説明

動物害虫駆除用のインダニル−およびテトラヒドロナフチル−アミノ−アゾリン化合物

本発明は、変数R1およびR2が明細書に定義された通りである式Iのインダニル-およびテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物に関する。本発明はまた、昆虫類、クモダニ類または線虫類を駆除または抑制する方法、生育中の植物を昆虫類、クモダニ類または線虫類による攻撃または侵襲から保護する方法、種子を土壌昆虫からそして実生の根および枝葉を土壌および葉昆虫から保護する方法、ならびに動物を寄生虫による侵襲または感染に対して処理し、抑制し、予防しまたは保護する方法にも関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物害虫を駆除するために有用であるインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物に関する。本発明はまた、動物害虫を駆除する方法および動物害虫を駆除するための農業組成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
動物害虫、そして特に昆虫類、クモダニ類および線虫類は生育中のおよび収穫した作物を損傷しかつ木造住居および商業構造物を攻撃し、食糧および資産に大きな経済的損失をもたらす。多数の殺虫剤が公知であるものの、標的害虫は前記薬剤に耐性を生じうるために、昆虫類、クモダニ類および線虫類を駆除するための新しい薬剤の必要性は常に存在する。
【0003】
式Iの化合物に類似した化合物がDE-A1963192に記載されている。
【0004】
しかし、DE-A1963192に記載される化合物は活性または活性スペクトルの広さが限られている。
【発明の開示】
【0005】
それ故に、本発明の目的は、多数の色々な動物害虫、とりわけ、抑制することが困難な昆虫類、クモダニ類および線虫類に対して、優れた殺虫剤活性を有しかつ広い活性スペクトルを示す化合物を提供することにある。
【0006】
本発明者らは、これらの目的が式I:
【化1】

【0007】
または次の異性体の式:
【化2】

【0008】
[式中、
nは1または2であり;
mは1、2、3または4であり、ここで、mが1より大きいときに基R2は同じかまたは異なる意味を有してもよく;
XはO、S、NR3であり、
ここで、R3は水素、シアノ、ニトロ、ホルミル、C(=O)R3c、C1〜C6-アルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-アルキニル、C3〜C8-シクロアルキル、C1〜C6-アルコキシ、C2〜C6-アルキニルアミノ、ジ(C2〜C6-アルキニル)アミノ、(C1〜C6-アルコキシ)メチレン、C1〜C6-アルキルスルフィニル、C1〜C6-アルキルスルフェニルまたはC1〜C6-アルキルスルホニルから選択され、ここで、前記の基の脂肪族基中の炭素原子は、お互いに独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシル、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-アルコキシ、C2〜C6-アルケニルオキシ、C2〜C6-アルキニルオキシ、C1〜C6-ハロアルコキシおよびC1〜C6-アルキルチオ、またはC(O)NR3aR3b、(SO2)NR3aR3b、フェニル、フェニルオキシまたはベンジルからなる群より選択される1、2または3個の基のいずれの組合わせを保持してもよく、最後に記載した3つの基のそれぞれは無置換であっても、またはお互いに独立してハロゲン、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C1〜C6-アルキルチオ、C1〜C6-ハロアルキルチオ、C1〜C6-アルコキシおよびC1〜C6-ハロアルコキシからなる群より選択される1〜5個の基により置換されていてもよく;そしてここで、
R3aおよびR3bはそれぞれ独立して水素、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C2〜C6-アルケニル、またはC2〜C6-アルキニルであり、
R3cは水素、C1〜C6-アルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-アルキニル、C3〜C8-シクロアルキル、C1〜C6-アルキルチオ、C1〜C6-アルコキシ、(C1〜C6-アルキル)アミノ、ジ(C1〜C6-アルキル)アミノ、フェニルならびにO、SおよびNから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含有する単環または二環の5〜10員のヘテロ芳香族環であってもよいヘテロアリールから選択され;
R1は水素、シアノ、ニトロ、ホルミル、C(=O)R1c、C1〜C6-アルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-アルキニル、C3〜C8-シクロアルキル、C1〜C6-アルコキシ、(C1〜C6-アルコキシ)メチレン、C1〜C6-アルキルスルフィニル、C1〜C6-アルキルスルフェニルまたはC1〜C6-アルキルスルホニルから選択され、ここで、前記の基の脂肪族基中の炭素原子はお互いに独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシル、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-アルコキシ、C2〜C6-アルケニルオキシ、C2〜C6-アルキニルオキシ、C1〜C6-ハロアルコキシおよびC1〜C6-アルキルチオ、またはC(O)NR1aR1b、(SO2)NR1aR1b、フェニル、フェニルオキシまたはベンジルからなる群より選択される1、2または3個の基のいずれの組合わせを保持してもよく、最後に記載した3つの基のそれぞれは無置換であっても、またはお互いに独立してハロゲン、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C1〜C6-アルキルチオ、C1〜C6-ハロアルキルチオ、C1〜C6-アルコキシおよびC1〜C6-ハロアルコキシ基からなる群より選択される1〜5個の基により置換されていてもよく;そしてここで、
R1aおよびR1bはそれぞれ独立して水素、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C2〜C6-アルケニル、またはC2〜C6-アルキニルであり、
R1cは水素、C1〜C6-アルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-アルキニル、C3〜C8-シクロアルキル、C1〜C6-アルキルチオ、C1〜C6-アルコキシ、(C1〜C6-アルキル)アミノ、ジ(C1〜C6-アルキル)アミノ、フェニルならびにO、SおよびNから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含有する単環または二環の5〜10員のヘテロ芳香族環であってもよいヘテロアリールから選択され、
R2はハロゲン、OH、SH、NH2、SO3H、COOH、シアノ、アジド、ニトロ、ホルミル、CONH2、CSNH2、CH=N-OH、CH=N-O-(C1〜C6)-アルキル、C(=O)R2c、C(=S)R2c、C1〜C6-アルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-アルキニル、C3〜C8-シクロアルキル、C1〜C6-アルコキシ、C1〜C6-アルキルアミノ、ジ(C1〜C6-アルキル)アミノ、C1〜C8-アルキルチオ、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-アルケニルオキシ、C2〜C6-アルケニルアミノ、C2〜C6-アルケニルチオ、C2〜C6-アルキニル、C2〜C6-アルキニルオキシ、C2〜C6-アルキニルアミノ、C2〜C6-アルキニルチオ、C1〜C6-アルキルスルホニル、C1〜C6-アルキルスルホキシル、C2〜C6-アルケニルスルホニル、C2〜C6-アルキニルスルホニル、(C1〜C6-アルコキシ)カルボニル、(C2〜C6-アルケニルオキシ)カルボニル、(C2〜C6-アルキニルオキシ)-カルボニル、(C1〜C6-アルキル)カルボニルオキシ、(C2〜C6-アルケニル-)カルボニルオキシまたは(C2〜C6-アルキニル-)カルボニルオキシ、(C2〜C6-アルケニル)カルボニルアミノ{ここで、前記の基の脂肪族基中の炭素原子はお互いに独立して、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシル、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-アルコキシ、C2〜C6-アルケニルオキシ、C2〜C6-アルキニルオキシ、C1〜C6-ハロアルコキシおよびC1〜C6-アルキルチオからなる群より選択される1、2または3個の基のいずれの組合わせを保持してもよい};
C(O)NR2aR2b、(SO2)NR2aR2b{式中、
R2aおよびR2bはそれぞれ独立して水素、OH、NH2、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C2〜C6-アルケニルまたはC2〜C6-アルキニルから選択され、
R2cは水素、C1〜C6-アルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-アルキニル、C3〜C8-シクロアルキル、C1〜C6-アルコキシ、(C1〜C6-アルキル)アミノ、ジ(C1〜C6-アルキル)アミノ、ヒドラジノ、(C1〜C6-アルキル)ヒドラジノ、ジ(C1〜C6-アルキル)ヒドラジノ、フェニルならびにO、SおよびNから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含有する単環または二環の5〜10員のヘテロ芳香族環であってもよいヘテロアリールから選択される};
基Y-Arまたは基Y-Cy{式中、
Yは単結合、酸素、硫黄、窒素、C1〜C6-アルカンジイルまたはC1〜C6-アルカンジイルオキシであり;
Arはフェニル、ナフチルまたは環員として2個の酸素原子、2個の硫黄原子および3個の窒素原子から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含有する単環または二環の5〜10員のヘテロ芳香族環であり、Arは無置換であるかまたはハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシル、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C1〜C6-アルコキシ、C2〜C6-アルケニルオキシ、C2〜C6-アルキニルオキシ、C1〜C6-ハロアルコキシおよびC1〜C6-アルキルチオからなる群よりお互いに独立して選択される1〜5個の基のいずれの組合わせを保持してもよく;
Cyは無置換であるかまたはハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシル、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C1〜C6-アルコキシ、C2〜C6-アルケニルオキシ、C2〜C6-アルキニルオキシ、C1〜C6-ハロアルコキシおよびC1〜C6-アルキルチオからなる群よりお互いに独立して選択される1〜5個の基により置換されているC3〜C12-シクロアルキルである}
から選択され;そしてここで、
フェニル環の隣接炭素原子と結合している基R2は、前記炭素原子と一緒に環縮合したベンゼン環、環縮合した飽和もしくは部分的に不飽和の5、6、または7員の炭素環、または環員として2個の酸素原子、2個の硫黄原子および3個の窒素原子から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含有する環縮合した5、6、または7員のヘテロ環を形成してもよく、そして、ここで、環縮合した環は無置換であるかまたは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシル、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-アルコキシ、C2〜C6-アルケニルオキシ、C2〜C6-アルキニルオキシ、C1〜C6-ハロアルコキシおよびC1〜C6-アルキルチオからなる群よりお互いに独立して選択される1、2、3または4個の基を保持してもよい]
によっても表され、ただし、式Iの化合物は2-(4-チオ-tert-ブチル-1-インダニルアミノ)-オキサゾリンでないことを条件とする、互変異性インダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物またはそれらのエナンチオマーおよび/または農学的におよび/または獣医学的に許容される塩。により達成できることを見出した。
【0009】
それ故に、本発明は、式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物、またはそのエナンチオマーおよび農学的にまたは獣医学的に許容されるそれらの塩に関する。これらの化合物は高い殺虫活性を有しかつ動物害虫の広いスペクトルに対して、とりわけ、昆虫類、クモダニ類および線虫類に対して活性がある。
【0010】
本発明はまた、動物害虫、とりわけ昆虫類、クモダニ類および線虫類を駆除する方法であって、動物害虫、その生息地、繁殖地、食糧;動物害虫が成長しているまたは成長しうる植物、種子、土壌、区域、材料または環境、または動物害虫、とりわけ昆虫類、クモダニ類または線虫類による攻撃または侵襲から保護すべき材料、植物、種子、土壌、表面または空間に、少なくとも1つの式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物および/またはそれらの少なくとも1つの農学的に許容される塩の殺虫剤として有効な量を接触させるステップを含んでなる前記方法にも関する。
【0011】
さらに、本発明は、作物を動物害虫、とりわけ昆虫類、クモダニ類または線虫類による攻撃または侵襲から保護する方法であって、作物に少なくとも1つの式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物および/またはそれらの少なくとも1つの塩の殺虫剤として有効な量を接触させるステップを含んでなる前記方法を提供する。
【0012】
さらに、本発明は、好ましくは、直接スプレー可能な溶液、乳剤、ペースト、油分散液、粉剤、散布用材料、微粉末の形態の、または粒剤の形態の農業組成物であって、1以上の農学的に許容される不活性な固体または液体担体および、もし所望であれば、少なくとも1つの界面活性剤を混合した、少なくとも1つの先に定義した式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物および/またはその塩を含んでなる農業組成物に関する。
【0013】
インダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリンは慣用の技術分野における薬理学的な用途が記載されている。
【0014】
Wong、W.C.らは、2-アミノ-2-オキサゾリンの好都合な合成およびクローニングされたヒトαアドレナリン作動性受容体におけるその薬理学的評価を開示している(Bioorg. & Med. Chem. Lett、4(19)、1994、p. 1217-22)。
【0015】
オキサメタゾリン化合物の加水分解は、Yamana、T.ら(Yakuzaiguku (1967)、27(3). P. 203-5)に考察されている。
【0016】
US 3,296,077に、2-(1-テトラヒドロナフチルアミノ)-イミダゾリン化合物の存在がひげ剃り組成物中に見出しうることが記載されている。2-(1-テトラヒドロナフチルアミノ)-イミダゾリン化合物はまた、その交感神経模倣効果について、Nippon Yakurigaku Zasshi (1965), 61(6), p.479-89に、その血管収縮効果について、US 4,520,014に、またはその経鼻組成物の効能について、Arzneimittelforschung 1962, 12, p.975-8に記載されている。
【0017】
US 2,883,410、US 2,870,161およびUS 2,870,159は、2-(1-インダニルアミノ)-オキサゾリンを医薬組成物中のトランキライザーとして記載し、ここで、始めて、2-(4-チオ-tert-ブチル-1-インダニルアミノ)-オキサゾリンも開示している。US 2,956,072は2-(1-テトラヒドロナフチルアミノ)-オキサゾリンを同じ目的で開示している。
【0018】
チアゾリン、オキサゾリンまたはイミダゾリン置換を有する2-(1-テトラヒドロナフチルアミノ)-誘導体または2-(1-インダニルアミノ)-誘導体はUS 3,636,219およびUS 3,679,798に見出され、ここでは抗コリン作動性効果について記載されている。
【0019】
アリール-アミノ-オキサゾリンまたはアリール-アミノ-チアゾリンは殺虫剤としてDE-A 1 963 192において、または作物保護用にDE-B 1 954 584で考察されている。
【0020】
後者の2つの文献は、インダニルまたはテトラヒドロナフチル環系の芳香族部分が置換された比較しうる置換スキームを有するインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリンを表す誘導体を開示していない。好ましくは、インダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリンは位置Aおよび/またはCおよび/またはDで置換されている。好ましくは、インダニルまたはテトラヒドロナフチル環系の非縮合部は
無置換のままであり同じくアゾリン環も無置換のままである。
【0021】
式Iの化合物は1以上のキラル中心を有してもよく、ここで、それらはエナンチオマーまたはジアステレオマーなどの立体異性体の混合物として存在する。本発明は両方の純粋な立体異性体、例えば、純粋なエナンチオマーまたはジアステレオマーの両方、およびそれらの混合物を提供する。式Iの化合物はまた、異なる互変異性体の形態で存在しうる。本発明は、もし分離可能であれば、単独の互変異性体、ならびに互変異性体混合物を含む。
【0022】
本発明による使用に好適である式Iの化合物の塩は、とりわけ農学的に許容される塩である。これらは慣用の方法で、例えば、もし式Iの化合物が塩基性官能基を有すれば、同化合物を問題のアニオンの酸と反応させることにより、または式Iの酸性化合物を好適な塩基と反応させることにより生成することができる。
【0023】
好適な農学的に有用な塩は、とりわけそのカチオンおよびアニオンが、それぞれ、本発明による化合物の作用に対して有害な効果を有しないものであるカチオンの塩または酸の酸付加塩である。好適なカチオンは、特に、アルカリ金属、好ましくはリチウム、ナトリウムおよびカリウムのイオン、アルカリ土類金属、好ましくはカルシウム、マグネシウムおよびバリウムのイオン、遷移金属、好ましくはマンガン、銅、亜鉛および鉄のイオン、ならびにまた、アンモニウム(NH4+)および水素原子の1〜4個がC1〜C4-アルキル、C1〜C4-ヒドロキシアルキル、C1〜C4-アルコキシ、C1〜C4-アルコキシ-C1〜C4-アルキル、ヒドロキシ-C1〜C4-アルコキシ-C1〜C4-アルキル、フェニルおよび/またはベンジルにより置換されたアンモニウムのイオンである。
【0024】
置換されたアンモニウムイオンの例としては、メチルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、2-ヒドロキシエチルアンモニウム、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルアンモニウム、ビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウムおよびベンジルトリエチルアンモニウム、さらに、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオン、好ましくはトリ(C1〜C4-アルキル)スルホニウム、およびスルホキソニウムイオン、好ましくはトリ(C1〜C4-アルキル)スルホキソニウムが挙げられる。
【0025】
有用な酸付加塩のアニオンは、主に、塩素、臭素、フッ素、硫酸水素、硫酸、リン酸二水素、リン酸水素、リン酸、硝酸、炭酸水素、炭酸、ヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロリン酸、安息香酸、およびC1〜C4-アルカン酸、好ましくは蟻酸、酢酸、プロピオン酸および酪酸のアニオンである。これらの酸付加塩は式Iの化合物を対応するアニオンの酸、好ましくは塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸または硝酸と反応させることにより生成することができる。
【0026】
先の変数の定義で記述した有機部分は、用語ハロゲンと同様に、個々のグループメンバーの個々の列挙に対する集合的な用語である。接頭辞Cn〜Cmはそれぞれの場合にグループ中の可能な炭素原子数を示す。
【0027】
用語ハロゲンは、それぞれの場合に、フッ素、臭素、塩素またはヨウ素、特にフッ素、塩素または臭素を表す。
【0028】
他の用語の意味の例は次の通りである:
本明細書でおよびC1〜C6-アルコキシ、C1〜C6-アルキルアミノ、ジ(C1〜C6-アルキル)アミノ、C1〜C6-アルキルチオ、C1〜C6-アルキルスルホニル、C1〜C6-アルキルスルホキシル、C1〜C6-アルキルカルボニル、C1〜C6-アルコキシカルボニル、C1〜C6-アルキルチオカルボニル、およびC1〜C6-アルキルカルボニルオキシのアルキル部分で使用する用語「C1〜C6-アルキル」は、1〜6個の炭素原子、とりわけ1〜4個の炭素原子を有する飽和直鎖または分枝鎖炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、ヘキシル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル、1-エチル-2-メチルプロピル、へプチル、オクチル、2-エチルヘキシル、ノニルおよびデシルならびにそれらの異性体を意味する。C1〜C4-アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピルまたは1,1-ジメチルエチルを意味する。
【0029】
本明細書で使用する用語「C1〜C6-ハロアルキル」は、これらの基の水素原子のいくつかまたは全てが先に記載のハロゲン原子により置換されていてもよい、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和アルキル基(先に記載の通り)、例えば、C1〜C4-ハロアルキル、例えばクロロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、1-クロロエチル、1-ブロモエチル、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-クロロ-2-フルオロエチル、2-クロロ-2,2-ジフルオロエチル、2,2-ジクロロ-2-フルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、ペンタフルオロエチルなどを意味する。
【0030】
本明細書で使用する用語「C1〜C6-アルコキシ」は、酸素原子を介して結合している1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和アルキル基(先に記載の通り)を意味する。例としては、C1〜C6-アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、OCH2-C2H5、OCH(CH3)2、n-ブトキシ、OCH(CH3)-C2H5、OCH2-CH(CH3)2、OC(CH3)3、n-ペントキシ、1-メチルブトキシ、2-メチルブトキシ、3-メチルブトキシ、1,1-ジメチルプロポキシ、1,2-ジメチルプロポキシ、2,2-ジメチル-プロポキシ、1-エチルプロポキシ、n-ヘキソキシ、1-メチルペントキシ、2-メチルペントキシ、3-メチルペントキシ、4-メチルペントキシ、1,1-ジメチルブトキシ、1,2-ジメチルブトキシ、1,3-ジメチルブトキシ、2,2-ジメチルブトキシ、2,3-ジメチルブトキシ、3,3-ジメチルブトキシ、1-エチルブトキシ、2-エチルブトキシ、1,1,2-トリメチルプロポキシ、1,2,2-トリメチルプロポキシ、1-エチル-1-メチルプロポキシ、1-エチル-2-メチルプロポキシなどが挙げられる。
【0031】
本明細書で使用する用語「C1〜C6-ハロアルコキシ」は、水素原子が部分的にまたは全てフッ素、塩素、臭素および/またはヨウ素により置換された、先に記載したC1〜C6-アルコキシ基、すなわち、例えば、C1〜C6-ハロアルコキシ、例えばクロロメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロフルオロメトキシ、ジクロロフルオロメトキシ、クロロジフルオロメトキシ、2-フルオロエトキシ、2-クロロエトキシ、2-ブロモエトキシ、2-ヨードエトキシ、2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、2-クロロ-2-フルオロエトキシ、2-クロロ-2,2-ジフルオロエトキシ、2,2-ジクロロ-2-フルオロエトキシ、2,2,2-トリクロロエトキシ、ペンタフルオロエトキシ、2-フルオロプロポキシ、3-フルオロプロポキシ、2,2-ジフルオロプロポキシ、2,3-ジフルオロプロポキシ、2-クロロプロポキシ、3-クロロプロポキシ、2,3-ジクロロプロポキシ、2-ブロモプロポキシ、3-ブロモプロポキシ、3,3,3-トリフルオロプロポキシ、3,3,3-トリクロロプロポキシ、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロポキシ、ヘプタフルオロプロポキシ、1-(フルオロメチル)-2-フルオロエトキシ、1-(クロロメチル)-2-クロロエトキシ、1-(ブロモメチル)-2-ブロモエトキシ、4-フルオロブトキシ、4-クロロブトキシ、4-ブロモブトキシ、ノナフルオロブトキシ、5-フルオロ-1-ペントキシ、5-クロロ-1-ペントキシ、5-ブロモ-1-ペントキシ、5-ヨード-1-ペントキシ、5,5,5-トリクロロ-1-ペントキシ、ウンデカフルオロペントキシ、6-フルオロ-1-ヘキソキシ、6-クロロ-1-ヘキソキシ、6-ブロモ-1-ヘキソキシ、6-ヨード-1-ヘキソキシ、6,6,6-トリクロロ-1-ヘキソキシまたはドデカフルオロヘキソキシ、特にクロロメトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2-フルオロエトキシ、2-クロロエトキシまたは2,2,2-トリフルオロエトキシを意味する。
【0032】
本明細書で使用する用語「C1〜C6-アルコキシ-C1〜C6-アルキル」は、1つの炭素原子が先に記載したC1〜C6-アルコキシ基を保持するC1〜C6-アルキルを意味する。例は、CH2-OCH3、CH2-OC2H5、n-プロポキシメチル、CH2-OCH(CH3)2、n-ブトキシメチル、(1-メチルプロポキシ)メチル、(2-メチルプロポキシ)メチル、CH2-OC(CH3)3、2-(メトキシ)エチル、2-(エトキシ)エチル、2-(n-プロポキシ)エチル、2-(1-メチルエトキシ)エチル、2-(n-ブトキシ)エチル、2-(1-メチルプロポキシ)エチル、2-(2-メチルプロポキシ)エチル、2-(1,1-ジメチルエトキシ)エチル、2-(メトキシ)プロピル、2-(エトキシ)プロピル、2-(n-プロポキシ)プロピル、2-(1-メチルエトキシ)プロピル、2-(n-ブトキシ)プロピル、2-(1-メチルプロポキシ)プロピル、2-(2-メチルプロポキシ)プロピル、2-(1,1-ジメチルエトキシ)プロピル、3-(メトキシ)プロピル、3-(エトキシ)プロピル、3-(n-プロポキシ)プロピル、3-(1-メチルエトキシ)プロピル、3-(n-ブトキシ)プロピル、3-(1-メチルプロポキシ)プロピル、3-(2-メチルプロポキシ)プロピル、3-(1,1-ジメチルエトキシ)プロピル、2-(メトキシ)ブチル、2-(エトキシ)ブチル、2-(n-プロポキシ)ブチル、2-(1-メチルエトキシ)ブチル、2-(n-ブトキシ)ブチル、2-(1-メチルプロポキシ)ブチル、2-(2-メチルプロポキシ)ブチル、2-(1,1-ジメチルエトキシ)ブチル、3-(メトキシ)ブチル、3-(エトキシ)ブチル、3-(n-プロポキシ)ブチル、3-(1-メチルエトキシ)ブチル、3-(n-ブトキシ)ブチル、3-(1-メチルプロポキシ)ブチル、3-(2-メチルプロポキシ)ブチル、3-(1,1-ジメチルエトキシ)ブチル、4-(メトキシ)ブチル、4-(エトキシ)ブチル、4-(n-プロポキシ)ブチル、4-(1-メチルエトキシ)ブチル、4-(n-ブトキシ)ブチル、4-(1-メチルプロポキシ)ブチル、4-(2-メチルプロポキシ)ブチル、4-(1,1-ジメチルエトキシ)ブチルなどである。
【0033】
本明細書で使用する用語「(C1〜C6-アルキル)カルボニル」は、カルボニル基の炭素原子を介してアルキル基のいずれかの結合に結合した1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和アルキル基(先に記載した)を意味する。例としては、C1〜C6-アルキルカルボニル、例えば、CO-CH3、CO-C2H5、n-プロピルカルボニル、1-メチルエチルカルボニル、n-ブチルカルボニル、1-メチルプロピルカルボニル、2-メチルプロピルカルボニル、1,1-ジメチルエチルカルボニル、n-ペンチルカルボニル、1-メチルブチルカルボニル、2-メチルブチルカルボニル、3-メチルブチルカルボニル、1,1-ジメチルプロピルカルボニル、1,2-ジメチルプロピルカルボニル、2,2-ジメチルプロピルカルボニル、1-エチルプロピルカルボニル、n-ヘキシルカルボニル、1-メチルペンチルカルボニル、2-メチルペンチルカルボニル、3-メチルペンチルカルボニル、4-メチルペンチルカルボニル、1,1-ジメチルブチルカルボニル、1,2-ジメチルブチルカルボニル、1,3-ジメチルブチルカルボニル、2,2-ジメチルブチルカルボニル、2,3-ジメチルブチルカルボニル、3,3-ジメチルブチルカルボニル、1-エチルブチルカルボニル、2-エチルブチルカルボニル、1,1,2-トリメチルプロピルカルボニル、1,2,2-トリメチルプロピルカルボニル、1-エチル-1-メチルプロピルカルボニルまたは1-エチル-2-メチルプロピルカルボニルなどが挙げられる。
【0034】
本明細書で使用する用語「(C1〜C6-アルコキシ)カルボニル」は、カルボニル基の炭素原子を介して結合した1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシ基(先に記載した)、例えばCO-OCH3、CO-OC2H5、COO-CH2-C2H5、CO-OCH(CH3)2、n-ブトキシカルボニル、CO-OCH(CH3)-C2H5、CO-OCH2-CH(CH3)2、CO-OC(CH3)3、n-ペントキシカルボニル、1-メチルブトキシカルボニル、2-メチルブトキシカルボニル、3-メチルブトキシカルボニル、2,2-ジメチルプロポキシカルボニル、1-エチルプロポキシカルボニル、n-ヘキソキシカルボニル、1,1-ジメチルプロポキシカルボニル、1,2-ジメチルプロポキシカルボニル、1-メチルペントキシカルボニル、2-メチルペントキシカルボニル、3-メチルペントキシカルボニル、4-メチルペントキシカルボニル、1,1-ジメチルブトキシカルボニル、1,2-ジメチルブトキシカルボニル、1,3-ジメチルブトキシカルボニル、2,2-ジメチルブトキシカルボニル、2,3-ジメチルブトキシカルボニル、3,3-ジメチルブトキシカルボニル、1-エチルブトキシカルボニル、2-エチルブトキシカルボニル、1,1,2-トリメチルプロポキシカルボニル、1,2,2-トリメチルプロポキシカルボニル、1-エチル-1-メチルプロポキシカルボニルまたは1-エチル-2-メチルプロポキシカルボニルを意味する。
【0035】
本明細書で使用する用語「(C1〜C6-アルキル)カルボニルオキシ」は、カルボニルオキシ基の炭素原子を介して結合した1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシ基(先に記載した)、例えばO-CO-CH3、O-CO-C2H5、n-プロピルカルボニルオキシ、1-メチルエチルカルボニルオキシ、n-ブチルカルボニルオキシ、1-メチルプロピルカルボニルオキシ、2-メチルプロピルカルボニルオキシ、1,1-ジメチルエチルカルボニルオキシ、n-ペンチルカルボニルオキシ、1-メチルブチルカルボニルオキシ、2-メチルブチルカルボニルオキシ、3-メチルブチルカルボニルオキシ、1,1-ジメチルプロピルカルボニルオキシまたは1,2-ジメチルプロピルカルボニルオキシを意味する。
【0036】
本明細書で使用する用語「C1〜C6-アルキルチオ(C1〜C6-アルキルスルファニル:C1〜C6-アルキル-S-)」は、硫黄原子を介して結合した1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和アルキル基(先に記載した)、例えば、C1〜C4-アルキルチオ、例えばメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、1-メチルエチルチオ、ブチルチオ、1-メチルプロピルチオ、2-メチルプロピルチオ、1,1-ジメチルエチルチオ、n-ペンチルチオカルボニル、1-メチルブチルチオ、2-メチルブチルチオ、3-メチルブチルチオ、2,2-ジメチルプロピルチオ、1-エチルプロピルチオ、n-ヘキシルチオ、1,1-ジメチルプロピルチオ、1,2-ジメチルプロピルチオ、1-メチルペンチルチオ、2-メチルペンチルチオ、3-メチルペンチルチオ、4-メチルペンチルチオ、1,1-ジメチルブチルチオ、1,2-ジメチルブチルチオ、1,3-ジメチルブチルチオ、2,2-ジメチルブチルチオ、2,3-ジメチルブチルチオ、3,3-ジメチルブチルチオ、1-エチルブチルチオ、2-エチルブチルチオ、1,1,2-トリメチルプロピルチオ、1,2,2-トリメチルプロピルチオ、1-エチル-1-メチルプロピルチオまたは1-エチル-2-メチルプロピルチオを意味する。
【0037】
本明細書で使用する用語「(C1〜C6-アルキルチオ)カルボニル」は、カルボニル基の炭素原子を介して結合した1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルチオ基(先に記載した)を意味する。例としては、CO-SCH3、CO-SC2H5、CO-SCH2-C2H5、CO-SCH(CH3)2、n-ブチルチオカルボニル、CO-SCH(CH3)-C2H5、CO-SCH2-CH(CH3)2、CO-SC(CH3)3、n-ペンチルチオカルボニル、1-メチルブチルチオカルボニル、2-メチルブチルチオカルボニル、3-メチルブチルチオカルボニル、2,2-ジメチルプロピルチオカルボニル、1-エチルプロピルチオカルボニル、n-ヘキシルチオカルボニル、1,1-ジメチルプロピルチオカルボニル、1,2-ジメチルプロピルチオカルボニル、1-メチルペンチルチオカルボニル、2-メチルペンチルチオカルボニル、3-メチルペンチルチオカルボニル、4-メチルペンチルチオカルボニル、1,1-ジメチルブチルチオカルボニル、1,2-ジメチルブチルチオカルボニル、1,3-ジメチルブチルチオカルボニル、2,2-ジメチルブチルチオカルボニル、2,3-ジメチルブチルチオカルボニル、3,3-ジメチルブチルチオカルボニル、1-エチルブチルチオカルボニル、2-エチルブチルチオカルボニル、1,1,2-トリメチルプロピルチオカルボニル、1,2,2-トリメチルプロピルチオカルボニル、1-エチル-1-メチルプロピルチオカルボニルまたは1-エチル-2-メチルプロピルチオカルボニルが挙げられる。
【0038】
本明細書で使用する用語「C1〜C6-アルキルスルフィニル」(C1〜C6-アルキルスルホキシル: C1〜C6-アルキル-S(=O)-)は、アルキル基中のいずれかの結合にスルフィニル基の硫黄原子を介して結合した1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素基(先に記載した)、例えばSO-CH3、SO-C2H5、n-プロピルスルフィニル、1-メチルエチルスルフィニル、n-ブチルスルフィニル、1-メチルプロピルスルフィニル、2-メチルプロピルスルフィニル、1,1-ジメチルエチルスルフィニル、n-ペンチルスルフィニル、1-メチルブチルスルフィニル、2-メチルブチルスルフィニル、3-メチルブチルスルフィニル、1,1-ジメチルプロピルスルフィニル、1,2-ジメチルプロピルスルフィニル、2,2-ジメチルプロピルスルフィニル、1-エチルプロピルスルフィニル、n-ヘキシルスルフィニル、1-メチルペンチルスルフィニル、2-メチルペンチルスルフィニル、3-メチルペンチルスルフィニル、4-メチルペンチルスルフィニル、1,1-ジメチルブチルスルフィニル、1,2-ジメチルブチルスルフィニル、1,3-ジメチルブチルスルフィニル、2,2-ジメチルブチルスルフィニル、2,3-ジメチルブチルスルフィニル、3,3-ジメチルブチルスルフィニル、1-エチルブチルスルフィニル、2-エチルブチルスルフィニル、1,1,2-トリメチルプロピルスルフィニル、1,2,2-トリメチルプロピルスルフィニル、1-エチル-1-メチルプロピルスルフィニルまたは1-エチル-2-メチルプロピルスルフィニルを意味する。
【0039】
用語「C1〜C6-アルキルアミノ」は、1つの先に定義したアルキル基を保持する二級アミノ基、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、1-メチルエチルアミノ、ブチルアミノ、1-メチルプロピルアミノ、2-メチルプロピルアミノ、1,1-ジメチルエチルアミノ、ペンチルアミノ、1-メチルブチルアミノ、2-メチルブチルアミノ、3-メチルブチルアミノ、2,2-ジメチルプロピルアミノ、1-エチルプロピルアミノ、ヘキシルアミノ、1,1-ジメチルプロピルアミノ、1,2-ジメチルプロピルアミノ、1-メチルペンチルアミノ、2-メチルペンチルアミノ、3-メチルペンチルアミノ、4-メチルペンチルアミノ、1,1-ジメチルブチルアミノ、1,2-ジメチルブチルアミノ、1,3-ジメチルブチルアミノ、2,2-ジメチルブチルアミノ、2,3-ジメチルブチルアミノ、3,3-ジメチルブチルアミノ、1-エチルブチルアミノ、2-エチルブチルアミノ、1,1,2-トリメチルプロピルアミノ、1,2,2-トリメチルプロピルアミノ、1-エチル-1-メチルプロピルアミノまたは1-エチル-2-メチルプロピルアミノを意味する。
【0040】
用語「ジ(C1〜C6-アルキル)アミノ」は、2つの先に定義したアルキル基を保持する三級アミノ基、例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ-n-プロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、N-エチル-N-メチルアミノ、N-(n-プロピル)-N-メチルアミノ、N-(イソプロピル)-N-メチルアミノ、N-(n-ブチル)-N-メチルアミノ、N-(n-ペンチル)-N-メチルアミノ、N-(2-ブチル)-N-メチルアミノ、N-(イソブチル)-N-メチルアミノ、N-(n-ペンチル)-N-メチルアミノ、N-(n-プロピル)-N-エチルアミノ、N-(イソプロピル)-N-エチルアミノ、N-(n-ブチル)-N-エチルアミノ、N-(n-ペンチル)-N-エチルアミノ、N-(2-ブチル)-N-エチルアミノ、N-(イソブチル)-N-エチルアミノまたはN-(n-ペンチル)-N-エチルアミノを意味する。
【0041】
本明細書で使用する用語「C1〜C6-アルキルスルホニル」(C1〜C6-アルキル-S(=O)2-)は、アルキル基のいずれかの結合にスルホニル基の硫黄原子を介して結合した1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和アルキル基(先に記載した)、例えば、SO2-CH3、SO2-C2H5、n-プロピルスルホニル、SO2-CH(CH3)2、n-ブチルスルホニル、1-メチルプロピルスルホニル、2-メチルプロピルスルホニル、SO2-C(CH3)3、n-ペンチルスルホニル、1-メチルブチルスルホニル、2-メチルブチルスルホニル、3-メチルブチルスルホニル、1,1-ジメチルプロピルスルホニル、1,2-ジメチルプロピルスルホニル、2,2-ジメチルプロピルスルホニル、1-エチルプロピルスルホニル、n-ヘキシルスルホニル、1-メチルペンチルスルホニル、2-メチルペンチルスルホニル、3-メチルペンチルスルホニル、4-メチルペンチルスルホニル、1,1-ジメチルブチルスルホニル、1,2-ジメチルブチルスルホニル、1,3-ジメチルブチルスルホニル、2,2-ジメチルブチルスルホニル、2,3-ジメチルブチルスルホニル、3,3-ジメチルブチルスルホニル、1-エチルブチルスルホニル、2-エチルブチルスルホニル、1,1,2-トリメチルプロピルスルホニル、1,2,2-トリメチルプロピルスルホニル、1-エチル-1-メチルプロピルスルホニルまたは1-エチル-2-メチルプロピルスルホニルを意味する。
【0042】
本明細書でおよび、C2〜C6-アルケニルオキシ、C2〜C6-アルケニルアミノ、C2〜C6-アルケニルチオ、C2〜C6-アルケニルスルホニル、(C2〜C6-アルケニル)カルボニル、(C2〜C6-アルケニルオキシ)カルボニルおよび(C2〜C6-アルケニル)カルボニルオキシのアルケニル部分において使用する用語「C2〜C6-アルケニル」は、2〜6個の炭素原子およびいずれかの位置に二重結合を有する、直鎖または分枝鎖の不飽和炭化水素基、例えば、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-メチル-エテニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-1-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-メチル-2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル;1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、1-メチル-1-ブテニル、2-メチル-1-ブテニル、3-メチル-1-ブテニル、1-メチル-2-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-メチル-3-ブテニル、2-メチル-3-ブテニル、3-メチル-3-ブテニル、1,1-ジメチル-2-プロペニル、1,2-ジメチル-1-プロペニル、1,2-ジメチル-2-プロペニル、1-エチル-1-プロペニル、1-エチル-2-プロペニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニル、1-メチル-1-ペンテニル、2-メチル-1-ペンテニル、3-メチル-1-ペンテニル、4-メチル-1-ペンテニル、1-メチル-2-ペンテニル、2-メチル-2-ペンテニル、3-メチル-2-ペンテニル、4-メチル-2-ペンテニル、1-メチル-3-ペンテニル、2-メチル-3-ペンテニル、3-メチル-3-ペンテニル、4-メチル-3-ペンテニル、1-メチル-4-ペンテニル、2-メチル-4-ペンテニル、3-メチル-4-ペンテニル、4-メチル-4-ペンテニル、1,1-ジメチル-2-ブテニル、1,1-ジメチル-3-ブテニル、1,2-ジメチル-1-ブテニル、1,2-ジメチル-2-ブテニル、1,2-ジメチル-3-ブテニル、1,3-ジメチル-1-ブテニル、1,3-ジメチル-2-ブテニル、1,3-ジメチル-3-ブテニル、2,2-ジメチル-3-ブテニル、2,3-ジメチル-1-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-3-ブテニル、3,3-ジメチル-1-ブテニル、3,3-ジメチル-2-ブテニル、1-エチル-1-ブテニル、1-エチル-2-ブテニル、1-エチル-3-ブテニル、2-エチル-1-ブテニル、2-エチル-2-ブテニル、2-エチル-3-ブテニル、1,1,2-トリメチル-2-プロペニル、1-エチル-1-メチル-2-プロペニル、1-エチル-2-メチル-1-プロペニルおよび1-エチル-2-メチル-2-プロペニルを意味する。
【0043】
本明細書で使用する用語「C2〜C6-アルケニルオキシ」は、酸素原子を介して結合した、2〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和アルケニル基(先に記載した)、例えば、ビニルオキシ、アリルオキシ(プロペン-3-イルオキシ)、メタリルオキシ、ブテン-4-イルオキシなどを意味する。
【0044】
本明細書で使用する用語「C2〜C6-アルケニルチオ」は、硫黄原子を介して結合した、2〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和アルケニル基(先に記載した)、例えば、ビニルスルファニル、アリルスルファニル(プロペン-3-イルチオ)、メタリルスルファニル、ブテン-4-イルスルファニルなどを意味する。
【0045】
本明細書で使用する用語「C2〜C6-アルケニルアミノ」は、硫黄原子を介して結合した2〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和アルケニル基(先に記載の通り)、例えば、ビニルアミノ、アリルアミノ(プロペン-3-イルアミノ)、メタリルアミノ、ブテン-4-イルアミノなどを意味する。
【0046】
本明細書で使用する用語「C2〜C6-アルケニルスルホニル」は、スルホニル(SO2)基を介して結合した、2〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和アルケニル基(先に記載の通り)、例えばビニルスルホニル、アリルスルホニル(プロペン-3-イルスルホニル)、メタリルスルホニル、ブテン-4-イルスルホニルなどを意味する。
【0047】
本明細書でおよび、C2〜C6-アルキニルオキシ、C2〜C6-アルキニルアミノ、C2〜C6-アルキニルチオ、C2〜C6-アルキニルスルホニル、C2〜C6-アルキニルカルボニル、C2〜C6-アルキニルオキシカルボニルおよびC1〜C6-アルキニルカルボニルオキシのアルキニル部分で使用する用語「C2〜C6-アルキニル」は、2〜10個の炭素原子を有しかつ少なくとも1つの三重結合を有する直鎖または分枝鎖の不飽和炭化水素基、例えば、エチニル、プロパ-1-イン-1-イル、プロパ-2-イン-1-イル、n-ブタ-1-イン-1-イル、n-ブタ-1-イン-3-イル、n-ブタ-1-イン-4-イル、n-ブタ-2-イン-1-イル、n-ペンタ-1-イン-1-イル、n-ペンタ-1-イン-3-イル、n-ペンタ-1-イン-4-イル、n-ペンタ-1-イン-5-イル、n-ペンタ-2-イン-1-イル、n-ペンタ-2-イン-4-イル、n-ペンタ-2-イン-5-イル、3-メチルブタ-1-イン-3-イル、3-メチルブタ-1-イン-4-イル、n-ヘキサ-1-イン-1-イル、n-ヘキサ-1-イン-3-イル、n-ヘキサ-1-イン-4-イル、n-ヘキサ-1-イン-5-イル、n-ヘキサ-1-イン-6-イル、n-ヘキサ-2-イン-1-イル、n-ヘキサ-2-イン-4-イル、n-ヘキサ-2-イン-5-イル、n-ヘキサ-2-イン-6-イル、n-ヘキサ-3-イン-1-イル、n-ヘキサ-3-イン-2-イル、3-メチルペンタ-1-イン-1-イル、3-メチルペンタ-1-イン-3-イル、3-メチルペンタ-1-イン-4-イル、3-メチルペンタ-1-イン-5-イル、4-メチルペンタ-1-イン-1-イル、4-メチルペンタ-2-イン-4-イルまたは4-メチルペンタ-2-イン-5-イルなどを意味する。
【0048】
本明細書で使用する用語「C2〜C6-アルキニルオキシ」は、酸素原子を介して結合した2〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和アルキニル基(先に記載の通り)、例えば、プロパギルオキシ(プロピン-3-イルオキシ)、ブチン-3-イルオキシ、およびブチン-4-イルオキシを意味する。
【0049】
本明細書で使用する用語「C2〜C6-アルキニルチオ」は、硫黄原子を介して結合した2〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和アルキニル基(先に記載の通り)、例えば、プロパギルスルファニル(プロピン-3-イルチオ)、ブチン-3-イルスルファニルおよびブチン-4-イルスルファニルを意味する。
【0050】
本明細書で使用する用語「C2〜C6-アルキニルアミノ」は、硫黄原子を介して結合した2〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和アルキニル基(先に記載の通り)、例えば、プロパギルアミノ(プロピン-3-イルアミノ)、ブチン-3-アミノ、およびブチン-4-イルアミノを意味する。
【0051】
本明細書で使用する用語「C2〜C6-アルキニルスルホニル」は、スルホニル(SO2)基を介して結合した2〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和アルキニル基(先に記載の通り)、例えば、プロパギルスルホニル(プロピン-3-イルスルホニル)、ブチン-3-イルスルホニル、およびブチン-4-イルスルホニルを意味する。
【0052】
本明細書で使用する用語「C3〜C12-シクロアルキル」は、3〜12個の炭素原子、特に3〜6個の炭素原子を有する単環または二環または多環の炭化水素基を意味する。単環の基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニルおよびシクロデシルが含まれる。二環の基の例には、ビシクロ[2.2.1]へプチル、ビシクロ[3.1.1]へプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチルおよびビシクロ[3.2.1]ノニルが含まれる。三環の基の例にはアダマンチルおよびホモアダマンチルが含まれる。
【0053】
本明細書で使用する用語「単環または二環のヘテロ芳香族環」は5もしくは6員の単環ヘテロ芳香族基または環縮合した5、6もしくは7員の環を含んで8〜10員の総環員数を有する二環ヘテロ芳香族基を意味し、それぞれの場合にこれらの環員の1、2、3または4個は、お互いに独立して、酸素、窒素および硫黄からなる群より選択されるヘテロ原子である。ヘテロ環基は、炭素環員を介してまたは窒素環員を介して分子の残部と結合することができる。環縮合した環は、C5〜C7-シクロアルキル、C5〜C7-シクロアルケニル、または5〜7員のヘテロシクリルおよびフェニルを含むものである。
【0054】
単環の5〜6員のヘテロ芳香族環の例としては、トリアジニル、ピラジニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピリジル、チエニル、フリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、イソチアゾリルおよびイソオキサゾリルが挙げられる。
【0055】
環縮合したフェニル環を保持する5〜6員のヘテロ芳香族環の例は、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、インドリジニル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾ[b]チアゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、およびベンゾイミダゾリルである。環縮合したシクロアルケニル環を保持する5〜6員のヘテロ芳香族環の例は、ジヒドロインドリル、ジヒドロインドリジニル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、クロメニル、クロマニルなどである。
【0056】
用語「5〜7員のヘテロシクリル」は、先に定義した、5、6もしくは7環員を有する単環ヘテロ芳香族環および非芳香族の飽和または部分的に不飽和のヘテロ環を含む。非芳香族環の例としては、ピロリジニル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、ピロリニル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、1,3-ジオキソラニル、ジオキソレニル、チロラニル、ジヒドロチエニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、オキサゾリニル、イソオキサゾリニル、チアゾリニル、イソチアゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、オキサチオラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、ジオキサニル、チオピロニル、ジヒドロチオピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニル、チアジニルなどが挙げられる。
【0057】
式Iの化合物の殺虫剤活性については、その変数がお互いに独立してまたは他の変数のいずれかと一緒に、次の意味を有する式Iの化合物が好ましい:
R1が水素、シアノ、C(=O)R1c、C1〜C6-アルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-アルキニル、C3〜C8-シクロアルキル、C1〜C6-アルコキシから選択され、かつR1cが水素、C1〜C6-アルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-アルキニル、C3〜C8-シクロアルキル、C1〜C6-アルコキシ、(C1〜C6-アルキル)アミノ、ジ(C1〜C6-アルキル)アミノ、フェニルならびにO、SおよびNから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含有する単環または二環の5〜10員のヘテロ芳香族環であってもよいヘテロアリールから選択される、式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物。より好ましくは、R1が水素である式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物。
【0058】
R2がシアノ、アジド、ハロゲン、OH、SH、NH2、CONH2、SO3H、COOH、C(=O)R2c、C1〜C6-アルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-アルキニル、C3〜C8-シクロアルキル、C1〜C6-アルコキシ、(C1〜C6-アルキル)アミノ、ジ(C1〜C6-アルキル)アミノから選択され、ここで、前記の基の脂肪族基中の炭素原子が、お互いに独立して、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-アルコキシ、C2〜C6-アルケニルオキシ、C2〜C6-アルキニルオキシ、C1〜C6-ハロアルコキシからなる群より選択される1、2または3個の基のいずれかの組合わせを保持してもよく、ここで、R2cは水素、C1〜C6-アルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-アルキニル、C3〜C8-シクロアルキル、C1〜C6-アルコキシ、(C1〜C6-アルキル)アミノ、ジ(C1〜C6-アルキル)アミノ、フェニルおよびO、SおよびNから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含有する単環または二環の5〜10員のヘテロ芳香族環であってもよいヘテロアリールから選択される、式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物。
【0059】
より好ましくは、R2がハロゲン、C1〜C6-アルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-アルキニル、C1〜C6-アルコキシまたはC3〜C8-シクロアルキルから選択され、ここで、当該基は無置換であるかまたは部分的にまたは全てハロゲン化されていてもよい、式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物。
【0060】
mが3でありかつR2が位置A、CおよびDで置換された、式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物。
【0061】
mが2でありかつR2が位置AおよびCで置換された、式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物。
【0062】
mが2でありかつR2が位置CおよびDで置換された、式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物。
【0063】
mが1でありかつR2が位置Aで置換された、式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物。
【0064】
mが1でありかつR2が位置Cで置換された、式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物。
【0065】
XがSまたはOである、式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物。
【0066】
XがSである、式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物。
【0067】
好ましいのは、nが1である、式Iのインダニル-アミノ-アゾリン化合物である。
【0068】
本発明の化合物は、例えば、対応するアミン類IIから次のスキームで概観される合成経路により調製することができる:
【化3】

【0069】
前記スキームに概観した方法に従って、アミンIIを慣用の方法、例えば、IIをチオホスゲンと反応させることによって、対応するイソチオシアネートIVへ転化する(例えば、Houben-Weyl, E4, "Methoden der Organischen Chemie", chapter IIc, pp. 837-842, Georg Thieme Verlag, 1983を参照)。次いで、イソチオシアネートIVをアミノエタノールと反応させ、それによりチオ尿素Vを得る。
【0070】
アミノエタノールのイソチオシアネートIVとの反応は、有機化学の標準の方法に従って実施することができ、例えば、Biosci. Biotech. Biochem. 56 (7), 1062-65 (1992)を参照されたい。
【0071】
こうして得たチオ尿素Vを慣用の方法により環化し、それにより所望の式IIIa,b-Sのチアゾリン化合物を得ることができる。化合物Vの環化は、例えば、酸触媒のもとでまたは脱水条件のもとで、例えば、Mitsunobu反応(Tetrahedron Letters 1999, 40, 3125-3128を参照)により達成することができる。
【0072】
同時出願した本発明者らの平行の米国仮特許出願には、かかる代わりの方法が記載されている。
【0073】
本スキームに概観した方法に従って、アミンIIはまた、Bioorg. Med. Chem. Lett. 1994, 4, 2317-22に記載された2-クロロエチルイソチオシアネートまたは2-クロロエチルイソシアネートとの反応と次いで塩基の存在または非存在のもとでまたは下記条件のもとで環化により、アゾリンIII-Xへ転化することができる。
【0074】
アミンIIは市販されているかまたは当技術分野で公知であるかまたは有機化学者に馴染みのおよび当技術分野で周知の方法、例えば、EP 2812578(インダニル型アミン類)またはUS 3 953 506(テトラヒドロナフチル型アミン類)によって調製することができる。
【0075】
1-クロロ-2-イソチオシアナトエタン(CAS登録番号:6099-88-3)および2-クロロエチルイソシアネート(CAS登録番号:1943-83-5)は市販されている。
【0076】
一般式VIまたはVIIの化合物は、次のスキームに概観された好適な求電子試薬、例えば、WO 2005/063724に記載のアルキル化またはアシル化試薬との反応により得ることができる。
【化4】

【0077】
具体的な反応混合物は、原則として、慣用の方法、例えば、溶媒を除去し、残留物を水と好適な有機溶媒の混合物中に分配しそして生成物を有機相から単離することによって仕上げられる。
【0078】
インダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物Iは、調製において異性体混合物として得てもよいが、もし所望であれば、慣用の方法により、例えば、結晶化またはクロマトグラフィ(もし必要であれば、光学活性吸着体上で)により純粋な異性体に分離することができる。純粋な光学活性異性体は、例えば、対応する光学活性原料から合成することができる。
【0079】
一般に、式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物は上記の方法により調製することができる。しかし、個々の場合において、ある特定の化合物Iはまた、エステル加水分解、アミド化、エステル化、エーテル切断、オレフィン化、還元、酸化などの他の慣用の方法によって他の化合物から有利に調製することもできる。
【0080】
本発明の式Iの化合物の好ましい例を次に記載する:
1. 式I-A
式Iの化合物の中でも、好ましいのは、n=1、R1=HおよびXはSである次の式I-A:
【化5】

【0081】
[式中、変数mおよびR2は次の意味を有する]の化合物である。これらの化合物の例は、[R2]mが表1のそれぞれの行に与えられた意味を有する化合物である(化合物I-A.1〜I-A.72)。
【表1】



【0082】
2. 式I-B
式Iの化合物の中でも、好ましいのは、n=1、R1=HおよびXはOである次の式I-B:
【化6】

【0083】
[式中、変数mおよびR2は次の意味を有する]の化合物である。これらの化合物の例は、[R2]mが表2のそれぞれの行に与えられた意味を有する化合物である(化合物I-B.1〜I-B.72)。
【表2】



【0084】
3. 式I-C
式Iの化合物の中でも、好ましいのは、n=1、R1=HおよびXはN-CH3である次の式I-C:
【化7】

【0085】
[式中、変数mおよびR2は次の意味を有する]の化合物である。これらの化合物の例は、[R2]mが表3のそれぞれの行に与えられた意味を有する化合物である(化合物I-C.1〜I-C.72)。
【表3】



【0086】
4. 式I-D
式Iの化合物の中でも、好ましいのはn=2、R1=HおよびXはSである次の式I-D:
【化8】

【0087】
[式中、変数mおよびR2は次の意味を有するで]の化合物である。これらの化合物の例は、[R2]mが表4のそれぞれの行に与えられた意味を有する化合物である(化合物I-D.1〜I-D.72)。
【表4】


【0088】
5. 式I-E
式Iの化合物の中でも、好ましいのはn=2、R1=HおよびXはOである次の式I-E:
【化9】

【0089】
[式中、変数mおよびR2は次の意味を有する]の化合物である。これらの化合物の例は、[R2]mが表5のそれぞれの行に与えられた意味を有する化合物である(化合物I-E.1〜I-E.72)。
【表5】



【0090】
6. 式I-F
式Iの化合物の中でも、好ましいのはn=2、R1=HおよびXはN-CH3である次の式I-F:
【化10】

【0091】
[式中、変数mおよびR2は次の意味を有する]の化合物である。これらの化合物の例は、[R2]mが表6のそれぞれの行に与えられた意味を有する化合物である(化合物I-F.1〜I-F.72)。
【表6】



【0092】
7. 式I-G
式Iの化合物の中でも、好ましいのはn=1、R1=H3C-COおよびXはSである次の式I-G:
【化11】

【0093】
[式中、変数mおよびR2は次の意味を有する]の化合物である。これらの化合物の例は、[R2]mが表7のそれぞれの行に与えられた意味を有する化合物である(化合物I-G.1〜I-G.72)。
【表7】



【0094】
8. 式I-H
式Iの化合物の中でも、好ましいのは、n=1、R1=H3CおよびXはSである次の式I-H:
【化12】

【0095】
[式中、変数mおよびR2は次の意味を有する]の化合物である。これらの化合物の例は、[R2]mが表8のそれぞれの行に与えられた意味を有する化合物である(化合物I-H.1〜I-H.72)。
【表8】



【0096】
9. 式I-I
式Iの化合物の中でも、好ましいのはn=1、R1=CNおよびXはSである次の式I-I:
【化13】

【0097】
[式中、変数mおよびR2は次の意味を有する]の化合物である。これらの化合物の例は、[R2]mが表9のそれぞれの行に与えられた意味を有する化合物である(化合物I-I.1〜I-I.72)。
【表9】



【0098】
10. 式I-J
式Iの化合物の中でも、好ましいのはn=2、R1=H3C-COおよびXはSである次の式I-J:
【化14】

【0099】
[式中、変数mおよびR2は次の意味を有する]の化合物である。これらの化合物の例は、[R2]mが表10のそれぞれの行に与えられた意味を有する化合物である(化合物I-J.1〜I-J.72)。
【表10】



【0100】
11. 式I-K
式Iの化合物の中でも、好ましいのはn=2、R1=H3CおよびXはSである次の式I-K:
【化15】

【0101】
[式中、変数mおよびR2は次の意味を有する]の化合物である。これらの化合物の例は、[R2]mが表11のそれぞれの行に与えられた意味を有する化合物である(化合物I-K.1〜I-K.72)。
【表11】



【0102】
12. 式 I-L
式Iの化合物の中でも、好ましいのはn=2、R1=CNおよびXはSである次の式I-L:
【化16】

【0103】
[式中、変数mおよびR2は次の意味を有する]の化合物である。これらの化合物の例は、[R2]mが表12のそれぞれの行に与えられた意味を有する化合物である(化合物I-L.1〜I-L.72)。
【表12】



【0104】
その優れた活性の故に、式Iの化合物を用いて動物害虫、特に選択された有害な昆虫類、クモダニ類および線虫類を抑制することができる。
【0105】
式Iの化合物およびそれらを含む殺虫剤組成物は、昆虫類、クモダニ類および線虫類から選択される動物害虫を抑制するための有効な薬剤である。式Iの化合物により抑制される動物害虫としては、例えば、次が挙げられる:
鱗翅類の昆虫類(鱗翅目;Lepidoptera):例えばAgrotis ypsilon(タマナヤガ)、Agrotis segetum(カブラヤガ)、Alabama argillacea、Anticarsia gemmatalis、Argyresthia conjugella(リンゴヒメシンクイ)、Autographa gamma(ガンマキンウワバ)、Bupalus piniarius、Cacoecia murinana、Capua reticulana、Cheimatobia brumata、Choristoneura fumiferana(トウヒシントメハマキ)、Choristoneura occidentalis、Cirphis unipuncta(アワヨトウ)、Cydia pomonella(コドリンガ)、Dendrolimus pini、Diaphania nitidalis、Diatraea grandiosella、Earias insulana(ミスジアオリンガ)、Elasmopalpus lignosellus、Eupoecilia ambiguella(ブドウホソハマキ)、Evetria bouliana、Feltia subterranea、Galleria mellonella(ハチノスツヅリガ)、Grapholitha funebrana、Grapholitha molesta(ナシヒメシンクイ)、Heliothis armigera(オオタバコガ)、Heliothis virescens(害虫オオタバコガ)、Heliothis zea、Hellula undalis(ハイマダラノメイガ)、Hibernia defoliaria、Hyphantria cunea(アメリカシロヒトリ)、Hyponomeuta malinellus、Keiferia lycopersicella、Lambdina fiscellaria、Laphygma exigua(シロイチモンジヨトウ)、Leucoptera coffeella、Leucoptera scitella、Lithocolletis blancardella、Lobesia botrana(ホソバヒメハマキ)、Loxostege sticticalis、Lymantria dispar(マイマイ
ガ)、Lymantria monacha(ノンネマイマイ)、Lyonetia clerkella(モモハモグリガ)、Malacosoma neustria(オビカレハ)、Mamestra brassicae(ヨトウガ)、Orgyia pseudotsugata、Ostrinia nubilalis(ヨーロッパアワノメイガ)、Panolis flammea(マツキリガ)、Pectinophora gossypiella(ワタアカミムシ)、Peridroma saucia(ニセタマナヤガ)、Phalera bucephala、Phthorimaea operculella(ジャガイモキバガ)、Phyllocnistis citrella(ミカンハモグリガ)、Pieris brassicae(オオモンシロチョウ)、Plathypena scabra、Plutella xylostella(コナガ)、Pseudoplusia includens、Rhyacionia frustrana、Scrobipalpula absoluta、Sitotroga cerealella(バクガ)、Sparganothis pilleriana(テングハマキ)、Spodoptera frugiperda、Spodoptera littoralis、Spodoptera litura(ハスモンヨトウ)、Thaumatopoea pityocampa、Tortrix viridana、Trichoplusia ni(イラクサギンウワバ)、およびZeiraphera canadensis;
甲虫類(鞘翅目;Coleoptera):例えば、Agrilus sinuatus(アカバナガタマムシ)、Agriotes lineatus、Agriotes obscurus、Amphimallus solstitialis、Anisandrus dispar、Anthonomus grandis(ワタミハナゾウムシ)、Anthonomus pomorum(ナシハナゾウムシ)、Atomaria linearis、Blastophagus piniperda、Blitophaga undata、Bruchus rufimanus(ソラマメゾウムシ)、Bruchus pisorum(エンドウゾウムシ)、Bruchus lentis、Byctiscus betulae(ドロハマキチョッキリ)、Cassida nebulosa(カメノコハムシ)、Cerotoma trifurcata、Ceuthorrhynchus assimilis、Ceuthorrhynchus napi、Chaetocnema tibialis、Conoderus vespertinus、Crioceris asparagi、Diabrotica longicornis、Diabrotica 12-punctata、Diabrotica virgifera、Epilachna varivestis(インゲンテントウ)、Epitrix hirtipennis、Eutinobothrus brasiliensis、Hylobius abietis(マツアナアキゾウムシ)、Hypera brunneipennis、Hypera postica(アルファルファタコゾウムシ)、Ips typographus(ヤツバキクイムシ)、Lema bilineata、Lema melanopus、Leptinotarsa decemlineata(コロラドハムシ)、Limonius californicus、Lissorhoptrus oryzophilus(イネミズゾウムシ)、Melanotus communis、Meligethes aeneus、Melolontha hippocastani、Melolontha melolontha(ヨーロッパコフキコガネ)、Oulema oryzae(イネクビボソハムシ)、Or
tiorrhynchus sulcatus、Otiorrhynchus ovatus、Phaedon cochleariae、Phyllotreta chrysocephala、Phyllophaga sp.、Phyllopertha horticola、Phyllotreta nemorum、Phyllotreta striolata(キスジノミハムシ)、Popillia japonica(マメコガネ)、Sitona lineatus、およびSitophilus granaria;
双翅類(双翅目;Diptera):例えば、Aedes aegypti(ネッタイシマカ)、Aedes vexans(ヤブカ)、Anastrepha ludens、Anopheles maculipennis、Ceratitis capitata(チチュウカイミバエ)、Chrysomya bezziana(ラセンウジバエ)、Chrysomya hominivorax、Chrysomya macellaria、Contarinia sorghicola(ソルガムタマバエ)、Cordylobia anthropophaga、Culex pipiens(アカイエカ)、Dacus cucurbitae(ウリミバエ)、Dacus oleae(オリーブミバエ)、Dasineura brassicae、Fannia canicularis(ヒメイエバエ)、Gasterophilus intestinalis(ウマバエ)、Glossina morsitans(ツェツェバエ)、Haematobia irritans(ノサシバエ)、Haplodiplosis equestris、Hylemyia platura、Hypoderma lineata、Liriomyza sativae(トマトハモグリバエ)、Liriomyza trifolii(マメハモグリバエ)、Lucilia caprina(ヒツジキンバエ)、Lucilia cuprina、Lucilia sericata(ヒロズキンバエ)、Lycoria pectoralis、Mayetiola destructor(ヘシアンバエ)、Musca domestica(イエバエ)、Muscina stabulans(オオイエバエ)、Oestrus ovis(ヒツジバエ)、Oscinella frit、Pegomya hysocyami、Phorbia antiqua、Phorbia brassicae、Phorbia coarctata、Rhagoletis cerasi、Rhagoletis pomonella、Tabanus bovinus、Tipula oleracea、およびTipula paludosa;
アザミウマ(総翅目;Thysanoptera)、例えば、Dichromothrips corbetti、Frankliniella fusca、Frankliniella occidentalis(ミカンキイロアザミウマ)、Frankliniella tritici、Scirtothrips citri、Thrips oryzae、Thrips palmi および Thrips tabaci(ネギアザミウマ);
膜翅類(膜翅目;Hymenoptera)、例えば、Athalia rosae、Atta cephalotes、Atta sexdens(チャイロハキリアリ)、Atta texana(ハキリアリ)、Hoplocampa minuta、Hoplocampa testudinea、Monomorium pharaonis(イエヒメアリ)、Solenopsis geminata(アカカミアリ)および Solenopsis invicta(アカミカミアリ);
異翅類(異翅目;Heteroptera)、例えば、Acrosternum hilare、Blissus leucopterus、Cyrtopeltis notatus、Dysdercus cingulatus(アカホシカメムシ)、Dysdercus intermedius、Eurygaster integriceps、Euschistus impictiventris、Leptoglossus phyllopus、Lygus lineolaris、Lygus pratensis(ミドリメクラカメムシ)、Nezara viridula(ミナミアオカメムシ)、Piesma quadrata、Solubea insularisおよびThyanta perditor;
同翅類(同翅目;Homoptera)、例えば、Acyrthosiphon onobrychis、Adelges laricis(カラマツカサアブラムシ)、Aphidula nasturtii、Aphis fabae(マメクロアブラムシ)、Aphis forbesi(イチゴネアブラムシ)、Aphis pomi(ナシアブラムシ)、Aphis gossypii(ワタアブラムシ)、Aphis grossulariae(ハエアブラムシ)、Aphis schneideri、Aphis spiraecola(ユキヤナギアブラムシ)、Aphis sambuci、Acyrthosiphon pisum(エンドウヒゲナガアブラムシ)、Aulacorthum solani(ジャガイモヒゲナガアブラムシ)、Bemisia argentifolii、Brachycaudus cardui、Brachycaudus helichrysi(ムギワラギクオマルアブラムシ)、Brachycaudus persicae(モモアブラムシ)、Brachycaudus prunicola(ウメアブラムシ)、Brevicoryne brassicae(ダイコンアブラムシ)、Capitophorus horni(ホップアブラムシ)、Cerosipha gossypii、Chaetosiphon fragaefolii、Cryptomyzus ribis、Dreyfusia nordmannianae、Dreyfusia piceae、Dysaphis radicola、Dysaulacorthum pseudosolani、Dysaphis plantaginea、Dysaphis pyri、Empoasca fabae(ジャガイモヒメヨコバイ)、Hyalopterus pruni(モモコナフキアブラムシ)、Hyperomyzus lactucae(チシャミドリアブラムシ)、Macrosiphum avenae(ムギヒゲナガアブラムシ)、Macrosiphum euphorbiae(チュウリップヒゲナガアブラムシ)、Macrosiphon rosae、Megoura viciae、Melanaphis pyrarius(ススキアブラムシ)、Metopolophium dirhodum(ムギウスイロアブラムシ)、Myzodes persicae、Myzus ascalonicus、Myzus cerasi、Myzus persicae(モモアカアブラムシ)、Myzus varians(カワリコブアブラムシ)、Nasonovia ribis-nigri(レタスアブラムシ)、Nilaparvata lugens(トビイロウンカ)、Pemphigus bursarius(レタス根アブラムシ)、Perkinsiella saccharicida(クロツノウンカ)、Phorodon humuli(ホップイボアブラムシ)、Psylla mali(リンゴキジラミ)、Psylla piri(ナシキジラミ)、Rhopalomyzus ascalonicus、Rhopalosiphum maidis(トウモロコシアブラムシ)、Rhopalosiphum padi(ムギクビレアブラムシ)、Rhopalosiphum insertum(リンゴクビレアブラムシ)、Sappaphis mala(ハナマルアブラムシ)、Sappaphis mali(リンゴマルアブラムシ)、Schizaphis graminum(ムギミドリアブラムシ)、Schizoneura lanuginosa、Sitobion avenae(オートムギアブラムシ)、Sogatella furcifera、Trialeurodes vaporariorum(オンシツコナジラミ)、Toxoptera aurantii(ダイダイクロアブラムシ)、および Viteus vitifolii(ブドウネアブラムシ);
シロアリ類(等翅目;Isoptera)、例えば、Calotermes flavicollis、Leucotermes flavipes、Reticulitermes flavipes、Reticulitermes lucifugus、およびTermes natalensis;
直翅類(直翅目;Orthoptera)、例えば、 Acheta domestica(ヨーロッパイエコオロギ)、Blatta orientalis、Blattella germanica、Forficula auricularia、Gryllotalpa gryllotalpa、Locusta migratoria(トノサマバッタ)、Melanoplus bivittatus、Melanoplus femur-rubrum、Melanoplus mexicanus、Melanoplus sanguinipes、Melanoplus spretus、Nomadacris septemfasciata(アカトビバッタ)、Periplaneta americana、Schistocerca americana(アメリカイナゴ)、Schistocerca peregrina、Stauronotus maroccanus および Tachycines asynamorus;
クモ形綱(ダニ目;Acarina)などのクモダニ類(例えば、ヒメダニ科(Argasidae)、マダニ科(Ixodidae)およびヒゼンダニ科(Sarcoptidae)の)、例えば、Amblyomma americanum、Amblyomma variegatum(マダニ)、Argas persicus、Boophilus annulatus、Boophilus decoloratus、Boophilus microplus(オウシマダニ)、Dermacentor silvarum、Hyalomma truncatum、Ixodes ricinus、Ixodes rubicundus、Ornithodorus moubata、Otobius megnini、Dermanyssus gallinae(ワクモ)、Psoroptes ovis(ヒツジキュウセンヒゼンダニ)、Rhipicephalus appendiculatus、Rhipicephalus evertsi、Sarcoptes scabiei(ヒゼンダニ)、およびEriophyidae種(フシダニ種のダニ)、例えば、Aculus schlechtendali(リンゴサビダニ)、Phyllocoptrata oleivora(オレンジサビダニ)およびEriophyes sheldoni(アオケシサビダニ);Tarsonemidae種(ホコリダニ種のダニ)、例えば、Phytonemus pallidus(シクラメンホコリダニ)およびPolyphagotarsonemus latus(チャノホコリダニ);Tenuipalpidae種(ヒメハダニ種のダニ)、例えば、Brevipalpus phoenicis(ミナミヒメハダニ);Tetranychidae種(ハダニ種のダニ)、例えば、Tetranychus cinnabarinus(ニセナミハダニ)、Tetranychus kanzawai(カンザワハダニ)、Tetranychus pacificus(オウトウハダニ)、Tetranychus telarius(ダイズハダニ);ならびにTetranychus urticae(ナミハダニ)、Panonychus ulmi(リンゴハダニ)、Panonychus citri(ミカンハダニ)、およびOligonychus pratensis(ドテシバハダニ)。
【0106】
隠翅目(ノミ目;Siphonaptera)、例えば、Xenopsylla cheopsis(ケオプスネズミノミ)、Ceratophyllus種(ナガノミ科の1種)。
【0107】
式Iの組成物および化合物は、線虫類、とりわけ、植物寄生線虫類、例えば、次のネコブ線虫類の抑制に有用である:Meloidogyne hapla(キタネコブセンチュウ)、Meloidogyne incognita(サツマイモネコブセンチュウ)、Meloidogyne javanica(ジャワネコブセンチュウ)、およびその他のネコブセンチュウ属;
シストを形成する線虫類、Globodera rostochiensis(ジャガイモシストセンチュウ)およびその他のGlobodera種;Heterodera avenae(ムギシストセンチュウ)、Heterodera glycines(ダイズシストセンチュウ)、Heterodera schachtii(テンサイシストセンチュウ)、Heterodera trifolii(クローバシストセンチュウ)、およびその他のHeterodera属;種子につく線虫類、Anguina種;茎や葉につく線虫類、Aphelenchoides種;有刺(sting)線虫類、Belonolaimus longicaudatus およびその他のBelonolaimus種;松線虫類、Bursaphelenchus xylophilus(マツノザイセンチュウ)およびその他のBursaphelenchus種;環状線虫類、Criconema種、Criconemella種、Criconemoides種、Mesocriconema種;茎および球根につく線虫類、Ditylenchus destructor(イモグサレセンチュウ)、Ditylenchus dipsaci(ナミクキセンチュウ)およびその他のDitylenchus種;錐状(awl)線虫類、Dolichodorus種;らせん状線虫類、Heliocotylenchus multicinctus および その他のHelicotylenchus種;鞘状線虫、Hemicycliophora種およびHemicriconemoides種;Hirshmanniella種;槍状線虫類、Hoploaimus種;ニセネコブ線虫類、Nacobbus種;針状線虫類、Longidorus elongatus およびその他のLongidorus種;ピン状線虫類、Paratylenchus種;病変線虫類、Pratylenchus neglectus、Pratylenchus penetrans(キタネグサレセンチュウ)、Pratylenchus curvitatus(ピンセンチュウ)、Pratylenchus goodeyiおよびその他のPratylenchus種; Burrowing 線虫、Radopholus similis(バナナネモグリセンチュウ)およびその他のRadopholus種;腎臓形(reniform)線虫類、Rotylenchus robustusおよびその他のRotylenchulus種; Scutellonema種;短根(stubby root)線虫類、Trichodorus primitivus およびその他のTrichodorus種、Paratrichodorus種;発育阻害(stunt)線虫類、Tylenchorhynchus claytoni(イシュクセンチュウ)、Tylenchorhynchus dubius およびその他のTylenchorhynchus種;柑橘線虫類、Tylenchulus種;ダガー線虫、Xiphinema種;およびその他の植物寄生線虫種。
【0108】
本発明のある好ましい実施形態においては、式Iの化合物は昆虫類またはクモダニ類、特に鱗翅目(Lepidoptera)、甲虫目(Coleoptera)および同翅目(Homoptera)の昆虫およびダニ目(Acarina)のクモダニ類を抑制するために用いられる。本発明による式Iの化合物は鱗翅目(Lepidoptera)および同翅目(Homoptera)の昆虫を抑制するために特に有用である。
【0109】
製剤
従って、本発明はさらにかかる動物害虫を駆除するための農学的組成物であって、少なくとも1つの式Iの化合物または少なくともIの農学的に有用な塩および少なくとも1つの不活性な液体および/または固体の農学的に許容される担体の殺虫作用を有する量および、所望であれば、少なくとも1つの界面活性剤を含有する前記組成物を提供する。
【0110】
かかる組成物は、本発明による、単一の式Iの活性化合物またはそのエナンチオマーまたは複数の活性化合物Iの混合物を含んでもよい。本発明による組成物は、個々の異性体または異性体の混合物ならびに個々の互変異性体または互変異性体の混合物を含んでもよい。
【0111】
本発明による方法に用いるために、化合物Iを慣用の製剤、例えば、溶液、乳剤、懸濁剤、微粉末、粉剤、ペースト、粒剤および直接散布可能な溶液に変換してもよい。使用剤形は、具体的な目標および施用方法に応じて決定される。製剤および施用方法は、それぞれの場合に、本発明による式Iの化合物の微細かつ均一な分布を確実にするように選ばれる。
【0112】
製剤は公知の方法で調製され(例えば、総括については、US 3,060,084、EP-A 707 445(液濃縮物について);Browning, 「凝集(Agglomeration)」, Chemical Engineering, Dec. 4, 1967, 147-48;Perry's Chemical Engineer's Handbook, 4th Ed., McGraw-Hill, New York, 1963, pages 8-57など;WO 91/13546、US 4,172,714、US 4,144,050、US 3,920,442、US 5,180,587、US 5,232,701、US 5,208,030、GB 2,095,558、US 3,299,566;Klingman, Weed Control as a Science, John Wiley and Sons, Inc., New York, 1961;Hanceら, Weed Control Handbook, 8th Ed., Blackwell Scientific Publications, Oxford, 1989;Mollet, H., Grubemann, A., Formulation technology, Wiley VCH Verlag GmbH, Weinheim (Germany), 2001;およびD. A. Knowles, Chemistry and Technology of Agrochemical Formulations, Kluwer Academic Publishers, Dordrecht, 1998 (ISBN 0-7514-0443-8)を参照されたい)、例えば、活性化合物を農芸化学品の製剤用に好適な助剤、例えば、溶媒および/または担体に、もし所望であれば、乳化剤、界面活性剤および分散剤、保存剤、消泡剤、凍結防止剤、また、種子処理製剤用には、任意に、着色剤および/または結合剤および/またはゲル化剤とともに伸展することにより調製される。
【0113】
好適である溶媒/担体は、例えば次の通りである:
-溶媒、例えば、水、芳香族溶媒(例えば、Solvesso製品、キシレンなど)、パラフィン(例えば石油留分)、アルコール(例えばメタノール、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例えばシクロヘキサノン、γブチロラクトン)、ピロリドン(N-メチル-ピロリドン(NMP)、N-オクチルピロリドン(NOP)、酢酸エステル(二酢酸グリコール)、乳酸アルキル、ラクトン、例えばg-ブチロラクトン、グリコール、脂肪酸ジメチルアミド、脂肪酸および脂肪酸エステル、トリグリセリド、植物または動物由来の油類および改変された油類、例えばアルキル化植物油。原則として、溶媒混合物も使用できる。
【0114】
-担体、例えば、粉砕した天然鉱物および粉砕した合成鉱物、例えばシリカゲル、微粉砕ケイ酸、ケイ酸塩、タルク、カオリン、アッタクレイ(attaclay)、石灰岩、生石灰、チョーク、ボーラス(bole)、黄土、粘度、苦灰石、珪藻土、硫酸カルシウムおよび硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、粉砕した合成材料、肥料、例えば、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素および植物由来の産物、例えば、穀類粉、樹皮粉、木粉および堅果殻粉、セルロース粉およびその他の固体担体。
【0115】
好適な乳化剤は非イオン性およびアニオン性乳化剤(例えば、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、アルキルスルホネート、およびアリールスルホネート)である。
【0116】
分散剤の例はリグニン-亜硫酸廃液やメチルセルロースである。
【0117】
好適な界面活性剤は、リグノスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、およびアンモニウム塩;アルキルアリールスルホネート、硫酸アルキル、アルキルスルホネート、脂肪アルコール硫酸エステル;脂肪酸;および硫酸化脂肪アルコールグリコールエーテル;さらに、スルホン化ナフタレンおよびナフタレン誘導体とホルムアルデヒドの縮合物、ナフタレンまたはナフタレンスルホン酸とフェノールおよびホルムアルデヒドとの縮合物;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、エトキシル化イソオクチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、アルキルフェニルポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、トリステアリルフェニルポリグリコールエーテル;アルキルアリールポリエーテルアルコール;アルコールおよび脂肪アルコール/エチレンオキシド縮合物;エトキシル化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、エトキシル化ポリオキシプロピレン、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセタール、ソルビトールエステルである。
【0118】
また、凍結防止剤、例えば、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコールおよび殺細菌剤なども製剤に加えてもよい。
【0119】
好適な消泡剤は、例えば、シリコーンまたはマグネシウムステアリン酸エステル系消泡剤である。
【0120】
好適な保存剤は、例えば、ジクロロフェンおよびベンジルアルコールヘミホルマールである。
【0121】
好適な増粘剤は、製剤に仮性プラスチック流動挙動を与える化合物、すなわち、静止時に高粘度、そして攪拌段階に低粘度を与える化合物である。これに関連するものとしては、例えば、多糖類、例えばキサンタンガム(登録商標)(Kelzan(登録商標)、Kelco社から)、Rhodopol(登録商標)23(Rhone Poulenc)またはVeegum(登録商標)(R.T. Vanderbilt社から)、または有機フィロケイ酸塩、例えばアッタクレイ(attaclay)(登録商標)(Engelhardt社から)に基づく市販増粘剤が挙げられる。本発明による分散剤用に好適な消泡剤は、例えば、シリコーン乳剤(例えば、Wacker社のSilikon(登録商標)SREまたはRhodia社のRhodorsil(登録商標)など)、長鎖アルコール、脂肪酸、有機フッ素化合物およびそれらの混合物である。殺生物剤を本発明による組成物に添加して、微生物による攻撃に対して安定化してもよい。好適な殺生物剤は、例えば、イソチアゾロン類、例えば、Avecia(またはArch)の登録商標Proxel MK、またはThor Chemie社のActicide(登録商標)RSおよびRohm & Haas社のKathon(登録商標)MKのもとで市販されている化合物に基づくものである。好適な凍結防止剤は有機ポリオール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはグリセロールである。これらは通常、活性化合物組成物の総重量に基づいて10重量%以下の量で使用される。適宜、本発明による活性化合物組成物は、pHを調節するために調製される製剤の総重量に基づいて1〜5重量%のバッファーを含んでもよく、使用するバッファーの量とタイプは活性化合物の化学的特性に依存する。バッファーの例は、無機または有機の弱酸、例えば、リン酸、ホウ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、フマル酸、酒石酸、蓚酸およびコハク酸のアルカリ金属塩である。
【0122】
直接散布可能な溶液、乳剤、ペースト、または油分散剤を調製するのに適している材料は:中〜高沸点の石油留分、例えば灯油およびディーゼル油、さらにはコールタール油ならびに植物または動物由来の油;脂肪族、環式および芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン、パラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレンまたはそれらの誘導体;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、イソホロン、強極性溶剤、例えばジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、および水である。
【0123】
粉剤、広域散布用製剤および散粉用製剤は、本活性物質と固形担体を混合または同時粉砕することにより調製することができる。
【0124】
粒剤、例えば被覆粒剤、含浸粒剤および均質粒剤は、本活性成分を固体担体と結合することにより調製できる。固体担体の例は、鉱物質土類、例えば、シリカゲル、ケイ酸塩、タルク、カオリン、アタクレー(attaclay)、石灰石、石灰、チョーク、膠灰粘土、黄土、粘土、ドロマイト、ケイ藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、粉砕した合成材料など、肥料、例えば、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素など、および植物由来の産物、例えば、穀粉、樹皮粉、木粉および堅果殻粉、セルロース粉末、ならびにその他の固体担体である。
【0125】
一般的に、製剤は0.01〜95重量%、好ましくは0.1〜90重量%の活性成分を含む。活性成分は、90%〜100%、好ましくは95%〜100%の純度(NMRスペクトルによる)で使用される。
【0126】
種子処理用にはそれぞれの製剤を2〜10倍に希釈して、即使用可能製剤の濃度の0.01〜60重量%、好ましくは0.1〜40重量%活性化合物に調節する。
【0127】
式Iの化合物はそのままその製剤の剤形で、またはそれから調製した使用剤形で、例えば、直接噴霧可能な溶液、粉剤、懸濁剤もしくは分散剤、乳剤、油分散剤、ペースト、散粉可能製品、散布用物質、または粒剤の剤形で、噴霧、アトマイズ、散粉、散布または灌注の方法により使うことができる。使用剤形は、全く、意図する目的に応じるものであり;いずれの場合にも、本発明による活性化合物のできるだけ微細な分布を確実にすることを意図する。
【0128】
水性使用剤形は、乳剤濃縮物、ペーストまたは水和性粉剤(噴霧可能な粉剤、油分散剤)から、水を加えることにより調製することができる。乳剤、ペーストまたは油分散剤を調製するためには、当該物質をそのまま、または油もしくは溶媒に溶解して、水中で湿潤剤、粘着付与剤、分散化剤または乳化剤を用いてホモジナイズしてもよい。あるいは、活性物質、湿潤剤、粘着付与剤、分散化剤または乳化剤および、適宜、溶媒または油から構成される濃縮物を調製してもよく、かかる濃縮物は水を用いて希釈するのに好適である。
【0129】
直ぐ使用できる製品の活性成分濃度は、比較的広い範囲で変えることができる。一般にそれらは、0.0001〜10重量%、好ましくは0.01〜1重量%である。
【0130】
活性成分はまた、超微量散布法(ULV)で首尾よく使用することもでき、95重量%を超える活性成分を含有する製剤を、または添加物の無い活性成分製剤ですら施用することができる。
【0131】
次は製剤の例である:
1 水希釈用の製品
種子処理の目的で、かかる製品を希釈してまたは無希釈で種子に施用してもよい。
【0132】
A) 水溶性濃縮物(SL、LS)
活性化合物の10重量部を水または水溶性溶媒の90重量部を用いて溶解する。代わりの方法として、湿潤剤または他の助剤を加える。活性化合物は水を用いて希釈すると溶解し、それにより、活性化合物の10%(w/w)の製剤を得る。
【0133】
B) 分散性濃縮物(DC)
活性化合物の20重量部をシクロヘキサノンの70重量部中に、分散化剤、例えばポリビニルピロリドンの10重量部を加えて溶解する。水を用いて希釈すると分散液を得て、それにより、活性化合物濃度20%(w/w)の製剤が得られる。
【0134】
C) 乳濁性濃縮物(EC)
活性化合物の15重量部をキシレンの7重量部中に、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムおよびエトキシル化ヒマシ油(それぞれ5重量部)を加えて溶解する。水を用いて希釈すると乳剤を得て、それにより、活性化合物15%(w/w)の製剤が得られる。
【0135】
D) 乳剤(EW、EO、ES)
活性化合物の25重量部をキシレンの35重量部中に、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムおよびエトキシル化ヒマシ油(それぞれ5重量部)を加えて溶解する。この混合物を、乳濁化装置(例えば、Ultraturrax)を用いて水の30重量部中に加え、そして均質な乳剤を作る。水を用いて希釈すると乳剤を得て、それにより、活性化合物25%(w/w)の製剤が得られる。
【0136】
E) 懸濁液(SC、OD、FS)
攪拌式ボールミル中で、活性化合物の20重量部を、分散化剤および湿潤剤の10重量部および水または有機溶媒の70重量部を加えて粉砕し、微細な活性化合物懸濁液を得る。水を用いて希釈すると活性化合物の安定な懸濁液を得て、それにより、活性化合物20%(w/w)の製剤が得られる。
【0137】
F) 水分散性粒剤および水溶性粒剤(WG、SG)
活性化合物の50重量部を、分散化剤および湿潤剤の50重量部を加えて微細に粉砕し、そして技術的装置(例えば、押出機、スプレー塔、流動床)を用いて水分散性または水溶性粒剤を作る。水を用いて希釈すると、活性化合物の安定な分散液または溶液が得られ、この場合、活性化合物50%(w/w)の製剤となる。
【0138】
G) 水分散性粉剤および水溶性粉剤(WP、SP、SS、WS)
活性化合物の75重量部を、分散化剤、湿潤剤およびシリカゲルの25重量部を加えてローター-ステーターミルで粉砕する。水を用いて希釈すると、活性化合物の安定な分散液または溶液が得られ、この場合、活性化合物75%(w/w)の製剤となる。
【0139】
H) ゲル製剤(GF)
攪拌式ボールミル中で、活性化合物の20重量部を、分散化剤および湿潤剤の10重量部、ゲル化剤湿潤剤の1重量部および水または有機溶媒の70重量部を加えて粉砕し、微細な活性化合物懸濁液を得る。水を用いて希釈すると活性化合物の安定な懸濁液を得られ、この場合、活性化合物20%(w/w)の製剤となる。
【0140】
2 無希釈で葉に施用する製品:種子処理の目的で、かかる製品を希釈してまたは無希釈で種子に施用してもよい。
【0141】
I) 散粉可能な粉剤(DP、DS)
活性化合物の5重量部を微細に粉砕して、微細に粉砕したカオリン95重量部と密接に混合する。これによって活性化合物の5%(w/w)を有する散粉可能な製品が得られる。
【0142】
J) 粒剤(GR、FG、GG、MG)
活性化合物の0.5重量部を、微細に粉砕して担体の99.5重量部と配合し、それにより、活性化合物0.5%(w/w)の製剤が得られる。現行の方法は押出、スプレー乾燥または流動床である。これによって無希釈で葉に施用する粒剤が得られる。
【0143】
K) ULV溶液(UL)
本発明による化合物の10重量部を、有機溶媒、例えばキシレンの90重量部に溶解する。これによって活性化合物の10%(w/w)の製品が得られ、これは無希釈で葉に施用される。
【0144】
さまざまなタイプの油、湿潤剤、アジュバント、除草剤、殺真菌剤、他の殺虫剤または殺細菌剤を、適宜、使用直前に、活性成分に添加することができる(タンク混合)。これらの薬剤は、本発明の薬剤に1:10〜10:1の重量比で加えられる。
【0145】
本発明の化合物Iの化合物および組成物はまた、他の活性成分、例えば他の農薬、殺虫剤、除草剤、肥料、例えば硝酸アンモニウム、尿素、カリおよび過リン酸塩など、植物毒性剤および植物成長調節剤、安全剤および殺線虫類剤とともに施用することができる。これらのさらなる成分は逐次的にまたは上記組成物と組み合わせて使用してもよく、適宜、使用直前に加えてもよい(タンク混合)。例えば、植物に、他の活性成分を用いて処理する前または後のいずれかに、本発明の組成物を散布してもよい。
【0146】
これらのさらなる活性剤は、本発明によって用いられる活性剤と1:10〜10:1の重量比で混合してもよい。化合物Iまたはそれを含む組成物を、殺虫剤としての使用剤形で他の殺虫剤と混合すると、作用の殺虫スペクトルをより広くすることが多い。
【0147】
本発明の化合物と併用することができてかつ潜在的相乗効果を有しうる殺虫剤を掲げた次の表Mは、可能な組み合わせを説明することを目的とし、何らかの限定を課すものでない:
M.1 有機(チオ)リン酸系:アセフェート、アザメチホス、アジンホス-メチル、クロルピリホス、クロルピリホス-メチル、クロルフェンビンホス、ダイアジノン、ジクロルボス、ジクロトホス、ジメトエート、ジスルホトン、エチオン、フェニトロチオン、フェンチオン、イソキサチオン、マラチオン、メタミドホス、メチダチオン、メチル-パラチオン、メビンホス、モノクロトホス、オキシデメトン-メチル、パラオクソン、パラチオン、フェントエート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ホレート、ホキシム、ピリミホス-メチル、プロフェノホス、プロチオホス、スルプロホス、テトラクロルビンホス、テルブホス、トリアゾホス、トリクロルホン;
M.2. カーバメート系:アラニカルブ、アルジカルブ、ベンジオカルブ、ベンフラカルブ、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、フェノキシカルブ、フラチオカルブ、メチオカルブ、メソミル、オキサミル、ピリミカーブ、プロポキスル、チオジカルブ、トリアザメート;
M.3. ピレスロイド系;アレトリン、ビフェントリン、シフルトリン、シハロトリン、シフェノトリン、シペルメトリン、α-シペルミトリン、β-シペルミトリン、ζ-シペルメトリン、デルタメトリン、エンペトリン、エスフェンバレレート、エトフェンプロックス、フェンプロパトリン、フェンバレレート、イミプロトリン、λ-シハロトリン、ペルメトリン、パレトリン、ピレトリンIおよびII、レスメトリン、シラフルオフェン、τ-フルバリネート、テフルトリン、テトラロメトリン、トラロメトリン、トランスフルトリン、プロフルトリン, ジメフルトリン;
M.4. 成長調節物質:a)キチン合成阻害剤:ベンゾイルウレア系:クロルフルアズロン、ジフルベンズロン、フルシクロクスロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、テフルベンズロン、トリフルムロン;ブプロフェジン、ジオフェノラン、ヘキシチアゾックス、エトキサゾール、クロフェンタジン;b)エクダイソンアンタゴニスト:ハロフェノジド、メトキシフェノジド、テブフェノジド、アザジラキチン;c)幼若ホルモン様物質:ピリプロキシフェン、メトプレン、フェノキシカルブ;d)脂質生合成阻害剤:スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマト;
M.5. ニコチン受容体アゴニスト/アンタゴニスト化合物:クロチアニジン、ジノテフラン、イミダクロプリド、チアメトキサム、ニテンピラム、アセトアミプリド、チアクロプリドおよびAKD-1022;
M.6. GABAアンタゴニスト化合物:アセトプロール、エンドスルファン、エチプロール、フィプロニル、バニリプロール、ピラフルプロール、ピリプロール、式Γ2
【化17】

【0148】
のフェニルピラゾール化合物;
M.7. 大環状ラクトン殺虫剤:アバメクチン、エマメクチン、ミルベメクチン、レピメクチン、スピノサド。
【0149】
M.8. METII化合物:フェナザキン、ピリダベン、テブフェンピラド、トルフェンピラド、フルフェネリム;
M.9. METI IIおよびIII化合物:アセキノシル、フルアシプリム、ヒドラメチルノン;
M.10. 脱共役化合物:クロルフェナピル;
M.11. 酸化性リン酸化阻害剤化合物:シヘキサチン、ジアフェンチウロン、フェンブタチンオキシド、プロパルギット;
M.12. 脱皮阻止化合物:クリオマジン;
M.13. 混合機能オキシダーゼ阻害剤化合物:ピペロニルブトキシド;
M.14. ナトリウムチャネルブロッカー化合物:インドキサカルブ、メタフルミゾン;
M.15. 様々な化合物:アミトラズ、ベンクロチアズ、ビフェナゼート、カルタップ、フロニカミド、ピリダリル、ピメトロジン、硫黄、チオシクラム、フルベンジアミド、シエノピラフェン、フルピラゾホス、シフルメトフェン、アミドフルメト、ピリフルキナゾン、式Γ4
【化18】

【0150】
のアミノキナゾリノン化合物、N-R'-2,2-ジハロ-1-R''シクロ-プロパンカルボキサミド-2-(2,6-ジクロロ-α,α,α-トリ-フルオロ-p-トリル)ヒドラゾンまたはN-R'-2,2-ジ(R''')プロピオンアミド-2-(2,6-ジクロロ-α,α,α-トリフルオロ-p-トリル)-ヒドラゾン[式中、R'はメチルまたはエチルであり、ハロはクロロまたはブロモであり、R''は水素またはメチルであり、そしてR'''はメチルまたはエチルである]、クロルアントラニリプロールのようなアントラニルアミド化合物または式Γ5
【化19】

【0151】
の化合物、およびJP 2002 284608、WO 02/89579、WO 02/90320、WO 02/90321、WO 04/06677、WO 04/20399、JP 2004 99597、WO 05/68423、WO 05/68432、またはWO 05/63694に記載のマロノニトリル化合物、とりわけマロノニトリル化合物CF3(CH2)2C(CN)2CH2(CF2)3CF2H、CF3(CH2)2C(CN)2CH2(CF2)5CF2H、CF3(CH2)2C(CN)2(CH2)2C(CF3)2F、CF3(CH2)2C(CN)2(CH2)2(CF2)3CF3、CF2H(CF2)3CH2C(CN)2CH2(CF2)3CF2H、CF3(CH2)2C(CN)2CH2(CF2)3CF3、CF3(CF2)2CH2C(CN)2CH2(CF2)3CF2H、およびCF3CF2CH2C(CN)2CH2(CF2)3CF2H。
【0152】
市販されるグループMの化合物は、色々な刊行物のなかでも、The Pesticide Manual, 13th Edition, British Crop Council (2003)に見出すことができる。式Γ2のチオアミドとその調製はWO 98/28279に記載されている。レピメクチンはAgro Project, PJB Publications Ltd, November 2004から公知である。ベンクロチアズとその調製はEP-A1 454621に記載されている。メチダチオンとパラオキソンおよびそれらの調製は、Farm Chemicals Handbook, Volume 88, Meister Publishing Company, 2001に記載されている。アセトプロールとその調製はWO 98/28277に記載されている。メタフルミゾンとその調製はEP-A1 462 456に記載されている。フルピラゾホスは、Pesticide Science 54, 1988, p.237-243におよびUS 4822779に記載されている。ピラフルプロールとその調製はJP 2002193709におよびWO 01/00614に記載されている。ピリプロールとその調製はWO 98/45274におよびUS 6335357に記載されている。アミドフルメトとその調製はUS 6221890におよびJP 21010907に記載されている。フルフェネリムとその調製はWO 03/007717におよびWO 03/007718に記載されている。シフルメトフェンとその調製はWO 04/080180に記載されている。式Γ4のアミノキナゾリノン化合物はEP A 109 7932に記載されている。
【0153】
式Γ5のアントラニルアミドとそれらの調製は、WO 01/70671;WO 02/48137;WO 03/24222、WO 03/15518、WO 04/67528;WO 04/33468;およびWO 05/118552に記載されている。マロノニトリル化合物CF3(CH2)2C(CN)2CH2(CF2)3CF2H、CF3(CH2)2C(CN)2CH2(CF2)5CF2H、CF3(CH2)2C(CN)2(CH2)2C(CF3)2F、CF3(CH2)2C(CN)2(CH2)2(CF2)3CF3、CF2H(CF2)3CH2C(CN)2CH2(CF2)3CF2H、CF3(CH2)2C(CN)2CH2(CF2)3CF3、CF3(CF2)2CH2C(CN)2CH2(CF2)3CF2H、およびCF3CF2CH2C(CN)2CH2(CF2)3CF2HはWO 05/63694に記載されている。
【0154】
殺真菌剤の混合パートナーは次からなるグループFより選択される。
【0155】
F.1 アシルアラニン、例えばベナラキシル、メタラキシル、オフレース、オキサジキシル;
F.2 アミン誘導体、例えばアルジモルフ、ドジン、ドデモルフ、フェンプロピモルフ、フェンプロピジン、グアザチン、イミノクタジン、スピロキサミン、トリデモルフ;
F.3 アニリノピリミジン、例えば、ピリメタニル、メパニピリムまたはシプロジニル;
F.4 抗生物質、例えば、シクロヘキシミド、グリセオフルビン、カスガマイシン、ナタマイシン、ポリオキシンまたはストレプトマイシン;
F.5 アゾール類、例えば、ビテルタノール、ブロモコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニトロコナゾール、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、ヘキサコナゾール、イマザリル、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロクロラズ、プロチオコナゾール、テブコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリフルミゾール、トリチコナゾール、フルトリアホール;
F.6 ジカルボキシミド、例えば、イプロジオン、ミクロゾリン、プロシミドン、ビンクロゾリン;
F.7 ジチオカーバメート、例えば、フェルバム、ナバム、マンネブ、マンコゼブ、メタム、メチラム、プロピネブ、ポリカーバメート、チラム、ジラム、ジネブ;
F.8 ヘテロ環化合物、例えば、アニラジン、ベノミル、ボスカリド、カルベンダジム、カルボキシン、オキシカルボキシン、シアゾファミド、ダゾメット、ジチアノン、ファモキサドン、フェンアミドン、フェナリモル、フベリダゾール、フルトラニル、フラメトピル、イソプロチオラン、メプロニル、ヌアリモール、プロベナゾール、プロキナジド、ピリフェノックス、ピロキロン、キノキシフェン、シルチオファム、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファネート-メチル、チアジニル、トリシクラゾール、トリホリン;
F.9 銅殺真菌剤、例えば、ボルドー混合液、酢酸銅、オキシ塩化銅、塩基性硫酸銅;
F.10 ニトロフェニル誘導体、例えば、ビナパクリル、ジノカップ、ジノブトン、ニトロフタルイソプロピル;
F.11 フェニルピロール、例えば、フェンピクロニルまたはフルジオキソニル;
F.12 ストロビルリン、例えば、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシム-メチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビンまたはトリフロキシストロビン;
F.13 スルフェン酸誘導体、例えば、カプタホル、カプタン、ジクロフルアニド、ホルペット、トリルフルアニド;
F.14 シンナミドおよび類似体、例えば、ジメトモルフ、フルメトベルまたはフルモルフ;
F.15 硫黄、およびその他の殺真菌剤、例えば、アシベンゾラル-S-メチル、ベンチアバリカルブ、カルプロパミド、クロロタロニル、シフルフェナミド、シモキサニル、ダゾメット、ジクロメジン、ジクロシメット、ジエトフェンカルブ、エジフェンホス、エタボキサム、フェンヘキサミド、酢酸フェンチン、フェノキサニル、フェリムゾン、フルアジナム、ホセチル、ホセチルアルミニウム、イプロバリカルブ、ヘキサクロロベンゼン、メトラフェノン、ペンシクロン、プロパモカルブ、フタリド、トロクロホス-メチル、キントゼン、ゾキサミド.
施用
動物害虫、すなわち、昆虫類、クモダニ類および線虫類、植物、植物が生長する土壌または水に、本発明の化合物Iまたはそれを含有する組成物を当技術分野で公知の方法により接触させることができる。その場合、「接触させる」には、直接接触(本化合物/組成物を動物害虫または植物に;典型的には植物の葉、茎または根に直接施用する)および間接接触(本化合物/組成物を動物害虫または植物の対象場所に施用する)の両方が含まれる。
【0156】
植物/作物に式Iの化合物の殺菌剤として有効な量を接触させることにより、式Iの化合物またはそれを含む殺虫性組成物を用いて、生育中の植物および作物を動物害虫、とりわけ昆虫、クモ類またはダニ類による攻撃または侵襲から保護することができる。用語「作物」は生育中のおよび収穫した作物の両方を意味する。
【0157】
さらに動物害虫は、標的害虫、その食糧、生息場所、繁殖場所、またはその対象場所に、殺虫剤として有効な量の式Iの化合物を接触させることにより抑制することができる。そのような場合、施用は、対象場所、生育中の作物、または収穫した作物の害虫による感染の前または後に行うことができる。
【0158】
本発明の化合物はまた、予防として、害虫の存在が予想される場所に施用してもよい。
【0159】
式Iの化合物はまた、植物に式Iの化合物の殺虫剤として有効な量を接触させることにより、生育中の植物を害虫による攻撃または侵襲から保護するために用いることができる。その場合、「接触させる」には、直接接触(化合物/組成物を動物害虫および/または植物;典型的には植物の葉、茎または根に直接施用する)および間接接触(化合物/組成物を害虫および/または植物の対象場所に施用する)の両方が含まれる。
【0160】
「対象場所(locus)」は、害虫もしくは寄生虫が成長しているもしくは成長しうる生息場所、繁殖場所、植物、種子、土壌、地域、材料、または環境を意味する。
【0161】
一般に、「殺虫剤として有効な量」は、生育に目にとまる効果を達成するために必要とされる活性成分の量を意味し、その効果には、標的生物の壊死、死、遅延、予防、および除去、駆除、またはその他に存在および活動を低減させる効果が含まれる。殺虫剤として有効な量は、本発明で使用されるさまざまな化合物/組成物によって変動しうる。組成物の殺虫剤として有効な量はまた、所望の殺虫効果および持続期間、天候、標的種、場所、適用方法などといった一般条件に応じても変化しうる。
【0162】
式Iの化合物は、接触(土壌、ガラス、壁、蚊帳、カーペット、植物部分または動物部分)および摂取(餌、または植物部分)の両方を介して有効である。
【0163】
アリ、シロアリ、スズメバチ、ハエ、カ、コオロギ、またはゴキブリに対して使用する場合、式Iの化合物は餌組成物に入れて使用することが好ましい。
【0164】
餌は、液体、固体もしくは半固体製品(例えばゲル)であってもよい。固体の餌は、それぞれの用途に好適なさまざまな形状および形態、例えば、顆粒、ブロック、棒状、円盤状に成型することができる。液体の餌は、適正な使用を保証するために、さまざまな装置、例えば、オープン容器、スプレー用具、液滴発生源、もしくは蒸発源に詰めることができる。ゲルは、水性もしくは油性基剤をベースにして、粘性、保湿、または経時特性に関する具体的な必要性にあわせて調製することができる。
【0165】
組成物において使用される餌は、アリ、シロアリ、スズメバチ、ハエ、カ、コオロギなどの昆虫またはゴキブリがそれを食べるように駆り立てるに足る誘引力のある製品である。この誘引力は、摂食刺激物質、または性フェロモンを用いて操作することができる。適当な摂食刺激物質は、例えば、これだけではないが、動物および/または植物タンパク質(肉粉、魚粉、血粉、昆虫の一部、卵黄)から、動物および/または植物由来の油脂、または単糖、オリゴ糖、もしくは多糖、特にショ糖、乳糖、果糖、デキストロース、グルコース、デンプン、ペクチン、または糖蜜もしくは蜂蜜から選択される。果実、作物、植物、動物、昆虫の新鮮なもしくは腐りかけた部分、またはそれらの特定の部分も、摂食刺激物質としての機能を果たしうる。性フェロモンは、より昆虫特異的であることが知られている。具体的なフェロモンは文献に記載され、当業者に公知である。
【0166】
エアロゾル(例えば、スプレー缶中の)、オイルスプレー、もしくはポンプスプレーのような式Iの化合物の製剤は、専門家でない利用者にとって、ハエ、ノミ、ダニ、カ、もしくはゴキブリなどの害虫を抑制するために非常に適している。エアロゾル処方は、好ましくは、活性化合物、溶媒、例えば、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、沸点が約50℃〜250℃のパラフィン炭化水素(例えば、灯油)、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、芳香族炭化水素(例えばトルエン、キシレン)、水、さらに助剤、例えば乳化剤、例えば、ソルビトールモノオレイン酸エステル、3〜7molのエチレンオキシドを有するエトキシル化オレイルアルコール、エトキシル化脂肪アルコール、香油(例えば、エーテル油)、中級脂肪酸と低級アルコールのエステル、芳香族カルボニル化合物、適当な場合には、安定化剤、例えば安息香酸ナトリウム、両性界面活性剤、低級エポキシド、オルトギ酸トリエチル、ならびに、必要ならば、噴射剤、例えば、プロパン、ブタン、窒素、圧縮空気、ジメチルエーテル、二酸化炭素、亜酸化窒素、もしくはこれらのガスの混合物から構成される。
【0167】
オイルスプレー製剤は、噴射剤を使用しないという点でエアロゾル製剤と異なる。
【0168】
式Iの化合物およびそのそれぞれの組成物は、蚊取線香および薫蒸線香、煙カートリッジ、気化器プレート、長期気化器、防虫紙、防虫パッドまたはその他の加熱によらない気化システムにも使用することができる。
【0169】
昆虫により伝染する感染症(たとえば、マラリア、デング熱、黄熱病、リンパ管フィラリア症、およびリーシュマニア症)を、式Iの化合物およびそのそれぞれの組成物を用いて抑制する方法はまた、小屋および家屋の表面を処理する方法、ならびにカーテン、テント、衣料品、蚊帳、ツェツェバエトラップなどにエアースプレーおよび含浸させる方法も含む。繊維、織物、編物、不織布、網素材もしくはフォイル、および防水布用に施用する殺虫性組成物は、好ましくは、殺虫剤、場合により、噴射剤、および少なくとも1つの結合剤を含む混合物から構成される。好適な噴射剤は、例えば、N,N-ジエチル-メタ-トルアミド(DEET)、N,N-ジエチルフェニルアセトアミド(DEPA)、1-(3-シクロヘキサン-1-イル-カルボニル)-2-メチルピペリン、(2-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)酢酸ラクトン、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、インダロン、メチルネオデカンアミド(MNDA)、昆虫抑制に用いられないピレトロイド、例えば、{(+/-)-3-アリル-2-メチル-4-オキソシクロペンタ-2-(+)-エニル-(+)-trans-クリサンテマート(Esbiothrin)、リモネン、オイゲノール、(+)-ユーカマロール(1)、(-)-1-エピ-ユーカマロールのような植物エキス由来のもしくはと同一である噴射剤またはEucalyptus maculata(ユーカリ)、Vitex rotundifolia(ハマゴウ)、Cymbopogan martinii(イネ科植物)、Cymbopogan citratus(イネ科植物のレモングラス)、Cymopogan nartdus(イネ科植物のシトロネラ)などの植物由来の粗植物エキスである。好適な結合剤は、例えば、脂肪酸のビニルエステルのポリマーおよびコポリマー(例えば、酢酸ビニルおよびベルサチン酸ビニル)、アルコールのアクリル酸およびメタクリル酸エステル、例えば、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、およびメチルアクリレート、モノ-およびジ-エチレン系不飽和炭化水素、例えばスチレンおよび脂肪族ジエン、例えば、ブタジエンから選択される。
【0170】
カーテンおよび蚊帳の含浸は、一般的に、繊維材料を殺虫剤の乳濁液もしくは分散液に浸すかまたはそれらを蚊帳上にスプレーすることによって行われる。
【0171】
式Iの化合物およびその組成物は、樹木、板塀、枕木などの木材、および住宅、納屋、工場などの建物、さらにまた建築資材、家具、皮革、繊維、ビニール製品、電線およびケーブルなどをアリおよび/またはシロアリから保護するために、そして、アリおよびシロアリが(たとえば、害虫が家や公共施設に侵入したときに)作物や人に害を与えないように抑制するために使用することができる。式Iの化合物は、木材を防護するために周囲の土壌表面もしくは床下の土壌中に適用されるだけでなく、床下コンクリートの表面、床柱、梁、合板、家具などの材木製品、パーチクルボード、ハーフボードなどといった木製品、ならびに被覆電線、ビニールシートといったビニール製品、発泡スチロールなどのような断熱材にも適用することができる。作物もしくは人に害を及ぼすアリに対して適用する場合、本発明のアリ抑制組成物は、作物または周辺の土壌に施用されるか、または直接、アリの巣などに施用される。
【0172】
土壌処理に、または害虫の住む場所もしくは巣に適用する場合、活性成分の量は、100m2当たり0.0001〜500g、好ましくは100m2当たり0.001〜20gの範囲である。
【0173】
資材の防護における通常の施用割合は、たとえば、処理材料1m2当たり活性化合物0.01g〜1000g、望ましくは1m2当たり0.1g〜50gである。
【0174】
資材の含浸に使用するための殺虫性組成物は、少なくとも1つの忌避剤および/または殺虫剤を、典型的には、0.001〜95重量%、好ましくは0.1〜45重量%、そしてさらに好ましくは1〜25重量%だけ含有する。
【0175】
餌組成物に使用するために、活性成分の典型的な含有量は、活性化合物が0.0001重量%〜15重量%、望ましくは0.001重量%〜5重量%である。
【0176】
噴霧組成物に使用するために、活性成分の含有量は、0.001〜80重量%、好ましくは0.01〜50重量%、さらに最も好ましくは0.01〜15重量%である。
【0177】
作物植物を処理する上での使用については、本発明の活性成分の施用率は1ヘクタール当たり0.1g〜4000gの範囲、望ましくは1ヘクタール当たり25g〜600g、さらに望ましくは1ヘクタール当たり50g〜500gでありうる。
【0178】
種子処理
式Iの化合物はまた、種子を昆虫害虫、特に土壌生息昆虫害虫から、および生じる植物の根および枝葉を土壌害虫および葉昆虫に対して保護する目的で種子を処理するのにも好適である。
【0179】
式Iの化合物は特に、種子を土壌害虫からおよび生じる植物の根および枝葉を土壌害虫および葉昆虫に対して保護するのに好適である。生じる植物の根および枝葉の保護が好ましい。さらに好ましいのは、生じる植物の枝葉の穿孔昆虫および吸液昆虫からの保護であり、その場合、アブラムシからの保護が最も好ましい。
【0180】
本発明は従って、種子を昆虫、特に土壌昆虫から、そして実生の根および枝葉を昆虫、特に土壌および葉昆虫から保護する方法であって、種子に播種前および/または芽出し蒔き(pregermination)後に一般式Iの化合物またはその塩を接触させるステップを含んでなる前記方法を包含する。特に好ましいのは、植物の根および枝葉を保護する方法、より好ましくは植物の使用を穿孔および吸液昆虫から保護する方法、そして最も好ましくは植物枝葉をアブラムシから保護する方法である。
【0181】
用語「種子」は、種子および全ての種類の植物ムカゴを包含し、それには、限定されるものでないが、真の種子、種子片、地下ほふく枝、球茎、球根、果実、塊茎、子実、切片、切断枝などが含まれ、そして好ましい一実施形態においては真の種子を意味する。
【0182】
用語「種子処理」は当技術分野で公知の全ての好適な種子処理技法、例えば、種子包帯、種子被覆、種子散粉、種子浸漬および種子ペレット化を含む。
【0183】
本発明はまた、活性化合物で被覆したまたは含有する種子も含む。
【0184】
用語「被覆したおよび/または含有する」は一般に、施用の時点において、活性成分の大部分が繁殖産物の表面上にあるが、当該成分の一部分は、施用の方法に応じて、多かれ少なかれ繁殖産物中に貫入しうることを意味する。前記繁殖産物は(再)植付けされると、その活性成分を吸収しうる。
【0185】
好適な種子は、禾穀類、根菜類、油作物類、野菜類、香辛料植物、鑑賞植物の種子、例えば、デュラムコムギおよびその他のコムギ、オオムギ、カラスムギ、ライムギ、トウモロコシ(飼料トウモロコシおよびサトウキビ/スイートおよびフィールドコーン)、ダイズ、油作物、アブラナ類、ワタ、ヒマワリ、バナナ、イネ、アブラナ、和種ナバナ、サトウダイコン、飼料サトウダイコン、ナス、ジャガイモ、イネ科植物、芝生、芝、飼料用牧草、トマト、リーキ、カボチャ/トウナス、キャベツ、アイスベルグレタス、コショウ、キュウリ、メロン、アブラナ属植物、メロン、インゲンマメ、ナシ、ニンニク、タマネギ、ニンジン、塊茎植物、例えば、ジャガイモ、サトウキビ、タバコ、ブドウ、ペチュニア、ゼラニウム/ペラルゴニウム、パンジーおよびインパチェンスの種子である。
【0186】
さらに、活性化合物はまた、遺伝子工学的方法を含む、育種により除草剤または殺真菌剤または殺虫剤の作用に耐性のある植物由来の種子を処理するのに用いることもできる。
【0187】
例えば、活性化合物は、スルホニルウレア、イミダゾリノン、グルホシネート-アンモニウムまたはグリフォセート-イソプロピルアンモニウムおよび類似の活性物質からなる群由来の除草剤に耐性がある植物または遺伝子組換え作物植物(例えば、EP-A-0242236、EP-A-242246、WO 92/00377、EP-A-0257993、米国特許第5,013,659号を参照)または、例えば、植物にある特定の害虫に対する耐性を与えるBacillus thuringiensis毒素(Bt毒素)を産生できるワタ(EP-A-0142924、EP-A-0193259)由来の種子を処理するのに用いることができる。
【0188】
さらに、活性化合物はまた、例えば、伝統的な育種方法および/または突然変異体の作製によりまたは組換え操作により作ることができて既存植物と比較して改変された特徴を有する植物由来の種子を処理するのに用いることもできる。例えば、いくつかの事例が、植物で合成されるデンプンを改変するための作物植物の組換え改変(例えば、WO 92/11376、WO 92/14827、WO 91/19806)または改変された脂肪酸組成物を有する遺伝子組換え作物植物(WO 91/13972)について記載されている。
【0189】
活性化合物の種子処理の施用は、植物の播種前および植物の発芽前に噴霧または散粉することにより行われる。
【0190】
種子処理用にとりわけ有用である組成物は、例えば、次が挙げられる:
A 可溶性濃縮物(SL、LS)
D 乳剤(EW、EO、ES)
E 懸濁液(SC、OD、FS)
F 水分散性粒剤および水溶性粒剤(WG、SG)
G 水分散性粉剤および水溶性粉剤(WP、SP、WS)
H ゲル-製剤(GF)
I 散粉可能な粉剤(DP、DS)
慣用の種子処理製剤としては、例えば、流動性濃縮物FS、溶液LS、乾処理用の粉剤DS、スラリー処理用の水分散性粉剤WS、水溶性粉剤SSおよび乳剤ESおよびECおよびゲル製剤GFが挙げられる。これらの製剤は、希釈してまたは無希釈のまま、種子に施用することができる。種子への施用は、播種前に直接種子に、または芽出し蒔き後に種子に行うことができる。
【0191】
ある好ましい実施形態においては、FS製剤を種子処理用に用いる。典型的には、FS製剤は、1〜800g/lの活性成分、1〜200g/lの界面活性剤、0〜200g/lの凍結防止剤、0〜400g/lの結合剤、0〜200g/lの顔料および1リットル以下の溶媒、好ましくは水を含む。
【0192】
式Iの化合物のとりわけ好ましい種子処理用のFS製剤は通常、0.1〜80重量%(1〜800g/l)の活性成分、0.1〜20重量%(1〜200g/l)の少なくとも1つの界面活性剤、例えば0.05〜5重量%の湿潤剤および0.5〜15重量%の分散剤、20重量%以下、例えば、5〜20%の凍結防止剤、0〜15重量%、例えば、1〜15重量%の顔料および/または染料、0〜40重量%、例えば、1〜40重量%の結合剤(粘着剤/接着剤)、任意に5重量%以下、例えば、0.1〜5重量%の増粘剤、任意に0.1〜2%の消泡剤、および任意に殺生物剤などの保存剤、酸化防止剤などを、例えば、0.01〜1重量%の量で、ならびに100重量%以下の充填剤/ビヒクルを含む。
【0193】
種子処理製剤はさらにまた、結合剤および任意に着色剤を含んでもよい。
【0194】
結合剤を加えて、活性材料の処理後の種子への接着を改善してもよい。好適な結合剤は、ブロックコポリマーEO/PO界面活性剤、またポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリエチレンアミン、ポリエチレンアミド、ポリエチレンイミン(Lupasol(登録商標)、Polymin(登録商標))、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、チローゼおよびこれらのポリマー由来のコポリマーである。
【0195】
任意に、着色剤を製剤に含ませてもよい。種子処理製剤用の好適な着色剤または染料は、ローダミンB、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ソルベントレッド1、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー80、ピグメントイェロー1、ピグメントイェロー13、ピグメントレッド112、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド53:1、ピグメントオレンジ43、ピグメントオレンジ34、ピグメントオレンジ5、ピグメントグリーン36、ピグメントグリーン7、ピグメントホワイト6、ピグメントブラウン25、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット49、アシッドレッド51、アシッドレッド52、アシッドレッド14、アシッドブルー9、アシッドイェロー23、ベーシックレッド10、ベーシックレッド108である。
【0196】
ゲル化剤の例はカラギナン(Satiagel(登録商標))である。
【0197】
種子処理において、化合物Iの施用率は一般的に種子100kg当たり0.1g〜10kg、好ましくは種子100kg当たり1g〜5kg、より好ましくは種子100kg当たり1g〜1000g、そして特に種子100kg当たり1g〜200gである。レタスなどの特定の作物について、施用率はさらに高くてもよい。
【0198】
それ故に本発明はまた、本明細書に定義された式Iの化合物、またはIの農学的に有用な塩を含有する種子にも関する。化合物Iまたはその農学的に有用な塩の量は、一般的に、種子100kg当たり0.1g〜10kg、好ましくは種子100kg当たり1g〜5kg、特に種子100kg当たり1g〜1000gで変化しうる。
【0199】
動物保健
式Iの化合物またはエナンチオマーまたはその獣医学的に許容される塩はまた、動物内および動物上の寄生虫を駆除するために用いるのに特に好適である。
【0200】
従って、本発明の目的はまた、動物内および動物上の寄生虫を抑制する新しい方法を提供することである。本発明の他の目的は、動物により安全な殺虫剤を提供することである。本発明の他の目的は、さらに、既存の殺虫剤より少ない用量を用いることができる動物に対する殺虫剤を提供することである。そして本発明の他の目的は、寄生虫の長期にわたる抑制を提供する動物用殺虫剤を提供することである。
【0201】
本発明はまた、式Iの化合物またはエナンチオマーまたは獣医学的に許容されるその塩の殺寄生虫剤として有効な量および許容される担体を含有する、動物内および動物上の寄生虫を駆除するための組成物に関する。
【0202】
本発明はまた、寄生虫による侵襲および感染に対して動物を処理し、抑制し、予防しかつ保護する方法であって、式Iの化合物またはエナンチオマーまたは獣医学的に許容されるその塩の殺寄生虫剤として有効な量またはそれを含有する組成物を、経口で、局所にまたは非経口的に動物に対して投与または施用することを含んでなる前記方法を提供する。
【0203】
本発明はまた、寄生虫による侵襲および感染に対して動物を処理し、抑制し、予防しかつ保護する組成物を調製する方法であって、前記組成物が式Iの化合物またはエナンチオマーまたは獣医学的に許容されるその塩の殺寄生虫剤として有効な量を含有する前記方法を提供する。
【0204】
農業害虫に対する化合物の活性は、例えば、経口施用の場合の低用量、非催吐性用量、動物との代謝適合性、低毒性、および安全な取扱いを必要とする、動物内および動物上の内寄生および外寄生生物の抑制に対する適性を提案するものではない。
【0205】
驚いたことに、本発明者らは式Iの化合物が動物内および動物上の内寄生および外寄生生物を駆除するのに好適であることを見出した。
【0206】
式Iの化合物またはエナンチオマーまたは獣医学的に許容されるその塩およびそれらを含む組成物は、温血動物(ヒトを含む)および魚類を含む動物の侵襲および感染を抑制および予防するのに用いることが好ましい。これらは、例えば、哺乳動物、例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ(swine)、ラクダ、シカ、ウマ、ブタ(pig)、家禽、ウサギ、ヤギ、イヌおよびネコ、スイギュウ、ロバ、ダマジカおよびトナカイ、およびまた毛皮動物、例えば、ミンク、チンチラおよびアライグマ、鳥類、例えば、メンドリ、ガチョウ、シチメンチョウおよびカモならびに魚類、例えば、淡水魚および塩水魚、例えば、マス、コイおよびウナギにおける侵襲および感染を抑制および予防するのに好適である。
【0207】
式Iの化合物またはエナンチオマーまたは獣医学的に許容されるその塩およびそれらを含む組成物は、イヌ または ネコなどの愛玩動物の侵襲および感染を抑制および予防するのに用いることが好ましい。
【0208】
温血動物および魚類における侵襲には、限定されるものでないが、シラミ、サシシラミ(biting lice)、マダニ、ウマバエ幼虫(nasal bot)、ヒツジシラミバエ(ked)、サシバエ(biting fly)、コケバエ(muscoid fly)、ハエ、ハエウジ症ハエの幼生(myiasitic fly larvae)、ツツガムシ、ブヨ、カおよびノミが含まれる。
【0209】
式Iの化合物またはエナンチオマーまたは獣医学的に許容されるその塩およびそれを含む組成物は、外寄生および/または内寄生生物の全身および/または非全身の抑制に好適である。これらは発症の全てのまたはいくつかの段階に対して活性がある。
【0210】
式Iの化合物はとりわけ、外寄生生物を駆除するために有用である。
【0211】
式Iの化合物はとりわけ、次の目および種の寄生虫を駆除するのに、それぞれ有用である:
ノミ類(隠翅目):例えば、Ctenocephalidea felis(ネコノミ)、Ctenocephalides canis(イヌノミ)、Xenopsylla cheopsis(ケオプスネズミノミ)、Pulex irritans(ヒトノミ)、Tunga penetrans(スナノミ)、およびNosopsyllus fasciatus(ヨーロッパネズミノミ);
ゴキブリ類(網翅目-ゴキブリ目)(Blattaria - Blattodea)、例えば、Blattella germanica、Blattella asahinae、Periplaneta americana、Periplaneta japonica、Periplaneta brunnea、Periplaneta fuligginosa、Periplaneta australasiae、およびBlatta orientalis;
ハエ類、カ類(双翅目):例えば Aedes aegypti(ネッタイシマカ)、Aedes albopictus、Aedes vexans(ヤブカ)、Anastrepha ludens、Anopheles maculipennis、Anopheles crucians、Anopheles albimanus、Anopheles gambiae、Anopheles freeborni、Anopheles leucosphyrus、Anopheles minimus、Anopheles quadrimaculatus、Calliphora vicina、Chrysomya bezziana(ラセンウジバエ)、Chrysomya hominivorax、Chrysomya macellaria、Chrysops discalis、Chrysops silacea、Chrysops atlanticus、Cochliomyia hominivorax、Cordylobia anthropophaga、Culicoides furens、Culex pipiens(アカイエカ)、Culex nigripalpus、Culex quinquefasciatus、Culex tarsalis、Culiseta inornata、Culiseta melanura、Dermatobia hominis、Fannia canicularis(ヒメイエバエ)、Gasterophilus intestinalis(ウマバエ)、Glossina morsitans(ツェツェバエ)、Glossina palpalis、Glossina fuscipes、Glossina tachinoides、Haematobia irritans(ノサシバエ)、Haplodiplosis equestris、Hippelates種、Hypoderma lineata、Leptoconops torrens、Lucilia caprina(ヒツジキンバエ)、Lucilia cuprina、Lucilia sericata(ヒロズキンバエ)、Lycoria pectoralis、Mansonia種、Musca domestica、Muscina stabulans、Oestrus ovis、Phlebotomus argentipes、Psorophora columbiae、Psorophora discolor、Prosimulium mixtum、Sarcophaga haemorrhoidalis、Sarcophaga sp.、Simulium vittatum、Stomoxys calcitrans、Tabanus bovinus、Tabanus atratus、Tabanus lineola、Tabanus similis;
シラミ(Phthiraptera)、例えばPediculus humanus capitis(アタマシラミ)、Pediculus humanus corporis(コロモジラミ)、Pythirus pubis(ケジラミ)、Haematopinus eurysternus(ウシジラミ)、Haematopinus suis(ブタジラミ)、Linognathus vituli(ウシホソジラミ)、Bovicola bovis、Menopon gallinae、
Menacanthus stramineusおよびSolenopotes capillatus;
ダニおよび寄生ダニ(Parasitiformes):マダニ(マダニ目)科、例えば、Ixodes scapularis、Ixodes holocyclus、Ixodes pacificus、Rhiphicephalus sanguineus、Dermacentor andersoni、Dermacentor variabilis、Amblyomma americanum、Ambryomma maculatum、Ornithodorus hermsi、Ornithodorus turicata および parasitic mites (Mesostigmata)、例えば、Ornithonyssus bacotiおよびDermanyssus gallinae(ワクモ);
ケダニ亜目(Actinedida)およびコナダニ亜目(Acaridida)、例えば、Acarapis種、Cheyletiella種、Ornithocheyletia種、Myobia種、Psorergates種、Demodex種、Trombicula種、Listrophorus種、Acarus種、Tyrophagus種、Caloglyphus種、Hypodectes種、Pterolichus種、Psoroptes種、Chorioptes種、Otodectes種、Sarcoptes種、Notoedres種、Knemidocoptes種、Cytodites種、およびLaminosioptes種;
ムシ類(異翅亜目):Cimex lectularius(トコジラミ)、Cimex hemipterus(ネッタイトコジラミ)、Reduvius senilis(ケジロサシガメ)、Triatoma(サシガメ)種、Rhodnius種、Panstrongylus種およびArilus critatus;
シラミ目(Anoplurida)、例えば、Haematopinus種(ケモノジラミ)、Linognathus種(ケモノホソジラミ)、Pediculus種(ヒトジラミ)、Phtirus種(ケジラミ)、およびSolenopotes種;
ハジラミ目(Mallophagida)(マルツノハジラミ亜目(Amblycerina)およびホソツノハジラミ亜目(Ischnocerina))、例えば、Trimenopon種、Menopon種、Trinoton種、Bovicola種、Werneckiella種、Lepikentron種、Trichodectes種、およびFelicola種;
線虫類(Roundworms Nematoda):
鞭虫類(Wipeworms)および旋毛虫類(Trichosyringida)、例えば、(Trichinellidae)Trichinella種、(Trichuridae)Trichuris種、Capillaria種;
杆線虫類(Rhabditida)、例えば、Rhabditis種、Strongyloides種、Helicephalobus種;
円虫類(Strongylida)、例えば、Strongylus種、Ancylostoma種、Necator americanus、Bunostomum種(Hookworm)、Trichostrongylus種、Haemonchus contortus、Ostertagia種、Cooperia種、Nematodirus種、Dictyocaulus種、Cyathostoma種、Oesophagostomum種、Stephanurus dentatus、Ollulanus種、Chabertia種、Stephanurus dentatus、Syngamus trachea、Ancylostoma種、Uncinaria種、Globocephalus種、Necator種、Metastrongylus種、Muellerius capillaris、Protostrongylus種、Angiostrongylus種、Parelaphostrongylus種、Aleurostrongylus abstrusus、およびDioctophyma renale;
回虫類(Ascaridida)、例えば、Ascaris lumbricoides、Ascaris suum、Ascaridia galli、Parascaris equorum、Enterobius vermicularis(ギョウチュウ)、Toxocara canis、Toxascaris leonine、Skrjabinema種、およびOxyuris equi;
カマラヌス目(Camallanida)、例えば、Dracunculus medinensis (ギニア線虫);
旋尾線虫(Spirurida)、例えば、Thelazia種、Wuchereria種、Brugia種、Onchocerca種、Dirofilari種a、Dipetalonema種、Setaria種、Elaeophora種、Spirocerca lupi、およびHabronema種;
鉤頭虫類(Acanthocephala)、例えば、Acanthocephalus種、Macracanthorhynchus hirudinaceusおよびOncicola種;
プラナリア類(Planarians)(扁形動物門):
吸虫類(Trematoda)、例えば、Faciola種、Fascioloides magna、Paragonimus種、Dicrocoelium種、Fasciolopsis buski、Clonorchis sinensis、Schistosoma種、Trichobilharzia種、Alaria alata、Paragonimus種、およびNanocyetes種;
条虫類(Cercomeromorpha)、特にサナダムシ類(Cestoda)、例えば、Diphyllobothrium種、Tenia種、Echinococcus種、Dipylidium caninum、Multiceps種、Hymenolepis種、Mesocestoides種、Vampirolepis種、Moniezia種、Anoplocephala種、Sirometra種、Anoplocephala種、およびHymenolepis種。
【0212】
式Iの化合物およびそれらを含有する組成物は、特に双翅目(Diptera)、隠翅目(Siphonaptera)およびマダニ目(Ixodida)の害虫の抑制に有用である。
【0213】
さらに、式Iの化合物およびそれを含有する組成物の、カ類を駆除するための使用はとりわけ好ましい。
【0214】
式Iの化合物およびそれを含有する組成物の、ハエ類を駆除するための使用はさらに好ましい本発明の実施形態である。
【0215】
さらに、式Iの化合物およびそれを含有する組成物の、ノミ類を駆除するための使用はとりわけ好ましい。
【0216】
式Iの化合物およびそれを含有する組成物の、マダニ類を駆除するための使用はさらに好ましい本発明の実施形態である。
【0217】
式Iの化合物はまた、内部寄生虫(線虫類、鉤頭虫類およびプラナリア類)を駆除するためにとりわけ有用である。
【0218】
投与は、予防としておよび治療としての両方で行うことができる。
【0219】
活性化合物の投与は、直接または好適な製剤の剤形で、経口で、局所に/経皮的にまたは非経口で行われる。
【0220】
温血動物に対する経口投与については、式Iの化合物を、動物飼料、動物飼料プレミックス、動物飼料濃縮物、丸薬、溶液、ペースト、懸濁剤、浸漬剤、ゲル、錠剤、ボーラスおよびカプセルとして製剤することができる。さらに、式Iの化合物を飲料水に入れて動物に投与することができる。経口投与については、選択する剤形は動物に式Iの化合物を1日当たり0.01mg/kg〜100mg/kg動物体重、好ましくは1日当たり0.5mg/kg〜100mg/kg動物体重で与えなければならない。
【0221】
あるいは、式Iの化合物を、非経口的に、例えば、腔内、筋肉内、静脈内または皮下注射により動物に投与することができる。式Iの化合物を、皮下注射用に生理学的に許容される担体中に分散または溶解してもよい。あるいは、式Iの化合物を皮下投与用のインプラント中に製剤してもよい。さらに、式Iの化合物を経皮的に動物に投与してもよい。非経口投与については、選択した投与剤形を動物に式Iの化合物を1日当たり0.01mg/kg〜100mg/kg動物体重だけ与えなければならない。
【0222】
式Iの化合物はまた、局所的に動物に、浸漬物、ダスト剤、粉剤、襟巻き、吊下げメダル、スプレー、シャンプー、スポットオンおよびポアオン製剤の形態でかつ軟膏でまたは水中油型または油中水型乳濁剤で適用することもできる。局所施用については、浸漬剤およびスプレーは通常、0.5ppm〜5,000ppm、好ましくは1ppm〜3,000ppmの式Iの化合物を含有する。さらに、式Iの化合物を、動物、特にウシおよびヒツジなどの四足獣の耳タグとして製剤することができる。
【0223】
好適な製剤は次の通りである:
-溶液、例えば、経口溶液、希釈後に経口投与する濃縮物、皮膚にまたは体腔に用いる溶液、ポアオン製剤、ゲル;
-経口または皮膚投与用の乳濁液および懸濁液;半固体製剤;
-活性化合物を軟膏基剤にまたは水中油型または油中水型乳濁液基剤に含有させた製剤;
-固体製剤、例えば、粉剤、プレミックスまたは濃縮物、粒剤、ペレット、錠剤、ボーラス、カプセル;エーロゾルおよび吸入剤、ならびに活性化合物を含有する形状加工物。
【0224】
注入用に好適な組成物は、活性成分を好適な溶媒に溶解し、任意に、さらなる成分、例えば、酸、塩基、バッファー塩、保存剤、および可溶化剤を加えることにより調製される。その溶液を濾過しそして無菌で充填する。
【0225】
好適な溶媒は、生理学的に許容される溶媒、例えば、水、アルカノール、例えば、エタノール、ブタノール、ベンジルアルコール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、N-メチル-ピロリドン、2-ピロリドンおよびそれらの混合物である。
【0226】
活性化合物は、任意に、生理学的に許容されかつ注入に好適である植物油または合成油に溶解してもよい。
【0227】
好適な可溶化剤は、活性化合物の主溶媒への溶解を促進するかまたはその沈殿を防止する溶媒である。その例は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチル化ヒマシ油、およびポリオキシエチル化ソルビタンエステルである。
【0228】
好適な保存剤はベンジルアルコール、トリクロロブタノール、p-ヒドロキシ安息香酸エステル、およびn-ブタノールである。
【0229】
経口溶液は直接投与する。濃縮物は予め使用濃度に希釈した後に経口で投与する。経口溶液および濃縮物は当分野の技法に従って調製し、注入溶液について先に記載した無菌処理を必要としない。
【0230】
皮膚上で使用する溶液は、したたらせ、広げ、すり込み、ふりかけ、またはスプレーする。
【0231】
皮膚上で使用する溶液は、当分野の技法に従って調製し、注入溶液について先に記載した無菌処理を必要としない。
【0232】
さらなる好適な溶媒は、ポリプロピレングリコール、フェニルエタノール、フェノキシエタノール、エステル、例えば、酢酸エチルまたはブチル、安息香酸ベンジル、エーテル類、例えば、アルキレングリコールアルキルエーテル、例えばジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、芳香族炭化水素、植物および合成油、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド、トランスクロール、ソルケタール、炭酸プロピレン、およびそれらの混合物である。
【0233】
調製中に増粘剤を加えると有利でありうる。好適な増粘剤は、無機増粘剤、例えば、ベントナイト、コロイド状ケイ酸、モノステアリン酸アルミニウム、有機増粘剤、例えば、セルロース誘導体、ポリビニルアルコールおよびそれらのコポリマー、アクリレート類およびメタクリレート類である。
【0234】
ゲルは皮膚上に広げて施用するかまたは身体腔中に導入する。ゲルは、先に記載したように調製した溶液を、注入溶液の場合には、軟膏様の粘稠性を有する透明な材料を得るために十分な増粘剤を用いて処理することにより調製する。使用する増粘剤は先に記載の増粘剤である。
【0235】
ポアオン製剤は皮膚の限られた区域上の注ぐかまたはスプレーし、活性化合物は皮膚を貫入して全身に作用する。
【0236】
ポアオン製剤は、好適な皮膚に適合しうる溶媒または溶媒混合物に活性化合物を溶解、懸濁化または乳濁化することにより調製する。適宜、他の助剤、例えば、着色剤、生体吸収促進剤、酸化防止剤、光安定化剤、粘着剤を加える。
【0237】
好適な溶媒は、水、アルカノール、グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール、フェニルエタノール、フェノキシエタノール、エステル、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸ベンジル、エーテル類、例えば、アルキレングリコールアルキルエーテル類、例えばジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-ブチルエーテル、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、環状炭酸エステル、例えば、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、芳香族および/または脂肪族炭化水素、植物油または合成油、DMF、ジメチルアセトアミド、n-アルキルピロリドン類、例えばメチルピロリドン、n-ブチルピロリソンまたはn-オクチルピロリドン、N-メチルピロリドン、2-ピロリドン、2,2-ジメチル-4-オキシ-メチレン-1,3-ジオキソランおよびグリセロールホルマールである。
【0238】
好適な着色剤は、動物での使用が容認されかつ溶解または分散化することができる全ての着色剤である。
【0239】
好適な吸収促進剤は、例えば、DMSO、伸展油、例えば、ミリスチル酸イソプロピル、ペラルゴン酸ジプロピレングリコール、シリコーンオイルおよびそれらのポリエーテルとのコポリマー、脂肪酸エステル、トリグリセリド、脂肪アルコールである。
【0240】
好適な酸化防止剤は、亜硫酸塩またはメタ重亜硫酸塩類、例えば、メタ重亜硫酸カリウム、アスコルビン酸、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、トコフェロールである。
【0241】
好適な光安定化剤は、例えば、ノバンチソル酸である。
【0242】
好適な接着剤は、例えば、セルロース誘導体、デンプン誘導体、ポリアクリレート類、天然ポリマー、例えば、アルギン酸類、ゼラチンである。
【0243】
乳剤は経口で、経皮的にまたは注入液として投与することができる。
【0244】
乳剤は、油中水型かまたは水中油型である。
【0245】
これらは、活性化合物を疎水相にまたは親水相のいずれかに溶解しそしてこれを他の相の溶媒と、好適な乳化剤、および、適宜、他の助剤、例えば、着色剤、吸収促進剤、保存剤、酸化防止剤、光安定化剤、粘度上昇剤の助けをかりてホモジナイズすることにより調製する。
【0246】
好適な疎水相(油類)は、次の通りである:液状パラフィン、シリコーンオイル、天然植物油、例えば、ゴマ油、アーモンド油、ヒマシ油、合成トリグリセリド、例えば、カプリル酸/カプリン酸ジグリセリド、鎖長C8〜C12の植物脂肪酸または他の特定して選択された天然脂肪酸の混合物とのトリグリセリド、ヒドロキシル基も含有してもよい飽和または不飽和脂肪酸の部分的グリセリド混合物、C8〜C10脂肪酸のモノ-およびジグリセリド、脂肪酸エステル、例えばステアリン酸エチル、アジピン酸ジ-n-ブチリル、ラウリン酸ヘキシル、ペラルゴン酸ジプロピレングリコール、中鎖長の分枝鎖脂肪酸と鎖長C16〜C18の飽和脂肪アルコールとのエステル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鎖長C12〜C18の飽和脂肪アルコールのカプリル酸/カプリン酸エステル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、オレイン酸エチル、乳酸エチル、ワックス状脂肪酸エステル、例えば合成アヒル尾骨腺脂、フタル酸ジブチル、アジピン酸ジイソプロピル、および後者に関係するエステル混合物、脂肪アルコール、例えば、イソトリデシルアルコール、2-オクチルドデカノール、セチルステアリルアルコール、オレイルアルコール、および脂肪酸、例えば、オレイン酸およびそれらの混合物。
【0247】
好適な親水相は、水、アルコール、例えば、プロピレングリコール、グリセロール、ソルビトールおよびそれらの混合物である。
【0248】
好適な乳化剤は次の通りである:
非イオン界面活性剤、例えば、ポリエトキシル化ヒマシ油、ポリエトキシル化ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、グリセロールモノステアレート、ポリオキシエチルステアレート、アルキルフェノールポリグリコールエーテル;
両性電解質界面活性剤、例えばジ-ナトリウムN-ラウリル-p-イミノジプロピオネートまたはレシチン;
アニオン性界面活性剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪アルコールエーテル硫酸エステル、モノ/ジアルキルポリグリコールエーテルオルトリン酸エステルモノエタノールアミン塩;
カチオン活性界面活性剤、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド。
【0249】
好適なさらなる助剤は次の通りである:粘度を上昇しかつ乳剤を安定化する物質、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースおよびその他のセルロースおよびデンプン誘導体、ポリアクリレート、アルギン酸、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸のコポリマー、ポリエチレングリコール、ワックス、コロイド状ケイ酸または上記物質の混合物。
【0250】
懸濁液は経口でまたは局所に/経皮的に投与することができる。これらは活性化合物を懸濁剤中に、適宜、他の助剤、例えば、湿潤剤、着色剤、生物吸収促進剤、保存剤、酸化防止剤、光安定化剤を加えて懸濁させることにより調製する。
【0251】
液分散剤は全て均質な溶媒および溶媒混合物である。
【0252】
好適な湿潤剤(分散化剤)は上記の乳化剤である。
【0253】
他の助剤として挙げうるのは、先に記載した助剤である。
【0254】
半固体調製物は経口でまたは局所に/経皮的に投与することができる。これらが上記の懸濁液および乳剤と異なるのは、粘度がより高い点だけである。
【0255】
固体調製物の生産については、活性化合物を好適な賦形剤と、適宜、助剤を加えて混合し、そして所望の剤形に加工する。
【0256】
好適な賦形剤は全ての生理学的に許容される固体不活性物質である。使用されるのは無機および有機物質である。無機物質は、例えば、塩化ナトリウム、炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム、炭酸水素塩、酸化アルミニウム、酸化チタン、ケイ酸、陶土、沈降性またはコロイド状シリカ、またはリン酸塩である。有機物質は、例えば、糖、セルロース、食料品および供給物、例えば粉ミルク、動物飼料、穀粒および断片、デンプンである。
【0257】
好適な助剤は、上記の保存剤、酸化防止剤、および/または着色剤である。
【0258】
他の好適な助剤は、潤滑剤および滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ベントナイト、崩壊促進物質、例えば、デンプンまたは架橋ポリビニルピロリドン、結合剤、例えば、デンプン、ゼラチンまたは直鎖ポリビニルピロリドン、および乾性結合剤、例えば、微結晶セルロースである。
【0259】
一般的に、「殺寄生虫剤として有効な量」は、生育に目にとまる効果を達成するのに必要とされる活性成分の量を意味し、その効果には、標的生物の壊死、死、遅延、予防、および除去、駆除、または、その他に存在および活性を低減させる効果が含まれる。殺寄生虫剤として有効な量は、本発明に用いられる様々な化合物/組成物によって変動しうる。組成物の殺寄生虫剤として有効な量はまた、所望の殺寄生虫剤効果および持続期間、標的種、施用方法などといった一般条件に応じても変化しうる。
【0260】
本発明で使用できる組成物は一般的にほぼ0.001〜95%の式Iの化合物を含有しうる。
【0261】
一般的に、式Iの化合物を1日当たり0.5mg/kg〜100mg/kg、好ましくは1日当たり1mg/kg〜50mg/kgの総量で施用することが好都合である。
【0262】
直ぐ使用できる調製物は、寄生虫、好ましくは外部寄生虫に対して作用する化合物を10重量ppm〜80重量%、好ましくはで0.1〜65重量%、より好ましくはで1〜50重量%、最も好ましくはで5〜40重量%の濃度で含有する。
【0263】
使用前に希釈する調製物は外部寄生虫に対して作用する化合物を0.5〜90重量%、好ましくは1〜50重量%の濃度で含有する。
【0264】
さらに、調製物は内部寄生虫に対する式Iの化合物を、10ppm〜2重量%、好ましくは0.05〜0.9重量%、とりわけ特に好ましくは0.005〜0.25重量%の濃度で含有する。
【0265】
本発明のある好ましい実施形態において、式Iの化合物を含む組成物は経皮的に/局所に施用される。
【0266】
さらなる好ましい実施形態においては、局所施用は、化合物を含有する形状物、例えば、身体部分に固定するための襟巻き、吊下げメダル、耳タグ、バンド、および接着性ストリップおよびフォイルの形態で行われる。
【0267】
一般的に式Iの化合物は、処理する動物の体重当たり10mg/kg〜300mg/kg、好ましくは20mg/kg〜200mg/kg、最も好ましくは25mg/kg〜160mg/kgの総量を3週間のスケジュールで放出する固体製剤を施用することが好都合である。
【0268】
形状物の調製用には、熱可塑性プラスチックおよびフレキシブルプラスチックならびにエラストマーおよび熱可塑性エラストマーが使われる。好適なプラスチックおよびエラストマーは、式Iの化合物と十分に適合しうるポリビニル樹脂、ポリウレタン、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、セルロース、セルロース誘導体、ポリアミドおよびポリエステルである。プラスチックおよびエラストマーの詳しいリストならびに形状物の調製手順はWO 03/086075に記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0269】
以降、本発明をさらに詳しく、次の実施例により説明する。
【0270】
P. 調製実施例
実施例P.1:(4-クロロ-インダン-1-イル)-(4,5-ジヒドロチアゾール-2-イル)-アミン(表13、化合物例4)
4-クロロ-インダン-1-イルアミン(390mg)のジエチルエーテル(20ml)中の溶液に1-クロロ-2-イソチオシアナトエタン(283mg)を0℃にて加え、その溶液を2時間、同温度にて攪拌した。反応混合物を希水酸化ナトリウム溶液を用いてクエンチしそしてジエチルエーテルを用いて抽出した。残留物をシリカゲル上で精製して240mgの生成物を得た(41%)。
【0271】
実施例P.2:(7-クロロ-1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン-1-イル)-(4,5-ジヒドロ-チアゾール-2-イル)-アミン(表1、化合物例9)
ジエチルエーテル(5ml)中の7-クロロ-1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン-1-イルアミン(200mg)の溶液にジエチルエーテル(5ml)中の1-クロロ-2-イソチオシアナトエタン(134mg)を0℃にて加え、その溶液を4時間、同温度にて攪拌した。反応混合物を希水酸化ナトリウム溶液を用いてクエンチしそしてジエチルエーテルを用いて抽出した。残留物をシリカゲル上で精製して171mgの生成物を得た(52%)。
【0272】
C. 式Iの化合物の実施例:
【化20】

【0273】
【表13】

【0274】
B. 害虫に対する作用の実施例
式Iの化合物の害虫に対する作用を次の実験により実証した:
B.1 ワタアブラムシ(Aphis gossypii)
子葉期のワタ植物(品種デルタ・パイン(Delta Pine)」)を、ほぼ100匹の研究室飼育アブラムシを用いて、侵襲された葉部分を試験植物の最頂部に置くことにより侵襲させた。葉部分は24時間後に取除いた。無処置植物の子葉を試験化合物の濃度勾配溶液に浸漬した。5日後、処置植物上のアブラムシ死亡率を、対照植物上の死亡率と比較して決定した。
【0275】
この試験において、化合物例番号1〜6、9、12、13、15、21および24は300ppmにおいて無処置対照と比較して80%を超える死亡率を示した。
【0276】
B.2 モモアカアブラムシ(Myzus persicae)
第2双葉期のトウガラシ植物(品種「カリフォルニア・ワンダー(California Wonder)」)を、ほぼ40匹の研究室飼育アブラムシを用いて、侵襲された葉部分を試験植物の最頂部に置くことにより侵襲させた。葉部分は24時間後に取除いた。無処置植物の葉を試験化合物の濃度勾配溶液に浸漬した。5日後、処置植物上のアブラムシ死亡率を、対照植物上の死亡率と比較して決定した。
【0277】
この試験において、化合物例番号1〜6、9、10、12、13、15、20、21および24は300ppmにおいて無処置対照と比較して80%を超える死亡率を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
nは1または2であり;
mは1、2、3または4であり、ここで、mが1より大きいときに基R2は同じかまたは異なる意味を有してもよく;
XはO、S、NR3であり、
ここで、R3は水素、シアノ、ニトロ、ホルミル、C(=O)R3c、C1〜C6-アルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-アルキニル、C3〜C8-シクロアルキル、C1〜C6-アルコキシ、C2〜C6-アルキニルアミノ、ジ(C2〜C6-アルキニル)アミノ、(C1〜C6-アルコキシ)メチレン、C1〜C6-アルキルスルフィニル、C1〜C6-アルキルスルフェニルまたはC1〜C6-アルキルスルホニルから選択され、ここで、前記の基の脂肪族基中の炭素原子は、お互いに独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシル、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-アルコキシ、C2〜C6-アルケニルオキシ、C2〜C6-アルキニルオキシ、C1〜C6-ハロアルコキシおよびC1〜C6-アルキルチオ、またはC(O)NR3aR3b、(SO2)NR3aR3b、フェニル、フェニルオキシまたはベンジルからなる群より選択される1、2または3個の基のいずれの組合わせを保持してもよく、最後に記載した3つの基のそれぞれは無置換であっても、またはお互いに独立してハロゲン、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C1〜C6-アルキルチオ、C1〜C6-ハロアルキルチオ、C1〜C6-アルコキシおよびC1〜C6-ハロアルコキシからなる群より選択される1〜5個の基により置換されていてもよく;そしてここで、
R3aおよびR3bはそれぞれ独立して水素、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C2〜C6-アルケニル、またはC2〜C6-アルキニルであり、
R3cは水素、C1〜C6-アルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-アルキニル、C3〜C8-シクロアルキル、C1〜C6-アルキルチオ、C1〜C6-アルコキシ、(C1〜C6-アルキル)アミノ、ジ(C1〜C6-アルキル)アミノ、フェニルならびにO、SおよびNから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含有する単環または二環の5〜10員のヘテロ芳香族環であってもよいヘテロアリールから選択され;
R1は水素、シアノ、ニトロ、ホルミル、C(=O)R1c、C1〜C6-アルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-アルキニル、C3〜C8-シクロアルキル、C1〜C6-アルコキシ、(C1〜C6-アルコキシ)メチレン、C1〜C6-アルキルスルフィニル、C1〜C6-アルキルスルフェニルまたはC1〜C6-アルキルスルホニルから選択され、ここで、前記の基の脂肪族基中の炭素原子はお互いに独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシル、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-アルコキシ、C2〜C6-アルケニルオキシ、C2〜C6-アルキニルオキシ、C1〜C6-ハロアルコキシおよびC1〜C6-アルキルチオ、またはC(O)NR1aR1b、(SO2)NR1aR1b、フェニル、フェニルオキシまたはベンジルからなる群より選択される1、2または3個の基のいずれの組合わせを保持してもよく、最後に記載した3つの基のそれぞれは無置換であっても、またはお互いに独立してハロゲン、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C1〜C6-アルキルチオ、C1〜C6-ハロアルキルチオ、C1〜C6-アルコキシおよびC1〜C6-ハロアルコキシ基からなる群より選択される1〜5個の基により置換されていてもよく;そしてここで、
R1aおよびR1bはそれぞれ独立して水素、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C2〜C6-アルケニル、またはC2〜C6-アルキニルであり、
R1cは水素、C1〜C6-アルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-アルキニル、C3〜C8-シクロアルキル、C1〜C6-アルキルチオ、C1〜C6-アルコキシ、(C1〜C6-アルキル)アミノ、ジ(C1〜C6-アルキル)アミノ、フェニルならびにO、SおよびNから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含有する単環または二環の5〜10員のヘテロ芳香族環であってもよいヘテロアリールから選択され、
R2はハロゲン、OH、SH、NH2、SO3H、COOH、シアノ、アジド、ニトロ、ホルミル、CONH2、CSNH2、CH=N-OH、CH=N-O-(C1〜C6)-アルキル、C(=O)R2c、C(=S)R2c、C1〜C6-アルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-アルキニル、C3〜C8-シクロアルキル、C1〜C6-アルコキシ、C1〜C6-アルキルアミノ、ジ(C1〜C6-アルキル)アミノ、C1〜C8-アルキルチオ、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-アルケニルオキシ、C2〜C6-アルケニルアミノ、C2〜C6-アルケニルチオ、C2〜C6-アルキニル、C2〜C6-アルキニルオキシ、C2〜C6-アルキニルアミノ、C2〜C6-アルキニルチオ、C1〜C6-アルキルスルホニル、C1〜C6-アルキルスルホキシル、C2〜C6-アルケニルスルホニル、C2〜C6-アルキニルスルホニル、(C1〜C6-アルコキシ)カルボニル、(C2〜C6-アルケニルオキシ)カルボニル、(C2〜C6-アルキニルオキシ)-カルボニル、(C1〜C6-アルキル)カルボニルオキシ、(C2〜C6-アルケニル-)カルボニルオキシまたは(C2〜C6-アルキニル-)カルボニルオキシ、(C2〜C6-アルケニル)カルボニルアミノ{ここで、前記の基の脂肪族基中の炭素原子はお互いに独立して、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシル、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-アルコキシ、C2〜C6-アルケニルオキシ、C2〜C6-アルキニルオキシ、C1〜C6-ハロアルコキシおよびC1〜C6-アルキルチオからなる群より選択される1、2または3個の基のいずれの組合わせを保持してもよい};
C(O)NR2aR2b、(SO2)NR2aR2b
{式中、R2aおよびR2bはそれぞれ独立して水素、OH、NH2、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C2〜C6-アルケニルまたはC2〜C6-アルキニルから選択され、
R2cは水素、C1〜C6-アルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-アルキニル、C3〜C8-シクロアルキル、C1〜C6-アルコキシ、(C1〜C6-アルキル)アミノ、ジ(C1〜C6-アルキル)アミノ、ヒドラジノ、(C1〜C6-アルキル)ヒドラジノ、ジ(C1〜C6-アルキル)ヒドラジノ、フェニルならびにO、SおよびNから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含有する単環または二環の5〜10員のヘテロ芳香族環であってもよいヘテロアリールから選択される};
基Y-Arまたは基Y-Cy
{式中、Yは単結合、酸素、硫黄、窒素、C1〜C6-アルカンジイルまたはC1〜C6-アルカンジイルオキシであり;
Arはフェニル、ナフチルまたは環員として2個の酸素原子、2個の硫黄原子および3個の窒素原子から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含有する単環または二環の5〜10員のヘテロ芳香族環であり、Arは無置換であるかまたはハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシル、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C1〜C6-アルコキシ、C2〜C6-アルケニルオキシ、C2〜C6-アルキニルオキシ、C1〜C6-ハロアルコキシおよびC1〜C6-アルキルチオからなる群よりお互いに独立して選択される1〜5個の基のいずれの組合わせを保持してもよく;
Cyは無置換であるかまたはハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシル、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C1〜C6-アルコキシ、C2〜C6-アルケニルオキシ、C2〜C6-アルキニルオキシ、C1〜C6-ハロアルコキシおよびC1〜C6-アルキルチオからなる群よりお互いに独立して選択される1〜5個の基により置換されているC3〜C12-シクロアルキルである}
から選択され;そしてここで、
フェニル環の隣接炭素原子と結合している基R2は、前記炭素原子と一緒に環縮合したベンゼン環、環縮合した飽和もしくは部分的に不飽和の5、6、または7員の炭素環、または環員として2個の酸素原子、2個の硫黄原子および3個の窒素原子から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含有する環縮合した5、6、または7員のヘテロ環を形成してもよく、そして、ここで、環縮合した環は無置換であるかまたは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシル、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-アルコキシ、C2〜C6-アルケニルオキシ、C2〜C6-アルキニルオキシ、C1〜C6-ハロアルコキシおよびC1〜C6-アルキルチオからなる群よりお互いに独立して選択される1、2、3または4個の基を保持してもよい]
によって表され、ただし、式Iの化合物は2-(4-チオ-tert-ブチル-1-インダニルアミノ)-オキサゾリンでないことを条件とする、互変異性インダニル-もしくはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物またはそれらのエナンチオマーおよび/または農学的におよび/または獣医学的に許容される塩。
【請求項2】
R1が水素、シアノ、C(=O)R1c、C1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルキニル、C3-C8-シクロアルキル、C1-C6-アルコキシから選択され、ここで、R1cが水素、C1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルキニル、C3-C8-シクロアルキル、C1-C6-アルコキシ、(C1-C6-アルキル)アミノ、ジ(C1-C6-アルキル)アミノ、フェニルおよびO、SおよびNから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含有する単環または二環の5〜10員のヘテロ芳香族環であってもよいヘテロアリールから選択される、請求項1に記載の式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物。
【請求項3】
R1が水素である、請求項1に記載の式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物。
【請求項4】
R2がシアノ、アジド、ハロゲン、OH、SH、NH2、CONH2、SO3H、COOH、C(=O)R2c、C1〜C6-アルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-アルキニル、C3〜C8-シクロアルキル、C1〜C6-アルコキシ、(C1〜C6-アルキル)アミノ、ジ(C1〜C6-アルキル)アミノから選択され、ここで、前記の群の脂肪族基中の炭素原子はお互いに独立して、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-アルコキシ、C2〜C6-アルケニルオキシ、C2〜C6-アルキニルオキシおよびC1〜C6-ハロアルコキシからなる群より選択される1、2または3個の基のいずれの組合わせを保持してもよく、ここで、R2cは水素、C1〜C6-アルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-アルキニル、C3〜C8-シクロアルキル、C1〜C6-アルコキシ、(C1〜C6-アルキル)アミノ、ジ(C1〜C6-アルキル)アミノ、フェニルおよびO、SおよびNから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含有する単環または二環の5〜10員のヘテロ芳香族環であってもよいヘテロアリールから選択される、請求項1に記載の式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物。
【請求項5】
R2がハロゲン、C1〜C6-アルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-アルキニル、C1〜C6-アルコキシまたはC3〜C8-シクロアルキルから選択され、ここで、それらの基は無置換であっても、部分的にまたは全てハロゲン化されていてもよい、請求項1に記載の式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物。
【請求項6】
mが3でありかつR2が位置A、CおよびDにおいて置換された、請求項1に記載の式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物。
【請求項7】
mが2でありかつR2が位置AおよびCで置換された、請求項1に記載の式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物。
【請求項8】
mが2でありかつR2が位置CおよびDで置換された、請求項1に記載の式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物。
【請求項9】
mが1でありかつR2が位置Aで置換された、請求項1に記載の式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物。
【請求項10】
mが1でありかつR2が位置Cで置換された、請求項1に記載の式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物。
【請求項11】
nが1である、請求項1に記載の式Iのインダニル-アミノ-アゾリン化合物。
【請求項12】
nが2である、請求項1に記載の式Iのテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物。
【請求項13】
mが2または1である、請求項1に記載の式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物。
【請求項14】
XがSまたはOである、請求項1に記載の式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物。
【請求項15】
XがSである、請求項1に記載の式Iのインダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物。
【請求項16】
少なくとも1つの請求項1〜15のいずれか1項に記載の式Iのインダニル-もしくはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物またはエナンチオマーおよび/または少なくとも1つの農学的にまたは獣医学的に有用なそれらの塩、および少なくとも1つの不活性な液体および/または固体の農学的に許容される担体および、必要であれば、少なくとも1つの界面活性剤を含む、農学的または獣医学的組成物。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の式Iのインダニル-もしくはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物または農学的にまたは獣医学的に許容されるそれらの塩の、動物害虫を駆除するための使用。
【請求項18】
動物害虫を駆除する方法であって、動物害虫、その生息地、繁殖地、食糧、植物、種子、土壌、地域、材料または動物害虫が成長するまたは成長しうる環境、または動物攻撃または侵襲から保護すべき材料、植物、種子、土壌、表面または空間に、少なくとも1つの請求項1〜15のいずれか1項に記載の式Iのインダニル-もしくはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物またはエナンチオマーまたは少なくとも1つの農学的にまたは獣医学的に許容されるそれらの塩の殺虫剤として有効な量を接触させるステップを含んでなる前記方法。
【請求項19】
動物害虫による攻撃または侵襲から作物を保護する方法であって、作物に少なくとも1つの請求項1〜15のいずれか1項に記載の式Iのインダニル-もしくはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物またはエナンチオマーまたは少なくとも1つの農学的に許容されるそれらの塩の殺虫剤として有効な量を接触させるステップを含んでなる前記方法。
【請求項20】
動物害虫が昆虫類、クモダニ類または線虫類である、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
動物害虫が同翅目(Homoptera)、鱗翅目(Lepidoptera)もしくは鞘翅目(Coleoptera)のような昆虫類またはダニ目(Acarina)のクモダニ類である、請求項18または19に記載の方法。
【請求項22】
種子を土壌昆虫から、および実生の根および枝葉を昆虫から保護する方法であって、播種前および/または芽出し蒔き後に、請求項1〜15のいずれか1項に記載の式Iのインダニル-もしくはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物またはエナンチオマーおよび/または少なくとも1つの請求項1〜15のいずれか1項に記載の農学的に許容されるそれらの塩を、殺虫剤として有効な量で接触させるステップを含んでなる前記方法。
【請求項23】
インダニル-またはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物を、種子100kg当たり0.1g〜10kgの量で施用する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
生じる植物の根および枝葉を保護する、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
生じる植物の枝葉をアブラムシから保護する、請求項22または24に記載の方法。
【請求項26】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の式Iのインダニル-もしくはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物またはエナンチオマーおよび/または農学的に許容されるそれらの塩を、種子100kg当たり0.1g〜10kgの量で含む種子。
【請求項27】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の式Iのインダニル-もしくはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物またはエナンチオマーまたは獣医学的に許容されるそれらの塩の、動物体内および体外の寄生虫を駆除するための使用。
【請求項28】
寄生虫による侵襲または感染に対して動物を処理し、抑制し、予防しまたは保護する方法であって、経口的に、局所にまたは非経口的に、動物に請求項1〜15のいずれか1項に記載の式Iのインダニル-もしくはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物またはエナンチオマーまたは獣医学的に許容されるそれらの塩の殺寄生虫剤として有効な量を投与または施用することを含んでなる前記方法。
【請求項29】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の式Iのインダニル-もしくはテトラヒドロナフチル-アミノ-アゾリン化合物またはエナンチオマーまたは獣医学的に許容されるそれらの塩の殺寄生虫剤として有効な量を含有する、寄生虫による侵襲または感染に対して動物を処理し、抑制し、予防しまたは保護するための組成物を調製する方法。

【公表番号】特表2009−517363(P2009−517363A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541704(P2008−541704)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【国際出願番号】PCT/EP2006/068482
【国際公開番号】WO2007/060121
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】