説明

動物の免疫方法、免疫用組成物、抗体の製造方法、ハイブリドーマの製造方法、及びモノクローナル抗体の製造方法

【課題】遺伝子免疫によって抗原タンパク質に対する抗体を作製する際に、より高効率で体液性免疫の応答を誘導することができる動物の免疫方法などの各種の技術を提供する。
【解決手段】抗原タンパク質の全部又は一部をコードする第1遺伝子と、GroELの全部又は一部をコードする第2遺伝子と、を動物に投与することにより、該動物体内で第1遺伝子と第2遺伝子を発現させ、抗原タンパク質に対する体液性免疫の応答を誘導する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の免疫方法、免疫用組成物、抗体の製造方法、ハイブリドーマの製造方法、及びモノクローナル抗体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抗体は体液性免疫の主役であり、感作リンパ球とともに生体防御機構の重要な役割を担っている。一方で、抗体は、その抗原との特異的親和性を利用した各種の技術、例えば、アフィニティークロマトグラフィーや免疫測定法等にも頻繁に利用されており、バイオテクノロジー分野において必要不可欠のツールとなっている。従来、抗体は、抗原タンパク質を免疫原として動物に投与し、体液性免疫の応答を誘導させることにより作製されている。この際、免疫原として用いる抗原タンパク質は、例えば、生体試料等から単離・精製されたものを使用する。最近では、組換えDNA技術を用いて宿主細胞に抗原タンパク質をコードする遺伝子を導入し、該宿主細胞の培養物から組み換え型の抗原タンパク質を単離・精製することもよく行われている。また、組換えDNA技術によって抗原タンパク質を調製することが困難な場合等には、抗原タンパク質の一部に対応するペプチドを化学的に合成し、それを免疫原として動物に投与することも行われている。
【0003】
一方、抗原タンパク質を接種するのではなく、その抗原タンパク質をコードする遺伝子を動物体内で発現させて免疫応答を誘導する、遺伝子免疫と呼ばれる技術がある。遺伝子免疫を行う場合は、例えば、抗原タンパク質をコードする遺伝子を適宜の発現ベクターに組み込み、該発現ベクターを動物に接種する。すると、発現ベクターに組み込まれた遺伝子が動物体内で発現し、抗原タンパク質が合成される。その結果、動物体内で合成された抗原タンパク質により免疫応答が誘導される。遺伝子免疫によれば、抗原タンパク質をコードする遺伝子さえ単離されておれば免疫を行うことができ、抗原タンパク質を単離・精製する必要がない。したがって、精製法が確立されていない抗原タンパク質、精製が困難な抗原タンパク質、遺伝子のみ知られている未知の抗原タンパク質であっても、その抗原タンパク質に対する免疫応答を誘導することが可能である。その結果、そのような抗原タンパク質に対する抗体を取得することが可能になる。また、遺伝子免疫の場合は、動物体内で遺伝子が発現して合成される抗原タンパク質の量が、抗原タンパク質を直接投与する場合に必要な量と比較して格段に少なくても免疫応答を誘導できるという利点もある。さらに、組換えDNA技術によって抗原タンパク質を調製することが困難な場合等であっても、従来の方法のようにペプチド抗原を別途化学合成する必要がなく、遺伝子の全長を動物に導入するだけでよいという利点もある。
【0004】
上記のように、遺伝子免疫は従来の方法にはない利点を有するが、抗原タンパク質の種類によっては体液性免疫の応答が誘導されず、抗体が産生されない場合がある。例えば、以下のような場合は、従来の免疫方法と同じく体液性免疫の応答が誘導されないことがある。すなわち、抗原タンパク質が、免疫した動物が内在的に有するタンパク質と極めて相同性が高いものである場合は、動物体内でその抗原タンパク質が合成されても異物として認識されないため、体液性免疫の応答が誘導されないことがある。また、抗原タンパク質がその動物体内で不安定なものである場合、動物体内における抗原タンパク質の量が少なくなり、体液性免疫の応答が誘導されないことがある。また、抗原タンパク質が主として細胞性免疫を誘導するものである場合は、体液性免疫が誘導されにくくなる。また、遺伝子免疫特有の問題点として、抗原タンパク質の遺伝子が動物への導入効率が悪いものである場合や、抗原タンパク質の遺伝子が動物体内での発現量が低いものである場合にも、抗原タンパク質の量が少なくなり、体液性免疫の応答が誘導されないことがある。
【0005】
上記した遺伝子免疫の問題点を解決するために、各種の工夫が提案されている。例えば、ウロキナーゼに対する免疫応答を誘導する際に、ウロキナーゼ遺伝子を単独で投与するのではなく、膜貫通ドメインの遺伝子との融合遺伝子の形で投与することにより、ウロキナーゼに対する高い免疫応答を誘導し、ウロキナーゼに対する抗体を取得した例がある(特許文献1)。ここで得られた高い免疫応答は、融合遺伝子の発現産物である融合タンパク質において、ウロキナーゼ部分が強制的に細胞表面に配置されるために起こったと考えられる。
【0006】
また、ワクチンの分野において、ヒートショックプロテインであるHSP70をコードする遺伝子と抗原タンパク質をコードする遺伝子との融合遺伝子(キメラ核酸)をDNAワクチンとして使用した例がある(特許文献2)。この例では、結核菌由来HSP70をコードする遺伝子を使用している。しかしながら、この技術では、抗原特異的細胞性免疫(キラーT細胞)を誘導することはできたが、体液性免疫すなわち抗体産生は誘導されていない。一方で、結核菌由来HSP70と抗原タンパク質との融合タンパク質を免疫原として用いると、HSP70が好適なアジュバントとして機能し、抗原タンパク質に対する抗体産生が誘導されたという報告がある(特許文献3)。これらのことは、HSP70と抗原タンパク質との融合タンパク質による免疫応答と、HSP70遺伝子と抗原タンパク質遺伝子との融合遺伝子による免疫応答とでは、抗原提示細胞での免疫応答機構が異なることを意味している。このように、ある抗原タンパク質に対する体液性免疫の免疫応答を誘導したい場合に、その抗原タンパク質の遺伝子を用いて免疫しても、所望の免疫応答が誘導されるとは限らない。むしろ、抗原タンパク質に対する所望の免疫応答を誘導できない可能性の方が高いと考えられる。
【0007】
遺伝子を動物に接種しても体液性免疫の応答を誘導できない抗原タンパク質であっても、抗原タンパク質をコードする遺伝子とシャペロニンをコードする遺伝子との融合遺伝子を動物に接種することにより、抗原タンパク質に対する体液性免疫の応答を誘導することができることも知られている(特許文献4)。
【0008】
【特許文献1】国際公開第02/08416号パンフレット
【特許文献2】国際公開第01/29233号パンフレット
【特許文献3】国際公開第94/29459号パンフレット
【特許文献4】国際公開第06/041157号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上のように、遺伝子免疫には未知の部分が多く、なお試行錯誤の域を出ない。遺伝子免疫により抗体を作製するためには、抗原タンパク質の種類を問わずに再現性よく確実に体液性免疫の応答を誘導することができる技術が求められる。
【0010】
特に、融合タンパク質の大きさによっては、上手く細胞内でタンパク質を発現することができない場合がある。このため、本発明の目的は、遺伝子免疫によって抗原タンパク質に対する抗体を作製する際に、より高効率で体液性免疫の応答を誘導することができる各種の技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、その遺伝子を動物に接種しても体液性免疫の応答を誘導できない抗原タンパク質であっても、抗原タンパク質をコードする遺伝子とGroELをコードする遺伝子とを動物に接種することにより、抗原タンパク質に対する体液性免疫の応答を誘導することができることを見出し、本発明を完成した。本発明の要旨は以下の通りである。
【0012】
本発明の第1の態様は、抗原タンパク質の全部又は一部をコードする第1遺伝子と、GroELの全部又は一部をコードする第2遺伝子と、を動物に投与することにより、該動物体内で前記第1遺伝子と第2遺伝子を発現させ、抗原タンパク質に対する体液性免疫の応答を誘導する動物の免疫方法である。
【0013】
本様相の動物の免疫方法は、遺伝子免疫に属するものであり、抗原タンパク質の全部又は一部をコードする第1遺伝子と、GroELをコードする第2遺伝子とをそれぞれに動物に投与する。そして、該動物体内で第1遺伝子と第2遺伝子とを発現させ、抗原タンパク質の全部又は一部とGroELをコードする遺伝子とのそれぞれのタンパク質が合成される。その結果、抗原タンパク質に対する体液性免疫の応答が誘導される。本様相の動物の免疫方法によれば、抗原タンパク質をコードする遺伝子を単独で投与しても体液性免疫の応答を誘導できない抗原タンパク質であっても、GroELの作用によって体液性免疫の応答を誘導することができる。その結果、そのような抗原タンパク質に対する抗体を動物に産生させることができる。
【0014】
GroELは分子シャペロンの1種であり、分子量約6万のサブユニット(シャペロニンサブユニット)からなる複合タンパク質である。そして、GroELはその内部に他のタンパク質を格納し、正しく折り畳むことができる。
【0015】
好ましくは、前記GroELは、大腸菌由来のものである動物の免疫方法である。
【0016】
大腸菌由来のシャペロニンはGroELと呼ばれ、その生化学的及び物理化学的性質がよく調べられており、遺伝子も入手しやすい。そして、この好ましい様相の動物の免疫方法においては、GroELが大腸菌由来のものである。かかる構成により、動物に投与するための融合遺伝子を容易に作製することができる。
【0017】
好ましくは、前記第1遺伝子は、Gタンパク質共役型受容体である動物の免疫方法である。さらに、好ましくは、前記第1遺伝子は、ケモカイン受容体である動物の免疫方法である。さらに、好ましくは、前記第1遺伝子は、CCR2B、CCR3、又はCCR5である動物の免疫方法である。
【0018】
好ましくは、前記動物は、哺乳類又は鳥類である動物の免疫方法である。さらに、好ましくは、前記哺乳類は、マウス、ラット、ウサギ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジ又はブタである動物の免疫方法である。さらに、好ましくは、前記鳥類は、ニワトリ、アヒル又は七面鳥である動物の免疫方法である。
【0019】
この好ましい態様の動物の免疫方法においては、抗原タンパク質がGタンパク質共役型受容体等の医薬品開発に有用なタンパク質である。かかる構成により、これらの有用なタンパク質に対する抗体を取得でき、アッセイ系の構築等に適用することができる。さらに、この好ましい態様の動物の免疫方法においては、免疫する動物がその取り扱いが簡単な哺乳類又は鳥類である。かかる構成により、より簡単に免疫を行うことができる。
【0020】
本発明の第2の態様は、上記記載の動物の免疫方法に使用するための免疫用組成物であって、抗原タンパク質の全部又は一部をコードする第1遺伝子と、GroELをコードする第2遺伝子とを主成分とする免疫用組成物である。
【0021】
本発明の動物の免疫方法を実施する場合は、例えば、第1遺伝子と第2遺伝子とを適宜の溶媒に溶かした組成物を調製し、該組成物を動物に投与することができる。そして、本様相の免疫用組成物は、本発明の動物の免疫方法に使用するためのものであり、抗原タンパク質の全部又は一部をコードする第1遺伝子とGroELをコードする第2遺伝子とを主成分とする。本様相の免疫用組成物によれば、注射等の方法により第1遺伝子と第2遺伝子とを動物に投与することができる。また、組成物中の第1遺伝子と第2遺伝子との濃度を調整することにより、第1遺伝子と第2遺伝子との投与量を正確に調節することができる。
【0022】
本発明の第3の態様は、上記記載の動物の免疫方法により動物を免疫して抗原タンパク質に対する体液性免疫の応答を誘導し、該動物に抗原タンパク質に対する抗体を産生させ、該動物から該抗体を採取する抗体の製造方法である。
【0023】
上記した本発明の動物の免疫方法は体液性免疫の応答を誘導するものであり、その結果、動物に抗体を産生させることができる。そして、この抗体の製造方法は、本発明の動物の免疫方法によって体液性免疫の応答を誘導し、動物に抗原タンパク質に対する抗体を産生させ、該動物から抗体を採取するものである。本様相の抗体の製造方法によれば、精製法が確立されていない抗原タンパク質、精製が困難な抗原タンパク質、遺伝子のみ知られている未知の抗原タンパク質、組換えDNA技術では遺伝子の発現量が少ない抗原タンパク質等で、かつその遺伝子を単独で投与しても抗体が産生されない抗原タンパク質であっても、動物に抗体を産生させることができる。動物の血清から抗体を採取する場合は、ポリクローナル抗体として採取される。
【0024】
本発明の第4の態様は、上記記載の動物の免疫方法により動物を免疫して抗原タンパク質に対する体液性免疫の応答を誘導した後に、該動物から免疫細胞を採取し、該免疫細胞とミエローマとを細胞融合することにより抗原タンパク質に対する抗体を産生するハイブリドーマを作製するハイブリドーマの製造方法である。
【0025】
本ハイブリドーマの製造方法においては、上記した本発明の動物の免疫方法により体液性免疫の応答を誘導された動物の免疫細胞とミエローマを細胞融合することにより、抗原タンパク質に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製する。かかる構成により、抗原タンパク質自身あるいはその遺伝子を単独で投与しても抗体が産生されない抗原タンパク質であっても、それに対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを得ることができる。
【0026】
本発明の第5の態様は、上記記載の製造方法で製造されたハイブリドーマを培養し、培養物から抗原タンパク質に対するモノクローナル抗体を採取するモノクローナル抗体の製造方法である。
【0027】
本モノクローナル抗体の製造方法は、上記した本発明のハイブリドーマの製造方法によって製造されたハイブリドーマを培養し、該培養物からモノクローナル抗体を採取する。かかる構成により、抗原タンパク質自身あるいはその遺伝子を単独で投与しても抗体が産生されない抗原タンパク質であっても、それに対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを得ることができる。
【0028】
本発明の第6の態様は、上記記載の動物の免疫方法により動物を免疫して抗原タンパク質に対する体液性免疫の応答を誘導した後に、該動物から抗体に対するmRNAを調製し、該mRNAを鋳型としてcDNAを調製し、該cDNAを用いたファージディスプレイ法により抗原タンパク質に対するモノクローナル抗体を作製するモノクローナル抗体の製造方法。
【0029】
本モノクローナル抗体の製造方法はファージディスプレイ法を用いるものであり、上記した本発明の動物の免疫方法により体液性免疫の応答を誘導された動物からmRNAを調製し、該mRNAからcDNAを調製し、該cDNAを用いたファージディスプレイ法により抗原タンパク質に対するモノクローナル抗体を作製する。かかる構成により、抗原タンパク質を投与したり、その遺伝子を単独で投与したりしても抗体が産生されない抗原タンパク質であっても、それに対するモノクローナル抗体を製造することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の動物の免疫方法及び免疫用組成物によれば、遺伝子免疫を行う際に、その遺伝子を単独で動物に接種しても体液性免疫の応答を誘導することができない抗原タンパク質であっても、体液性免疫の応答を誘導することができる。
【0031】
本発明の抗体の製造方法によれば、遺伝子免疫を行う際に、その遺伝子を単独で動物に接種しても体液性免疫の応答を誘導することができない抗原タンパク質であっても、抗原タンパク質に対する抗体を製造することができる。
【0032】
本発明のハイブリドーマの製造方法によれば、遺伝子免疫を行う際に、その遺伝子を単独で動物に接種しても体液性免疫の応答を誘導することができない抗原タンパク質であっても、抗原タンパク質に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを製造することができる。
【0033】
本発明のモノクローナル抗体の製造方法によれば、遺伝子免疫を行う際に、その遺伝子を単独で動物に接種しても体液性免疫の応答を誘導することができない抗原タンパク質であっても、抗原タンパク質に対するモノクローナル抗体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】フローサイトメトリーのデータを示す表示図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、詳しく説明する。
【0036】
本発明の動物の免疫方法は、遺伝子免疫に属するものであり、抗原タンパク質の全部又は一部をコードする遺伝子とGroEL遺伝子とを動物に投与するものである。本発明の動物の免疫方法においては、抗原タンパク質の全部をコードする遺伝子と、抗原タンパク質の一部をコードする遺伝子の両方が使用可能であり、目的に応じて使い分けることができる。抗原タンパク質の全部をコードする遺伝子を用いる場合は、例えば、抗原タンパク質がもつ複数のエピトープそれぞれに対する抗体や、抗原タンパク質の立体構造を認識する抗体を産生させる際に好適である。一方、抗原タンパク質の一部をコードする遺伝子を用いる場合は、例えば、特定のエピトープに対する抗体を産生させる際に好適である。なお、抗原タンパク質の全部又は一部をコードする遺伝子とGroEL遺伝子との投与は、同時投与が望ましいが、タイミングをずらして投与しても良い。
【0037】
本発明の動物の免疫方法に用いられるGroELは、シャペロニンの一種である。このシャペロニンは分子シャペロンの一種であり、バクテリア、古細菌、真核生物等の全ての生物に存在している。特に、バクテリアの細胞質、真核細胞のミトコンドリア、葉緑体に多量に存在している。シャペロニンは、タンパク質の折り畳みを促進する活性やタンパク質の変性を阻止する活性を有する。シャペロニンは、分子量約6万のシャペロニンサブユニット(Hsp60ともいう)7〜9個からなるリング状構造体が2個重なった、総分子量80万〜100万程度のシリンダー状の巨大な複合タンパク質である。シャペロニンはそのリング状構造体の内部に空洞を有しており、その空洞内に折り畳み途中のタンパク質や変性したタンパク質を一時的に収納して複合体(以下、「シャペロニン−タンパク質複合体」という。)を形成する。そして、空洞内で収納したタンパク質を正しく折り畳み、続いて空洞から正しく折り畳まれたタンパク質を放出することが知られている。
【0038】
シャペロニンはグループ1型とグループ2型とに大別される。バクテリアや真核生物のオルガネラに存在するシャペロニンはグループ1型に分類され、コシャペロニンと称される分子量約10kDaのタンパク質の環状複合体を補因子とする。一方、グループ2型シャペロニンは、真核生物の細胞質や古細菌に見られ、それらの構造や機能に関しては不明な点が多く残されており、グループ1型のコシャペロニンに相当するタンパク質も現在のところ見つかっていない。(Gupta、Mol.Microbiol.、15、1−、1995年)。本発明の動物の免疫方法においては、グループ1型のシャペロニンである大腸菌のGroELが用いられる。すなわち、GroELサブユニット若しくはGroELサブユニット連結体をコードする遺伝子を使用することができる。
【0039】
本発明の動物の免疫方法における一つの様相では、抗原タンパク質の全部又は一部をコードする遺伝子とGroEL遺伝子とを動物に投与する。すると、抗原タンパク質をコードする遺伝子単独では免疫応答が誘導されない場合でも、十分に抗原タンパク質に対する体液性免疫の応答を誘導することができる。また近年、シャペロニンが抗原提示細胞の抗原受容体であるToll−like receptor 2及びToll−like receptor 4と結合するという報告がある(Gobert, A.P. et al., 2004, J. Biol. Chem. 279, 245)。このことから、GroELと標的抗原とにおいて、シャペロニンが好適なアジュバントとして機能する可能性もある。
【0040】
本発明の動物の免疫方法における他の様相では、抗原タンパク質の全部又は一部をコードする遺伝子とGroELをコードする遺伝子とを動物に投与する。以上のように、本発明の動物の免疫方法においては、抗原タンパク質がGroELの内部に格納され、正しく折り畳まれた正常型タンパク質として存在していると考えられる。
【0041】
大腸菌GroELは、サブユニット(GroELサブユニット)7個からなるリング状構造体が2個重なった構造を有しており、計14個のGroELサブユニットから形成されている。GroELサブユニットの遺伝子は公知で入手容易であり、本発明の動物の免疫方法をより簡便に行うのに好適である。例えば、公知のGroELサブユニット遺伝子の塩基配列を元にプライマーを設計し、大腸菌のゲノムDNAを鋳型としてPCRを行えば、GroELサブユニット遺伝子を得ることができる。
【0042】
GroELには、1個のリング状構造体のみを有するシングルリングのシャペロニンも知られている。本発明の動物の免疫方法においては、シングルリングのシャペロニンをコードする遺伝子も使用可能である。シングルリングのシャペロニンの例として、GroELサブユニットの一部のアミノ酸残基が置換された改変型GroELサブユニットが挙げられる。この改変型GroELサブユニット遺伝子は、GroELサブユニットの452番目のアミノ酸残基がグルタミン酸に、461、463、及び464番目のアミノ酸残基がアラニンに置換された改変型GroELサブユニット(SR1)をコードする。
【0043】
なお、本発明の動物の免疫方法における「GroELサブユニットをコードする遺伝子」には、天然のGroELサブユニットの全長をコードする遺伝子の他に、天然のGroELサブユニットに由来する同様の活性を有するタンパク質をコードする遺伝子も含むものとする。そのような遺伝子の例としては、天然のGroELサブユニットをアミノ酸置換等により改変した変異型のGroELサブユニットをコードする遺伝子が挙げられる。他の例としては、天然型又は前記変異型のGroELサブユニットの一部のドメインからなるタンパク質をコードする遺伝子が挙げられる。さらに他の例としては、天然型又は前記変異型のGroELサブユニットの一部のドメインを欠失させたタンパク質をコードする遺伝子等が挙げられる。例えば、GroELサブユニットの中の抗原決定部位となりうる免疫原性の高いドメインを欠失させた遺伝子を用いることにより、抗原タンパク質に対する免疫応答を優先的に誘導する等の操作が可能である。
【0044】
本発明の動物の免疫方法においては、各遺伝子が発現ベクターに組み込まれ、発現ベクター上のプロモーターの制御下にある実施形態が好ましい。発現ベクターとしては、動物細胞内で複製可能な発現ベクターであればよく、pCI、pSI、pAdVantage、pTriEX、pKA1、pCDM8、pSVK3、pMSG、pSVL、pBK−CMV、pBK−RSV、EBV等の発現ベクターを挙げることができる。また、発現ベクター上のプロモーターは、動物細胞内で機能するものであればよく、例えば、サイトメガロウイルス(Cytomegarovirus、CMV)のCMVプロモーター、アデノウィルス後期(Adenovirus Major Late、AML)のAMLプロモーター、シミアンウィルス40(Simian Virus 40、SV40)のSV40プロモーター、SV40およびHTLV−1 LTRの融合プロモーターであるSRαプロモーター、伸長因子(Elongation Factor、EF)のEF−1αプロモーター等が挙げられる。さらに、発現ベクターにはプロモーター活性を増強するエンハンサーを含むものでもよい。
【0045】
さらに、発現ベクターにはCpGモチーフが含まれていてもよい。CpGモチーフはメチル化されていないシトシン(C)とグアニン(G)に富む配列である。CpGモチーフは、免疫動物の細胞表面に存在するToll like receptor 9(TLR9)によって認識され、細胞内情報伝達系を介してサイトカインの遺伝子発現による免疫反応を活性化すると同時に、抗原情報の発現を促進し抗原提示とヘルパーT細胞の活性化による特異的免疫応答を高めることができる。CpGモチーフを含む発現ベクターによれば、CpGモチーフの免疫刺激系を高める作用により、より高い免疫応答を得ることができる。なお、CpGモチーフは発現ベクターのどの位置に含まれていてもよく、1箇所でもよいし複数箇所でもよい。
【0046】
本発明の動物の免疫方法における融合遺伝子の投与方法としては特に制限はなく、皮下注射、筋肉注射、静脈注射等が挙げられる。またパーティクルガンによる投与も適用可能である。また、本発明の動物の免疫方法における融合遺伝子の投与量は、用いる発現ベクターやプロモーターの種類等に応じて適宜決定すればよいが、1回当たりおおむね1〜3mg/kg体重で、これはマウスの場合は25〜100μg/回になる。また投与の回数は、1回でもよいが、一定間隔をおいて複数回行う方がより高い体液性免疫の応答を誘導することができる。
【0047】
本発明の動物の免疫方法に好適な抗原タンパク質としては、例えば、Gタンパク質共役型受容体、イオンチャネル型受容体、チロシンカイネース型受容体、CD抗原、細胞接着分子、癌抗原、サイトカイン、成長因子、増殖因子、栄養因子、ウィルス抗原、細菌抗原又は毒素抗原が挙げられる。なお、本発明の動物の免疫方法ではこれらのタンパク質の遺伝子さえ入手できれば実施することができ、タンパク質自身が精製されている必要はない。
【0048】
本発明の動物の免疫方法に用いる動物としては、取り扱いが容易である哺乳類又は鳥類が好ましい。哺乳類の例としては、マウス、ラット、ウサギ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジ、ブタ等を挙げることができる。また、鳥類の例としては、ニワトリ、アヒル又は七面鳥を挙げることができる。特に、最終的にモノクローナル抗体を取得する場合、細胞融合の容易さからマウス、ラット、ウサギ又はニワトリを用いることが好ましい。また、いかなる動物種であろうとB細胞の腫瘍細胞が取得できればモノクローナル抗体を取得することは可能である。
【0049】
本発明の免疫用組成物は、抗原タンパク質の全部又は一部をコードする遺伝子とGroELをコードする遺伝子とを主成分とするものである。本発明の免疫用組成物の代表的な形状としては、等張液に各遺伝子を溶解させたものである。等張液の例としては、生理食塩水、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)が挙げられる。その他、溶媒には各種の緩衝液を用いることもできる。また、抗体産生能を上昇させるために、Mg2+等の金属イオンを等張液に添加することも効果的である。さらに、細胞性免疫を特異的に抑制する免疫抑制剤を加えることで、より体液性免疫を誘導し、抗体産生を高めることも可能である。さらには、体液性免疫を誘導するTH2ヘルパーT細胞の分化を誘導するようなサイトカインであるGM−CSF、TNFα、IL−4を等張液に添加したり、またそれらのサイトカインをコードする遺伝子を添加したりすることも、抗体産生能を上昇させるためには効果的である。同様に、サイトカインの1つであるIL−10又はIL−10をコードする遺伝子を等張液に添加し、細胞性免疫を抑制することで、体液性免疫を誘導し、抗体産生を高めることも可能である。さらには、抗体産生の主役であるB細胞の活性化、分裂、抗体産生細胞への分化を誘導するサイトカインであるIL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10又はそれらをコードする遺伝子を等張液に添加することで、抗体産生を高めることも可能である。本発明の免疫用組成物における融合遺伝子の濃度は、例えば、10〜500μg/mL程度である。
【0050】
さらに、本発明の免疫用組成物には、CpGモチーフからなるオリゴヌクレオチドを含むものでもよい。この場合、該オリゴヌクレオチドはアジュバントとして機能し、より高い免疫応答を誘導することができる。また、本発明における免疫用組成物は、体液性免疫を誘導するためのワクチンとしても用いることができる。ワクチンとして用いる場合は、ヒトに投与することが可能である。
【0051】
本発明の抗体の製造方法においては、上記した本発明の動物の免疫方法によって免疫した動物から抗体を採取する。具体的には、例えば、免疫後の動物から定期的に部分採血を行って抗体価を測定し、抗体の産生状態をモニターする。そして、抗体価が最大に達した時点で全採血を行い、血清を調製する。そして、得られた血清から抗体を得る。この際、得られる抗体はポリクローナル抗体である。また、血清から抗体を単離・精製する方法としては、一般に抗体の精製に用いられている方法を使用することができ、例えば、プロテインAを用いたアフィニティークロマトグラフィーを用いることができる。
【0052】
本発明のハイブリドーマの製造方法においては、上記した本発明の動物の免疫方法によって免疫した動物から免疫細胞を採取し、これをミエローマと細胞融合することによりハイブリドーマを作製する。細胞融合、ハイブリドーマの選抜及びクローニングについては、公知の方法をそのまま使用することができる。例えば、細胞融合はケーラーとミルシュタインの方法により行うことができる。また、ハイブリドーマの選抜は、HAT選択培地を用いた培養により行うことができる。さらに、ハイブリドーマのクローニングは限界希釈法により行うことができる。そして、このようにしてクローニングされたハイブリドーマを培養することにより、抗原タンパク質に対するモノクローナル抗体を製造することができる。ハイブリドーマの培養は、マウス等の動物の腹腔内で行ってもよく、ディッシュ等を用いてインビトロで行ってもよい。マウス等の動物の腹腔内でハイブリドーマを培養した場合は、腹水を採取し、その腹水からモノクローナル抗体を単離・精製することができる。インビトロで培養した場合は、その培養液からモノクローナル抗体を単離・精製することができる。モノクローナル抗体を精製する方法としては、サブクラスがIgGのモノクローナル抗体の場合は、例えば、上記したプロテインAを用いたアフィニティークロマトグラフィーによって行うことができる。
【0053】
また、本発明のモノクローナル抗体の製造方法は、ファージディスプレイ法を用いる方法も含む。すなわち、上記した本発明の動物の免疫方法によって免疫した動物からmRNAを調製し、該mRNAを鋳型としてcDNAを調製し、抗体可変領域のみをコードする1本鎖抗体(scFV)遺伝子を作製する。そして、該遺伝子をファージミドベクターにクローニングして大腸菌に移入した後、ファージを感染させ、scFV抗体をファージ被膜上に発現させることができる。このようにして発現させたscFVを抗原タンパク質に対してスクリーニングすることで、抗原タンパク質に特異的なモノクローナルscFV抗体を作製することが可能である。なお、mRNAの調製、cDNAの調製、ファージミドへのサブクローニングや大腸菌への移入、ファージの感染、抗原タンパク質に特異的なモノクローナルscFV抗体のスクリーニングは、公知の方法をそのまま使用することができる。例えば、リーダー配列(シグナル配列)とファージ被膜タンパクIIIとをコードする遺伝子断片、及びM13複製開始点、の2つの要素を含むファージミドベクターに、scFV遺伝子をサブクローニングし、ファージとしては、M13ファージを用いることで、M13ファージ上にscFV抗体を発現させることが可能である。また、スクリーニングによって得られたファージを特定の細菌に感染させ、培養することで、培養液から抗原タンパク質に特異的なモノクローナル抗体を大量に回収することも可能である。なお、本発明のモノクローナル抗体の製造方法によれば、scFV抗体だけではなく、抗体の定常領域を除いたFab抗体断片などを作製することも可能である。
【0054】
以下に実施例を掲げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例]
【0055】
(1)遺伝子免疫用ベクターの構築
免疫用ベクターの構築はCAG プロモーターを有するベクター(pCA5)にLR組換え配列(Invitrogen)を制限酵素による切断およびT4リガーゼによる結合により挿入した。エントリーベクターpENTR4(Invitrogen)にクローニングされた各発現遺伝子(GPCR遺伝子、GroEL遺伝子、もしくはGroEL融合GPCR遺伝子)をLR反応(Invitrogen)により免疫用ベクターに組換え、抗原発現免疫用ベクターとした。作製した免疫用ベクターを大腸菌(DH5α)にトランスフォームし、37℃にて16時間の培養後、プラスミドベクター精製キット(Qiagen)もしくはアルカリ法を用いて精製を行った。
【0056】
(2)遺伝子免疫
生理食塩水に(1)で調製した各ベクターを1mg/mLの濃度になるよう溶解し、免疫用組成物を調製した。この免疫用組成物を、8週齢のマウスBALB/c(雌)の両足大腿筋に各30μLずつ注射を行い、免疫した(0日目)。これにより、各ベクターを両足に各30μgずつ、すなわち、1匹につき1回あたり60μg投与した。その後、7日目、21日目、及び28日目にも同様して繰り返し免疫した。そして、42日目に採血を行い、血清を調製した。対照として、GPCRのみ発現するベクター、GroEL遺伝子とGPCR遺伝子とを融合した融合タンパクを発現するベクター(リンカーあり)、GroEL遺伝子とGPCR遺伝子とを融合した融合タンパクを発現するベクターを用いてマウスを免疫した。
【0057】
(3)フローサイトメトリーによる発現評価
各GPCRを発現するB300−19細胞(1×10 cells,1×10 cells/ml)に100倍希釈した上記(2)で免役した免疫血清もしくは免疫前血清を4℃下で30分反応させた。次に、細胞を遠心により洗浄後、二次抗体としてPEもしくはFITC標識し、抗マウスIgG(H+L)抗体(メーカ名:PE, Beckman Coulter; FITC, Jacson ImmunoResearch)を1000倍希釈の濃度で100μl入れ、4℃下で30分反応させた。
【0058】
細胞を洗浄後、フローサイトメーターEPICS XL(ベックマンコールター社)を用いて、解析した。免疫前血清をネガティブコントロールとし、抗体結合による蛍光強度の増加を測定した。結果を図1に示す。
【0059】
なお、血清解析における全ての反応、洗浄はウシ血清(メーカ名:Hyclone)(0.5%)。EDTA(5 mM)(メーカ名:Wako)、NaN3(0.1%)(メーカ名:Wako)を含有するPBSを用いた。
【0060】
図1は、フローサイトメトリーのデータを示す。図1の横軸は、導入されたGPCR遺伝子を示し、縦軸はGroELの投与方法を示し、上から、GPCR遺伝子のみ、GroEL遺伝子とGPCR遺伝子とコトランスフェクト、GroEL遺伝子とGPCR遺伝子とを融合した融合遺伝子を導入したもの(リンカーあり)、GroEL遺伝子とGPCR遺伝子とを融合した融合遺伝子を直接導入したデータである。
【0061】
図1に示すように、CCR2B遺伝子を導入する場合、CCR2B遺伝子のみを導入したときと比較して、CCR2B遺伝子と、GroEL遺伝子とをコトランスフェクトしたときのほうが、抗体の発現量が多い。また、CCR3遺伝子、又はCCR5遺伝子を導入する場合、GroEL遺伝子とGPCR遺伝子とを融合した融合遺伝子を導入したときと比較して、CCR3遺伝子、又はCCR5遺伝子と、GroEL遺伝子とをコトランスフェクトしたときのほうが、抗体の発現量が多い。
【0062】
以上のことから、遺伝子免疫によって、遺伝子免疫を行う際に、その遺伝子を単独で動物に接種しても体液性免疫の応答を誘導することができないCCR2Bなどの抗原タンパク質であっても、体液性免疫の応答を誘導することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗原タンパク質の全部又は一部をコードする第1遺伝子と、
GroELの全部又は一部をコードする第2遺伝子と、
を動物に投与することにより、
該動物体内で前記第1遺伝子と第2遺伝子を発現させ、抗原タンパク質に対する体液性免疫の応答を誘導する動物の免疫方法。
【請求項2】
前記GroELは、大腸菌由来のものである請求項1に記載の動物の免疫方法。
【請求項3】
前記第1遺伝子は、Gタンパク質共役型受容体である請求項1又は2に記載の動物の免疫方法。
【請求項4】
前記第1遺伝子は、ケモカイン受容体である請求項1乃至3のいずれかに記載の動物の免疫方法。
【請求項5】
前記第1遺伝子は、CCR2B、CCR3、又はCCR5である請求項1乃至4のいずれかに記載の動物の免疫方法。
【請求項6】
前記動物は、哺乳類又は鳥類である請求項1乃至5のいずれかに記載の動物の免疫方法。
【請求項7】
前記哺乳類は、マウス、ラット、ウサギ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジ又はブタである請求項6に記載の動物の免疫方法。
【請求項8】
前記鳥類は、ニワトリ、アヒル又は七面鳥である請求項6に記載の動物の免疫方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の動物の免疫方法に使用するための免疫用組成物であって、抗原タンパク質の全部又は一部をコードする第1遺伝子と、GroELの全部又は一部をコードする第2遺伝子とを主成分とする免疫用組成物。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれかに記載の動物の免疫方法により動物を免疫して抗原タンパク質に対する体液性免疫の応答を誘導し、該動物に抗原タンパク質に対する抗体を産生させ、該動物から該抗体を採取する抗体の製造方法。
【請求項11】
請求項1乃至8のいずれかに記載の動物の免疫方法により動物を免疫して抗原タンパク質に対する体液性免疫の応答を誘導した後に、該動物から免疫細胞を採取し、該免疫細胞とミエローマとを細胞融合することにより抗原タンパク質に対する抗体を産生するハイブリドーマを作製するハイブリドーマの製造方法。
【請求項12】
請求項10に記載の製造方法で製造されたハイブリドーマを培養し、培養物から抗原タンパク質に対するモノクローナル抗体を採取するモノクローナル抗体の製造方法。
【請求項13】
請求項1乃至8のいずれかに記載の動物の免疫方法により動物を免疫して抗原タンパク質に対する体液性免疫の応答を誘導した後に、該動物から抗体に対するmRNAを調製し、該mRNAを鋳型としてcDNAを調製し、該cDNAを用いたファージディスプレイ法により抗原タンパク質に対するモノクローナル抗体を作製するモノクローナル抗体の製造方法。


【図1】
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【公開番号】特開2011−63573(P2011−63573A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218190(P2009−218190)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(501080594)
【Fターム(参考)】