説明

動物における生体異物物質の肝臓クリアランスを改良する方法

約10mg〜約1000mg/日の量のリポ酸を動物に供給することによって、動物における生体異物物質の肝臓クリアランスを改良する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対するクロスリファレンス
本出願は、2004年11月24日に出願された米国仮出願第60/630,971号に対する優先権を請求し、この開示を本明細書において参考のために引用する。
【0002】
本発明は一般に、動物の健康を改良する方法に関し、特に、生体異物物質の肝臓クリアランスを改良する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
肝臓はきわめて重要な器官であり、哺乳類のほとんど全ての身体機能において重要な役割を有する。1つの役割において、肝臓は、ろ過系として働いて、他の器官を毒素蓄積の影響から保護する。消化系から吸収された毒素は、身体の残りに影響し得る前に、肝臓によって血液から除去される。生体異物の例えば薬物、治療剤、または化学薬品が肝臓に対する損傷を生じる能力は、肝毒性として周知である。生体異物は、生来生成されず、従って生物にとって異質である薬理学的にまたは毒性学的に活性な物質である。多くの工業用化合物、薬物及び他の治療剤は、肝臓にとって有害であるとして十分に確立されている。哺乳類は、老化するにつれて、肝臓による生体異物のろ過及びクリアランスのための能力が減少する。哺乳類、特にコンパニオン動物が老化するにつれて、これは薬物及び他の治療剤を必要とする健康問題に直面することは周知である。肝臓ろ過及びクリアランスは、このような老化した動物において減少するので、動物の健康を改良するためのこのような薬物及び治療剤の投与は、肝毒性の影響を有するかもしれない。必要とされているものは、老化しつつあるコンパニオン動物における、肝臓による生体異物ろ過及びクリアランスを改良する方法である。
【発明の開示】
【0004】
本発明は、一般に、乾燥重量ベースで少なくとも50ppmの量のリポ酸を含む食餌でリポ酸を動物に供給することによって、動物における生体異物物質の肝臓クリアランスを改良する方法を提供する。様々な具体例においては、本発明は、動物に供給される食餌の一部としてのリポ酸の使用に基づく、老化しつつある動物、特に犬の健康を改良するための新たなアプローチである。
【0005】
本発明の利用性のさらなる領域は、下文で提供する詳細な説明から明瞭になろう。詳細な説明及び具体的な例は、本発明の実施態様を示すが、本発明の範囲を限定することを意図されていないことは理解されるはずである。
【0006】
本発明は、詳細な説明及び添付図面からより十分に理解されよう。
【0007】
図は、本明細書においてこのような具体例の説明のために、本発明の一般的な特性を例示することを意図されている。図は、任意の与えられた具体例の特性を正確に反映しないかもしれず、必ずしも本発明の範囲内で特定の具体例を定義または限定することを意図されていない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
定義
“動物”という用語は、損なわれた肝臓機能になりやすいか若しくはこれに苦しみ、生体異物物質の改良された肝臓クリアランスを必要とする任意の動物、または、生体異物物質の改良された肝臓クリアランスから利益を得る可能性がある動物を意味する。動物がある状態または疾患を現しそうであることを示す症状を動物が示す場合、動物は、その疾患または状態“になりやすい”。動物がある状態または疾患を現したことを示す症状を動物が示す場合、動物は、その疾患または状態“に苦しむ”。
【0009】
“より高齢の動物”という用語は、年齢が理由となって、損なわれた肝臓機能になりやすいか若しくはこれに苦しみ、生体異物物質の改良された肝臓クリアランスを必要とする任意の動物、または、生体異物物質の改良された肝臓クリアランスから利益を得る可能性がある動物を意味する。
【0010】
“単一包装”という用語は、キットの構成要素は1つ以上の容器においてまたはこれと物理的に関連し、製造、配給、販売、または使用のための単位とみなされることを意味する。容器としては、袋、箱、瓶、収縮包装、留めたかまたはさもなければ固定された構成要素、またはこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されるものではない。単一包装は、物理的に関連する個々のフード組成物の容器としてよく、その結果、これは、製造、配給、販売、または使用のための単位とみなされる。
【0011】
“仮想包装”という用語は、キットの構成要素は、例えば、1つの構成要素及びウェブサイトに行くか、記録されたメッセージと接触するか、視覚メッセージを見るか、または介護者若しくは指示者と接触してキットの使用の仕方に関する指示を得ることを使用者に指示する指示を含む袋中の、他の構成要素を得る仕方を使用者に指示する1つ以上の物理的または仮想キット構成要素に関する指示によって、関連することを意味する。
本発明
【0012】
1態様においては、本発明は、動物における生体異物物質の肝臓クリアランスを改良する方法を提供する。本方法は、生体異物物質肝臓クリアランス改良量のリポ酸を動物に供給することを含む。一般に、リポ酸を、5mg/日を超え、好ましくは約10〜約1000mg/日、最も好ましくは約50〜約500mg/日の量で動物に供給する。別の態様においては、本発明は、動物における生体異物物質の肝臓クリアランスを改良するための組成物を提供する。本組成物は、少なくとも50ppm、好ましくは少なくとも150ppmの量のリポ酸を含む。様々な具体例においては、本方法及び組成物は、動物における、特により高齢の動物における生体異物物質の肝臓クリアランスを改良するために有用である。
【0013】
動物の栄養及び健康は、介護、特にコンパニオン動物のためのペット介護の最も重要な面のうちの1つである。多くの介護者が、動物がバランスのとれた健康的な食餌を受けているか決定するために困難な時間を有する。人々は、自身の個人の栄養に関してははるかに知るようになりつつあるが、動物が有しなければならない高度な食餌の要件についてはほとんど知識がない。
【0014】
本発明は、動物、例えば、コンパニオン動物の例えば犬に、リポ酸を含む組成物または食餌を供給して、特に年齢によって損なわれているかもしれない場合に肝機能を向上し、動物の健康全体を改良する方法を提供する。動物に与えるリポ酸の量は、無毒の量である。リポ酸を栄養補助剤として動物に提供してよく、または、動物に供給する食餌を含む組成物中に含めてよい。このような栄養補助剤は、丸剤またはカプセル、トリートまたはビスケットの形態、または任意の可食形態としてよい。“食餌”とは、動物によって規則的に消費されるフードまたは飲料を意味する。食餌は、動物によって消費される栄養補助剤を含んでよい。食餌は、動物のために生命を維持するのに本質的に十分な栄養素を有するとみなされる。コンパニオン動物の食餌は、また動物のために十分な栄養を提供する任意の適切なペットフード配合とすることができる。例えば、本発明において使用するための典型的な犬の食餌は、約8〜50%の脂肪、約16〜50重量%のタンパク質及び約3〜15%の総食物繊維を含んでよい。別の例においては、典型的な猫の食餌は、約8〜50重量%の脂肪、及び約30〜60重量%のタンパク質を含んでよい。しかしながら、こうしたまたは他の栄養素の特定の比またはパーセントは必要ではない。栄養素は、生命を支持するのを助ける任意のフード成分である。動物の健康のために重要な栄養素は当業者には周知であり、例えば、タンパク質、炭水化物、脂肪、繊維、ビタミン、及びミネラルである。水もまた動物の健康にとってきわめて重要である。
【0015】
老化のプロセスの遊離基理論は、酸化的ストレスは、老化及び細胞間抗毒素の例えばグルタチオンの還元されたもの対酸化されたものの比の減少をもたらすと提案している。グルタチオンは肝臓中に広く存在し、胆管中への除去及び大便による最終的な除去のために生体異物を抱合するために利用される。従って、老化した動物におけるグルタチオンの減少した能力は、癌、毒性及び他の望まれていない影響の一因となる生体異物の損なわれたクリアランスをもたらすことがある。加えて、肝臓機能は、年齢が増大すると共に老衰することは周知である。先の研究は、GSH:GSSG比は、リポ酸を補った犬からのリンパ球において改良できることを示したが、機能に関する結果は定量化されなかった。(Zicker, SC et al., Veterinary Therapeutics, 3(2):167-176, 2002。)
【0016】
R−α−リポ酸(CAS番号1200−22−2、また、チオクト酸及び1,2−ジチオラン−3−ペンタン酸として周知である)は、植物及び動物組織中に天然に存在し、ここで、これは、リシン残基のε−アミノ基に共有結合している。リポ酸は市販されており、BASF及びコグニス(Cognis)のような会社によって製造されている。リポ酸は、本質的に純粋なR−αリポ酸としてまたはリポ酸異性体のラセミ混合物として市販されている。植物中で、リポ酸はほうれん草及びじゃがいもにおいて最も豊富であり、一方、動物組織中で、リポ酸は腎臓及び心臓において最も豊富である。R−α−リポ酸は1937年に最初に発見され(Snell et al., Journal Bact. 33; 207, 1937を参照されたい)、1951年まで単離されず、キャラクタライゼーションされなかった(Reed et al. Science 114:94-4, 1951を参照されたい)。R−α−リポ酸は合成してよく、このような方法は当分野において周知である。(1961年4月18日に発行されReedに付与された米国特許第2,890,716号を参照されたい)。R−α−リポ酸は抗酸化剤として分類され、II型糖尿病の治療として高用量で使用された。研究は、カルニチン及びリポ酸の混合物は、代謝を向上し、酸化的ストレスを軽減することができることを示した。(1999年6月29日に発行されAmes et al.に付与された米国特許第5,916,912号及び2002年4月2日に発行されCavayzoに付与された米国特許第6,365,622号を参照されたい)。加えて、他の成分の中でもリポ酸を含むコンパニオン動物の食餌は、老化したコンパニオン動物の精神的能力の劣化を妨げるようであることが示された。(米国特許出願第20020076469号、同第20020052402号、同第20020076470号、同第2000115710号、及び同第20020119182号を参照されたい。)
【0017】
研究は、ミトコンドリア酸化は、リポ酸の代謝において役割を果たすことを示した。ヒトにおける代謝は大部分はマウス及びラットにおいて観察されるものに似ているが、犬において見い出されたテトラノルリポ酸に関連した酸化された構造の形成は、ヒトにおいて同等物を有しないようである。加えて、3−ケトリポ酸、リポ酸のミトコンドリア酸化における中間体は、ラット及びヒトからの血漿試料において報告されているが、犬からの血漿において見い出されていない。(Schupke, H. et al. Drug Metabolism and Disposition, 29 (6) 855-862, 2001を参照されたい)。α−リポ酸の代謝経路は、ヒトと比較して犬においては異なるようである。
【0018】
メルカプツール酸は、N−アセチル−システインの硫黄誘導体であり、これは、グルタチオン(GSH)から合成される。一般に、大部分の化合物はメルカプツール酸に代謝され、これは、まず、可溶性またはスーパータント肝臓屈折(supertant liver refraction)中に見い出されるグルタチオンS−トランスフェラーゼと呼ばれる酵素によって触媒されるGSHを用いた抱合を受けると思われている。メルカプツール酸経路は、生体異物誘発ヘプトトキシシティまたは発癌性に対する保護機構として発達したようであり、吸入されるか、摂取されるかまたは毎日代謝によって通常生成される多数の有害な物質を解毒するのに役立つ。リポ酸は、グルタチオンを上向き調節するのみならず、肝臓においてグルタチオンを抱合する酵素であるグルタチオンS−トランスフェラーゼを上向き調節する。ブロモスルホフタレイン(CAS番号71−67−0、また、BSP及びスルホブロモフタレインとして周知である)は、循環中に注射すると、多数の有機化合物を抽出し、代謝する肝臓の能力を反映する速度で肝臓によって除去される有機染料である。S. M. Rosenthal, E.C. Wjite, J. Pharmacol. 24, 265 (1924) W. Hacki et al., J. Lab. Clin. Med. 88, 1019 (1976)を参照されたい。BSPは3つの段階で肝臓から一掃される。まず、BSPは、アルブミンから血漿によって肝臓に移動する。この段階は、血漿タンパク質濃度及び血漿タンパク質に結合する他のリガンドに依存する。次に、BSPは、肝臓においてリガンジン及びzタンパクによって複合体を形成する。最後に、BSPは、グルタチオンS−トランスフェラーゼ酵素によってグルタチオンによって抱合され、胆管中に除去され、これは律速段階である。従って、BSPは、注射の後に血液中で測定すると、肝臓の機能に関する能力に関する情報を提供する生体異物の例である。
【0019】
本発明の様々な具体例は、動物、特にコンパニオン動物における生体異物物質の肝臓クリアランスを改良する方法を含む。このような具体例においては、方法は、乾物ベースで少なくとも50ppmの量のリポ酸を含む組成物、例えば、食餌を動物に供給することを含む。他の具体例においては、方法は、乾物ベースで少なくとも100ppmの量のリポ酸を含む食餌を動物に供給することを含む。さらに他の具体例においては、方法は、乾物ベースで約75ppm〜約150ppmの量のリポ酸を含む食餌を動物に供給することを含む。本明細書において使用するリポ酸はラセミ混合物であるが、他の具体例は、本質的に純粋なR−αリポ酸であるかまたはリポエート誘導体、異性体の混合物、塩、エステル、アミドまたはこれらの組合せとしてリポ酸を含んでよい(例えば、1997年4月15日に発行されBethge et al.に付与された米国特許第5,621,177号を参照されたい)。
【0020】
様々な具体例においては、少なくとも50ppmのリポ酸を含む組成物または食餌は、より高齢の犬における肝機能を増大する。幾つかの具体例においては、リポ酸をコンパニオン動物のフードに加える。このような具体例においては、リポ酸を、コンパニオン動物のフードの加工の最中に加えてよく、次に包装し、消費者に利用できるようにする。このようなプロセスは、押出し、缶詰、ベーキング及びその他同様なものまたは当分野において周知のペットフードを製造する任意の他の方法若しくはプロセスを含んでよい。このようなプロセスにおいて、リポ酸は、動物若しくは植物成分、例えば腎臓若しくはほうれん草のような天然源によって提供されてよく、または、リポ酸は、合成的に誘導された源によって提供されてよく、または、リポ酸は、天然及び合成源の混合物によって提供されてよい。他の具体例においては、リポ酸は、コンパニオン動物に供給するためのカプセル形態としてよい。さらに他の具体例においては、リポ酸は、動物のフードに加えてよいかまたは動物に直接に供給してよい粉末または結晶質としてよい。様々な具体例においては、コンパニオン動物の食餌は、リポ酸及び他の必要とする栄養成分を含む。様々な具体例においては、コンパニオン動物は犬であり、他の具体例においては、コンパニオン動物は猫である。研究は、リポ酸は、犬においてよりも猫において10倍有毒となることがあることを示した。(Hill, AS et al., J. Anim. Physiol. Anim. Nutr. 88(3-4): 150-156, 2004を参照されたい)。コンパニオン動物が猫である様々な具体例においては、食餌は、乾燥重量ベースで30ppm未満のリポ酸を含む。
【0021】
さらなる態様においては、本発明は、薬剤を製造するためのリポ酸の使用に対処したものである。別のものにおいては、本発明は、生体異物物質肝臓クリアランス改良量のリポ酸を動物に供給することによって、動物の健康を維持する及び/または改良する、例えば、動物における生体異物物質の肝臓クリアランスを改良するための、薬剤を製造するためのリポ酸の使用に対処したものである。一般に、薬剤は、化合物または組成物を、賦形剤、緩衝剤、バインダー、可塑剤、着色剤、希釈剤、圧縮剤(compressing agent)、滑沢剤、香味料、湿潤化剤(moistening agent)、及び動物への投与に適した薬剤を製造し、薬剤を配合するために有用であると当業者には周知の他の成分と混和することによって製造される。
【0022】
さらなる態様においては、本発明は、リポ酸を動物に供給するのに適したキットを提供する。キットは、単一包装中の別個の容器中にまたは仮想包装中の別個の容器中に、適切に、リポ酸及び以下のもののうちの少なくとも1つを含む(1)動物による消費に適した1つ以上の成分、(2)生体異物物質の肝臓クリアランスを改良するために、特に生体異物物質の肝臓クリアランスを改良するために有用な組成物を作るために、リポ酸及び他のキット構成要素を組み合わせる仕方に関する指示、(3)特に動物の利益のための、リポ酸及び本発明の他の構成要素の使用の仕方に関する指示。キットが仮想包装を含む場合、キットは、1つ以上の物理的キット構成要素と組み合わせた仮想環境における指示に限定される。キットは、リポ酸及び他の構成要素を、生体異物物質の肝臓クリアランスを改良するのに十分な量で含む。典型的に、リポ酸及び他の適切なキット構成要素を、動物による消費の直前に混和する。1具体例においては、キットは、リポ酸を含むパケット及び動物による消費のためのフードの容器を含む。キットは、追加の項目の例えばリポ酸及び成分を混合するための装置または混和物を含むための装置、例えば、フード用ボールを含んでよい。別の具体例においては、リポ酸を、動物における良好な健康を促進する追加の栄養補助剤の例えばビタミン及びミネラルと混合する。
【0023】
別の態様においては、本発明は、(1)生体異物物質の肝臓クリアランスを改良するためにリポ酸を使用すること、(2)リポ酸を本発明の他の構成要素と混和すること、(3)リポ酸を単独でまたは本発明の他の要素と組み合わせて動物に供給すること、及び(4)生体異物物質の肝臓クリアランスを改良するために本発明のキットを使用すること、のうちの1つ以上に関する情報またはこれらに関する指示を伝達するための手段を提供し、これは、情報または指示を含む文書、ディジタル記憶媒体、光学的記憶媒体、音声提示、または視覚表示を含む。特定の具体例においては、伝達手段は、情報または指示を含む文書、ディジタル記憶媒体、光学的記憶媒体、音声提示、または視覚表示を含む。好ましくは、伝達手段は、このような情報または指示を含む表示されたウェブサイトまたはパンフレット、製品ラベル、包装挿入物、広告、または視覚表示である。有用な情報は、以下のうちの1つ以上を含む(1)リポ酸及び/または他の成分を組み合わせ、投与する方法及び技術並びに(2)本発明及びその使用に関する質問を有する場合、使用するために動物またはその介護者に関する情報と接触する。有用な指示は、混合のための量及び投与量及び頻度を含む。伝達手段は、本発明を使用する利益に関して指示し、本発明を動物に投与する承認された方法を伝達するために有用である。
【0024】
本発明は、本明細書において説明する特定の方法、プロトコール、及び試薬に限定されず、というのはこれらは変化することがあるからである。さらに、本明細書において使用する用語は、特定の具体例を説明することのみを目的としており、本発明の範囲を限定することを意図していない。本明細書において使用するように、また添付の請求の範囲において、単数形の“ある(a)”、“ある(an)”、及び“その(the)”は、文脈が明らかに他に指示しない限り複数の参照を含む。“含む(comprise)”、“含む(comprises)”、及び“含むこと(comprising)”という用語は、排他的にではなく含めて解釈すべきである。
【0025】
特に断らない限り、本明細書において使用する全ての術語及び科学的用語及び任意の頭文字語は、発明の分野における当業者によって一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書において説明するものと同様であるかまたは等しい任意の方法及び材料を本発明の実施において使用できるが、好ましい方法、装置、及び材料を本明細書において説明する。
【0026】
本明細書において言及する全ての特許、特許出願、及び刊行物を、本発明と共に使用できるかもしれないとその中で報告される組成物、化合物、方法、及び同様の情報を説明し、開示するために、本明細書において法律によって許される程度に参考のために引用する。しかしながら、本明細書においては、何も、本発明は、前の発明によるこのような開示に先行する権利がないと認めるものと解釈すべきではない。
【実施例】
【0027】
本発明を、その好適な具体例の以下の実施例によってさらに示すことができるが、特に断らない限り、こうした実施例は単に示すために含まれ、本発明の範囲を限定することを意図されていないことは理解できよう。
実施例1
【0028】
研究は、犬の3つの群:群1−対照フードを摂取する若い犬、群2−対照フードを摂取する高齢の犬、及び群3−乾物ベースで150ppmのリポ酸で強化したドライフードを摂取する高齢の犬を含む。犬はビーグル犬であり、群1は、平均年齢5.1才の10匹のビーグル犬からなり、群2は、平均年齢11.8才の10匹のビーグル犬からなり、群3は、平均年齢11.3才の10匹のビーグル犬からなる。介入の前に、3つの群全てからの犬に対照フードを2週間の期間供給する。2週間の期間の後、群3は、乾物ベースで150ppmのリポ酸で強化したドライフードの食餌に移る。対照を摂取した2週間の期間の間中、試料を全ての犬から取り、ブロモスルソフタレイン(BSP)試験を行う。BSPは肝臓によって吸収され、胆管分泌中に除去するためにGSHを用いて抱合される。BSP試験は、獣医学において、肝臓の機能に関する能力を試験するための診断試験として周知である。群3の犬は、対照と比較して損なわれたBSPクリアランスを有し、従って、老衰した肝臓機能を有する犬の例である。犬の3つの群は次に、それぞれの食餌を6週間の期間食し、この期間の後、BSP試験を2度目に行う。図1におけるように、結果は、全てより高齢であり、乾物ベースで150ppmのリポ酸を有する食餌を含んだ群3における犬は、BSPの改良された肝臓クリアランスを有することを示す。
【0029】
本明細書において、本発明の典型的な好適な具体例を開示し、特定の用語を用いたが、これは一般的な及び説明の意味でのみ使用し、限定及び請求の範囲において述べる本発明の範囲のためではない。明らかに、上記の教示を考慮して、本発明の多くの修正及び変形が可能である。従って、添付の請求の範囲内で、本発明は、具体的に説明したものとは異なって実施してよいことは理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】若い犬及びより高齢の対照の犬と比較した、より高齢の犬においてリポ酸が肝臓クリアランスに及ぼす影響のグラフ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物における生体異物物質の肝臓クリアランスを改良する方法であって、生体異物物質肝臓クリアランス改良量のリポ酸を前記動物に供給することを含む方法。
【請求項2】
5mg/日を超える量の前記リポ酸を供給することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
約10〜約1000mg/日の量の前記リポ酸を供給することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記動物はコンパニオン動物である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記コンパニオン動物は犬である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記リポ酸はカプセル形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記リポ酸は粉末形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記リポ酸は結晶形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記リポ酸は、前記動物の日常食の一部分である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記日常食は、乾燥重量ベースで50ppmを超える量のリポ酸を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記リポ酸は、前記動物による消費に適したフード組成物で前記動物に供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記動物は、より高齢の動物である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
リポ酸を動物に供給するのに適したキットであって、単一包装中の別個の容器中にまたは仮想包装中の別個の容器中に、適切に、少なくとも1つのリポ酸並びに(1)動物による消費に適した1つ以上の成分、(2)生体異物物質の肝臓クリアランスを改良するために、前記リポ酸及び他のキット構成要素を組み合わせる仕方に関する指示、(3)前記リポ酸及び本発明の他の構成要素の使用の仕方に関する指示のうちの少なくとも1つを含むキット。
【請求項14】
(1)生体異物物質の肝臓クリアランスを改良するためにリポ酸を使用すること、(2)リポ酸を本発明の他の構成要素と混和すること、(3)リポ酸を単独でまたは本発明の他の要素と組み合わせて動物に供給すること、及び(4)生体異物物質の肝臓クリアランスを改良するために本発明のキットを使用すること、のうちの1つ以上に関する情報またはこれらに関する指示を伝達するための手段であって、前記情報または指示を含む文書、ディジタル記憶媒体、光学的記憶媒体、音声提示、または視覚表示を含む手段。
【請求項15】
表示されたウェブサイト、パンフレット、製品ラベル、包装挿入物、広告、または視覚表示からなる群から選択される、請求項14に記載の手段。
【請求項16】
動物における生体異物の肝臓クリアランスを向上するのに適した組成物であって:
生命維持量の栄養素と;
50ppmを超えるリポ酸と;を含む組成物。
【請求項17】
前記組成物はフード組成物である、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記フード組成物はコンパニオン動物に適している、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記フード組成物は犬に適している、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物は押出されるかまたは缶詰にされる、請求項17に記載の組成物。
【請求項21】
動物における生体異物物質の肝臓クリアランスを改良するための薬剤を製造するためにリポ酸を含む組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2008−521408(P2008−521408A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543562(P2007−543562)
【出願日】平成17年11月23日(2005.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/042886
【国際公開番号】WO2006/058278
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(502329223)ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】