説明

動物医療システム

【課題】 ペット飼育者の本音を汲み取ってサービスに役立つ情報を獣医師等の動物医療関係者に提供でき、動物病院等と協調しやすい動物医療システムを提供する。【解決手段】 ペットの検査を希望する飼育者は、まず居住する地域の動物医療機関2a等へ患畜3fを連れて行き、獣医師の診察を受け、センタ1への紹介をもらう。紹介を受けた飼育者は、予約日に患畜3fを伴ってセンタ1を訪問する。センタ1では、獣医師からの紹介に基づいて所要の検査、例えばMRI装置10での画像形成を行う。センタ1側では、検査結果及び判断事項に関するデータすべてをインターネット5経由で患畜3fの主治医である獣医師が居る動物医療機関2bへ送付する。このデータを受信した獣医師は、その内容から診断、診療に必要なデータを入手し、患畜3fに対して、センタ1からのデータを利用した高度な医療処置を授ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子カルテネットワークを利用した動物医療システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の動物医療においては、ペットから被検査物を採取し、その被検査物を必要事項を記入した検査申込書とともに検査会社に郵送し、検査会社側は被検査物に基づいて所定の検査を実施するという郵送検診が行われている(例えば特許文献1参照)。このシステムにおいては、互いにネットワークに接続された会社側のサーバコンピュータと動物病院等の情報端末装置により獣医師や、病院関係者、飼育者が検査結果を閲覧できるようにしている。
【特許文献1】特開2005−157802号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、近年ペットの平均寿命の高齢化が進んでいる。そのため、ペットの疾患も腫瘍や代謝栄養障害、神経障害が増加するなど、飼い主、獣医その他関係者が対応に苦慮する状況も増加しつつある。そして、ペット飼育者の増加および多様化、そして情報化は飼育者を単なる医療サービスの購入者(支払者)から評価機能を持つ購入者へと変容させる可能性をはらんでいる。
【0004】
すなわち、動物医療の関係者にとっては、よりスピーディーかつ正確で多角的な診察が求められるようになりつつある。例えば、居住地あるいは飼育地から遠くても評判の良い獣医の先生に診療をお願いしたい等のペット飼育者が増加している。
【0005】
しかしながら、飼育者がペットの健康に強い関心を持ち、状況によっては高額費用を負担する意識があるにもかかわらず、その一方では決して動物病院の利用頻度は高くない。このことは、上述のような飼育者が満足できる対応を提供できていないことに原因が求められ得るものであり、この点を解決できれば利用頻度が格段に高まり、高度医療診断が行えるようになると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明に係る動物医療システムは、センタと、該センタを含む電子カルテネットワークに接続可能な動物医療機関あるいは類似の機関とからなり、前記センタが、MRI装置、CT装置、X線診断装置等の検査機器とこれら検査機器を用いた検査システムを有し、前記動物機関を介して及び/または前記動物機関からの紹介で来所した患畜について前記検査機器及び/または検査システムを用いて前記動物医療機関あるいは類似の機関から委嘱された検査を行い、該検査の結果を前記電子カルテネットワークを介して前記患畜の検査依頼元である前記動物医療機関あるいは類似の機関へ送付して診断可能としてなることを特徴とし、前記目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る動物医療システムは、より詳細な診断材料を提供し、飼育者に安心を届ける一助とし得るものとなり、ペット飼育者の本音を汲み取ってサービスに役立つ情報を獣医師等の動物医療関係者に提供できるようになり、予防医療(成人病等)の側面からも動物病院等と互いに協調、協力しやすい関係を作れるものとなるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明を実施するための最良の形態を、図に示す実施例を参照して説明する。
【0009】
図1は本発明の一実施例に係る動物医療システムの概略構成図である。図中1はセンタ、2a、2bはそれぞれ地域の医療機関、3a、3b・・・は患畜である。センタ1とそれぞれ地域の動物医療機関2a、2b(図では2つの機関のみ示しているが、もちろんもっと多数の機関であってよい)とは、適当なインターネット5で接続され、電子カルテの送受が可能となっている。なおネットワークとしては、インターネット5だけでなく、専用線でのネットワーク等々種々公知のネットワークを採用できる。
【0010】
センタ1は、例えばMRI装置10、CT装置11、X線診断装置12等の検査機器を一または複数備え、これら機器を用いて患畜3a、3b・・・の検査を行えるようになっている。
【0011】
ペットの検査を希望する飼育者は、まず居住する地域の動物医療機関2aあるいは評判が高い別地域の動物医療機関2bへ患畜(例えば以下では図の左下側の患畜3f)を連れて行き、獣医師の診察を受ける。その際、獣医師は必要を認めればセンタ1へ赴いて検査(例えばMRI装置10による磁気共鳴画像形成)を受けるべき旨の紹介を行う。
【0012】
紹介を受けた患畜3fの飼育者は、センタ1に対して検査日の予約を行い、予約日に患畜3fを伴ってセンタ1を訪問する。センタ1では、獣医師からの紹介に基づいて所要の検査を行う。その際、例えばMRI装置10での画像形成では、予め患畜3fに対して麻酔を行い、麻酔が覚めるまでの1時間程度の時間内に検査を終了させる。その際、例えば検査室等にモニタリング用のカメラを設置し、待合室等に設けたモニターで飼育者等が患畜3fの様子を視認できるようにすると良い。
【0013】
センタ1側では、検査結果及び判断事項に関するデータすべてをインターネット5経由で患畜3fの主治医である獣医師が居る動物医療機関2bへ送付する。このデータを受信した獣医師は、その内容から診断、診療に必要なデータを入手し、患畜3fが再度当該動物医療機関2bを訪問した際に、このデータを利用した高度な医療処置を授ける。
【0014】
なお、動物医療機関からセンタ1への患畜の紹介もインターネット5経由で行うようにすることも可能である。またセンタ1に獣医師等を配置することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施例の概念図である。
【符号の説明】
【0016】
1:センタ 2a、2b:地域の医療機関 3a、3b・・・3f:患畜 5:インターネット 10:MRI装置 11:CT装置 12:X線診断装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センタと、該センタを含む電子カルテネットワークに接続可能な動物医療機関あるいは類似の機関とからなり、前記センタが、MRI装置、CT装置、X線診断装置等の検査機器とこれら検査機器を用いた検査システムを有し、前記動物機関を介して及び/または前記動物機関からの紹介で来所した患畜について前記検査機器及び/または検査システムを用いて前記動物医療機関あるいは類似の機関から委嘱された検査を行い、該検査の結果を前記電子カルテネットワークを介して前記患畜の検査依頼元である前記動物医療機関あるいは類似の機関へ送付して診断可能としてなることを特徴とする動物医療システム。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2007−4766(P2007−4766A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−268104(P2005−268104)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願変更の表示】意願2005−4880(D2005−4880)の変更
【原出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(505207078)株式会社キャミック (1)
【Fターム(参考)】