説明

動圧型軸受ユニット

【課題】 バイパス孔を設けることなく、スラスト軸受すきまでの負圧の発生を防止する。
【解決手段】 スラスト軸受面11bの動圧溝15に、ポンプアウト部15bの内径側での負圧発生を防止する負圧発生防止機構17を設ける。負圧発生防止機構17は、ポンプイン部15aに押し込まれた油とポンプアウト部15bに押し込まれた油とが合流する折り返し部分15cを内径側に変位させることによって構成される。これにより、ポンプイン部15aのポンプ作用が強化され、ポンプアウト部15bのポンプ作用が弱化されるので、ポンプアウト部15bよりも内径側のスラスト軸受すきまCs2での負圧の発生を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動圧型軸受ユニットに関する。この軸受ユニットは、特に情報機器、例えばHDD、FDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、DVD−ROM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置などのスピンドルモータ、あるいはレーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータなどのスピンドル支持用として好適なものである。
【背景技術】
【0002】
上記各種情報機器のスピンドルモータには、高回転精度の他、高速化、低コスト化、低騒音化などが求められている。これらの要求性能を決定づける構成要素の一つに当該モータのスピンドルを支持する軸受があり、近年では、この種の軸受として、上記要求性能に優れた特性を有する動圧型軸受の使用が検討され、あるいは実際に使用されている。
【0003】
図4はこの種のスピンドルモータの一例で、軸受ユニット21で回転自在に支持された軸部材22(軸22aと、軸22aへの装着によりフランジ部となるスラスト円盤22bとで構成される)を、軸受部材27側に固定したモータステータ4と、軸部材22側に装着したモータロータ5との間に生じる励磁力で回転駆動する構造である。軸受ユニット21には、軸部材22をラジアル方向で支持するラジアル軸受部30とスラスト円盤22bをスラスト方向で支持するスラスト軸受部31とが設けられ、これらの軸受部30、31は何れも軸受面に動圧発生用の溝(動圧溝)を有する動圧型軸受とされる。ラジアル軸受部30の動圧溝は、軸受部材27の内周面(あるいは軸22aの外周面)に形成され、スラスト軸受部31の動圧溝は、軸部材22の下端に固定したスラスト円盤22bの両端面(あるいは当該端面に対向する面)にそれぞれ形成される。軸受部材27の底部には円板状のバックメタル33が嵌め込まれ、軸受部材27の底部側の開口部が封口されている。
【0004】
軸部材22が回転すると、ラジアル軸受部30の軸受すきまCr(軸22aの外周面と軸受部材27の内周面との間のすきま)やスラスト軸受部31の軸受すきまCs1、Cs2(スラスト円盤22bの両端面と、軸受部材24の端面およびバックメタル33の端面との間のすきま)に動圧油膜が形成され、軸部材2が非接触状態で回転自在に支持される。
【0005】
スラスト軸受部31におけるスラスト軸受面(動圧溝を形成した面)の動圧溝の形状としては、図5(C)に示すへリングボーン型と図6(C)に示すスパイラル型とが代表的で、これら動圧溝35、35’の形状は用途に応じて適宜使い分けられている。へリングボーン型の動圧溝35は図示のように略V字状であり、外周部において流体を内径側に押し込むポンプイン部35aと、その内周部において流体を外径側に押し込むポンプアウト部35bとを有する。ポンプイン部35aで内径側に押し込まれた流体とポンプアウト部35bで外径側に押し込まれた流体とがV字の折り返し部分35c付近で合流し、動圧を発生するため、スラスト軸受面での動圧の圧力分布は、図5(B)に示すようにリング状となる。この圧力分布から、へリングボーン型の動圧溝35では、図6(B)に示す圧力分布のスパイラル型の動圧溝35’に比べてモーメント荷重に対する負荷容量が大きく、それ故、薄型モータのようにラジアル軸受部30の軸方向長さを長くできず、モーメント負荷容量が小さくなるような場合には、へリングボーン型の動圧溝35を採用する場合が多い。
【特許文献1】特開平10−112955号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、へリングボーン型の動圧溝35では、ポンプアウト部35bを流れる流体に軸部材22の回転に伴う遠心力が加わるため、スラスト軸受すきまの軸芯付近では流体を外径側に引き込もうとする力が強く働く。そのため、高速回転下では、図5(B)に示すようにポンプアウト部35bよりも内径側の領域で負圧の部分Nを生じ易い。かかる負圧下では流体中に気泡が発生しやく、この気泡が軸受性能、特にスラスト軸受性能の低下をおこすおそれがある。
【0007】
この問題に対処するため、図4に示すように、軸部材22にスラスト軸受すきまCs2の中心部とラジアル軸受すきまCrとに開口したバイパス孔36を設けることにより、スラスト軸受すきまCs2(ラジアル軸受すきまCrも含めて)の圧力バランスを確保する提案もなされているが、バイパス孔36分の加工工数が増えるためにコスト高であり、また、バイパス孔36に残った異物が各軸受すきまCr、Cs1、Cs2に入り込むおそれもある。
【0008】
そこで、本発明は、バイパス孔を設けずとも、スラスト軸受すきまでの負圧発生を防止できる動圧型軸受ユニットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる動圧型軸受ユニットは、軸部材と、軸部材の外周にラジアル軸受すきまを介して配置された軸受部材と、対向する軸受部材および軸受部材の間に形成されたスラスト軸受すきまと、上記スラスト軸受すきまに面して軸部材または軸受部材の何れか一方に設けられ、回転側の部材の回転時にスラスト軸受すきまに動圧を発生させる動圧溝を有するスラスト軸受面とを備え、上記動圧溝が、油を内径側に押し込むポンプイン部と、ポンプイン部の内周部で油を外径側に押し込むポンプアウト部とを有するものである。
【0010】
軸受部材は、底部を一体に有するハウジングの内周面に固定することができる。
【0011】
この動圧型軸受ユニットにおいて、軸受部材を、油を保有した焼結金属で形成し、スラスト軸受面の動圧溝を、ポンプアウト部の内径側での負圧発生を防止する負圧発生防止機構を有するものとすれば、当該内径側領域での気泡の発生を防止し、気泡発生による軸受性能の低下を回避することができる。
【0012】
負圧発生防止機構としては、例えばポンプイン部のポンプ作用とポンプアウト部のポンプ作用との強弱を調整するものが考えられる。このポンプ作用の強弱調整は、例えば動圧溝形状を従来形状から変更することで実現できる。このような動圧溝の形状変更は、従来のようにバイパス孔を加工する場合に比べて加工コストを安価に抑えることができ、また、バイパス孔内での異物の残存も問題とはならない。
【0013】
ポンプ作用の強弱調整は、ポンプイン部のポンプ作用を強化し、もしくはポンプアウト部のポンプ作用を弱化することによって行える。
【0014】
ポンプイン部のポンプ作用の強化、もしくはポンプアウト部のポンプ作用の弱化は、ポンプイン部で押し込まれた流体とポンプアウト部で押し込まれた流体との合流部、例えばへリングボーン型動圧溝の折り返し部分を半径方向に変位させることで実現できる。この他、ポンプイン部を流れる流体の流量とポンプアウト部を流れる流体の流量とに差を設けてもよい。
【0015】
軸受部材を含油焼結金属で形成した場合、軸受部材の内部で油が循環するため、ラジアル軸受すきまやスラスト軸受すきまでより一層負圧が生じにくくなる。
【発明の効果】
【0016】
このように本発明によれば、スラスト軸受面の動圧溝に負圧発生防止機構を設けているので、スラスト軸受すきま、特にポンプアウト部の内径側領域での負圧の発生を防止することができる。従って、スラスト軸受すきまへの気泡の混入を防止することができ、安定した軸受性能(特にスラスト負荷能力)が確保される。この負圧発生防止機構は、動圧溝の成形と同時にプレス等で簡単に加工することができるので、従来のようにバイパス孔を貫通形成する場合に比べて加工コストの低減が図られる。また、バイパス孔を加工する場合のように狭い孔内での異物の残存、および当該異物の軸受すきまへの侵入が生じることはなく、軸受性能を長期間安定して維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図1〜図3に基いて説明する。
【0018】
図1は、本発明にかかる動圧型軸受ユニット1を備える情報機器用スピンドルモータの断面図で、一例としてHDD(ハードディスクドライブ)スピンドルモータを示している。このスピンドルモータは、軸部材2(スピンドル)を回転自在に支持する軸受ユニット1と、軸部材2に取付けられ、磁気ディスクDを一又は複数枚保持するディスクハブ3と、半径方向のギャップを介して対向させたモータステータ4およびモータロータ5とを有する。ステータ4は、軸受ユニット1を保持するケーシング9の円筒状外周部に取付けられ、ロータ5はディスクハブ3の内周面に取付けられている。ステータ4に通電すると、ステータ4とロータ5との間の励磁力でロータ5が回転し、ディスクハブ3および軸部材2が回転する。
【0019】
軸受ユニット1は、軸部材2と、有底円筒状のいわゆる袋型ハウジング6と、ハウジング6の内周面に固定された厚肉円筒状の軸受部材7と、軸受部材7の一端側(ハウジング6の開口側)を密封するシールワッシャ等のシール部材8とを主な構成要素とする。軸部材2は、軸2aと軸2aの下端部に一体形成または圧入され、外径側に突出するスラスト円盤2b(フランジ部)とで構成される。この軸部材2は、軸2aを軸受部材7の内周部に、フランジ部2bを軸受部材7とハウジング6の底部との間に収容して配置される。
【0020】
軸受部材7は、油を保有した焼結金属で形成される。軸受部材7の内周面には、複数の動圧溝を有するラジアル軸受面10aが形成され、これより軸部材2と軸受部材7の相対回転時(本実施形態では軸部材2の回転時)には、固定側のラジアル軸受面10aと回転側の軸2aの外周面との間のラジアル軸受すきまCrに潤滑油の動圧が発生し、軸2aをラジアル方向で非接触支持するラジアル軸受部10が構成される。ラジアル軸受面10aは軸部材2の外周面に形成してもよい。
【0021】
焼結金属を使用する場合の動圧溝は、圧縮成形、すなわち、コアロッドの外周面にラジアル軸受面10aの動圧溝形状(図2参照)に対応した凹凸形状の溝型を形成し、コアロッドの外周に焼結金属を供給して焼結金属を圧迫し、焼結金属の内周部に溝型形状に対応した動圧溝を転写することによって、低コストにかつ高精度に成形することができる。この場合、焼結金属の脱型は、圧迫力を解除することによる焼結金属のスプリングバックを利用して簡単に行える。脱型後の軸受部材7に潤滑剤、例えば潤滑油や潤滑グリースを含浸して油を保有させることにより、動圧型焼結含油軸受が構成される。なお、動圧溝サイジングを行う前に、多孔質材の内部に回転サイジングを施し、当該内径面の開孔率を抑えておくのが望ましい。
【0022】
上記ラジアル軸受面10aの動圧溝形状は任意に選択することができ、公知のへリングボーン型、スパイラル型、ステップ型、多円弧型等の何れかを選択し、あるいはこれらを適宜組合わせて使用することができる。図2は、ラジアル軸受面10aの動圧溝形状の一例としてへリングボーン型を示す。図示のように、このラジアル軸受面10aは、一方に傾斜する動圧溝13が形成された第一の溝領域m1と、第一の溝領域m1から軸方向に離隔し、他方に傾斜する動圧溝13が配列された第二の溝領域m2と、2つの溝領域間m1、m2間に位置する環状の平滑部nとを備え、平滑部nと動圧溝13間の背の部分14とは同一レベルにある。図2では、へリングボーン型動圧溝13を一列のみ表示しているが、モーメント荷重を受けるべく、通常は二列のへリングボーン型動圧溝13が設けられる。
【0023】
フランジ部2bの軸方向両側には、軸方向のすきまであるスラスト軸受すきまCs1、Cs2が設けられる。スラスト軸受すきまCs1は、フランジ部2bの上端面とこれに対向する軸受部材7の端面との間に形成され、他方のスラスト軸受すきまCs2は、フランジ部2bの下端面と、これに対向するスラスト支持部13の上面との間に形成される。本実施形態は、スラスト支持部13をハウジング6の他端開口を封口する底部とし、かつハウジング6と一体に形成した場合を例示しているが、スラスト支持部13をハウジング6と別体に構成してもよい。一方のスラスト軸受すきまCs1を臨む軸受部材7の下端面、および他方のスラスト軸受すきまCs2を臨むスラスト支持部13の上面には、それぞれ動圧溝を有するスラスト軸受面11a、11bが形成され、これより軸部材2の回転時には、スラスト軸受すきまCs1、Cs2に潤滑油の動圧が発生し、フランジ部2bをスラスト方向両側から非接触支持するスラスト軸受部11が構成される。スラスト軸受面11a、11bの何れか一方、あるいは双方は、フランジ部2bの一方の端面、あるいは両端面に形成することもできる。
【0024】
スラスト軸受面11a、11bには、図3(C)に示すように、へリングボーン型に配列した複数の動圧溝15(クロスハッチングで示す)が形成される(図は一例としてハウジング6底部側、すなわちスラスト支持部13に設けられたスラスト軸受面11bを例示している)。スラスト軸受面11a、11bの動圧溝15は、同一径の円周方向線上に折り返し部分15cを有するほぼV字状をなし、折り返し部分15cを境とする外径側および内径側の何れの部分15a、15bも外径側を凸とする部分円弧状に形成される。動圧溝15のうち、折り返し部分15cの外径側はポンプイン部15aで、軸部材2の回転に伴って作動流体である油を内径側に押し込み、折り返し部分15cの内径側はポンプアウト部15bで軸部材2の回転に伴って油を外径側に押し込む。ポンプイン部15aとポンプアウト部15bによって押し込まれた油は、折り返し部分15cの近傍で合流し、所定の動圧を発生する。この時の圧力分布は、図示のように従来と同様のリング状となる。このスラスト軸受面11a、11bは、例えば上記動圧溝形状に対応した凹凸を有する型を用いてプレス等することにより、簡単かつ高精度に成形できる。
【0025】
上記軸受ユニット1は、ハウジング6内にフランジ部2bを下にして軸部材2を挿入し、さらに所定幅のスラスト軸受すきまCs1、Cs2が形成されるようにハウジング6内周部の所定位置に、軸受部材7を圧入あるいは接着することにより組立てられる。そして、この軸受ユニット1をケーシング9の円筒状内周部に圧入あるいは接着し、さらにロータ5やディスクハブ3からなるアッセンブリ(モータロータ)を軸2aの上端に圧入することにより、図1に示すスピンドルモータが組立てられる。なお、本実施形態は、上記のように軸部材2を回転させる構造であるから、軸部材2、ディスクハブ3等が回転側部材となり、ハウジング6、シール部材8、ケーシング9等が固定側部材となる。
【0026】
本発明は、二つのスラスト軸受面11a、11bのうちの少なくとも一方、例えばハウジング底部側(スラスト支持部13側)のスラスト軸受面11bの動圧溝15に、負圧発生防止機構17を持たせたものである。負圧発生防止機構17は、スラスト軸受すきまCs2のうち、ポンプアウト部15bよりも内径側の領域での負圧発生を防止するもので、本発明では、これをポンプイン部15aとポンプアウト部15bの各ポンプ作用(油の押し込み力)の強弱を調整することで実現している。
【0027】
図3(A)(C)は、ポンプ作用強弱調整手段の一例を示すもので、この例では、動圧溝15の折り返し径d、すなわち各動圧溝15の折り返し部分15cを結んでできる円の直径を図5(C)に示す従来品の折り返し径d'よりも小さくしている。この場合も、ポンプイン部15aに押し込まれた油とポンプアウト部15bに押し込まれた油は折り返し部分15c付近で合流するが、この合流部分が従来品よりも内径側に変位しているため、ポンプアウト部15bのポンプ作用は弱くなる(反対にポンプイン部15aのポンプ作用は強くなる)。そのため、高速回転時においてもポンプアウト部15bで過剰の油が外径側に押し込まれることはなく、これより同図(B)に示すように、ポンプアウト部15bよりも内径側のスラスト軸受すきまCs2、特にその軸芯周辺での負圧発生を防止することができる。なお、この負圧発生防止機構17は、従来のプレス型を対応品に交換するだけで動圧溝15と同時に成形可能であり、低コストに加工可能である。
【0028】
負圧発生防止機構17におけるポンプ作用の強弱の程度は、軸受ユニット1の使用回転数に応じて定められ、例えば本実施形態では、最大使用回転数下においても負圧が発生しないように折り返し径dが設定される。
【0029】
上記と同様の効果は、ポンプイン部15aを流れる油の流量とポンプアウト部15bを流れる油の流量とに差を設けることによって得ることができる。流量の調整手段としては、例えばポンプアウト部15bの溝深さをポンプイン部15aよりも浅くすることが考えられる。その他、ポンプアウト部15bの溝幅をポンプイン部15aのそれよりも小さくしてもよい(何れも図示は省略)。
【0030】
ポンプ作用の強弱調整は、ポンプイン部15aのポンプ作用を強化し、もしくはポンプアウト部15bのポンプ作用を弱化すればよいので、これを実現できる限り、上記以外の他の構成を採用することも可能である。
【0031】
なお、軸受部材7を上記含油焼結金属で形成した場合、軸受部材7の内部で油が循環するため、ラジアル軸受すきまCrやスラスト軸受すきまCs1、Cs2での負圧発生防止により有効となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明にかかる動圧型軸受ユニットの断面図である。
【図2】軸受部材の部分拡大断面図であって、ラジアル軸受面は展開した状態を示す。
【図3】(A)図は軸部材の側面図、(B)図は圧力分布を示す図、(C)図はスラスト軸受面の平面図である。)図1の要部拡大断面図である。
【図4】従来の動圧型軸受ユニットの断面図である。
【図5】図4に示す軸受ユニットにおける、軸部材の側面図(A図)、動圧の圧力分布図(B図)、およびへリングボーン型の動圧溝を有するスラスト軸受面の平面図(C図)である。
【図6】図4に示す軸受ユニットにおける、軸部材の側面図(A図)、動圧の圧力分布図(B図)、およびスパイラル型の動圧溝を有するスラスト軸受面の平面図(C図)である。
【符号の説明】
【0033】
1 軸受ユニット
2 軸部材
6 ハウジング
7 軸受部材
10a ラジアル軸受面
11a スラスト軸受面
11b スラスト軸受面
13 ラジアル軸受面の動圧溝
15 スラスト軸受面の動圧溝
15a ポンプイン部
15b ポンプアウト部
15c 折り返し部分(合流部)
17 負圧発生防止機構
Cr ラジアル軸受すきま
Cs1 スラスト軸受すきま
Cs2 スラスト軸受すきま
d 折り返し径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部材と、軸部材の外周にラジアル軸受すきまを介して配置された軸受部材と、対向する軸受部材および軸受部材の間に形成されたスラスト軸受すきまと、上記スラスト軸受すきまに面して軸部材または軸受部材の何れか一方に設けられ、回転側の部材の回転時にスラスト軸受すきまに動圧を発生させる動圧溝を有するスラスト軸受面とを備え、上記動圧溝が、油を内径側に押し込むポンプイン部と、ポンプイン部の内周部で油を外径側に押し込むポンプアウト部とを有する動圧型軸受ユニットにおいて、
軸受部材が油を保有した焼結金属で形成され、スラスト軸受面の動圧溝が、ポンプアウト部の内径側での負圧発生を防止する負圧発生防止機構を有することを特徴とする動圧型軸受ユニット。
【請求項2】
軸受部材が、底部を一体に有するハウジングの内周面に固定されている請求項1記載の動圧型軸受ユニット。
【請求項3】
負圧発生防止機構が、ポンプイン部のポンプ作用とポンプアウト部のポンプ作用との強弱を調整することで負圧の発生を防止するものである請求項1記載の動圧型軸受ユニット。
【請求項4】
ポンプイン部のポンプ作用を強化し、もしくはポンプアウト部のポンプ作用を弱化した請求項3記載の動圧型軸受ユニット。
【請求項5】
ポンプイン部に押し込まれた流体とポンプアウト部に押し込まれた流体との合流部を半径方向に変位させた請求項4記載の動圧型軸受ユニット。
【請求項6】
ポンプイン部を流れる流体の流量とポンプアウト部を流れる流体の流量とに差を設けた請求項4記載の動圧型軸受ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−177563(P2006−177563A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−88631(P2006−88631)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【分割の表示】特願平11−363066の分割
【原出願日】平成11年12月21日(1999.12.21)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】