励磁装置及び回転電機
【課題】構造の大型化を招くことなく、負荷に流れる電流変動を抑制する。
【解決手段】励磁コイル11に交流電流が流れる、または被励磁ロータ20が励磁ステータ10に対して回転する状態で励磁コイル11に電流が流れることで、励磁コイル11による被励磁コイル21,22の鎖交磁束が変化し、被励磁コイル21,22の一方による磁束は、共有磁路40を通って被励磁コイル21,22の他方に鎖交する。ダイオード31,32は、被励磁コイル21に所定の一方向の電流が流れることで発生し共有磁路40を通る磁束の方向が、被励磁コイル22に所定の一方向の電流が流れることで発生し共有磁路40を通る磁束の方向と逆方向になるように、被励磁コイル21,22及び負荷30に流れる電流を所定の一方向に制限する。
【解決手段】励磁コイル11に交流電流が流れる、または被励磁ロータ20が励磁ステータ10に対して回転する状態で励磁コイル11に電流が流れることで、励磁コイル11による被励磁コイル21,22の鎖交磁束が変化し、被励磁コイル21,22の一方による磁束は、共有磁路40を通って被励磁コイル21,22の他方に鎖交する。ダイオード31,32は、被励磁コイル21に所定の一方向の電流が流れることで発生し共有磁路40を通る磁束の方向が、被励磁コイル22に所定の一方向の電流が流れることで発生し共有磁路40を通る磁束の方向と逆方向になるように、被励磁コイル21,22及び負荷30に流れる電流を所定の一方向に制限する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、励磁コイルと被励磁コイルとの電磁結合を利用して負荷に電流を流す励磁装置、及びこの励磁装置を備える回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の励磁装置を備える回転電機の関連技術が下記特許文献1に開示されている。特許文献1の回転電機は、交流電流が流れることで回転磁界を発生する固定子側の電機子コイルと、交流電流が流れることで励磁される固定子側の励磁コイルと、励磁コイルの励磁により誘導電流が発生する回転子側の3相の発電コイルと、3相の発電コイルに発生する誘導電流を直流に整流する回転子側の3相全波整流回路と、3相全波整流回路で整流された直流電流が流れる回転子側の負荷としての界磁コイルと、を備える。回転子側の界磁コイルに直流電流を流して直流励磁することで、界磁磁束を発生する磁極が回転子に形成され、固定子側の電機子コイルに交流電流を流すことで、回転磁界が固定子に形成される。そして、固定子の回転磁界と回転子の界磁磁束との相互作用により、固定子と回転子との間にトルクが作用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−38903号公報
【特許文献2】特開2009−112091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、界磁コイル(負荷)に流れる直流電流の変動の低減を図るために、3相の発電コイルに誘導電流を発生させ、3相の誘導電流を3相全波整流回路で直流に整流して界磁コイルに流している。そのため、発電コイルとして3相のものを用いる必要があり、整流回路として6個の整流素子を用いる必要がある。その結果、構造が複雑になり大型化する。
【0005】
本発明は、構造の大型化を招くことなく、負荷に流れる電流変動を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る励磁装置及び回転電機は、上述した目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明に係る励磁装置は、電流が流れることで磁束を発生する励磁コイルを含む励磁固定子と、励磁固定子と対向配置された被励磁回転子であって、励磁コイルによる磁束が鎖交し、電流が流れることで磁束を発生する第1及び第2被励磁コイルを含む被励磁回転子と、第1被励磁コイル及び負荷に流れる電流を所定の一方向に制限する第1整流素子と、第2被励磁コイル及び負荷に流れる電流を所定の一方向に制限する第2整流素子と、を備え、励磁固定子及び被励磁回転子には、励磁コイルによる磁束、第1被励磁コイルによる磁束、及び第2被励磁コイルによる磁束が通る共有磁路が設けられ、励磁コイルに交流電流が流れる、または被励磁回転子が励磁固定子に対して回転する状態で励磁コイルに電流が流れることで、励磁コイルによる第1及び第2被励磁コイルの鎖交磁束が変化し、第1及び第2被励磁コイルの一方による磁束は、共有磁路を通って第1及び第2被励磁コイルの他方に鎖交し、第1及び第2整流素子は、第1被励磁コイルに所定の一方向の電流が流れることで発生し共有磁路を通る磁束の方向が、第2被励磁コイルに所定の一方向の電流が流れることで発生し共有磁路を通る磁束の方向と逆方向になるように、負荷に流れる電流を所定の一方向に制限することを要旨とする。
【0008】
本発明の一態様では、励磁コイルに流れる交流電流の周波数を制御することで、負荷に流れる電流を制御する制御装置をさらに備えることが好適である。
【0009】
本発明の一態様では、被励磁回転子が励磁固定子に対して回転する状態で励磁コイルに直流電流が流れることが好適である。
【0010】
また、本発明に係る励磁装置は、磁石を含む励磁固定子と、励磁固定子と対向配置された被励磁回転子であって、磁石による磁束が鎖交し、電流が流れることで磁束を発生する第1及び第2被励磁コイルを含む被励磁回転子と、第1被励磁コイル及び負荷に流れる電流を所定の一方向に制限する第1整流素子と、第2被励磁コイル及び負荷に流れる電流を所定の一方向に制限する第2整流素子と、を備え、励磁固定子及び被励磁回転子には、磁石による磁束、第1被励磁コイルによる磁束、及び第2被励磁コイルによる磁束が通る共有磁路が設けられ、被励磁回転子が励磁固定子に対して回転することで、磁石による第1及び第2被励磁コイルの鎖交磁束が変化し、第1及び第2被励磁コイルの一方による磁束は、共有磁路を通って第1及び第2被励磁コイルの他方に鎖交し、第1及び第2整流素子は、第1被励磁コイルに所定の一方向の電流が流れることで発生し共有磁路を通る磁束の方向が、第2被励磁コイルに所定の一方向の電流が流れることで発生し共有磁路を通る磁束の方向と逆方向になるように、負荷に流れる電流を所定の一方向に制限することを要旨とする。
【0011】
また、本発明に係る回転電機は、本発明に係る励磁装置と、電流が流れることで界磁磁束を発生する界磁コイルを前記負荷として含む界磁回転子と、界磁回転子と対向配置され、電流が流れることで界磁磁束と相互作用する磁界を発生する電機子コイルを含む電機子と、を備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、共有磁路を利用して第1及び第2被励磁コイル間で双方が影響し合って共振現象が生じ、共有磁路を循環する磁束が全体で打ち消し合うように、第1及び第2整流素子により所定の一方向に制限された電流が第1及び第2被励磁コイルに誘導されて負荷に流れる。これによって、構造の大型化を招くことなく、負荷に流れる電流変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る励磁装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る励磁装置の概略構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る励磁装置の動作を説明する図である。
【図4】本発明の実施形態に係る励磁装置の動作を説明する図である。
【図5】本発明の実施形態に係る励磁装置の動作を説明する図である。
【図6】本発明の実施形態に係る励磁装置の動作を説明する図である。
【図7A】本発明の実施形態に係る励磁装置において、励磁コイルに流れる電流、及び負荷に流れる電流の一例を示す図である。
【図7B】本発明の実施形態に係る励磁装置において、励磁コイルに流れる電流、被励磁コイルに流れる電流、及び負荷に流れる電流の一例を示す図である。
【図8A】本発明の実施形態に係る励磁装置において、被励磁コイルに流れる電流、及び負荷に流れる電流の一例を示す図である。
【図8B】本発明の実施形態に係る励磁装置において、被励磁コイルに流れる電流、及び負荷に流れる電流の一例を示す図である。
【図8C】本発明の実施形態に係る励磁装置において、被励磁コイルに流れる電流の一例を示す図である。
【図9A】本発明の実施形態に係る励磁装置において、被励磁コイルに鎖交する磁束の一例を示す図である。
【図9B】本発明の実施形態に係る励磁装置において、励磁コイルに流れる電流、被励磁コイルに流れる電流、及び負荷に流れる電流の一例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る励磁装置の他の概略構成を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る励磁装置の他の概略構成を示す図である。
【図12】本発明の実施形態に係る励磁装置を備える回転電機の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
【0015】
図1,2は、本発明の実施形態に係る励磁装置の概略構成を示す図である。励磁コイル11は電源13に接続されている。電源13から励磁コイル11に電流が流れることで、励磁コイル11は磁束を発生し、発生した磁束は共有磁路40を通って被励磁コイル21,22に鎖交する。電源13から励磁コイル11に流す電流は、制御装置60によって制御される。
【0016】
被励磁コイル21はダイオード(整流素子)31を介して負荷30に接続されていることで、被励磁コイル21及び負荷30に流れる電流がダイオード31により所定の一方向に制限され、被励磁コイル22はダイオード(整流素子)32を介して負荷30に接続されていることで、被励磁コイル22及び負荷30に流れる電流がダイオード32により所定の一方向に制限される。負荷30の一端が各ダイオード31,32の一端にそれぞれ接続され、負荷30の他端が各被励磁コイル21,22の一端にそれぞれ接続されていることで、負荷30が被励磁コイル21,22とダイオード31,32に対してT字状に結線されている。負荷30の例としては、回転電機の界磁ロータに設けられる界磁コイル等の誘導性負荷が挙げられるが、コイル等の誘導性負荷に限られるものではない。
【0017】
被励磁コイル21に鎖交する磁束が変化すると、被励磁コイル21に誘起電圧が発生する。ただし、被励磁コイル21に流れる誘導電流はダイオード31により所定の一方向に制限(整流)されるため、被励磁コイル21の電流により発生する磁束の方向も所定の一方向に制限される。同様に、被励磁コイル22に鎖交する磁束が変化すると、被励磁コイル22に誘起電圧が発生する。ただし、被励磁コイル22に流れる誘導電流はダイオード32により所定の一方向に制限(整流)されるため、被励磁コイル22の電流により発生する磁束の方向も所定の一方向に制限される。被励磁コイル21の電流により発生した磁束は共有磁路40を通って被励磁コイル22に鎖交し、被励磁コイル22の電流により発生した磁束は共有磁路40を通って被励磁コイル21に鎖交する。
【0018】
本実施形態では、例えば図1の矢印61,62に示すように、被励磁コイル21に所定の一方向の電流が流れることで発生し共有磁路40を通る磁束の方向が、被励磁コイル22に所定の一方向の電流が流れることで発生し共有磁路40を通る磁束の方向と逆方向になるように、被励磁コイル21,22の巻回方向、及びダイオード31,32による被励磁コイル21,22の電流の整流方向が設定されている。図1に示す例では、被励磁コイル21,22の巻回方向が互いに同方向であり、ダイオード31のアノード側が被励磁コイル21の他端に接続され、ダイオード32のアノード側が被励磁コイル22の他端に接続され、ダイオード31,32のカソード側が負荷30の一端に接続されている。これによって、負荷30に流れる電流は、被励磁コイル21からダイオード31を介して流れる電流と、被励磁コイル22からダイオード32を介して流れる電流とで、互いに同方向になり、所定の一方向(直流)に制限される。ただし、ダイオード31のカソード側を被励磁コイル21の他端に接続し、ダイオード32のカソード側を被励磁コイル22の他端に接続し、ダイオード31,32のアノード側を負荷30の一端に接続することも可能である。
【0019】
励磁ステータ10と被励磁ロータ20が対向配置されており、励磁コイル11は励磁ステータ10に設けられており、被励磁コイル21,22とダイオード31,32は被励磁ロータ20に設けられており、共有磁路40は励磁ステータ10及び被励磁ロータ20に設けられている。ただし、ダイオード31,32については、被励磁ロータ20の外部の回転部材に設けることも可能である。図2に示す例では、励磁ステータ10と被励磁ロータ20が、ロータ回転軸線と直交する径方向(以下単に径方向とする)において微小空隙を空けて対向配置されている。励磁ステータ10のステータコア44においては、ステータヨーク43から径方向(径方向内側)に被励磁ロータ20へ向けて突出する複数のステータティース41がロータ回転軸線まわりの周方向(以下単に周方向とする)に沿って互いに間隔をおいて(等間隔で)配列されており、ステータティース41に励磁コイル11が巻回されている。被励磁ロータ20のロータコア54においては、ロータヨーク53から径方向(径方向外側)に励磁ステータ10へ向けて突出する複数のロータティース51,52が周方向に沿って互いに間隔をおいて(等間隔で)配列されており、ロータティース51,52に被励磁コイル21,22がそれぞれ巻回されている。被励磁コイル21,22(ロータティース51,52)は周方向において交互に配置され、ロータティース51,52間の周方向間隔は、ステータティース41間の周方向間隔と等間隔であり、ロータティース51がステータティース41と対向する状態では、ロータティース52が他のステータティース41と対向する。ステータコア44(周方向に隣接する2つのステータティース41、及びステータヨーク43)によりステータ側磁路が形成され、ロータコア54(ロータティース52、ロータヨーク53、及びロータティース51)によりロータ側磁路が形成される。そして、隣接するステータティース41の一方、ステータヨーク43、隣接するステータティース41の他方、ロータティース52、ロータヨーク53、及びロータティース51により、循環磁路である共有磁路40が形成される。
【0020】
ダイオード31は、被励磁コイル21の電流によりロータティース51に発生する磁束の方向が、図2の矢印61に示す径方向内側(ロータティース51からロータヨーク53に流れる方向)の一方向に制限されるように、被励磁コイル21に流れる電流を所定の一方向に制限する。つまり、ダイオード31は、ロータティース51に径方向外側(ロータティース51からステータティース41に流れる方向)の磁束を発生させる方向の電流については遮断する。ダイオード32は、被励磁コイル22の電流によりロータティース52に発生する磁束の方向が、図2の矢印62に示す径方向内側(ロータティース52からロータヨーク53に流れる方向)の一方向に制限されるように、被励磁コイル22に流れる電流を所定の一方向に制限する。つまり、ダイオード32は、ロータティース52に径方向外側(ロータティース52からステータティース41に流れる方向)の磁束を発生させる方向の電流については遮断する。励磁コイル11は、電流が流れる場合に、周方向に隣接する2つのステータティース41に発生する磁束の方向が径方向外側及び径方向内側にそれぞれなるように、各ステータティース41への巻回方向が設定されている。
【0021】
被励磁ロータ20の回転が停止しており、ロータティース51,52が周方向に隣接する2つのステータティース41とそれぞれ対向している状態で、電源13から励磁コイル11に交流電流を流すと、各ステータティース41に磁束が発生する。励磁コイル11の電流により周方向に隣接する2つのステータティース41に発生する磁束は、共有磁路40において互いに強め合う。その結果、励磁コイル11の電流による磁束は、例えば図3の矢印63に示すように、隣接するステータティース41の一方、ステータヨーク43、隣接するステータティース41の他方、ロータティース52、ロータヨーク53、及びロータティース51を通って、共有磁路40(循環磁路)全体を循環する磁束となる。この循環磁束が、被励磁コイル21を径方向外側(ロータティース51からステータティース41に流れる方向)に鎖交するとともに、被励磁コイル22を径方向内側(ステータティース41からロータティース52に流れる方向)に鎖交する。なお、図3において、○(白丸印)内に●(黒丸印)の部分は図面の手前方向の電流が流れる場合を表し、○(白丸印)内に×(バツ印)の部分は図面の奥方向の電流が流れる場合を表す(以下の図でも同様)。
【0022】
励磁コイル11に流れる電流が変化すると、図3の矢印63に示す循環磁束も変化し、励磁コイル11の電流により被励磁コイル21に鎖交する磁束量が、励磁コイル11の電流により被励磁コイル22に鎖交する磁束量と同様に変化する。そのため、被励磁コイル21,22には、鎖交磁束量の変化を抑えるための誘起電圧が発生する。例えば、被励磁コイル21を径方向外側に鎖交する磁束量が、被励磁コイル22を径方向内側に鎖交する磁束量と同様に増加する場合は、被励磁コイル21には、径方向内側(ステータティース41からロータティース51に流れる方向)の磁束を発生させるための誘起電圧が発生し、被励磁コイル22には、径方向外側(ロータティース52からステータティース42に流れる方向)の磁束を発生させるための誘起電圧が発生する。ただし、ロータティース51に径方向内側の磁束を発生させる方向の被励磁コイル21の誘導電流は、ダイオード31によって許容されるものの、ロータティース52に径方向外側の磁束を発生させる方向の被励磁コイル22の誘導電流は、ダイオード32によって遮断される。そのため、被励磁コイル21には、鎖交磁束量の増加を抑えるための誘導電流が流れることで、ロータティース51に径方向内側の磁束が発生するが、被励磁コイル22には、鎖交磁束量の増加を抑えるための誘導電流はダイオード32によって遮断されて流れず、ロータティース52に径方向外側の磁束も発生しない。被励磁コイル21の誘導電流によりロータティース51に発生した磁束は、図4の矢印64に示すように、ロータヨーク53、ロータティース52、隣接するステータティース41の他方、ステータヨーク43、及び隣接するステータティース41の一方を通って、共有磁路40(循環磁路)全体を循環することで、励磁コイル11の電流による循環磁束(図4の矢印63に示す)を打ち消すように反発し合う。被励磁コイル21に発生した誘導電流は、ダイオード31を介して負荷30に流れ、被励磁コイル21の誘導電流による磁束は、被励磁コイル22を径方向外側に鎖交する。
【0023】
励磁コイル11に流れる電流の方向が図3,4に示す状態と逆方向になると、図5の矢印63に示すように、励磁コイル11の電流による循環磁束の方向も反転し、励磁コイル11の電流による循環磁束が被励磁コイル21を径方向内側(ステータティース41からロータティース51に流れる方向)に鎖交し、励磁コイル11の電流による循環磁束が被励磁コイル22を径方向外側(ロータティース52からステータティース41に流れる方向)に鎖交する。その場合に、ロータティース51に径方向外側の磁束を発生させる方向の被励磁コイル21の誘導電流は、ダイオード31によって遮断されるため、被励磁コイル21の電流は減少してロータティース51に発生する磁束も減少する。一方、ロータティース52に径方向内側の磁束を発生させる方向の被励磁コイル22の誘導電流は、ダイオード32によって許容されるため、被励磁コイル22に誘導電流が発生する。その際には、励磁コイル11の電流により被励磁コイル22を径方向外側に鎖交する磁束だけでなく、被励磁コイル21の電流により被励磁コイル22を径方向外側に鎖交する磁束も打ち消すように、被励磁コイル22に誘導電流が発生してロータティース52に径方向内側の磁束が発生する。つまり、励磁コイル11の電流による磁束の変化によって誘導されるだけでなく、被励磁コイル21の電流による磁束の変化によっても、被励磁コイル22に誘導電流が発生する。すなわち、双方の被励磁コイル21,22が互いに影響し合って誘導電流を増加させる。被励磁コイル22の誘導電流によりロータティース52に発生した磁束は、図6の矢印64に示すように、ロータヨーク53、ロータティース51、隣接するステータティース41の一方、ステータヨーク43、及び隣接するステータティース41の他方を通って、共有磁路40(循環磁路)全体を循環することで、励磁コイル11及び被励磁コイル21の電流による循環磁束(図6の矢印63に示す)を打ち消すように反発し合う。被励磁コイル22に発生した誘導電流は、ダイオード32を介して負荷30に流れ、被励磁コイル22の誘導電流による磁束は、被励磁コイル21を径方向外側に鎖交する。
【0024】
励磁コイル11に流れる電流が交流で変化すると、図4に示す状態と図6に示す状態とが交互に繰り返される。図4に示す状態から図6に示す状態に移行する際には、励磁コイル11の電流により被励磁コイル22に鎖交する磁束、及び被励磁コイル21の電流により被励磁コイル22に鎖交する磁束を打ち消すように、被励磁コイル22の誘導電流が増加する。図6に示す状態から図4に示す状態に移行する際には、励磁コイル11の電流により被励磁コイル21に鎖交する磁束、及び被励磁コイル22の電流により被励磁コイル21に鎖交する磁束を打ち消すように、被励磁コイル21の誘導電流が増加する。これによって、共有磁路40全体を循環する磁束(図4,6の矢印63,64に示す)が全体で打ち消し合うように、被励磁コイル21の電流が減少するとともに被励磁コイル22の電流が増加する現象と、被励磁コイル22の電流が減少するとともに被励磁コイル21の電流が増加する現象とが交互に繰り返される。その結果、励磁コイル11に流れる電流(励磁電流)、被励磁コイル21,22に流れる電流、及び負荷30に流れる電流は、図7A,7Bに示すようになる。図7Bは、図7AのA部の拡大図を示す。図7Bに示すように、負荷30に流れる電流は、被励磁コイル21に流れる電流と被励磁コイル22に流れる電流とを合成した電流となり、励磁コイル11の交流電流の周波数及び振幅が一定の場合は、励磁コイル11の交流電流の振幅より大きい一定値にほぼ収束する直流電流となる。このように、励磁コイル11に流す電流を交流で変化させることで、被励磁ロータ20の回転が停止している状態でも、被励磁コイル21,22に電流を誘導して負荷30に流すことができ、その際には、スリップリングを必要としない。
【0025】
電源13から励磁コイル11に流す交流電流の周波数を変化させた場合における被励磁コイル21,22に流れる電流及び負荷30に流れる電流を図8A〜8Cに示す。図8Aは、励磁コイル11の交流電流の周波数がf/6(fはある正数)である場合の被励磁コイル21,22に流れる電流及び負荷30に流れる電流を示し、図8Bは、励磁コイル11の交流電流の周波数がf(図8Aの6倍)である場合の被励磁コイル21,22に流れる電流及び負荷30に流れる電流を示し、図8Cは、励磁コイル11の交流電流の周波数がf,f/6である場合の被励磁コイル21に流れる電流を示す。励磁コイル11に流す交流電流の周波数を低下させると、被励磁コイル21,22と負荷30のインダクタンス成分によるインピーダンス、及び被励磁コイル21,22に発生する誘起電圧も低下するが、被励磁コイル21,22と負荷30の抵抗成分によるインピーダンスは変化せず、その割合が相対的に増加する。その結果、励磁コイル11に流す交流電流の周波数を低下させると、図8A〜8Cに示すように、被励磁コイル21,22に流れる電流の振幅が小さくなり、負荷30に流れる直流電流が小さくなる。そこで、制御装置60は、電源13から励磁コイル11に流す交流電流の周波数を制御することで、負荷30に流れる直流電流の大きさを制御することができる。また、制御装置60は、電源13から励磁コイル11に流す交流電流の振幅を制御することによっても、負荷30に流れる直流電流の大きさを制御することが可能である。
【0026】
また、被励磁ロータ20が励磁ステータ10に対して回転している状態では、電源13から励磁コイル11に直流電流を流しても、励磁コイル11の電流により被励磁コイル21に鎖交する磁束量が、励磁コイル11の電流により被励磁コイル22に鎖交する磁束量と同様に変化する。したがって、被励磁ロータ20が回転している状態で励磁コイル11に直流電流を流す場合でも、被励磁ロータ20が停止している状態で励磁コイル11に交流電流を流す場合と同様に、共有磁路40を流れる磁束が全体で打ち消し合うように、被励磁コイル21の電流が減少するとともに被励磁コイル22の電流が増加する現象と、被励磁コイル22の電流が減少するとともに被励磁コイル21の電流が増加する現象とが交互に繰り返される。その結果、負荷30に流れる電流は、励磁コイル11の直流電流の大きさ及び被励磁ロータ20の回転速度が一定の場合は、ほぼ一定値に収束する直流電流となる。なお、被励磁ロータ20の回転速度が低下すると、被励磁コイル21,22に流れる電流の振幅が小さくなり、負荷30に流れる直流電流が小さくなる。制御装置60は、電源13から励磁コイル11に流す直流電流の大きさを制御することで、負荷30に流れる直流電流の大きさを制御することが可能である。このように、被励磁ロータ20が回転している状態で励磁コイル11に直流電流を流すことで、少ないパワーで被励磁コイル21,22に電流を誘導して負荷30に流すことができる。
【0027】
また、被励磁ロータ20が励磁ステータ10に対して回転している状態で、電源13から励磁コイル11に交流電流を流しても、励磁コイル11の電流により被励磁コイル21に鎖交する磁束量が、励磁コイル11の電流により被励磁コイル22に鎖交する磁束量と同様に変化する。したがって、被励磁ロータ20が回転している状態で励磁コイル11に交流電流を流す場合でも、被励磁ロータ20が停止している状態で励磁コイル11に交流電流を流す場合と同様に、共有磁路40を流れる磁束が全体で打ち消し合うように、被励磁コイル21の電流が減少するとともに被励磁コイル22の電流が増加する現象と、被励磁コイル22の電流が減少するとともに被励磁コイル21の電流が増加する現象とが交互に繰り返される。その結果、負荷30に流れる電流は、励磁コイル11の交流電流の周波数及び振幅と被励磁ロータ20の回転速度が一定の場合は、ほぼ一定値に収束する直流電流となる。制御装置60は、電源13から励磁コイル11に流す交流電流の周波数及び振幅の少なくとも一方を制御することで、負荷30に流れる直流電流の大きさを制御することが可能である。
【0028】
なお、励磁コイル11に交流電流を流すと、交番磁界が発生する。交番磁界は、互いに同じ強さの回転磁界(正相、逆相)が互いに逆向きに発生すると考えることができる。そのため、被励磁ロータ20が回転している状態で励磁コイル11に交流電流を流す場合に、被励磁コイル21,22に鎖交する磁束の変動は、交流電流の周波数による正相、逆相成分と、被励磁ロータ20の電気周波数のそれぞれの速度差成分の合成となる。また、被励磁コイル21,22には、正相と逆相の合成成分の鎖交磁束変動を抑制するように、誘導電流が発生する。その結果、被励磁コイル21,22の鎖交磁束は、例えば図9Aに示すようになり、励磁コイル11に流れる電流(励磁電流)、被励磁コイル21,22に流れる電流、及び負荷30に流れる電流は、例えば図9Bに示すようになる。ただし、図9A,9Bでは、励磁コイル11の交流電流の周波数fsを12fr(frは正数)、被励磁ロータ20の電気周波数Pfrを4fr(P=4:極数)としている。
【0029】
以上説明した本実施形態によれば、共有磁路40を利用して被励磁コイル21,22間で双方が影響し合って共振現象が生じ、共有磁路40を循環する磁束(図4,6の矢印63,64に示す)が全体で打ち消し合うように、磁束のリップル分がなくなるまで同共振が継続するため、励磁コイル11に印加する起磁力(AT)よりも大きな起磁力(AT)を取り出すことができる。さらに、磁束が共有磁路40全体を循環することで、多くの磁束を利用して被励磁コイル21,22に電流を誘導して負荷30に流すことができる。したがって、負荷30に流れる直流電流を増加させることができるとともに、負荷30に流れる直流電流の変動を抑制することができる。その際に、被励磁ロータ20側の回路構成は、2つの被励磁コイル21,22と2つのダイオード31,32で実現可能であるため、特許文献1のように、3相の発電コイルに発生した誘導電流を3相全波整流回路(6個のダイオード)で直流に整流して負荷に流す回路構成と比較して、構成を簡略化することができ、小型化を実現することができる。
【0030】
本実施形態では、励磁ステータ10及び被励磁ロータ20を、例えば図10に示すように構成することも可能である。励磁ステータ10のステータコア44においては、ステータヨーク43から径方向(径方向内側)に被励磁ロータ20へ向けて全周に渡って突出する突出部45,46がロータ回転軸線方向の両端部にそれぞれ設けられ、突出部45,46間にスロット47が周方向に沿って形成されている。励磁コイル11はスロット47を通って周方向に沿って環状に巻回されている。被励磁ロータ20のロータコア54においては、ロータヨーク53から径方向(径方向外側)に励磁ステータ10(突出部45,46)へ向けて突出する突出部55,56がロータ回転軸線方向の両端部にそれぞれ設けられ、突出部55,56間にスロット57が周方向に沿って形成されている。被励磁コイル21はスロット57における突出部55側の位置を通って周方向に沿って環状に巻回され、被励磁コイル22はスロット57における突出部56側の位置を通って周方向に沿って環状に巻回されている。ステータコア44(突出部45、ステータヨーク43、及び突出部46)によりステータ側磁路が形成され、ロータコア54(突出部56、ロータヨーク53、及び突出部55)によりロータ側磁路が形成される。そして、突出部45、ステータヨーク43、突出部46、突出部56、ロータヨーク53、及び突出部55により、循環磁路である共有磁路40が形成される。
【0031】
図10に示す構成例でも、図1,2に示す構成例と同様に、電源13から励磁コイル11に交流電流を流す。そして、被励磁コイル21に流れる所定の一方向の電流により共有磁路40を通る磁束の方向(例えば図10の矢印61に示す方向)が、被励磁コイル22に流れる所定の一方向の電流により共有磁路40を通る磁束の方向(例えば図10の矢印62に示す方向)と逆方向になるように、被励磁コイル21,22の巻回方向、及びダイオード31,32による被励磁コイル21,22の電流の整流方向を設定する。
【0032】
また、本実施形態では、例えば図11に示すように、励磁ステータ10に永久磁石71を励磁コイル11の代わりに設けることも可能である。図11に示す構成例では、ステータヨーク43から径方向(径方向内側)に被励磁ロータ20へ向けて突出する複数の永久磁石71が周方向に沿って互いに間隔をおいて(等間隔で)配列されている。永久磁石71間の周方向間隔は、ロータティース51,52間の周方向間隔と等間隔であり、ロータティース51が永久磁石71と対向する状態では、ロータティース52が他の永久磁石71と対向する。ステータヨーク43、ロータティース52、ロータヨーク53、及びロータティース51により、永久磁石71による磁束、及び被励磁コイル21,22による磁束が通る共有磁路40が形成される。周方向に隣接する2つの永久磁石71の着磁方向は、一方の径方向内側(被励磁ロータ20との対向面)がN極であり、他方の径方向内側がS極であることで、隣接する2つの永久磁石71の発生する磁束が共有磁路40において互いに強め合う(磁束の方向が互いに同方向になる)。被励磁ロータ20が励磁ステータ10に対して回転することで、永久磁石71による被励磁コイル21の鎖交磁束量が、永久磁石71による被励磁コイル22の鎖交磁束量と同様に変化する。他の構成については図1,2に示す構成例と同様である。
【0033】
図11に示す構成例の動作は、被励磁ロータ20が励磁ステータ10に対して回転する状態で励磁コイル11に直流電流を流す場合の動作と同様である。つまり、被励磁ロータ20が励磁ステータ10に対して回転することで、共有磁路40を流れる磁束が全体で打ち消し合うように、被励磁コイル21の電流が減少するとともに被励磁コイル22の電流が増加する現象と、被励磁コイル22の電流が減少するとともに被励磁コイル21の電流が増加する現象とが交互に繰り返される。その結果、負荷30に流れる電流は、被励磁ロータ20の回転速度が一定の場合は、ほぼ一定値に収束する直流電流となる。
【0034】
本実施形態に係る励磁装置を備える回転電機の構成例を図12に示す。電機子(ステータ)110は、交流電流が流れることで回転磁界を発生可能な電機子コイル112を含み、励磁ステータ10と機械的に連結されている。界磁ロータ120は、電流が流れることで界磁磁束を発生可能な界磁コイルを負荷30として含み、被励磁ロータ20と機械的に連結されている。電機子110と界磁ロータ120が、径方向において微小空隙を空けて対向配置されている。本実施形態に係る励磁装置により界磁コイル(負荷)30に直流電流を流すことで、界磁ロータ120に界磁磁束が発生し、電機子コイル112に交流電流を流すことで、電機子110に回転磁界が発生する。そして、電機子コイル112の交流電流による電機子110の回転磁界が、界磁コイル30の直流電流による界磁ロータ120の界磁磁束と相互作用することで、電機子110と界磁ロータ120との間にトルクが作用して界磁ロータ120が被励磁ロータ20とともに回転駆動する。なお、電機子110と界磁ロータ120との間にトルクを作用させるための電機子110及び界磁ロータ120の具体的構成については周知の構成で実現可能であるため詳細な説明を省略する。
【0035】
制御装置60は、界磁ロータ120の回転速度とトルク指令値に基づいて、界磁コイル(負荷)30の直流電流を制御する。例えば、界磁ロータ120の回転速度が所定回転速度より高い場合は、界磁ロータ120の回転速度が所定回転速度以下の場合と比較して界磁コイル30の直流電流を減少させる、あるいは界磁コイル30に電流が流れないように制御する。これによって、弱め界磁制御を行うことができる。また、界磁ロータ120のトルク指令値が所定値より大きい場合は、界磁ロータ120のトルク指令値が所定値以下の場合と比較して界磁コイル30の直流電流を増加させる。これによって、強め界磁制御を行うことができる。なお、励磁コイル11に交流電流を流す場合は、制御装置60は、励磁コイル11の交流電流の周波数を低くするか振幅を小さくすることで、界磁コイル30の直流電流を減少させることができ、励磁コイル11の交流電流の周波数を高くするか振幅を大きくすることで、界磁コイル30の直流電流を増加させることができる。また、被励磁ロータ20が回転している状態で励磁コイル11に直流電流を流す場合は、制御装置60は、励磁コイル11の直流電流を小さくすることで、界磁コイル30の直流電流を減少させることができ、励磁コイル11の直流電流を大きくすることで、界磁コイル30の直流電流を増加させることができる。
【0036】
なお、図12では、励磁ステータ10に励磁コイル11を設けた例を示しているが、例えば図11に示す構成例を適用して、励磁ステータ10に永久磁石71を設けることも可能である。また、ダイオード31,32については、被励磁ロータ20に設けることも可能であるし、例えば界磁ロータ120等、被励磁ロータ20の外部の回転部材に設けることも可能である。
【0037】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0038】
10 励磁ステータ、11 励磁コイル、13 電源、20 被励磁ロータ、21,22 被励磁コイル、30 負荷(界磁コイル)、31,32 ダイオード、40 共有磁路、41 ステータティース、43 ステータヨーク、44 ステータコア、45,46,55,56 突出部、47,57 スロット、51,52 ロータティース、53 ロータヨーク、54 ロータコア、60 制御装置、71 永久磁石、110 電機子(ステータ)、112 電機子コイル、120 界磁ロータ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、励磁コイルと被励磁コイルとの電磁結合を利用して負荷に電流を流す励磁装置、及びこの励磁装置を備える回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の励磁装置を備える回転電機の関連技術が下記特許文献1に開示されている。特許文献1の回転電機は、交流電流が流れることで回転磁界を発生する固定子側の電機子コイルと、交流電流が流れることで励磁される固定子側の励磁コイルと、励磁コイルの励磁により誘導電流が発生する回転子側の3相の発電コイルと、3相の発電コイルに発生する誘導電流を直流に整流する回転子側の3相全波整流回路と、3相全波整流回路で整流された直流電流が流れる回転子側の負荷としての界磁コイルと、を備える。回転子側の界磁コイルに直流電流を流して直流励磁することで、界磁磁束を発生する磁極が回転子に形成され、固定子側の電機子コイルに交流電流を流すことで、回転磁界が固定子に形成される。そして、固定子の回転磁界と回転子の界磁磁束との相互作用により、固定子と回転子との間にトルクが作用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−38903号公報
【特許文献2】特開2009−112091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、界磁コイル(負荷)に流れる直流電流の変動の低減を図るために、3相の発電コイルに誘導電流を発生させ、3相の誘導電流を3相全波整流回路で直流に整流して界磁コイルに流している。そのため、発電コイルとして3相のものを用いる必要があり、整流回路として6個の整流素子を用いる必要がある。その結果、構造が複雑になり大型化する。
【0005】
本発明は、構造の大型化を招くことなく、負荷に流れる電流変動を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る励磁装置及び回転電機は、上述した目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明に係る励磁装置は、電流が流れることで磁束を発生する励磁コイルを含む励磁固定子と、励磁固定子と対向配置された被励磁回転子であって、励磁コイルによる磁束が鎖交し、電流が流れることで磁束を発生する第1及び第2被励磁コイルを含む被励磁回転子と、第1被励磁コイル及び負荷に流れる電流を所定の一方向に制限する第1整流素子と、第2被励磁コイル及び負荷に流れる電流を所定の一方向に制限する第2整流素子と、を備え、励磁固定子及び被励磁回転子には、励磁コイルによる磁束、第1被励磁コイルによる磁束、及び第2被励磁コイルによる磁束が通る共有磁路が設けられ、励磁コイルに交流電流が流れる、または被励磁回転子が励磁固定子に対して回転する状態で励磁コイルに電流が流れることで、励磁コイルによる第1及び第2被励磁コイルの鎖交磁束が変化し、第1及び第2被励磁コイルの一方による磁束は、共有磁路を通って第1及び第2被励磁コイルの他方に鎖交し、第1及び第2整流素子は、第1被励磁コイルに所定の一方向の電流が流れることで発生し共有磁路を通る磁束の方向が、第2被励磁コイルに所定の一方向の電流が流れることで発生し共有磁路を通る磁束の方向と逆方向になるように、負荷に流れる電流を所定の一方向に制限することを要旨とする。
【0008】
本発明の一態様では、励磁コイルに流れる交流電流の周波数を制御することで、負荷に流れる電流を制御する制御装置をさらに備えることが好適である。
【0009】
本発明の一態様では、被励磁回転子が励磁固定子に対して回転する状態で励磁コイルに直流電流が流れることが好適である。
【0010】
また、本発明に係る励磁装置は、磁石を含む励磁固定子と、励磁固定子と対向配置された被励磁回転子であって、磁石による磁束が鎖交し、電流が流れることで磁束を発生する第1及び第2被励磁コイルを含む被励磁回転子と、第1被励磁コイル及び負荷に流れる電流を所定の一方向に制限する第1整流素子と、第2被励磁コイル及び負荷に流れる電流を所定の一方向に制限する第2整流素子と、を備え、励磁固定子及び被励磁回転子には、磁石による磁束、第1被励磁コイルによる磁束、及び第2被励磁コイルによる磁束が通る共有磁路が設けられ、被励磁回転子が励磁固定子に対して回転することで、磁石による第1及び第2被励磁コイルの鎖交磁束が変化し、第1及び第2被励磁コイルの一方による磁束は、共有磁路を通って第1及び第2被励磁コイルの他方に鎖交し、第1及び第2整流素子は、第1被励磁コイルに所定の一方向の電流が流れることで発生し共有磁路を通る磁束の方向が、第2被励磁コイルに所定の一方向の電流が流れることで発生し共有磁路を通る磁束の方向と逆方向になるように、負荷に流れる電流を所定の一方向に制限することを要旨とする。
【0011】
また、本発明に係る回転電機は、本発明に係る励磁装置と、電流が流れることで界磁磁束を発生する界磁コイルを前記負荷として含む界磁回転子と、界磁回転子と対向配置され、電流が流れることで界磁磁束と相互作用する磁界を発生する電機子コイルを含む電機子と、を備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、共有磁路を利用して第1及び第2被励磁コイル間で双方が影響し合って共振現象が生じ、共有磁路を循環する磁束が全体で打ち消し合うように、第1及び第2整流素子により所定の一方向に制限された電流が第1及び第2被励磁コイルに誘導されて負荷に流れる。これによって、構造の大型化を招くことなく、負荷に流れる電流変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る励磁装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る励磁装置の概略構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る励磁装置の動作を説明する図である。
【図4】本発明の実施形態に係る励磁装置の動作を説明する図である。
【図5】本発明の実施形態に係る励磁装置の動作を説明する図である。
【図6】本発明の実施形態に係る励磁装置の動作を説明する図である。
【図7A】本発明の実施形態に係る励磁装置において、励磁コイルに流れる電流、及び負荷に流れる電流の一例を示す図である。
【図7B】本発明の実施形態に係る励磁装置において、励磁コイルに流れる電流、被励磁コイルに流れる電流、及び負荷に流れる電流の一例を示す図である。
【図8A】本発明の実施形態に係る励磁装置において、被励磁コイルに流れる電流、及び負荷に流れる電流の一例を示す図である。
【図8B】本発明の実施形態に係る励磁装置において、被励磁コイルに流れる電流、及び負荷に流れる電流の一例を示す図である。
【図8C】本発明の実施形態に係る励磁装置において、被励磁コイルに流れる電流の一例を示す図である。
【図9A】本発明の実施形態に係る励磁装置において、被励磁コイルに鎖交する磁束の一例を示す図である。
【図9B】本発明の実施形態に係る励磁装置において、励磁コイルに流れる電流、被励磁コイルに流れる電流、及び負荷に流れる電流の一例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る励磁装置の他の概略構成を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る励磁装置の他の概略構成を示す図である。
【図12】本発明の実施形態に係る励磁装置を備える回転電機の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
【0015】
図1,2は、本発明の実施形態に係る励磁装置の概略構成を示す図である。励磁コイル11は電源13に接続されている。電源13から励磁コイル11に電流が流れることで、励磁コイル11は磁束を発生し、発生した磁束は共有磁路40を通って被励磁コイル21,22に鎖交する。電源13から励磁コイル11に流す電流は、制御装置60によって制御される。
【0016】
被励磁コイル21はダイオード(整流素子)31を介して負荷30に接続されていることで、被励磁コイル21及び負荷30に流れる電流がダイオード31により所定の一方向に制限され、被励磁コイル22はダイオード(整流素子)32を介して負荷30に接続されていることで、被励磁コイル22及び負荷30に流れる電流がダイオード32により所定の一方向に制限される。負荷30の一端が各ダイオード31,32の一端にそれぞれ接続され、負荷30の他端が各被励磁コイル21,22の一端にそれぞれ接続されていることで、負荷30が被励磁コイル21,22とダイオード31,32に対してT字状に結線されている。負荷30の例としては、回転電機の界磁ロータに設けられる界磁コイル等の誘導性負荷が挙げられるが、コイル等の誘導性負荷に限られるものではない。
【0017】
被励磁コイル21に鎖交する磁束が変化すると、被励磁コイル21に誘起電圧が発生する。ただし、被励磁コイル21に流れる誘導電流はダイオード31により所定の一方向に制限(整流)されるため、被励磁コイル21の電流により発生する磁束の方向も所定の一方向に制限される。同様に、被励磁コイル22に鎖交する磁束が変化すると、被励磁コイル22に誘起電圧が発生する。ただし、被励磁コイル22に流れる誘導電流はダイオード32により所定の一方向に制限(整流)されるため、被励磁コイル22の電流により発生する磁束の方向も所定の一方向に制限される。被励磁コイル21の電流により発生した磁束は共有磁路40を通って被励磁コイル22に鎖交し、被励磁コイル22の電流により発生した磁束は共有磁路40を通って被励磁コイル21に鎖交する。
【0018】
本実施形態では、例えば図1の矢印61,62に示すように、被励磁コイル21に所定の一方向の電流が流れることで発生し共有磁路40を通る磁束の方向が、被励磁コイル22に所定の一方向の電流が流れることで発生し共有磁路40を通る磁束の方向と逆方向になるように、被励磁コイル21,22の巻回方向、及びダイオード31,32による被励磁コイル21,22の電流の整流方向が設定されている。図1に示す例では、被励磁コイル21,22の巻回方向が互いに同方向であり、ダイオード31のアノード側が被励磁コイル21の他端に接続され、ダイオード32のアノード側が被励磁コイル22の他端に接続され、ダイオード31,32のカソード側が負荷30の一端に接続されている。これによって、負荷30に流れる電流は、被励磁コイル21からダイオード31を介して流れる電流と、被励磁コイル22からダイオード32を介して流れる電流とで、互いに同方向になり、所定の一方向(直流)に制限される。ただし、ダイオード31のカソード側を被励磁コイル21の他端に接続し、ダイオード32のカソード側を被励磁コイル22の他端に接続し、ダイオード31,32のアノード側を負荷30の一端に接続することも可能である。
【0019】
励磁ステータ10と被励磁ロータ20が対向配置されており、励磁コイル11は励磁ステータ10に設けられており、被励磁コイル21,22とダイオード31,32は被励磁ロータ20に設けられており、共有磁路40は励磁ステータ10及び被励磁ロータ20に設けられている。ただし、ダイオード31,32については、被励磁ロータ20の外部の回転部材に設けることも可能である。図2に示す例では、励磁ステータ10と被励磁ロータ20が、ロータ回転軸線と直交する径方向(以下単に径方向とする)において微小空隙を空けて対向配置されている。励磁ステータ10のステータコア44においては、ステータヨーク43から径方向(径方向内側)に被励磁ロータ20へ向けて突出する複数のステータティース41がロータ回転軸線まわりの周方向(以下単に周方向とする)に沿って互いに間隔をおいて(等間隔で)配列されており、ステータティース41に励磁コイル11が巻回されている。被励磁ロータ20のロータコア54においては、ロータヨーク53から径方向(径方向外側)に励磁ステータ10へ向けて突出する複数のロータティース51,52が周方向に沿って互いに間隔をおいて(等間隔で)配列されており、ロータティース51,52に被励磁コイル21,22がそれぞれ巻回されている。被励磁コイル21,22(ロータティース51,52)は周方向において交互に配置され、ロータティース51,52間の周方向間隔は、ステータティース41間の周方向間隔と等間隔であり、ロータティース51がステータティース41と対向する状態では、ロータティース52が他のステータティース41と対向する。ステータコア44(周方向に隣接する2つのステータティース41、及びステータヨーク43)によりステータ側磁路が形成され、ロータコア54(ロータティース52、ロータヨーク53、及びロータティース51)によりロータ側磁路が形成される。そして、隣接するステータティース41の一方、ステータヨーク43、隣接するステータティース41の他方、ロータティース52、ロータヨーク53、及びロータティース51により、循環磁路である共有磁路40が形成される。
【0020】
ダイオード31は、被励磁コイル21の電流によりロータティース51に発生する磁束の方向が、図2の矢印61に示す径方向内側(ロータティース51からロータヨーク53に流れる方向)の一方向に制限されるように、被励磁コイル21に流れる電流を所定の一方向に制限する。つまり、ダイオード31は、ロータティース51に径方向外側(ロータティース51からステータティース41に流れる方向)の磁束を発生させる方向の電流については遮断する。ダイオード32は、被励磁コイル22の電流によりロータティース52に発生する磁束の方向が、図2の矢印62に示す径方向内側(ロータティース52からロータヨーク53に流れる方向)の一方向に制限されるように、被励磁コイル22に流れる電流を所定の一方向に制限する。つまり、ダイオード32は、ロータティース52に径方向外側(ロータティース52からステータティース41に流れる方向)の磁束を発生させる方向の電流については遮断する。励磁コイル11は、電流が流れる場合に、周方向に隣接する2つのステータティース41に発生する磁束の方向が径方向外側及び径方向内側にそれぞれなるように、各ステータティース41への巻回方向が設定されている。
【0021】
被励磁ロータ20の回転が停止しており、ロータティース51,52が周方向に隣接する2つのステータティース41とそれぞれ対向している状態で、電源13から励磁コイル11に交流電流を流すと、各ステータティース41に磁束が発生する。励磁コイル11の電流により周方向に隣接する2つのステータティース41に発生する磁束は、共有磁路40において互いに強め合う。その結果、励磁コイル11の電流による磁束は、例えば図3の矢印63に示すように、隣接するステータティース41の一方、ステータヨーク43、隣接するステータティース41の他方、ロータティース52、ロータヨーク53、及びロータティース51を通って、共有磁路40(循環磁路)全体を循環する磁束となる。この循環磁束が、被励磁コイル21を径方向外側(ロータティース51からステータティース41に流れる方向)に鎖交するとともに、被励磁コイル22を径方向内側(ステータティース41からロータティース52に流れる方向)に鎖交する。なお、図3において、○(白丸印)内に●(黒丸印)の部分は図面の手前方向の電流が流れる場合を表し、○(白丸印)内に×(バツ印)の部分は図面の奥方向の電流が流れる場合を表す(以下の図でも同様)。
【0022】
励磁コイル11に流れる電流が変化すると、図3の矢印63に示す循環磁束も変化し、励磁コイル11の電流により被励磁コイル21に鎖交する磁束量が、励磁コイル11の電流により被励磁コイル22に鎖交する磁束量と同様に変化する。そのため、被励磁コイル21,22には、鎖交磁束量の変化を抑えるための誘起電圧が発生する。例えば、被励磁コイル21を径方向外側に鎖交する磁束量が、被励磁コイル22を径方向内側に鎖交する磁束量と同様に増加する場合は、被励磁コイル21には、径方向内側(ステータティース41からロータティース51に流れる方向)の磁束を発生させるための誘起電圧が発生し、被励磁コイル22には、径方向外側(ロータティース52からステータティース42に流れる方向)の磁束を発生させるための誘起電圧が発生する。ただし、ロータティース51に径方向内側の磁束を発生させる方向の被励磁コイル21の誘導電流は、ダイオード31によって許容されるものの、ロータティース52に径方向外側の磁束を発生させる方向の被励磁コイル22の誘導電流は、ダイオード32によって遮断される。そのため、被励磁コイル21には、鎖交磁束量の増加を抑えるための誘導電流が流れることで、ロータティース51に径方向内側の磁束が発生するが、被励磁コイル22には、鎖交磁束量の増加を抑えるための誘導電流はダイオード32によって遮断されて流れず、ロータティース52に径方向外側の磁束も発生しない。被励磁コイル21の誘導電流によりロータティース51に発生した磁束は、図4の矢印64に示すように、ロータヨーク53、ロータティース52、隣接するステータティース41の他方、ステータヨーク43、及び隣接するステータティース41の一方を通って、共有磁路40(循環磁路)全体を循環することで、励磁コイル11の電流による循環磁束(図4の矢印63に示す)を打ち消すように反発し合う。被励磁コイル21に発生した誘導電流は、ダイオード31を介して負荷30に流れ、被励磁コイル21の誘導電流による磁束は、被励磁コイル22を径方向外側に鎖交する。
【0023】
励磁コイル11に流れる電流の方向が図3,4に示す状態と逆方向になると、図5の矢印63に示すように、励磁コイル11の電流による循環磁束の方向も反転し、励磁コイル11の電流による循環磁束が被励磁コイル21を径方向内側(ステータティース41からロータティース51に流れる方向)に鎖交し、励磁コイル11の電流による循環磁束が被励磁コイル22を径方向外側(ロータティース52からステータティース41に流れる方向)に鎖交する。その場合に、ロータティース51に径方向外側の磁束を発生させる方向の被励磁コイル21の誘導電流は、ダイオード31によって遮断されるため、被励磁コイル21の電流は減少してロータティース51に発生する磁束も減少する。一方、ロータティース52に径方向内側の磁束を発生させる方向の被励磁コイル22の誘導電流は、ダイオード32によって許容されるため、被励磁コイル22に誘導電流が発生する。その際には、励磁コイル11の電流により被励磁コイル22を径方向外側に鎖交する磁束だけでなく、被励磁コイル21の電流により被励磁コイル22を径方向外側に鎖交する磁束も打ち消すように、被励磁コイル22に誘導電流が発生してロータティース52に径方向内側の磁束が発生する。つまり、励磁コイル11の電流による磁束の変化によって誘導されるだけでなく、被励磁コイル21の電流による磁束の変化によっても、被励磁コイル22に誘導電流が発生する。すなわち、双方の被励磁コイル21,22が互いに影響し合って誘導電流を増加させる。被励磁コイル22の誘導電流によりロータティース52に発生した磁束は、図6の矢印64に示すように、ロータヨーク53、ロータティース51、隣接するステータティース41の一方、ステータヨーク43、及び隣接するステータティース41の他方を通って、共有磁路40(循環磁路)全体を循環することで、励磁コイル11及び被励磁コイル21の電流による循環磁束(図6の矢印63に示す)を打ち消すように反発し合う。被励磁コイル22に発生した誘導電流は、ダイオード32を介して負荷30に流れ、被励磁コイル22の誘導電流による磁束は、被励磁コイル21を径方向外側に鎖交する。
【0024】
励磁コイル11に流れる電流が交流で変化すると、図4に示す状態と図6に示す状態とが交互に繰り返される。図4に示す状態から図6に示す状態に移行する際には、励磁コイル11の電流により被励磁コイル22に鎖交する磁束、及び被励磁コイル21の電流により被励磁コイル22に鎖交する磁束を打ち消すように、被励磁コイル22の誘導電流が増加する。図6に示す状態から図4に示す状態に移行する際には、励磁コイル11の電流により被励磁コイル21に鎖交する磁束、及び被励磁コイル22の電流により被励磁コイル21に鎖交する磁束を打ち消すように、被励磁コイル21の誘導電流が増加する。これによって、共有磁路40全体を循環する磁束(図4,6の矢印63,64に示す)が全体で打ち消し合うように、被励磁コイル21の電流が減少するとともに被励磁コイル22の電流が増加する現象と、被励磁コイル22の電流が減少するとともに被励磁コイル21の電流が増加する現象とが交互に繰り返される。その結果、励磁コイル11に流れる電流(励磁電流)、被励磁コイル21,22に流れる電流、及び負荷30に流れる電流は、図7A,7Bに示すようになる。図7Bは、図7AのA部の拡大図を示す。図7Bに示すように、負荷30に流れる電流は、被励磁コイル21に流れる電流と被励磁コイル22に流れる電流とを合成した電流となり、励磁コイル11の交流電流の周波数及び振幅が一定の場合は、励磁コイル11の交流電流の振幅より大きい一定値にほぼ収束する直流電流となる。このように、励磁コイル11に流す電流を交流で変化させることで、被励磁ロータ20の回転が停止している状態でも、被励磁コイル21,22に電流を誘導して負荷30に流すことができ、その際には、スリップリングを必要としない。
【0025】
電源13から励磁コイル11に流す交流電流の周波数を変化させた場合における被励磁コイル21,22に流れる電流及び負荷30に流れる電流を図8A〜8Cに示す。図8Aは、励磁コイル11の交流電流の周波数がf/6(fはある正数)である場合の被励磁コイル21,22に流れる電流及び負荷30に流れる電流を示し、図8Bは、励磁コイル11の交流電流の周波数がf(図8Aの6倍)である場合の被励磁コイル21,22に流れる電流及び負荷30に流れる電流を示し、図8Cは、励磁コイル11の交流電流の周波数がf,f/6である場合の被励磁コイル21に流れる電流を示す。励磁コイル11に流す交流電流の周波数を低下させると、被励磁コイル21,22と負荷30のインダクタンス成分によるインピーダンス、及び被励磁コイル21,22に発生する誘起電圧も低下するが、被励磁コイル21,22と負荷30の抵抗成分によるインピーダンスは変化せず、その割合が相対的に増加する。その結果、励磁コイル11に流す交流電流の周波数を低下させると、図8A〜8Cに示すように、被励磁コイル21,22に流れる電流の振幅が小さくなり、負荷30に流れる直流電流が小さくなる。そこで、制御装置60は、電源13から励磁コイル11に流す交流電流の周波数を制御することで、負荷30に流れる直流電流の大きさを制御することができる。また、制御装置60は、電源13から励磁コイル11に流す交流電流の振幅を制御することによっても、負荷30に流れる直流電流の大きさを制御することが可能である。
【0026】
また、被励磁ロータ20が励磁ステータ10に対して回転している状態では、電源13から励磁コイル11に直流電流を流しても、励磁コイル11の電流により被励磁コイル21に鎖交する磁束量が、励磁コイル11の電流により被励磁コイル22に鎖交する磁束量と同様に変化する。したがって、被励磁ロータ20が回転している状態で励磁コイル11に直流電流を流す場合でも、被励磁ロータ20が停止している状態で励磁コイル11に交流電流を流す場合と同様に、共有磁路40を流れる磁束が全体で打ち消し合うように、被励磁コイル21の電流が減少するとともに被励磁コイル22の電流が増加する現象と、被励磁コイル22の電流が減少するとともに被励磁コイル21の電流が増加する現象とが交互に繰り返される。その結果、負荷30に流れる電流は、励磁コイル11の直流電流の大きさ及び被励磁ロータ20の回転速度が一定の場合は、ほぼ一定値に収束する直流電流となる。なお、被励磁ロータ20の回転速度が低下すると、被励磁コイル21,22に流れる電流の振幅が小さくなり、負荷30に流れる直流電流が小さくなる。制御装置60は、電源13から励磁コイル11に流す直流電流の大きさを制御することで、負荷30に流れる直流電流の大きさを制御することが可能である。このように、被励磁ロータ20が回転している状態で励磁コイル11に直流電流を流すことで、少ないパワーで被励磁コイル21,22に電流を誘導して負荷30に流すことができる。
【0027】
また、被励磁ロータ20が励磁ステータ10に対して回転している状態で、電源13から励磁コイル11に交流電流を流しても、励磁コイル11の電流により被励磁コイル21に鎖交する磁束量が、励磁コイル11の電流により被励磁コイル22に鎖交する磁束量と同様に変化する。したがって、被励磁ロータ20が回転している状態で励磁コイル11に交流電流を流す場合でも、被励磁ロータ20が停止している状態で励磁コイル11に交流電流を流す場合と同様に、共有磁路40を流れる磁束が全体で打ち消し合うように、被励磁コイル21の電流が減少するとともに被励磁コイル22の電流が増加する現象と、被励磁コイル22の電流が減少するとともに被励磁コイル21の電流が増加する現象とが交互に繰り返される。その結果、負荷30に流れる電流は、励磁コイル11の交流電流の周波数及び振幅と被励磁ロータ20の回転速度が一定の場合は、ほぼ一定値に収束する直流電流となる。制御装置60は、電源13から励磁コイル11に流す交流電流の周波数及び振幅の少なくとも一方を制御することで、負荷30に流れる直流電流の大きさを制御することが可能である。
【0028】
なお、励磁コイル11に交流電流を流すと、交番磁界が発生する。交番磁界は、互いに同じ強さの回転磁界(正相、逆相)が互いに逆向きに発生すると考えることができる。そのため、被励磁ロータ20が回転している状態で励磁コイル11に交流電流を流す場合に、被励磁コイル21,22に鎖交する磁束の変動は、交流電流の周波数による正相、逆相成分と、被励磁ロータ20の電気周波数のそれぞれの速度差成分の合成となる。また、被励磁コイル21,22には、正相と逆相の合成成分の鎖交磁束変動を抑制するように、誘導電流が発生する。その結果、被励磁コイル21,22の鎖交磁束は、例えば図9Aに示すようになり、励磁コイル11に流れる電流(励磁電流)、被励磁コイル21,22に流れる電流、及び負荷30に流れる電流は、例えば図9Bに示すようになる。ただし、図9A,9Bでは、励磁コイル11の交流電流の周波数fsを12fr(frは正数)、被励磁ロータ20の電気周波数Pfrを4fr(P=4:極数)としている。
【0029】
以上説明した本実施形態によれば、共有磁路40を利用して被励磁コイル21,22間で双方が影響し合って共振現象が生じ、共有磁路40を循環する磁束(図4,6の矢印63,64に示す)が全体で打ち消し合うように、磁束のリップル分がなくなるまで同共振が継続するため、励磁コイル11に印加する起磁力(AT)よりも大きな起磁力(AT)を取り出すことができる。さらに、磁束が共有磁路40全体を循環することで、多くの磁束を利用して被励磁コイル21,22に電流を誘導して負荷30に流すことができる。したがって、負荷30に流れる直流電流を増加させることができるとともに、負荷30に流れる直流電流の変動を抑制することができる。その際に、被励磁ロータ20側の回路構成は、2つの被励磁コイル21,22と2つのダイオード31,32で実現可能であるため、特許文献1のように、3相の発電コイルに発生した誘導電流を3相全波整流回路(6個のダイオード)で直流に整流して負荷に流す回路構成と比較して、構成を簡略化することができ、小型化を実現することができる。
【0030】
本実施形態では、励磁ステータ10及び被励磁ロータ20を、例えば図10に示すように構成することも可能である。励磁ステータ10のステータコア44においては、ステータヨーク43から径方向(径方向内側)に被励磁ロータ20へ向けて全周に渡って突出する突出部45,46がロータ回転軸線方向の両端部にそれぞれ設けられ、突出部45,46間にスロット47が周方向に沿って形成されている。励磁コイル11はスロット47を通って周方向に沿って環状に巻回されている。被励磁ロータ20のロータコア54においては、ロータヨーク53から径方向(径方向外側)に励磁ステータ10(突出部45,46)へ向けて突出する突出部55,56がロータ回転軸線方向の両端部にそれぞれ設けられ、突出部55,56間にスロット57が周方向に沿って形成されている。被励磁コイル21はスロット57における突出部55側の位置を通って周方向に沿って環状に巻回され、被励磁コイル22はスロット57における突出部56側の位置を通って周方向に沿って環状に巻回されている。ステータコア44(突出部45、ステータヨーク43、及び突出部46)によりステータ側磁路が形成され、ロータコア54(突出部56、ロータヨーク53、及び突出部55)によりロータ側磁路が形成される。そして、突出部45、ステータヨーク43、突出部46、突出部56、ロータヨーク53、及び突出部55により、循環磁路である共有磁路40が形成される。
【0031】
図10に示す構成例でも、図1,2に示す構成例と同様に、電源13から励磁コイル11に交流電流を流す。そして、被励磁コイル21に流れる所定の一方向の電流により共有磁路40を通る磁束の方向(例えば図10の矢印61に示す方向)が、被励磁コイル22に流れる所定の一方向の電流により共有磁路40を通る磁束の方向(例えば図10の矢印62に示す方向)と逆方向になるように、被励磁コイル21,22の巻回方向、及びダイオード31,32による被励磁コイル21,22の電流の整流方向を設定する。
【0032】
また、本実施形態では、例えば図11に示すように、励磁ステータ10に永久磁石71を励磁コイル11の代わりに設けることも可能である。図11に示す構成例では、ステータヨーク43から径方向(径方向内側)に被励磁ロータ20へ向けて突出する複数の永久磁石71が周方向に沿って互いに間隔をおいて(等間隔で)配列されている。永久磁石71間の周方向間隔は、ロータティース51,52間の周方向間隔と等間隔であり、ロータティース51が永久磁石71と対向する状態では、ロータティース52が他の永久磁石71と対向する。ステータヨーク43、ロータティース52、ロータヨーク53、及びロータティース51により、永久磁石71による磁束、及び被励磁コイル21,22による磁束が通る共有磁路40が形成される。周方向に隣接する2つの永久磁石71の着磁方向は、一方の径方向内側(被励磁ロータ20との対向面)がN極であり、他方の径方向内側がS極であることで、隣接する2つの永久磁石71の発生する磁束が共有磁路40において互いに強め合う(磁束の方向が互いに同方向になる)。被励磁ロータ20が励磁ステータ10に対して回転することで、永久磁石71による被励磁コイル21の鎖交磁束量が、永久磁石71による被励磁コイル22の鎖交磁束量と同様に変化する。他の構成については図1,2に示す構成例と同様である。
【0033】
図11に示す構成例の動作は、被励磁ロータ20が励磁ステータ10に対して回転する状態で励磁コイル11に直流電流を流す場合の動作と同様である。つまり、被励磁ロータ20が励磁ステータ10に対して回転することで、共有磁路40を流れる磁束が全体で打ち消し合うように、被励磁コイル21の電流が減少するとともに被励磁コイル22の電流が増加する現象と、被励磁コイル22の電流が減少するとともに被励磁コイル21の電流が増加する現象とが交互に繰り返される。その結果、負荷30に流れる電流は、被励磁ロータ20の回転速度が一定の場合は、ほぼ一定値に収束する直流電流となる。
【0034】
本実施形態に係る励磁装置を備える回転電機の構成例を図12に示す。電機子(ステータ)110は、交流電流が流れることで回転磁界を発生可能な電機子コイル112を含み、励磁ステータ10と機械的に連結されている。界磁ロータ120は、電流が流れることで界磁磁束を発生可能な界磁コイルを負荷30として含み、被励磁ロータ20と機械的に連結されている。電機子110と界磁ロータ120が、径方向において微小空隙を空けて対向配置されている。本実施形態に係る励磁装置により界磁コイル(負荷)30に直流電流を流すことで、界磁ロータ120に界磁磁束が発生し、電機子コイル112に交流電流を流すことで、電機子110に回転磁界が発生する。そして、電機子コイル112の交流電流による電機子110の回転磁界が、界磁コイル30の直流電流による界磁ロータ120の界磁磁束と相互作用することで、電機子110と界磁ロータ120との間にトルクが作用して界磁ロータ120が被励磁ロータ20とともに回転駆動する。なお、電機子110と界磁ロータ120との間にトルクを作用させるための電機子110及び界磁ロータ120の具体的構成については周知の構成で実現可能であるため詳細な説明を省略する。
【0035】
制御装置60は、界磁ロータ120の回転速度とトルク指令値に基づいて、界磁コイル(負荷)30の直流電流を制御する。例えば、界磁ロータ120の回転速度が所定回転速度より高い場合は、界磁ロータ120の回転速度が所定回転速度以下の場合と比較して界磁コイル30の直流電流を減少させる、あるいは界磁コイル30に電流が流れないように制御する。これによって、弱め界磁制御を行うことができる。また、界磁ロータ120のトルク指令値が所定値より大きい場合は、界磁ロータ120のトルク指令値が所定値以下の場合と比較して界磁コイル30の直流電流を増加させる。これによって、強め界磁制御を行うことができる。なお、励磁コイル11に交流電流を流す場合は、制御装置60は、励磁コイル11の交流電流の周波数を低くするか振幅を小さくすることで、界磁コイル30の直流電流を減少させることができ、励磁コイル11の交流電流の周波数を高くするか振幅を大きくすることで、界磁コイル30の直流電流を増加させることができる。また、被励磁ロータ20が回転している状態で励磁コイル11に直流電流を流す場合は、制御装置60は、励磁コイル11の直流電流を小さくすることで、界磁コイル30の直流電流を減少させることができ、励磁コイル11の直流電流を大きくすることで、界磁コイル30の直流電流を増加させることができる。
【0036】
なお、図12では、励磁ステータ10に励磁コイル11を設けた例を示しているが、例えば図11に示す構成例を適用して、励磁ステータ10に永久磁石71を設けることも可能である。また、ダイオード31,32については、被励磁ロータ20に設けることも可能であるし、例えば界磁ロータ120等、被励磁ロータ20の外部の回転部材に設けることも可能である。
【0037】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0038】
10 励磁ステータ、11 励磁コイル、13 電源、20 被励磁ロータ、21,22 被励磁コイル、30 負荷(界磁コイル)、31,32 ダイオード、40 共有磁路、41 ステータティース、43 ステータヨーク、44 ステータコア、45,46,55,56 突出部、47,57 スロット、51,52 ロータティース、53 ロータヨーク、54 ロータコア、60 制御装置、71 永久磁石、110 電機子(ステータ)、112 電機子コイル、120 界磁ロータ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流が流れることで磁束を発生する励磁コイルを含む励磁固定子と、
励磁固定子と対向配置された被励磁回転子であって、励磁コイルによる磁束が鎖交し、電流が流れることで磁束を発生する第1及び第2被励磁コイルを含む被励磁回転子と、
第1被励磁コイル及び負荷に流れる電流を所定の一方向に制限する第1整流素子と、
第2被励磁コイル及び負荷に流れる電流を所定の一方向に制限する第2整流素子と、
を備え、
励磁固定子及び被励磁回転子には、励磁コイルによる磁束、第1被励磁コイルによる磁束、及び第2被励磁コイルによる磁束が通る共有磁路が設けられ、
励磁コイルに交流電流が流れる、または被励磁回転子が励磁固定子に対して回転する状態で励磁コイルに電流が流れることで、励磁コイルによる第1及び第2被励磁コイルの鎖交磁束が変化し、
第1及び第2被励磁コイルの一方による磁束は、共有磁路を通って第1及び第2被励磁コイルの他方に鎖交し、
第1及び第2整流素子は、第1被励磁コイルに所定の一方向の電流が流れることで発生し共有磁路を通る磁束の方向が、第2被励磁コイルに所定の一方向の電流が流れることで発生し共有磁路を通る磁束の方向と逆方向になるように、負荷に流れる電流を所定の一方向に制限する、励磁装置。
【請求項2】
請求項1に記載の励磁装置であって、
励磁コイルに流れる交流電流の周波数を制御することで、負荷に流れる電流を制御する制御装置をさらに備える、励磁装置。
【請求項3】
請求項1に記載の励磁装置であって、
被励磁回転子が励磁固定子に対して回転する状態で励磁コイルに直流電流が流れる、励磁装置。
【請求項4】
磁石を含む励磁固定子と、
励磁固定子と対向配置された被励磁回転子であって、磁石による磁束が鎖交し、電流が流れることで磁束を発生する第1及び第2被励磁コイルを含む被励磁回転子と、
第1被励磁コイル及び負荷に流れる電流を所定の一方向に制限する第1整流素子と、
第2被励磁コイル及び負荷に流れる電流を所定の一方向に制限する第2整流素子と、
を備え、
励磁固定子及び被励磁回転子には、磁石による磁束、第1被励磁コイルによる磁束、及び第2被励磁コイルによる磁束が通る共有磁路が設けられ、
被励磁回転子が励磁固定子に対して回転することで、磁石による第1及び第2被励磁コイルの鎖交磁束が変化し、
第1及び第2被励磁コイルの一方による磁束は、共有磁路を通って第1及び第2被励磁コイルの他方に鎖交し、
第1及び第2整流素子は、第1被励磁コイルに所定の一方向の電流が流れることで発生し共有磁路を通る磁束の方向が、第2被励磁コイルに所定の一方向の電流が流れることで発生し共有磁路を通る磁束の方向と逆方向になるように、負荷に流れる電流を所定の一方向に制限する、励磁装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1に記載の励磁装置と、
電流が流れることで界磁磁束を発生する界磁コイルを前記負荷として含む界磁回転子と、
界磁回転子と対向配置され、電流が流れることで界磁磁束と相互作用する磁界を発生する電機子コイルを含む電機子と、
を備える、回転電機。
【請求項1】
電流が流れることで磁束を発生する励磁コイルを含む励磁固定子と、
励磁固定子と対向配置された被励磁回転子であって、励磁コイルによる磁束が鎖交し、電流が流れることで磁束を発生する第1及び第2被励磁コイルを含む被励磁回転子と、
第1被励磁コイル及び負荷に流れる電流を所定の一方向に制限する第1整流素子と、
第2被励磁コイル及び負荷に流れる電流を所定の一方向に制限する第2整流素子と、
を備え、
励磁固定子及び被励磁回転子には、励磁コイルによる磁束、第1被励磁コイルによる磁束、及び第2被励磁コイルによる磁束が通る共有磁路が設けられ、
励磁コイルに交流電流が流れる、または被励磁回転子が励磁固定子に対して回転する状態で励磁コイルに電流が流れることで、励磁コイルによる第1及び第2被励磁コイルの鎖交磁束が変化し、
第1及び第2被励磁コイルの一方による磁束は、共有磁路を通って第1及び第2被励磁コイルの他方に鎖交し、
第1及び第2整流素子は、第1被励磁コイルに所定の一方向の電流が流れることで発生し共有磁路を通る磁束の方向が、第2被励磁コイルに所定の一方向の電流が流れることで発生し共有磁路を通る磁束の方向と逆方向になるように、負荷に流れる電流を所定の一方向に制限する、励磁装置。
【請求項2】
請求項1に記載の励磁装置であって、
励磁コイルに流れる交流電流の周波数を制御することで、負荷に流れる電流を制御する制御装置をさらに備える、励磁装置。
【請求項3】
請求項1に記載の励磁装置であって、
被励磁回転子が励磁固定子に対して回転する状態で励磁コイルに直流電流が流れる、励磁装置。
【請求項4】
磁石を含む励磁固定子と、
励磁固定子と対向配置された被励磁回転子であって、磁石による磁束が鎖交し、電流が流れることで磁束を発生する第1及び第2被励磁コイルを含む被励磁回転子と、
第1被励磁コイル及び負荷に流れる電流を所定の一方向に制限する第1整流素子と、
第2被励磁コイル及び負荷に流れる電流を所定の一方向に制限する第2整流素子と、
を備え、
励磁固定子及び被励磁回転子には、磁石による磁束、第1被励磁コイルによる磁束、及び第2被励磁コイルによる磁束が通る共有磁路が設けられ、
被励磁回転子が励磁固定子に対して回転することで、磁石による第1及び第2被励磁コイルの鎖交磁束が変化し、
第1及び第2被励磁コイルの一方による磁束は、共有磁路を通って第1及び第2被励磁コイルの他方に鎖交し、
第1及び第2整流素子は、第1被励磁コイルに所定の一方向の電流が流れることで発生し共有磁路を通る磁束の方向が、第2被励磁コイルに所定の一方向の電流が流れることで発生し共有磁路を通る磁束の方向と逆方向になるように、負荷に流れる電流を所定の一方向に制限する、励磁装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1に記載の励磁装置と、
電流が流れることで界磁磁束を発生する界磁コイルを前記負荷として含む界磁回転子と、
界磁回転子と対向配置され、電流が流れることで界磁磁束と相互作用する磁界を発生する電機子コイルを含む電機子と、
を備える、回転電機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−125003(P2012−125003A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272118(P2010−272118)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
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