに従って、硫酸イオン量は増加する。ただし、量論比とされるNa2CO3供給量に達した後は、Na2CO3を追加供給しても硫酸イオン量はほとんど増加しない。
【0108】
上記反応式(2)からも分かるように、Na2CO3の添加量の増加に従って、HSSからSOx分が切り離される。典型的には、硫酸イオン量が増加する。
【0109】
本図においては、アミン水溶液Waにおける硫酸イオン量、及び必要とされるNa2CO3量を示してある。プロットしたNa2CO3量の間隔は、図5のΔWOHと等しくしてある。この間隔を小さくし、アミン水溶液Waにおける硫酸イオン量の精度を上げることが望ましい。
【0110】
得られたアミン水溶液Waにおける硫酸イオン量、及びNa2CO3の合計量WOHから、単位アミン水溶液における必要なNa2CO3量をWa/WOHで求めることができる。
【0111】
なお、実際の工程においては、量論比とされるNa2CO3供給量よりも多量のNa2CO3を追加供給することが望ましい。この理由は、吸収液104にNa2CO3を添加した際の反応が必ずしも短時間で均一に進行するとは限らず、未反応の硫黄酸化物が残存することにより吸収液104の劣化が進むことを可能な限り抑制するためである。
【0112】
以上の実施例においては、SOx濃度を液体クロマトグラフで計測しているが、これに限定されるものではなく、吸収塔の入口及び出口のガスをサンプリングしてガスクロマトグラフ等のガス分析によって計測してもよく、これを送液ポンプ等の制御に用いてもよい。
【0113】
また、以上の実施例においては、吸収液としてアミン水溶液を用いたが、本発明は、これに限定されるものではなく、弱アルカリ性物質とその溶媒とを含み弱アルカリ性を呈するCO2吸収液であれば適用可能である。この弱アルカリ性物質は、Na2CO3等のアルカリ剤よりもpHが低いものが好適である。また、この弱アルカリ性物質は、アルカリ剤よりも沸点が低いことが望ましい。
【0114】
硫黄酸化物が水などの溶媒に溶解した場合に生じる硫黄を含む陰イオンと、アルカリ剤が水などの溶媒に溶解した場合に生じる陽イオンとが、溶媒を蒸発させた際に結合して生じる塩を硫黄酸化物の塩と呼ぶことにする。
【符号の説明】
【0115】
1:燃焼排ガス、3:脱硫装置、4:圧縮機、5:吸収塔、6:液液熱交換器、7:煙突、8:再生塔、9:冷却器、11:アルカリ剤調製タンク、12:凝縮液タンク、13:アミン、14:水、15:混合用タンク、16:蒸気、17:蒸発缶、18:抜出し管、19:ガス冷却器、20:CO2回収装置、30:吸収液再生装置、32、33、34:送液ポンプ、35:液採取部、36:バルブ、37:液位センサ、38:スタティック型ミキサー、40:制御部、102、104:吸収液、151:HSS濃度測定部、301、303:ガス採取部、302:ガス分析部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を、弱アルカリ性物質とその溶媒とを含み弱アルカリ性を呈する吸収液を用いて回収する際に前記吸収液が前記燃焼排ガスに含まれる硫黄酸化物を吸収して生じる劣化吸収液を再生する方法であって、前記劣化吸収液に含まれる前記硫黄酸化物の濃度を検出し、前記劣化吸収液の一部を抜出し、前記吸収液よりも水素イオン濃度が高いアルカリ剤を前記濃度から算出した量だけ、抜き出した前記劣化吸収液に混合し、これにより生成した前記吸収液と前記硫黄酸化物の塩とを分離し、分離した前記吸収液を再利用することを特徴とする劣化吸収液再生方法。
【請求項2】
分離した前記吸収液に前記弱アルカリ性物質又は前記溶媒を追加して、再利用する前記吸収液に含まれる前記弱アルカリ性物質の濃度を調整することを特徴とする請求項1記載の劣化吸収液再生方法。
【請求項3】
前記硫黄酸化物の濃度は、前記劣化吸収液を液体クロマトグラフィーにより分析することにより検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の劣化吸収液再生方法。
【請求項4】
前記硫黄酸化物の濃度は、前記吸収液に接触する前のガス及び接触した後のガスを分析することにより検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の劣化吸収液再生方法。
【請求項5】
前記塩の分離は、蒸留法により行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の劣化吸収液再生方法。
【請求項6】
前記劣化吸収液の再生を前記二酸化炭素の回収と同時に連続して行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の劣化吸収液再生方法。
【請求項7】
前記濃度は、前記アルカリ剤を複数回に分けて添加する際にそれぞれの前記アルカリ剤の添加の後に前記濃度の計測を行うことにより、その変化量から検出することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の劣化吸収液再生方法。
【請求項8】
燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を、弱アルカリ性物質とその溶媒とを含み弱アルカリ性を呈する吸収液と接触させて吸収する吸収塔と、前記吸収液から前記二酸化炭素を回収する再生塔とを有する二酸化炭素回収装置で前記吸収液が前記燃焼排ガスに含まれる硫黄酸化物を吸収して生じる劣化吸収液を再生する装置であって、前記劣化吸収液に含まれる前記硫黄酸化物の濃度を検出する硫黄酸化物濃度検出部と、前記吸収塔又は前記再生塔から前記劣化吸収液の一部を抜出す第一の送液部と、前記吸収液よりも水素イオン濃度が高いアルカリ剤を前記第一の送液部から送られた前記劣化吸収液に混合するアルカリ剤混合部と、このアルカリ剤混合部で生成した前記吸収液と前記硫黄酸化物の塩とを分離する分離部と、この分離部で分離された前記吸収液を前記吸収塔又は前記再生塔に送る第二の送液部と、前記アルカリ剤混合部で混合する前記アルカリ剤の量を前記濃度から算出する制御部とを備えたことを特徴とする劣化吸収液再生装置。
【請求項9】
さらに、前記分離部で分離された前記吸収液に前記弱アルカリ性物質又は前記溶媒を追加する濃度調整部を備えたことを特徴とする請求項8記載の劣化吸収液再生装置。
【請求項10】
前記硫黄酸化物濃度検出部は、前記劣化吸収液を分析する液体クロマトグラフであることを特徴とする請求項8又は9に記載の劣化吸収液再生装置。
【請求項11】
前記硫黄酸化物濃度検出部は、前記吸収塔の入口部及び出口部のガスを分析するガスクロマトグラフであることを特徴とする請求項8又は9に記載の劣化吸収液再生装置。
【請求項12】
前記分離部は、前記アルカリ剤を混合した前記劣化吸収液の蒸留を行う蒸発缶であることを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載の劣化吸収液再生装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記第一の送液部及び前記第二の送液部の流量を等しくなるように調節することを特徴とする請求項8〜12のいずれか一項に記載の劣化吸収液再生装置。
【請求項14】
前記アルカリ剤混合部は、スタティック型ミキサーであることを特徴とする請求項8〜13のいずれか一項に記載の劣化吸収液再生装置。
【請求項15】
前記二酸化炭素回収装置と、請求項8〜14のいずれか一項に記載の劣化吸収液再生装置とを備えたことを特徴とする二酸化炭素回収システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−236170(P2012−236170A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107876(P2011−107876)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)
【Fターム(参考)】