説明

動態管理システム、受信器および動態管理方法

【課題】 簡単な構成で、容易に動態の移動を検出できる、動態管理システムを提供する。
【解決手段】 部屋60の出入口には、それぞれが、ID番号付きのトリガ信号を出力する、トリガ信号発信アンテナ21〜28が設けられる。動態管理システム10は、トリガ信号発信アンテナ21〜28と、トリガ信号発信アンテナ21〜28にトリガ信号を供給するトリガ信号発信器11〜18と、トリガ信号発信器11〜18からのトリガ信号に応答して、ID番号を出力するIDタグ40とを含み、IDタグ40は、受信したトリガ信号IDとともに自己のID番号を出力し、受信器35〜37が、IDタグ40が出力したトリガ信号のID番号とIDタグ40のID番号を受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入退室管理等に用いられる、動態管理システム、それに用いられる受信器、および動態管理方法に関し、特に複数の人の動向を容易に知ることができる、動態管理システム、それに用いられる受信器、および動態管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の入退室管理システムが、たとえば、特開2003−178381号公報(特許文献1)に開示されている。同公報によれば、入退室監視システムは、分離して設けられた2つのアンテナを有し、2つのアンテナを切換えて、受信期間内に応答信号があるか否かを判断して、タグの特定と、移動方向を検出している。
【特許文献1】特開2003−178381号公報(段落番号0009等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の動態管理システムにおいては、上記のようにして、タグの特定と、移動方向を検出していたため、構成が複雑であるとともに、判別に時間がかかるという問題があった。
【0004】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、簡単な構成で、容易に動態の移動を検出できる、動態管理システム、受信器および動態管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明にかかる動態管理システムは、第1の位置に設けられ、第1特性を有するトリガ信号を出力する、第1トリガ信号発信器と、第2の位置に設けられ、第1と異なる第2特性を有するトリガ信号を出力する、第2トリガ信号発信器と、第1および第2トリガ信号発信器からのトリガ信号に応答して、ID番号を出力するIDタグとを含み、IDタグは、受信したトリガ信号を特定する情報とともにID番号を出力し、IDタグが出力したID番号を受信する受信器とを含む。
【0006】
IDタグは、受信したトリガ信号を特定する情報とともにID番号を出力するため、2つのトリガ信号発信器からの情報だけで、IDタグが、どのトリガ信号発信位置をどのように通過したかを知ることができる。
【0007】
その結果、簡単な構成で、容易に動態の移動を検出できる、動態管理システムが提供できる。
【0008】
好ましくは、IDタグは、トリガ信号ごとの異なる特性を記憶する記憶手段を含む。
【0009】
さらに好ましくは、トリガ信号発信器の相互に異なる特性は、トリガ信号のIDによって区別される。
【0010】
さらに好ましくは、現在時刻を検出する現在時刻検出器を含み、受信器の受信したID番号を現在時刻とともに記憶する。
【0011】
なお、受信器は複数のトリガ信号発信器に対して1個設けられてもよい。
【0012】
この発明の他の局面においては、受信器は、トリガ信号に応答して、ID番号を出力するIDタグが出力したID番号を受信する。トリガ信号は、それぞれが異なる位置に設けられ、相互に異なる特性を有するトリガ信号を出力する複数のトリガ信号発信器から出力され、IDタグは、受信したトリガ信号を特定する情報とともにID番号を出力し、受信器は、IDタグが出力した、トリガ信号を特定する情報と、ID番号とを受信する。
【0013】
この発明のさらに他の局面においては、動態管理方法は、異なる位置で、相互に異なる特性を有する、複数のトリガ信号を出力するステップと、受信したトリガ信号を特定する情報とともにID番号を出力するIDタグを前記異なる位置を通過させるステップと、IDタグが出力したID番号を受信するステップとを含む。
【0014】
IDタグは、受信したトリガ信号を特定する情報とともにID番号を出力するため、2つのトリガ信号発信器からの情報だけで、IDタグが、どのトリガ信号発信位置をどのように通過したかを知ることができる。
【0015】
その結果、簡単な構成で、容易に動態の移動を検出できる、動態管理方法が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施の形態に係る動態管理システムを、ある部屋への出入りの管理に適用した場合の全体構成を示すブロック図である。
【0017】
図1を参照して、部屋60には、4つの出入口A〜Dが設けられており、所定のIDタグ40を保持した人がこれらの出入口A〜Dを介して入退室する。動態管理システム10は、部屋60の出入口A〜Dのそれぞれに設けられ、所定のトリガ信号を発信する、トリガ信号発信アンテナ21〜28と、トリガ信号発信アンテナ21〜28にトリガ信号を供給するトリガ信号発信器11〜18と、トリガ信号を受けてIDタグ40が発信したID番号を受信する受信器35〜37と、受信器35〜37に接続され、受信器35〜37の受信したID番号を処理するコントローラ30とを含む。
【0018】
トリガ信号発信器11〜18は、トリガ信号発信時に、それぞれ異なる特性のトリガ信号を出力する。ここでは、トリガ信号IDを出力するものとして説明する。IDタグ40は、後に説明するように、トリガ信号を受信すると、受信したトリガ信号のID番号と、自分のID番号とを合わせて、受信器35〜37に送信する。
【0019】
コントローラ30は、IDタグ40からのトリガID番号とタグのID番号を受信する、受信部31と、現時時刻を出力する計時部32と、受信部31で受信した上記のデータを、計時部32で計時した時刻とともに記憶する記憶部33と、受信部31、計時部32および記憶部33を制御する制御部34とを含む。
【0020】
図1においては、部屋60の内部に受信器35を1つ設け、外部には、出入口A、B用に受信器36を設け、出入口C,D用に受信器37を設けた例を示しているが、受信器を各トリガ信号発信器ごとに設けてもよい。
【0021】
図2は、IDタグ40の構成を示すブロック図である。図2を参照して、IDタグ40は受信用アンテナ51とトリガ信号検知部41と、電池49と、スィッチ42と固有のID番号を発生する、ID番号発生部43とを含む。ID番号発生部43はアドレス計数部45とID番号記憶部46と発振器47と出力回路48と、ID番号発生部43と、所定のデータを格納しているメモリ52と、全体を制御するCPU50とから構成される。
【0022】
受信用アンテナ51は、トリガ信号発信器11〜18に接続されたトリガ信号発信アンテナ21〜28からのトリガ信号を受信するようになっており、トリガ信号検知部41は、受信用アンテナ51で受信された信号が、トリガ信号であると認識したときにスイッチ42をONするようになっている。スイッチ42がONされると、ID番号発生部43に電源が供給されて、このID番号発生部43からそのIDタグ40に対応するID番号および、受信用アンテナ51で受信したトリガ信号のIDとが送信用アンテナ44を介して出力される。このように出力されたID番号は発振器47によって高周波信号に変換されて出力回路48を介して送信用アンテナ44から送信される。
【0023】
メモリ52は、トリガ信号発信器11〜18の発信する、それぞれが異なる、各トリガ信号のパターンを格納しており、トリガ信号を受信すると、そのパターンからトリガIDを特定するようにしてもよい。
【0024】
ここでIDタグ40に設けられた発振器47からはID番号が、トリガ信号IDとともに発信され、これらのIDをID受信器13が受信する。
【0025】
次に、IDタグ40の動作について説明する。図3は、IDタグ40の動作を示すフローチャートである。
【0026】
図2および図3を参照して、IDタグ40は、まず、トリガ信号を検出する(ステップS11、以下、ステップを省略する)。トリガ信号を受信すると(S11でYES)、マイコン50を起動して(S12)、トリガ信号を取り込む(S13)。トリガ信号は、同期信号を含むヘッダと、トリガIDと、誤り検出用のパリティデータとフッタとを有している。このヘッダから同期信号、パリティデータ、およびトリガIDとを取り出し(S14〜S16)、メモリに格納されているトリガ信号のパターンと比較して、受信したトリガ信号が、トリガ信号A〜Cのうちの、どのトリガ信号であるかを判別し、データの送信準備を行なう(S17)。
【0027】
トリガ信号から取り出したトリガIDと、ID番号記憶部46に格納されているIDタグのID番号とから、データの準備を行ない(S18)、受信したトリガ信号から、上記した発信間隔データに応じて、タイマーをセットする(S19)。
【0028】
次いで、タイマカウントをセットし、カウントダウンを開始する(S20,S21)。セットしたカウント値になると(S22)、RF(無線周波数)を発信し(S23)、準備したデータを送信して、RFをオフする(S24、S25)。
【0029】
その後、プログラムは、再度S19に戻り、タイマをセットした後、データ送信を繰り返す。これは、予め定められた所定回数繰り返される。
【0030】
このように、IDタグ40は、受信したトリガ信号のIDと自己のIDとを受信器35〜37に送信するため、トリガ信号発信アンテナ21〜28の設けられている出入口において、どの方向に移動したかを確実に検出できる。
【0031】
また、一定間隔で、複数回データを送信することにより、データの受信漏れは生じない。
【0032】
また、計時部32での計時時間を合わせて記憶部33に記憶することにより、誰が何時に、どの出入口から入室、または退室したのかを知ることができる。
【0033】
なお、コントローラ30では、複数の受信器35〜37において、重複したデータを受信したときには、いずれかのデータを削除する等の処理を行なう。
【0034】
次に、受信器35〜37の動作について図4に示すフローチャートを参照して説明する。図4を参照して、受信器35〜37は、IDタグ40からIDを受信すると(S31でYES)、それをコントローラ30へ送信する(S32)。
【0035】
なお、受信器35〜37のデータの送信は、一定の時間IDタグからの受信データを図示のないメモリに格納し、所定時間経過後にコントローラ30に送信してもよい。
【0036】
上記実施の形態においては、異なる特性のトリガ信号を出力する例として、トリガ信号IDを出力するものとして説明したが、これに限らず、波形が異なる等の他の方法で特性を変えるようにしてもよい。
【0037】
上記実施の形態においては、動態管理システムを、部屋60の出入口を介したIDタグを保持した人の入退室の管理に用いた例について説明したが、これに限らず、任意の位置における人の動向を知ることができる。
【0038】
たとえば、見本市会場のようなイベント会場において、各ブースへの入退室等にも利用が可能である。
【0039】
自転車競技を含むトラック競技や、マラソン等において、所定のゴール地点と、それに対して半周手前等の位置の両方にトリガ信号発信アンテナを設け、IDタグを保持する競争者の半周前のラップタイムと、ゴール時間とを知ることができる。
【0040】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【0041】
そのような内容の一部を以下に示す。
【0042】
1.動態管理方法においては、トリガ信号発信器の相互に異なる特性は、トリガ信号のIDによって区別する。
【0043】
2.動態管理方法は、現在時刻を検出するステップを含み、受信したID番号を現在時刻とともに記憶するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明にかかる動態管理システムの要部を示すブロック図である。
【図2】IDタグの構成を示すブロック図である。
【図3】IDタグの処理手順を示すフローチャートである。
【図4】受信器の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0045】
10 動態管理システム、11〜18 トリガ信号発信器、21〜28 トリガ信号発信アンテナ、30 コントローラ、31 受信部、32 計時部、33 記憶部、34 制御部、35〜37 受信器、40 IDタグ、41 トリガ検知部、42 スイッチ、43 ID番号発生部、44 送信用アンテナ、45 アドレス計数部、46 ID番号記憶部、47 発信器、48 出力回路、49 電池、50 マイコン、51 受信用アンテナ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の位置に設けられ、第1特性を有するトリガ信号を出力する、第1トリガ信号発信器と、
第2の位置に設けられ、前記第1と異なる第2特性を有するトリガ信号を出力する、第2トリガ信号発信器と、
前記第1および第2トリガ信号発信器からのトリガ信号に応答して、ID番号を出力するIDタグとを含み、
前記IDタグは、受信したトリガ信号を特定する情報とともに前記ID番号を出力し、
前記IDタグが出力したID番号を受信する受信器とを含む、動態管理システム。
【請求項2】
前記IDタグは、前記トリガ信号ごとの異なる特性を記憶する記憶手段を含む、請求項1に記載の動態管理システム。
【請求項3】
前記トリガ信号発信器の相互に異なる特性は、トリガ信号のIDによって区別される、請求項1または2に記載の動態管理システム。
【請求項4】
さらに、現在時刻を検出する現在時刻検出器を含み、前記受信器の受信したID番号を前記現在時刻とともに記憶する、請求項1から3のいずれかに記載の動態管理システム。
【請求項5】
前記受信器は複数のトリガ信号発信器に対して1個設けられる、請求項1から4のいずれかに記載の動態管理システム。
【請求項6】
トリガ信号に応答して、ID番号を出力するIDタグが出力したID番号を受信する受信器であって、
前記トリガ信号は、それぞれが異なる位置に設けられ、相互に異なる特性を有するトリガ信号を出力する、複数のトリガ信号発信器から出力され、
前記IDタグは、受信したトリガ信号を特定する情報とともに前記ID番号を出力し、
前記IDタグが出力した、トリガ信号を特定する情報と、前記ID番号とを受信する、受信器。
【請求項7】
異なる位置で、相互に異なる特性を有する、複数のトリガ信号を出力するステップと、
受信したトリガ信号を特定する情報とともにID番号を出力するIDタグを前記異なる位置を通過させるステップと、
IDタグが出力したID番号を受信するステップとを含む、動態管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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