説明

動作解析装置、動作解析方法及び動作解析プログラム

【課題】再現性の低い障害を再現するための操作を簡易化すると共に障害発生時の条件をより忠実に再現すること。
【解決手段】ユーザがディスプレイパネルを操作することにより主制御部146との間でやり取りされる操作信号を取得して操作情報を生成し、取得されたタイミングを示すタイムスタンプと関連付けて記憶し、記憶された情報に基づき、ユーザによる操作を再現するマイコン213を含み、マイコン213は、操作の再現命令に応じてタイミングのカウントを開始し、タイムスタンプのタイミングに達したら、関連付けられている操作情報に基づいて操作信号を生成し、主制御部146に送信することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作解析装置、動作解析方法及び動作解析プログラムに関し、特に、ユーザによる操作を再現して動作を解析する動作解析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の電子化が推進される傾向にあり、電子化された情報の出力に用いられるプリンタやファクシミリ及び書類の電子化に用いるスキャナ等の画像処理装置は欠かせない機器となっている。このような画像処理装置は、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能な複合機として構成されることが多い。
【0003】
このような画像処理装置において、ユーザによる操作の履歴を記憶しておき、障害が発生した場合に、障害の原因を究明するために、上記記憶された操作の履歴に基づいてユーザによる操作を再現する方法が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0004】
特許文献1に開示された技術においては、ユーザから入力された操作内容に基づいて発生したイベントの情報を記録し、このように記録された情報を解析し、その結果を基にユーザ・インタフェース・プログラムを動作させる。これにより、ユーザによる操作の履歴に基づいて、その操作を再現することが可能となる。
【0005】
また、特許文献2に開示された技術においては、操作コードを解析して得られる各操作項目を含む操作履歴データを記録し、そのように記録された操作履歴データを読み出してデバイスの駆動を再現する。これにより、特定できないユーザにより操作された操作履歴を登録管理して、所望の操作履歴に基づく各デバイスの駆動状態を容易に検証することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示された方法においては、操作の内容を記録し、再現する構成が予め装置内に組み込まれていることが前提である。従って、そのような構成を有さない従来の装置には適用することが困難であり、仮に従来の装置に適用する場合、少なくとも装置を制御するソフトウェァ・プログラムを大幅に変更する必要がある。
【0007】
また、特許文献1及び特許文献2に開示された方法により、ユーザによる操作を再現する場合、ユーザが操作部を操作することにより生成された信号を、操作履歴に基づいてエミュレートすることにより再現する。従って、操作に基づいて動作する機能は、通常の動作とは異なる条件で動作することになり、障害が発生した際の状況を忠実に再現することができない。
【0008】
更に、装置において発生する障害には再現性の低いものがある。そのような障害を解析する場合、ユーザは、障害の原因と考えられる操作を何度も繰り返して障害を再現することとなる。このような場合において特許文献1若しくは特許文献2に記載された技術を用いる場合、ユーザは、記録された操作履歴から実行すべき操作の履歴を選択して実行させる操作を繰り返し行う必要があるため、ユーザの負担が大きく、非効率な処理となる。
【0009】
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、画像形成装置において発生した障害を再現して解析するための動作解析装置において、再現性の低い障害を再現するための操作を簡易化すると共に障害発生時の条件をより忠実に再現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、操作部を有する画像形成装置に対するユーザの操作を解析して前記操作を再現する動作解析装置であって、前記操作部と前記操作部を制御する操作制御部との間の信号を取得可能なように接続される接続部と、ユーザが前記操作部を操作することにより前記操作部と前記操作制御部との間でやり取りされる信号である操作信号を、前記接続部を介して取得する操作信号取得部と、前記取得された操作信号に基づく操作情報と前記操作信号が取得されたタイミングを示すタイミング情報とを関連付けて再現情報として記憶媒体に記憶する再現情報記憶処理部と、前記記憶された再現情報に基づき、ユーザによる操作を繰り返し再現する操作再現部とを含み、前記接続部は、前記操作信号取得部が前記操作信号を取得する際は前記操作部と前記操作制御部とを接続した状態とし、前記操作再現部が前記操作を再現する際は前記操作部と前記操作制御部とを切断した状態とし、前記操作再現部は、前記操作の再現命令に応じてタイミングのカウントを開始し、前記タイミング情報が示すタイミングに達したら、そのタイミング情報に関連付けられている前記操作情報に基づいて前記操作信号を生成し、前記接続部を介して前記生成された操作信号を操作制御部に送信することを特徴とする。
【0011】
ここで、前記操作再現部は、前記送信した操作信号に対する前記操作制御部の応答信号に応じて、前記タイミングのカウント値と前記タイミング情報が示すタイミングとに基づき、そのタイミング情報に関連付けられている前記操作情報に基づいて前記操作信号を生成して前記操作制御部に対して送信することが好ましい。
【0012】
また、前記再現情報記憶処理部は、連続して取得された前記操作信号が、前記操作部の操作状態として同一の状態を示す場合、2回目以降に取得された前記操作信号を破棄することが好ましい。
【0013】
また、前記操作再現部は、一の前記タイミング情報に関連付けられた操作情報に基づく操作の再現中に、前記タイミングのカウント値が他のタイミング情報が示すタイミングに達した場合、前記再現中の操作の再現が完了してから前記他のタイミング情報に関連付けられた操作情報に基づく操作の再現を開始することが好ましい。
【0014】
また、ユーザが前記操作部を操作することにより前記操作制御部が他の部位を制御するために出力する制御信号を取得する制御信号取得部と、前記取得された制御信号に基づく制御情報を前記ユーザによる操作に係る前記再現情報と関連付けて記憶媒体に記憶する制御情報記憶処理部と、前記操作再現部が前記ユーザによる前記操作部の操作を再現した際に前記制御信号取得部が取得した前記制御信号に基づく制御情報と、前記再現した操作の再現情報と関連付けて記憶されている前記制御情報との差異に基づいて前記ユーザの操作が正確に再現されていることを確認する再現確認部とを更に含むことが好ましい。
【0015】
また、前記制御信号取得部は、ユーザが前記操作部を操作することにより前記操作制御部が前記画像形成装置本体の制御部に出力する信号を取得することが好ましい。
【0016】
また、前記制御信号取得部は、ユーザが前記操作部を操作することにより前記操作制御部が前記画像形成装置の表示部を制御するために出力する信号を取得することが好ましい。
【0017】
また、前記制御信号取得部は、ユーザが前記操作部を操作することにより前記操作制御部が前記画像形成装置に設けられた発光部を制御するために出力する信号を取得することが好ましい。
【0018】
また、前記画像形成装置本体の制御部に供給される電源の状態を検知する電源状態検知部と、前記画像形成装置に外部から電源を供給する外部電源供給部に接続され、外部からの電源供給状態を切り替える電源供給切替部とを更に含み、前記再現情報記憶処理部は、前記検知された電源状態に基づく電源の投入若しくは切断の操作情報と前記電源の状態が検知されたタイミングを示すタイミング情報とを関連付けて再現情報として記憶媒体に記憶し、前記操作再現部は、電源の投入若しくは切断の操作情報を含む前記再現情報に基づいてユーザによる操作を再現する場合、前記電源供給切替部を制御して外部からの電源供給状態を切り替えることが好ましい。
【0019】
また、本発明の他の態様は、操作部を有する画像形成装置に対するユーザの操作を解析して前記操作を再現する動作解析方法であって、操作信号取得部が、前記操作部と前記操作部を制御する操作制御部との間の信号を取得可能なように接続される接続部を介して、ユーザが前記操作部を操作することにより前記操作部と前記操作制御部との間でやり取りされる信号である操作信号を取得し、再現情報記憶処理部が、前記取得された操作信号に基づく操作情報と前記操作信号が取得されたタイミングを示すタイミング情報とを関連付けて再現情報として記憶媒体に記憶し、操作再現部が、前記記憶された再現情報に基づき、ユーザによる操作を繰り返し再現するものであり、前記操作再現部は、前記操作信号取得部が前記操作信号を取得する際は前記操作部と前記操作制御部とが接続され、前記操作再現部が前記操作を再現する際は前記操作部と前記操作制御部とが切断された状態となるように前記接続部を制御し、前記操作の再現命令に応じてタイミングのカウントを開始し、前記タイミング情報が示すタイミングに達したら、そのタイミング情報に関連付けられている前記操作情報に基づいて前記操作信号を生成し、前記接続部を介して前記生成された操作信号を操作制御部に送信することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の更に他の態様は、操作部を有する画像形成装置に対するユーザの操作を解析して前記操作を再現する動作解析プログラムであって、前記操作部と前記操作部を制御する操作制御部との間の信号を取得可能なように接続される接続部を介して、ユーザが前記操作部を操作することにより前記操作部と前記操作制御部との間でやり取りされる信号である操作信号を取得するステップと、前記取得された操作信号に基づく操作情報と前記操作信号が取得されたタイミングを示すタイミング情報とを関連付けて再現情報として記憶媒体に記憶するステップと、前記記憶された再現情報に基づき、ユーザによる操作を再現するステップとを情報処理装置に実行させるものであり、前記ユーザによる操作を再現するステップは、前記操作信号取得部が前記操作信号を取得する際は前記操作部と前記操作制御部とが接続され、前記操作再現部が前記操作を再現する際は前記操作部と前記操作制御部とが切断された状態となるように前記接続部を制御するステップと、前記操作の再現命令に応じてタイミングのカウントを開始するステップと、前記タイミング情報が示すタイミングに達したら、そのタイミング情報に関連付けられている前記操作情報に基づいて前記操作信号を生成するステップと、前記接続部を介して前記生成された操作信号を操作制御部に送信するステップと含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、画像形成装置において発生した障害を再現して解析するための動作解析装置において、再現性の低い障害を再現するための操作を簡易化すると共に障害発生時の条件をより忠実に再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の機能構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置に含まれるディスプレイパネルの機能構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るディスプレイパネルに含まれるタッチパネルの機能構成を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るディスプレイパネルに含まれるタッチパネルのコントローラの動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係るディスプレイパネルに含まれるタッチパネルのコントローラの動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係るキースイッチの構成を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係るキースイッチの押下検知における制御信号を示すタイミングチャートである。
【図9】本発明の実施形態に係るキースイッチの押下及び検知されるキーのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の実施形態に係る動作解析装置の機能構成及び画像形成装置との接続関係を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る動作解析装置の全体動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施形態に係る動作解析装置の記録処理の全体動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施形態に係る動作解析装置のキースイッチ操作の記録処理を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施形態に係る動作解析装置のタッチパネル操作の記録処理を示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施形態に係る動作解析装置の再生処理の全体動作を示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施形態に係る動作解析装置のキースイッチ操作の再現処理を示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施形態に係る動作解析装置のタッチパネル操作の再現処理を示すフローチャートである。
【図18】本発明の実施形態に係る発光部の構成を示す図である。
【図19】本発明の実施形態に係る動作解析装置の電源操作の記録・再現機構を示す図である。
【図20】本発明の実施形態に係るPCに表示される制御アプリケーションのGUIを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、プリンタ、スキャナ、複写機等の機能を含む複合機(MFP:Multi Function Peripheral)としての画像形成装置において生じた障害を再現して動作を解析する動作解析装置を例として説明する。
【0024】
図1は、動作解析対象である画像形成装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等の情報処理端末と同様の構成に加えて、画像形成を実行するエンジンを有する。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、エンジン40、HDD(Hard Disk Drive)50及びI/F60がバス90を介して接続されている。また、I/F60にはLCD(Liquid Crystal Display)70及び操作部80が接続されている。
【0025】
CPU10は演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。エンジン40は、画像形成装置1において実際に画像形成を実行する機構である。
【0026】
HDD50は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。I/F60は、バス90と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD70は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザ・インタフェースである。操作部80は、キーボードやマウス等、ユーザが画像形成装置1に情報を入力するためのユーザ・インタフェースである。
【0027】
このようなハードウェア構成において、ROM30やHDD50若しくは図示しない光学ディスク等の記録媒体に格納されたプログラムがRAM20に読み出され、CPU10の制御に従って動作することにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像形成装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0028】
次に、図2を参照して、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成について説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、コントローラ100、ADF(Auto Documennt Feeder:原稿自動搬送装置)110、スキャナユニット120、排紙トレイ130、ディスプレイパネル140、給紙テーブル150、プリントエンジン160、排紙トレイ170及びネットワークI/F180を有する。
【0029】
また、コントローラ100は、主制御部101、エンジン制御部102、入出力制御部103、画像処理部104及び操作表示制御部105を有する。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、スキャナユニット120、プリントエンジン160を有する複合機として構成されている。尚、図2においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙の流れを破線の矢印で示している。
【0030】
ディスプレイパネル140は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作し若しくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェース(操作部)でもある。ネットワークI/F180は、画像形成装置1がネットワークを介して他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが用いられる。
【0031】
コントローラ100は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM30や不揮発性メモリ並びにHDD50や光学ディスク等の不揮発性記録媒体に格納されたファームウェア等の制御プログラムが、RAM20等の揮発性メモリ(以下、メモリ)にロードされ、CPU10の制御に従って構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ100が構成される。コントローラ100は、画像形成装置1全体を制御する制御部として機能する。
【0032】
主制御部101は、コントローラ100に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ100の各部に命令を与える。エンジン制御部102は、プリントエンジン160やスキャナユニット120等を制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担う。入出力制御部103は、ネットワークI/F180を介して入力される信号や命令を主制御部101に入力する。また、主制御部101は、入出力制御部103を制御し、ネットワークI/F180を介して他の機器にアクセスする。
【0033】
画像処理部104は、主制御部101の制御に従い、入力された印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、画像形成部であるプリントエンジン160が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。また、印刷ジョブに含まれる印刷情報とは、PC等の情報処理装置にインストールされたプリンタドライバによって画像形成装置1が認識可能な形式に変換された情報であり、PDL(Page Description Language)や、Postscript、PCL(Printer Command Language)、RPCS等の情報である。操作表示制御部105は、ディスプレイパネル140に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル140を介して入力された情報を主制御部101に通知する。
【0034】
画像形成装置1がプリンタとして動作する場合は、まず、入出力制御部103がネットワークI/F180を介して印刷ジョブを受信する。入出力制御部103は、受信した印刷ジョブを主制御部101に転送する。主制御部101は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部104を制御して、印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成させる。
【0035】
画像処理部104によって描画情報が生成されると、エンジン制御部102は、生成された描画情報に基づき、給紙テーブル150から搬送される用紙に対して画像形成を実行する。即ち、プリントエンジン160が画像形成部として機能する。プリントエンジン160の具体的態様としては、インクジェット方式による画像形成機構や電子写真方式による画像形成機構等を用いることが可能である。プリントエンジン160によって画像形成が施された文書は排紙トレイ170に排紙される。
【0036】
画像形成装置1がスキャナとして動作する場合は、ユーザによるディスプレイパネル140の操作若しくはネットワークI/F180を介して外部のクライアント用の情報処理端末等から入力されるスキャン実行指示に応じて、操作表示制御部105若しくは入出力制御部103が主制御部101にスキャン実行信号を転送する。主制御部101は、受信したスキャン実行信号に基づき、エンジン制御部102を制御する。
【0037】
エンジン制御部102は、ADF110を駆動し、ADF110にセットされた撮像対象原稿をスキャナユニット120に搬送する。また、エンジン制御部102は、スキャナユニット120を駆動し、ADF110から搬送される原稿を撮像する。また、ADF110に原稿がセットされておらず、スキャナユニット120に直接原稿がセットされた場合、スキャナユニット120は、エンジン制御部102の制御に従い、セットされた原稿を撮像する。即ち、スキャナユニット120が撮像部として動作する。
【0038】
撮像動作においては、スキャナユニット120に含まれるCCD等の撮像素子が原稿を光学的に走査し、光学情報に基づいて生成された撮像情報が生成される。エンジン制御部102は、スキャナユニット120が生成した撮像情報を画像処理部104に転送する。画像処理部104は、主制御部101の制御に従い、エンジン制御部102から受信した撮像情報に基づき画像情報を生成する。画像処理部104が生成した画像情報はHDD40等の画像形成装置1に装着された記憶媒体に保存される。即ち、スキャナユニット120、エンジン制御部102及び画像処理部104が連動して、原稿読み取り部として機能する。
【0039】
画像処理部104によって生成された画像情報は、ユーザの指示に応じてそのままHDD40等に格納され若しくは入出力制御部103及びネットワークI/F180を介して外部の装置に送信される。即ち、スキャナユニット120及びエンジン制御部102が画像入力部として機能する。
【0040】
また、画像形成装置1が複写機として動作する場合は、エンジン制御部102がスキャナユニット120から受信した撮像情報若しくは画像処理部104が生成した画像情報に基づき、画像処理部104が描画情報を生成する。その描画情報に基づいてプリンタ動作の場合と同様に、エンジン制御部102がプリントエンジン160を駆動する。
【0041】
このような画像形成装置1に対して、本実施形態に係る動作解析装置は、ディスプレイパネル140内部の信号を取得可能なように接続される。先ず、ディスプレイパネル140の構成について、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係るディスプレイパネル140の構成のうち、操作部としての機能構成及び操作表示制御部105との接続関係を示す図である。
【0042】
図3に示すように、本実施形態に係るディスプレイパネル140は、コントローラ141、タッチパネル142、キースイッチ143、ADC(Analog to Digital Converter)144、コネクタ145及び主制御部146を含む。コントローラ141は、ディスプレイパネル140における操作部としての機能を制御する制御部であり、ユーザによるタッチパネル142及びキースイッチ143の操作によって生成された信号を処理して操作情報として操作表示制御部105に送信する。本実施形態に係るコントローラ141は、画像形成装置1のコントローラ100と同様に、図1において説明したようなCPU10、RAM20及び制御プログラム等によって構成される。
【0043】
ADC144は、主制御部146から入力されるシリアル制御信号に基づき、タッチパネル142から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して主制御部146に入力する。コネクタ145は、ADC144と主制御部146との間の信号及びキースイッチ143と主制御部146との間の信号を外部に取り出し、且つ外部から主制御部146に対して信号を入力するためのインタフェースである。図に示すように、画像形成装置1の通常動作状態においては、コネクタ145の各端子はバイパスされており、ADC144若しくはキースイッチ143と主制御部146とが接続されている。
【0044】
主制御部146は、ADC144若しくはキースイッチ143から入力された信号を画像形成装置1における操作信号に変換して操作表示制御部105に入力する。尚、本実施形態において、操作表示制御部105と主制御部146とは、USBインタフェースにより接続されている。
【0045】
タッチパネル142は、LCD等の表示画面及びその画面上におけるユーザのタッチ位置を検知するセンサを含む。タッチパネル142は、ユーザによってタッチされた位置の座標に応じたアナログ信号、即ち、座標に応じた電圧値をADC144に出力する。図4に、タッチパネル142、ADC144及び主制御部146の接続関係を示す。即ち、ADC144及びタッチパネル142に電圧を供給する周辺の回路等が、タッチパネルコントローラとして機能する。
【0046】
図4に示すように、タッチパネル142には、X座標及びY座標の夫々について、高電位側及び低電位側の接続端子が設けられている。これらの接続端子は、夫々Xp、Xn、Yp、YnとしてADC144に接続されており、ADC144は、XpとXn及びYpとYnの電圧値をデジタル信号に変換する。ADC144には主制御部146からの制御信号が入力されており、ADC144は、この制御信号に応じて上記電圧値の取得及び変換を実行し、主制御部146に変換後のデジタル信号を出力する。
【0047】
また、ADC144は、ユーザによるタッチパネルのタッチ及びリリースの検知状態に応じた検知信号(以降、タッチ検知信号とする)を、割り込み信号として主制御部146に出力する。尚、本実施形態に係るタッチ検知信号は、ユーザがタッチパネル142にタッチしている場合は“Low”、タッチしていない場合は“High”の状態である。
【0048】
次に、図5を参照して主制御部146によるタッチパネルのタッチ位置認識動作について説明する。図5に示すように、タッチ検知信号が“Low”となると(S501/YES)、主制御部146は、ADC144に制御信号を入力してタッチ位置の座標測定処理を実行する(S502)。座標測定処理が完了すると、主制御部146は10msの間待機する(S503)。10msの間待機する間にタッチ検知信号が“Low”ではなくなった場合(S504/NO)、主制御部146は、タッチリリース処理を行い(S508)、S501からの処理を繰り返す。
【0049】
他方、10msの間待機した後もタッチ検知信号が“Low”であれば、主制御部146は、再度座標測定処理を実行する(S505)。S505の処理が完了すると、主制御部146は、3回分の座標測定が完了しているか否か及び3回分の測定値のばらつきが所定値以内であるか否かを判断する(S506)。未だ3回分の座標測定が完了していない若しくは3回分の測定のばらつきが所定値を超えている場合(S506/NO)、主制御部146はS503からの処理を繰り返す。他方、3回分の座標測定が完了しており、且つ測定値のばらつきが所定値以内であれば(S506/YES)、主制御部146は、測定の平均値により座標を確定し(S507)、S501からの処理を繰り返す。
【0050】
図5に示す処理が繰り返されることにより、タッチリリース処理が実行されることなく、連続して座標が確定された場合、主制御部146は、その確定された座標値により、タッチパネル142上に表示された同一のボタンの連続押下や、ドラッグ操作等を認識する。このような処置により、主制御部146は、ユーザによるタッチパネル142への操作を認識し、操作表示制御部105に操作信号を出力する。
【0051】
次に、S502及びS505の座標測定処理について図6を参照して説明する。図6に示すように、主制御部146は、座標測定処理を開始すると、ADC144に対して座標検知コマンドを制御信号として送信する(S601)。この座標検知コマンドは、図5のS501において、タッチ検知信号が“Low”となったことに対する応答信号である。S601に対する応答としてADC144からデジタル信号を受信すると(S602/YES)、主制御部146は受信したデータを格納する(S603)。主制御部146は、S601〜S603までの処理を8回繰り返し(S604/NO)、1〜3回目のデータを破棄して4〜8回目のデータのばらつきが所定値以内であるか否か確認する(S605)。
【0052】
S605の処理の結果、4〜8回目のデータのばらつきが所定値以内であれば、4〜8回目のデータ平均値を座標測定結果の確定値として(S606)、処理を終了する。他方、4〜8回目のデータのばらつきが所定値を超えている場合、主制御部146は、S601からの処理を繰り返す。このような処理により、座標測定処理が完了する。
【0053】
キースイッチ143は、複数のキーによって構成されたハードスイッチである。図7に、キースイッチ143に含まれるハードスイッチと主制御部146との接続関係を示す。図7に示すように、主制御部146に接続されたキー押下検知制御信号線SCAN0〜3の夫々に対して、8個のキースイッチが接続されている。スイッチの他端はキー押下検知信号線KEY0〜7のいずれかに接続されており、全体として32個のキースイッチがマトリクス上に接続されて配置されている。
【0054】
図7に示すように、キー押下検知信号線KEY0〜7には、抵抗を介して高電位が接続されているため、キースイッチが“OFF”の状態においては、“High”となる。ユーザによるキー入力を待っている状態において、主制御部146は、キー押下検知制御信号線の信号であるSCAN0〜3の信号状態を全て“Low”とする。これにより、ユーザによっていずれかのキースイッチが押下されると、そのキースイッチに接続されたキー押下検知信号線の信号であるKEYが“Low”となる。
【0055】
主制御部146は、KEYの何れかが“Low”となることにより、ユーザによってキースイッチのいずれかが押下されたことを認識する。また、“Low”となったKEYが再度“High”となることにより、押下されたキースイッチがリリースされたことを認識する。主制御部146は、KEYの何れかが“Low”となることにより、割り込み処理を発生させていずれのキースイッチが押下されたかを判別するための動作(以降、キースイッチ押下判別動作とする)を実行する。その動作について、以下に説明する。
【0056】
図8及び図9は、主制御部146によるキースイッチ押下判別動作における各信号のタイミングを示すタイミングチャートである。図8は、KEYの何れかが“Low”となることにより、主制御部146がキースイッチ押下判別動作を開始した後の信号状態を示す。図8に示すように、KEYの何れかが“Low”となることにより割り込み処理が発生すると、主制御部146は、SCAN0〜3を全て“High”とした上で、SCAN0〜3を1つずつ順番に“Low”としてKEY0〜7の信号状態を確認する。このSCAN0〜3が全て“High”となった後に順番に“Low”となる信号は、KEY0〜7の何れかが“Low”となったことに対する応答信号である。
【0057】
主制御部146は、このKEY0〜7の信号状態の確認を、SCANの立下りから1ms経過後に実行する。“Low”としたSCANと、それに伴って“Low”となったKEYとの組み合わせにより、主制御部146は、ユーザによって押下されたキースイッチを認識することができる。即ち、KEY0〜7のいずれかが“Low”となった際に、その“Low”となったKEYと、“Low”としたSCANとに接続されているキースイッチが、押下されたものであることがわかる。
【0058】
主制御部146は、SCAN0〜3を夫々1回ずつ“High”から“Low”に遷移させる処理(以降、押下キースイッチ認識処理とする)を実行して押下されたキースイッチを認識した後、図8に示すように、SCAN0〜3の全てを再度“Low”とすることにより、キー押下検知若しくはキーリリース検知の待機状態に戻る。そして、最初の割り込み検知タイミングから10msを経過したタイミングにおいて、2回目の押下キースイッチ認識処理を実行する。その結果、1回目の押下キースイッチ認識処理と2回目の押下キースイッチ認識処置との認識結果が一致した場合のみ、その認識結果を採用する。
【0059】
図9は、キースイッチの押下及びリリースの判断を示すタイミングチャートである。主制御部146は、キースイッチの押下を認識した後、キーリリースが検知されない場合であっても、200ms毎に上述した押下キースイッチ認識処理を実行してキースイッチの状態変化を監視する。例えば、いずれか1つのキースイッチが押下された後、その押下されたキースイッチと同一のキー押下検知信号線に接続されたキースイッチが押下されても、既に“Low”となっているKEYの信号状態は変化しないため、主制御部146は後のキースイッチの押下を認識することが出来ない。上述したように200ms毎に押下―キースイッチ認識処理を実行することにより、このような課題を解決することができる。
【0060】
次に、本実施形態に係る動作解析装置2の構成及びディスプレイパネル140との接続態様について図10を参照して説明する。図10に示すように、本実施形態に係る動作解析装置2は、ユーザ操作解析・再現部210、USBプロトコルアナライザ220及びPC230を含む。ユーザ操作解析・再現部210は、タッチパネル142からADC144を介して入力される信号やキースイッチ143によって入力される信号並びに主制御部146による制御信号、即ち、主制御部146とADC144若しくはキースイッチ143との間でやり取りされる操作信号を取得して記録すると共に、タッチパネル142及びキースイッチ143に代わって主制御部146からの制御信号に応答してユーザ操作を再現する。
【0061】
ユーザ操作解析・再現部210は、スイッチ回路211、FPGA(Field Programmable Gate Array)212及びマイコン213を含む。スイッチ回路211は、ディスプレイパネル140のコネクタ145から引き出された信号線との接続部であり、図10に示すように、コネクタ145と接続されることにより、ADC144及びキースイッチ143側(以降、入力側とする)と主制御部146側(以降、制御側とする)との間において両者を接続し若しくは切断することができる。
【0062】
また、スイッチ回路211は、FPGA212と接続されており、入力側と制御側とが接続された状態においては、入力側及び制御側双方の信号を取得してFPGA212に入力する。また、入力側と制御側とが切断された状態において、スイッチ回路211は、入力側に代わって制御信号を取得してFPGA212に入力し、FPGAから出力された信号を主制御部146に入力する。
【0063】
FPGA212は、ユーザ操作解析・再現部210において、マイコン213が、入力側と制御側との間でやり取りされる信号を取り込む際の負荷を吸収するために設けられており、特に、主制御部146とADC144との間でやり取りされる信号の処理負荷を吸収するために設けられている。上述したように、主制御部146とADC144との間でやり取りされる信号は、主制御部146から出力される制御信号、ADC144から出力されるデジタル信号及び検知信号等であり、タッチパネル142をコントロールするための特有な信号である。これらを全てマイコン213が直接取得する場合、多くの割り込み処理が発生して、マイコン213の負荷が非常に高くなる。これに対して、FPGA212がそれらの信号を受信して記録すべき信号を取得した上でマイコン213に送信することにより、マイコン213の負荷を低減することができる。
【0064】
マイコン213は、ユーザ操作解析・再現部210において、ディスプレイパネル140のタッチパネル142及びキースイッチ143へのユーザ操作の解析及び信号の記録並びに、主制御部146へのユーザ操作の再現を制御する制御部である。マイコン213は、ユーザ操作による信号の記録に際して、スイッチ回路211及びFPGA212を介して信号を取得する。即ち、マイコン213が操作信号取得部として機能する。そして、マイコン213は、取得した信号をPC230に含まれる記憶媒体であるHDDに記憶させる。また、マイコン213は、主制御部146に対するユーザ操作の再現に際して、PC230のHDDに記憶されている情報に従って主制御部146に対して信号を出力し、ユーザによる操作を再現する。即ち、マイコン213が操作再現部として機能する。
【0065】
USBプロトコルアナライザ220は、主制御部146と操作表示制御部105との間でやり取りされる情報を取得して解析し、PC230のHDDに記憶させる。主制御部146と操作表示制御部105との間でやり取りされる情報とは、ユーザがキースイッチ143等を操作したことにより、主制御部146が他の部位を制御するために出力する制御信号である。即ち、USBプロトコルアナライザ220が、制御信号取得部、制御情報記憶処理部として機能する。
【0066】
USBプロトコルアナライザによって記憶された情報は、ユーザ操作解析・再現部210によるユーザ操作の再現において主制御部146と操作表示制御部105とがやり取りする情報が、通常のユーザ操作においてやり取りされた情報と一致するか否かを確認する目的等に用いられる。この一致の確認は、ユーザ操作解析・再現部によって再現された操作の正確性を確認するために実行される。即ち、USBプロトコルアナライザ200は、再現確認部としても機能する。
【0067】
PC230は、上述したように、マイコン213及びUSBプロトコルアナライザ220が取得した情報をHDDに記憶する。尚、本実施形態において、マイコン213及びUSBプロトコルアナライザ220は、PC230から“記録開始”や“再現開始”等のコマンドを受信することにより、夫々の動作を実行する。
【0068】
次に、本実施形態に係る動作解析装置2の動作について、図11を参照して説明する。図11は、本実施形態に係るマイコン213の全体動作を示すフローチャートである。図11に示すように、マイコン213は、PC230から記録開始コマンドを受信すると(S1101/YES)、モードを記録モードとし(mode=SCAN)、実行フラグをオンとする(Running=1)(S1103)。
【0069】
他方、記録開始コマンドではなく(S1101/NO)、再生コマンドを受信した場合(S1102/YES)、モードを再生モード(mode=PLAY)とする(S1104)。S104若しくはS1105の処理を完了すると、マイコン213は、モードを確認し、記録モード(mode=SCAN)であれば(S1105/YES)、マイコンは記録処理を実行する(S1107)。記録処理の詳細については後述する。
【0070】
他方、記録モードではなく(S1105/NO)、再生モード(mode=PLAY)であれば(S1106/YES)、マイコン213は、再生処理を実行する(S1108)。再生処理の詳細については後述する。再生モードでも無い場合(S1106/NO)、マイコン213は、待機モード(mode=WAIT)であるとして(S1109)、S1101から処理を繰り返す。他方、S1107若しくはS1108の処理が完了すると、マイコン213は、S1105からの処理を繰り返す。このような処理により、本実施形態に係るマイコン213による動作解析装置2の制御が実行される。
【0071】
次に、図12を参照して本実施形態に係るS1107の記録処理、即ち、ユーザがタッチパネル142若しくはキースイッチ143を操作することにより入力される信号の記録処理について説明する。図12は、本実施形態に係る記録処理におけるマイコン213の動作を示すフローチャートである。本実施形態に係るマイコン213は、PC230から記録開始のコマンドを受信することにより、記録処理をスタートする。
【0072】
この場合、マイコン213はスイッチ回路211を制御し、コネクタ145の入力側と制御側とが接続された状態となるようにする。従って、ユーザがタッチパネル144若しくはキースイッチ143を操作することにより入力された信号は、スイッチ回路211を経由して、通常の動作と同様に主制御部146に入力される。同時に、主制御部146が出力する制御信号は、スイッチ回路211を経由してADC144若しくはキースイッチ143に入力される。また、主制御部146とADC144若しくはキースイッチ143との間でやり取りされる信号は、スイッチ回路211及びFPGA212を介してマイコン213に入力される。
【0073】
図12に示すように、記録処理をスタートしたマイコンは、まずタイマカウントをスタートする(S1201)。そして、マイコン213は、モードが記録モードであることを確認し(S1202/YES)、PC230から記録終了コマンドを受信するまで(S1203/NO)、キースイッチ143及びタッチパネル142から入力される信号に応じて主制御部146が実行する割り込み処理に対応する(S1206)。その後、S1202からの処理を繰り返す。
【0074】
他方、PC230から記録終了コマンドを受信すると(S1203/YES)、マイコン213は待機モード(mode=WAIT)に移行し(S1204)、タイマカウントをストップする(S1205)。そして、S1202の処理に戻り、待機モードであることを確認すると(S1202/YES)、処理を終了する。
【0075】
次に、S1206の処理として、キースイッチ143の操作に対応する割り込み処理について、図13を参照して説明する。マイコン213は、主制御部146が制御するキー押下検知制御信号線SCAN0〜3いずれかの立下り若しくはキー押下検知信号線KEY0〜7いずれかの立上りにより、キースイッチ操作の割り込みを検知する。
【0076】
上記SCAN0〜3いずれかの立下りとは、信号が“High”から“Low”になった場合である。具体的には、図7において説明したように、ユーザがキースイッチを押下して、KEY0〜7のいずれかが“Low”となることにより、主制御部146がSCAN0〜3を全て“High”とした上で、SCAN0〜3を1つずつ順番に“Low”としてKEY0〜7の信号状態を確認する動作(以降、キースキャン動作とする)を実行した場合である。
【0077】
他方、KEY0〜7の立上りとは、信号が“Low”から“High”になった場合である。具体的には、図7において説明したように、ユーザがキースイッチを押下することによって“Low”となっていたKEY0〜7の何れかが、ユーザがキースイッチをリリースすることにより、再度“High”となる場合である。
【0078】
マイコン213は、SCAN0〜3いずれかの立下りを検知すると(S1301/YES)、SCAN0〜3のいずれが立下がったかを認識し、立下がった番号を“(N)”とする。尚、S1301の処理は、ユーザによるキースイッチの押下に応じたキースキャン動作によって発生する他、上述したように、主制御部146による200ms毎のキースキャン動作によっても発生する。
【0079】
割り込みを検知したマイコン213は、500μsの間待機し(S1302)、その後KEY0〜7の信号状態をDATA(N)として記録する(S1303)。例えば、S1301において、SCAN0の立下りを検知した場合は、DATA0として記録する。尚、DATA(N)を記録する際、マイコン213は、タイマのカウント値とデータとを関連付けて記録する。このタイマのカウント値は、キー操作を再現する際の再現タイミングを決定するための情報として用いられる。
【0080】
DATA(N)の記録が完了すると、マイコン213は、“(N)”が“3”であるか否か、即ち、主制御部146によるキースキャン動作がSCAN0〜3の1サイクル分完了したか否か確認する(S1304)。“(N)”が“3”でなければ(S1304/NO)、マイコン213は、まだ1サイクル分のキースキャン動作が完了していないと判断し、そのまま処理を終了する。この場合、マイコン213は、図12のS1202に戻り、主制御部146が引き続き実行するキースキャン動作によって再度SCAN0〜3いずれかの立下りを検知して、図13の処理を実行する。
【0081】
“(N)”が“3”である場合(S1304/YES)、次に、マイコン213は、DATA0〜3が、前回記録したDATA0〜3と同一であるか否か確認する(S1305)。DATA0〜3が前回のデータと同一である場合(S1305/)、マイコン213は、そのキー操作のデータは記録不要であると判断して、それらのデータを破棄し(S1306)、処理を終了する。このような処理により、PC230に記録するキー操作のデータ量を削減することができる。また、図7において説明したように、主制御部146は、キースキャン動作を10ms間隔で2サイクル実行するが、その場合も、1回分の情報のみが記録され、情報量を削減することができる。
【0082】
他方、DATA0〜3が前回のデータと異なる場合、マイコン213は、今回記録したDATA0〜3によって認識されるキースイッチの操作を示す操作情報をタイムスタンプと関連付けてPCに送信し(S1307)、処理を終了する。また、SCAN〜3いずれかの立下りではなく(S1301/NO)、KEY0〜7いずれかの立上りを検知して且つKEY0〜7が全て“High”(ALL High)となった場合(S1308/YES)、マイコン213は、キースイッチがリリースされたものであると認識し、キーリリース操作を示す情報をタイムスタンプと関連付けてPC230に送信し(S1309)、処理を終了する。尚、S1308の判断は、キースキャン動作の実行中以外の場合に行われる。S1307及びS1309において、マイコン213が送信した情報が、1つの操作を再現するための再現情報としてPC230のHDDに記憶される。即ち、マイコン213が再現情報記憶処理部として機能する。このような処理により、キースイッチ操作の記録処理が完了する。
【0083】
次に、S1206の処理として、タッチパネル142の操作に対応する割り込み処理について、図14を参照して説明する。マイコン213は、主制御部146が制御信号としてADC144に入力する座標検知コマンド、即ち、図6のS601において主制御部146が出力する信号により、タッチパネル操作の割り込みを検知する。
【0084】
マイコン213は、座標検知コマンドを受信して割り込みを検知すると(S1401)、ADC144からデジタル信号を受信するまで待機し(S1402/NO)、デジタル信号を受信すると(S1402/YES)、受信したデータを操作データとして記録する(S1403)。操作データを記録すると、マイコン213は、図6のS605及び図5のS506と同様の処理により、座標確定条件が満たされたか否かを判断する(S1404)。座標確定条件が満たされた場合(S1404/YES)、マイコン213は、平均値として求めた座標データを、タッチパネル142に対する操作を示す操作情報としてPC230に送信し(S1405)、処理を終了する。
【0085】
S1405において、マイコン213は、座標データとタイムスタンプとを関連付けてPC230に送信する。この情報が、1つの操作を再現するための再現情報としてPC230のHDDに記憶される。他方、座標確定条件が満たされていなければ(S1404/NO)、そのまま処理を終了する。この場合、マイコン213は、図12のS1202に戻り、主制御部146が引き続き出力する座標検知コマンドに応じて、再度図14の処理を実行する。このような処理により、タッチパネル操作の記録処理が完了する。
【0086】
図13及び図14の処理が図12のフローに従って繰り返されることにより、タッチパネル142若しくはキースイッチ143に対する操作を再現するための再現情報がPC230のHDDに蓄積されていく。このようにして蓄積された再現情報を用いることにより、ユーザによる一連の操作を再現することが可能となる。
【0087】
尚、図13及び図14に係る記録処理に際して、USBプロトコルアナライザ220は、主制御部146と操作表示制御部105との間でやり取りされた情報
(以降、内部情報とする)を解析して記録し、PC230のHDDに記憶させる。この内部情報は、主制御部146と操作表示制御部105との間でやり取りされた情報及びそのやり取りのタイミングの情報を含み、後に記録された操作情報に基づいて操作を再現する際に、操作が正確に再現されているか否かを確認するために用いられる。
【0088】
次に、本実施形態に係るS1108の再生処理、即ち、上記記録処理によってPC230に記憶された情報に応じて、ユーザによる操作を再現する処理について、図15を参照して説明する。図15に示すように、マイコン213は、先ずPC230から再現すべき操作の情報である再生データを取得する(S1501)。この再生データは、上述した図12〜図14の処理によってマイコン213によって記録され、PC230のHDDに再現情報として保存された情報であり、再現すべき操作の情報とタイマのカウント値に応じたタイムスタンプとが関連付けられた情報である。再生データを取得すると、マイコン213はタイマのカウントをスタートする(S1502)。
【0089】
タイマのカウントをスタートすると、マイコン213は、タイマのカウント値と再生データのタイムスタンプとを比較し、両者の一致を監視する(S1503)。タイマカウンタとタイムスタンプとが一致すると(S1503/YES)、マイコン213は、前段の再生データの再現が完了しているか否か判断し(S1504)、完了していなければ(S1504/NO)、完了するまで待機する。尚、再生データが先頭のものであり、前段の再生データが無い場合は、そのまま次の処理に進む。
【0090】
S1504の処理、即ち、前段の再生データの再現が完了するまで待機する処理を設けたのは、主として、主制御部146を制御するCPU等の制御手段の状態に留意したものである。CPU等の制御手段は、装置の動作に応じて状態が異なるため、同一の操作が行われた場合であっても、主制御部146が常に同一の応答時間で反応を返すとは限らない。従って、再生データのタイムスタンプ通りに操作の再現ができず、操作が遅れてしまう場合があり得る。
【0091】
このような場合に、再生データのタイムスタンプ通りに処理を進めると、先の操作が再現される前に後の操作が入力されてしまい、結果的に、記録された操作手順を正確に再現することができなくなる。従って、本実施形態に係る動作解析装置2においては、S1504の処理を行うことにより、このような課題を解決している。
【0092】
前段の再生データの再現が完了している場合(S1504/YES)、マイコン213は、タイマカウンタ値と一致したタイムスタンプの再生データが、キー操作データであるか否かを確認する(S1505)。キー操作データである場合(S1505/YES)、マイコン213は再生データに基づいてキー操作を再現する(S1506)。キー操作の再現の詳細については後述する。
【0093】
他方、S1505の確認の結果、キー操作ではなくパネル操作データであった場合(S1505/NO)、マイコン213は再生データに基づいてパネル操作を再現する(S1507)。パネル操作の再現の詳細については後述する。S1506若しくはS1507において操作の再現を開始すると、マイコン213は、再生データの終端に達したか否かを判断し(S1508)、終端データに達した場合は(S1508/YES)、待機モード(mode=WAIT)に移行し(S1509)、タイマをストップして(S1510)、処理を終了する。他方、終端データに達していない場合は(S1508/NO)、S1503からの処理を繰り返す。
【0094】
次に、S1506のキー操作の再現処理について、図16を参照して説明する。図16は、本実施形態に係るキー操作の再現処理を示すフローチャートである。図16に示すように、マイコン213は、先ず、“High”で維持されているKEY0〜7のいずれかを“Low”とする(S1601)。これは、ユーザがキースイッチを押下することにより、押下されたキースイッチに接続されているKEY0〜7のいずれかが“Low”となる状態を再現するものである。この際、KEY0〜7のいずれを“Low”とするかについては、本実施形態に係る主制御部146の構成上問題とならないため、再現するべきキースイッチの押下状態に対応して決定してもよいし、常に同一の信号線を“Low”としてもよい。
【0095】
KEY0〜7のいずれかを立下げることにより、図7において説明したように、主制御部146がキースキャン動作を実行するため、SCAN0〜3が順番に立下がる。マイコン213は、SCAN(N)の立下りを検知すると(S1602/YES)、立下りを検知したSCAN(N)に対応して再生データとして記録されている情報からDATA(N)、即ち操作信号を生成して出力する(S1603)。
【0096】
“(N)”が0〜2の何れかであれば、主制御部146によるキースキャン動作の実行中であるため、SCAN0〜3のいずれかが“Low”であり他が“High”である状態が続く(S1604/NO)。この場合、マイコン213は、S1602からの処理を繰り返す。他方、主制御部146のキースキャン動作が完了すると、主制御部146はSCAN0〜3を全て“Low”とする。マイコン213は、SCAN0〜3が全て“Low”となったことを検知すると(S1604/YES)、KEY0〜7に対して、DATA0〜3のAND出力を行う(S1605)。
【0097】
図7において説明したように、主制御部146は、キースキャン動作を10ms間隔で2サイクル実行する。したがって、キー操作の再現においても、2サイクル分のキースキャン動作に対応する必要がある。従って、マイコン213は、2サイクル分のデータ出力が完了するまで、S1602〜S1605の処理を繰り返す(S1606/NO)。そして、2サイクル分の処理が完了すると(S1606/YES)、そのキー操作データによるキー操作再現動作を終了する。尚、図16に示す処理の他、キー操作データがキーリリース操作である場合、マイコン213は、図16の処理ではなくキーリリース操作に応じた信号を出力する。
【0098】
次に、S1507のパネル操作の再現処理について、図17を参照して説明する。図17は、本実施形態に係るパネル操作の再現処理を示すフローチャートである。図17に示すように、マイコン213は、先ず、タッチ検知信号を再現した信号を送信する(S1701)。これは、図5のS501においてタッチ検知信号が“Low”となる処理を再現するものである。
【0099】
タッチ検知信号が“Low”となることにより、図5において説明したように、主制御部146が座標測定処理を開始し、図6において説明したように、座標検知コマンドを出力する。マイコン213は、主制御部146による座標検知コマンドを受信すると(S1702/YES)、再生データとして記録されている座標データを送信する(S1703)。これにより、主制御部146が座標データを取得し、図6のS602及びS603の処理を実行する。
【0100】
図5、図6において説明したように、主制御部146は、座標を確定するために8回の検知を10ms間隔で3回、即ち、少なくとも24回の座標検知を行う。従って、マイコン213は、主制御部146が座標を確定する条件が満たされるまで、座標検知コマンドに応じて、再生データである座標データの送信を繰り返す(S1704/NO)。そして、主制御部146による座標確定条件が満たされると(S1704/YES)、処理を終了する。このような処理により、パネル操作の再現処理が完了する。
【0101】
図16及び図17の処理は、上述したように、図15の処理、即ち、再生データに基づく操作再現処理において、再生データ中にキー操作データ若しくはパネル操作データが含まれる限り、複数回にわたって繰り返し実行される。これにより、再生データとして記録された操作が、ユーザが直接ディスプレイパネル140を操作することなく、マイコン213による制御によって自動的に再現される。
【0102】
このように、本実施形態に係る再生処理においては、タッチパネル142やキースイッチ143が操作された際に生じる情報を、従来技術のように主制御部146内部において生成して操作表示制御部105に送信することにより操作を再現するのではなく、タッチパネル142及びキースイッチ143が操作された際に主制御部146に入力される信号を取得して記録し、その記録した信号を主制御部146に入力することによって操作を再現する。これにより、障害発生時の条件をより忠実に再現することができる。
【0103】
更に、ユーザは、図15の再生処理をマイコン213に実行させる際、その再現情報に基づく操作を繰り返し実行させることができる。マイコン213が、自動的に図15の動作を繰り返すことにより、画像形成装置1に発生した障害であって再現性の低い障害を再現するために、同一の操作を膨大な回数繰り返す必要がある場合に必要な操作を簡易化し、ユーザの負担を軽減することができる。尚、再現情報に基づく操作の再現の繰り返しにおいては、回数を指定することなくエンドレスで実行させる場合の他、繰り返し回数を指定して実行させることもできる。
【0104】
また、図16及び図17の処理の実行に際して、USBプロトコルアナライザ220が主制御部146と操作表示制御部105との間でやり取りされる内部情報を取得して解析し、上述した図13及び図14の処理において記憶した内部情報と一致するか否か確認する。これにより、両者が一致する場合は操作が正確に再現されていることを確認可能であると共に、内部情報が異なる場合は操作が正確に再現されていないことを認識することができる。
【0105】
尚、上述したように、操作の再現においては、主制御部146を制御するCPU等の状態により、信号のタイミングが異なる場合があり得るため、操作の再現においてやりとりされる情報のタイミングが、PC230のHDDに記憶された内部情報におけるタイミングと異なる場合があり得る。従って、USBプロトコルアナライザ220は、上記内部情報の一致の判断に際しては、信号のタイミングがずれた場合等も考慮して内部情報の一致を判断する。
【0106】
以上説明したように、本実施形態に係る動作解析装置2により、再現性の低い障害を再現するための操作を簡易化すると共に障害発生時の条件をより忠実に再現することができる。また、図10に示すように、画像形成装置1側に設けられたコネクタ145及び動作解析装置2側に設けられたスイッチ回路211のように、両者を接続するためのインタフェースを設けることにより、装置の筐体を空け、内部の信号線を選別して信号抽出用の線をつなぐ等の作業の必要がなく、動作解析の際の作業をより簡易に行うことが可能となる。
【0107】
尚、上記実施形態においては、図10に示すように、USBプロトコルアナライザ220が、操作の記録処理における内部情報と操作の再現処理における内部情報とを比較することにより、操作の再現性の確認をする場合を例として説明した。この他、操作の再現性の確認には、様々な手段を用いることが可能である。以下に、操作の再現性の他の確認手段について説明する。
【0108】
画像形成装置1には、装置各所に複数のLED(Light Emitting Diode)等の発光部が設けられており、ユーザによる操作に応じて発光する。従って、主制御部146による、各発光部への制御信号を上記USBプロトコルアナライザにおける内部情報と同様に監視することにより、操作の再現性を確認することが可能である。図18を参照して、そのような態様について説明する。
【0109】
図18は、主制御部146による発光部147の接続関係の例を示す図である。図18の例においては、主制御部146に接続されたLEDスキャン信号線LSC0〜3の夫々に対して、8個のLEDが接続されている。LEDの他端はLED制御信号線LEDC0〜7のいずれかに接続されており、全体として32個のLEDがマトリクス上に接続されて配置されている。
【0110】
図18に示すように、LSC0〜3は、夫々pnp型トランジスタのベースに接続されている。pnp型トランジスタのエミッタは高電位に接続されており、コレクタに、8個のLEDが並列に接続されている。LEDC0〜7は、夫々npn型トランジスタのベースに接続されている。npn型トランジスタのエミッタはシステムグランドに接続されており、コレクタに4個のLEDが並列に接続されている。
【0111】
このような構成において、主制御部146は、発光させるべきLEDに接続されたLSCを“Low”とし、LEDCを“High”とすることにより、所望のLEDを発光させる。このような接続関係において、動作解析装置2は、pnp型トランジスタ及びnpn型トランジスタと主制御部146との間の信号を取得して記憶することにより、上記USBプロトコルアナライザ220と同様に、操作の再現性を確認することができる。
【0112】
このような態様の他、例えばユーザによる操作に応じて、ディスプレイパネル140に設けられたLCD70等の表示部の表示が変化することが考えられる。従って、動作解析装置2は、主制御部146が上記表示部を制御するための制御信号を取得し、上述したUSBプロトコルアナライザ220と同様の処理を行うことにより、表示部の制御信号に基づいて操作の再現性を確認することができる。
【0113】
また、上記実施形態においては、ユーザによるタッチパネル142及びキースイッチ143の操作を再現する場合を例として説明した。この他、ユーザによる画像形成装置1の操作としては電源のON/OFFが考えられる。不具合の原因となる操作の一態様として、この電源の操作、特に、正式な手順に従わない電源切断の操作が考えられる。以下に、そのような操作を再現する態様について説明する。
【0114】
図19は、電源のON/OFF操作を再現可能とする態様の構成を示す図である。図19に示すように、画像形成装置1は、外部電源3から電源供給を受けて装置各部の電源を管理する電源管理部190を含む。電源管理部190は外部電源3に直接接続されることが一般的であるが、図19の例においては、リレー回路240を介して外部電源3に接続されており、これが本例の特徴の一つである。
【0115】
図19に示すように、マイコン213は、電源管理部190から装置各部に供給される電源を検知可能なように接続されている。即ち、マイコン213が電源状態検知部としても機能する。マイコン213による電源の検知は、単純な“High”、“Low”の検知であり、例えば5V電源の場合、マイコン213は、2〜4V程度を閾値として“High”、“Low”を検知する。そして、図13や図14の動作と同様に、マイコン213は、信号の立下りを電源の切断タイミングとしてタイムスタンプとともに記録する。
【0116】
リレー回路240は、AC電源の断続を行うことが可能な接続回路であり、マイコン213の制御に従って、電源管理部190と外部電源3との接続及び切断状態を切り替える。即ち、リレー回路240が、電源供給切替部として機能する。これにより、画像形成装置1への外部電源、即ち主電源の供給状態を切り替えることができる。
【0117】
尚、一般的な複合機としての画像形成装置の電源切断手順は2段階になっており、キースイッチ143によって制御される内部電源の供給停止の後、電源管理部190によって管理される主電源の供給が停止される。図19の例においては、上記2段階の電源切断手順のうち、後段の主電源の供給停止を再現することができる。尚、前段の内部電源の供給停止は、キースイッチ143に対する操作に応じて主制御部146が処理する動作である限り、上述した態様によって再現可能である。
【0118】
また、上記実施形態においては、動作解析装置2の一部として動作するPC230を介して、操作記録の開始や記録された操作の再生を制御する態様を例として説明した。その詳細について、図20を参照して説明する。図20は、ユーザ操作解析・再現部210を制御するために、PC230の表示部に表示される専用制御アプリケーションのGUI(Graphical User Interface)231の例を示す図である。
【0119】
図20に示すように、GUI231は、制御ボタン232及びシーケンス表示部233を含む。制御ボタン232は、ユーザがPC230を操作して、ユーザ操作解析・再現部210に命令を与えるためのユーザ・インタフェースである。制御ボタン232に含まれるボタンとしては、図11のS1101の記録開始コマンドの送信、S1102の再生コマンドの送信、図12のS1203の記録終了コマンドの送信、再生のコマ送りコマンドの送信、ループ再生コマンドの送信、図15のS1501の再生データ取得コマンドの送信、記録した操作情報の格納コマンドの送信のためのボタンがある。
【0120】
上記の夫々の処理のうち、再生のコマ送りコマンドとは、図15において説明したように、再生データを自動的に順次実行するのではなく、再生データ毎に停止しながら実行するコマ送り再生を実行させるコマンドである。具体的には、コマ送り再生の場合、マイコン213は、図15のS1502及びS1503において説明したように、タイマのカウント値に従って操作情報に基づく操作の再現を行うのではなく、再現情報に含まれるタイムスタンプの順に操作を再現する。この際、自動的に操作の再現を実行するのではなく、ユーザによって上述した再生のコマ送りコマンドが入力される度に、次のタイムスタンプの操作を実行する。このようなコマ送り再生を可能とすることにより、障害原因の究明におけるユーザの利便性を高めることができる。
【0121】
シーケンス表示部233は、図15のS1501においてマイコン213が取得した再生データの内容を示す表示部である。図20に示すように、再生データは、PC230のHDDに蓄積された再現情報であり、タッチパネル142若しくはキースイッチ143に対する一の操作を再現するための情報が蓄積された情報である。図20に示す再現情報のうち、“ID”は夫々の操作を再現するための再現情報を識別する識別情報である。
【0122】
“操作データタイプ”及び“値”は、夫々の操作の内容を示す情報であり、図13及び図14において操作情報として処理された情報である。即ち、図13のS1307若しくは図14のS1405においてマイコン213がPC230に送信した再現情報に含まれる操作情報である。“操作データタイプ”とは、タッチパネル142に対する操作、キースイッチ143に対する操作、キースイッチ143におけるキーの押下若しくはリリース等の操作の種類を識別する情報である。“値”は、夫々の操作における詳細であり、タッチパネル操作であれば、パネル上の座標、キースイッチ操作であれば、押下されたキーを示す情報である。“タイムスタンプ”は、夫々の操作タイミングを示す情報であり、上述したように、各操作情報と関連付けられている。
【0123】
このようなGUIにおいて、ユーザは、制御ボタン232に表示されている各ボタンをクリックすることにより、ユーザ操作解析・再現部210に命令を与え、ユーザ操作の記録及び再現を実行させることができる。
【0124】
尚、上記実施形態においては、動作解析装置2の動作を制御する構成として、PC230を用いる場合を例として説明した。このような態様は、例えば、ユーザ操作解析・再現部210やUSBプロトコルアナライザ220をUSB機器として構成し、PC230としてノートPCを用いることにより、動作解析装置2の持ち運びの点等で有効である。この他、制御機構としてPC230ではなく専用の情報処理装置を用いることも可能である。更には、そのような専用の情報処理装置とユーザ操作解析・再現部210とを一体の機器として構成してもよい。
【符号の説明】
【0125】
1 画像形成装置、
2 動作解析装置、
3 外部電源、
10 CPU、
20 RAM、
30 ROM、
40 エンジン、
50 HDD、
60 I/F、
70 LCD、
80 操作部、
90 バス、
100 コントローラ、
101 主制御部、
102 エンジン制御部、
103 入出力制御部、
104 画像処理部、
105 操作表示制御部、
110 ADF、
120 スキャナユニット、
130 排紙トレイ、
140 ディスプレイパネル、
141 コントローラ、
142 タッチパネル、
143 キースイッチ、
144 ADC、
145 コネクタ、
146 主制御部、
147 発光部、
150 給紙テーブル、
160 プリントエンジン、
170 排紙トレイ、
180 ネットワークI/F、
190 電源管理部、
210 ユーザ操作解析・再現部、
211 スイッチ回路、
212 FPGA、
213 マイコン、
220 USBプロトコルアナライザ、
230 PC、
231 GUI、
232 制御ボタン、
233 シーケンス表示部、
240 リレー回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0126】
【特許文献1】特開2002−157147号公報
【特許文献2】特開2000−94787号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部を有する画像形成装置に対するユーザの操作を解析して前記操作を再現する動作解析装置であって、
前記操作部と前記操作部を制御する操作制御部との間の信号を取得可能なように接続される接続部と、
ユーザが前記操作部を操作することにより前記操作部と前記操作制御部との間でやり取りされる信号である操作信号を、前記接続部を介して取得する操作信号取得部と、
前記取得された操作信号に基づく操作情報と前記操作信号が取得されたタイミングを示すタイミング情報とを関連付けて再現情報として記憶媒体に記憶する再現情報記憶処理部と、
前記記憶された再現情報に基づき、ユーザによる操作を繰り返し再現する操作再現部とを含み、
前記接続部は、前記操作信号取得部が前記操作信号を取得する際は前記操作部と前記操作制御部とを接続した状態とし、前記操作再現部が前記操作を再現する際は前記操作部と前記操作制御部とを切断した状態とし、
前記操作再現部は、前記操作の再現命令に応じてタイミングのカウントを開始し、前記タイミング情報が示すタイミングに達したら、そのタイミング情報に関連付けられている前記操作情報に基づいて前記操作信号を生成し、前記接続部を介して前記生成された操作信号を操作制御部に送信することを特徴とする動作解析装置。
【請求項2】
前記操作再現部は、前記送信した操作信号に対する前記操作制御部の応答信号に応じて、前記タイミングのカウント値と前記タイミング情報が示すタイミングとに基づき、そのタイミング情報に関連付けられている前記操作情報に基づいて前記操作信号を生成して前記操作制御部に対して送信することを特徴とする請求項1に記載の動作解析装置。
【請求項3】
前記再現情報記憶処理部は、連続して取得された前記操作信号が、前記操作部の操作状態として同一の状態を示す場合、2回目以降に取得された前記操作信号を破棄することを特徴とする請求項1または2に記載の動作解析装置。
【請求項4】
前記操作再現部は、一の前記タイミング情報に関連付けられた操作情報に基づく操作の再現中に、前記タイミングのカウント値が他のタイミング情報が示すタイミングに達した場合、前記再現中の操作の再現が完了してから前記他のタイミング情報に関連付けられた操作情報に基づく操作の再現を開始することを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の動作解析装置。
【請求項5】
ユーザが前記操作部を操作することにより前記操作制御部が他の部位を制御するために出力する制御信号を取得する制御信号取得部と、
前記取得された制御信号に基づく制御情報を前記ユーザによる操作に係る前記再現情報と関連付けて記憶媒体に記憶する制御情報記憶処理部と、
前記操作再現部が前記ユーザによる前記操作部の操作を再現した際に前記制御信号取得部が取得した前記制御信号に基づく制御情報と、前記再現した操作の再現情報と関連付けて記憶されている前記制御情報との差異に基づいて前記ユーザの操作が正確に再現されていることを確認する再現確認部とを更に含むことを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の動作解析装置。
【請求項6】
前記制御信号取得部は、ユーザが前記操作部を操作することにより前記操作制御部が前記画像形成装置本体の制御部に出力する信号を取得することを特徴とする請求項5に記載の動作解析装置。
【請求項7】
前記制御信号取得部は、ユーザが前記操作部を操作することにより前記操作制御部が前記画像形成装置の表示部を制御するために出力する信号を取得することを特徴とする請求項5または6に記載の動作解析装置。
【請求項8】
前記制御信号取得部は、ユーザが前記操作部を操作することにより前記操作制御部が前記画像形成装置に設けられた発光部を制御するために出力する信号を取得することを特徴とする請求項5乃至7いずれかに記載の動作解析装置。
【請求項9】
前記画像形成装置本体の制御部に供給される電源の状態を検知する電源状態検知部と、
前記画像形成装置に外部から電源を供給する外部電源供給部に接続され、外部からの電源供給状態を切り替える電源供給切替部とを更に含み、
前記再現情報記憶処理部は、前記検知された電源状態に基づく電源の投入若しくは切断の操作情報と前記電源の状態が検知されたタイミングを示すタイミング情報とを関連付けて再現情報として記憶媒体に記憶し、
前記操作再現部は、電源の投入若しくは切断の操作情報を含む前記再現情報に基づいてユーザによる操作を再現する場合、前記電源供給切替部を制御して外部からの電源供給状態を切り替えることを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載の動作解析装置。
【請求項10】
操作部を有する画像形成装置に対するユーザの操作を解析して前記操作を再現する動作解析方法であって、
操作信号取得部が、前記操作部と前記操作部を制御する操作制御部との間の信号を取得可能なように接続される接続部を介して、ユーザが前記操作部を操作することにより前記操作部と前記操作制御部との間でやり取りされる信号である操作信号を取得し、
再現情報記憶処理部が、前記取得された操作信号に基づく操作情報と前記操作信号が取得されたタイミングを示すタイミング情報とを関連付けて再現情報として記憶媒体に記憶し、
操作再現部が、前記記憶された再現情報に基づき、ユーザによる操作を繰り返し再現するものであり、
前記操作再現部は、
前記操作信号取得部が前記操作信号を取得する際は前記操作部と前記操作制御部とが接続され、前記操作再現部が前記操作を再現する際は前記操作部と前記操作制御部とが切断された状態となるように前記接続部を制御し、
前記操作の再現命令に応じてタイミングのカウントを開始し、前記タイミング情報が示すタイミングに達したら、そのタイミング情報に関連付けられている前記操作情報に基づいて前記操作信号を生成し、前記接続部を介して前記生成された操作信号を操作制御部に送信することを特徴とする動作解析方法。
【請求項11】
操作部を有する画像形成装置に対するユーザの操作を解析して前記操作を再現する動作解析プログラムであって、
前記操作部と前記操作部を制御する操作制御部との間の信号を取得可能なように接続される接続部を介して、ユーザが前記操作部を操作することにより前記操作部と前記操作制御部との間でやり取りされる信号である操作信号を取得するステップと、
前記取得された操作信号に基づく操作情報と前記操作信号が取得されたタイミングを示すタイミング情報とを関連付けて再現情報として記憶媒体に記憶するステップと、
前記記憶された再現情報に基づき、ユーザによる操作を繰り返し再現するステップとを情報処理装置に実行させるものであり、
前記ユーザによる操作を再現するステップは、
前記操作信号取得部が前記操作信号を取得する際は前記操作部と前記操作制御部とが接続され、前記操作再現部が前記操作を再現する際は前記操作部と前記操作制御部とが切断された状態となるように前記接続部を制御するステップと、
前記操作の再現命令に応じてタイミングのカウントを開始するステップと、
前記タイミング情報が示すタイミングに達したら、そのタイミング情報に関連付けられている前記操作情報に基づいて前記操作信号を生成するステップと、
前記接続部を介して前記生成された操作信号を操作制御部に送信するステップと含むことを特徴とする動作解析プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−114370(P2011−114370A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266217(P2009−266217)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】