動物用忌避シート及び動物用忌避シートの使用方法
【課題】動物の行動形態、性質等を利用して確実に動物を忌避できる動物用忌避シート及び動物用忌避シートの使用方法を提供すること。
【解決手段】動物用忌避剤を有効成分として内包するマイクロカプセルを、シート上に分散塗布してなる動物用忌避シートを動物が習性行動としてスクラッチする位置に相当する地面からの高さに存在するように配置し、動物が動物用忌避シートの表面をスクラッチすることで、マイクロカプセルに内包されている動物用忌避剤が放出されることによって達成される。
【解決手段】動物用忌避剤を有効成分として内包するマイクロカプセルを、シート上に分散塗布してなる動物用忌避シートを動物が習性行動としてスクラッチする位置に相当する地面からの高さに存在するように配置し、動物が動物用忌避シートの表面をスクラッチすることで、マイクロカプセルに内包されている動物用忌避剤が放出されることによって達成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物用忌避シート及び動物用忌避シートの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、森林伐採や土地開発等により、シカやイノシシ等の動物の居住領域が狭められている。特に秋や冬になると動物の居住領域内の餌が不足し、動物は、餌を求めて農地に出没して農作物を荒らし、農作物の被害が極めて深刻な問題となっている。
【0003】
また、動物が樹木の樹皮を食べてしまうことが問題となっている。樹皮を食べられた樹木はまたたくまに枯れてしまい、その被害は極めて深刻である。また、植樹した苗木の新芽部分が食べられる被害が問題となっている。苗木の新芽部分が食べられると苗木の成長が止まってしまうので植樹の意味がなくなってしまい、林業においても極めて深刻な問題となっている。
【0004】
このような問題を解決するために、網や柵で農地、樹木及び苗木全体を囲む方法が取られてきた。この方法は、小規模の農地や少数の樹木等が保護の対象であればそれほど問題にならないが、現実には、広大な農地や極めて多数本の樹木を保護の対象にしなければならない。その場合、持ち運ぶ際の重量が大きくなり少しずつしか持ち運べず、作業効率が極めて悪いという問題があった。また、この方法は費用や手問がかかり、風雪や動物により倒されたりして被害を抑制するには至らなかった。
【0005】
また、網や柵に電気を流し、網や柵に触れた動物を感電させて忌避させる方法も取られてきているが、動物によっては全身が体毛に覆われているので動物を感電させることができず、被害を抑制するには至らなかった。
【0006】
網や柵の代わりに動物の天敵の糞尿を撒くことで、動物が農地、樹木及び苗木に近づくことを防ぐ方法がとられてきた。この方法は、動物が、天敵の糞尿により天敵の存在を確認し即座に逃避し、天敵の糞尿が撒かれた範囲には近づかなくなるので一定の効果は確認されているが、天敵の糞尿は臭気を伴うため、糞尿を撒く作業が極めて苦痛であるという問題があった。また、風雨により効果の持続性が減少するという問題もあった。
【0007】
さらに、カプサイシンのような動物用忌避剤をマイクロカプセルに内包したものを噴霧することで動物が農地、樹木及び苗木に近づくことを防ぐ方法もとられてきた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−76502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、噴霧された動物用忌避剤が風により流され、動物を忌避したい箇所を的確に動物を忌避させることができないという問題があった。噴霧された動物用忌避剤は、雨で流される可能性があり、持続的な忌避効果は期待できないという問題があった。また、噴霧された動物用忌避剤が農地内の農作物に付着するおそれがあり、人体に害を及ぼす可能性もあった。
【0010】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、動物の習性行動、性質等を利用して確実に動物を忌避することができる動物用忌避シート及び動物用忌避シートの使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、農作物を荒らす動物はツノやハナ、キバ、ヒヅメ及び体の一部等で物を擦過する等の知見を見出し、本発明をするに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0012】
請求項1に記載の発明は、動物用忌避剤を有効成分として内包するマイクロカプセルを、シート上に分散塗布または含浸してなる動物用忌避シートであって、動物の習性行動による所定のスクラッチ力に応じて前記マイクロカプセルが破壊され、前記動物用忌避剤が放出される動物用忌避シートである。
【0013】
請求項2に記載の発明は、該動物用忌避シートの短辺または長辺の中央部付近と、前記中央部付近と対向する辺とにガイド部を備える請求項1に記載の動物用忌避シートである。
【0014】
請求項3に記載の発明は、該動物用忌避シートの短手方向の1/3から1/5に目印を備える請求項1に記載の動物用忌避シートである。
【0015】
請求項4に記載の発明は、前記所定のスクラッチ力は、4.9×106Pa以上の表面スクラッチ力である請求項1から3のいずれかに記載の動物用忌避シートである。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記マイクロカプセルには、さらに有色の塗料が内包されている請求項1から4のいずれかに記載の動物用忌避シートである。
【0017】
請求項6に記載の発明は、前記シート上の少なくとも2以上の領域に、2種類以上の前記動物用忌避剤がそれぞれ分散塗布または含浸されている請求項1から5のいずれかに記載の動物用忌避シートである。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6いずれかに記載の動物用忌避シートを保護すべき物の表面に配置し、前記動物用忌避シートの少なくとも一部が、該動物が習性行動としてスクラッチする位置に相当する地面からの高さに存在するように配置し、該動物が前記動物用忌避シートの表面をスクラッチされることで、前記動物用忌避剤を放出する、動物用忌避シートの使用方法である。
【0019】
請求項8に記載の発明は、前記保護すべき物が、動物が食する樹木であり、前記動物用忌避シートを該樹木に巻きつけて配置する請求項7に記載の動物用忌避シートの使用方法である。
【0020】
請求項9に記載の発明は、前記保護すべき物が、動物の進入を防止するための物理的な障壁内、農作物であり、前記動物用忌避シートを前記障壁に配置する請求項7に記載の動物用忌避シートの使用方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の動物用忌避シート及び動物用忌避シートの使用方法によれば、動物の習性行動、性質等を利用して確実に動物を忌避できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】動物用忌避シートの断面図である。
【図2】マイクロカプセルの断面図である。
【図3】動物用忌避シートの平面図である。
【図4】動物用忌避シートの裏面の平面図である。
【図5】動物用忌避シートの第一の変形例の断面図である。
【図6】動物用忌避シートの第二の変形例の断面図である。
【図7】動物用忌避シートの第三の変形例の断面図である。
【図8】動物用忌避シートの使用形態の一例を示す平面図である。
【図9】動物用忌避シートの使用形態の一例を示す平面図である。
【図10】動物用忌避シートの使用方法の第一実施形態の概略を示した図である。
【図11】動物用忌避シートの使用方法の第二実施形態の概略を示した図である。
【図12】動物用忌避シートの使用方法の第三実施形態の概略を示した図である。
【図13】動物用忌避シートの使用方法の第四実施形態の概略を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、動物を確実に忌避させるという課題を、動物を忌避させる動物用忌避剤を内包するマイクロカプセルをシート上に分散塗布し、動物の習性行動、性質等を利用して内包する動物用忌避剤が放出されるようにしたことによって解決した。
【0024】
以下、図面等を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の動物用忌避シートの断面図、図2は、マイクロカプセルの断面図、図3は、本発明の動物用忌避シートの平面図、図4は、本発明の動物用忌避シートの裏面の平面図、図5は本発明の動物用忌避シートの第一の変形例の断面図、図6は本発明の動物用忌避シートの第二の変形例の断面図、図7は、本発明の動物用忌避シートの第三の変形例の断面図、図8は、本発明の動物用忌避シートの使用形態の一例を示す平面図、図9は、本発明の動物用忌避シートの使用形態の一例を示す平面図、図10(A)〜(C)は、動物用忌避シートの使用方法の第一実施形態の概略を示した図、図11(A)〜(C)は、動物用忌避シートの使用方法の第二実施形態の概略を示した図、図12(A)〜(C)は、動物用忌避シートの使用方法の第三実施形態の概略を示した図、図13(A)〜(C)は、動物用忌避シートの使用方法の第四実施形態の概略を示した図である。1、1A及び1Bは動物用忌避シート、2はマイクロカプセル層、21はマイクロカプセル、211は膜材、212は芯材、3はシート、4は密着層、41は離型シート、5は目印、6はガイド部、7は切り取り線、8は動物、9は柵、10は樹木、11はシート周端部を表している。
【0025】
本発明の動物用忌避シート1は図1に示すように、シート3の表面上に動物用忌避剤を内包するマイクロカプセル21が分散塗布されたマイクロカプセル層2を設けた構成である。必要に応じて、シート3の裏面には、樹木等に隙間なく密着させることができる密着層4を設けた構成としてもよい。
【0026】
本発明に用いられるシート3としては、薄葉紙、晒クラフト紙、チタン紙、板紙、石膏ボード紙等の紙、ポリエチレンフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポリ塩化ビニルフイルム、ポリエチレンテレフタレートフイルム、ナイロンフイルム、生分解フィルム等のプラスチックフイルム等が使用可能である。
【0027】
動物用忌避シート1を樹木等凹凸がある箇所に確実に密着させる必要がある。このため、密着層4を設けて、樹木等凹凸がある箇所であっても動物用忌避シート1を確実に密着させることができる。本発明に用いられる密着層4としては、例えば、不織布、紙及び布等を使用することが好ましい。
【0028】
なお、動物用忌避シート1をパイプ等凹凸がない箇所に密着させる際、接着層を密着層4の代わりとして構成することも可能である。この場合、接着層は、例えば、公知の感圧で接着する粘着剤である天然ゴム系、ブチルゴム・ポリイソプレン・ポリイソブチレン・ポリクロロプレン・スチレン−ブタジエン共重合樹脂等の合成ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニール・エチレン−酢酸ビニール共重合体等の酢酸ビニール系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリロニトリル、炭化水素樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジン・ロジントリグリセリド・水素化ロジン等のロジン系樹脂等を不織布、フィルム、紙及び布等に塗布または含浸させたものを使用可能である。この場合、接着層の粘着面(動物用忌避シート1の裏面側)に離型シート41を設けるようにしてもよい。
【0029】
本発明の動物用忌避シート1は、シート3の表面上に動物用忌避剤を内包するマイクロカプセル21が分散塗布または含浸されたマイクロカプセル層2を設ける。マイクロカプセル層2は、動物用忌避剤を内包するマイクロカプセル21を含む印刷インキを用いて通常の印刷法、オフセット印刷法、活版印刷法、グラビア印刷法、シルク印刷法等により形成することができる。
【0030】
マイクロカプセル21は、図2に示すように、動物用忌避剤を含む芯材212と、動物用忌避剤を覆う膜材211とから構成されており、公知の製造方法で製造することができる。
【0031】
マイクロカプセル21に内包させる動物用忌避剤は、忌避したい動物によって適宜変更することができる。例えば、シカやイノシシ、ヒツジ等の動物を忌避したい場合、3−メルカプト−3−メチル−1−ブタノール、ゲットウ、カプサイシン、アンモニア等をマイクロカプセル21に内包させる。
【0032】
忌避したい動物に有効である動物用忌避剤が複数ある場合、芯材212に含ませる動物用忌避剤の有効成分が異なるマイクロカプセル21をそれぞれ混合して分散塗布または含浸することで、複数の動物用忌避剤を含む動物用忌避シート1としてもよい。また、複数の動物用忌避剤を芯材212内に含ませるようにしてもよい。
【0033】
マイクロカプセル21の膜材211としては、ゼラチン膜、ウレタンウレア膜、マシミン樹脂膜、尿素樹脂膜、ナイロン膜、ポリ尿素、エポキシ樹脂、尿素/ホルマリン樹脂、メラミン/ホルマリン樹脂等が使用でき、in−situ法、界面重合法、コアセルベーション法等の公知の製造方法により製造される。膜材211は、詳細は後述するスクラッチ力(圧力)により破壊されることで芯材212内の動物用忌避剤が外部に放出される。
【0034】
マイクロカプセル21の平均粒径は、動物用忌避シート1の使用目的等に応じて適宜変更することができるが、例えば、グラビア印刷法でマイクロカプセル21を分散塗布する場合、10μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。この場合、マイクロカプセル21の平均粒径が10μmを超えると印刷する際、版詰まりを起こす可能性がある。また、例えば、シルク印刷法でマイクロカプセル21を分散塗布する場合、平均粒径は100μm以下であることが好ましい。
【0035】
一般的に動物は、ツノ、ハナ、キバ、ヒヅメ及び体の一部等で障害物を退けたり、障害物の隙間を抉じ開けたりする習性がある。また、動物は、ツメやツノを研ぐために樹木の幹等を擦過する習性がある。本発明の動物用忌避シート1は、動物の上記習性行動、性質を利用するものであり、動物が本発明の動物用忌避シート1をツノやハナ等でスクラッチする(引っ掻く)ことで膜材211が破壊され、動物用忌避剤が放出される。これにより、動物がマイクロカプセル層2をスクラッチするまでは動物用忌避剤が外部へ放出されないので、時間が経過することによる動物用忌避剤の効果が薄れることを防止することができる。
【0036】
本発明の動物用忌避シート1は、単位面積当たり4.9×106Pa(500gf/mm2)以上の圧力(表面スクラッチ力)でスクラッチされることで膜材211が破壊されて動物用忌避剤が放出されるようにすることが好ましい。表面スクラッチ力が4.9×106Pa未満であると、動物のスクラッチ以外の衝撃で動物用忌避剤が放出してしまう場合がある。
【0037】
必要に応じて、芯材212に動物用忌避剤とともに有色の塗料を内包させてもよい。また、芯材212に動物用忌避剤のみを内包するマイクロカプセル21と、芯材212に有色の塗料のみを内包する別のマイクロカプセルとを混合して分散塗布させたマイクロカプセル層2を設けるようにしてもよい。動物が動物用忌避シート1をスクラッチした際、動物用忌避剤とともに有色の塗料も放出され、有色の塗料が動物用忌避シート1の表面上に付着する。これにより、動物用忌避シート1の表面上に付着した有色の塗料を見れば、動物用忌避シート1の使用された形跡を容易に判別することができる。また、有色の塗料の放出量を見極めることで動物用忌避シート1の取替え時期を容易に判別することができる。
【0038】
有色の塗料は、例えば、アゾレーキ顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料等の有機顔料類、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、二酸化チタン、カーボンブラック等の無機顔料類が挙げられる。
【0039】
また、例えば、シート3とマイクロカプセル層2との色を異なる色にすることで、動物によってスクラッチされた部分からシート3の色が見えるので、容易に動物用忌避シート1の使用された形跡及び動物用忌避シート1の取替え時期を判別することができる。
【0040】
さらに、例えば、シート3とマイクロカプセル層2との間に色層を設けることで、動物用忌避シート1の使用された形跡及び動物用忌避シート1の取替え時期を容易に判別することもできる。
【0041】
なお、本発明の動物用忌避シート1は、シート3の表面上に直接マイクロカプセル21を分散塗布させてもよい。
【0042】
図3に示すように、本発明の動物用忌避シート1には、短辺または長辺の中央部付近及びこの中央部付近と対向する辺にガイド部6がそれぞれ備えている。ガイド部6を備えることで動物用忌避シート1を樹木や柵等に配置させる際、動物用忌避シート1を地面に対して平行または垂直に配置することができ、樹木や柵等に隙間なく動物用忌避シート1を配置させることができる。
【0043】
また、マイクロカプセル内の動物用忌避剤の内容物を容易に理解できるように、動物用忌避シート1のシート周端部11の色を変えてもよい。例えば、マイクロカプセル内の動物用忌避剤がゲットウの場合、シート周端部11の色を緑色にし、マイクロカプセル内の動物用忌避剤がカプサイシンの場合、シート周端部11の色を赤色にしてもよい。なお、シート周端部11の色は複数の色を組み合わせてもよい。
【0044】
例えば、動物用忌避シート1を樹木や柵等に配置させる際、密着層4の中心部から接着させることで配置した後、動物用忌避シート1の外側に向かって接着させることで効率的に動物用忌避シート1を樹木や柵等に配置させることができる。このため、図4に示すように、動物用忌避シート1の裏面側の離型シート41に切り込み線7を設けて密着層4の中心部から配置させることができるようにしてもよい。
【0045】
図5に示すように、本発明の動物用忌避シート1は、密着層4の表面上にマイクロカプセル層2が設けられた構成とし、動物用忌避剤が内包されているマイクロカプセルがマイクロカプセル層21及び密着層4内に含浸させるようにしてもよい。このような構成とすることで、動物が動物用忌避シート1を破損するほどの力でスクラッチしても確実に動物用忌避剤を放出させることができる。また、図6に示すように、必要に応じてシート3を省略した構成としてもよい。
【0046】
さらに、図7に示すように、本発明の動物用忌避シート1は、密着層4にマイクロカプセル21を含浸させた構成としてもよい。この場合、必要に応じて密着層4の裏面に接着層を設けた構成としてもよい。
【0047】
本発明の動物用忌避シート1について、例えば、ゲットウを内包するマイクロカプセル21と、カプサイシンを内包するマイクロカプセル21とを含む動物用忌避シート1としてもよく、例えば、ゲットウとカプサイシンとの複数の動物用忌避剤をマイクロカプセル21内に設けるようにしてもよい。これにより、動物が動物用忌避シート1をスクラッチすることで複数の動物用忌避剤が放出されるので、より効果的に動物を忌避することができる。さらに、図9に示すように、動物用忌避剤の成分が異なる動物用忌避シート1、1A及び1Bを設けるようにしてもよい。
【0048】
また、図8に示すように、本発明の動物用忌避シート1を細長い帯状にしてもよい。詳細は後述するが、図8に示すような動物用忌避シート1を樹木等に巻きつけるように配置する場合、動物用忌避シート1と動物用忌避シート1との間に隙間が生じないように、動物用忌避シート1の一部が重なるように樹木等に巻きつける。この際、必要に応じて、動物用忌避シート1が重なる部分に目印5を設けて、目印5が重なるように動物用忌避シート1を巻きつけることで隙間なく動物用忌避シート1を配置することができる。
【0049】
目印5は、使用目的等に応じて適宜変更することができ、例えば、実線で表す方法、重なる部分に色をつける方法等が挙げられる。目印5は、使用目的等に応じて適宜変更することができるが、例えば、動物用忌避シート1の短手方向の1/3から1/5が動物用忌避シート1の一部と重なるように目印5を設けることが好ましい。
【0050】
以下、本発明の動物用忌避シート1の使用方法を説明する。例えば、図10及び図11に示すように、農作物のような保護すべき物が物理的な障壁である柵9内にあり、動物8の侵入を防止するための柵9の表面に動物用忌避シート1を巻きつけるようにして配置する。この際、ガイド部6を目安にして配置することで、動物用忌避シート1を水平または垂直に配置することができる。
【0051】
また、図12に示すように、動物8は、柵9の隙間をハナ等で抉じ開けて侵入しようとするので、ガイド部6を目安に動物用忌避シート1を柵9の隙間に配置してもよい。また、動物8が動物用忌避シート1を確実にスクラッチするように、動物用忌避シート1の少なくとも一部が動物8のハナの位置に相当する地面からの高さに存在するように配置する。
【0052】
動物用忌避シート1を配置した柵9に動物8が近づき(図10(A)、図11(A)または図12(A))、動物8は動物用忌避シート1をハナでスクラッチすることで、動物用忌避シート1中のマイクロカプセルに内包されている動物用忌避剤が放出する(図10(B)、図11(B)または図12(B))。放出された動物用忌避剤の臭いにより、動物8は柵9から離れていく(図10(C)、図11(C)または図12(C))。
【0053】
また、例えば、図13に示すように、動物8が擦過する可能性があり、動物8から保護する必要がある樹木6の表面に動物用忌避シート1を巻きつけるようにして配置する。その際、動物8が動物用忌避シート1を確実にスクラッチするように、動物用忌避シート1の少なくとも一部が動物8のツノの位置に相当する地面からの高さに存在するように配置する。また、動物用忌避シート1は、必要に応じて止め具12で固定して配置する。
【0054】
動物用忌避シート1を配置した樹木10に動物8が近づき(図13(A))、動物8は動物用忌避シート1をツノでスクラッチすることで、動物用忌避シート1中のマイクロカプセルに内包されている動物用忌避剤が放出する(図13(B))。放出された動物用忌避剤の臭いにより、動物8は樹木10から離れていく(図13(C))。また、動物8がスクラッチすることで有色の塗料13がマイクロカプセル層2に付着し、動物8が動物用忌避シート1をスクラッチしたことがわかる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について図面を参照にしながら詳細に説明したが、本発明は、以上の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0056】
例えば、芯材212には、動物用忌避剤と有色の塗料の他に、動物用忌避剤の効果が減少しない範囲内で防腐剤、酸化防止剤等を含ませてもよい。
【実施例】
【0057】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0058】
(実施例1)
動物用忌避剤である3−メルカプト−3−メチル−1−ブタノールをひまし油に5%溶解した溶液に対し、不飽和ポリエステル樹脂(日本ライヒホールド製、HA−100)とアゾジイソブチロニトリルを混合し溶解した。さらに溶解部を20℃のアラビアゴム5%水溶液に分散し、O/Wエマルジョンとした。油滴の粒径が7μmになったところで攪拌しながら90℃まで加熱し、3時間この温度を保つことにより粒径約10μmの動物用忌避剤を内包したマイクロカプセル分散液を得、スプレードライ法によってマイクロカプセルパウダーとして取り出した。シート3(ユポ・コーポレーション社製、スーパーユポFGS)の表面上に、このマイクロカプセルパウダーをポリ乳酸樹脂エマルジョン(ミヨシ油脂株式会社製、ランディPL−2000(固形分40%))に分散させたインキをグラビア印刷することで厚さ15μmのマイクロカプセル層2を設け、動物用忌避シート1を得た。なお、動物用忌避剤の塗布量は0.5g/m2であり、マイクロカプセルパウダーとポリ乳酸樹脂エマルジョンとの重量比率は20:100であった。
【0059】
(実施例2)
シカが、樹木10の樹皮を食べることを防止するために、実施例1の動物用忌避シート1の少なくとも一部がシカのツノの位置に相当する地面からの高さに存在するようにし、かつ、樹木10の表面に巻きつけるようにして配置した。
【0060】
シカが動物用忌避シート1をツノでスクラッチすることで、3−メルカプト−3−メチル−1−ブタノールが放出し、放出された3−メルカプト−3−メチル−1−ブタノールの臭いにより、シカは樹木10から離れていった。このように、本発明の動物用忌避シート1は、動物の習性行動、性質等を利用して確実に動物(シカ)を忌避できることがわかる。
【0061】
(実施例3)
動物用忌避剤であるカプサイシン及びゲットウをひまし油に5%溶解した溶液に対し、不飽和ポリエステル樹脂(日本ライヒホールド製、HA−100)とアゾジイソブチロニトリルを混合し溶解した。さらに溶解部を20℃のアラビアゴム5%水溶液に分散し、O/Wエマルジョンとした。油滴の粒径が7μmになったところで攪拌しながら90℃まで加熱し、3時間この温度を保つことにより粒径約10μmの動物用忌避剤を内包したマイクロカプセル分散液を得、スプレードライ法によってマイクロカプセルパウダーとして取り出した。シート3(ユポ・コーポレーション社製、スーパーユポFGS)の表面上に、このマイクロカプセルパウダーをポリ乳酸樹脂エマルジョン(ミヨシ油脂株式会社製、ランディPL−2000(固形分40%))に分散させたインキをグラビア印刷することで厚さ15μmのマイクロカプセル層2を設け、動物用忌避シート1を得た。なお、動物用忌避剤の塗布量は0.5g/m2であり、マイクロカプセルパウダーとポリ乳酸樹脂エマルジョンとの重量比率は20:100であった。
【0062】
(実施例4)
イノシシが、柵9の隙間を抉じ開けて柵の内部に侵入することを防止するために、柵9の隙間に実施例3の動物用忌避シート1を配置した。
【0063】
イノシシが動物用忌避シート1をハナでスクラッチすることで、カプサイシン及びゲットウが放出し、放出されたカプサイシン及びゲットウの臭いにより、イノシシは柵9から離れていった。このように、本発明の動物用忌避シート1は、動物の習性行動、性質等を利用して確実に動物(イノシシ)を忌避できることがわかる。
【符号の説明】
【0064】
1 動物用忌避シート
1A 動物用忌避シート
1B 動物用忌避シート
2 マイクロカプセル層
21 マイクロカプセル
211 膜材
212 芯材
3 シート
4 密着層
41 離型シート
5 目印
6 ガイド部
7 切り取り線
8 動物
9 柵
10 樹木
11 シート周縁部
12 止め具
13 塗料
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物用忌避シート及び動物用忌避シートの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、森林伐採や土地開発等により、シカやイノシシ等の動物の居住領域が狭められている。特に秋や冬になると動物の居住領域内の餌が不足し、動物は、餌を求めて農地に出没して農作物を荒らし、農作物の被害が極めて深刻な問題となっている。
【0003】
また、動物が樹木の樹皮を食べてしまうことが問題となっている。樹皮を食べられた樹木はまたたくまに枯れてしまい、その被害は極めて深刻である。また、植樹した苗木の新芽部分が食べられる被害が問題となっている。苗木の新芽部分が食べられると苗木の成長が止まってしまうので植樹の意味がなくなってしまい、林業においても極めて深刻な問題となっている。
【0004】
このような問題を解決するために、網や柵で農地、樹木及び苗木全体を囲む方法が取られてきた。この方法は、小規模の農地や少数の樹木等が保護の対象であればそれほど問題にならないが、現実には、広大な農地や極めて多数本の樹木を保護の対象にしなければならない。その場合、持ち運ぶ際の重量が大きくなり少しずつしか持ち運べず、作業効率が極めて悪いという問題があった。また、この方法は費用や手問がかかり、風雪や動物により倒されたりして被害を抑制するには至らなかった。
【0005】
また、網や柵に電気を流し、網や柵に触れた動物を感電させて忌避させる方法も取られてきているが、動物によっては全身が体毛に覆われているので動物を感電させることができず、被害を抑制するには至らなかった。
【0006】
網や柵の代わりに動物の天敵の糞尿を撒くことで、動物が農地、樹木及び苗木に近づくことを防ぐ方法がとられてきた。この方法は、動物が、天敵の糞尿により天敵の存在を確認し即座に逃避し、天敵の糞尿が撒かれた範囲には近づかなくなるので一定の効果は確認されているが、天敵の糞尿は臭気を伴うため、糞尿を撒く作業が極めて苦痛であるという問題があった。また、風雨により効果の持続性が減少するという問題もあった。
【0007】
さらに、カプサイシンのような動物用忌避剤をマイクロカプセルに内包したものを噴霧することで動物が農地、樹木及び苗木に近づくことを防ぐ方法もとられてきた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−76502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、噴霧された動物用忌避剤が風により流され、動物を忌避したい箇所を的確に動物を忌避させることができないという問題があった。噴霧された動物用忌避剤は、雨で流される可能性があり、持続的な忌避効果は期待できないという問題があった。また、噴霧された動物用忌避剤が農地内の農作物に付着するおそれがあり、人体に害を及ぼす可能性もあった。
【0010】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、動物の習性行動、性質等を利用して確実に動物を忌避することができる動物用忌避シート及び動物用忌避シートの使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、農作物を荒らす動物はツノやハナ、キバ、ヒヅメ及び体の一部等で物を擦過する等の知見を見出し、本発明をするに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0012】
請求項1に記載の発明は、動物用忌避剤を有効成分として内包するマイクロカプセルを、シート上に分散塗布または含浸してなる動物用忌避シートであって、動物の習性行動による所定のスクラッチ力に応じて前記マイクロカプセルが破壊され、前記動物用忌避剤が放出される動物用忌避シートである。
【0013】
請求項2に記載の発明は、該動物用忌避シートの短辺または長辺の中央部付近と、前記中央部付近と対向する辺とにガイド部を備える請求項1に記載の動物用忌避シートである。
【0014】
請求項3に記載の発明は、該動物用忌避シートの短手方向の1/3から1/5に目印を備える請求項1に記載の動物用忌避シートである。
【0015】
請求項4に記載の発明は、前記所定のスクラッチ力は、4.9×106Pa以上の表面スクラッチ力である請求項1から3のいずれかに記載の動物用忌避シートである。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記マイクロカプセルには、さらに有色の塗料が内包されている請求項1から4のいずれかに記載の動物用忌避シートである。
【0017】
請求項6に記載の発明は、前記シート上の少なくとも2以上の領域に、2種類以上の前記動物用忌避剤がそれぞれ分散塗布または含浸されている請求項1から5のいずれかに記載の動物用忌避シートである。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6いずれかに記載の動物用忌避シートを保護すべき物の表面に配置し、前記動物用忌避シートの少なくとも一部が、該動物が習性行動としてスクラッチする位置に相当する地面からの高さに存在するように配置し、該動物が前記動物用忌避シートの表面をスクラッチされることで、前記動物用忌避剤を放出する、動物用忌避シートの使用方法である。
【0019】
請求項8に記載の発明は、前記保護すべき物が、動物が食する樹木であり、前記動物用忌避シートを該樹木に巻きつけて配置する請求項7に記載の動物用忌避シートの使用方法である。
【0020】
請求項9に記載の発明は、前記保護すべき物が、動物の進入を防止するための物理的な障壁内、農作物であり、前記動物用忌避シートを前記障壁に配置する請求項7に記載の動物用忌避シートの使用方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の動物用忌避シート及び動物用忌避シートの使用方法によれば、動物の習性行動、性質等を利用して確実に動物を忌避できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】動物用忌避シートの断面図である。
【図2】マイクロカプセルの断面図である。
【図3】動物用忌避シートの平面図である。
【図4】動物用忌避シートの裏面の平面図である。
【図5】動物用忌避シートの第一の変形例の断面図である。
【図6】動物用忌避シートの第二の変形例の断面図である。
【図7】動物用忌避シートの第三の変形例の断面図である。
【図8】動物用忌避シートの使用形態の一例を示す平面図である。
【図9】動物用忌避シートの使用形態の一例を示す平面図である。
【図10】動物用忌避シートの使用方法の第一実施形態の概略を示した図である。
【図11】動物用忌避シートの使用方法の第二実施形態の概略を示した図である。
【図12】動物用忌避シートの使用方法の第三実施形態の概略を示した図である。
【図13】動物用忌避シートの使用方法の第四実施形態の概略を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、動物を確実に忌避させるという課題を、動物を忌避させる動物用忌避剤を内包するマイクロカプセルをシート上に分散塗布し、動物の習性行動、性質等を利用して内包する動物用忌避剤が放出されるようにしたことによって解決した。
【0024】
以下、図面等を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の動物用忌避シートの断面図、図2は、マイクロカプセルの断面図、図3は、本発明の動物用忌避シートの平面図、図4は、本発明の動物用忌避シートの裏面の平面図、図5は本発明の動物用忌避シートの第一の変形例の断面図、図6は本発明の動物用忌避シートの第二の変形例の断面図、図7は、本発明の動物用忌避シートの第三の変形例の断面図、図8は、本発明の動物用忌避シートの使用形態の一例を示す平面図、図9は、本発明の動物用忌避シートの使用形態の一例を示す平面図、図10(A)〜(C)は、動物用忌避シートの使用方法の第一実施形態の概略を示した図、図11(A)〜(C)は、動物用忌避シートの使用方法の第二実施形態の概略を示した図、図12(A)〜(C)は、動物用忌避シートの使用方法の第三実施形態の概略を示した図、図13(A)〜(C)は、動物用忌避シートの使用方法の第四実施形態の概略を示した図である。1、1A及び1Bは動物用忌避シート、2はマイクロカプセル層、21はマイクロカプセル、211は膜材、212は芯材、3はシート、4は密着層、41は離型シート、5は目印、6はガイド部、7は切り取り線、8は動物、9は柵、10は樹木、11はシート周端部を表している。
【0025】
本発明の動物用忌避シート1は図1に示すように、シート3の表面上に動物用忌避剤を内包するマイクロカプセル21が分散塗布されたマイクロカプセル層2を設けた構成である。必要に応じて、シート3の裏面には、樹木等に隙間なく密着させることができる密着層4を設けた構成としてもよい。
【0026】
本発明に用いられるシート3としては、薄葉紙、晒クラフト紙、チタン紙、板紙、石膏ボード紙等の紙、ポリエチレンフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポリ塩化ビニルフイルム、ポリエチレンテレフタレートフイルム、ナイロンフイルム、生分解フィルム等のプラスチックフイルム等が使用可能である。
【0027】
動物用忌避シート1を樹木等凹凸がある箇所に確実に密着させる必要がある。このため、密着層4を設けて、樹木等凹凸がある箇所であっても動物用忌避シート1を確実に密着させることができる。本発明に用いられる密着層4としては、例えば、不織布、紙及び布等を使用することが好ましい。
【0028】
なお、動物用忌避シート1をパイプ等凹凸がない箇所に密着させる際、接着層を密着層4の代わりとして構成することも可能である。この場合、接着層は、例えば、公知の感圧で接着する粘着剤である天然ゴム系、ブチルゴム・ポリイソプレン・ポリイソブチレン・ポリクロロプレン・スチレン−ブタジエン共重合樹脂等の合成ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニール・エチレン−酢酸ビニール共重合体等の酢酸ビニール系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリロニトリル、炭化水素樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジン・ロジントリグリセリド・水素化ロジン等のロジン系樹脂等を不織布、フィルム、紙及び布等に塗布または含浸させたものを使用可能である。この場合、接着層の粘着面(動物用忌避シート1の裏面側)に離型シート41を設けるようにしてもよい。
【0029】
本発明の動物用忌避シート1は、シート3の表面上に動物用忌避剤を内包するマイクロカプセル21が分散塗布または含浸されたマイクロカプセル層2を設ける。マイクロカプセル層2は、動物用忌避剤を内包するマイクロカプセル21を含む印刷インキを用いて通常の印刷法、オフセット印刷法、活版印刷法、グラビア印刷法、シルク印刷法等により形成することができる。
【0030】
マイクロカプセル21は、図2に示すように、動物用忌避剤を含む芯材212と、動物用忌避剤を覆う膜材211とから構成されており、公知の製造方法で製造することができる。
【0031】
マイクロカプセル21に内包させる動物用忌避剤は、忌避したい動物によって適宜変更することができる。例えば、シカやイノシシ、ヒツジ等の動物を忌避したい場合、3−メルカプト−3−メチル−1−ブタノール、ゲットウ、カプサイシン、アンモニア等をマイクロカプセル21に内包させる。
【0032】
忌避したい動物に有効である動物用忌避剤が複数ある場合、芯材212に含ませる動物用忌避剤の有効成分が異なるマイクロカプセル21をそれぞれ混合して分散塗布または含浸することで、複数の動物用忌避剤を含む動物用忌避シート1としてもよい。また、複数の動物用忌避剤を芯材212内に含ませるようにしてもよい。
【0033】
マイクロカプセル21の膜材211としては、ゼラチン膜、ウレタンウレア膜、マシミン樹脂膜、尿素樹脂膜、ナイロン膜、ポリ尿素、エポキシ樹脂、尿素/ホルマリン樹脂、メラミン/ホルマリン樹脂等が使用でき、in−situ法、界面重合法、コアセルベーション法等の公知の製造方法により製造される。膜材211は、詳細は後述するスクラッチ力(圧力)により破壊されることで芯材212内の動物用忌避剤が外部に放出される。
【0034】
マイクロカプセル21の平均粒径は、動物用忌避シート1の使用目的等に応じて適宜変更することができるが、例えば、グラビア印刷法でマイクロカプセル21を分散塗布する場合、10μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。この場合、マイクロカプセル21の平均粒径が10μmを超えると印刷する際、版詰まりを起こす可能性がある。また、例えば、シルク印刷法でマイクロカプセル21を分散塗布する場合、平均粒径は100μm以下であることが好ましい。
【0035】
一般的に動物は、ツノ、ハナ、キバ、ヒヅメ及び体の一部等で障害物を退けたり、障害物の隙間を抉じ開けたりする習性がある。また、動物は、ツメやツノを研ぐために樹木の幹等を擦過する習性がある。本発明の動物用忌避シート1は、動物の上記習性行動、性質を利用するものであり、動物が本発明の動物用忌避シート1をツノやハナ等でスクラッチする(引っ掻く)ことで膜材211が破壊され、動物用忌避剤が放出される。これにより、動物がマイクロカプセル層2をスクラッチするまでは動物用忌避剤が外部へ放出されないので、時間が経過することによる動物用忌避剤の効果が薄れることを防止することができる。
【0036】
本発明の動物用忌避シート1は、単位面積当たり4.9×106Pa(500gf/mm2)以上の圧力(表面スクラッチ力)でスクラッチされることで膜材211が破壊されて動物用忌避剤が放出されるようにすることが好ましい。表面スクラッチ力が4.9×106Pa未満であると、動物のスクラッチ以外の衝撃で動物用忌避剤が放出してしまう場合がある。
【0037】
必要に応じて、芯材212に動物用忌避剤とともに有色の塗料を内包させてもよい。また、芯材212に動物用忌避剤のみを内包するマイクロカプセル21と、芯材212に有色の塗料のみを内包する別のマイクロカプセルとを混合して分散塗布させたマイクロカプセル層2を設けるようにしてもよい。動物が動物用忌避シート1をスクラッチした際、動物用忌避剤とともに有色の塗料も放出され、有色の塗料が動物用忌避シート1の表面上に付着する。これにより、動物用忌避シート1の表面上に付着した有色の塗料を見れば、動物用忌避シート1の使用された形跡を容易に判別することができる。また、有色の塗料の放出量を見極めることで動物用忌避シート1の取替え時期を容易に判別することができる。
【0038】
有色の塗料は、例えば、アゾレーキ顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料等の有機顔料類、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、二酸化チタン、カーボンブラック等の無機顔料類が挙げられる。
【0039】
また、例えば、シート3とマイクロカプセル層2との色を異なる色にすることで、動物によってスクラッチされた部分からシート3の色が見えるので、容易に動物用忌避シート1の使用された形跡及び動物用忌避シート1の取替え時期を判別することができる。
【0040】
さらに、例えば、シート3とマイクロカプセル層2との間に色層を設けることで、動物用忌避シート1の使用された形跡及び動物用忌避シート1の取替え時期を容易に判別することもできる。
【0041】
なお、本発明の動物用忌避シート1は、シート3の表面上に直接マイクロカプセル21を分散塗布させてもよい。
【0042】
図3に示すように、本発明の動物用忌避シート1には、短辺または長辺の中央部付近及びこの中央部付近と対向する辺にガイド部6がそれぞれ備えている。ガイド部6を備えることで動物用忌避シート1を樹木や柵等に配置させる際、動物用忌避シート1を地面に対して平行または垂直に配置することができ、樹木や柵等に隙間なく動物用忌避シート1を配置させることができる。
【0043】
また、マイクロカプセル内の動物用忌避剤の内容物を容易に理解できるように、動物用忌避シート1のシート周端部11の色を変えてもよい。例えば、マイクロカプセル内の動物用忌避剤がゲットウの場合、シート周端部11の色を緑色にし、マイクロカプセル内の動物用忌避剤がカプサイシンの場合、シート周端部11の色を赤色にしてもよい。なお、シート周端部11の色は複数の色を組み合わせてもよい。
【0044】
例えば、動物用忌避シート1を樹木や柵等に配置させる際、密着層4の中心部から接着させることで配置した後、動物用忌避シート1の外側に向かって接着させることで効率的に動物用忌避シート1を樹木や柵等に配置させることができる。このため、図4に示すように、動物用忌避シート1の裏面側の離型シート41に切り込み線7を設けて密着層4の中心部から配置させることができるようにしてもよい。
【0045】
図5に示すように、本発明の動物用忌避シート1は、密着層4の表面上にマイクロカプセル層2が設けられた構成とし、動物用忌避剤が内包されているマイクロカプセルがマイクロカプセル層21及び密着層4内に含浸させるようにしてもよい。このような構成とすることで、動物が動物用忌避シート1を破損するほどの力でスクラッチしても確実に動物用忌避剤を放出させることができる。また、図6に示すように、必要に応じてシート3を省略した構成としてもよい。
【0046】
さらに、図7に示すように、本発明の動物用忌避シート1は、密着層4にマイクロカプセル21を含浸させた構成としてもよい。この場合、必要に応じて密着層4の裏面に接着層を設けた構成としてもよい。
【0047】
本発明の動物用忌避シート1について、例えば、ゲットウを内包するマイクロカプセル21と、カプサイシンを内包するマイクロカプセル21とを含む動物用忌避シート1としてもよく、例えば、ゲットウとカプサイシンとの複数の動物用忌避剤をマイクロカプセル21内に設けるようにしてもよい。これにより、動物が動物用忌避シート1をスクラッチすることで複数の動物用忌避剤が放出されるので、より効果的に動物を忌避することができる。さらに、図9に示すように、動物用忌避剤の成分が異なる動物用忌避シート1、1A及び1Bを設けるようにしてもよい。
【0048】
また、図8に示すように、本発明の動物用忌避シート1を細長い帯状にしてもよい。詳細は後述するが、図8に示すような動物用忌避シート1を樹木等に巻きつけるように配置する場合、動物用忌避シート1と動物用忌避シート1との間に隙間が生じないように、動物用忌避シート1の一部が重なるように樹木等に巻きつける。この際、必要に応じて、動物用忌避シート1が重なる部分に目印5を設けて、目印5が重なるように動物用忌避シート1を巻きつけることで隙間なく動物用忌避シート1を配置することができる。
【0049】
目印5は、使用目的等に応じて適宜変更することができ、例えば、実線で表す方法、重なる部分に色をつける方法等が挙げられる。目印5は、使用目的等に応じて適宜変更することができるが、例えば、動物用忌避シート1の短手方向の1/3から1/5が動物用忌避シート1の一部と重なるように目印5を設けることが好ましい。
【0050】
以下、本発明の動物用忌避シート1の使用方法を説明する。例えば、図10及び図11に示すように、農作物のような保護すべき物が物理的な障壁である柵9内にあり、動物8の侵入を防止するための柵9の表面に動物用忌避シート1を巻きつけるようにして配置する。この際、ガイド部6を目安にして配置することで、動物用忌避シート1を水平または垂直に配置することができる。
【0051】
また、図12に示すように、動物8は、柵9の隙間をハナ等で抉じ開けて侵入しようとするので、ガイド部6を目安に動物用忌避シート1を柵9の隙間に配置してもよい。また、動物8が動物用忌避シート1を確実にスクラッチするように、動物用忌避シート1の少なくとも一部が動物8のハナの位置に相当する地面からの高さに存在するように配置する。
【0052】
動物用忌避シート1を配置した柵9に動物8が近づき(図10(A)、図11(A)または図12(A))、動物8は動物用忌避シート1をハナでスクラッチすることで、動物用忌避シート1中のマイクロカプセルに内包されている動物用忌避剤が放出する(図10(B)、図11(B)または図12(B))。放出された動物用忌避剤の臭いにより、動物8は柵9から離れていく(図10(C)、図11(C)または図12(C))。
【0053】
また、例えば、図13に示すように、動物8が擦過する可能性があり、動物8から保護する必要がある樹木6の表面に動物用忌避シート1を巻きつけるようにして配置する。その際、動物8が動物用忌避シート1を確実にスクラッチするように、動物用忌避シート1の少なくとも一部が動物8のツノの位置に相当する地面からの高さに存在するように配置する。また、動物用忌避シート1は、必要に応じて止め具12で固定して配置する。
【0054】
動物用忌避シート1を配置した樹木10に動物8が近づき(図13(A))、動物8は動物用忌避シート1をツノでスクラッチすることで、動物用忌避シート1中のマイクロカプセルに内包されている動物用忌避剤が放出する(図13(B))。放出された動物用忌避剤の臭いにより、動物8は樹木10から離れていく(図13(C))。また、動物8がスクラッチすることで有色の塗料13がマイクロカプセル層2に付着し、動物8が動物用忌避シート1をスクラッチしたことがわかる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について図面を参照にしながら詳細に説明したが、本発明は、以上の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0056】
例えば、芯材212には、動物用忌避剤と有色の塗料の他に、動物用忌避剤の効果が減少しない範囲内で防腐剤、酸化防止剤等を含ませてもよい。
【実施例】
【0057】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0058】
(実施例1)
動物用忌避剤である3−メルカプト−3−メチル−1−ブタノールをひまし油に5%溶解した溶液に対し、不飽和ポリエステル樹脂(日本ライヒホールド製、HA−100)とアゾジイソブチロニトリルを混合し溶解した。さらに溶解部を20℃のアラビアゴム5%水溶液に分散し、O/Wエマルジョンとした。油滴の粒径が7μmになったところで攪拌しながら90℃まで加熱し、3時間この温度を保つことにより粒径約10μmの動物用忌避剤を内包したマイクロカプセル分散液を得、スプレードライ法によってマイクロカプセルパウダーとして取り出した。シート3(ユポ・コーポレーション社製、スーパーユポFGS)の表面上に、このマイクロカプセルパウダーをポリ乳酸樹脂エマルジョン(ミヨシ油脂株式会社製、ランディPL−2000(固形分40%))に分散させたインキをグラビア印刷することで厚さ15μmのマイクロカプセル層2を設け、動物用忌避シート1を得た。なお、動物用忌避剤の塗布量は0.5g/m2であり、マイクロカプセルパウダーとポリ乳酸樹脂エマルジョンとの重量比率は20:100であった。
【0059】
(実施例2)
シカが、樹木10の樹皮を食べることを防止するために、実施例1の動物用忌避シート1の少なくとも一部がシカのツノの位置に相当する地面からの高さに存在するようにし、かつ、樹木10の表面に巻きつけるようにして配置した。
【0060】
シカが動物用忌避シート1をツノでスクラッチすることで、3−メルカプト−3−メチル−1−ブタノールが放出し、放出された3−メルカプト−3−メチル−1−ブタノールの臭いにより、シカは樹木10から離れていった。このように、本発明の動物用忌避シート1は、動物の習性行動、性質等を利用して確実に動物(シカ)を忌避できることがわかる。
【0061】
(実施例3)
動物用忌避剤であるカプサイシン及びゲットウをひまし油に5%溶解した溶液に対し、不飽和ポリエステル樹脂(日本ライヒホールド製、HA−100)とアゾジイソブチロニトリルを混合し溶解した。さらに溶解部を20℃のアラビアゴム5%水溶液に分散し、O/Wエマルジョンとした。油滴の粒径が7μmになったところで攪拌しながら90℃まで加熱し、3時間この温度を保つことにより粒径約10μmの動物用忌避剤を内包したマイクロカプセル分散液を得、スプレードライ法によってマイクロカプセルパウダーとして取り出した。シート3(ユポ・コーポレーション社製、スーパーユポFGS)の表面上に、このマイクロカプセルパウダーをポリ乳酸樹脂エマルジョン(ミヨシ油脂株式会社製、ランディPL−2000(固形分40%))に分散させたインキをグラビア印刷することで厚さ15μmのマイクロカプセル層2を設け、動物用忌避シート1を得た。なお、動物用忌避剤の塗布量は0.5g/m2であり、マイクロカプセルパウダーとポリ乳酸樹脂エマルジョンとの重量比率は20:100であった。
【0062】
(実施例4)
イノシシが、柵9の隙間を抉じ開けて柵の内部に侵入することを防止するために、柵9の隙間に実施例3の動物用忌避シート1を配置した。
【0063】
イノシシが動物用忌避シート1をハナでスクラッチすることで、カプサイシン及びゲットウが放出し、放出されたカプサイシン及びゲットウの臭いにより、イノシシは柵9から離れていった。このように、本発明の動物用忌避シート1は、動物の習性行動、性質等を利用して確実に動物(イノシシ)を忌避できることがわかる。
【符号の説明】
【0064】
1 動物用忌避シート
1A 動物用忌避シート
1B 動物用忌避シート
2 マイクロカプセル層
21 マイクロカプセル
211 膜材
212 芯材
3 シート
4 密着層
41 離型シート
5 目印
6 ガイド部
7 切り取り線
8 動物
9 柵
10 樹木
11 シート周縁部
12 止め具
13 塗料
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物用忌避剤を有効成分として内包するマイクロカプセルを、シート上に分散塗布または含浸してなる動物用忌避シートであって、
動物の習性行動による所定のスクラッチ力に応じて前記マイクロカプセルが破壊され、前記動物用忌避剤が放出される動物用忌避シート。
【請求項2】
該動物用忌避シートの短辺または長辺の中央部付近と、前記中央部付近と対向する辺とにガイド部を備える請求項1に記載の動物用忌避シート。
【請求項3】
該動物用忌避シートの短手方向の1/3から1/5に目印を備える請求項1に記載の動物用忌避シート。
【請求項4】
前記所定のスクラッチ力は、4.9×106Pa以上の表面スクラッチ力である請求項1から3のいずれかに記載の動物用忌避シート。
【請求項5】
前記マイクロカプセルには、さらに有色の塗料が内包されている請求項1から4のいずれかに記載の動物用忌避シート。
【請求項6】
前記シート上の少なくとも2以上の領域に、2種類以上の前記動物用忌避剤がそれぞれ分散塗布または含浸されている請求項1から5のいずれかに記載の動物用忌避シート。
【請求項7】
請求項1から6いずれかに記載の動物用忌避シートを保護すべき物の表面に配置し、
前記動物用忌避シートの少なくとも一部が、該動物が習性行動としてスクラッチする位置に相当する地面からの高さに存在するように配置し、
該動物が前記動物用忌避シートの表面をスクラッチされることで、前記動物用忌避剤を放出する、動物用忌避シートの使用方法。
【請求項8】
前記保護すべき物が、動物が食する樹木であり、前記動物用忌避シートを該樹木に巻きつけて配置する請求項7に記載の動物用忌避シートの使用方法。
【請求項9】
前記保護すべき物が、動物の進入を防止するための物理的な障壁内、農作物であり、前記動物用忌避シートを前記障壁に配置する請求項7に記載の動物用忌避シートの使用方法。
【請求項1】
動物用忌避剤を有効成分として内包するマイクロカプセルを、シート上に分散塗布または含浸してなる動物用忌避シートであって、
動物の習性行動による所定のスクラッチ力に応じて前記マイクロカプセルが破壊され、前記動物用忌避剤が放出される動物用忌避シート。
【請求項2】
該動物用忌避シートの短辺または長辺の中央部付近と、前記中央部付近と対向する辺とにガイド部を備える請求項1に記載の動物用忌避シート。
【請求項3】
該動物用忌避シートの短手方向の1/3から1/5に目印を備える請求項1に記載の動物用忌避シート。
【請求項4】
前記所定のスクラッチ力は、4.9×106Pa以上の表面スクラッチ力である請求項1から3のいずれかに記載の動物用忌避シート。
【請求項5】
前記マイクロカプセルには、さらに有色の塗料が内包されている請求項1から4のいずれかに記載の動物用忌避シート。
【請求項6】
前記シート上の少なくとも2以上の領域に、2種類以上の前記動物用忌避剤がそれぞれ分散塗布または含浸されている請求項1から5のいずれかに記載の動物用忌避シート。
【請求項7】
請求項1から6いずれかに記載の動物用忌避シートを保護すべき物の表面に配置し、
前記動物用忌避シートの少なくとも一部が、該動物が習性行動としてスクラッチする位置に相当する地面からの高さに存在するように配置し、
該動物が前記動物用忌避シートの表面をスクラッチされることで、前記動物用忌避剤を放出する、動物用忌避シートの使用方法。
【請求項8】
前記保護すべき物が、動物が食する樹木であり、前記動物用忌避シートを該樹木に巻きつけて配置する請求項7に記載の動物用忌避シートの使用方法。
【請求項9】
前記保護すべき物が、動物の進入を防止するための物理的な障壁内、農作物であり、前記動物用忌避シートを前記障壁に配置する請求項7に記載の動物用忌避シートの使用方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−222311(P2010−222311A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72660(P2009−72660)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(509072560)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(509072560)
【Fターム(参考)】
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